JP2005216372A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、所望のように、記録し、再生することが可能になる光記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 レーザビームが照射されて、データが記録され、再生されるように構成された光記録媒体であって、白金酸化物を主成分として含む分解反応層7と、光吸収層5とが、誘電体層6を挟んで形成された積層体を含み、光吸収層5が、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有することを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光記録媒体に関するものであり、さらに詳細には、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、所望のように、記録し、再生することができる光記録媒体に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されているが、近年においては、より大容量で、かつ、高いデータ転送レートを有する光記録媒体の開発が盛んに行われている。
こうした光記録媒体においては、データの記録、再生に用いるレーザビームの波長λを小さくするとともに、対物レンズの開口数NAを大きくして、レーザビームのビームスポット径を小さく絞ることにより、光記録媒体の記録容量の増大が図られている。
光記録媒体においては、光記録媒体に記録された記録マークの長さ、および、隣り合う記録マーク間の長さ、すなわち、記録マークが形成されていない領域(以下、「ブランク領域」という。)の長さが解像限界未満になると、光記録媒体からデータを再生することが不可能になる。
解像限界は、レーザビームの波長λと、レーザビームを集束するための対物レンズの開口数NAによって決定され、記録マークとブランク領域との繰り返しの周波数、すなわち、空間周波数が2NA/λ以上の場合に、記録マークおよびブランク領域に記録されたデータの読み取りが不可能になる。
したがって、読み取り可能な空間周波数に対応する記録マークおよびブランクの長さは、それぞれ、λ/4NA以上となり、波長λのレーザビームを、開口数NAの対物レンズによって、光記録媒体の表面に集光させるときは、λ/4NAの長さの記録マークおよびブランク領域が、読み取ることができる最短の記録マークおよびブランク領域となる。
このように、データを再生する場合には、データの再生が可能な解像限界が存在し、再生することができる記録マークの長さおよびブランク領域の長さに制限がある。したがって、解像限界未満の長さの記録マークおよびブランク領域を形成して、データを記録しても、記録されたデータを再生することができないので、光記録媒体に、データを記録するときに形成可能な記録マークの長さおよびブランク領域の長さが必然的に制限される。
したがって、光記録媒体の記録容量を増大させるためには、データの再生に用いるレーザビームの波長λを短くし、あるいは、対物レンズの開口数NAを大きくすることによって、解像限界を小さくし、より短い記録マーク列よりなるデータを再生することができるようにすることが要求される。
しかしながら、データの再生に用いるレーザビームの波長λを短くし、あるいは、対物レンズの開口数NAを大きくすることには限界があり、したがって、解像限界を小さくすることによって、光記録媒体の記録容量を増大させることには限界があった。
こうした実情に鑑みて、解像限界より小さい記録マーク列を形成して、記録されたデータを再生するための様々な技術が提案されている。これらの技術としては、たとえば、レーザビームをマスクする層を、光記録媒体内に設けることによって、光記録媒体内で、実質的にNAを高める技術が提案されている。
また、これらの技術とは別に、近接場光を利用して、解像限界より小さい記録マーク列によって記録されたデータを再生する技術も提案されている(たとえば、非特許文献1参照。)。
上記文献に記載された光記録媒体は、ポリカーボネート基板の表面上に、ZnS・SiO2を主成分として含む誘電体層と、酸化銀を主成分として含む読み出し層と、ZnS・SiO2を主成分として含む誘電体層と、Ge2Sb2Te5を主成分として含む記録層と、ZnS・SiO2を主成分として含む誘電体層とが、レーザビームの入射面側から、順に、積層されて、構成されている。
かかる光記録媒体にデータを記録するに際しては、非晶質化された記録層に、レーザビームを照射して、記録層の所定の領域を、結晶化させて、解像限界より小さい記録マーク列を形成する。一方、記録されたデータを再生するに際しては、読み出し層にレーザビームを照射することによって、酸化銀を、AgとO2とに分解させ、Agプローブを生成して、近接場光を発生させる。こうして、近接場光の作用を利用し、解像限界より小さい記録マーク列によって記録されたデータを再生している。
実際に、かかる光記録媒体においては、635nmの波長を有するレーザビームと、開口数NAが0.60の対物レンズとを用いて、解像限界の265mmより小さい200nmの記録マーク列によって記録されたデータの再生に成功している。
藤(Hiroshi Fuji)著、外6名、「A Near-Field Recording and Readout Technology Using Metallic Probe in an Optical Disk」、Japanese Journal of Applied Physics、応用物理学会、2000年2月15日、第39巻、第2B号、p.980−981
しかしながら、上述の光記録媒体においては、解像限界未満の記録マーク列によって構成されたデータを再生しても、その再生信号のC/N比が小さく、光記録媒体に記録されたデータを、正確に読み取ることが困難であった。また、記録されたデータを再生するに際しては、比較的に高いパワーのレーザビームを照射する必要があり、光記録媒体の耐久年数の低下を招くという問題もあった。
