JP2005213210A - ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体の形成促進剤 - Google Patents

ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体の形成促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】血中のヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体(SHAP−HA複合体)の形成促進剤及び血中のヒアルロナン濃度の維持・持続剤等を提供すること。
【解決手段】経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体の形成促進剤、及び経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のヒアルロナン濃度の維持・持続剤。経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は1000〜600万程度のものが好ましい。また前記の維持・持続剤において濃度が維持される血中のヒアルロナンは、ヒアルロナン結合性タンパク質と複合体を形成しているものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、血中のヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体の形成促進剤及び血中のヒアルロナン濃度の維持・持続剤等に関する。
ヒアルロナン結合性タンパク質(本出願書類においては、血清由来ヒアルロナン結合タンパク質(serum-derived hyaluronan-associated protein)を意味する用語として用いる。以下、SHAPと略記する。)は、ヒアルロナンに結合するタンパク質であって、その実体は、インター-α-トリプシンインヒビター(以下、ITIと略記する。)ファミリーの重鎖(HC1、HC2、HC3)であることが知られている(非特許文献1など。)。
一方、ヒアルロナン(ヒアルロン酸と同義;以下、HAと略記する。)は、グリコサミノグリカン(以下、GAGと略記する。)の一種であって、種々の医薬用途や食品用途等が知られている(特許文献1、特許文献2など。)。HAの血中における半減期は非常に短く、2〜3分であると考えられている。
SHAPとHAとの複合体(以下、SHAP−HA複合体と略記する。)は、HAが豊富に存在するゲル状の組織中や体液成分に多く存在していることが知られている(非特許文献2など。)。しかし、HAを経口投与することによって血中のSHAP−HA複合体の形成が促進されることや、血中のHA濃度が長時間に渡って高く維持・持続されることについては開示も示唆もない。
ツァオ M.(Zhao M.)ら、"Evidence for the covalent binding of SHAP, heavy chains of inter-alpha-trypsin inhibitor, to hyaluronan."、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、1995年、第270巻、p.26657−26663
マクドナルド JA(McDonald JA)ら、"Hyaluronan: genetic insights into the complex biology of a simple polysaccharide."、グライココンジュゲート・ジャーナル(Glycoconjugate Journal)、2002年、第19巻、p.331−339 特開昭61−47418号公報 特開平5−111367号公報
本発明は、血中のSHAP−HA複合体の形成促進剤及び血中のHA濃度の維持・持続剤等を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、HAを経口投与することによって血中のSHAP−HA複合体の形成が促進され、血中のHA濃度も長時間に渡って高く維持・持続されることを見出し、この知見に基づいて、血中のSHAP−HA複合体の形成促進剤及び血中のHA濃度の維持・持続剤等を提供するに至った。
すなわち本発明は、経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のSHAP−HA複合体の形成促進剤(以下、本発明促進剤という。)を提供する。この経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、1000〜600万であるものが好ましい。
また本発明は、経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のHA濃度の維持・持続剤(以下、本発明維持・持続剤という。)を提供する。この経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量も、1000〜600万であるものが好ましい。また血中のHAは、SHAPと複合体を形成しているものが好ましい。
