JP2005212013A - レーザ照射方法及び装置、微細加工方法及び装置、並びに薄膜形成方法及び装置 - Google Patents

レーザ照射方法及び装置、微細加工方法及び装置、並びに薄膜形成方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 例えば固体表面において原子・分子レベルでの剥離や原子・分子レベルでのイオン化(即ち、脱離イオン化)を効率的に行えるようにする。
【解決手段】 固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び固体表面の材質に応じて、固体表面に照射されることで固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値を、低フルーエンス領域内で設定する。そして、固体表面に対して、このように設定された照射フルーエンスの値でフェムト秒レーザを照射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばレーザを利用した固体表面におけるナノレベルの微細加工や固体表面からのナノレベルのイオン放出、固体表面の非破壊的な質量分析等に好適に利用される、レーザ照射方法及び装置、これらを用いた微細加工方法及び装置並びに薄膜形成方法及び装置の技術分野に関する。
この種のレーザを用いた微細加工の技術分野では、パルス幅が極短い、「フェムト秒レーザ」を用いた技術開発が進められている。ここに「フェムト秒レーザ」とは、パルス幅が1ピコ秒(ps)以下であるフェムト秒オーダのレーザ或いはレーザパルスをいう。また、レーザを高フルーエンスや低フルーエンスで固体表面に照射することで、該固体表面における微細加工を行う技術も知られている。ここに「フルーエンス」とは、レーザの1パルス当りの出力エネルギを照射断面積で割って求めたエネルギ密度(J/cm)である。
より具体的には、高フルーエンス領域で、長パルスのレーザや、フェムト秒レーザを含む短パルスのレーザを固体表面に照射することによって、高温に加熱された固体表面から、熱的にイオン放出(或いは、脱離イオン化)を行わせる技術が報告されている(非特許文献1、2、3参照)。
他方、低フルーエンスでフェムト秒レーザを波長制御(即ち、周波数制御)や偏光制御することによって、穴のサイズや、穴の形状を制御することを特徴とする微細加工方法も提案されている(特許文献1参照)。尚、「低フルーエンス」とは、一般には、相対的にフルーエンスの値が小さいことをいうが、特許文献1では、レーザを材料表面に照射することで材料表面が蒸発する現象が生じるエネルギ密度の最小値(アブレーション閾値)近傍のフルーエンスを示しているとされている。
P.A.VanRompay et al, "Pulse-contrast effects on energy distributions of C1+ to C4+ ions for high-intensity 100-fs laser-ablation plasmas", Applied Surface Science 127-129, pp.1023-1028 (1998) S.Amoruso et al, "Thermal and nonethermal ion emission during high-fluence femtosecond laser ablation of metallic targets", Appl. Phys. Lett. 77, pp.3728-3730 (2000) T.Gotz et al, "Short-pulse UV laser ablation of solid and liquid metals: indium", Appl. Phys. A64, pp. 539 543 (1997) 特開2003−211400号公報
しかしながら、非特許文献1から3の技術によれば、利用するレーザは、高フルーエンス領域に限られる。このため、レーザ照射によって、固体表面を溶かするか、或いは、固体表面の組織を熱的に壊すことになる。従って固体表面に当該レーザ照射によって微細加工をしようと考えた場合、特に、原子・分子レベルでの剥離や原子・分子レベルでのイオン化、或いは非破壊的な分析(即ち、原子・分子レベルのみでの破壊による、例えば質量分析等の分析)は、これらの技術によれば、実践上不可能であるという問題点がある。
他方、特許文献1によれば、微細加工のサイズは、「波長と正の相関関係がある」とされており、例えば、剥離深さ或いはアブレーション率等を含めて、微細加工のサイズを変える或いは微細加工のサイズを制御・調整するためには、レーザの波長を変える必要がある。このため、特許文献1によれば、光波長変換器をレーザ光路内に配置するなど、特別な波長制御手段が光学系内に必要となり、装置構成及び制御が複雑化したり、微細加工における自由度に欠けるという技術的問題点がある。更に、このように波長制御を伴う方法では、フェムト秒レーザを用いても原子・分子レベルでの剥離や、原子・分子レベルでのイオン化を行うことは実践上困難であるという技術的問題点もある。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、例えば固体表面において原子・分子レベルでの剥離や原子・分子レベルでのイオン化(即ち、脱離イオン化)が可能であり、アブレーションによる微細加工、微細なイオン放出、非破壊的な固体表面分析等に好適に利用可能である、レーザ照射方法及び装置、これらを用いた固体表面における微細加工方法及び装置、並びに薄膜形成方法及び装置を提供することを課題とする。
本発明の第1のレーザ照射方法は上記課題を解決するために、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値を、前記低フルーエンス領域内で設定する設定工程と、前記固体表面に対して前記設定された照射フルーエンスの値で前記フェムト秒レーザを照射する照射工程とを備える。
本発明の第1のレーザ照射方法によれば、設定工程では、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ(言い換えれば、所望のアブレーション率)及び固体表面の材質に応じて、当該固体表面に対して照射するフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値が設定される。例えば、アブレーション率に換算して0.01nm/shot(ナノメートル/ショット、但し「ショット」とは、レーザパルスの一回の照射を意味する)程度といった、原子・分子レベルでの、即ち、非常に浅い剥離深さが所望の剥離深さであれば、これに応じて、照射フルーエンスの値は、例えば0.1J/cmに設定される。尚、「アブレーション率」とは、レーザの1パルス(shot)当りの、アブレーション深さ即ち剥離深さ(nm)を示す。そして、照射工程では、このように設定工程で設定された照射フルーエンスの値で、フェムト秒レーザが固体表面に対して照射される。
