JP2005218850A - 殺菌方法及び殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【課題手段】フラッシュランプが放射する閃光パルスの照射により殺菌する方法であり、1パルス当たりの供給エネルギー0.5〜20Jのもとで閃光パルスを発生させ1パルス当たりの250〜300nm波長における放射照度を18〜200μw/cm2とし、1秒当たりのパルス数を30〜120箇にして被殺菌対象物に閃光パルスを照射する。
【選択図】なし
Description
給食センター等の調理現場においては、作業終了時や作業変更時に、まな板を消毒液で洗浄している。
しかしながら、これらの消毒液による殺菌方法では、人体への消毒液の影響が懸念され、また作業コストも相当に高くつくという不都合がある。
工場等で使用される殺菌方法の一つとして紫外線照射が知られている。この殺菌方法では、人体への影響がなく、ランニングコストも充分に低廉にできる。
殺菌灯では254nmを主波長とする光を放射している。キセノンフラッシュランプでは200nm〜2000nm付近までの波長分布を有し、かつ220nm〜300nmの紫外線波長域を豊富に含む光を放射している。いずれの場合も、殺菌は菌のDNAの損傷により行われる。
しかしながら、殺菌灯はキセノンフラッシュランプに較べて照度が弱く(瞬間的には、約1000分の1)、近来キセノンフラッシュランプ殺菌への転換が図られている。
何れにしても、これらの紫外線殺菌法では、保存庫内に紫外線照射手段を設置する形態(例えば、特許文献1参照)、コンベアラインの途中に紫外線照射手段を配設し、搬送中のワーク例えば枝肉加工前の食肉魂を殺菌処理する形態(非特許文献1参照)等が採られており、前記した給食用トレー容器やまな板等の殺菌には工程上使用し難い。
しかしながら、食品の場合、前記した通り人体への影響が懸念される。また消毒液の気化物が特有な臭いを呈し人に不快感を与えることがあり、また引火性であって安全性にも問題がある。
而るに、本発明者等が鋭意行ったキセノンフラッシュランプを使用しての殺菌試験によれば、1閃光パルス当たりの供給エネルギーが1J程度の小型のキセノンフラッシュランプでもバクテリアよりも強力なカビの増殖を1秒当たり30パルス程度でも充分に防止できることが判明し、ハンディータイプのキセノンフラッシュランプでもって前記殺菌に匹敵する殺菌が可能なことを知った。
而して、調理器具、食料品容器、日用品、医療・介護用品等を消毒液スプレーで部分殺菌することに代え、ハンディータイプフラッシュランプの閃光照射でその殺菌処理を行うことが可能になる。
従って、人体への影響、不快感、引火の危険性等を排除して前記の物品を低コストで手軽、迅速に殺菌処理できる。
本発明において、250〜300nmの波長域における放射照度を18〜200μw/cm2ととする理由は、18μw/cm2未満では満足に殺菌を行い得ず、200μw/cm2を超えるとハンディータイプの紫外線放射ランプを使用しての効果的な殺菌が得られないからである。
閃光パルスの発生に当たっては、電力エネルギーをコンデンサに蓄積し、この電力エネルギーをフラッシュランプに供給し、キセノンガスを励起させて閃光パルスを発生させる。
測定方法は次ぎの通りである。すなわち、φ45mmのガラス製時計皿に101倍に希釈した胞子懸濁液を0.5mリットル分注し、分注液を約φ32mmに拡げ、次に述べる条件1〜7にて光照射して殺菌処理する。胞子懸濁液にはPenicillium citrinum NBRC6352を滅菌した湿潤剤添加生理食塩水にとり超音波で分散させて滅菌した木綿で濾過したものを使用した。このアオカビの胞子懸濁液の生菌数は107オーダである。
照射後に回収した胞子懸濁液を10倍段階希釈し、PDA培地(日水製薬社製)に各段階ごとに0.5mリットル分注し、混釈法により生菌数(照射後の生菌数)Nを測定し、未照射の生菌数(培養菌数)N’とから、Log(N’/N)を求め、これを殺菌効果の評価値としている。殺菌効果nは未照射の生菌数を10n分の1に減じたことを意味する。