以下、本発明促進剤及び本発明維持・持続剤をまとめて「本発明の剤」という。
本発明促進剤によって血中のHAを安定に保持できるSHAP−HA複合体の形成を促進することができ、また本発明維持・持続剤によって血中のHA濃度を通常のレベルよりも高く維持・持続させることができ、いずれも極めて有用である。
本発明促進剤は、経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のSHAP−HA複合体の形成促進剤である。また本発明維持・持続剤は、経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のHA濃度の維持・持続剤である。
<1>HA又はその薬学的に許容される塩
本発明の剤の有効成分として用いる経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩は、経口投与のために用いることが可能なHA又はその薬学的に許容される塩である限りにおいて特に限定されない。
このようなHA又はその薬学的に許容される塩の由来も特に限定されず、鶏冠、臍帯、HAを産生する微生物等から分離、精製されたHAを用いることができる。
HAの薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、又はジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、薬学的に許容される塩を用いることができる。
また、HA又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量も特に限定されないが、1000〜600万であるものが好ましく、1000〜300万であるものがより好ましく、1000〜150万であるものがより好ましく、1000〜80万であるものがより好ましく、1000〜50万であるものがより好ましく、1000〜25万であるものがより好ましく、1000〜10万であるものがより好ましく、5000〜10万であるものがより好ましく、1万〜10万であるものがより好ましく、1万〜5万であるものがより好ましく、2万程度のものが特に好ましい。なお、本発明に使用されるHA又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、第十三改正日本薬局方:一般試験法・第36項粘度測定法に従って極限粘度を測定し、Laurentらの式(Biochim. Biophys. Acta, 42, 476(1960))によって算出できる。
このようなHA又はその薬学的に許容される塩を用いることにより、極めて優れた薬理作用を有する本発明の剤とすることができる。
<2>本発明の剤の形態等
本発明の剤は、これらの剤による血中のSHAP−HA複合体の形成促進効果や、血中のHA濃度の維持・持続効果を発揮させるために経口投与される。本発明の剤の商品形態は、HA又はその薬学的に許容される塩が経口的に摂取される限りにおいて特に限定されず、医薬、食品、飲料その他の商品形態を採用することができる。本発明の剤の具体的な形態も特に限定されず、溶液、固体、ゲルその他の形態を採用することができる。例えば溶液形態の場合には、飲料、シロップ等として、固体状態の場合には、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、凍結物(例えば氷菓等)等として、ゲル状態の場合にはゼリー等として提供することができる。固体状のものは、もちろん必要に応じて溶媒に溶解して経口投与しても良い。
本発明の剤中のHA又はその薬学的に許容される塩の濃度も特に限定されない。例えば溶液形態とする場合には0.05〜1%(w/v)程度の濃度を例示することができる。
本発明の剤の製剤化や食品・飲料化等は、公知の方法を用いることができる。製剤化や食品・飲料化等にあたり、HA又はその薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、かつ本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味料、香料等、医薬や食品・飲料等に用いられる他の成分を使用できる。
<3>本発明の剤の投与対象等
本発明の剤が投与される動物は、脊椎動物、特に哺乳動物が好ましく、とりわけヒトが好ましい。
本発明促進剤は、これらの動物の血中のSHAP−HA複合体の形成促進を目的として投与することができる。また本発明維持・持続剤は、これらの動物の血中のHA濃度の維持・持続を目的として投与することができ、特にSHAPと複合体を形成している血中HAの濃度の維持・持続を目的として投与されるものが好ましい。本出願書類において「血中のHA濃度の維持・持続」という用語は、血中のHA濃度を、通常の状態よりも高いレベルで維持・持続させることを意味する。