本発明に係る「フェムト秒レーザ」とは、固体表面をなす金属等の材質に対して、その衝突緩和時間よりも短い時間のパルス幅を有する、フェムト秒オーダのパルスレーザを意味する。即ち、フェムト秒レーザに係るパルス幅そのものについては、固体表面をなす金属等の材質に応じて可変である。例えば、Al(アルミニウム)であれば、1.12ps(ピコ秒)、Cu(銅)であれば17.49ps、Ti(チタン)であれば、0.83psといった具合である。
また、本発明に係る「低フルーエンス領域」とは、非熱的なイオン化が固体表面で生じるアブレーション閾値付近の領域を意味する。より具体的には、典型的には1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内を意味する。低フルーエンス領域は、固体表面の材質によって変化するが、例えば、15mJ/cm〜150mJ/cmといったオーダのフルーエンス領域が、ここでは挙げられる。
本発明の第1のレーザ照射方法では特に、設定工程において、照射フルーエンスの値は、固体表面に非熱的なイオン化放出(即ち、非熱的な脱離イオン化)を引き起こす低フルーエンス領域内で設定され、照射工程では、フェムト秒レーザがこの設定値で照射される。本発明で照射されるフェムト秒レーザは、低フルーエンスであって且つ高光強度である“低フルーエンス高強度レーザパルス”となる。ここに本発明に係るレーザの「高強度」或いは「高光強度」とは、フェムト秒レーザを固体表面に照射することで、固体表面から分子イオン又は多価分子イオンとして放出させることが可能なレーザに係る強度或いは光強度を意味し、この値は、固体表面の材質に固有の値となる。但し、本発明で、「光強度」というパラメータに対する条件付けは、独立に要求される必要はなく、上述したアブレーション閾値フルーエンスに係る条件が決まれば、レーザ強度(光強度)=フルーエンス/パルス幅なる関係式より、フルーエンスに従属して決められる。
従って、(i)前述した非特許文献1から3のように高フルーエンスのレーザ照射によって又は(ii)フェムト秒レーザではなく衝突緩和時間よりも長いパルスのレーザ照射によって、固体表面における熱的なイオン化を招くことなく或いは加熱による溶融や破壊を招くことなく、原子・分子レベルで剥離或いはアブレーションを行うことができる。この際、低フルーエンスであって且つフェムト秒レーザという極短いパルスを用いることで、非熱的なイオン放出現象が固体表面で起き、該固体表面が加熱されることなく、原子・分子レベルでの剥離が可能となるのである。尚、本発明において「原子・分子レベル」とは、例えば原子1個や原子数個、或いは原子十数個から数十個といった、固体表面付近におけるナノオーダやサブナノオーダの範囲或いは単位を示す。
更に、前述の特許文献1において「レーザの波長を調整・制御することで、該波長と正の相関関係があるとされる微細加工のサイズを調整・制御する」とされているのに対して、本発明の第1のレーザ照射方法に係る照射工程では、レーザに係る照射フルーエンスの値を、低フルーエンス領域内において調整・制御することで、剥離深さを調整・制御する、言い換えればアブレーション率を調整・制御するものである。これは、本願発明の研究によれば、低フルーエンス領域では、例えば多価イオン化現象としての3光子吸収過程がアブレーション現象の要因として顕著に又は完全に支配的となるので、(レーザ波長をパラメータとすることなく或いは波長に拘わらず)、照射フルーエンスの値を調整・制御することで、剥離深さ或いはアブレーションの率を調整・制御できるという考察に基づくものである。即ち、本発明によれば、特許文献1が教える如くにレーザ波長をパラメータとして調整・制御する必要なしに、照射フルーエンスの値を調整・制御することで、微細加工のサイズを調整・制御することも可能となる。また、伝統的なレーザ加工の一種として見られるように、光の干渉により微細加工する二つのレーザ光を必要とすることもない。
以上のように、本発明の第1のレーザ照射方法によれば、剥離深さ(アブレーション率)、或いは、剥離深さ及び剥離面積を含めた微細加工のサイズを調整・制御するために、低フルーエンス領域内における照射フルーエンスの値を調整・制御している。言い換えれば、アブレーションを起こさせるためのレーザ照射と、非熱的なイオン化を起こさせるためのレーザ照射とを、同時に一つのレーザ照射として行なっている。従って、前述の特許文献1の如くに「波長変換器」といった特別にレーザ波長を調整・制御するための光学手段は非必要となり、比較的容易にして、剥離深さ(アブレーション率)或いは微細加工のサイズを、所望の値に調整・制御できるので実用上大変有利である。
見方を変えれば、原子・分子レベルでの剥離によって、固体表面から非破壊的に微量の分子イオンを放出させて、これを薄膜形成等に利用することも可能となり、また、固体表面から非破壊的に分子イオンを放出させて(即ち、脱離イオン化させて)、これを質量分析等に利用することも可能となるので実用上大変有利である。
本発明の第1のレーザ照射方法の一態様では、前記設定工程は、前記低フルーエンス領域内として、前記材質に依存する複数のアブレーション閾値フルーエンスのうち1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内で、前記照射フルーエンスの値を設定する。
この態様によれば、照射フルーエンスの値は、固体表面の材質に依存する複数のアブレーション閾値フルーエンスのうち、1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内で、設定される。このような複数のアブレーション閾値フルーエンスは、固体表面の材質等に依存して予め数値化、或いはテーブル化可能である。よって、一旦、これらの値を求めておけば、設定工程における照射フルーエンスの値を、実際にレーザ照射の対象となる固体表面の材質及び所望の剥離深さ(或いは、アブレーション率)に応じて、一意的に決めることが可能となる。即ち、比較的容易にして照射フルーエンスの設定を実施できる。
この態様では、前記設定工程は、前記複数のアブレーション閾値フルーエンスとして少なくとも3つ存在するアブレーション閾値フルーエンスのうち、前記1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF3,thと前記2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF2,thとの間の領域内で、前記照射フルーエンスの値を設定してもよい。
このように設定すれば、照射フルーエンスの値は、例えば3光子吸収過程がアブレーション現象において支配的になる、アブレーション閾値フルーエンスF3,thとF2,thとの間に存在する低フルーエンス領域内で、設定されることになる。尚、フェムト秒レーザであっても、例えば、800nmの波長であれば、光子としては1.5eVの粒の性質を有する。よって、固体表面において、3光子吸収過程に従って非熱的なイオン化放出が行なわれる。因みに、本願発明者らの研究によれば、2光子吸収過程がアブレーション現象において支配的になる、2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF2,thと3番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF1,thとの間の領域では、熱的なイオン化放出現象が確認されており、本発明の如く非熱的なイオン化放出現象は殆ど又は全く確認されていない。