したがって、本発明の目的は、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、所望のように、記録し、再生することが可能になる光記録媒体を提供することにある。
本発明のかかる目的は、レーザビームが照射されて、データが記録され、再生されるように構成された光記録媒体であって、貴金属酸化物を主成分として含む分解反応層と、光吸収層とが、少なくとも誘電体層を挟んで形成された積層体を含み、前記光吸収層が、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有することを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明において、光記録媒体は、貴金属酸化物を主成分として含む分解反応層を備えている。こうした光記録媒体においては、レーザビームが照射されたときに、分解反応層に空洞が形成されるとともに、貴金属の微粒子が空洞内に析出することによって、記録マークが形成される。
本発明者の研究によれば、分解反応層に空洞が形成されるとともに、貴金属の微粒子が空洞内に析出して、記録マークが形成され、データが記録された場合には、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満であるときにも、データが再生可能であることが見出されている。
分解反応層に空洞が形成されるとともに、貴金属の微粒子が空洞内に析出して、記録マークが形成され、データが記録された場合に、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満であるときでも、データを再生することができるという理由は必ずしも明らかではないが、空洞内に析出した貴金属の微粒子に、再生用のレーザビームが照射されることにより、近接場光が発生し、解像限界がなくなったためか、あるいは、空洞内に析出した貴金属の微粒子と照射されたレーザビームとの相互作用によって、解像限界が小さくなったためではないかと推測される。
また、本発明において、光記録媒体は、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有する光吸収層を備えている。
本発明者の研究によれば、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有するように、光吸収層を形成した場合には、光記録媒体にデータを記録するときの記録感度を向上させることができるのが見出されている。
したがって、本発明によれば、光記録媒体に、所望のように、データを記録することができ、また、レーザビームの記録パワーPwを低下させることができるから、光記録媒体の耐久年数の低下を効果的に防止することも可能となる。
また、本発明者の研究によれば、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有するように、光吸収層を形成した場合には、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが解像限界未満である記録マーク列によって、構成されたデータを再生するときの再生感度を向上させることもできるのが見出されている。
したがって、本発明によれば、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、感度良く、再生することができ、また、レーザビームの再生パワーPrを低下させることができるから、光記録媒体の再生耐久性を向上させることが可能となる。
本発明において、光吸収層に含まれる少なくともSbおよびTeを含む合金としては、(SbTe)1ーaで表わされる組成を有していることが好ましい。ここに、元素Mは、SbおよびTeを除く元素を表わす。
光吸収層に含まれる少なくともSbおよびTeを含む合金が、(SbTe)1ーaで表される組成を有しているときは、aは、0≦a≦0.2であることが好ましい。aが0.2を越えているときは、光の吸収係数が光吸収層に要求される値よりも低くなり、また、熱伝導性が光吸収層に要求される値よりも低くなり、好ましくない。
元素Mは、とくに限定されるものではないが、Ag、In、Tb、Au、Bi、Se、Al、Ge、P、Si、C、V、W、Ta、Zn、Mn、Ti、Sn、Pdおよび希土類元素(Sc、Yおよびランタノイド)より選ばれる少なくとも一種の元素を主成分として含むことが好ましい。
本発明において、分解反応層に主成分として含まれる貴金属酸化物は、とくに限定されるものではないが、酸化物の形成し易さ、近接場光の発生効率の観点から、銀、白金およびパラジウムよりなる群から選ばれる一種の貴金属を含む酸化物が好ましく、とくに、白金酸化物が、分解温度が高いため、好ましい。
白金酸化物は、他の貴金属酸化物に比べて、分解温度が高く、したがって、記録用のパワーに設定されたレーザビームを照射して、記録マークを形成する際に、レーザビームが照射された領域から、周囲の分解反応層に、熱が拡散しても、レーザビームが照射された領域以外の領域で、白金酸化物の分解反応が生じることが防止されるから、分解反応層の所望の領域に、空洞を形成して、記録マークを形成することが可能になる。
また、高い再生パワーPrのレーザビームが照射されて、データが再生される場合においても、白金酸化物は、他の貴金属酸化物に比べて、分解温度が高いから、白金酸化物が白金と酸素に分解されるおそれがなく、したがって、繰り返し、光記録媒体に記録されたデータを再生しても、記録マークの形状が変化することはなく、空洞が形成され、また、記録マークが形成された領域以外の領域に、新たに空洞が形成されることもないから、光記録媒体の再生耐久性を向上させることが可能になる。
本発明においては、前記基板上に、反射層が形成されているのが好ましい。
