JP2005214950A - 溶融金属内部温度測定用放射温度計 - Google Patents

溶融金属内部温度測定用放射温度計 Download PDF

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耕吉 大山
Eiji Otani
▲えい▼次 大谷
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Abstract

【課題】 高温溶融金属の融液内部の温度を、融液中の熱放射から測定する溶融金属内部温度測定用放射温度計において、厚紙製の保護管の含有する水分により、保護管内部に発生する水蒸気による測定結果への影響を防ぎ、正確な融液内部温度の測定をはかる。
【解決手段】 放射温度センサー1に金属パイプ2を取り付け、金属パイプ2の先端に、金属ふた3を具備する保護管を接続継手5を介して装着し、保護管の先端を溶融金属内部に挿入することで、溶融金属内部の温度を測定する機構において、金属パイプ2の先端に熱容量の大きな中空孔を有する水蒸気防禦体6を接続継手5を介して設置することで水蒸気の影響を防ぎ、正確な温度を測定する。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
本発明は、鉄鋼業あるいは金属精錬業において行われる溶融金属内部温度の測定法に係わり、より詳しくは、放射温度計を使用した溶融金属の高温融液内部の温度の測定法に関する。
従来製鋼反応等高温溶融金属の融液の温度測定には、熱電対によるものや、放射温度計によるものが使われている。熱電対によるものでは、消耗型浸漬熱電対を用いる方法が、放射温度計によるものでは、溶融金属表面からの熱放射にもとずく方法がもっぱら用いられている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、熱電対の方法による消耗型浸漬熱電対使用では、高価な高温用熱電対を使い捨てすることになり、不経済であるという問題があった。また、放射温度計による測定では、溶融金属液内部の温度ではなく、その表面の温度を検出しているという問題があった。放射温度計による測定でのこの問題を解決するため、放射温度センサーに金属パイプを介して耐熱保護管を取り付け、これを融液中に挿入して融液の温度を測定する方法が考えられた。しかし、これにも次のような問題点があった。つまり、保護管として厚紙製のものを使用した場合、紙に含まれる水分の蒸発による水蒸気の発生と、保護管内部に発生する煙や粉塵などによる影響である。これらの影響は、温度の測定結果に多大な誤差をもたらすという問題である。
本発明は放射温度計を使用し、これに耐熱保護管を金属パイプその他を介して取り付け、保護管の先を溶融金属中に挿入することにより融液内部の温度を測定する方法において、保護管内部での水蒸気の発生及び発生する煙や粉塵などによる測定結果への影響を防ぎ、正確な温度を測定することを目的としている。
課題を解決するための手段
上記目的を達成するために、本発明の溶融金属内部温度測定用放射温度計においては、放射温度計の温度検出部に長尺の金属パイプを取り付け、この金属パイプの先端に、測定状況に応じて付着される金属製のふたを具備した保護管を取り付け、更に、金属パイプの先端に、中心線に沿った中空孔を有し、その外面と保護管内面との間に十分な間隔をとるような、熱容量の大きな物体からなる水蒸気防禦体を設置した。
本発明の溶融金属内部温度測定用放射温度計は、一端に放射温度センサーを有する金属パイプの他端に、水蒸気防禦体と保護管を設置し、この保護管の先を測定対象となる溶融金属内部に短時間挿入することで、溶融金属液の温度を測定するものである。溶融金属表面にスラッグのある状態では、溶融金属内で短時間で溶融するような金属製のフタを具備する保護管を使用する。保護管先端を溶融液中に挿入する時、パイプ内は密状態にしてあるので、パイプ内への融液の侵入は空気圧により阻まれ、保護管の先端部分に融液の面が出現する。この融液面は融液の内部温度を有する。この面から放射される熱放射光は水蒸気防禦体の中空孔を通過し、透明な防禦ガラスを通過して放射温度センサーに至り、融液内部温度が測定される。
保護管の材料として厚紙が使われた保護管を使用する場合、溶融金属温度測定のため、溶融金属中に保護管の先端部を挿入する時、融液は高温であるため、厚紙に含有されている水分が水蒸気としてはきだされ、この水蒸気は保護管内部に充満する。この充満した水蒸気は、同時に発生する煙などの粉塵とともに、融液面から発して放射温度センサーへ向かう熱放射光の進路を妨害し、測定結果に影響を与える。本発明における、保護管内に熱容量の大きな物体からなる水蒸気防禦体の金属パイプ先端への設置は、保護管内に発生する水蒸気を、市上記防禦体の表面に露滴としてとらえ、合わせて発生する煙などの粉麈も露滴中に捕獲することにより、熱放射光の進路上の妨害物を除去することで、温度の測定結果が正確なものとなる。
放射温度センサーと保護管をつなぐ金属パイプは、高温の溶融金属と放射温度センサーとを熱的に引き離す働きをするとともに、測定対象部分以外からの熱放射光の影響を排除する働きをする。金属パイプと放射温度センサー及び取り付け部分は、空気が漏れないように気密性をもたせる。
金属パイプの先端に取り付けられる保護管の役割は、測定において、保護管の先を融液中に短時間挿入したときの、金属パイプとの断熱と、溶融金属による金属パイプの損傷防止を目的とする。保護管は容易に交換可能なもので消耗品であり、保護管と金属パイプの間の取り付けは気密性を要する。
