JP2005224198A - 生体の局所領域における蛋白質発現抑制方法、及びその装置システム - Google Patents

生体の局所領域における蛋白質発現抑制方法、及びその装置システム Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易な方法により生体局所領域の目的蛋白質の発現を抑制する方法、及びそのための装置システムを提供すること。
【解決手段】 脳限定領域に電気パルスを与えることによってsiRNAを細胞内導入し、局所領域における目的蛋白質の発現のみを顕著に抑制することに成功した。電気パルスは、細胞膜穿孔用パルス及び細胞内導入用パルスの2種類のパルスを組合せることによって、比較的弱い電圧でもsiRNAを細胞内導入することができ、生体に対するダメージを軽減できる。siRNA導入を行った組織には病的変化は認められず、目的蛋白質以外の蛋白質の発現に対する影響も認められなかった。本発明は、遺伝子機能解析への利用は勿論のこと、治療などへの応用も期待できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、生体(個体)の局所領域における蛋白質発現抑制方法、及びその装置システムに関するものである。本発明は、神経科学研究など生命科学諸分野における各種実験・研究に利用できるほか、神経疾患、がんなど各種疾患の治療へも応用し得る発明である。
ジーンターゲティングにより標的遺伝子発現を抑制させ、目的蛋白質の発現を抑制する従来のノックアウト法は、遺伝子機能解析の有力な方法の1つとして、現在でも医学をはじめとする生命科学の諸研究において多く用いられている方法であるが、以下のような問題も有していた。
(1)従来のノックアウト法は、胎生期から継続して目的蛋白質の発現が抑制されるため、実験開始時までに目的蛋白質の欠失が他の蛋白質の発現や機能に影響を及ぼすような場合は、得られた結果は目的蛋白質のノックアウトによるものか、影響を受けた他の蛋白質によるものかが不明である。
(2)従来のノックアウト法では、標的遺伝子のノックダウンによって実験動物が出生前または発達期に死亡してしまうことが少なくなく、個体レベルでの実験が不可能な場合があった。
(3)従来のノックアウト法では、通常、全身にわたって目的蛋白質の発現が抑制されるため、生体の局所領域に着目して実験を行う場合、標的遺伝子のノックダウンによって生体の他の部分に生じた影響が目的の局所領域に及んでいる危険性がある。
(4)従来のノックアウト法では、実験動物が殆どマウスに限定され、他の実験動物の使用が困難であり、ヒトに応用することもできないので、治療などに臨床応用することもできない。
(5)従来のノックアウト法は、通常、ノックアウト動物の作出に多大な時間、労力および経費を必要とする。
近年開発されたコンディショナル・ノックアウト法(後述の非特許文献1参照)は、このような問題をある程度克服するが、やはりノックアウト動物の作出に多大な時間、労力および経費を必要とし、方法も未だ不安定で確立されていない、といった点で依然問題がある。
ところで、目的蛋白質の発現を効率的に抑制する方法として、近年RNA干渉(RNA interference:以下、「RNAi」という。)が注目されている。RNAiは生命現象としても把握されるが、ここでは、標的である内在性のmRNAに相同な二本鎖RNAを細胞内に導入して、標的遺伝子の発現を抑制する実験手法の意味で使用する。RNAiの具体的方法については既に種々の方法が提案されているが、通常、21〜23ヌクレオチドの二本鎖RNA(small interfering RNA:以下、「siRNA」という。)を細胞内に導入する方法である(後述の非特許文献2・3参照)。
上記RNAi法は、オリゴヌクレオチドを用いた従来のアンチセンス法に比べて、遥かに効果的に標的遺伝子の発現を抑制する方法である。
Tsien, J.Z. et al. Subregion- and cell type-restricted gene knockout in mouse brain. Cell 87, 1317-1326 (1996) Fire, A. et al. Potent and specific genetic interference by double-stranded RNA in Caenorhabditis elegans. Nature 391, 806-811 (1998) 日経サイエンス2003年11月号24〜39頁
上述のように、従来のノックアウト法は、遺伝子機能解析の有力な方法ではあるものの、上記(1)〜(5)に掲げる問題を有しており、例えば従来の方法で生体の局所領域(限定領域)においてのみ標的遺伝子をノックダウンさせ、目的蛋白質の発現を抑制することは困難であった。
一方、上記RNAi法についても、標的遺伝子の発現を効果的に抑制する方法であるが、生体の所望の局所領域の目的蛋白質のみ発現抑制するRNAi法は未だ確立されていない。RNAi法は、特定領域の疾患原因遺伝子の発現を抑制させることによって治療への応用も期待されているが、RNAi法を利用した治療の実用化には、siRNAをどのように患者の特定領域に送り届けるか、いわばそのデリバリー方法に最大の問題があるといわれている(例えば非特許文献3の30頁参照)。
生体の局所領域において特定遺伝子をノックダウンさせ、目的蛋白質の発現を抑制する方法が確立されれば、その効果並びに利用分野は甚大である。例えば、治療応用についてみると、脳限定領域において疾患原因遺伝子の発現を抑制することによって各種神経疾患の治療に利用することが考えられる。また、がん細胞の特定遺伝子をノックアウトさせ、がん細胞を死滅させることによって局所的ながん治療に利用することが考えられる。
勿論、治療への利用に限られない。臨床応用、創薬の基礎をなす遺伝子機能解析の研究において有力な解析方法を提供するものとなる。例えば脳限定領域の標的遺伝子のみノックダウンさせるといった実験手法は、神経科学研究において極めて有用である。また、上述のように、従来の方法ではノックアウト動物の作出に多大な時間、労力および経費を必要としたが、局所領域の目的蛋白質の発現のみ抑制する簡易な方法が確立されれば、個体レベルでの遺伝子機能解析が容易になり、疾患モデル動物の作製も容易になる。得られたモデル動物は、生化学的解析、電気生理学的解析、行動観察など各種研究への利用が期待できる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な方法により生体局所領域の目的蛋白質の発現を抑制する方法、及びそのための装置システムを提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、(1)成体ラットの脳限定領域に電気パルスを与え、予め注入された細胞外のsiRNAを細胞内に導入することによって、局所領域の目的蛋白質の発現を顕著に減少させ得ること、(2)細胞膜穿孔用パルス(後述のポアリングパルス)及び細胞内導入用パルス(後述のドライビングパルス)の2種類の電気パルスを組合せることによって、比較的弱い電圧でもsiRNAを細胞内に導入し得ること、(3)siRNA導入を行った組織には病的変化は認められず、目的蛋白質以外の蛋白発現に対する影響も認められなかったこと、さらに、(4)得られた局所ノックアウトラットは、生化学的実験や電気生理学的実験に利用可能であること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、医学上および産業上有用な発明として、下記A)〜J)の発明を含むものである。