基板上に、反射層が形成された場合には、再生パワーPrに設定されたレーザビームが照射されたときに、レーザビームによって与えられた熱を、反射層によって、レーザビームが照射された箇所から周囲へ拡散することができる。したがって、光記録媒体が過剰に加熱されることを確実に防止することができ、光記録媒体に記録されたデータが劣化するのを防止することが可能となる。
さらに、基板上に、反射層が形成された場合には、反射層の表面によって、反射されたレーザビームと、反射層上に積層された層によって、反射されたレーザビームとが干渉し、結果として、再生信号を構成する反射光の光量が大きくなるので、再生信号のC/N比を向上させることも可能になる。
反射層を形成するための材料は、レーザビームを反射することができれば、とくに限定されるものではなく、反射層は、Au、Ag、Cu、Pt、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Mg、Zn、Ge、Siからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を用いて、形成することができる。
反射層の厚さは、とくに限定されるものではないが、反射層は、5nmないし200nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
本発明においては、前記誘電体層および前記光吸収層が、前記分解反応層に空洞が形成されるのに伴って、変形するように構成されていることが好ましい。
誘電体層および光吸収層が変形した領域は、誘電体層および光吸収層が変形しない領域と、光学特性が異なるので、より良好な信号特性を有する再生信号を得ることができる。
本発明によれば、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、所望のように、記録し、再生することができる光記録媒体を提供することが可能となる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1に示された光記録媒体のトラックに沿った断面のうち、Aで示される部分の略拡大断面図である。
図2に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体1は、支持基板2を備え、支持基板2上に、反射層3と、第三の誘電体層4と、光吸収層5と、第二の誘電体層6と、分解反応層7と、第一の誘電体層8と、光透過層9が、この順に、積層されている。
本実施態様においては、図2に示されるように、光記録媒体1は、光透過層9側から、レーザビームが照射されて、データが記録され、記録されたデータが再生されるように構成されている。レーザビームは、390nmないし420nmの波長λを有し、開口数NAが0.7ないし0.9の対物レンズによって、光記録媒体1に集光される。
支持基板2は、光記録媒体1に求められる機械的強度を確保するための支持体として、機能する。
また、支持基板2は、その表面上に、中心部近傍から外縁部に向けて、グルーブ(図示せず)およびランド(図示せず)が螺旋状に形成されている。
グルーブおよびランドは、分解反応層7にデータを記録する場合、および分解反応層7に記録されたデータを再生する場合において、レーザビームのガイドトラックとして、機能する。
支持基板2を形成するための材料は、光記録媒体1の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではなく、支持基板2は、たとえば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂がとくに好ましい。
支持基板2の厚さは、とくに限定されるものではないが、現行の光記録媒体との互換性の観点から、支持基板2は、1.0mmないし1.2mmの厚さを有するように形成されることが好ましく、約1.1mmの厚さを有するように形成されることがより好ましい。
図2に示されるように、支持基板2の表面には、反射層3が形成されている。
反射層3は、光透過層9を介して、入射したレーザビームを反射し、再び、光透過層9から出射させる役割を果たす。
反射層3を形成するための材料は、レーザビームを反射することができれば、とくに限定されるものではなく、反射層3は、Au、Ag、Cu、Pt、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Mg、Zn、Ge、Siからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を用いて、形成することができる。
反射層3の厚さは、とくに限定されるものではないが、反射層3は、5nmないし200nmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
図2に示されるように、反射層3の表面上には、第三の誘電体層4が形成されている。
本実施態様においては、第三の誘電体層4は、支持基板2および反射層3を保護するとともに、その上に形成される光吸収層5を、物理的、化学的に保護する機能を有している。
第三の誘電体層4を形成するための誘電体材料は、とくに限定されるものではなく、たとえば、酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、あるいは、これらの組み合わせを主成分とする誘電体材料によって、第三の誘電体層4を形成することができ、第三の誘電体層4は、好ましくは、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、あるいは、これらの複合物によって形成される。第三の誘電体層4を形成するための誘電体材料としては、ZnSとSiOの混合物がとくに好ましく、ZnSとSiOのモル比が80:20であることが、さらに好ましい。
第三の誘電体層4は、たとえば、第三の誘電体層4の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、反射層3の表面上に形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