本発明の剤におけるHA又はその薬学的に許容される塩の配合量、1回あたりの投与量、投与間隔等は、本発明の剤の投与方法、投与形態、投与目的等、投与対象となる動物の年齢、性別、体重、具体的な臨床症状等に応じて個別に決定されるべき事項であり特に限定されないが、例えばHA又はその薬学的に許容される塩として、成人1人1日当り0.5〜20g程度の投与量が例示される。本発明の剤の投与間隔は、1日1回程度でもよく、1日2〜3回に分けて投与することもできる。また1日〜3日に1回程度投与してもよい。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
<1>材料・方法等
まず、本実施例において用いた被験物質・分析方法等を説明する。
(1) 被験物質
・HA(ナトリウム塩)(重量平均分子量2万;株式会社紀文フードケミファ製)
被験物質は、濃度が10〜50 mg/mLとなるように水に溶解して投与に用いた。
(2) 実験動物
6週齢のddY雄性マウス(日本チャールス・リバー株式会社)を用い、1週間以上予備飼育した後に実験に供した。動物は、予備飼育から実験中を通じて23 ± 2℃、湿度55 ± 5 %に維持されたチップゲージで飼育し、食餌(CRF-1(商品名)、オリエンタル酵母工業株式会社及び飲水は全て自由摂取とした。
(3) 眼底から採取した血中HAの簡易微量分析
血中HAの分析はAnalytical Biochemistry 302, 169-174 (2002)に準じて行った。概要は以下の通りである。
採取した血液の血漿から、限外濾過膜を装着した遠心チューブを用いてGAGを精製した。具体的には、まず1%アクチナーゼを含有する0.05 M トリス−酢酸緩衝液(pH 8.0) 20μLに血漿25μLを懸濁させて45℃で3時間インキュベートすることによってタンパク質を十分に消化・分解した。これに10% NaClを含有する0.015M 酢酸 200μLを加えて5分間煮沸した後、冷却して2,300 x gで15分間遠心分離し、遠心分離後の上清を取得することによって除タンパクした。この上清180μLを分子量5000 カットの遠心フィルター(Biomax-5;Millipore社製)にアプライし、0.2M NaOHを20μL添加することによって中和させた後、2,300 x gで15分間遠心して濾過した。その後、フィルター上の残存物に300μLの0.2M トリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)を添加して同様に遠心し、次いで100μLの10%エタノールを添加して同様に遠心することによって洗浄し、フィルター上にGAGの混合物を取得した。このフィルター上に30μLの0.2M トリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)及び10μLの1ユニット(U) コンドロイチナーゼABC(生化学工業株式会社製)及び内部標準として10μLのDDi-UA2S(2-acetamido-2-deoxy-3-O-(2-O-sulfo-β-D-gluco-4-enopyranosyluronic acid)-D-galactose;生化学工業株式会社製)を加えて37℃で3時間インキュベートし、2,300 x gで15分間遠心して濾過して、この濾液を取得した。この濾液には、不飽和二糖となったGAGが含有されている。これに含まれる不飽和二糖となったHA(2-acetamido-2-deoxy-3-O-(β-D-gluco-4-enopyranosyluronic acid)-D-glucose;以下、ΔDi-HAと略記する。)を、後述する高感度ポストカラムHPLC法を用いて分離し定量した。
(4) 全採血により取得した血液中のHAの分析(ゲル濾過クロマトグラフィー)
全採血により取得した血液中のHAの分析は以下の通り行った。
採取した血液の血漿400μLをゲル濾過カラムにアプライしてタンパク質の溶出パターンを分析し、溶出された液を分画した。分析・分画条件を以下に示す。
カラム:セファデックスG-150 スーパーファイン(Sephadex G-150 super fine(商品名);ファルマシア; 2.2cm i.d. x 50cm)
溶離液:0.2M NaCl
流速:1滴/10秒
検出:波長280nmの吸光度
画分の容量:50滴/バイアル。分画後、各画分を凍結乾燥させた。
各画分の凍結乾燥物にそれぞれ200μLの水を加え、これを分子量30000 カットの遠心フィルター(YM-30(商品名);Millipore社製)にアプライし、2,300 x gで15分間遠心して濾過した。その後、フィルター上の残存物に1mLの水を添加して同様に遠心し、フィルター上のGAGの混合物を前記と同様にコンドロイチナーゼABCで処理して不飽和二糖となったGAGを取得した。これに含まれるΔDi-HAを、後述する高感度ポストカラムHPLC法を用いて分離し定量した。
(5) ポストカラムHPLC法
溶離液送液ポンプは日本分光工業株式会社(JASCO)製のIntelligent HPLC pump PU-980(商品名)を、反応試薬送液ポンプは有限会社シマムラテック製のダブルプランジャーポンプ SPU-2.5 NP 型(商品名)を、カラム恒温層はタイタック株式会社製のTHERMO MINDER Mini-80(商品名)を、検出器は日本分光工業株式会社(JASCO)製のIntelligent Fluorescence Detector FP-920S(商品名)を、反応層は有限会社シマムラテック製のDry Reaction Bath DB-5(商品名)を、記録計は株式会社日立製作所製のChromato Integrator D-2500(商品名)を使用した。分析条件を以下に示す。