A) 生体の局所領域における目的蛋白質の発現抑制方法であって、電気穿孔法により局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、目的蛋白質の発現抑制を招来する発現抑制物質を細胞内に導入することを特徴とする蛋白質発現抑制方法。
B) 発現抑制物質としてsiRNAを細胞内に導入することを特徴とする上記A)記載の蛋白質発現抑制方法。
C) 電気穿孔法において、細胞膜穿孔用の第1の電気パルス、及び、第1の電気パルスよりも電圧値が低く、かつ、パルス幅が長い発現抑制物質細胞内導入用の第2の電気パルスの2種類の電気パルスを組合せて使用することを特徴とする上記A)又はB)記載の蛋白質発現抑制方法。
D) 第1の電気パルスの電圧値を50V/cm以上200V/cm以下に、そのパルス幅を0.5m秒以上2m秒以下に設定すると共に、第2の電気パルスの電圧値を1V/cm以上5V/cm以下に、そのパルス幅を1秒以上5秒以下に設定することを特徴とする上記C)記載の蛋白質発現抑制方法。
E) 脳の局所領域における目的蛋白質の発現抑制に使用することを特徴とする上記A)〜D)の何れかに記載の蛋白質発現抑制方法。
F) 生体の局所領域における目的蛋白質の発現抑制装置システムであって、
目的蛋白質の発現抑制を招来する発現抑制物質を局所領域に注入する注入手段と、
電気パルスを印加して局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、発現抑制物質を細胞内に導入する電気パルス印加手段と、
を備えることを特徴とする蛋白質発現抑制装置システム。
G) 注入手段は、発現抑制物質を含む溶液をポンプにより予め定める速度で局所領域に注入するものであることを特徴とする上記F)記載の蛋白質発現抑制装置システム。
H) 電気パルス印加手段は、正極用電極及び負極用電極の2つの電極を有し、細胞膜穿孔用の第1の電気パルス、及び、第1の電気パルスよりも電圧値が低く、かつ、パルス幅が長い発現抑制物質細胞内導入用の第2の電気パルスの2種類の電気パルスを電極間に印加するものであることを特徴とする上記F)又はG)記載の蛋白質発現抑制装置システム。
I) 第1の電気パルスの電圧値は50V/cm以上200V/cm以下に、そのパルス幅は0.5m秒以上2m秒以下に設定されると共に、第2の電気パルスの電圧値は1V/cm以上5V/cm以下に、そのパルス幅は1秒以上5秒以下に設定されることを特徴とする上記H)記載の蛋白質発現抑制装置システム。
J) 脳の局所領域における目的蛋白質の発現抑制に使用することを特徴とする上記F)〜I)の何れかに記載の蛋白質発現抑制装置システム。
本発明によれば、簡易な方法により生体の所望の局所領域における目的蛋白質の発現を抑制することができ、従来のノックアウト法と比べて実験動物の作製に費やす労力、時間及び経費を大幅に節減することができる。
また、従来の方法では発生段階から目的蛋白質を欠落させるため、そのような長期的な影響を無視できないのに対して、本発明は、実験開始時に任意の齢の動物に適用することによって目的蛋白質の発現を抑制することができ、ノックアウト後から実験解析までの期間が長期にわたることがない。さらに、局所領域における目的蛋白質の発現のみ抑制することができるため、個体の特定領域に着目した機能解析に非常に有益である。
このように、本発明は、前述した従来のノックアウト法の問題点の多くを克服することができ、神経科学研究など生命科学研究全般に広く利用可能な優れた方法である。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
前述のように、本発明者は、成体ラットの脳限定領域に電気パルスを与え、いわば局所エレクトロポレーション法によってsiRNAを細胞内導入し、局所領域の目的蛋白質の発現を顕著に抑制することに成功した。以下では、本発明者が行ったこの方法を「RISLE(RNAi-induced gene silencing by local electroporationの略)」と称し、詳しく説明することとする。尚、実際に行った実験方法の詳細については、後述の実施例において説明する。
RISLEは、脳限定領域への局所エレクトロポレーションによるsiRNAの導入法として行われた。RISLEの手順は、まず、成体ラットを麻酔し、頭部をステレオタクティクスを使い固定する。その後、皮膚を切開し、頭蓋骨に3箇所穴を穿ち、その中の1箇所から目的の局所領域にハミルトン針を差し入れる。針の後端はチューブを介してマイクロインフュージョンポンプ(microinfusion pump)に接続されている。このマイクロインフュージョンポンプを用いてsiRNAを含む溶液を局所領域に注入する(図2(a)上図参照)。このとき、siRNA含有液をゆっくりとした速度で注入するよう留意する。注入速度が速いと、siRNAが周囲組織にしみ出す恐れがあるからである。実際には、0.2μL/min程度の注入速度で、1時間かけて全量12μLを注入した。
このように、siRNA注入手段は、この場合、針、チューブ及びポンプによって構成され、siRNA含有液は予め定めるゆっくりとした速度で1時間程度かけて局所領域に注入された。さらに1時間程度(即ち、注入開始時から2時間程度)待つと、siRNAは注入部位から所望の局所領域全体に拡散する(図2(a)中図参照)。
次に、局所エレクトロポレーション法(電気穿孔法)によってsiRNAを細胞内導入する。具体的には、まず、頭蓋骨に穿たれた残り2箇所の穴から、それぞれ正極用電極と負極用電極とを挿入する(図2(a)下図参照)。2つの電極は針状に形成され、長さ約2.0mmの先端部を除いて絶縁物質EPICO(日本油脂社製)からなる約5μmの薄膜で被覆されている(図2(b)参照)。2つの電極の間隔は任意に調節可能であり、500μm程度から50mm程度までの任意の幅に変更できる。
図11(a)(b)に示すように、2つの電極間に電位差が与えられ、電流が流れると、両電極間の組織(細胞集団)の細胞膜を一時的に穿孔し、細胞外の物質を細胞内に導入することができる。RISLEでは、図2(c)に示すように、2種類のパルスを組合せた電気パルスを電極間に与えた。第1の電気パルスは細胞膜穿孔用であり、以下「ポアリングパルス(poring pulse)」と称する。第2の電気パルスは細胞外のsiRNAを細胞内に導入するためのパルスであり、以下「ドライビングパルス(driving pulse)」と称する。ドライビングパルスは、ポアリングパルスよりも電圧値が低く、かつ、パルス幅が長いパルスであり、負に帯電した細胞外分子を細胞質へ導入することができる。
