JP2005230787A - 土壌中の重金属の除去又は低減方法 - Google Patents

土壌中の重金属の除去又は低減方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005230787A
JP2005230787A JP2004047092A JP2004047092A JP2005230787A JP 2005230787 A JP2005230787 A JP 2005230787A JP 2004047092 A JP2004047092 A JP 2004047092A JP 2004047092 A JP2004047092 A JP 2004047092A JP 2005230787 A JP2005230787 A JP 2005230787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
heavy metals
plant
heavy metal
plants
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004047092A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromichi Morikawa
弘道 森川
Misa Takahashi
美佐 高橋
Makiko Nakagawa
真紀子 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2004047092A priority Critical patent/JP2005230787A/ja
Publication of JP2005230787A publication Critical patent/JP2005230787A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】環境改善のための技術を提供すること。
【解決手段】重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させることを特徴とする、土壌中の重金属の除去又は低減方法、並びに重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させ、それにより、重金属が除去又は低減された土壌を得ることを特徴とする、重金属が除去又は低減された土壌の生産方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境改善への植物の応用技術に関する。さらに詳しくは、本発明は、土壌中の重金属の除去又は低減方法に関する。
現在、重金属等による土壌、地下水等の汚染等に代表される環境汚染が問題となっている。
重金属等による土壌等の汚染に対する環境修復技術として、例えば、植物による浄化方法(例えば、特許文献1及び2を参照のこと)が報告されている。
しかしながら、前記特許文献1に記載の浄化方法は、植物を、特定の播種量又は定植量で植栽することにより行なわれているため、土壌の地形等により適用が困難であり、また、植物が植栽された環境条件は天候などに依存するため、制御が困難であるという欠点がある。
また、前記特許文献2に記載の浄化方法は、カドミウムの吸収能に優れたアオイ科フヨウ属に属する植物を用いて行なわれているため、気候や地域等により適用が困難であり、制御が困難であるという欠点がある。
特開2001−276800号公報 特開2002−331281号公報
本発明は、植物により、土壌中の重金属の除去又は低減を効率よく行なうこと、NOX非存在下又は低存在下(例えば、<5ppb)に比べ、重金属の除去又は吸収をより効率よく行なうこと、周辺環境に対して低影響下で重金属を除去又は低減すること、重金属で汚染された土壌や重金属を含む土壌等の土壌改質を行なうこと等の少なくとも1つを達成しうる、土壌中の重金属の除去又は低減方法を提供することを1つの目的とする。
また、本発明は、重金属で汚染された土壌や重金属を含む土壌等の土壌改質を行なうこと、周辺環境に対して低影響下で重金属が除去又は低減された土壌を作製すること、重金属が除去又は低減された土壌を、簡便に作製すること、重金属が除去又は低減された土壌を、効率よく作製すること等の少なくとも1つを達成しうる、重金属が除去又は低減された土壌の生産方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させることを特徴とする、土壌中の重金属の除去又は低減方法、
〔2〕 該植物が、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、ケナフ及びエンドウマメからなる群より選ばれた植物である、前記〔1〕記載の土壌中の重金属の除去又は低減方法、
〔3〕 該重金属が、カドミウム、鉛、クロム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記〔1〕又は〔2〕記載の土壌中の重金属の除去又は低減方法、並びに
〔4〕 重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させ、それにより、重金属が除去又は低減された土壌を得ることを特徴とする、重金属が除去又は低減された土壌の生産方法、
