JP2005221307A - 色度計 - Google Patents
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Abstract
【課題】高価な光学フィルタを用いることもなく、比較的簡単な構造によって蛍光の影響を除去可能とした高精度の色度計を提供する。
【解決手段】石油製品等の試料液の透過光を光検出器により検出して前記試料液の色度を測定する色度計において、前記透過光を分光して光検出器144に入射させ、所定の波長範囲のスペクトルを得るための分光光度計14と、光検出器144の出力に基づくスペクトルから、前記試料液が発する蛍光の波長範囲成分を演算により低減するフィルタリング手段22とを備える。ここで、フィルタリング手段22は、例えばコンボリューション処理によって蛍光の影響を除去する。
【選択図】 図1
【解決手段】石油製品等の試料液の透過光を光検出器により検出して前記試料液の色度を測定する色度計において、前記透過光を分光して光検出器144に入射させ、所定の波長範囲のスペクトルを得るための分光光度計14と、光検出器144の出力に基づくスペクトルから、前記試料液が発する蛍光の波長範囲成分を演算により低減するフィルタリング手段22とを備える。ここで、フィルタリング手段22は、例えばコンボリューション処理によって蛍光の影響を除去する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、試料液の色度(明度、彩度、色相等の色度指標からなる)を数値化する色度計に関し、詳しくは、石油製品等が発生する蛍光が色度値に与える悪影響を除去可能とした色度計に関するものである。
一般に、試料液の色を試験する方法としては、例えばJIS K2580−1993年に記載されたセーボルト色試験法、ASTM色試験法等が知られている。これらの方法は、基本的に、人間の目により試料液の色を標準色ガラスと比較して数値化するものである。
ここで、石油製品は、その原料や脱硫等の製造プロセスに起因して蛍光を発することが従来から知られており、上記のJIS K2580−1993年において、刺激値換算法による自動試験器については、著しい蛍光性を有する試料液は蛍光が測定値の誤差要因となるため、適用を除外されている。
ここで、石油製品は、その原料や脱硫等の製造プロセスに起因して蛍光を発することが従来から知られており、上記のJIS K2580−1993年において、刺激値換算法による自動試験器については、著しい蛍光性を有する試料液は蛍光が測定値の誤差要因となるため、適用を除外されている。
一方、色度測定を自動化する要請から、近年では、個々の色度指標に適した波長範囲の光を透過させる色ガラスフィルタ等の光学フィルタを用い、この光学フィルタの透過光を試料液に通過させて光検出器にて受光することにより、試料液の色度を自動的に測定する色度計が提供されている。
図8は、上記従来技術の概略的な構成を示すもので、11は光源、12は紫外線及び赤外線をカットするUV/IRカットフィルタ、15は複数種類の光学フィルタを切替可能としたフィルタユニット、13は石油製品等の試料液が導入される試料セル、16はフォトダイオード等の光検出器である。
この従来技術では、試料液を通過した所定の波長範囲の透過光を光検出器16により受光し、その出力を増幅することにより、試料液の明度等を色度値として測定している。
図8は、上記従来技術の概略的な構成を示すもので、11は光源、12は紫外線及び赤外線をカットするUV/IRカットフィルタ、15は複数種類の光学フィルタを切替可能としたフィルタユニット、13は石油製品等の試料液が導入される試料セル、16はフォトダイオード等の光検出器である。
この従来技術では、試料液を通過した所定の波長範囲の透過光を光検出器16により受光し、その出力を増幅することにより、試料液の明度等を色度値として測定している。
しかるに、深度脱硫した石油製品等の製造過程では、試料液の明度が上がると蛍光の影響が顕著になって測定値に悪影響を与え、公定法による色度値(明度)との間の誤差が大きくなって測定精度が低下する。
上記不都合を解消するには、例えば図8の構成に対しノッチフィルタ等の光学フィルタを追加的に設けて蛍光に相当する波長範囲成分を除去することが有効であるが、この種の光学フィルタは一般に高価であり、色度計のコスト上昇や部品数の増加を招く。
上記不都合を解消するには、例えば図8の構成に対しノッチフィルタ等の光学フィルタを追加的に設けて蛍光に相当する波長範囲成分を除去することが有効であるが、この種の光学フィルタは一般に高価であり、色度計のコスト上昇や部品数の増加を招く。