図3の(a)〜(d)は、上記ポアリングパルス及びドライビングパルスの電圧値並びにパルス幅について最適な値を調べるために行った実験結果を示すグラフである。Vp・Dpはそれぞれポアリングパルスの電圧値・パルス幅を、Vd・Ddはそれぞれドライビングパルスの電圧値・パルス幅を示す。グラフ縦軸は、脳反対側の対照実験と比較した標的蛋白質発現の割合であり、割合が低いほどパルスによって蛋白質の発現が抑制されている。この結果、(1)ポアリングパルスの電圧値は50V/cm以上200V/cm以下(より好ましくは100V/cm以上200V/cm以下)に、そのパルス幅は0.5m秒以上2m秒以下(より好ましくは1m秒以上2m秒以下)に設定されることが好ましい、(2)ドライビングパルスの電圧値は1V/cm以上5V/cm以下(より好ましくは2V/cm以上5V/cm以下)に、そのパルス幅は1秒以上5秒以下(より好ましくは2秒以上5秒以下)に設定されることが好ましい、(3)このような2種類のパルスを組合せることによって、従来のエレクトロポレーション法と比べて弱い電圧でも効果的にsiRNAを細胞内導入することができ、強い電圧を印加することによる生体に対するダメージを回避できる、ことがわかった。尚、詳細な実験結果については後述する。
上記2種類のパルスを組合せた電気パルスは、パルス発生手段(図示せず)により10秒間隔で5回程度、両電極間に与えられた。尚、ポアリングパルスとドライビングパルスとの間隔は、過度に長く設定しない限りにおいて、任意の値に設定すればよい。
このように、電気パルス印加手段は、本RISLEにおいて、2つの電極及びパルス発生手段によって構成され、2種類のパルスを組合せた電気パルスを印加して両電極間の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、siRNAを細胞内に導入する。実際、本RISLEによって局所領域において標的mRNAの発現が顕著に減少すると共に、標的蛋白質の発現の顕著な減少が観察された(図3(e)、図4〜図6参照)。siRNAの導入によって、標的蛋白質以外の類似蛋白質、関連蛋白質の発現への影響は見られなかった(図4及び図5参照)。また、アポトーシスなどの細胞死も起こらなかった(図7及び図8参照)。さらに、得られた局所ノックアウトラットは、神経伝達物質放出変化を調べる生化学的実験や、シナプス長期増強(LTP)・シナプス長期抑圧(LTD)を調べる電気生理学的実験に適用可能であり、いずれの実験結果も従前の知見とよく符合するものであった(図9及び図10参照)。尚、各実験の詳細な結果については後述する。
以上のように、本RISLEによって簡易かつ効果的に生体局所領域における目的蛋白質の発現を抑制できることが実験結果により裏付けられた。ここで、従来方法と比較した本RISLEの利点を列挙すれば、以下のとおりである。
(1)従来のノックアウト法は、胎生期から継続して目的蛋白質の発現が抑制されるため、実験開始時までに目的蛋白質の欠失が他の蛋白質の発現や機能に影響を及ぼすような場合は、得られた結果は目的蛋白質のノックアウトによるものか、影響を受けた他の蛋白質によるものかが不明である。
これに対して、RISLEでは、実験開始時に目的蛋白質をノックアウトするので他の蛋白質への影響が殆どなく、純粋に目的蛋白質の機能を調べることができ、任意の齢の任意の領域での解析が可能である。
(2)従来のノックアウト法では、標的遺伝子のノックダウンによって実験動物が出生前または発達期に死亡してしまうことが少なくなく、個体レベルでの実験が不可能な場合があった。
しかし、RISLEでは、このような場合でも、成体になってから標的遺伝子をノックダウンさせることによって目的蛋白質の機能解析が可能である。
(3)従来のノックアウト法では、通常、全身にわたって目的蛋白質の発現が抑制されるため、生体の局所領域に着目して実験を行う場合、標的遺伝子のノックダウンによって生体の他の部分に生じた影響が目的の局所領域に及んでいる危険性がある。
しかし、RISLEでは、目的の局所領域のみでの蛋白質の機能を調べることができる。
(4)従来のノックアウト法では、実験動物が殆どマウスに限定され、他の実験動物の使用が困難であり、ヒトに応用することもできないので、治療などに臨床応用することもできない。
これに対して、RISLEの場合、対象動物種は特に限定されるものではなく、例えばカエルなどに適用してもよいし、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラット、ペレット、サルなどの哺乳動物に適用してもよい。また、疾患原因遺伝子の発現を抑えるsiRNAをRISLEによって導入するなど、ヒトに対する治療などへの応用も可能である。
(5)従来のノックアウト法は、通常、ノックアウト動物の作出に多大な時間、労力および経費を必要とする。
これに対して、RISLEでは、簡易な方法により生体局所領域における目的蛋白質の発現を抑制することができ、従来のノックアウト法と比べて実験動物の作製に費やす労力、時間及び経費を大幅に節減することができるため、多種の目的蛋白質の解析が可能である。
また、アデノウイルスなどのウイルスをベクターに使用する従来方法では、さらに細胞死、抗体産生(免疫反応)、実験者への感染の危険などの問題があるが、RISLEにはこのような危険が存しない。例えば、脳など生体局所領域へのsiRNAのみの導入は、現在、組換え遺伝子実験計画の承認を必要としない取扱いになっており、RISLEは通常の実験室でも使用可能である。
RISLEは、このように、遺伝子機能解析の研究において有力な解析方法を提供するものである。例えば脳限定領域の標的遺伝子のみノックダウンさせるといった実験手法は、神経科学研究において極めて有用である。また、RISLEは、局所領域の目的蛋白質の発現のみ抑制する簡易な方法を提供するものであるので、個体レベルでの遺伝子機能解析が容易になり、疾患モデル動物の作製も容易になる。得られたモデル動物は、生化学的解析、電気生理学的解析、行動観察など各種研究への利用が期待できる。
さらに、治療などへの応用も可能である。例えば、脳限定領域において疾患原因遺伝子の発現を抑制することによって、パーキンソン病やアルツハイマー病など各種神経疾患の治療に利用することが考えられる。また、がん細胞の特定遺伝子をノックアウトさせ、がん細胞を死滅させることによって局所的ながん治療に利用することが考えられる。
以上、RISLEについて説明したが、本発明は、上記実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記RISLEでは、siRNAを細胞内導入することによって目的蛋白質の発現を抑制したが、目的蛋白質の発現を選択的に抑制し得る物質であって、かつ、エレクトロポレーション法により細胞内導入可能なものであれば、siRNA以外の物質を導入してもよい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子化合物などが例示される。発現抑制物質は、遺伝子の転写から、スプライシング,翻訳、翻訳後修飾までの一連の蛋白質生産過程の何れかのプロセスを阻害し、目的蛋白質の発現を抑制するものであればよい。
