JP2005214237A - 固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然ガスを貯蔵するに際して固相メタンを利用することにより、ボイルオフガス発生の問題を解決してなる天然ガスの貯蔵方法及びそのための装置を得る。
【解決手段】固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法であって、天然ガスまたは液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法及びそのための装置。本発明は固相メタンを利用するメタンの貯蔵方法としても適用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法及び装置に関し、より詳しくは固相メタンを利用して天然ガスまたはメタンの貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制する天然ガスまたはメタンの貯蔵方法及びそのための装置に関する。
ガスは、気体の状態のままでは非常に大きい体積を有し且つ比重が小さい。このためガスの貯蔵や輸送に際しては、その貯蔵効率や輸送効率を上げるためにガスの体積を小さくし密度を上げる方法が採られ、この方法として(1)液化天然ガス、液体窒素、液体酸素などのようにガスを冷却液化する方法、(2)高圧ガスボンベなどで見られるように気体のままで高圧に圧縮する方法、(3)シリカゲル、活性炭などの固体吸着剤に吸着させる方法(特開昭49ー104213号公報等)など、各種方法が知られている。
特開昭49ー104213号公報
しかし、これらの方法のうち、(1)の冷却液化法は、ガスを圧縮し、冷却して液化する必要があり、このためのコストが非常に大きいだけでなく、得られた液化ガスを保冷するために別途特殊な設備が必要となる。しかもこの方法による場合、下記(2)の場合と同じく法的規制の対象とされているため、この冷却液化法を適用してもなお経済的に成り立つのは、ヘリウムなどの価値が高いガスやスケールメリットの大きい液化天然ガスなどの場合に限られる。また、(2)の圧縮による方法では、貯蔵容器に十分な耐圧強度が要求されるため、容器の重量が貯蔵しようとするガスの重量に比ベて非常に大きくなる欠点がある。特にガスの圧力が10.68気圧(ゲージ圧で10kg/cm2 )を超える場合には、高圧ガス取締法で規定された仕様を満たす材料、装置、配管などが要求され、そのための費用が大きくなる。
さらに、(3)の固体吸着剤に吸着させる方法の場合、これは固体表面へのガスの物理吸着による吸蔵であるが、この方法は圧力との平衡現象を利用するものであるため吸着速度が遅く、しかも十分な吸蔵量を得るには相当の加圧が必要となる。この方法によれば、前述(2)の高圧ボンベによる方法に比べれば低圧でガス貯蔵が可能であるが、それでも通常10.68気圧(ゲージ圧で10kg/cm2 )以上の圧力が要求される。
ところで、天然ガスは、メタンを主成分とするが、その産地等の如何により、特に石油系天然ガスや構造性天然ガスでは、メタンより重質のエタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素ガスが含まれている。天然ガスは、その輸送性及び貯蔵性を増すために前記(1)の方法のように冷却液化して船舶やタンクローリー、あるいはタンクコンテナー等で輸送され、港湾等の貯蔵サイトに設置された断熱容器すなわち貯槽に貯蔵される。しかし、液化天然ガスは、その主成分であるメタンの沸点が−161.49℃と低いため、貯槽で貯蔵する場合、外部からの熱侵入によってガスつまりボイルオフガスが発生する。
ボイルオフガスについては、その発生を防ぐために貯槽内を加圧したり、発生ガスを再度液化したり、あるいは発生ガスを外部に放散する等の処理を行う必要がある。しかし、貯槽内を加圧してその発生を防ぐためには加圧が必要であり、発生ガスの再度液化には動力が必要である。また、発生ボイルオフガスを外部に放散するのは地球温暖化の問題を生じ、その引火性による安全性の問題を生じるなど、取り扱いが難しい欠点があった。
そこで、本発明は、天然ガスまたはメタンを貯槽に貯蔵するに際して固相メタンと液相を混在させることにより、上記のようなボイルオフガス発生の問題を解決してなる天然ガスまたはメタンの貯蔵方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法であって、天然ガスまたは液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法を提供する。