このアブレーション閾値フルーエンスに係る態様では、前記設定工程は、前記1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと前記2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内で、前記材質に応じてレーザ多光子吸収過程に基づいて予め設定される照射フルーエンスの値に対するアブレーション率の特性曲線に従って、前記照射フルーエンスの値を設定するように構成してもよい。
このように構成すれば、レーザ多光子吸収過程に基づいて予め設定された、例えばシミュレーション又はモデル化された特性曲線に従って、照射フルーエンスの値を比較的簡単且つ迅速に設定することが可能となる。
この場合、前記設定工程は、前記レーザ多光子吸収過程として3光子吸収過程に基づいて予め設定される前記特性曲線に従って、前記照射フルーエンスの値を設定してもよい。
このように設定すれば、3光子吸収過程に基づいて予め設定された特性曲線に従って、照射フルーエンスの値を比較的簡単且つ迅速に設定することが可能となる。
本発明の第1のレーザ照射方法の他の態様では、前記設定工程は、前記剥離深さ及び前記材質に応じて、前記フェムト秒レーザの光強度の値を設定する(即ち、光強度を、照射フルーエンスの値に代えて即ち間接的に設定するか、又は照射フルーエンスの値に加えて設定する)。
この態様によれば、設定工程では、所望の剥離深さ(アブレーション率)及び材質に応じて、フェムト秒レーザの光強度を、照射フルーエンスの値に代えて、即ち間接的に設定するか、又は照射フルーエンスの値に加えて設定する。よって、フェムト秒レーザに係る光強度の値を適宜変更することで、(波長に変更を加えることなく)比較的容易にして、剥離深さ(アブレーション率)或いは微細加工のサイズを、所望の値に調整・制御できる。尚、既に述べたように「光強度」というパラメータに対する条件付けは、独立に要求される必要はなく、上述したアブレーション閾値フルーエンスに係る条件が決まれば、これに従属して決められる。
本発明の第2のレーザ照射方法は上記課題を解決するために、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る光強度の値を、前記フェムト秒レーザに係る照射フルーエンスが前記低フルーエンス領域内から外れない範囲内で設定する設定工程と、前記固体表面に対して前記設定された光強度の値で前記フェムト秒レーザを照射する照射工程とを備える。
本発明の第2のレーザ照射方法によれば、設定工程では、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ(言い換えれば、所望のアブレーション率)及び固体表面の材質に応じて、当該固体表面に対して照射するフェムト秒レーザに係る光強度の値が設定される。そして、照射工程では、このように設定工程で設定された光強度の値で、フェムト秒レーザが固体表面に対して照射される。
本発明の第2のレーザ照射方法では特に、設定工程において、光強度の値は、照射フルーエンスの値が固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内から外れない範囲内で設定され、照射工程では、フェムト秒レーザがこの設定値で照射される。従って、上述した本発明の第1のレーザ照射方法の場合と同様に、固体表面における熱的なイオン化を招くことなく或いは加熱による溶融や破壊を招くことなく、原子・分子レベルで剥離或いはアブレーションを行うことができる。
以上のように本発明の第2のレーザ照射方法によれば、剥離深さ(アブレーション率)、或いは微細加工のサイズを調整・制御するために、照射フルーエンスの値が低フルーエンス領域内から外れない範囲内で、フェムト秒レーザの光強度の値を調整・制御している。言い換えれば、アブレーションを起こさせるためのレーザ照射と、非熱的なイオン化を起こさせるためのレーザ照射とを、同時に一つのレーザ照射として行なっている。従って、上述した本発明の第1のレーザ照射方法の場合と同様に、例えば前述の特許文献1の如くに「波長変換器」といった特別にレーザ波長を調整・制御するための光学手段は非必要となり、比較的容易にして、剥離深さ(アブレーション率)或いは微細加工のサイズを、所望の値に調整・制御できるので実用上大変有利である。
尚、本発明の第2のレーザ照射方法においても、上述した本発明の第1のレーザ照射方法における各種態様と同様の態様を適宜採用可能である。
本発明の第1又は第2のレーザ照射方法の他の態様では、前記設定工程は、前記剥離深さに加えて又は代えて前記固体表面から剥離すべき所望の剥離面積と前記材質とに応じて、前記照射フルーエンスの値及び前記光強度の値のうち少なくとも一方を設定する。
この態様によれば、設定工程では、剥離深さ及び剥離面積と固体表面の材質とに応じて、又は、剥離面積と固体表面の材質とに応じて、第1のレーザ照射方法であれば照射フルーエンスの値が設定され、第2のレーザ照射方法であれば光強度の値が設定される。従って、照射工程において、例えばフェムト秒レーザの波長に変更を加えることなく、フェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値や光強度の値に適宜変更を加えることで、剥離深さのみならず、剥離面積についても調整・制御することが可能となる。尚、本発明において「剥離面積」とは、固体表面上で脱離イオン化によって剥離される部分の面積をいう。また、剥離深さと剥離面積とを併せて、広義の「微細加工サイズ」と呼んでもよいし、剥離面積を単独で、狭義の「微細加工サイズ」と呼んでもよい。いずれにせよ、本態様によって、剥離深さ或いはアブレーション率のみならず、剥離面積や、広義又は狭義の微細加工サイズについても、フェムト秒レーザに係る照射フルーエンス又は光強度の値によって制御可能となる。
本発明の微細加工方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法(但し、その各種態様を含む)を含み、前記照射工程によって前記固体表面を微細加工する。
本発明の微細加工方法によれば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法を含むので、固体表面に対して原子・分子レベルでの超微細加工が可能となる。
本発明の薄膜形成方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法(但し、その各種態様を含む)と、前記照射工程によって前記固体表面から放出された分子イオンを用いて被成膜体に対して成膜を行う成膜工程とを備える。