保護管に取り付けられる金属製のふたは、溶融金属と同じか、それに影響を与えない材料のものであり、溶融金属中に挿入して短時間に溶けるものである。ふたの役割は、測定される溶融金属の表面がスラッグで覆われている場合の、それの影響を避けるためのものである。
本発明の実施の形態を実施例にもとずき図面を参照して説明する。
図1において放射温度センサー1は、長尺の金属パイプ2に取り付けられる。この取り付けには、測定時の溶融金属液のパイプ内への流入を防ぐため、パイプ内の空気圧を確保するように気密性を保つ。金属パイプの役割は、温度センサーを高温の融液から引き離すことと、測定熱源以外からの熱放射光の温度センサーへの侵入を防ぐことである。
放射温度センサーで検出された温度信号は、接続ケーブル9を通して温度計本体10に送られる。接続ケーブルには、測定環境下での電気的ノイズ対策の施されたものを使用する。
金属パイプの測定側には、接続継手5を介して保護管4が取り付けられる。金属パイプと接続継手、接続継手と保護管の取り付けには気密性が保たれるようにする。保護管は主として厚紙製の筒であり、測定時における融液温度の金属パイプへの伝導を防ぐ役割を果たす。保護管の取り付け交換は容易にできる構造のものである。また、保護管は測定において消耗品である。
保護管の先端には金属製のふた3が取り付けられる。金属製のふたは、測定状況に応じて使用され、測定する溶融金属の表面がスラッグで覆われている場合は、これを避けるために必要である。金属製のふたは、測定のために融液中に保護管を挿入した時、短時間に融解するか、又は融液温度になるものである。
保護管4として厚紙製のものが使用される場合、測定のため保護管の先端部分が溶融金属内中に挿入されると、紙が含有している水分が吐き出され、水蒸気となって保護管内部に充満する。またこの時、煙などの粉塵も内部に発生する。これらは、測定される融液面から放射され温度センサー1に向かう放射光の進路を阻む。このことは、温度の即手結果に好ましくない影響を及ぼす。そこで、この影響を除去する対策として、熱放射光の通路を中空とした熱容量の大きな金属物体を保護管内部に設置して、保護管内部に発生充満する水蒸気を金属物体の表面で露結させ、水滴として捕らえることで消去する方法を考えた。この方法として金属パイプ2の先端に、中心線に沿った中空孔を有する水蒸気防禦体6を設置した。図2は、その設置状態を示す。視上記防禦体6は、金属パイプ2の先端に接続継手5を介して接続される。これにより、保護管内部に発生充満する水蒸気は、水蒸気防禦体6の表面、つまり、中空孔表面、水蒸気防禦体の外面及び側面で露結し、水滴となって捕らえられる。同時に水滴は煙等の粉塵も抱き込んで捕らえる。この結果、熱放射光の進路の妨害要素は除去される。さらに水蒸気防禦体6には、それと気密性を有するように取り付けられた透明な防禦ガラス7が取り付けてある。これにより、保護管4の内部から金属パイプ2への水蒸気の流出を防いでいる。
測定において、測定融液面から放射される熱放射光は、保護管4、水蒸気防禦体6,金属パイプ2の中を、2つの経路を経て放射温度センサー1へ向かって進行する。1つは放射温度センサーへ直進する経路。もう1つは、反射の繰り返しで温度センサーに至る経路である。反射の繰り返しでセンサーに至る経路は種々の要因に影響を受けやすいので、直進の経路をとる熱放射光成分を測定信号として検出するのが望ましい。この目的で、反射光遮蔽板8が熱放射光の進路上に図2のように設置される。この反射光遮蔽板8は状況によっては、水蒸気防禦体6の空孔内に設置されることもある。
発明の効果
本発明に係わる溶融金属内部温度測定用温度計を使用して、鋳鉄溶融液の温度測定を行った。まず、水蒸気防禦体を設置しない温度計を使用して、保護管の先端を融液中に浸すと、ほどなく保護管内部に水蒸気の発生が認められ、この発生水蒸気は、測定結果に多大な誤差をもたらした。次に、水蒸気防禦体を設置した温度計を使用して溶融金属温度を測定した。水蒸気防禦体の効果は著しく、保護管内部の発生水蒸気は水滴として捕らえられ、合わせて、煙などの粉塵も水滴に取り込まれることで、温度測定結果への影響が無くなり、安定した測定結果が示された。このことより、保護管として厚紙製のものが使用される場合に生ずる水蒸気による測定結果への影響の除去は、目的通り達成された。
ちなみに、生産現場の溶融鉄を対象にして、本発明によるものと従来から行われている熱電対によるものとで、種々の条件の下に数多く繰り返し比較測定した結果は、遜色ないものであった。
このような本発明による溶融金属内部温度測定用放射温度計の使用によれば、金属ふた付き保護管を交換するだけで、高温の金属融液内部の温度測定が可能となり、経済的効果が大きい。また、この形式の放射温度計の使用によると、保護管として厚紙製のものが使用される場合、厚紙の含有する水分により水蒸気が保護管内部に充満し、これが測定結果に悪影響を及ぼすという問題があったが、これを排除し、安定した測定結果を得られることになる。
本発明による溶融金属内部温度測定用放射温度計の全体構成図である。 水蒸気防禦体を設置した実施例を示す縦断面図である。
符号の説明
1 放射温度センサー
2 金属パイプ
3 金属ふた
4 保護管
5 接続継手
6 水蒸気防禦体
7 防禦ガラス
8 反射光遮蔽板
9 接続ケーブル
10 温度計本体