第三の誘電体層4の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし140nmが好ましい。
図2に示されるように、第三の誘電体層4の表面上には、光吸収層5が形成されている。
本実施態様において、光吸収層5は、光記録媒体1に、記録パワーPwに設定されたレーザビームが照射されたときに、レーザビームを吸収して、発熱し、生成した熱を、後述する分解反応層7に伝達する機能を有している。
本実施態様においては、光吸収層5は、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含有している。SbおよびTeは、光吸収係数が高く、熱伝導率が低いため、光吸収層5を形成するための材料として、好ましい。
また、本実施態様においては、光吸収層5は、結晶化されたときに、菱面体の結晶構造を有するように、構成されている。
本実施態様において、少なくともSbおよびTeを含む合金としては、(SbTe)1ーaで表わされる組成を有していることが好ましい。ここに、元素Mは、SbおよびTeを除く元素を表わす。
光吸収層5に含まれる少なくともSbおよびTeを含む合金が、(SbTe)1ーaで表される組成を有しているときは、aは、0≦a≦0.2であることが好ましい。aが0.2を越えているときは、光の吸収係数が光吸収層に要求される値よりも低くなり、また、熱伝導性が光吸収層5に要求される値よりも低くなり、好ましくない。
元素Mは、とくに限定されるものではないが、Ag、In、Tb、Au、Bi、Se、Al、Ge、P、Si、C、V、W、Ta、Zn、Mn、Ti、Sn、Pdおよび希土類元素(Sc、Yおよびランタノイド)より選ばれる少なくとも一種の元素を主成分として含むことが好ましい。
光吸収層5は、光吸収層5の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、第三の誘電体層4の表面上に形成することができ、気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
光吸収層5は、5nmないし100nmの厚さを有していることが好ましい。光吸収層5の厚さが、5nm未満である場合には、光吸収率が低すぎ、一方、光吸収層5の厚さが、100nmを越えると、後述のように、分解反応層7に空洞が形成される際に、光吸収層5が変形し難くなり、好ましくない。
図2に示されるように、光吸収層5の表面上には、第二の誘電体層6が形成されている。
本実施態様において、第二の誘電体層6は、後述する第一の誘電体層8とともに、後述する分解反応層7を、物理的、化学的に保護する機能を有している。
第二の誘電体層6は、第三の誘電体層4と同様の材料を用いて形成することができ、第三の誘電体層4と同様に、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相成長法によって、形成することができる。
第二の誘電体層6は、好ましくは、5nmないし100nmの厚さを有するように形成される。
図2に示されるように、第二の誘電体層6の表面上には、分解反応層7が形成されている。
本実施態様においては、分解反応層7は、記録層の一部として用いられ、光記録媒体1にデータが記録される際に、分解反応層7に、記録マークが形成される。
本実施態様において、分解反応層7は、白金酸化物PtOxを主成分として含んでいる。
本実施態様において、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、高いC/N比を有する再生信号を得るためには、1.0≦x<3.0であることがより好ましい。
分解反応層7は、分解反応層7に主成分として含まれる構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、第二の誘電体層6の表面上に形成することができ、気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
分解反応層7の厚さが薄すぎる場合には、分解反応層7を連続膜として形成できないことがあり、逆に、分解反応層7の厚さが厚すぎる場合には、分解反応層7が変形し難くなる。これらを考慮すると、分解反応層7は、2nmないし20nmの厚さを有しているのが、好ましく、4nmないし20nmの厚さを有しているのが、より好ましい。
図2に示されるように、分解反応層7の表面上には、第一の誘電体層8が形成されている。
本実施態様において、第一の誘電体層8は、分解反応層7を物理的、化学的に保護する機能を有している。
第一の誘電体層8は、第三の誘電体層4と同様の材料を用いて形成することができ、第三の誘電体層4と同様に、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相成長法によって、形成することができる。
図2に示されるように、第一の誘電体層8の表面上には、光透過層9が形成されている。
光透過層9は、レーザビームが透過する層であり、その表面は、レーザビームの入射面を形成している。
光透過層9を形成するための材料は、光学的に透明で、使用されるレーザビームの波長領域である390nmないし420nmでの光学吸収および反射が少なく、複屈折が小さい材料であれば、とくに限定されるものではなく、スピンコーティング法などによって、光透過層9が形成される場合には、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが、光透過層9を形成するために用いられ、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などの活性エネルギー線硬化型樹脂が、光透過層9を形成するために、とくに好ましく使用される。