本発明の薄膜形成方法によれば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法を含むので、固体表面から原子・分子レベルで放出される分子イオンを利用して、例えば基板などの非成膜体上に、薄膜形成を行うことが可能となる。例えば、放出された分子イオンを電界により加速して、基板に衝突させることで、基板上に極薄い薄膜を形成することが可能となる。
尚、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法は、このような微細加工方法や薄膜形成方法の他にも、固体表面から原子・分子レベルで放出される分子イオンを利用して、当該固体表面の材質についての質量分析等の分析や計測を行う方法に適用することも可能である。例えば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法(但し、その各種態様を含む)と、前記照射工程によって前記固体表面から放出された、即ち脱離イオン化(デソープションイオン化)された分子イオンを用いて、例えば質量分析等の、前記固体表面の物理的又は化学的な分析(計測も含む)を非破壊的に行う分析工程とを備えた分析方法を実現できる。
本発明の第1のレーザ照射装置は上記課題を解決するために、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値を、前記低フルーエンス領域内で設定する設定手段と、前記固体表面に対して前記設定された照射フルーエンスの値で前記フェムト秒レーザを照射する照射手段とを備える。
本発明の第1のレーザ照射装置によれば、上述した本発明の第1のレーザ照射方法の場合と同様に、剥離深さ(アブレーション率)、或いは微細加工のサイズを調整・制御するために、照射フルーエンスの値を調整・制御している。従って、例えば前述の特許文献1の如くに「波長変換器」といった特別にレーザ波長を調整・制御するための光学手段は非必要となり、比較的容易にして、剥離深さ(アブレーション率)或いは微細加工のサイズを、所望の値に調整・制御できるので実用上大変有利である。
尚、本発明の第1のレーザ照射装置においても、上述した本発明の第1のレーザ照射方法における各種態様と同様の態様を適宜採用可能である。
本発明の第2のレーザ照射装置は上記課題を解決するために、固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る光強度の値を、前記フェムト秒レーザに係る照射フルーエンスが前記低フルーエンス領域内から外れない範囲内で設定する設定手段と、前記固体表面に対して前記設定された光強度の値で前記フェムト秒レーザを照射する照射手段とを備える。
本発明の第2のレーザ照射装置によれば、上述した本発明の第2のレーザ照射方法の場合と同様に、剥離深さ(アブレーション率)、或いは微細加工のサイズを調整・制御するために、照射フルーエンスの値が低フルーエンス領域内から外れない範囲内で、フェムト秒レーザの光強度の値を調整・制御している。従って、例えば前述の特許文献1の如くに「波長変換器」といった特別にレーザ波長を調整・制御するための光学手段は非必要となり、比較的容易にして、剥離深さ(アブレーション率)或いは微細加工のサイズを、所望の値に調整・制御できるので実用上大変有利である。
尚、本発明の第2のレーザ照射装置においても、上述した本発明の第2のレーザ照射方法における各種態様と同様の態様を適宜採用可能である。
本発明の第1又は第2のレーザ照射装置の一態様では、前記照射手段は、前記レーザとして、一つのレーザパルスを他のレーザパルスから時間的に独立した形で照射可能に構成されている。
この態様によれば、照射手段によって、一つのレーザパルスを他のレーザパルスから時間的に独立した形で照射することで、固体表面から分子イオンを、一つのレーザパルスに対応する極めて微細な剥離量でイオン化放出させることが可能となる。即ち、例えば原子・分子レベルの超微細加工や、非破壊的な分子イオン放出が可能となる。また、これよりも大量の剥離量で分子イオンを放出させたい場合には、照射手段によって、複数のレーザパルスをまとめて或いは連続して照射することも可能である。
本発明の微細加工装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置(但し、その各種態様を含む)を含み、前記照射手段によって前記固体表面を微細加工する。
本発明の微細加工装置によれば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置を含むので、上述した本発明の微細加工方法の場合と同様に、固体表面に対して原子・分子レベルでの超微細加工が可能となる。
本発明の薄膜形成装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置(但し、その各種態様を含む)と、前記照射手段によって前記固体表面から放出された分子イオンを用いて被成膜体に対して成膜を行う成膜手段とを備える。
本発明の薄膜形成装置によれば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置を含むので、上述した本発明の薄膜形成方法の場合と同様に、固体表面から原子・分子レベルで放出される分子イオンを利用して、例えば基板などの非成膜体上に、薄膜形成を行うことが可能となる。
尚、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置は、このような微細加工装置や薄膜形成装置の他にも、固体表面から原子・分子レベルで放出される分子イオンを利用して、当該固体表面の材質についての質量分析等の分析や計測を行う装置に適用することも可能である。例えば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置(但し、その各種態様を含む)と、前記照射手段によって前記固体表面から放出された分子イオンを用いて、例えば質量分析等の、前記固体表面の物理的又は化学的な分析(計測も含む)を非破壊的に行う分析手段とを備えた分析装置を実現できる。
本発明の加工物は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射方法(但し、その各種態様を含む)により微細加工が施された構造を有する。
本発明の加工物によれば、上述した本発明の第1又は第2のレーザ照射装置により微細加工が施されるので、原子・分子レベルでの超微細加工が施された加工物を実現できる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
(レーザ照射装置の実施形態)
図1から図17を参照して、レーザ照射装置の実施形態について説明する。
先ず図1を参照して、レーザ照射装置の構成について説明する。ここに図1は、本実施形態に係るレーザ照射装置の概略構成を示す。
図1において、レーザ照射装置1は、制御装置10、レーザ光源装置11及び集光レンズ12を備えて構成される。制御装置10は、本発明に係る「設定手段」の一例を構成しており、レーザ光源装置11及び集光レンズ12は、本発明に係る「照射手段」の一例を構成している。