カラム:Carbonex (Biotech Research社製;4.6 mm i.d. x 100 mm)
カラム温度:40℃
溶離液:60mMリン酸緩衝液(溶媒;4.0% CH3CN)(pH 11.0)
流速:0.75 ml/分
反応試薬1:0.5% 2-cyanoacetamide (0.25 ml/min)
反応試薬2:1.0% NaOH (0.25 ml/min)
反応温度:110℃
検出:蛍光(励起波長346 nm、発光波長410 nm)
このHPLC分析のフローダイアグラムを図1に示す。図1中の「Eluent」は「溶離液」を、「Pump」は「送液ポンプ」を、「Reagent 1」は「反応試薬1」を、「Reagent 2」は「反応試薬2」を、「Sampler」は「サンプラー」を、「Column」は「カラム」を、「Reaction coil」は「反応層」を、「Cooling coil」は「冷却層」を、「Recorder」は「記録計」を、「Detector」は「検出器」をそれぞれ示す。
(6)SHAP−HA複合体の検出(ウエスタンブロッティング)
SHAP−HA複合体は、ウエスタンブロット法によって検出した。
前記(4)で得られたゲル濾過画分を還元条件下におけるドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動(ゲル濃度6.0%;以下、SDS−PAGEと略記する。)に付し、SDS−PAGEによって分離されたタンパク質をウエスタンブロッティングの常法に従ってニトロセルロース膜に転写した。転写後の膜を、10%スキムミルク及び0.1% Tween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと略記する。)とともに室温で2時間インキュベートすることでブロッキングを行った。ブロッキングの後、0.1% Tween20を含有するPBS(以下、PBS-Tween20と略記する。)で膜を洗浄した。
膜を、PBS-Tween20で2,000倍希釈したウサギ抗ヒトITI抗体とともに室温で1時間振とうしながらインキュベートし、その後膜をPBS-Tween20で洗浄した。
次いで、膜を、PBS-Tween20で3,000倍希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合プロテインA(HRP-conjugated protein A)とともに室温で1時間振とうしながらインキュベートし、その後膜をPBS-Tween20で洗浄した。
次いで、ECL検出キット(アマシャムバイオサイエンス株式会社)を用いて前記抗体に反応したタンパク質を検出した。
(7)SHAP−HA複合体の定量(サンドイッチELISA法)
ウシ鼻軟骨由来のヒアルロン酸結合性タンパク質(以下、HABPと略記する。;生化学工業株式会社製)が固相化されたELISAプレートと、ウサギ抗ヒトITI抗体(一次抗体)及びホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(二次抗体)を用いたサンドイッチELISA法によって、前記(6)と同様にSHAP−HA複合体を検出し定量した。
<2>薬効薬理試験
(1) HAの経口投与による効果
正常の血漿中にはごく少量(0.5μg/mL程度)のHAが存在する。前述の実験動物に対してHAを250 mg/kg(体重)となるように単回経口投与し、投与後0分(投与前)、5分、15分、30分、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間目にそれぞれ眼底より採血し(100〜200μL)、前記<1>の(3)及び(5)の方法でHAを分析した。結果を図2に示す。図2の縦軸はΔDi-HAの量(ppm)を、横軸は時間(分)をそれぞれ示す。
その結果、経口投与後から徐々に血中のHA濃度が上昇し始めた。このことから、経口投与されたHAの血中への移行が示された。さらに、HA投与後2時間目にHAの血中濃度が最大となり、少なくとも投与後約4時間まで血中のHAの濃度が高く維持・持続された。投与した量から換算すると、投与量の2〜3%のHAが消化管から吸収されたことになり、この結果はコンドロイチン硫酸(1%以下)に比べて高い吸収効率を有することが明らかになった。
(2) HAを静脈投与した場合
前述の実験動物に対してHAを0.5 mg/kg(体重)となるように静脈注射し、投与後5分、15分、30分及び60分目に同様に眼底より採血し分析した。結果を図3に示す。図3の縦軸はΔDi-HAの量(ppm)を、横軸は時間(分)をそれぞれ示す。
その結果、HAを経口投与した場合とは対照的に静脈投与後約30分以内に血中のHAは消失した。このことから、静脈投与されたHAは血中に長時間留まらず、その消失速度が極めて速いことが確認された。
(3)経口投与されたHAの血中における存在