光透過層9は、第一の誘電体層8の表面に、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、接着することによって、形成されてもよい。
光透過層9の厚さは、スピンコーティング法により、光透過層9を形成する場合には、10μmないし200μmが好ましく、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、第一の誘電体層8の表面に接着して、光透過層9を形成する場合には50μmないし150μmが好ましい。
以上のように構成された光記録媒体1には、次のようにして、データが記録され、データが再生される。
図3は、データが記録される前の光記録媒体1の一部拡大略断面図であり、図4は、データが記録された後の光記録媒体1の一部拡大略断面図である。
光記録媒体1にデータを記録するに際しては、光透過層9を介して、光記録媒体1にレーザビームが照射される。
本実施態様においては、データを高い記録密度で記録するため、390nmないし420nmの波長λを有するレーザビームを、0.7ないし0.9の開口数NAを有する対物レンズによって、光記録媒体1に集光するように構成されている。
記録パワーPwに設定されたレーザビームが、光記録媒体1に照射されると、レーザビームが照射された光吸収層5の領域が加熱される。光吸収層5で生成された熱は、分解反応層7に伝達され、分解反応層7の温度が上昇する。
分解反応層7に主成分として含まれる白金酸化物は、レーザビームに対する透過性が高いため、レーザビームが照射されても、分解反応層7自体は発熱し難く、分解反応層7の温度を、白金酸化物の分解温度以上に上昇させることは困難であるが、本実施態様においては、光吸収層5が設けられているから、光吸収層5が発熱し、光吸収層5で生成された熱が、分解反応層7に伝達され、分解反応層7の温度が上昇する。
こうして、分解反応層7が、白金酸化物の分解温度以上に加熱され、分解反応層7に主成分として含まれている白金酸化物が、白金と酸素に分解される。
その結果、図4に示されるように、白金酸化物が分解して、生成された酸素ガスによって、分解反応層7中に、空洞7aが形成され、白金の微粒子7bが空洞7a内に析出する。
同時に、図4に示されるように、酸素ガスの圧力によって、光吸収層5および第二の誘電体層6とともに、分解反応層7が変形する。
こうして、空洞7aが形成され、光吸収層5、第二の誘電体層6および分解反応層7が変形した領域は、他の領域とは異なる光学特性を有するため、空洞7aが形成され、光吸収層5、第二の誘電体層6および分解反応層7が変形した領域によって、記録マークが形成される。
こうして形成される記録マークおよび隣り合った記録マーク間のブランク領域の中には、λ/4NAよりも長さが短いものが含まれ、解像限界未満の記録マーク列が形成される。
本実施態様においては、光吸収層5が、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有するように構成されており、本発明者の研究によれば、かかる組成を有するように、光吸収層5を形成した場合には、光記録媒体1にデータを記録するときの記録感度を向上させることができるのが見出されている。
少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有するように、光吸収層5を形成した場合に、光記録媒体1にデータを記録するときの記録感度が向上する理由は、必ずしも明らかではないが、光吸収層5に、6原子%ないし60原子%のTeを含有させることや、光吸収層5が、菱面体の結晶構造を有することにより、光吸収層5の熱伝導性やレーザビームに対する吸収率を高めることができたのではないかと推測される。
したがって、本実施態様によれば、光記録媒体1に、所望のように、データを記録することができ、また、レーザビームの記録パワーPwを低下させることができるから、光記録媒体1の耐久年数の低下を効果的に防止することが可能になる。
また、本実施態様においては、分解反応層7が、分解温度が高い白金酸化物を主成分として含んでいるから、記録パワーPwに設定されたレーザビームを照射して、記録マークを形成する際に、レーザビームが照射された領域から、熱が周囲の分解反応層7に拡散した場合にも、レーザビームが照射された領域以外の領域で、白金酸化物の分解反応が生じることが防止され、したがって、分解反応層7の所望の領域に、空洞7aを形成して、記録マークを形成することが可能になる。
こうして、光記録媒体1にデータが記録され、光記録媒体1に記録されたデータは、以下のようにして、再生される。
光記録媒体1に記録されたデータを再生するに際しては、390nmないし420nmの波長λを有するレーザビームを、0.7ないし0.9の開口数NAを有する対物レンズによって、光記録媒体1に集光させる。
本発明者の研究によれば、分解反応層7に空洞7aが形成されるとともに、白金の微粒子7bが空洞7a内に析出して、記録マークが形成され、データが記録された場合には、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満であるときにも、データが再生可能であることが見出されている。
分解反応層7に空洞7aが形成されるとともに、白金の微粒子7bが空洞7a内に析出して、記録マークが形成され、データが記録された場合に、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満であるときでも、データを再生することができるという理由は必ずしも明らかではないが、空洞7a内に析出した白金の微粒子7bに、再生用のレーザビームが照射されることにより、近接場光が発生し、解像限界がなくなったためか、あるいは、空洞7a内に析出した白金の微粒子7bと、照射されたレーザビームとの相互作用によって、解像限界が小さくなったためではないかと推測される。