レーザ光源装置11は、制御装置10による駆動制御を受けて、フェムト秒レーザLBを、集光レンズ12を介して、本発明に係る「固体表面」を有する固体の一例たるターゲット13に向けて照射する。レーザ光源装置11は、制御装置10により、ターゲット13の材質と、ターゲット13の表面を剥離するに際して要望される所望の剥離深さDr(又は、アブレーション率)とに応じて設定された照射フルーエンスの値で、フェムト秒レーザLBを発生するように構成されている。尚、制御装置10によって、ターゲット13の材質及び所望の剥離深さDrに応じて、フェムト秒レーザLBに係る照射フルーエンスの値に加えて又は代えてフェムト秒レーザLBに係る光強度の値が設定されてもよい。
本実施形態は、ターゲット13は、フェムト秒レーザLBを入射するための窓を有する真空容器14内に配置されている。但し、必ずしもこのように真空容器14内に配置しなくてもよい。ターゲット13は、フェムト秒レーザLBの入射軸に対して、例えば45度といった、所定角度θだけ傾けられて配置されており、これによりターゲット13の表面から、脱離イオン化した分子イオンの真空容器14内への放出が良好に行なわれる。
制御装置10によるフェムト秒レーザLBに係るパラメータ設定については後に詳述するが、低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザLBに係る照射フルーエンスの値は、フェムト秒レーザLBがターゲット13の表面に非熱的なイオン化放出を引き起こすように、ターゲット13の材質及び所望の剥離深さDrに応じて設定される。
尚、図1では説明の簡略化のため、光学系として、集光レンズ12が、フェムト秒レーザLBの光路に配置されているが、その他のレンズ、プリズム、ミラー、シャッター等が該光路に適宜配置されてもよく、更に、レーザ光源装置11内に、半導体レーザ装置等の各種レーザ装置と、各種レンズ、シャッター、偏光板、位相差板等の光学部品とが適宜組み込まれてもよい。
次に図2から図12を参照して、上述の如き構成を有するレーザ照射装置1における、フェムト秒レーザLBに係る照射フルーエンスの値の設定等について説明する。ここでは、照射フルーエンスの値と、ターゲット13の表面におけるアブレーション率(剥離深さに対応する)との関係を検証し、更に、ターゲット13の表面におけるアブレーション率が、低フルーエンス領域におけるフェムト秒レーザLBの照射フルーエンスの値によって、或いは光強度の値によって、調整・制御可能であることを検証する。尚、これらの検証に基づき、図1に示したレーザ照射装置1における、照射フルーエンスの値等が設定されることになる。
先ず図2を参照して、照射フルーエンスの値とアブレーション率との関係等を検証するため実験装置としての、レーザ照射・分析装置の構成について説明する。ここに、図2は、レーザ照射・分析装置の概略構成を示す。尚、図2において、図1と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図2に示すように、レーザ照射・分析装置2は、図1のレーザ照射装置1と同じく制御装置10、レーザ光源装置11、集光レンズ12及び真空容器14を備え、更に、分子イオン検出用の検出装置16を備えて構成される。
検出装置16は、例えばターゲット13の表面から放出或いは脱離された分子イオンの濃度を検出することで、分子イオンの質量を分析する質量分析装置からなる。CPU(Central Processing Unit)或いはシステムコントローラ等を備えてなる制御装置10には、検出装置16から分子イオンの質量の分析結果に係る検出情報が入力され、ここで検出情報が記録される。
続いて図3を参照して、本実施形態で用いられる、極低フルーエンスであり且つ高強度であるフェムト秒レーザにおける特性について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る極短パルスレーザ(即ち、フェムト秒レーザ)の波形特性を示す。
図3に示すように、レーザ光源装置11によって照射される、極短パルスレーザ(即ち、フェムト秒レーザ)は、例えば、ターゲット13の表面から剥離すべき所望の剥離深さ及びその材質に応じて、該表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす、低フルーエンスであって且つ高光強度である“低フルーエンス高強度レーザパルス”である。ここに本実施形態に係る「低フルーエンス」とは、後に詳述するように、1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF3,thと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF2,thとの間にあるフルーエンスのことを意味する。また、本実施形態に係るレーザの「高強度」或いは「高光強度」とは、図3に例示した如き「アブレーション閾値レーザ強度」を超えるレーザ強度(光強度)のことを意味する。言い換えれば、「高強度」或いは「高光強度」とは、フェムト秒レーザを固体表面(ここでは、ターゲット13の表面)に照射することで、該固体表面の材料を分子イオン若しくは多価分子イオンとして放出させることが可能なレーザに係る強度或いは光強度を意味しており、この値は、固体表面(ここでは、ターゲット13の表面)の材質に固有の値となる。
尚、一般に、「フルーエンス」の単位は、J/cmであり、「レーザ強度」或いは「光強度」の単位は、W/cm(即ち、J/s・cm)である。従って、レーザのフルーエンスとは、レーザのエネルギを照射面積で割ったものであり、レーザ強度(光強度)は、フルーエンスを、レーザのパルス幅(時間)で割ったものとなる。言い換えれば、レーザ強度(光強度)は、レーザのエネルギを、(照射面積×レーザのパルス幅)で割ったものとなる。よって、本実施形態において、レーザ強度或いは光強度の調整は、レーザのエネルギ、レーザの照射面積及びレーザのパルス幅を調整することにより行なわれる。但し、本実施形態では、「光強度」というパラメータに対する条件付けは、独立に要求されるものではなく、後述の如きアブレーション閾値フルーエンスF3,th〜F2,thに係る条件が満たされれば、これに従属して(即ち、レーザ強度(光強度)=フルーエンス/パルス幅なる関係式より)決定される性質のものである。
図3では、エネルギが300μJであり且つパルス幅が100fsのレーザであって、集光レンズ12等によってターゲット13の表面で照射径が20μmに絞られている“低フルーエンス高強度レーザパルス”を示している。尚、本実施形態に係る「パルス幅(レーザパルス幅)」の定義としては、レーザ強度の時間波形を実験的に調べ、最大レーザ強度の半分になる時間を測定したものである。図3に例示したレーザパルスの場合、フルーエンスは、95J/cmと低いが(即ち、低フルーエンスであるが)、レーザ強度は、1015W/cmと極めて高い(即ち、高強度である)。因みにこのレーザは、東京電力の平成13年度における電力消費のピーク時における6430万kW(=6×1010W)を優に超えるパワーである。これは、フェムト秒レーザという極短パルスレーザの特徴の一つと言える。