Claims (4)

  1. 放射温度センサー(1)の熱放射光検出部に金属パイプ(2)と接続継手(5)を介して、金属パイプの先端に金属製のふた(3)を具備する保護管(4)を装着し、金属パイプの先端には防禦ガラス(7)を有する水蒸気防禦体(6)を設置し、保護管の先端を溶融金属内部に挿入することで、短時間に溶融金属内部温度を測定する溶融金属内部温度測定用放射温度計。
  2. 保護管(4)の内部に発生する水蒸気及び保護管内部に存在する粉麈による温度測定結果への影響を除去するため、中心線に沿った中空孔を有し、その外面と保護管内面との間に十分な間隔を持つ熱容量の大きな物体からなる水蒸気防禦体(6)を金属パイプ(2)の先端に設置する請求項1記載の溶融金属内部温度測定用放射温度計。
  3. 水蒸気防禦体(6)と防禦ガラス(7)との接合部分は、水蒸気防禦体の中空孔内の空気が漏れないような気密性を有する請求項1記載の溶融金属内部温度測定用放射温度計。
  4. 金属パイプ(2)の先端に接続継手(5)を介して取り付けられる保護管(4)は、取り付け時において、接続継手(5)と金属パイプ(2)との間の気密性を良好にする請求項1記載の溶融金属内部温度測定用放射温度計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104501962A (zh) * 2014-12-11 2015-04-08 中国航天空气动力技术研究院 液体测温系统
KR20160106636A (ko) * 2014-01-08 2016-09-12 베수비우스 그룹, 에스. 에이. 광 고온계

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CN104501962A (zh) * 2014-12-11 2015-04-08 中国航天空气动力技术研究院 液体测温系统

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