に関する。
本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法によれば、植物による土壌中の重金属の除去又は低減を効率よく行なうことができるという優れた効果を奏する。また、本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法によれば、特に、NOX非存在下又は低存在下(例えば、<5ppb)に比べ、重金属の除去又は吸収をより効率よく行なうことができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法によれば、周辺環境に対して低影響下で重金属を除去又は低減することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法によれば、重金属で汚染された土壌や重金属を含む土壌等の土壌改質を行なうことができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法によれば、種々の地形における重金属で汚染された土壌に対して適用することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の土壌中の重金属の除去又は低減方法は、広範な植物に適用可能であり、処理を必要とする土地の地形、気候等に合う作物や植物における重金属除去能又は重金属低減能を促進することができる。
本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法によれば、重金属が除去又は低減された土壌を、周辺環境に対して低影響下で作製することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法によれば、重金属が除去又は低減された土壌を、簡便に、作製することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法によれば、重金属が除去又は低減された土壌を効率よく作製することができ、ガス状物質を用いることにより、土壌や水に残留することが極めて少ないという優れた効果を奏する。
本発明は、NOXが、植物の生育に関連するシグナルとして働き、重金属の吸収を高めるという本発明者らの驚くべき知見に基づく。
本発明の1つの側面は、重金属を含む土壌上で、一定濃度のNOXの環境下に植物を生育させることを特徴とする、土壌中の重金属の除去又は低減方法に関する。
本発明の重金属の除去又は低減方法においては、植物を用い、かつ該植物の生育を、一定濃度のNOXの環境下に行なっているため、植物による重金属の吸収が促進され、それにより、土壌中の重金属を効率よく除去又は低減させることができる。
また、本発明の重金属の除去又は低減方法においては、植物を用いているため、より少ない環境負荷で行なうこと、すなわち、周辺環境への影響を抑制することもできる。
さらに、本発明の重金属の除去又は低減方法においては、植物を用い、かつ該植物の生育を、一定濃度のNOXの環境下に行なっているため、本発明の重金属の除去又は低減方法は、地形等に応じて、実施形態を適合させて、実施できるという優れた効果を発揮する。
本発明において、NOXの濃度は、用いられる植物の種類、大きさ等に応じて適宜設定されうるが、植物の生育を維持し、該植物による重金属の吸収、土壌中の重金属の除去又は低減の効果を十分に発揮させる観点から、10〜200ppb、好ましくは、50〜200ppb、より好ましくは、100〜200ppbである。本発明の重金属の除去又は低減方法は、NOXの濃度を前記範囲に調整しているため、NOX非存在下又は極低レベル(例えば、<5ppb)のNOXの存在下に比べ、驚くべく、土壌中の重金属を、より効率よく除去又は低減することができるという優れた効果を発揮する。
本発明の重金属の除去又は低減方法の1つの実施態様では、重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させることを特徴とする方法が挙げられる。
本発明の重金属の除去又は低減方法に用いられる植物としては、例えば、アブラナ科、イネ科、アオイ科、ナス科、キク科等が挙げられる。具体的には、前記植物としては、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、ケナフ、エンドウマメ、ヒマワリ、カラシナ、小麦、大麦等が挙げられる。例えば、水田土壌汚染修復の観点からは、好ましくは、イネ等のイネ科植物(小麦、大麦等)を用いることが有利である。
本発明の重金属の除去又は低減方法においては、適切な時期に、播種して生育させた植物をそのまま用いてもよく、予め生育させた苗、植物体等を移植して用いてもよく、従前より土壌上に存在する植物をそのまま用いてもよい。
本明細書において、「重金属を含む土壌」の概念には、特に限定されないが、例えば、重金属を、0.01〜10000ppmの濃度で含む土壌等が含まれる。
前記重金属としては、特に限定されないが、例えば、カドミウム、鉛、クロム、亜鉛、銅等が挙げられる。