次に、図2に加えて図4及び図5を参照して、照射フルーエンスの値とアブレーション率との関係等を検証するため実験について更に説明する。ここに、図4は、図2に示したレーザ照射・分析装置に係る各種パラメータや各種機材等に係る条件の一例を示し、図5は、図2に示したレーザ照射・分析装置内における、レーザ光源装置及び検証用のCCD(Charged Coupled Device)カメラ等の光学配置を示す。尚、図5において、図1と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図4の一覧表に例示した如くに、レーザ照射・分析装置2では、各種パラメータや各種機材、ターゲット13に係る諸条件が設定される。即ち、ターゲット13としては、金属サンプルCu、Al、Fe、…等が選択され、そのサイズ等が、5×5cm等とされる。また、フェムト秒レーザLBとしては、波長等が800nm(ナノメートル)等とされる。特に光強度(エネルギ)は、0.21〜600μJの間で可変とされ、これに伴い、照射フルーエンスは、10mJ/cm〜28J/cmの間で可変とされる。
図5に示すように、レーザ照射・分析装置2内には、レーザ光源装置11に加えて、図2には不図示である、ターゲット13の表面を撮像するためCCDカメラ31等が光学系に組み込まれている。尚、図5では、図2に示した検出装置16、制御装置10等の他の構成要素は、省略してある。
図5において、レーザ光源装置11は、非熱的なアブレーションを引き起こさせるためのフェムト秒レーザLfsを発生させるフェムト秒レーザ光源装置(fs laser)11aと、光学的なアラインメント用のレーザLaを発生させるヘリウム−ネオンガスレーザ光源(He−Ne laser)11bとを含む。フェムト秒レーザLfsは、ミラー21を経た後に、レーザLaは、偏光状態制御用の光学板25及びミラー26を経た後に、ハーフミラー(ダイクロイックミラー)22のところで合成され、同一光路上のレーザLBとされる。更に、レーザLBは、ハーフミラー(ダイクロイックミラー)34へ到達する。レーザLBのうちフェムト秒レーザLfsは、ハーフミラー34で反射され、集光レンズ12を介して、ターゲット13たる金属サンプルの表面に照射される。他方で、レーザLBのうちアラインメント用のレーザLaは、ハーフミラー34を透過して、アラインメント用に用いられる。そして、フェムト秒レーザLfsによりアブレーションされる金属サンプルの表面の様子は、集光レンズ12、ハーフミラー34、レンズ33、ミラー32を経てCCDカメラ31に至る反射光Lrを受光することで、CCDカメラ31によって、撮像される。
次に図6から図12を参照して、上述の如きレーザ照射・分析装置2によって得られる、照射フルーエンスとアブレーション率との関係、特にこの関係を示す特性曲線上で識別される、三つのアブレーション閾値フルーエンス、及びこれらの閾値によって規定される新規なアブレーション物理を示す低フルーエンス領域について説明する。ここに、図6は、レーザ照射・分析装置2によって得られる照射フルーエンスとアブレーション率との関係を示し、図7は、レーザ照射・分析装置2によって得られるレーザパルス幅とアブレーション閾値(アブレーション閾値フルーエンス)との関係を示す。図8から図10は夫々、レーザ照射・分析装置2によって検出されるイオン信号強度を時間軸(横軸)に対して示す。図11は、Cu(銅)についての温度と分布密度との関係を示し、図12は、レーザ照射・分析装置2によって得られるCuについての入射レーザエネルギとイオン信号強度との関係を示す。
図2から図5を参照して説明したレーザ照射・分析装置2を用いると、図6に例示した如き照射フルーエンス(レーザ照射フルーエンス(J/cm))とアブレーション率(nm/shot)との関係が得られる。但し、ここでは、ターゲット13をCu(銅)とし、フェムト秒レーザFfsの波長を800nmとし、パルス幅を70fs(フェムト秒)としており、その他の諸条件については、図4に例示した通りとしてある。
図6に示すように、黒丸で示した離散的な実験データ(experimental data)によれば、照射フルーエンスとアブレーション率との関係を示す特性曲線には、三つのアブレーション閾値フルーエンスとして、小さい順に、アブレーション閾値フルーエンスF3,th(=0.018J/cm)、F2,th(=0.18J/cm)及びF1,th(=0.25J/cm)が存在しているのが確認される。
ここで「アブレーション率」は、1レーザパルス当りのターゲット13の表面に形成されるクレータの深さ(剥離深さ)を意味し、次式(1)で表記される。
L=α―1ln(F/Fth) …(1)
但し、
α―1:光侵入長(cm)、
F:照射フルーエンス(J/cm
従って、この式(1)から、上述した三つのアブレーション閾値フルーエンスFth(F3,th、F2,th、F1,th)は夫々、L=0なる照射フルーエンスFから評価されることになる。
より一般には、レーザの空間プロファイルがガウス関数で表される場合、クレータの口径Γは、次式(2)で表記される。
Γ=a{ln(F/Fth)}0.5 …(2)
但し、a:入射されるレーザビームの径
従って、この場合には、この式(2)から、上述した三つのアブレーション閾値フルーエンスFth(F3,th、F2,th、F1,th)は夫々、Γ=0なる照射フルーエンスFから評価されることになる。
以上、式(1)及び(2)に示したように、アブレーション閾値フルーエンスは、二つの手法により評価可能である。
尚、図6では、両対数グラフ上での特性曲線であるため、これら三つのアブレーション閾値フルーエンスF3,th、F2,th及びF1,thの存在は多少目視し難くなっているが、この特性曲線を、横軸(レーザ照射フルーエンス軸)のみを対数としたグラフ上で描けば、上記式(1)及び式(2)からも明らかなように、これら三つのアブレーション閾値フルーエンスF3,th、F2,th及びF1,thの存在は、目視により容易且つ明確に確認可能となる。
図7に示すように、レーザパルス幅(s)とアブレーション閾値フルーエンス(J/cm)との関係を示す特性曲線上で、これら三つのアブレーション閾値フルーエンスF3,th、F2,th及びF1,thは夫々、フェムト秒レーザLfsに係るパルス幅に依存して変化する性質を有する。ここで、フェムト秒レーザLfsは、ターゲット13における衝突緩和時間よりも短い時間のパルス幅を有するので、フェムト秒レーザLfsに係るパルス幅は、ターゲット13の表面の材質に応じて可変である。例えば、例えばCuであれば17.49psといった具合である。(尚、この例では、図6の場合と同じく、ターゲット13をCu(銅)とし、フェムト秒レーザFfsの波長を800nmとしてある。)このように、三つのアブレーション閾値フルーエンスF3,th、F2,th及びF1,thは夫々、パルス幅と共に変化するので、レーザ強度もパルス幅に依存する重要パラメータであると言える(図3参照)。集光光学系を変えることで、ターゲット13の表面のレーザ照射面積が変わるため、レーザの強度を変えることができる。つまり、アブレーションに寄与する時間間隔を長くしたり短くしたりの調節が可能である。但し、本実施形態では、「光強度」というパラメータに対する条件付けは、独立に要求されるものではなく、上述の如きアブレーション閾値フルーエンスF3,th〜F2,thに係る条件が満たされれば、これに従属して決定される。