更に、JIS Z8717−1989年には、蛍光物体色の測定方法が記載されており、この測定方法を実現する光学系を色度計に追加することによって色度値に含まれる蛍光の影響を検出することも考えられる。
しかしながら、この場合には装置全体の構造が複雑になり、大形化が避けられない。
しかしながら、この場合には装置全体の構造が複雑になり、大形化が避けられない。
なお、石油製品の蛍光により発現する色の強さを客観的に評価するために、石油製品の蛍光スペクトルを関係式により数値化して指標値化する石油製品の蛍光色評価方法及びそのための装置が、下記の特許文献1に記載されている。
前述したように従来の色度計に光学フィルタ等のハードウェアを組み合わせて蛍光の影響を除去する方法では、構造が複雑化したりコストが上昇するという問題がある。
また、特許文献1に記載された従来技術によれば、所定の関係式を用いて石油製品の蛍光強度を単独で評価することは可能であるが、その評価結果を色度計に適用する手段については何ら言及されていない。
また、特許文献1に記載された従来技術によれば、所定の関係式を用いて石油製品の蛍光強度を単独で評価することは可能であるが、その評価結果を色度計に適用する手段については何ら言及されていない。
そこで本発明の課題は、高価な光学フィルタを用いることもなく、また、比較的簡単な構造によって蛍光の影響を除去可能とした高精度の色度計を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、試料液の透過光を光検出器により検出して前記試料液の色度を測定する色度計において、
前記透過光を分光して前記光検出器に入射させ、所定の波長範囲のスペクトルを得るための分光光度計と、この分光光度計の出力に基づくスペクトルから、前記試料液が発する蛍光の波長範囲成分を演算により低減するフィルタリング手段と、を備えたものである。
前記透過光を分光して前記光検出器に入射させ、所定の波長範囲のスペクトルを得るための分光光度計と、この分光光度計の出力に基づくスペクトルから、前記試料液が発する蛍光の波長範囲成分を演算により低減するフィルタリング手段と、を備えたものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1において、前記フィルタリング手段が、コンボリューション処理を行う演算手段であることを特徴とする。
本発明によれば、ノッチフィルタ等の高価な光学フィルタを使用せずに、試料液の透過光のスペクトルから蛍光による波長範囲成分を演算によって除去することにより、蛍光の影響を低減させたスペクトルを生成し、このスペクトルに基づいて試料液の色度値を高精度に測定することができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態に係る色度計の主要部を示す概略構成図である。
図1において、11は光源、12は紫外線及び赤外線をカットするためのUV/IRカットフィルタ、13は蛍光を発する軽油等の石油製品が試料液として導入される試料セル、14は分光光度計である。
図1において、11は光源、12は紫外線及び赤外線をカットするためのUV/IRカットフィルタ、13は蛍光を発する軽油等の石油製品が試料液として導入される試料セル、14は分光光度計である。
ここで、分光光度計14は、試料セル13内の試料液を透過してその物性に応じたスペクトルを持つ入射光を反射するミラー141と、このミラー141による反射光が入射してスペクトルに分光し、反射する回折格子142と、この回折格子142からのスペクトルを反射するミラー143と、このミラー143による反射スペクトルが所定位置に入射して各波長の受光量に比例した電気信号(電流)に変換する一次元アレイ形CCD等の光検出器144とを備えている。
次に、図2は、上記分光光度計14(光検出器144)の出力から試料液が発する蛍光の影響を除去したスペクトルを得るための機能を説明する図である。
以下に、その動作を説明する。
以下に、その動作を説明する。
光検出器144の各セルはそれぞれ細分された波長範囲に対応付けられており、各セルの受光量に応じた電気信号はスペクトル検出手段21に入力される。そして、この検出手段21により、図2の下段に示すように透過光のスペクトルが検出される。
この透過光のスペクトルは、試料液が発する蛍光による波長範囲成分を含んでおり、試料液の種類が既知であれば、その波長範囲も既知である。ここでは、蛍光の波長範囲を図示のごとくλ1からλ2までのΔλであるとする。
