JP2005215673A - マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

Abstract

【課題】マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の有用な駆動方法を提供する。
【解決手段】複数の走査線を備えているとともに画像信号を入力してフレームを表示するマルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）の液晶表示装置（ＬＣＤ）の駆動方法であって、走査線の一つをイネーブルする工程と、その走査線をリセット処理するか否かを決定する工程と、リセット処理する場合にはその走査線の画素を低電圧によって駆動する工程と、リセット処理しない場合にはその走査線の画素を画像信号に応じて駆動する工程とを備える。
【選択図】図４

Description

本発明は、マルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）の液晶表示装置（ＬＣＤ）の駆動方法に関し、特に、マルチドメイン垂直配向型の液晶表示装置の残像現象を解決するための駆動方法に関する。

従来の陰極線管（ＣＲＴ）表示装置と比べて、フラットパネル表示装置はより明るくより薄型であることから、フラットパネル表示装置が表示装置の分野で次第に主流なりつつある。フラットパネル表示装置のなかでは、薄膜トランジスタ液晶表示装置（ＴＦＴ型ＬＣＤ）が、極めて重要な役割を果たしている。しかしながら、薄膜トランジスタ液晶表示装置は視野角が狭いことから、その適用例が限られている。

視野角がより広いという特徴を持つことから、表示装置産業ではマルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）液晶表示装置が盛んに研究されている。

図１（ａ）〜（ｃ）は、マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の画素の平面図を示している。画素の透明電極１１０には４つのドメイン１１２が含まれており、これら４つのドメイン１１２は相互に連結されている。図１（ａ）は、電圧が印加される前の画素１１０の概略図を示す。このとき、液晶分子１１０ａは透明電極１１０の平面に垂直であり、液晶分子１１０ａの一端点のみを平面図で見ることができる。図１（ａ)では、液晶分子１１０ａの一端点が円形の点で示されている。図１（ｂ）は、電圧が印加された後の画素１１０の概略図を示している。画素１１０に電圧が印加されると、液晶分子１１０ａは４つのドメイン１１２の中央に向かって傾くこととなり、ユーザはより広い視野角で表示画像を見ることが可能となる。

図２（ａ）〜（ｃ）は、他のマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の画素２０の平面図を示している。スリット２１が液晶表示装置の下側パネルに設けられており、突出部２２がＬＣＤの上側パネルに設けられている。図２（ａ）は、電圧が印加される前の画素２０の概略図である。図２（ｂ）は、電圧が印加された後の画素２０の概略図である。電圧が画素に印加されると液晶分子２０ａはそれぞれの電界方向に応じて傾くことから、複数のドメインが構成されることとなる。

しかしながら、電界やユーザの接触等によってマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置に外乱力が加わると、外乱力を受けた液晶分子が本来の方向に配向しなくなってしまい、表示装置の画面にムラが生じてしまう。図１（ｃ）および図２（ｃ）は、外乱力を受けた画素を示す概略図である。外乱力を受けることで液晶分子１１０ａ、２０ａの配向方向が乱されている。その結果、光の透過率が乱れて画面にムラが発現する。外乱力が取り除かれた後もムラは依然として画面に残ることから、ムラの残像現象という品質上の欠陥を招いてしまう。
本発明は、上記の課題を解決する。本発明により、残像現象を防ぐことができるマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の駆動方法を提供する。

本発明が提供する一つの駆動方法は、複数の走査線を備えているとともに、画像信号を入力してフレーム（画像）を表示するマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の駆動方法である。この駆動方法では、第１に、走査線の１つをイネーブルする。次いで、その走査線をリセット処理するか否かを決定する。リセット処理する場合には、その走査線に属するすべての画素を低電圧によって駆動する。リセット処理しない場合は、その走査線に属するすべての画素を画像信号に応じて駆動する。
ここでいうイネーブルとは、複数の画素に対する電圧信号に従って、画素電圧を調節する走査線を予め選択しておくことをいう。

画素電極に低電圧を印加することによって、本来とは異なる方向に配向している液晶分子は、画素電極に略垂直な状態に変化する。それにより、次に画像信号に応じた電圧を画素電極に印加したときに、液晶分子は本来の方向に正しく配向することができる。外乱力によって生じたムラは、表示画面に残ることなく取り除かれる。
リセット処理に用いる低電圧には、例えばゼロボルトを用いることができるが、ゼロボルトよりも高い電圧を用いることもできる。リセット処理に続いて画像信号に応じた電圧を画素電極に印加したときに、液晶分子が本来の方向に正しく配向すればよいことから、リセット処理に用いる低電圧を画像信号等に応じて生成するとよい。