〔条件2〕キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの放射照度を143μw/cm2at250〜300nmとし、1秒当たりの閃光パルス数を40箇とした。キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの供給エネルギは16Jであり、寸法は直径約12mm、長さ約500mmである。反射ミラーを備えている。
〔条件3〕キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの放射照度を43μw/cm2at250〜300nmとし、1秒当たりの閃光パルス数を60箇とした。キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの供給エネルギは4Jであり、寸法は直径約12mm、長さ約180mmである。反射ミラーを備えている。
〔条件4〕キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの放射照度を23μw/cm2at250〜300nmとし、1秒当たりの閃光パルス数を100箇とした。キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの供給エネルギは4Jであり、寸法は直径約12mm、長さ約180mmである。反射ミラーを備えている。
〔条件5〕キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの放射照度を18μw/cm2at250〜300nmとし、1秒当たりの閃光パルス数を120箇とした。キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの供給エネルギは4Jであり、寸法は直径約12mm、長さ約180mmである。反射ミラーを備えている。
〔条件6〕キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの放射照度を15μw/cm2at250〜300nmとし、1秒当たりの閃光パルス数を100箇とした。キセノンフラッシュランプの1パルス当たりの供給エネルギは4Jであり、寸法は直径約12mm、長さ約500mmである。反射ミラーを備えている。
〔条件7〕15w低圧水銀ランプを使用し、ランプと培地との距離を50mmとした。
CHANNEL PHOTO DETECTOR(大塚電子株式会社製 MCPD−3000 28C)により測定した。
カビはバクテリアに較べて紫外線に対し強い生存性を有し、1パルス当たりの250〜300nm波長における放射照度18〜200μw/cm2、1秒当たりのパルス数30〜120箇の条件でまな板や調理器具、食料品容器、日用品、医療・介護用品にキセノン閃光パルスを照射すれば従来の消毒に匹敵する細菌死滅を行い得ることが図2の測定結果から明らかであり、かかる条件の照射を1閃光パルス当たりの入力エルネギー0.5〜20Jで得ることができるから、キセノンフラッシュランプを小型にしてハンディー作業を容易に行い得、従来のスプレーや布巾による方法に較べ湿式から乾式にできるなど、作業性も向上できる。
図3は大腸菌に対する検証結果を示している。
測定方法は次ぎの通りである。すなわち、φ45mmのガラス製時計皿に101倍に希釈した培養菌液を0.5mリットル分注し、分注液を約φ32mmに拡げ、前記した条件1〜7にて光照射して殺菌処理する。照射後に回収した培養菌液を10倍段階希釈し、普通寒天培地(日水製薬社製)にに各段階ごとに0.5mリットル分注し、混釈法により生菌数(照射後の生菌数)Nを測定し、未照射の生菌数(培養菌数)N’とから、Log(N’/N)を求め、これを殺菌効果の評価値としている。大腸菌の培養菌液には、Escherichia coli NBRC3972を普通ブイヨン(栄研化学社製)で30℃振盪培養したものを使用した。この培養菌液の生菌数は109オーダである。
測定方法は次ぎの通りである。すなわち、φ45mmのガラス製時計皿に101倍に希釈した培養菌液を0.5mリットル分注し、分注液を約φ32mmに拡げ、前記した条件1〜7にて光照射して殺菌処理する。照射後に回収した培養菌液を10倍段階希釈し、普通寒天培地(日水製薬社製)にに各段階ごとに0.5mリットル分注し、混釈法により生菌数(照射後の生菌数)Nを測定し、未照射の生菌数(培養菌数)N’とから、Log(N’/N)を求め、これを殺菌効果の評価値としている。黄色ブドウ球菌の培養菌液として、Staphlococcus aureus subsp.aureusNBRC12732を普通ブイヨン(栄研化学社製)で30℃振盪培養したものを使用した。この培養菌液の生菌数は109オーダである。