また、本発明は、固相メタンを利用するメタンの貯蔵方法であって、メタンをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在したメタンとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用するメタンの貯蔵方法を提供する。
さらに、本発明は、固相メタンを利用した天然ガスの貯蔵装置であって、液化天然ガスを収容した貯槽と、該貯槽中の液化天然ガスを冷却装置に移送する管路と、該管路で移送した液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスを生成する冷却装置と、該冷却装置から固相と液相が混在した天然ガスを移送する管路と、該管路で移送した固相と液相が混在した天然ガスを貯蔵するための貯槽を備えてなることを特徴とする固相メタンを利用した天然ガスの貯蔵装置を提供する。
本発明によれば、天然ガスの貯蔵サイトにおいて、液化天然ガスの貯槽中でのボイルオフガスの発生を有効に抑制することにより、ボイルオフガスが発生する場合の発生ガスの再液化に必要な再液化装置の問題や、発生ガスの放散による地球温暖化の問題や、発生ガスの放散による引火性による問題を解決することができる。このため、本発明は、ボイルオフガスの自家消費、再液化装置の付設、あるいは廃棄、放散などが困難な場所であっても適用することができる。また、本発明は、天然ガス、メタン等の輸送、供給、消費といった各プロセスにおける天然ガス、メタン等の貯蔵にも利用することができる。
本発明は、固相メタンを利用する天然ガスまたはメタンの貯蔵方法及びそのための装置である。そして、天然ガス、液化天然ガス、メタンまたは液化メタンをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスまたはメタンとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする。
天然ガスをその主成分であるメタンの沸点まで冷却すると、メタンの液相が生成、出現し、さらに冷却すると、メタンの凝固点(−182.48℃)において固相が現れる。この点、メタンをそのように冷却する場合についても同様である。本発明においては、天然ガス、液化天然ガス、メタンまたは液化メタンをメタンの凝固点以下に冷却し、メタンの全てが固相となったもの、あるいは固相と液相が混在するものを貯槽すなわち断熱容器に貯蔵するものである。
天然ガスを液化天然ガス、すなわち液相の状態で断熱容器に貯蔵すると、貯蔵直後から外部からの侵入熱によってガス、つまりボイルオフガスの発生が始まる。ここで、侵入熱とは断熱容器の外部から不可避的に侵入する熱の意味である。これに対して、本発明によれば、侵入熱の一部は、固相から液相へ相転移する際の融解潜熱と相転移した液相が凝固点すなわち融点から沸点まで温度上昇する際の顕熱上昇によって消費された後に、液相からの蒸発に消費されることになるため、その分液相からの蒸発を遅らせることができる。
固相と液相の比率は、固相メタンの融解潜熱の利用率を考慮すれば、固相の占める割合が多い方が有利であり、天然ガスの成分のうちメタンの全部が固相メタンであってもよいが、移送する必要がある場合などに流体として取り扱う場合には、液相の比率を増やしてもよい。しかし、液相の比率を増やすと融解潜熱の利用率が低下するので、液相の比率は少ない方がよいことはもちろんである。また、メタンの凝固点以下への冷却後の移送については、流動性を保つためメタンを過冷却状態で移送するようにしてもよいが、天然ガスにエタン、プロパンが含まれている場合には、これらはメタンの凝固点でも液相状態であるので、その天然ガスをメタンの凝固点ないしその近傍の温度に冷却してメタンの全部を固相メタンにしても、液相を含む流体として移送することもできる。
すなわち、天然ガスの組成は、一例としてメタン=90.38%(mol%、以下同じ)、エタン=4.55%、プロパン=3.31%、i−ブタン=0.73%、n−ブタン=0.94%、i−ペンタン=0.03%、n−ペンタン=0.01%、窒素=0.05%である。このうちエタンの凝固点(−183.27℃)とプロパンの凝固点(−187.69℃)は、メタンの凝固点(−182.48℃)より低いので、エタンとプロパン(合わせて7.86%)はメタンの凝固点でも液相状態である。このため、エタンとプロパンの多寡にもよるが、メタンの全部を固相メタンに変えても、液相エタンと液相プロパンを含む流体として移送することもできる。