また、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満であるデータを再生するには、通常よりも高い再生パワーPrのレーザビームを照射する必要があるが、本実施態様においては、分解反応層7が、分解温度が高い白金酸化物を主成分として含んでいるから、高い再生パワーPrのレーザビームが照射されて、データが再生される場合にも、白金酸化物が白金と酸素に分解されるおそれがなく、したがって、繰り返し、光記録媒体1に記録されたデータを再生しても、記録マークの形状が変化することはなく、また、記録マークが形成された領域以外の領域に、新たに空洞が形成されることもないから、光記録媒体1の再生耐久性を向上させることが可能になる。
また、本実施態様においては、光吸収層5が、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有するように構成されており、本発明者の研究によれば、かかる組成を有するように、光吸収層5を形成した場合には、記録マーク列を構成する記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが解像限界未満である記録マーク列によって、構成されたデータを再生するときの再生感度を向上させることができるのが見出されている。
したがって、本実施態様によれば、記録マークの長さや、隣り合う記録マーク間のブランク領域の長さが、解像限界未満である場合にも、これらの記録マークおよびブランク領域を含む記録マーク列により構成されたデータを、感度良く、再生することができ、また、レーザビームの再生パワーPrを低下させることができるから、光記録媒体1の再生耐久性を、より一層、向上させることが可能になる。
また、本実施形態においては、支持基板2上に、反射層3が形成されており、再生パワーPrに設定されたレーザビームが照射されたときに、レーザビームによって与えられた熱を、反射層3によって、レーザビームが照射された箇所から周囲へ拡散することができる。したがって、光記録媒体1が過剰に加熱されることを確実に防止することができ、光記録媒体1に記録されたデータが劣化するのを防止することが可能になる。
さらに、支持基板2上に、反射層3が形成されている場合には、反射層3の表面によって、反射されたレーザビームと、反射層3上に積層された層によって、反射されたレーザビームとが干渉し、結果として、再生信号を構成する反射光の光量が大きくなるので、再生信号のC/N比を、より一層、向上させることも可能になる。
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例を掲げる。
実施例1
1.1mmの厚さと120mmの直径を有するポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、ポリカーボネート基板上に、Ptターゲットを用いて、スパッタリング法により、20nmの厚さを有する反射層を形成した。
次いで、反射層の表面に、ZnSとSiOの混合物をターゲットとして、スパッタリング法により、100nmの厚さを有する第三の誘電体層を形成した。ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20のターゲットを使用した。
次いで、第三の誘電体層の表面に、Sb、Teをターゲットとして、スパッタリング法により、20nmの厚さを有する光吸収層を形成した。光吸収層の組成は、原子比で、Sb94Teとした。
次いで、第三の誘電体層の表面に、ZnSとSiOの混合物よりなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、60nmの厚さを有する第二の誘電体層を形成した。ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20のターゲットを使用した。
次いで、第二の誘電体層の表面に、Arガスと酸素ガスとの混合ガスをスパッタリングガスとして用い、Ptターゲットを用いて、スパッタリング法により、白金酸化物を主成分として含み、4nmの厚さを有する分解反応層を形成した。
次いで、分解反応層の表面に、ZnSとSiOの混合物よりなるターゲットを用いて、スパッタリング法により、70nmの厚さを有する第一の誘電体層を形成した。ZnSとSiOの混合物ターゲットとしては、ZnSとSiOのモル比が80:20のターゲットを使用した。
最後に、第一の誘電体層の表面上に、紫外線硬化性アクリル樹脂をスピンコート法により、塗布して、塗膜を形成し、これに、紫外線を照射して、100μmの光透過層を形成した。
こうして、サンプル#1を作製した。
次いで、光吸収層の組成を、原子比で、Sb86Te14とした点を除き、サンプル#1と同様にして、サンプル#2を作製した。
さらに、光吸収層の組成を、原子比で、Sb77Te23とした点を除き、サンプル#1と同様にして、サンプル#3を作製した。
次いで、光吸収層の組成を、原子比で、Sb40Te60とした点を除き、サンプル#1と同様にして、サンプル#4を作製した。
さらに、光吸収層の組成を、原子比で、Sb100とした点を除き、サンプル#1と同様にして、比較サンプル#1を作製した。
次いで、サンプル#1を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、波長が405nmの青色レーザビームを、記録用レーザビームとして用い、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、レーザビームを、光透過層を介して、集光した。こうして、以下の条件で、サンプル#1の分解反応層に、解像限界である120nmより小さい75nmの記録マークを、形成して、データを記録した。データを記録するにあたっては、レーザビームの記録パワーPwを、3.0mWに設定した。
記録線速度:4.9m/s
記録方式:オングルーブ記録
次いで、レーザビームの記録パワーPwを、3.0mWないし11.0mWの範囲で、少しずつ、上げていき、順次、サンプル#1の分解反応層に、75nmの記録マークを形成し、データを記録した。