もっとも、siRNAは効果的に目的蛋白質の発現を抑制することができるので、発現抑制物質としてsiRNAを使用することは好ましい。
また、上記RISLEは、脳限定領域における目的蛋白質の発現を抑制するものであったが、解析対象とする器官・組織は特に脳に限定されるものではなく、その他の器官・組織、例えば、肝臓、腎臓、筋肉組織などに本発明を使用してもよい。もっとも、本発明の方法は、局所領域における機能解析に適しており、機能分化が進んだ器官・組織ほど有用性が高いといえるため、脳などの機能分化が進んだ器官・組織の解析に本発明を利用することは好ましい。
本発明の蛋白質発現抑制装置システムは、前述のように、生体局所領域における目的蛋白質の発現を抑制する装置システムであって、(1)目的蛋白質の発現抑制を招来する発現抑制物質を局所領域に注入する注入手段と、(2)電気パルスを印加して局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、発現抑制物質を細胞内に導入する電気パルス印加手段とを備えた構成であればよく、注入手段および電気パルス印加手段は装置として一体化されていてもよいし、装置としては別体であってもよい。
例えば、注入手段は、前述のような、siRNA含有液を局所領域に注入する針、チューブ及びポンプによって構成することができる。このようにsiRNAを注入する場合は、少なくとも針及びチューブについては抗RNase処理を施したものであることが好ましい。
電気パルス印加手段は、前述のように、例えば2つの電極及びパルス発生手段によって構成することができる。電極は、解析対象の領域など用途に応じて取り替え可能な様々な大きさ形の電極を用意しておくとよい。また、先端部を除いて電極を薄膜の絶縁物質で被覆するため、被覆用の絶縁物質(例えば前記EPICO)を備えた構成であってもよい。さらに、パルス発生手段は、所望の様々な形状のパルスを簡易に発生できる構成のものが好ましい。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。尚、各実施例における詳しい実験方法については、最後の項においてまとめて説明する。
〔実施例1:培養細胞における標的蛋白質の発現に対するsiRNAの効果〕
まず、神経細胞に発現する2つの既知蛋白質GluR2及びCox-1に対するsiRNAを作製した(以下、それぞれ「iRGluR2」、「iRCox-1」という。作製方法については後述する)。これらsiRNAが、標的蛋白質の発現を抑制するか調べるために、GFPプラスミドをsiRNAと同時に海馬培養細胞に導入した。免疫細胞化学染色法により調べた結果、GFPプラスミドとともにiRGluR2または iRCox-1が導入された神経細胞は、それぞれ選択的にGluR2または Cox-1の免疫活性を低下させたが、それぞれの別の蛋白質の発現には影響がなかった。また、GFPプラスミド単独を導入した場合では、両蛋白質の発現に影響はなかった(図1)。この結果、作製したsiRNAはいずれも標的遺伝子の発現抑制に有効であることが示された。
〔実施例2:電気刺激パルスの最適パラメータの設定〕
RISLEでは、局所エレクトロポレーションにおいて、先行のポアリングパルス(poring pulse)と、後続のドライビングパルス(driving pulse)とから構成される電気刺激パルスを使用した(図2(c))。
Vp及びDpをポアリングパルスの電位および持続時間、Vd及びDdをドライビングパルスの電位および持続時間として、各値の最適なパラメータをGluR2ノックダウンラットを使って決定した。その結果が図3(a)〜(d)に示される。
初期実験により、最適パラメータは、Vp≧100V/cm、Dp=1m秒、Vd≧2V/cm、Dd=2秒と推定された。はじめに、Dp=1m秒、Vd=2V/cm、Dd=2秒に固定した上で、Vpの値を変化させてみたところ、100と200V/cmが最も効果的にGluR2の発現を抑制することが分かった。Vp=10V/cmでは、効果が少なかった。Vp=100V/cm、Vd=2V/cm、Dd=2秒と固定して調べた限りでは、Dpの有効な値にはさほどの差はなかったが、2m秒が最も有効であると推量された。
次に、ポアリングパルスをVp=100V/cm、Dp=1m秒と固定し、ドライビングパルスのVdとDdを変化させた。Dd=2秒の固定では、Vdは2V/cmが、Vd=2V/cmの固定ではDdは2秒以上が最適であった。Dd=0.5秒は効果がわずかなものであった。
〔実施例3:mRNAレベルでのRISLEの効果〕
RISLEのmRNAレベルでの効果を確認するために、定量リアルタイムPCR法により、刺激電極間の組織の一部から抽出したmRNAを逆転写法により、cDNAに変換した上で、定量した。それぞれのsiRNAは、エレクトロポレーション1日後でも約半分のmRNAレベルまで発現を低下させた(図3(e))。3−6日後にはCox-1およびGluR2のcDNAを極端に低いレベルにまで低下させた。この結果は、siRNAを使用したRNAiの効果が、mRNAレベルに対して迅速であり強力なものであることを示すものである。
〔実施例4:RISLEは標的蛋白質以外の蛋白質の発現に影響を及ぼさない〕
RISLEの効果が標的蛋白質に対して特異的であるか調べるために、RISLE後に、大脳皮質視覚野における、類似蛋白質を含む標的蛋白質以外の蛋白質発現レベルを調べた。
発現を検討した標的蛋白質以外の蛋白質としては、GluR2・Cox-1のほか、Cox-2、GluR1、NR1、GRIP1、GRIP2、tubulin(コントロール)などである。解析結果が図4及び図5に示される。これらの図に示されるように、標的siRNAを用いてRISLEを行ったとき、標的蛋白質レベルは著明に減少したが、GluR1、NR1、GRIP1、GRIP2、tubulinなど他の蛋白質の発現レベルには影響がなかった。この結果、RISLEの効果は標的蛋白質特異的であり、RISLEにより標的蛋白質の発現が減少しても、非標的蛋白質の発現は変化しないことが示された。
〔実施例5:RISLEにより影響が及ぶ領域〕
RISLEの効果が局所領域に限定されるか、それより広い領域に及ぶかを調べるために、iRGluR2やiRCox-1をエレクトロポレーションにより導入して6日後に免疫組織染色を行った。その結果、RISLEの効果は、RISLEの行われた領域に限定していた。発現の低下した領域は、約1−2mm幅で(図6(a)(c)(d))、かつ、5mm幅の電極間の全ての領域に及んでいた(図6(b)。電極を刺入した場所が矢印で示される)。
RNAiの効果はsiRNAを投与した場所の周囲が、特に強力であった。また、海馬CA1領域を標的領域としてRISLEを行ったとき、標的領域が比較的深部にあるにもかかわらず、海馬CA1領域の錐体細胞における標的蛋白発現を低下させることに成功した(図6(c)(d))。
〔実施例6:RISLEは病的変化を起こさない〕