前記(1)と同様に実験動物にHAを経口投与し、全採血後血漿を単離して、前記<1>の(4)の方法でゲル濾過クロマトグラフィーを行った。タンパク質の溶出パターンを図4に示す。図4の縦軸は波長280nmの吸光度を、横軸は分画の番号を示す。また、図4中の「peak」は波長280nmの吸収ピークを示す。
また同時に、前記<1>の(4)及び(5)の方法でHAを分析した。結果を図5に示す。図5の縦軸はΔDi-HAの量(μg)を、横軸は分画の番号をそれぞれ示す。
図4及び図5から、ピーク番号1(44番目の分画がピーク頂点)にHAが検出された。投与に用いたHA(重量平均分子量2万)を同条件でゲル濾過クロマトグラフィーに付すと51番目の分画がピーク頂点となることからみて、経口投与されたHAは高分子化して血液中に存在することが示された。
(4)SHAP−HA複合体の検出(ウエスタンブロッティング)
経口投与されたHAが、血中でSHAP−HA複合体のかたちで高分子化されている可能性が考えられたので、前記(3)におけるピーク番号1(44番目の分画がピーク頂点)及び2(66番目の分画がピーク頂点)の画分について、前記<1>の(6)の方法を用いてSHAP−HA複合体の検出を試みた。サンプルは、それぞれの画分についてNaOH処理したものとしないものを用意した。HA−SHAP複合体中の両者の結合はエステル結合であることから、アルカリ処理するとその結合が切れ、SHAP−HA複合体が検出できなくなることになる。
その結果、アルカリ処理しなかったピーク番号1のサンプルにおいて、高分子量領域にバンドが検出された。このバンドは、アルカリ処理によって消失した。一方、ピーク番号2のサンプルにおいては、アルカリ処理しなかった場合には高分子量領域にごくわずかにバンドが検出され、アルカリ処理によってこのバンドは完全に消失した。これらの結果から、高分子量領域に出現したバンドはSHAP−HA複合体であり、大部分がピーク番号1に含まれていることが示された。
(5)SHAP−HA複合体の検出(サンドイッチELISA法)
経口投与されたHAが、血中でSHAP−HA複合体のかたちで存在することをさらに確認するために、前記<1>の(7)の方法でSHAP−HA複合体の検出・定量を試みた。その結果、前記(4)と同様に、アルカリ処理しなかったピーク番号1のサンプルにおいて強いレベルで検出され、アルカリ処理によって消失した。一方、ピーク番号2のサンプルにおいては、アルカリ処理しなかった場合にはピーク番号1のサンプルに比して弱いレベルで検出されたが、アルカリ処理によって消失した。これらの結果からも、経口投与されたHAが血中においてSHAP−HA複合体のかたちで存在すること、このSHAP−HA複合体は、主にピーク番号1に含まれていることが示された。
以上の結果から、HAを経口投与することによって血中のSHAP−HA複合体の形成が促進され、血中のHA濃度も長時間に渡って高く維持・持続されることが明らかになった。これにより、経口投与用のHA又はその薬学的に許容される塩を、血中のSHAP−HA複合体の形成促進剤や血中のHA濃度の維持・持続剤として利用できることが確認された。
HAは種々の医薬や健康食品用途等に用いられており、摂取されたHAの効果が有効に発揮されるためには、血中において安定な形で、通常のレベルよりも高い濃度で長時間維持・持続されることが望まれる。本発明促進剤は、血中のHAを安定に保持できるSHAP−HA複合体の形成を促進させるための剤として利用することができる。また本発明維持・持続剤は、血中のHA濃度を通常のレベルよりも高く維持・持続させるための剤として利用することができる。
HPLC分析のフローダイアグラムを示す図である。 HAの経口投与による、血中のHA濃度の維持・持続効果を示す図である。 HAの静脈投与による、血中のHA濃度の経時変化を示す図である。 HAの経口投与後の、血中タンパク質のゲル濾過クロマトグラムを示す図である。 図4においてHAが存在するゲル濾過クロマトグラフィー画分を示す図である。

Claims (5)

  1. 経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロナンとの複合体の形成促進剤。
  2. 経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量が、1000〜600万であることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
  3. 経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩を含有する、血中のヒアルロナン濃度の維持・持続剤。
  4. 経口投与用のヒアルロナン又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量が、1000〜600万であることを特徴とする、請求項3に記載の剤。
  5. 血中のヒアルロナンが、ヒアルロナン結合性タンパク質と複合体を形成しているものであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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