本発明の他の目的、特徴、利点等をより明らかにするために、本発明を好適に実施した実施例について図面を参照して説明する。
マルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）液晶表示装置（ＬＣＤ）が、例えばユーザの接触による外力を受けた場合、表示画面にムラが現れる。図３（ａ）は、電圧が画素の液晶分子に印加される前の、自由エネルギＵと配向方向ＬＣとの間の関係を示す。定常状態にある場合、図中の点Ａで示すように、液晶分子は自由エネルギの最も低い点に位置する。このとき、液晶分子の配向方向は透明電極の平面に対して垂直である。図３（ｂ）は、例えば６ボルトの電圧が画素の液晶分子に印加された場合の、自由エネルギＵと配向方向ＬＣとの間の関係を示す。このとき液晶分子には、図中の点ＢおよびＢ’に示すように、２つの定常状態が存在しうる。電圧を受けた場合、通常、液晶分子は定常状態点Ｂに移動する。しかしながら外力を受けた後では、液晶分子が定常状態点Ｂ’に移動することがあり、配向方向が変化してしまう。外力が取り除かれた場合でも、電圧を受けている液晶分子は依然として定常状態点Ｂ’に留まることとなる。それにより、画素の透過率が変化してしまい、画面上の外力を加えた位置にムラが残る（残像）こととなる。

定常状態点Ｂ’にある液晶分子に、例えば０ボルトの低電圧が印加され、次いで６ボルトの画素電圧が印加された場合、液晶分子は定常状態点Ｂに示される状態となる。外力によって引き起こされたムラの影響は除去されることになり、表示画面は通常の状態に戻ることができる。本実施例の駆動方法は、このリセット原理を利用して、画面からムラの影響を除去するものである。

従来の液晶表示装置は、画像信号を受信し、受信した画像信号に従って画像を表示する。その駆動方法は、最初に、液晶画面の一つの走査線をイネーブルする。即ち、画素電圧を調節する走査線を選択する。次いで、イネーブルした走査線の各画素に、画像信号に応じて生成した画素電圧を、データ線を介して印加する。この動作を表示画面上の全ての走査線に順次行うことで、一つのフレーム（画像）が完成する。

図４は、本実施例によるマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の駆動方法のフローチャートを示している。この駆動方法では、第１に、液晶画面の一つの走査線をイネーブルする（ステップ３１０）。次に、リセット処理を実行するか否かを決定する（ステップ３２０）。リセット処理を実行する場合には、イネーブルした走査線の各画素を低電圧によって駆動する（ステップ３３０）。リセット処理を実行しない場合は、イネーブルした走査線の各画素を画像信号に応じた画素電圧によって駆動する（ステップ３４０）。

ステップ３３０のリセット処理では、例えばゼロボルトの低電圧が画素に印加される。それにより、液晶分子は、図３（ａ）の定常状態点Ａで示される最初の定常状態に戻ることができる。リセット処理された走査線は、次の画像（次のフレーム）を表示する際に、再びイネーブルされる。このとき液晶分子は、印加された画素電圧に応じて、適正な定常状態を実現することができる。外乱力によって生じたムラは、リセット処理によって取り除かれる。リセット処理に必要な時間は非常に短く、人の目で認識することは困難であり、画質に影響を与えることはない。

全ての走査線が２秒毎にリセット処理されれば、ムラを２秒以内に除去することができる。例えば６０Ｈｚのリフレッシュレートの場合、すなわち、一秒当たり６０フレームを表示する液晶表示装置の場合、全ての走査線を２秒毎にリセット処理する１つの方法は、画素を低電圧で駆動するリセット処理用のフレームを、２秒間に表示する１２０フレーム毎に１枚介在させることである。それにより、１２０フレームを表示する度に一度、フレームをリセット処理することが決定され、フレームを低電圧によって表示するリセット処理が行われる。即ち、各走査線は１２０回イネーブルされる度に一度、リセット処理することが決定され、各走査線の各画素が低電圧で駆動されるリセット処理が行われる。