本発明においては、固相メタンと液相が混在した天然ガスとすることが必須であるが、上記のとおり、固相メタンの比率はそのらの事情に合わせて適宜設定することができる。本明細書及び特許請求の範囲における固相と液相が混在した天然ガスとはこの意味である。また、本発明における、メタンの凝固点以下への冷却の程度は、天然ガスに含まれるそれら成分の量的割合如何等をも考慮して適宜選定される。なお、n−ブタンの凝固点(−138.35℃)、i−ブタンの凝固点(−159.60℃)、n−ペンタンの凝固点(−129.79℃)はメタンの凝固点より高いので、天然ガスをメタンの凝固点以下に冷却するとそれら成分は固相として混在する。
図1は本発明の態様を説明する図である。1は貯槽、2は管路(導管)、3はポンプ、4は冷却装置、5は温度計、6は管路(導管)、7は移送ポンプ、8は連結手段、9は貯槽である。このうち貯槽1は、液化天然ガスの受け入れ基地、サテライト基地、液化天然ガス製造基地等に設置されるものである。貯槽1に貯蔵される液化ガスは、液化天然ガス自体のほか、液化メタンでも、ボイルオフガスを再液化した液化ボイルオフガスでもよい。この意味で、貯槽1に貯蔵される液化天然ガスには、液化天然ガス自体のほか、液化メタン、ボイルオフガスを再液化した液化ボイルオフガスが含まれる。
天然ガスは産地等で液化された状態で輸送され、一旦港湾等の受け入れ基地の貯槽1に貯蔵される。液化天然ガスは−162℃以下、厳密には−161.49℃以下の極低温の状態にあるが、外部からの侵入熱によって蒸発し易いため、貯槽1としては断熱性の貯槽を用いられる。この貯槽1は、断熱性の貯槽であれば特に制限はないが、金属二重殻構造をもつ真空断熱方式を採用したものであるのが好ましい。貯槽1は、本発明に係る天然ガスの貯蔵装置における「液化天然ガスを収容した貯槽」、「産地等から液化天然ガスとして輸送された液化天然ガスを受け入れるための貯槽」に相当している。貯槽1から、液化天然ガスを管路2によりポンプ3を介して冷却装置4に移送する。
管路2は、極低温の液化天然ガスを移送することができるもので、低温耐性を有し、高断熱性を有するものであればよく、それら条件を考慮して適宜選定して用いられる。ポンプ3は、貯槽1の内部に設けてもよく、断熱ケーシングに収めた外付けのポンプとして配置してもよい。冷却装置4は、液化天然ガスをメタンの凝固点ないしそれ以下まで降温できるものであれば特に制限はなく、例えば圧縮した後、断熱膨張させた冷媒により液化天然ガスを熱交換器を介して冷却する方法や、液化天然ガスの気化熱を利用したヒートポンプなどを用いることができる。冷却装置4は、本発明に係る天然ガスの貯蔵装置における「液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスを生成する冷却装置」に相当している。図2はその一例としてカスケード方式の冷却装置を示す図である〔日本機械学会編「機械工学便覧、応用編、B8」(社団法人日本機械学会、昭和60年6月10日発行)、p.70−71〕。
日本機械学会編「機械工学便覧、応用編、B8」社団法人日本機械学会、昭和60年6月10日、p.70−71
図2のとおり、天然ガスをE1、E2、E3及びE4の4個の熱交換器に順次通して冷却する。熱交換器E1〜E4において、天然ガスは冷媒により間接的に冷却される。熱交換器E1には、順次圧縮機、冷却器、膨張弁を備えるプロパンを冷媒とする閉回路が併置され、プロパンは、圧縮機で圧縮後、冷却器で冷却され(冷却器のための冷媒による冷却)、膨張弁V1での断熱膨張により冷却される。天然ガスは、熱交換器E1において、膨張弁V1で断熱膨張したプロパンによる冷熱により間接的に冷却される。以降、順次、エチレンを冷媒とする熱交換器E2、メタンを冷媒とする熱交換器E3及び窒素を冷媒とする熱交換器E4によりさらに間接的に冷却され、メタンの凝固点以下まで降温され、固相と液相が混在した流体(固相と液相が混在した天然ガス)を生成させる。
熱交換器E2、熱交換器E3及び熱交換器E4に併置される閉回路及びその操作は、冷媒がそれぞれエチレン、メタン及び窒素である点を除き、熱交換器E1に併置された閉回路の場合と同様である。該流体の形成は温度計5でモニターされる。また、固相と液相が混在した天然ガスとする天然ガスが、天然ガスではなく、液化天然ガス(すなわち既に液化された天然ガス)である場合には、メタンを冷媒とする熱交換器E3と窒素を冷媒とする熱交換器E4、あるいは窒素を冷媒とする熱交換器E4だけ、で足りるので、図2における熱交換器E1〜E2または熱交換器E1〜E3をカットした冷却装置で固相と液相が混在した天然ガスが得られる。なお、V5は、固相と液相が混在した天然ガスの流路に配置したバルブであるが、これを流量制御弁とし、その流量を制御することで固相と液相が混在した天然ガス中の固相メタン量を制御するようにすることもできる。