さらに、サンプル#1と同様にして、サンプル#2ないし比較サンプル#1の分解反応層に、75nmの記録マークを、順次、形成し、データを記録した。
データの記録後、同じ光記録媒体評価装置を用いて、サンプル#1ないし比較サンプル#1に記録されたデータを再生し、再生信号のC/N比を測定した。サンプル#1ないし比較サンプル#1に記録されたデータを再生するにあたっては、レーザビームの再生パワーを、それぞれ、2.6mW、2.4mW、2.6mW、1.8mWおよび3.4mWに設定し、再生線速度を、いずれも、4.9m/sに設定した。
サンプル#1ないし比較サンプル#1における再生信号のC/N比とレーザビームの記録パワーPwとの関係を示すグラフが、それぞれ、図5の曲線AないしEに示されている。
図5の曲線AないしCに示されるように、サンプル#1ないし#3においては、再生信号のC/N比が最も高くなった記録マークを形成したときの記録パワーPwが約7.0mWであり、また、図5の曲線Dに示されるように、サンプル#4においては、再生信号のC/N比が最も高くなった記録マークを形成したときの記録パワーが約6.0mWであった。これに対し、図5の曲線Eに示されるように、比較サンプル#1においては、再生信号のC/N比が最も高くなった記録マークを形成したときの記録パワーPwが約8.0mWであり、6原子%ないし60原子%のTeを含有させたサンプル#1ないし#4においては、記録感度を向上させることができるのが認められた。
次いで、データが記録されたサンプル#1を、上述の光記録媒体評価装置にセットし、レーザビームの再生パワーPrを1.0mWに設定して、7.0mWの記録パワーPwで記録されたデータを再生し、再生信号のC/N比を測定した。さらに、レーザビームの再生パワーPrを、1.0mWないし3.6mWの範囲で、少しずつ、上げていき、順次、7.0mWの記録パワーPwで記録されたデータを再生して、再生信号のC/N比を測定した。
次いで、サンプル#1と同様にして、レーザビームの再生パワーPrを、1.0mWないし3.6mWの範囲で、少しずつ、上げていき、順次、サンプル#2ないし比較サンプル#1の分解反応層に記録されたデータを再生して、再生信号のC/N比を測定した。サンプル#2ないし比較サンプル#1に記録されたデータを再生するにあたっては、それぞれ、7.0mW、7.0mW、6.0mW、および8.0mWの記録パワーPwで記録されたデータを対象とした。
サンプル#1ないし比較サンプル#1における再生信号のC/N比とレーザビームの再生パワーPrとの関係を示すグラフが、それぞれ、図6の曲線AないしEに示されている。
図6の曲線AないしDに示されるように、サンプル#1ないしサンプル#4においては、再生信号のC/N比が約30dB以上となるときの再生パワーPrが、それぞれ、約2.2mW、約2.2mW、約2.0mWおよび約1.2mWであった。これに対し、図6の曲線Eに示されるように、比較サンプル#1においては、再生信号のC/N比が約30dB以上となるのときのレーザビームの再生パワーPwが約3.3mWであり、6原子%ないし60原子%のTeを含有させたサンプル#1ないし#4においては、データを再生するときのレーザビームの再生パワーPrを低くすることができるのが認められた。
また、図6の曲線AないしDに示されるように、サンプル#1ないし#4においては、最も高い再生信号のC/N比が、それぞれ、約37dB、約35dB、約40dBおよび約35dBであり、高いC/N比の再生信号を得られることも判明した。
実施例2
まず、サンプル#1と同様にして、ポリカーボネート基板を形成し、ポリカーボネート基板の表面上に、反射層および第三の誘電体層を、順次、形成した。
次いで、第三の誘電体層の表面に、Sb、Teをターゲットとして、スパッタリング法により、20nmの厚さを有する光吸収層を形成した。光吸収層の組成は、原子比で、Sb75Te25とした。
さらに、サンプル#1と同様にして、光吸収層の表面上に、第二の誘電体層、分解反応層、第一の誘電体層および光吸収層を形成し、こうして、サンプル#5を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、Ag5.9In4.4Sb61.1Te28.6とするとともに、厚さを60nmにした点を除き、サンプル#5と同様にして、サンプル#6を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、Sb73.5Te18.0Ge6.5Tb2.0とした点を除き、サンプル#5と同様にして、サンプル#7を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、GeSbTeとした点を除き、サンプル#5と同様にして、比較サンプル#2を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、GeTeとした点を除き、サンプル#5と同様にして、比較サンプル#3を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、AgSbTeとした点を除き、サンプル#5と同様にして、比較サンプル#4を作成した。
光吸収層の組成を、原子比で、TeSnとした点を除き、サンプル#5と同様にして、比較サンプル#5を作成した。
次いで、スライドガラス基板を、スパッタリング装置にセットし、サンプル#5の光吸収層を形成したときと同じ成膜条件で、Sb75Te25の組成を有し、20nmの厚さを有する光吸収層を、スライドガラス基板の表面上に形成して、サンプル#5−1を作成した。さらに、サンプル#5−1を250℃の雰囲気中で、10分間、加熱し、光吸収層を結晶化させた。
次いで、理学電気株式会社製のX線回析装置「ATX-G」(商品名)を用いて、サンプル#5−1につき、光吸収層の構造を解析した。この結果、サンプル#5−1の光吸収層は、菱面体の結晶構造を有することが認められた。