測定方法は次ぎの通りである。すなわち、φ45mmのガラス製時計皿に101倍に希釈した芽胞液を0.5mリットル分注し、分注液を約φ32mmに拡げ、前記した条件1〜7の条件にて光照射して殺菌処理する。照射後に回収した芽胞液を10倍段階希釈し、普通寒天培地(日水製薬社製)に各段階ごとに0.5mリットル分注し、混釈法により生菌数(照射後の生菌数)Nを測定し、未照射の生菌数(培養菌数)N’とから、Log(N’/N)を求め、これを殺菌効果の評価値としている。枯草菌芽胞液として栄研器材社製LK1000を使用した。この芽胞菌液の生菌数は107オーダである。
coli NBRC3972の培養菌液に対し、1パルス当たりの供給エネルギーを1.0J、1秒当たりの閃光パルス数を60箇、キセノンフラッシュランプから培地(普通寒天培地)までの距離を50mm、照射時間を5秒及び15秒として光照射したところ、107オーダ以上の殺菌を行ない得た(このことは図の測定結果からも予測できる)が、同上ランプと培地との間に400nm以下の紫外線カット(クラレ社製コモグラスUV40)、または300nm以下の紫外線カット(イワキ社製シャーレ)を介在させて光照射したところ、何れも殺菌効果は実質上零であった。
図6において、1は商用電源、2は昇圧トランスと交直変換器と直流電圧設定器とからなる直流電源部、Cは直流電源部で充電されるコンデンサ、Pは陽極−陰極及びトリガプローブtrを有するハンディータイプキセノンフラッシュランプであり、コンデンサCからの供給エネルギーでトリガ回路3からのトリガ電圧の印加ごとに閃光パルスを発生する。トリガ回路3の1秒当たりのトリガ電圧発生回数を30〜120回の範囲内で所定回数に設定可能とする構成とし、キセノンフラッシュランプPは可撓性コード4を介して接続して手軽に移動可能としてある。キセノンフラッシュランプPには反射ミラーを具備させてある。また、1パルス当たりの供給エネルギーが20J近くに達するものでは、空冷等の冷却手段を必要とするが、弱空冷で済ませることができ、供給エネルギー20Jでもキセノンフラッシュランプのハンディー性を充分に担保できる。
前記トリガ回路の1秒当たりのトリガ電圧発生回数は1秒当たりの閃光パルス数30〜120箇に設定される。
殺菌効果に応じ前記トリガ回路のトリガ電圧印加回数を調整しながら光照射することもできる。すなわち、殺菌効果が不足するときは、1秒当たりの閃光パルス数を多くするためにトリガ回路のトリガ電圧発生回数を増やし、殺菌効果が過剰のときは、1秒当たりの閃光パルス数を少なくするためにトリガ回路のトリガ電圧発生回数を減らしながら光照射することもできる。この場合、トリガ回路のトリガ電圧発生回数調整用コントローラをキセノンフラッシュランプに一括して取り付けることができる。
前記キセノンフラッシュランプは柄の先端に着脱自在に装着される。供給エネルギー発生部をキセノンフラッシュランプに一括装備させる場合は、柄を筒状ケース型とし、この筒状ケース内に供給エネルギー発生部を収容することができる。この場合、筒状ケースから可撓性コードが引出され、このコード端のプラグが商用AC電源のコンセントに差し込み接続されることになる。直流電源には電池を用いることも可能である。
(1)従来、食品の腐敗防止と食中毒対策のために、弁当のトレー容器に消毒剤をスプレーしたのちにトレー容器に弁当を納めているが、消毒剤の人体への影響が懸念され、消毒剤の量も多く、コストが高くつく。而るに、本発明によりトレー容器を光照射すれば、消毒液残渣による人体への影響を排除でき、安価にトレー容器を殺菌でき
る。
(2)従来、食品の賞味期限を延長する目的で、真空パック包装やガス充填包装を行なっている。これらの包装は、包装後の食品の劣化、腐敗を遅らせ得るが、殺菌効果はない。そこで、通常、包装前または包装後に加熱殺菌しており、常温保存も可能となっている。しかしながら、加熱が許されない食材、例えば精肉等では包装時の微生物付着が避けられず、真空パック包装後も冷蔵保存が余儀なくされている。而るに、本発明により、真空パック前または後に食品に光照射して殺菌すれば、食品を非加熱で殺菌でき、包装初期の付着微生物箇数を激減でき、賞味期限の一層の延長が可能となる。