なお、重金属を除去又は低減させる効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは、前記重金属は、イオンの状態であることが望ましい。
一定濃度のNOXの環境は、例えば、重金属を含む土壌に植物を植栽し、土壌に植栽された植物が大気環境と接触する部分、すなわち、植物体の地上部を一定濃度のNOXとなるように維持すること等によりつくることができる。具体的には、一定濃度のNOXの環境は、植物体の地上部を含む環境を外気から遮断しうる手段、例えば、温室、ビニルハウス等の内部に配置し、内部を一定濃度のNOXとなるように維持すること等によりつくることができる。なお、本発明においては、大気環境が、上記NOX濃度範囲である場合、重金属を含む土壌に、植物を植栽し、そのまま栽培すればよい。かかるNOX濃度の維持は、例えば、下記(1)〜(3):
(1)NOXボンベ、灯油等の燃焼、エンジン等によるNOX発生手段と
(2)NOXの除去手段と
(3)該(1)と(2)とを制御することにより所定のNOX濃度に調整する制御手段と
の組み合わせ等により行なわれうる。
前記除去手段としては、例えば、図3に示される装置等が挙げられる。ここで、図3に示される装置においては、前記NOXボンベ、灯油等の燃焼、エンジン等から発生したNOX(NO2、NO)を含有したガスを、ファンモーター1から取り込み、ついで、酸化剤を含有したキャニスター2(例えば、過マンガン酸カリウム等を含有したキャニスター)に通して、ガス中のNOをNO2に変換し、その後、NO2を活性炭カラム3にとおして、活性炭に吸着させ、NOX(NO2、NO)が除去された空気が該活性炭カラム3の存在する空気供給孔から供給される。なお、前記活性炭カラム3における活性炭は、空気供給孔の孔径よりも大きい粒径を有する粒状の活性炭であることが望ましい。
なお、本発明の重金属の除去又は低減方法においては、NOXの濃度以外の生育条件は、植物に応じて、適宜設定され得、植物の通常の生育条件と同様であればよい。例えば、植物の種類により適宜設定されうる。また、本発明の重金属の除去又は低減方法においては、必要に応じて、堆肥の供給、農薬の供給等を行なってもよい。
また、本発明の重金属の除去又は低減方法によれば、土壌中の重金属は、植物、特に、地上部(葉、茎等)に吸収される。したがって、本発明の重金属の除去又は低減方法に用いられた植物から、適切な方法により、重金属を回収することもできる。すなわち、本発明の重金属の除去又は低減方法は、1つの側面では、植物によるリーチング手段への応用も含まれる。
重金属の回収方法としては、特に限定されないが、植物体の地上部を刈り取り、あるいは、植物体を土から引抜き、得られた植物体の地上部又は植物体を乾燥させ、得られた産物から、例えば、0.1N HCl又は0.1N HNO3により重金属を抽出すること、超音波破砕装置によるリーチング、焼却法を用いた重金属の回収法等により、重金属を回収する方法等が挙げられる。
また、本発明の重金属の除去又は低減方法によれば、周辺環境への重金属の漏出等を防ぐことができる。
本発明の他の側面は、重金属を含む土壌上で、一定濃度のNOXの環境下に植物を生育させることを特徴とする、重金属が除去又は低減された土壌の生産方法に関する。
本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法によれば、植物を用い、かつ該植物の生育を、一定濃度のNOXの環境下に行なっているため、植物による重金属の吸収が促進され、それにより、重金属が除去又は低減された土壌を、周辺環境に対して低影響下で効率よく作製することができるという優れた効果を発揮する。
さらに、本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法によれば、植物を用いているため、重金属が除去又は低減された土壌を、簡便に、作製することができる。
本発明の土壌の生産方法において、重金属を含む土壌、用いられる植物及びNOXの濃度は、前記土壌中の重金属の除去又は低減方法の場合と同様である。
本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法において、一定濃度のNOXの環境は、前記重金属の除去又は低減方法の場合と同様に、例えば、重金属を含む土壌に植物を植栽し、土壌に植栽された植物の地上部の環境を、一定濃度のNOXとなるように維持すること等によりつくることができる。具体的には、一定濃度のNOXの環境は、植物体の地上部を、外気から遮断しうる手段、例えば、温室等の内部に配置し、内部を一定濃度のNOXとなるように維持すること等によりつくることができる。
なお、NOXの濃度以外の生育条件は、植物に応じて、適宜設定され得、植物の通常の生育条件と同様であればよい。例えば、植物の種類により適宜設定することができる。また、必要に応じて、堆肥の供給、農薬の供給等を行なってもよい。
本発明の重金属が除去又は低減された土壌の生産方法においては、適切な時期に、播種して生育させた植物をそのまま用いてもよく、予め生育させた苗、植物体等を移植して用いてもよい。例えば、植物の生育は、予め、重金属を含む土壌を植物の生育に適した条件を設定できる施設に集め、集められた土壌に植物を植栽し、一定濃度のNOXの環境下に該植物を生育させること等により行なわれうる。