全ての走査線を２秒毎にリセットする別の方法は、一つのフレームを表示する度にいくつかの走査線をリセット処理し、１２０フレームが表示された時点で全ての走査線がリセット処理されているようにする方法である。例えば、複数の走査線を通常グループとリセット処理グループとにグループ分けし、通常グループの走査線は本来の画像信号に応じて駆動し、リセット処理グループの走査線はリセット処理用の低電圧で駆動する。一つのフレームを表示する度に、いくつかの走査線を順にリセット処理グループに配属することで、１２０フレームが表示された時点で全ての走査線にリセット処理を行うことができる。
例えば１０２４走査線の液晶画面の場合、一つのフレームを表示する度に９本の走査線（１０２４／（６０×２）≒９）をリセット処理すればよい。この場合、各フレームを表示する際に、９走査線がリセット処理グループに属し、１０１５走査線が通常グループに属することとなる。リセット処理グループに属する９本の走査線を、フレームを表示する度に順次変更していくことによって、全ての走査線を２秒以内にリセット処理することができ、ムラを２秒以内に除去することができる。

上記の実施例では、リセット処理を行うための低電圧にゼロボルトを用いているが、リセット処理に必要な低電圧は必ずしもゼロボルトに限られない。必要なリセット低電圧は、例えば画素のグレー値によって異なる。各グレー値に対する必要なリセット低電圧は実験などによって求めることができ、各グレー値に対する必要なリセット低電圧を記録した基準表等を用意しておくことができる。駆動プロセス中に、リセット処理に必要な低電圧値を、基準表や画像信号等に基づいて決定することもできる。

本実施例によるマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の駆動方法によって、外乱力によって形成されたムラを速やかに除去することができ、高品質の液晶表示装置を提供することが可能となる。

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の画素の平面図である。 別のマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置の画素の平面図である。 液晶分子の自由エネルギＵと配向方向ＬＣとの間の関係を示す図。 実施例の駆動方法の流れを示すフローチャートである。

符号の説明

２０・・画素
２０ａ・・液晶分子
２１・・スリット
２２・・突出部
１１０・・透明電極
１１０ａ・・液晶分子
１１２・・ドメイン
Ａ・・電圧が印加されないときの正常な定常状態点
Ｂ・・電圧が印加されたときの正常な定常状態点
Ｂ’・・電圧が印加されたときの別の定常状態点

Claims (6)

1. 複数の走査線を備えているとともに画像信号を入力してフレームを表示するマルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）の液晶表示装置（ＬＣＤ）の駆動方法であって、
   走査線の一つをイネーブルする工程と、
   その走査線をリセット処理するか否かを決定する工程と、
   その走査線をリセット処理する場合には、その走査線の画素を低電圧によって駆動する工程と、
   その走査線をリセット処理しない場合には、その走査線の画素を画像信号に応じて駆動する工程と、
   を備える駆動方法。
2. 前記液晶表示装置が順次表示する複数のフレームのうちに、すべての走査線の画素を低電圧で駆動するフレームを介在させることを特徴とする請求項１の駆動方法。
3. 前記液晶表示装置が複数のフレームを順次表示する際に、各フレームを表示する毎に一部の走査線の画素を低電圧で駆動することを特徴とする請求項１の駆動方法。
4. 複数の走査線を備えているとともに画像信号を入力してフレームを表示するマルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）の液晶表示装置（ＬＣＤ）の駆動方法であって、
   フレームをリセット処理するか否かを決定する工程と、
   そのフレームをリセット処理する場合には、低電圧によってフレームを表示し、
   そのフレームをリセット処理しない場合には、画像信号に応じてフレームを表示する工程と、
   を備える駆動方法。
5. 複数の走査線を備えているとともに画像信号を入力してフレームを表示するマルチドメイン垂直配向型（ＭＶＡ）の液晶表示装置（ＬＣＤ）の駆動方法であって、
   複数の走査線を、通常グループとリセット処理グループとにグループ分けする工程と、
   通常グループに属する走査線の画素を画像信号に応じて駆動する工程と、
   リセット処理グループに属する走査線の画素を低電圧によって駆動する工程と、
   を備える駆動方法。
6. 前記低電圧が、前記画像信号に応じて生成されることを特徴とする請求項１から５のいずれかの駆動方法。

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