(3)従来、食品スーパーのバックヤードの鮮魚加工現場、ホテル・レストランの厨房、仕出し・弁当屋、学校給食センター、惣菜センター、社員食堂、食品工場等では、食品の加工・調理の作業終了時や作業の変更時に、まな板の洗浄・消毒を薬剤洗浄により行なっているが、作業の変更が頻繁なときは、多量の薬剤を必要とし高コストが避けられない。また、業務用まな板の寸法が1,800×900mmと極めて大型であるために、実際上まな板を動かすことが困難であり、斜めにして薬剤の水切りを行なうことが難しく、乾きが遅い。而るに、フラッシュランプを柄の先端に取付け、柄を持って本発明により、キセノンフラッシュランプをまな板上の空間に沿い移動させてまな板を光照射すれば、まな板を薬剤無しで乾式殺菌でき、短時間、低コストでまな板を殺菌できる。まな板の外、包丁や食品の容器、調理器具、厨房機器等の乾式殺菌も同様に短時間で行なうことができる。
(4)従来、低圧水銀ランプ装備のスリッパ殺菌保管庫でスリッパの殺菌を行なうことがある。しかしながら、公衆浴場、病院の待合室等多数の人が頻繁に出入りするところでは、保管庫に入れて殺菌したのでは、低圧水銀ランプによる殺菌速度が遅いために人の出入りに追いつかず、実際上殺菌を行ない得ない。而るに、本発明によれば、手軽に、かつ迅速に殺菌効果99.9〜99.999%の殺菌を行ない得るから、公衆浴場、病院の待合室等でスリッパの使用の都度殺菌することが可能となり、スリッパの衛生管理を向上できる。
(5)本発明によれば、医療や介護の現場で汚れた箇所を迅速にかつ乾式殺菌でき、病院の衛生管理に資するところが大である。
2 直流電源部
3 トリガ回路
4 可撓性コード
C コンデンサ
P キセノンフラッシュランプ
Claims (11)
- フラッシュランプが放射する閃光パルスの照射により殺菌する方法であり、1パルス当たりの供給エネルギー0.5〜20Jのもとで閃光パルスを発生させ1パルス当たりの250〜300nm波長における放射照度を18〜200μw/cm2とし、1秒当たりのパルス数を30〜120箇にして被殺菌対象物に閃光パルスを照射することを特徴とする殺菌方法。
- 閃光パルスの1秒当たりの250〜300nm波長における放射照度が2〜10mw/cm2であることを特徴とする請求項1記載の殺菌方法。
- 被殺菌対象物への閃光パルスの照射をフラッシュランプを移動させつつ行なうことを特徴とする請求項1または2記載の殺菌方法。
- 被殺菌対象物への閃光パルスの照射をフラッシュランプを静止させて行なうことを特徴とする請求項1または2記載の殺菌方法。
- フラッシュランプがキセノンフラッシュランプであることを特徴とする請求項1〜4何れか記載の殺菌方法。
- 被殺菌対象物をまな板とすることを特徴とする請求項1〜5何れか記載の殺菌方法。
- 被殺菌対象物を調理器具、食料品容器、日用品、医療・介護用品の何れかとする請求項1〜5何れか記載の殺菌方法。
- 被殺菌対象物についたバクテリアを殺菌することを特徴とする請求項1〜7何れか記載の殺菌方法。
- 請求項1〜8何れか記載の殺菌方法に使用する殺菌装置であり、直流電源と、該直流電源で充電されるコンデンサと、コンデンサからの供給エネルギーによりトリガ電圧の印加ごとに閃光パルスを発生するキセノンフラッシュランプを備え、キセノンフラッシュランプを可撓性コードの先端に取り付け、1秒当たりのトリガ電圧印加回数を30〜120回とし、コンデンサの充電エネルギーを0.5〜20Jとしたことを特徴とする殺菌装置。
- 1秒当たりのトリガ電圧印加回数を調整可能とし、この調整を行なうコントローラをキセノンフラッシュランプに取り付けたことを特徴とする請求項9記載の殺菌装置。
- 直流電源、コンデンサ及びトリガ電圧発生回路をキセノンフラッシュランプに一括装備させたことを特徴とする請求項9または10記載の殺菌装置。
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