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等により、何ら限定されるものではない。
植物として、ニコチアナ プルムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)を、バーミキュライト及びパーライト(1:1、v/v)が入ったプラスチックポットに植え、3週齢の若木を、制御された温室に備えられた曝露チャンバーの内側又は外側に置いた。
流速4m3/分で新鮮な空気を外から温室に取り込み、温室内の空気を、活性炭が入ったカラムを通して濾過した。新鮮な空気を、流速1リットル/分で曝露チャンバーに導入した。15N-標識NO2(51.6原子% 15N)、200±20ppbを曝露チャンバーの気相(10〜20ppb NOが存在する)に入れたが、温室のチャンバーの外側のNOX濃度は、<5ppbであった。
チャンバー内側及び外側のCO2及びO3の濃度を、それぞれ、340±80ppm及び<5ppbに保った。植物を、10mM 硝酸カリウムを含むコイックとレセイントとの培地(6)で4日毎に補い、自然光の下、22±0.3℃、70±4%の相対湿度で10週間生育させた。
栽培終了後、植物を回収し、茎の長さ、根の長さ、新鮮重量及び葉面積を測定し、凍結乾燥させた。その後、茎葉及び根の乾燥重量、元素及び全アミノ酸及び粗タンパク質量を測定した。
また、全窒素、NOX由来窒素及び炭素を、タカハシ(M.Takahashi)ら〔Plant Physiol.、126、731(2001)〕に従い、マススペクトロメトリーにより解析した。具体的には、乾燥植物組織(地上部及び根を破砕後、ケルダール分解し、ケルダール窒素中の重窒素量(15N)と軽窒素(14N)の比から、NOX由来の窒素量を求め、他方、独立して求めた乾燥植物組織に含まれる全窒素(15N+14N)量を求め、かかるNOX由来の窒素量を全窒素(15N+14N)量で除して求めた。
粗タンパク質含有量を、前記タカハシ(M.Takahashi)ら〔Plant Physiol.、126、731(2001)〕のように、還元窒素基づくマススペクトロメトリーにより測定した。具体的には、乾燥植物組織のケルダール窒素量に6.25を乗じて求めた。
全リン、カリウム、カルシウム及びマグネシウムを、ロデュシュキン(I.Rodushkin)ら〔Anal.Chim.Acta、378,191(1999)〕のように、共役プラズマ原子発光分析により解析した。
具体的には、乾燥植物組織を粗砕して、テフロン(登録商標)ビーカーに移し、得られた産物 0.5gに、68%(w/v) 濃硝酸 10mlと、30%(w/v) 過酸化水素水 2mlとを添加し、得られた混合物を200〜220℃で60分間加熱し、さらに68%(w/v) 濃硝酸 10mlと、30%(w/v) 過酸化水素水 2mlとを添加し、得られた混合物を200〜220℃で40〜50分間加熱し、加熱分解を行なった。なお、かかる加熱分解の操作を2〜3回行なった。得られた産物を50mlに定容し、得られた産物をICP発光分光装置で分析した。
また、全遊離アミノ酸を、イガラシ(D.Igarashi)ら〔Plant J.、33、975−987(2003)〕に従い、エタノールで抽出し、解析した。
また、ニコチアナ プルムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)を、200ppbのNOXの汚染空気中及び5ppb未満のNOXの清浄空気中のそれぞれで、自然光下、10週間生育させた。なお、他の条件は、前記と同様にした。結果を図2に示す。
その結果、図1のパネルAに示されるように、意外なことに、汚染空気中で栽培された植物のバイオマスは、清浄空気中で栽培された植物のほぼ2倍であった。また、図1のパネルAに示されるように、NOX曝露によるバイオマスの増加は、植物あたりの調べられた全主要元素、炭素、窒素、リン、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの組成の非常に類似した増加又はより大きな増加を伴っていた。興味深いことに、NOX曝露は、植物あたりの全遊離アミノ酸及び粗タンパク質の含有量を同程度に増加させた。
図2に示されるように、NOX曝露された植物は、非曝露植物の類似の外観の1.7倍程度であり、環境レベルの大気のNOXが、植物を「活性化」し、炭素固定、窒素同化、アミノ酸及びタンパク質の合成並びに全主要元素の取り込みは、全て、NOX曝露で刺激されたという点で植物に有益であることがわかった。
さらに、図1のパネルBに示されるように、アイソトープマススペクトル解析〔4〕は、NOX由来窒素は、茎葉及び根における全窒素の3%未満であった。
したがって、環境レベルのNOXは、(長期曝露後でさえ)N源として、極わずかに寄与するにすぎない。かかる知見により、環境レベルの大気NOXは、有害因子又はN源ではなく、植物活性化シグナルとして働くことが示される。
植物として、35×26cmのパットに播種して生育させたケナフを、大きさ:直径9.5cmのポット中パーライトとバーミキュライトとの混合物〔パーライト:バーミキュライト=1:1(V/V)〕 50gに対し、100mlの1/1000容量のハイポネックス〔(株)ハイポネックスジャパン社製〕を与えた土壌に播種後11日目に、ポット当たり 1株ずつ移植した。