エレクトロポレーションにおける強大な電気刺激パルスは、細胞に病的変化をもたらすので、RISLEが行われた組織に細胞死が起こっていないかを調べた。アポトーシスにより死にかけている細胞はその核においてTUNEL陽性になる。アクチノマイシンD(AcD)がアポトーシスを引き起こすことが知られているが、それをポジテブコントロールとして大脳皮質視覚野に投与したとき、その注入領域周囲にアポトーシスが起こっていたが、その反対側にRISLEのみを行ったところは、アポトーシスは起きなかった(図7)。
一方、過剰のグルタミン酸を投与したときにも、神経細胞にアポトーシス/ネクローシスが起こり、プロピウムイオダイド(PI)が細胞内に入り込み、核に結合する。グルタミン酸を大脳皮質視覚野に投与したとき、グルタミン酸注入部位の周囲に著明な細胞死が観察されたが、RISLEを行った反対側は殆ど異常がなかった(図8)。
〔実施例7:グルタミン酸放出の解析〕
グルタミン酸受容体であるGluR2の細胞内分布は、シナプス後部に限局している。RISLEにより作製されたGluR2ノックダウンラットのシナプスはグルタミン酸放出のような機能に異常が生じていないか検討するために、KClまたはBDNF刺激によるシナプスニューロゾームからのグルタミン酸放出が測定された。
上記実験結果が図9に示されるが、GluR2ノックダウンラットのKClまたはBDNF刺激によるシナプスニューロゾームからのグルタミン酸放出は、反対側のコントロールと同様であった。この結果は、シナプス終末からのグルタミン酸放出のようなシナプス前部の機能は、GluR2発現をノックダウンしたときも影響を受けないことを示すものであり、過去のGluR2ノックダウン実験の結果とも一致するものであった。
〔実施例8:RISLEを行った組織における電気生理学的記録〕
RISLEにより作製されたGluR2ノックダウンラットから正常な電気生理学的反応が得られるか検討した。その結果が図10に示される。
過去のGluR2ノックダウン実験では、GluR2ノックアウトマウスにおけるシナプス長期増強(LTP)は野生型のものより増大しており、通常のシナプス伝達は非常に減弱していたが、シナプス長期抑制(LTD)には影響がなかった。同様に今回の実験結果も、GluR2ノックダウンラットでのin vivoのLTPは約150%にまで増大しており、通常のシナプス伝達は非常に減弱していたが、in vivoのLTDには影響がなかった(図10上段)。
次に、RISLEのin vitroにおける電気生理学的反応を調べるために、RISLEによりiRGluR2を導入した大脳皮質視覚野の急性スライスにおけるLTP及びLTDを調べた。
GluR2をノックアウトさせた過去の研究結果では、大脳皮質視覚野におけるin vitroのLTPはコントロールに比べて増大するが、in vivoの場合と異なり、in vitroの場合はLTDの発生が認められる。同様に今回の実験結果も、RISLEによりiRGluR2を導入した大脳皮質視覚野におけるin vitroのLTPは約150%にまで増大しており、in vitroにおいてはLTDも認められた(図10下段)。
尚、このようにin vivo とin vitroとの間でLTDの有無に差異が生ずるのは、in vitroの場合は内在性BDNFが機能しないためと考えられる。
以上のように、今回の実験結果は過去のノックアウト実験の結果とよく符合するものであり、このことは、RISLEにより作製した遺伝子ノックアウト動物が電気生理学的実験などに十分利用可能であることを示すものである。
〔実験方法〕
初代培養、免疫細胞化学染色およびsiRNAの導入
胎生18日のSDラットの海馬から得られた細胞は、37℃で3時間培養され、最初の培養液はB27、0.5mMグルタミン、100単位/mlペニシリンと100μg/mlストレプトマイシンを含むニューロベーサル液に交換された。11日後、培養細胞に、pGFP単独、pGFP+iRGluR2、またはpGFP+iRCox-1がリポフェクタミンを用いて導入された。4日後、カバーガラス上の細胞は室温で4%パラフォルムアルデヒド10分間投与により固定されてから、0.2%トリトンX-100の10分間投与により細胞膜透過可能にした。その後、細胞に10%ヤギ血清が投与され、一次抗体が4℃で一晩投与された。一次抗体の希釈率は以下のとおりである。ニワトリ抗GFP抗体1:2000、マウス抗Cox-1抗体1:200、ウサギ抗GluR2抗体1:200。PBSで洗浄後、細胞はFITC, Texas redまたはCy5の結合した二次抗体を室温で1時間投与された。洗浄後、細胞の蛍光信号はコンフォーカル顕微鏡により観察された。
動物の取扱いおよび実験は大阪大学医学部動物取扱い委員会の規定に遵守して行われた。
siRNAの作製
iRGluR2およびiRCox-1に対する標的siRNAを選択すると共に、その配列の特異性を確認するために、NCBIおよびNCBI nucleotide BLASTを参考にした。4種の部位をそれぞれの標的に選び、次のようなオリゴヌクレオチド鋳型を用いた。(配列表の配列番号1〜16にも各塩基配列が示される。)
iRGluR2a (sense):AAGGGGCGCTGATCAAGAATACCTGTCTC,
iRGluR2a (antisense):AATATTCTTGATCAGCGCCCCCCTGTCTC,
iRGluR2b (sense):AACAGTTTCGCAGTCACCAATCCTGTCTC,
iRGluR2b (antisense):AAATTGGTGACTGCGAAACTGCCTGTCTC,
iRGluR2c (sense): AAGGAGCACTCCTTAGCTTG ACCTGTCTC,
iRGluR2c (antisense):AATCAAGCTAAGGAGTGCTCCCCTGTCTC,
iRGluR2d (sense):AAGCTGTTCTGGATTCTGCTGCCTGTCTC,
iRGluR2d (antisense): AACAGCAGAATCCAGAACAGCCCTGTCTC,
iRCox-1a (sense): AACCCAGGGTGTCTGTGTCCGCCCTGTCTC,
iRCox-1a (antisense): AAGCGGACACAGACACCCTGGCCTGTCTC,
iRCox-1b (sense): AACTGTACTATCCCTGAGATC CCTGTCTC,
iRCox-1b (antisense): AAGATCTCAGGGATAGTACAGCCTGTCTC,
iRCox-1c (sense): AAGTACTCATGGGCTGGGTACCCTGTCTC,
iRCox-1c (antisense): AAGTACCCAGCCCATGAGTACCCTGTCTC,
iRCox-1d (sense): AACCTACAACACAGCACATGACCTGTCTC,
iRCox-1d (antisense): AATCATGTGCTGTGTTGTAGGCCTGTCTC
キットを使用して、オリゴヌクレオチド鋳型はアニールされてから、クレノーDNAポリメラーゼにより充たされた。これらの2本鎖オリゴヌクレオチド鋳型はT7RNAポリメラーゼにより転写され、ハイブリダイズされた。RNase処理後、4種の混在iRGluR2またはiRCox-1が実験に使われた。