図6及び図7から分かるように、本実施形態に係る「低フルーエンス領域」とは、1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF3,thと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF2,thとの間の領域を意味する。従って、低フルーエンス領域は、ターゲット13の材質によって変化することとなるが、図6に示した例(即ち、ターゲットがCuである例)では、0.018J/cm〜0.18J/cmのフルーエンス領域が、低フルーエンス領域に該当する。言い換えれば、この0.018J/cm〜0.18J/cmのフルーエンス領域が、非熱的なイオン化がCuからなるターゲット13の表面で生じるアブレーション閾値付近の領域を意味することになる。
図6において、3光子吸収過程に基づいてシミュレーション又はモデル化された特性曲線L(ξ)が、実線で示されている。この特性曲線L(ξ)は、アブレーション閾値フルーエンスF3,thとアブレーション閾値フルーエンスF2,thとの間の領域、即ち低フルーエンス領域では、黒丸で示した実験データと整合がとれているのが確認される。
ここで、m次の多光子吸収が起こった場合、その吸収係数ζ(cm/Wm−1)が分かれば、アブレーション率L(cm/shot)は解析的に説くことができ、次式(3)で表される。
=1/{(m−1)ζ
×{(Eth/τζ((1−m)/m)−(F/τ1−m} …(3)
但し、
m≧2
τ(s):レーザーパルスの幅、
TH(J/cm):融解熱で単位体積の固体を融解させるのに必要なエネルギ
そして、L=0となる条件が、アブレーション閾値フルーエンスFthで、次式(4)で表される。
th=(Eth/ζ1/mτ ((1−m)/m)=βτ ((1−m)/m) …(4)
以上式(3)及び(4)から分かるように、アブレーション閾値フルーエンスF3,thは、パルス幅に依存しており、図6の特性曲線L(ξ)で示された3光子吸収過程によるものとして説明される。
また図6において、2光子吸収過程に基づいてシミュレーション又はモデル化された特性曲線Lσが、破線で示されている。この特性曲線Lσは、アブレーション閾値フルーエンスF2,thとアブレーション閾値フルーエンスF1,thとの間の領域、即ち、低フルーエンス領域に隣接する高フルーエンス領域では、黒丸で示した実験データと整合がとれているのが確認される。この高フルーエンス領域では、2光子吸収過程がアブレーション現象において支配的となり、熱的なイオン化放出現象が発生する。
更に図6において、1次元2温度熱拡散過程に基づいてシミュレーション又はモデル化された特性曲線Lが、一点鎖線で示されている。この特性曲線Lは、アブレーション閾値フルーエンスF1,thよりも高い高フルーエンスの領域では、黒丸で示した実験データと整合がとれているのが確認できる。
このように、フェムト秒レーザFfsを用いる場合、低フルーエンス領域内では、“3光子吸収過程”がアブレーション現象の要因として顕著に又は完全に支配的となる。尚、フェムト秒レーザLfsの場合、例えば、800nmの波長であれば、光子としては1.5eVの粒の性質を有する。よって、ターゲット13の表面において、3光子吸収過程に従って非熱的なイオン化放出(非熱的な脱離イオン化)が行なわれる。逆に、本実施形態に係る低フルーエンス領域から外れた高フルーエンス領域では、本実施形態の如き非熱的なイオン化放出現象は殆ど又は全く確認されておらず、熱的なイオン化放出現象が顕著に確認される。
次に図8から図10を参照して、このように新規なアブレーション物理を示す低フルーエンス領域における、2光子吸収過程に基づく特性曲線L(ξ)について、更に検証する。より具体的には、レーザ照射・分析装置2において検出装置16によって測定される、ターゲット13表面から放出される分子イオンに基づいて、イオン化放出過程とレーザ多光子吸収過程(或いは、3光子吸収過程)との関連性について検討する。ここでは、波長800nmであるフェムト秒レーザLfsのパルス幅は、130fsに固定され、集光レンズ12として、f(焦点距離)=250mmのレンズが用いられる。そして、ターゲット13たるCuの金属サンプルの表面に、照射フルーエンスを15〜700mJ/cmの範囲で変化させつつ、フェムト秒レーザLfsが照射されるものとする。そして、ターゲット13の表面から放出される分子イオンが、検出装置16の一例として、飛行時間型質量分析器(TOF)によって、測定される。このようにして得られる測定結果が、図8から図10に示されている。図8から図10はこの順番に、フェムト秒レーザLfsの照射エネルギを、27μJ(相対的に高エネルギ)、17μJ(相対的に中エネルギ)、8.7μJ(相対的に低エネルギ)として測定したものである。
図8から図10に示すように、本測定条件では、いずれの場合にも、Cu3+及びCu2+に対応するピークが測定され、即ち、多価の銅イオンが顕著に放出されていることが確認される。尚、図8から図10において、3μs付近のピークは、測定環境に起因する水素イオンによるもので、当該新規なアブレーション物理に係る検証とは、特に関係がない。
図11は、上述の如き測定に係るアブレーションが、仮に熱過程によるものとして計算した場合における、温度(k)に対する、銅イオン(Cu、Cu2+、Cu3+)及び銅(Cu)の価数分布を示している。これに対して、図12は、上述の如き本実施形態の測定で得られる、入射レーザエネルギ(μJ)に対する、銅イオン(Cu、Cu2+、Cu3+)及び銅(Cu)の価数分布を示している。尚、図12における、入射レーザエネルギが9μJ付近のところに見られるピークは、信号が得られない際のイオン信号強度を示しており、当該新規なアブレーション物理に係る検証とは、特に関係がない。
図11及び図12からも、図6に示した低フルーエンス領域におけるアブレーション或いはイオン化放出現象が、熱過程ではなく、非熱過程で起こっていることが推察される。これは、前述したように、低フルーエンス領域では、多光子吸収過程或いは3光子吸収過程がアブレーション現象の要因として顕著に又は完全に支配的となり、分子イオンとして、多価のイオンが生成されるという考察を裏付ける結果となっている。
以上図2から図12を参照して説明したように、1つのフェムト秒レーザに係るパルスで、ターゲット13の表面を、原子・分子レベルで、言い換えれば、非常にソフトにアブレーションさせ、或いはイオン化できる。この際、1価以外の多価イオンのみが顕著に放出される非熱的アブレーション現象、或いは非熱的イオン化現象は、本発明の以前には報告されていない。