100ppbのNOX存在下又は非存在下、移植後6日目(播種後17日目)のケナフに、1週間に2回、パーライトとバーミキュライトとの混合物〔パーライト:バーミキュライト=1:1(V/V)〕 50gに対して1/1000容量のハイポネックスに溶解した20μM カドミウム溶液 50ml/ポットを10日間供給し、栽培を行なった。
その後、植物体を回収し、超純水で洗浄した。
洗浄後の植物体を、葉部、幹部及び根部それぞれに分け、凍結乾燥機で48時間維持して乾燥させた。得られた乾燥葉部、乾燥幹部及び乾燥根部それぞれの乾燥重量を測定した。
ついで、得られた乾燥葉部、乾燥幹部及び乾燥根部それぞれに、硝酸と過塩素酸とを添加して加熱分解した。得られた各試料について、原子吸光法により、カドミウム量を測定した。3回の測定の平均値の結果を下記表1に示す。
Figure 2005230787
表1に示されるように、10日間の栽培期間であるにもかかわらず、NOX存在下におけるカドミウム吸収能は、NOX非存在下におけるカドミウム吸収能に比べ、幹部において、p<0.05、根部において、P<0.1で有意に増加した。
したがって、これらの結果より、カドミウム等の重金属を含む土壌において、NOX存在下に、植物を生育させることにより、植物による重金属の吸収能を向上させ、ひいては、土壌中に含まれる重金属の除去又は低減の効率を向上させることができることが示唆される。すなわち、カドミウム等の重金属を含む土壌において、NOX存在下に、植物を生育させることにより、土壌中に含まれる重金属の除去又は低減をより効率よく行なうことができることが示唆される。
重金属を含有した土壌上に、植物を植え、NOX存在下に栽培する。
栽培後、植物体を除去し、土壌中の重金属を、原子吸光分析法、発光分析法により測定する。
その結果、植物の栽培前に比べ、栽培後において、土壌中に含まれる重金属の含有量が低減する。また、NOX存在下に栽培した場合の土壌は、NOX非存在下に栽培した場合の土壌に比べ、有意に重金属含有量が低減する。
前記実施例3で除去された植物体を水で洗浄し、ついで、乾燥させる。
得られた乾燥植物体を、硝酸若しくは硝酸と過酸化水素との混合物による加水分解、0.1N 塩酸、0.1N 硝酸での可溶化、又は超音波破砕法により、植物体に含まれる重金属含有化合物を回収する。
本発明によれば、植物による環境汚染の修復を行なうことができ、また、汚染土壌を改質することができる。さらに、本発明によれば、土壌中の重金属のリーチングへの応用も可能である。
図1は、茎葉あたりのバイオマス収量、元素組成(全N、C、P、K、Ca及びMg)並びに代謝産物(全遊離アミノ酸及び粗タンパク質)(A)及び茎葉及び根における窒素の等方性組成(B)を示す。パネル(A)において、黒カラム及び白カラムは、それぞれ、NOX-曝露植物及び非曝露植物に対応する。非曝露植物の各値を100として、6連(バイオマス)又は3連(他のデータ)の平均の相対値を示す。バーは、標準偏差を示す。非曝露植物の茎葉あたりの絶対値は、以下の通りである:バイオマス(1.04±0.09g)、C(382±5mg)、N(32.6±2.0mg)、P(2.5±0.4mg)、K(69.0±7.8mg)、Ca(24.2±5.2mg)、Mg(3.43±0.62mg)、全アミノ酸(181±9μmol)及び粗タンパク質(181±5mg)。パネル(B)は、NOX-曝露植物における全窒素の硝酸性窒素の割合(黒カラム)及びNOX性窒素の割合(白カラム)を示す。これらの値は、3連の平均±標準偏差である。
図2は、200ppbのNOXの汚染空気中及び5ppb未満のNOXの清浄空気中のそれぞれで、自然光下、10週間生育させた植物を示す。図中、左パネルが、200ppbのNOXの汚染空気の場合、右パネルは、5ppb未満のNOXの清浄空気の場合を示す。
図3は、NOXの除去手段を示す図である。図中、点線の矢印は、空気の流れを示す。図3に示される装置においては、前記NOXボンベ、灯油等の燃焼、エンジン等から発生したNOX(NO2、NO)を含有したガスを、ファンモーター1から取り込み、ついで、酸化剤を含有したキャニスター2(例えば、過マンガン酸カリウム等を含有したキャニスター)に通して、ガス中のNOをNO2に変換し、その後、NO2を活性炭カラム3にとおして、活性炭に吸着させ、NOX(NO2、NO)が除去された空気が該活性炭カラム3の存在する空気供給孔から供給される。
符号の説明
1 ファンモーター
2 キャニスター
3 活性炭カラム

Claims (4)

  1. 重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させることを特徴とする、土壌中の重金属の除去又は低減方法。
  2. 該植物が、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、ケナフ及びエンドウマメからなる群より選ばれた植物である、請求項1記載の土壌中の重金属の除去又は低減方法。
  3. 該重金属が、カドミウム、鉛、クロム、亜鉛及び銅からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2記載の土壌中の重金属の除去又は低減方法。