siRNA投与およびエレクトロポレーション
生後15−20日のSDラットが実験に用いられた。ラットを麻酔後、3個の隣接する直径2mmの穴を頭蓋骨に歯科用ドリルで開けた(図2(a))。まん中の穴はsiRNA注入用で、他の二つはエレクトロポレーションの電極用である。脳固定による部位決定は次のようにして行われた。大脳皮質視覚野:大泉門から後方へ3.8−4.0mm、中心線から側方へ1.5−2.0mm、0.5−0.6mmの深さ。海馬CA1領域:大泉門から後方へ3.8−4.0mm、中心線から側方へ1.5−2.0mm、2.5−2.8mmの深さ。
エレクトロポレーション刺激電極を作製するために、1対の平行刺激電極の先端部を除く部位に絶縁体であるEPICOを塗布した。この絶縁体は、先端2mm以外で約5ミクロンの厚みを持つ(図2(b))。これを塗布することにより、組織への損傷をできるだけ軽減し、目的領域の大きさや形状に適応させることができる。5mm幅を持つ両電極が組織に刺入された。電気刺激パルスは、アイソレーターを介して電気刺激発生装置から作られ、オシロスコープで観察された。
実験では、高電位かつ短持続時間の先行のポアリングパルスと、低電位かつ長持続時間の後続のドライビングパルスとを組合せた電気パルスを使用した(図2(c))。
ウエスタンブロットによる解析
顕微鏡下、ヘパリン含有冷却PBSの中で、siRNA注入部位を含む組織が2mm立方に切り取られた。この組織は、25mM HEPES, 150mM NaCl, 1mM EDTA, 1% TritonX-100, 適当量のComplete protein inhibitor(Roche社)と0.7μg/ml pepstatinを含む300μLの溶解溶液中、氷上で2ml用ガラスシリンジで15回ストロークによりホモジナイズされた。その後、30分間、4℃で震盪された。15600gで遠心分離後、その上澄液はウエスタンブロット解析に、その一部はBio-Rad protein assayを用いた蛋白質濃度解析に用いられた。3分間の煮沸後、62.5mM Tris-HCl(pH6.8), 19% glycerol, 2.3% SDSおよび0.01% bromophenol blue中の上澄液は、SDS−PAGEで分離され、ニトロセルロース膜に転写された。このニトロセルロース膜は、0.1% Tween20を含むPBS(T−PBS)中の5%スキムミルクで処理された後、2時間、T−PBS中の一次抗体中で震盪された。一次抗体の希釈率は次のとおりである。抗GluR1 1:500、抗GluR2 1:500、抗NR11: 500、抗Cox-1 1:200、抗Cox-2 1: 200、抗GRIP1 1: 200、抗GRIP2 1:200、抗α-tubulin 1: 5000。T−PBSで3回洗浄後、ニトロセルロース膜はペロキシダーゼと結合した抗マウス、抗ウサギまたは抗ヤギ二次抗体に1時間処理した。4回T−PBSで洗浄後、ECL-Western blotting detector reagentで信号を発現させた。
cDNAの作製および定量リアルタイムPCR
RISLEを行った部位および反対側の組織を取り出し、RNAの分解を抑制する働きのあるRNAlater液中に−80℃で保存した。この組織はメスにより細断された。それから、断片化された組織は冷却溶解溶液中に入れられ、20ゲージ針に通すことによりさらに細断片化した。その後キットを使用して、全RNAは抽出された。
cDNA作製のため、鋳型RNAは、4単位/反応の逆転写酵素、dNTPミックス(5mM 各dNTP)、1μMオリゴdTプライマー、10単位/反応RNase inhibitorを含む反応液中、1時間37℃でインキュベートした。その後、逆転写酵素を不活性化するために、93℃で5分間インキュベートされ、氷中で急冷された。
定量リアルタイムPCRのために、GluR2またはCox-1に対するプライマーとTaqManプローブを設計し、合成した。各配列は次のとおりである。(配列表の配列番号17〜22にも各塩基配列が示される。)
TaqMan probe for Cox-1: CCGCATCGCCATGGAATTCAACC,
5’ primer for Cox-1: CGAGCCCAGTTCCAGTATCG,
3’ primer for Cox-1: TGAACGGATGCCAGTGATAGAG,
TaqMan probe for GluR2: TGCATTCAGCCAGTCCTCGGGAC,
5’ primer for GluR2: ATGGGAGGGTGCTGATATTCC,
3’ primer for GluR2: AGTTGTAGCTGGTGGCTGTTGA
TaqManプローブは、リポーターとして5’末端にFAMを、クエンチャーとして3’末端にTAMRAを持つ。内在性コントロールとして、TaqMan rodent GAPDHコントロールが使われた。TaqMan universal PCR master mix中の鋳型cDNAは、ABI PRISM 7900HT sequence detection systemを使って増幅された。PCRランの条件は次のとおりである。50℃2分、95℃10分、95℃15秒を40回繰り返した後、60℃1分、25℃で保存。データは、Comparative CTで、GAPDHからのデータでノーマライズした。
免疫組織染色
麻酔後、ラットはPBS中の4%パラフォルムアルデヒドを心臓から循環させて固定し、脳を取り出しPBS中の10%スクロースで処理した。組織は、凍結ミクロトームで60−80ミクロンに切片化された。その後、PBS中の0.2% TritonX-1005分間投与により細胞膜を透過化した。PBS中の5%スキムミルクでブロッキングを行い、切片は抗GluR2抗体または抗Cox-1抗体を24−48時間投与し、ペロキシダーゼが結合した二次抗体でインキュベートした。視覚化はDAB基質と反応させることにより行った。
細胞死の評価
大脳皮質視覚野のグルタミン酸およびAcD投与部位は脳固定法により決定し、その反対側でRISLEによる局所エレクトロポレーションを行った。5日後、アポトーシス解析のために、固定、切片化、細胞膜透過化および視覚化を免疫組織染色の項に述べられている方法と同様に行った。In situ cell death detection kitを用いて、カバーガラス上の切片はfluorescein-12-dUTPと37℃1時間インキュベートした。洗浄後、切片はHRPと結合した抗fluorescein抗体とインキュベートした。
PI取り込み実験では、注入部位を含む大脳皮質視覚野組織が取り出され、95% O2-5% CO2が飽和した人工CSF(124 mM NaCl, 5 mM KCl, 1.2 mM KH2PO4, 1.3 mM MgSO4, 2.4 mM CaCl2, 10 mM glucose)に入れられた。組織はロータースライサーにより400ミクロンの厚さの冠状断に切片化された。その後、5μg/mlのPIを含む人工CSF中でインキュベートされた。