固相と液相が混在した流体は移送ポンプ7により管路6を通って貯槽9に移送される。貯槽9としては、貯槽1と同じく、断熱性の優れた貯槽を用いる。この貯槽9は、断熱性の優れた貯槽であれば特に制限はないが、金属二重殻構造をもつ真空断熱方式を採用したものであるのが好ましい。貯槽9は、本発明に係る天然ガスの貯蔵装置における「固相と液相が混在した天然ガスを貯蔵するための貯槽」に相当している。また、天然ガスの消費場所で貯槽9を使用するために、貯槽9は連結手段8で管路6と切り離すことができる。そのため連結手段8としては適宜切り離しができる構造の連結手段を用いる。貯槽9への侵入熱は、まず固相の融解潜熱及び液相の顕熱に相当する熱量分が吸収され、最終的に液相の気化熱として吸収される。したがって、固相の融解潜熱及び液相の顕熱のうちの前者の熱量、すなわち固相の融解潜熱は液化天然ガスのガス化に寄与しないため、一定の貯蔵期間におけるボイルオフガス量の発生を抑制することができる。
前述のとおり、天然ガスを液化天然ガスとして貯槽に貯蔵する場合、ボイルオフガスの発生を防止するために容器内を加圧したり、発生ボイルオフガスを再度液化したりする必要があるが、本発明によれば、天然ガスを固相と液相が混在した状態で貯槽に貯蔵することで、上記のようにボイルオフガスの発生が始まるまでの期間を十分長くすることができることから、その発生が始まるのに伴う容器内の加圧時までの期間や再液化時までの期間を十分長くすることができる。この場合、それら容器内の加圧や再液化に代えて、液化天然ガスからボイルオフガスの発生が始まる前に、貯槽中の液化天然ガスを再度冷却して固相と液相が混在した状態にして貯蔵するようにしてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例により制限されないことはもちろんである。本実施例において、貯槽としてはステンレス鋼製の二重殻構造をもつ真空断熱方式の貯槽を用い、冷却装置としては図2に示すような冷却装置を用いているが、他の方式の貯槽、冷却装置を用いる場合も同様である。
以下では、天然ガスが実質上メタンのみで構成されている場合の例を説明するが、主成分であるメタンのほか、エタン、プロパン、ブタン等の重質成分が含まれている場合についても同様である。すなわち、天然ガスには主成分であるメタンのほか、エタン、プロパン、ブタン等の重質成分が含まれているが、ブタンの凝固点(n−ブタン=−138.35℃、i−ブタン=−159.60℃)はメタンの凝固点より高く、また、エタンの凝固点(−183.27℃)、プロパンの凝固点(−187.69℃)は、メタンの凝固点より低いので、実質上メタンのみの場合と基本的に変わらない。
〈実施例1〉
100kgの天然ガスを、一旦凝固点まで冷却し、固相50kg、液相50kgの流体とする。融解潜熱量は13.9kcal/kg(メタンの凝固点−182.48℃における融解熱)×50kg(固相メタン)=695kcalである。また、−182.48℃の液化メタンが−161.49℃(メタンの沸点)の液化メタンになる際に吸収される熱量は、液体メタンの比熱が0.576kcal/kg・℃であることから、0.576×100×{(−161.49)−(−182.48)}=1209kcalとなる。
一方、1日あたりの貯槽への侵入熱量は、小型の断熱貯槽で液化天然ガスの蒸発率が3%/日である断熱性能を有するとすると、液体メタンの蒸発熱が122kcal/kgであるので、122×100×(3/100)=366kcal/日となる。したがって、潜熱回収等によって、蒸発ガスが発生するまでのリードタイムは、概ね(695+1209)/366=5.2日となり、液化ガスで貯蔵する場合に比べて、蒸発ガスの発生を約5日間遅延させることができる。これを1週間貯蔵する場合のガス総発生量でみると、液化ガスで貯蔵する場合には210kg蒸発するが、本発明の方法によりそれを54kgに削減することができる。
ここで、貯蔵開始時点における固相比率がさらに高くなれば、リードタイムつまり蒸発ガスが発生するまでの期間が延びて、ボイルオフガスの発生量の削減効果が大きくなる。図3はボイルオフガスの発生量と貯蔵経過日数との関係を示す図である。図3中、比較例としてメタンを液化ガスで貯蔵した場合のボイルオフガスの発生量を併記している。図3のとおり、液化メタンでの貯蔵の場合、ボイルオフガスの発生は貯蔵開始時から始まり、ボイルオフガスは経過日数に比例して増加する。