  4. 重金属を含む土壌において、NOX 10〜200ppbの環境下に植物を生育させ、それにより、重金属が除去又は低減された土壌を得ることを特徴とする、重金属が除去又は低減された土壌の生産方法。
JP2004047092A 2004-02-23 2004-02-23 土壌中の重金属の除去又は低減方法 Pending JP2005230787A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004047092A JP2005230787A (ja) 2004-02-23 2004-02-23 土壌中の重金属の除去又は低減方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004047092A JP2005230787A (ja) 2004-02-23 2004-02-23 土壌中の重金属の除去又は低減方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005230787A true JP2005230787A (ja) 2005-09-02

Family

ID=35014283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004047092A Pending JP2005230787A (ja) 2004-02-23 2004-02-23 土壌中の重金属の除去又は低減方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005230787A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007209894A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 National Institute For Agro-Environmental Science 重金属汚染土壌の浄化方法
JP2009039601A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Katsuyoshi Kondo バイオマス中の重金属元素の除去方法及び重金属汚染土壌の浄化方法
CN106550749A (zh) * 2016-10-28 2017-04-05 中国农业科学院麻类研究所 一种增强红麻吸收土壤中Cd的方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000288529A (ja) * 1999-03-31 2000-10-17 Taiheiyo Cement Corp 重金属汚染土壌の浄化方法
JP2002231281A (ja) * 2001-01-26 2002-08-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体高分子型燃料電池セルの管理方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000288529A (ja) * 1999-03-31 2000-10-17 Taiheiyo Cement Corp 重金属汚染土壌の浄化方法
JP2002231281A (ja) * 2001-01-26 2002-08-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体高分子型燃料電池セルの管理方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007209894A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 National Institute For Agro-Environmental Science 重金属汚染土壌の浄化方法
JP2009039601A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Katsuyoshi Kondo バイオマス中の重金属元素の除去方法及び重金属汚染土壌の浄化方法
CN106550749A (zh) * 2016-10-28 2017-04-05 中国农业科学院麻类研究所 一种增强红麻吸收土壤中Cd的方法
CN106550749B (zh) * 2016-10-28 2019-05-21 中国农业科学院麻类研究所 一种增强红麻吸收土壤中Cd的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Pareek Climate change impact on soils: adaptation and mitigation
JP4813030B2 (ja) 重金属類含有土壌の浄化方法
Abid et al. Biochar increased photosynthetic and accessory pigments in tomato (Solanum lycopersicum L.) plants by reducing cadmium concentration under various irrigation waters