次いで、サンプル#6ないし比較サンプル#5につき、サンプル#5−1と同様にして、それぞれ、各サンプルの光吸収層と同一の原子組成を有し、20nmの厚さを有する光吸収層を、スライドガラス基板の表面上に形成し、サンプル#6−1ないし比較サンプル#5−1を作成した。
さらに、サンプル#6−1ないし比較サンプル#5−1につき、サンプル#5−1と同様にして、光吸収層を結晶化させた後に、上述のX線回折装置を用いて、光吸収層の構造を解析した。解析の結果、サンプル#6−1および#7−1の光吸収層においては、菱面体の結晶構造を有することが認められたのに対し、比較サンプル#2−1ないし#5−1の光吸収層においては、面心立方構造の結晶構造を有することが認められた。
次いで、サンプル#5ないし比較サンプル#5を、実施例1で用いた光記録媒体評価装置と同じ光記録媒体評価装置に、順次、セットし、波長が405nmの青色レーザビームを、記録用レーザビームとして用い、開口数NAが0.85の対物レンズを用いて、各サンプルの分解反応層に、75nmの記録マークを形成して、データを記録した。サンプル#5ないし比較サンプル#5にデータを記録するにあたっては、レーザビームの記録パワーPwを、それぞれ、8.5mW、8.5mW、9.0mW、8.0mW、7.0mW、7.0mWおよび6.0mWに設定し、記録線速度を、いずれも、4.9m/sに設定した。
データの記録後、同じ光記録媒体評価装置を用いて、サンプル#5ないし比較サンプル#5に記録されたデータを再生し、再生信号のC/N比を測定した。サンプル#5ないし比較サンプル#5に記録されたデータを再生するにあたっては、レーザビームの再生パワーPrを、それぞれ、2.6mW、2.6mW、2.4mW、2.0mW、2.4mW、2.6mWおよび2.0mWに設定し、再生線速度を4.9m/sに設定した。
測定結果は、表1に示されている。
Figure 2005216372
表1に示されるように、光吸収層が菱面体の結晶構造を有するサンプル#5および#7においては、再生信号のC/N比が、それぞれ、41.5dB、39.4dBおよび43.1dBであった。これに対し、光吸収層が菱面体以外の結晶構造を有する比較サンプル#2ないし#5においては、再生信号のC/N比が、それぞれ、22.9dB、27.6dB、13.3dBおよび23.2dBであった。これらの結果から、菱面体の結晶構造を有する光吸収層を設けた場合には、C/N比の高い再生信号を得られることが判明した。
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、図1および図2に示される実施態様にかかる光記録媒体1は、支持基板2を備え、支持基板2上に、反射層3と、第三の誘電体層4と、光吸収層5と、第二の誘電体層6と、分解反応層7と、第一の誘電体層8と、光透過層9とが、この順に、積層され、光透過層9の側から、レーザビームが照射されるように構成されているが、本発明は、これに限られるものではなく、たとえば、レーザビームを透過する光透過性基板を備え、光透過性基板上に、第一の誘電体層8と、分解反応層7と、第二の誘電体層6と、光吸収層5と、第三の誘電体層4とが順に積層され、光透過性基板の側からレーザビームが照射されるように構成されたDVD型の光記録媒体にも、適用することができる。
また、図1および図2に示される実施態様にかかる光記録媒体1においては、レーザビームの光入射面から、分解反応層7と、第二の誘電体層6と、光吸収層5とが順に積層されているが、本発明は、これに限られるものではく、たとえば、レーザビームの光入射面の反対側から、分解反応層7と、第二の誘電体層6と、光吸収層5とが順に積層されてもよく、あるいは、レーザビームの光入射面から、光吸収層と、誘電体層と、分解反応層と、誘電体層と、光吸収層とが順に積層されていてもよい。すなわち、本発明においては、光記録媒体が、分解反応層と、光吸収層とが、少なくとも誘電体層を挟んで形成された積層体を有していればよい。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略断面図である。 図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。 図3は、データが記録される前の光記録媒体の一部拡大略断面図である。 図4は、データが記録された後の光記録媒体の一部拡大略断面図である。 図5は、再生信号のC/N比とレーザビームの記録パワーPwとの関係を示すグラフである。 図6は、再生信号のC/N比とレーザビームの再生パワーPrとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 光記録媒体
2 支持基板
3 反射層
4 第三の誘電体層
5 光吸収層
6 第二の誘電体層
7 分解反応層
8 第一の誘電体層
9 光透過層

Claims (4)

  1. レーザビームが照射されて、データが記録され、再生されるように構成された光記録媒体であって、貴金属酸化物を主成分として含む分解反応層と、光吸収層とが、少なくとも誘電体層を挟んで形成された積層体を含み、前記光吸収層が、少なくともSbと、6原子%ないし60原子%のTeとを含み、菱面体の結晶構造を有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記貴金属酸化物が、白金酸化物によって構成され、前記レーザビームが照射されたときに、白金と酸素に分解されることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記基板上に、反射層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
  4. 前記誘電体層および前記光吸収層が、前記分解反応層に空洞が形成されるのに伴って、変形するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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