これに対して、固相50%(重量%)の固相と液相が混在したメタンの場合、貯蔵開始時から5日経過時まではボイルオフガスは発生しない。こうして、その発生を防ぐために貯槽を加圧する必要はなく、発生ガスの再度液化のための動力の必要はなく、発生ガスの外部放散による地球温暖化の問題やその引火性による問題も回避することができる。
〈実施例2〉
図4は、実施例1と同様にして、100kgの、固相と液相が混在したメタンについて、固相比率(重量比)が0から1の間の各比率で貯蔵した際の、貯蔵開始から一週間でのボイルオフガスの総発生量を示す図である。図4のとおり、固相比率=0、すなわち液化メタンのみの場合、貯蔵開始から一週間で、ボイルオフガスが11kg発生する。これに対して、固相比率=0.3、すなわち固相メタン30%の場合、ボイルオフガスが7.6kg発生し、また固相比率=0.6、すなわち固相メタン60%の場合、ボイルオフガスの発生量は4.2kgと減り、固相比率=0.9、すなわち固相メタン90%の場合、ボイルオフガスの発生量は僅かに0.9kgに過ぎない。
〈実施例3〉
本実施例3は、6000kgのメタンを液化天然ガス蒸発率で0.5%/日の断熱性能をもつ貯槽に、実施例1と同様にして貯蔵する例である。この場合、貯槽中の固相の比率を50%(重量%)とした。図5は、ボイルオフガスの発生量と貯蔵経過日数との関係を示す図である。比較例としてメタンを液化ガスで貯蔵した場合のボイルオフガスの発生量を併記している。図5のとおり、比較例ではボイルオフガスの発生は貯蔵開始時から始まるが、本実施例の場合、ボイルオフガスが発生するまでのリードタイム、つまり蒸発ガスが発生するまでの期間は32日となり、一箇月余にわたり、ボイルオフガスの発生を遅延させることができる。
本発明の態様を説明する図 本発明で用いる冷却装置の一例を示す図 実施例1におけるボイルオフガス発生量と貯蔵経過日数との関係を示す図 実施例2における貯蔵開始から一週間でのボイルオフガス総発生量を示す図 実施例3におけるボイルオフガス発生量と貯蔵経過日数との関係を示す図
符号の説明
1 貯槽
2 管路(導管)
3 ポンプ
4 冷却装置
5 温度計
6 管路(導管)
7 移送ポンプ
8 連結手段
9 貯槽
E1〜E4 熱交換器
V1〜V4 膨張弁
V5 バルブ

Claims (7)

  1. 固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法であって、天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法。
  2. 前記メタンの凝固点以下まで冷却する天然ガスが、液化天然ガスから発生したボイルオフガスであることを特徴とする請求項1に記載の固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法。
  3. 固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法であって、液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法。
  4. 前記液化天然ガスが、産地等から液化天然ガスとして輸送された液化天然ガスを受け入れるための貯槽からの液化天然ガスであることを特徴とする請求項3に記載の固相メタンを利用する天然ガスの貯蔵方法。
  5. 固相メタンを利用するメタンの貯蔵方法であって、メタンをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在したメタンとして貯槽に貯蔵し、該固相の融解潜熱を利用することにより貯槽中でのボイルオフガスの発生を抑制することを特徴とする固相メタンを利用するメタンの貯蔵方法。
  6. 固相メタンを利用した天然ガスの貯蔵装置であって、液化天然ガスを収容した貯槽と、該貯槽中の液化天然ガスを冷却装置に移送する管路と、該管路で移送した液化天然ガスをメタンの凝固点以下まで冷却して固相と液相が混在した天然ガスを生成する冷却装置と、該冷却装置から固相と液相が混在した天然ガスを移送する管路と、該管路で移送した固相と液相が混在した天然ガスを貯蔵するための貯槽を備えてなることを特徴とする固相メタンを利用した天然ガスの貯蔵装置。
  7. 前記液化天然ガスを収容した貯槽が、産地等から液化天然ガスとして輸送された液化天然ガスを受け入れるための貯槽であることを特徴とする請求項6に記載の固相メタンを利用した天然ガスの貯蔵装置。
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