Andersson et al. Indices for nitrogen status and nitrate leaching from Norway spruce (Picea abies (L.) Karst.) stands in Sweden
Islam et al. Interactions of tropospheric CO2 and O3 enrichments and moisture variations on microbial biomass and respiration in soil
EP3033939B1 (en) Method of afforesting infertile soil using pisolithus tinctorius
Kim et al. Comparison of methane emission characteristics in air-dried and composted cattle manure amended paddy soil during rice cultivation
Arsenov et al. Citric acid as soil amendment in cadmium removal by Salix viminalis L., alterations on biometric attributes and photosynthesis
CN101049603A (zh) 一种利用紫茉莉花卉植物修复重金属污染土壤的方法
CN105149341A (zh) 一种污泥地重金属污染土壤的修复方法
Rizwan et al. Biochar is a potential source of silicon fertilizer: an overview
Xie et al. Chemical speciation and distribution of potentially toxic elements in soilless cultivation of cucumber with sewage sludge biochar addition
JP2005270098A (ja) 植物の生育促進方法
Cantú et al. Alternatives to regular urea for abating N losses in lettuce production under sub-tropical climate
Hillel et al. The role of soils in climate change
Messiga et al. Reducing peat in growing media: impact on nitrogen content, microbial activity, and CO2 and N2O emissions
Shah et al. Use of mulches in various tillage conditions reduces the greenhouse gas emission—an overview
JP2005230787A (ja) 土壌中の重金属の除去又は低減方法
Baek et al. Phytoremediation of soil contaminated with cadmium and/or 2, 4, 6-Trinitrotoluene
Zins et al. Effect of alfalfa (Medicago sativa) roots on movement of atrazine and alachlor through soil
Oo et al. Effect of cattle manure amendment and rice cultivars on methane emission from paddy rice soil under continuously flooded conditions
CN114405989A (zh) 一种用于促进棉花吸镉的方法及其应用
Niu et al. Evaluation of the cadmium and lead phytoextraction by castor bean (Ricinus communis L.) in hydroponics
Purwanto et al. Effect of flooding duration on nitrous oxide emission from organic and conventional rice cultivation system in Central Java, Indonesia
Mohan et al. Metal accumulation capability of weeds and their utilization in phytoremediation technology

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091022

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110302