この透過光のスペクトルは、試料液が発する蛍光による波長範囲成分を含んでおり、試料液の種類が既知であれば、その波長範囲も既知である。ここでは、蛍光の波長範囲を図示のごとくλ1からλ2までのΔλであるとする。
スペクトル検出手段21から出力された検出スペクトルは、後段のフィルタリング手段22に入力される。このフィルタリング手段22では、入力された検出スペクトルから蛍光による波長範囲Δλを除去することにより、蛍光による影響を除去したスペクトルを出力として得る。
ここで、フィルタリング手段22におけるフィルタリングの具体的な方法としては、例えばコンボリューション処理が用いられる。
ここで、フィルタリング手段22におけるフィルタリングの具体的な方法としては、例えばコンボリューション処理が用いられる。
周知のように、計測器等に入力される信号波形は装置関数の影響によってそのまま出力波形とならず、上記装置関数に起因した歪みが出力波形に含まれる。この実施形態におけるコンボリューション処理は、色度計の出力波形に対してフィルタリング関数及び装置関数のたたみ込み積分を行い、妨害因子である蛍光の影響を軽減する演算処理を意味する。
具体的には、フィルタリング関数をh(λ)、色度計の出力波形をx(λ)とすると、蛍光による影響を除去した補正後の出力波形w(λ)は、数式1によって得ることができる。なお、数式1において、λa,λbは、透過光のスペクトルが持つ波長範囲の下限値及び上限値である。
具体的には、フィルタリング関数をh(λ)、色度計の出力波形をx(λ)とすると、蛍光による影響を除去した補正後の出力波形w(λ)は、数式1によって得ることができる。なお、数式1において、λa,λbは、透過光のスペクトルが持つ波長範囲の下限値及び上限値である。
このコンボリューション処理を本実施形態に即して述べると、図2において、蛍光の影響を受けた検出スペクトルが上記出力波形x(λ)に、蛍光による波長範囲Δλの成分が装置関数h(λ)に、また、蛍光の影響を受けない補正スペクトル(試料液の色度を測定するために用いるべき出力スペクトル)すなわち目的とする信号波形が、上記の補正後の出力波形w(λ)にそれぞれ相当する。
従って、目的とする信号波形(出力スペクトル)と、出力波形(検出スペクトル)、装置関数(蛍光による波長範囲Δλの成分)の関係をフーリエ関数等により表して、これを解くことにより、蛍光による影響のない信号波形(出力スペクトル)を求めることができる。
図2におけるフィルタリング手段22は、上述したコンボリューション処理を行って検出スペクトルから蛍光による波長範囲Δλの成分を除去するためのもので、図2の下段に示す如く、波長範囲Δλにわたって透過効率をほぼゼロにしたフィルタに相当する。
図2におけるフィルタリング手段22は、上述したコンボリューション処理を行って検出スペクトルから蛍光による波長範囲Δλの成分を除去するためのもので、図2の下段に示す如く、波長範囲Δλにわたって透過効率をほぼゼロにしたフィルタに相当する。
図3〜図7は、本発明によるフィルタリング処理を行わない場合および行った場合の、試料液の透過光のスペクトル(図3、図6)、公定法(JIS K2580−1993年による)の色度と色度計の色度との関係(図4、図7)、前記フィルタリング手段22の遮断特性(図5)を示している。
なお、試料液としては、約300[nm]〜700[nm]の波長範囲のスペクトルを持つ軽油を使用した。
なお、試料液としては、約300[nm]〜700[nm]の波長範囲のスペクトルを持つ軽油を使用した。
図3は、フィルタリング処理を行わない場合の透過光のスペクトルを示す図であり、色度(ASTM色)が0.5, 1.0, 2.0, 2.5, 4.0である5種類の試料液について、それぞれの透過率を表している。
フィルタリング処理を行わない場合、特に色度が0.5及び1.0の試料液について、波長が約430[nm]〜450[nm]の範囲で透過率に乱れを生じていることがわかる。
図4は、図3の色度(色度計の色度)を公定法により測定した色度と比較して示した図であり、特に公定法の色度0.5及び1.0に対する色度計の測定値の誤差が大きくなっている。
なお、図4に付記した寄与率R2(=公定法による分散/色度計による分散)は決定係数とも呼ばれるが、図4ではR2=0.9752となっている。
フィルタリング処理を行わない場合、特に色度が0.5及び1.0の試料液について、波長が約430[nm]〜450[nm]の範囲で透過率に乱れを生じていることがわかる。
図4は、図3の色度(色度計の色度)を公定法により測定した色度と比較して示した図であり、特に公定法の色度0.5及び1.0に対する色度計の測定値の誤差が大きくなっている。