シナプスニューロゾームの作製およびグルタミン酸の放出の測定
RISLEを行った側と反対側の大脳皮質視覚野組織は、125 mM NaCl, 5 mM KCl, 1 mM MgCl2, 1.2 mM Na2HPO4, 10 mM glucose, および20 mM HEPES/NaOH (pH 7.4)を含む溶液中で、ガラス−ガラスホモジナイザーを用いて、氷上で緩やかにホモジナイズされた。これらの溶解液は、直径100ミクロン穴を持つナイロンメッシュの2重膜および5ミクロンのフィルターに順次、通過させた。その後、1000gで4℃、10分遠心分離を行った。
シナプトニューロゾームからのグルタミン酸の放出は、酵素とカップリングさせた蛍光アッセイの変法により行われた。浮遊した状態のシナプトニューロゾームは37℃で撹拌させた状態で、1 mM NADP, glutamate dehydrogenase(50単位/ml),および1 mM CaCl2を加えた。3分後、30 mM KClまたは200 ng/ml BDNFをこの溶液に加えた。蛍光の経時的変化は、340nm(exitation)および460nm (emission)でスペクトロフルオロメーターで測定された。
In vivoにおける電気生理学的実験
外側膝状体(LGN)を刺激するために、バイポラーの刺激電極を脳位固定法により、正中線に平行な位置で、かつ、エレクトロポレーション電極挿入用の穴よりも1.0−1.5mm前方に挿入した。記録に最適な電極先端の深度は、LGNと反対側の眼に閃光に対する最大のフィールド反応が得られる場所を探し出すことにより決められた。大脳皮質のフィールド電位のモノポラー電極による記録は、シングルバレルのボロシリケートのガラスマイクロピペットに3M NaClを充填したものを、エレクトロポレーション用の穴から1.0−2.0mm前方の脳膜下垂直に0.5mmに下ろすことにより、大脳皮質2/3層に置くことにした。
フィールド電位は、過去に行ったように、0.2m秒の持続時間で0.2−0.9mAの強さの単一刺激により誘発された。誘発反応は増幅され、0.1−3kHzでフィルター化され、20kHzでデジタル化された後、PowerLabソフトウエアでデータを蓄積された。実験に用いる刺激の強さを決めるために、全インプット−アウトプットカーブが調べられた。最大反応の50−60%の電位振幅が、実験に用いられた。
In vitroにおける電気生理学的実験
ラットに麻酔を行ってから、エレクトロポレーション電極挿入部位の間の大脳皮質視覚野領域を迅速に取り出し、冷却され、95% O2-5% CO2で飽和された人工CSFに入れられた。組織はロータースライサーにより400ミクロンの厚さの冠状切片に切断され、室温で1時間以上インキュベートされた。フィールド電位記録には、0. 5 M sodium acetateと2% pontamine sky blueを充填したガラスマイクロピペットを2/3層に挿入し、一方、バイポラーの刺激電極は切片の厚さの中心部に挿入された。0.2m秒の持続時間で15−300μAの強さの刺激による誘発電位は増幅され、0.1−3kHzでフィルター化され、20kHzでデジタル化された。In vivoおよびin vitroにおけるTB刺激およびLFSは、それぞれ、10m秒の持続時間で100Hz4回のパルスを5Hzで10回刺激したものを更に0.1Hzで5回刺激したものと、0.2m秒の持続時間で1Hz15分間刺激したものとを用いた。
以上のように、本発明は、遺伝子機能解析の研究において有力な解析方法を提供するものである。例えば脳限定領域の標的遺伝子のみノックダウンさせるといった実験手法は、神経科学研究において極めて有用である。また、本発明は、局所領域の目的蛋白質の発現を抑制する簡易な方法を提供するので、個体レベルでの遺伝子機能解析が容易になり、疾患モデル動物の作製も容易になる。得られたモデル動物は、生化学的解析、電気生理学的解析、行動観察など各種研究に利用できる。
さらに、治療などへの応用も可能である。例えば、脳限定領域において疾患原因遺伝子の発現を抑制することによって、本発明はパーキンソン病やアルツハイマー病など各種神経疾患の治療への利用可能性を有する。また、がん細胞の特定遺伝子をノックアウトさせ、がん細胞を死滅させることによって、本発明は局所的ながん治療への利用可能性を有する。
GluR2およびCox-1に対するsiRNA(iRGluR2およびiRCox-1)を作製し、そのRNAiの効果を確認した実験結果を示す図である。実験は、リポフェクション法により、ラット海馬培養神経細胞にGFPプラスミド(pGFP)単独(上段)、pGFP+iRGluR2(中段)、pGFP+iRCox-1(下段)を導入した後、抗GluR2、抗Cox-1および抗GFP抗体を用いた三重免疫染色法により、標的蛋白質の発現が抑制されるか検討した。上段pGFPのみを導入した場合、GluR2およびCox-1とも発現している。中段pGFP+iRGluR2を導入した場合、GluR2は染色されず、Cox-1のみが発現していることが分かる。下段pGFP+iRCox-1を導入した場合は、逆に、Cox-1は染色されず、GluR2のみが発現していることが分かる。この結果、作製したsiRNAの効果が確認されたので、以下のRISLEの実験に使用された。 本発明の実施の一形態に係る方法RISLEについて説明する図である。(a)麻酔下のラットの脳を固定し、極細針を目的の脳領域に刺入させた後、siRNAを微量注入ポンプを用いて投与する(上段)。針を抜いた後、約1時間待つとsiRNAは脳組織四方に拡散していく(中段)。注入部位をはさんで、電極を刺入させ、エレクトロポレーションを行う(下段)。(b)エレクトロポレーション用電極先端の模式図。標的領域の大きさに応じて、絶縁作用を持つEPICOの塗布を調節する。図中、斜線は針の先端部を示すものである。(c)電気刺激は、大きな電位(Vp)で短い持続時間(Dp)の先行するポアリングパルスと、小さな電位(Vd)で長い持続時間(Dd)の後続するドライビングパルスとを組合せた矩形波を用いた。ポアリングパルスは細胞膜に穴を開け、ドライビングパルスは細胞外のsiRNAを細胞内へ移行させる作用がある。 (a)〜(d)は、RISLEにおける最適電気パルスについて検討した結果を示すグラフである。実験では、iRGluR2を用いてRISLEを行った後、GluR2の発現をウエスタンブロット法で調べ、反対側のコントロールと比較した。(a)Dp=0.5m秒、Vd=2V/cm、Dd=2秒を固定した状態で、ポアリングパルスのVpを変化させた結果、最適な値は100−200V/cmであった。(b)Vp=100V/cm、Vd=2V/cm、Dd=2秒を固定した状態で、ポアリングパルスのDpを変化させた結果、最適な値は0.5−2m秒であった。(c)Vp=100V/cm、Dp=0.5m秒、Dd=2秒を固定した状態で、ドライビングパルスのVdを変化させた結果、最適な値は2V/cm以上であった。(d)Vp=100V/cm、Dp=0.5m秒、Vp=2V/cmを固定した状態で、ドライビングパルスのDdを変化させた結果、最適な値は2秒以上であった。