なお、図4に付記した寄与率R2(=公定法による分散/色度計による分散)は決定係数とも呼ばれるが、図4ではR2=0.9752となっている。
次に、図5は、試料液に関して既知である蛍光の波長範囲として、430[nm]〜450[nm]の成分を演算上、除去するようにした前記フィルタリング手段22の特性図であり、上記波長範囲について透過効率をゼロに設定している。
図6は、図5の特性のフィルタリング手段22を経た透過光のスペクトルを示しており、蛍光の影響を除去した出力スペクトルに相当する。このように所定の波長範囲を除去した場合でも、広い波長範囲にわたって有意な透過率が測定されるため、色度値の測定に当たって特に支障は生じないものである。
図6は、図5の特性のフィルタリング手段22を経た透過光のスペクトルを示しており、蛍光の影響を除去した出力スペクトルに相当する。このように所定の波長範囲を除去した場合でも、広い波長範囲にわたって有意な透過率が測定されるため、色度値の測定に当たって特に支障は生じないものである。
また、図7は、図6の色度計の色度を公定法により測定した色度と比較して示した図であり、特に公定法の色度0.5及び1.0に対する色度計の測定値の誤差が図4よりも小さくなっている。
つまり、図7によるとR2=0.9937であり、フィルタリング手段22を用いることにより、図4と比べて相関性が向上していることがわかる。
なお、この例では、フィルタリング手段22によって430[nm]〜450[nm]の波長範囲を除去しているが、例えば450[nm]以下の波長範囲を除去するように設定しても良い。
つまり、図7によるとR2=0.9937であり、フィルタリング手段22を用いることにより、図4と比べて相関性が向上していることがわかる。
なお、この例では、フィルタリング手段22によって430[nm]〜450[nm]の波長範囲を除去しているが、例えば450[nm]以下の波長範囲を除去するように設定しても良い。
以上のように、本実施形態によれば、分光光度計により得た試料液のスペクトルから蛍光の波長範囲成分をフィルタリング手段22を用いて演算上、除去することにより、従来のように色度計に光学フィルタ等を付加しなくても蛍光の影響を低減させたスペクトルを得ることができ、このスペクトルに基づいて試料液の色度を高精度に測定することが可能になる。
11:光源
12:UV/IRカットフィルタ
13:試料セル
14:分光光度計
141,143:ミラー
142:回折格子
144:光検出器
21:スペクトル検出手段
22:フィルタリング手段
12:UV/IRカットフィルタ
13:試料セル
14:分光光度計
141,143:ミラー
142:回折格子
144:光検出器
21:スペクトル検出手段
22:フィルタリング手段
Claims (2)
- 試料液の透過光を光検出器により検出して前記試料液の色度を測定する色度計において、
前記透過光を分光して前記光検出器に入射させ、所定の波長範囲のスペクトルを得るための分光光度計と、
この分光光度計の出力に基づくスペクトルから、前記試料液が発する蛍光の波長範囲成分を演算により低減するフィルタリング手段と、
を備えたことを特徴とする色度計。 - 請求項1に記載した色度計において、
前記フィルタリング手段は、コンボリューション処理を行う演算手段であることを特徴とする色度計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004028095A JP2005221307A (ja) | 2004-02-04 | 2004-02-04 | 色度計 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009145145A (ja) * | 2007-12-13 | 2009-07-02 | Dkk Toa Corp | 軽油識別方法及び軽油モニタ |
JP2009264940A (ja) * | 2008-04-25 | 2009-11-12 | Dkk Toa Corp | 軽油モニタ |
CN107064023A (zh) * | 2017-05-09 | 2017-08-18 | 北京邮电大学 | 一种油脂色泽检测系统及方法 |
-
2004
- 2004-02-04 JP JP2004028095A patent/JP2005221307A/ja active Pending
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