この結果、Vp=100V/cm、Dp=0.5m秒、Vd=2V/cm、Dd=2秒のパラメータを最適条件として、以下の実験に使用した。(e)は、定量リアルタイムPCR法により、RISLEのmRNAレベルでの発現抑制効果を調べた結果を示すグラフである。GluR2(破線)およびCox-1(実線)とも、エレクトロポレーション後1日で約50%抑制され、6日後では約80%抑制された。 RISLEの標的蛋白質およびそれ以外の蛋白質に対する発現抑制効果をウエスタンブロット法により検討した結果を示す図である。iRCox-1またはiRGluR2をRISLEにより大脳皮質視覚野に導入し(+)、5−6日後に反対側のコントロール(−)と共に、ウエスタンブロット法によりCox-1、Cox-2、GluR2、GluR1、NR1、GRIP1、GRIP2およびTubulinの発現を比較した。iRCox-1またはiRGluR2のRISLEによる効果は、標的特異的であった。 上記ウエスタンブロット法による実験結果をまとめたグラフである。 (a)〜(d)は、iRCox-1またはiRGluR2をRISLEにより導入後、5−6日後に脳組織切片を作成し、免疫組織染色法により発現抑制の効果を調べた結果を示す図である。*印はRISLEを行った部位を示す。中段および下段は、それぞれ、RISLE側および反対側の拡大写真であり、VC:大脳皮質視覚野、Hip:海馬である。コントロール側と比べて、RISLEを行った側では著明に標的蛋白質の発現が抑制されている。 RISLEにより、組織に病的変化がもたらされるか検討した結果を示す図である。アクチノマイシンD(AcD)はアポトーシスを引き起こすことが知られている。麻酔下ラットを固定し、大脳皮質視覚野にAcDを投与し、反対側のRISLEのみを行った部分と共に、TUNEL法によりアポトーシスが起こっているか調べた。アポトーシスを起こした細胞はTUNEL法により染色される。 図7と同様に、RISLEにより、組織に病的変化がもたらされるか検討した結果を示す図である。グルタミン酸を過剰投与すると、神経細胞はアポトーシスやネクローシスなどの細胞死を引き起こすことが知られているので、グルタミン酸を投与後、さらにpropium iodide(PI)を投与した。PIは、生存細胞の細胞膜を貫入しないが、細胞膜の機能が破たんした細胞膜は貫通し、核を染める。図7および図8の結果から、ポジティブコントロール(AcD、グルタミン酸)と比べて、RISLE側ではダメージを受けていないことが分かる。 RISLEにより作製したGluR2ノックダウンラットを用いた生化学的実験の結果を示す図である。ラット大脳皮質視覚野にiRGluR2をRISLEにより投与してGluR2ノックダウンラットを作製し、RISLE側(●)と反対のコントロール側(○)とからニューロシナプトゾームを抽出し、KClまたはBDNF投与によるシナプス前部からのグルタミン酸放出の増大を調べた。この結果、RISLE側とコントロールとでは有意な差は認められなかった。上段は実験結果の一例、下段は実験結果をまとめたグラフである。 RISLEにより作製したGluR2ノックダウンラットを用いた電気生理学的実験の結果を示す図である。GluR2ノックダウンラットを用いて、in vivoおよびin vitroにおけるLTPとLTDを調べた。TB(theta-burst)およびLFS(low-frequency stimulation)は、それぞれ、LTPおよびLTDを誘発する一般的な刺激である。TBにより、RISLE側(+)とコントロール側(−)で、in vivoおよび in vitroでLTPが見られる。RISLE側では、コントロール側に比べて更に大きなLTPが見られた。LTDはin vivoではRISLE側(+)とコントロール側(−)ともに認められないが、in vitroではいずれの場合でも認められた。左側は波形の一例、右側は実験結果をまとめたグラフである(RISLE側(●)、コントロール側(○))。 (a)(b)は、エレクトロポレーション法により局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔することを説明する図である。

Claims (10)

  1. 生体の局所領域における目的蛋白質の発現抑制方法であって、電気穿孔法により局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、目的蛋白質の発現抑制を招来する発現抑制物質を細胞内に導入することを特徴とする蛋白質発現抑制方法。
  2. 発現抑制物質としてsiRNAを細胞内に導入することを特徴とする請求項1記載の蛋白質発現抑制方法。
  3. 電気穿孔法において、細胞膜穿孔用の第1の電気パルス、及び、第1の電気パルスよりも電圧値が低く、かつ、パルス幅が長い発現抑制物質細胞内導入用の第2の電気パルスの2種類の電気パルスを組合せて使用することを特徴とする請求項1又は2記載の蛋白質発現抑制方法。
  4. 第1の電気パルスの電圧値を50V/cm以上200V/cm以下に、そのパルス幅を0.5m秒以上2m秒以下に設定すると共に、第2の電気パルスの電圧値を1V/cm以上5V/cm以下に、そのパルス幅を1秒以上5秒以下に設定することを特徴とする請求項3記載の蛋白質発現抑制方法。
  5. 脳の局所領域における目的蛋白質の発現抑制に使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の蛋白質発現抑制方法。
  6. 生体の局所領域における目的蛋白質の発現抑制装置システムであって、
    目的蛋白質の発現抑制を招来する発現抑制物質を局所領域に注入する注入手段と、
    電気パルスを印加して局所領域の細胞集団の細胞膜を一時的に穿孔し、発現抑制物質を細胞内に導入する電気パルス印加手段と、
    を備えることを特徴とする蛋白質発現抑制装置システム。
  7. 注入手段は、発現抑制物質を含む溶液をポンプにより予め定める速度で局所領域に注入するものであることを特徴とする請求項6記載の蛋白質発現抑制装置システム。
  8. 電気パルス印加手段は、正極用電極及び負極用電極の2つの電極を有し、細胞膜穿孔用の第1の電気パルス、及び、第1の電気パルスよりも電圧値が低く、かつ、パルス幅が長い発現抑制物質細胞内導入用の第2の電気パルスの2種類の電気パルスを電極間に印加するものであることを特徴とする請求項6又は7記載の蛋白質発現抑制装置システム。
  9. 第1の電気パルスの電圧値は50V/cm以上200V/cm以下に、そのパルス幅は0.5m秒以上2m秒以下に設定されると共に、第2の電気パルスの電圧値は1V/cm以上5V/cm以下に、そのパルス幅は1秒以上5秒以下に設定されることを特徴とする請求項8記載の蛋白質発現抑制装置システム。
  10. 脳の局所領域における目的蛋白質の発現抑制に使用することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の蛋白質発現抑制装置システム。

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