また、本実施形態では、金属として適宜Cuの場合について例示しているが、図4の表に例示した全ての金属についても同様の非熱的アブレーション現象、或いは非熱的イオン化現象が確認される。総括すれば、図6等を参照して説明したアブレーション率のフルーエンス依存性は、概ね全ての金属をターゲット13とした場合にも、傾きの異なる三つの対数成分からなっており、アブレーション閾値フルーエンスは夫々、三つ(F3,th、F2,th及びF1,th)存在する。そして、概ねいずれの金属についても、アブレーション閾値フルーエンスのパルス依存性は、多光子吸収過程或いは3光子吸収過程に従っていると考察される。
続いて図13及び図14を参照して、本実施形態によって、フェムト秒レーザLfsの波長を制御する必要なしに、ターゲット13の表面の剥離深さ、或いは、剥離面積も含めた微細加工のサイズを制御可能である点について検証する。ここに、図13は、本実施形態で用いるフェムト秒レーザLfsの波形を示す。図14は、ターゲット13に照射するフェムト秒レーザLfsに係る照射フルーエンス(J/cm)及びパルス数(shots数)を変えた場合における、照射位置を中心とした各位置(μm)に対する剥離深さ(ablation depth(μm))を示す。
図13及び図14に示したように、パルス幅を70fsとし、波長を800nmに固定しても、図14に示したように、照射フルーエンスを変えることで、剥離深さ及び剥離面積を変えられる。
従って、予めこのような照射フルーエンスの値と剥離深さ及び剥離面積との関係、或いは、照射フルーエンスと微細加工サイズとの関係を実験的、経験的、理論的に、或いはシミュレーション等により求めておけば、所望の剥離深さや剥離面積、或いは所望の微細加工サイズでの微細加工を、照射フルーエンスの値及び照射パルス数を調整・制御することで実現できることになる。
続いて図15から図17を参照して、本実施形態によって、フェムト秒レーザLfsの波長を制御する必要なしに、レーザアブレーションによってターゲット13の表面に形成される周期構造の間隔を制御可能である点について検証する。ここに、図15及び図16は夫々、フェムト秒レーザLfsの照射によってターゲット13の表面に形成される、周期構造を示す。また、図17は、該周期構造の間隔と、照射フルーエンスとの関係を示す。
図15に例示したように、フェムト秒レーザLfsの照射によってターゲット13の表面には、フェムト秒レーザLfsの波長に依存した間隔の周期構造が形成される。例えば、ターゲット13の表面内で、0.5μmの間隔(distance)で、深さ(height)200nmの周期構造が形成される。この様子は、ターゲット13の表面における各位置の剥離深さを濃淡で示した図16によって、視覚的に理解できる。尚、図5に示したCCDカメラ31を利用すれば、このような濃淡イメージがターゲット13の表面上で観察される。
このような周期構造は、入射光たるレーザとターゲット13の表面にできるプラズマ波(又は散乱波)との干渉により生成される定存波に起因している。また、周期構造の間隔は、レーザの偏光方向にも依存する。
より具体的には、周期構造の間隔dは、次式(5)で表記される。
d=λ/(1±sinθ) …(5)
但し、
λ:レーザの波長
θ:レーザの入射角度
そして、本例では、λ=800nmであり、且つθ=0であるので、d=λ=800nmとなる。
図17に示すように、本実施形態によれば、このような周期構造における間隔を、波長を変えることなく、照射フルーエンスの値を小さくすることで、小さくできる。特に、低フルーエンス領域では、高フルーエンス領域に比べて、周期構造の間隔を顕著に狭めることができる。
以上図13から図17を参照して説明したように、フェムト秒レーザLfsを用いたアブレーションの場合、ターゲット13の表面における剥離深さや剥離面積、更には、周期構造の間隔を、照射フルーエンスの値によって制御できる。
また、本実施形態では、金属として適宜Cuの場合について例示しているが、図4の表に例示した全ての金属についても同様の制御が可能である。総括すれば、各種の金属をターゲット13とした場合にも、ターゲット13の表面における剥離深さや剥離面積、更には、レーザ波長よりも狭い間隔を有する周期構造の間隔を、照射フルーエンスの値によって制御できる。
以上図2から図17を参照しての考察に鑑み、図1に示した本実施形態に係るレーザ照射装置1では、制御装置10等による設定工程において、照射フルーエンスの値は、ターゲット13の表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内(図6の例では、0.018J/cm〜0.18J/cmの領域内)で設定される。そして、レーザ光源装置11等による照射工程では、フェムト秒レーザLBがこの設定値で照射される。従って、レーザ照射装置1によれば、高フルーエンスのレーザ照射によって又は長いパルスのレーザ照射によってターゲット13の表面における熱的なイオン化を招くことなく或いは加熱による溶融や破壊を招くことなく、原子・分子レベルで剥離或いはアブレーションを行うことができる。この際、低フルーエンスであって且つフェムト秒レーザという極短いパルスを用いることで、非熱的なイオン放出現象がターゲット13の表面で起き、該表面が加熱されることなく、原子・分子レベルでの剥離が可能となるのである。
以上図1から図17を参照して詳細に説明したように本実施形態に係るレーザ照射装置1(図1参照)によれば、ターゲット13の表面における所望の剥離深さ、或いは、所望の微細加工のサイズを調整・制御するために、制御装置10による駆動制御下で、レーザ光源装置11におけるフェムト秒レーザLBの照射フルーエンスの値を調整・制御している。或いは、フェムト秒レーザLBの光強度の値を調整・制御している。従って、例えば前述の特許文献1の如くに「波長変換器」といった特別にレーザ波長を調整・制御するための光学手段は非必要となり、比較的容易にして、ターゲット13の表面における超微細加工やターゲット13の表面からの超微量のイオン化放出が可能となる。
尚、図6に例示した如き三つのアブレーション閾値フルーエンスF3,th、F2,th及びF1,thは、ターゲット13の表面の材質等に依存して予め数値化、或いはテーブル化可能である。よって、一旦、これらの値を求めておけば、制御装置10(図1参照)による設定工程における照射フルーエンスの値を、実際にレーザ照射の対象となるターゲット13の材質及び所望の剥離深さに応じて、一意的に決めることが可能となる。即ち、比較的容易にして、実際の照射に際して、制御装置10による照射フルーエンスの値の設定を実施できる。
加えて、図2に示したレーザ照射・分析装置2は、ターゲット13を試料として、試料表面に対する非破壊的な質量分析等を行なう分析装置として利用することも可能である。
(微細加工装置)
本発明の微細加工装置の実施形態について説明する。
本実施形態に係る微細加工装置は、図1に示したレーザ照射装置と同一構成を有する。言い換えれば、図1に示したレーザ照射装置1を、ターゲット13を微細加工の対象物とすれば、そのまま本実施形態に係る微細加工装置を実現できる。
本実施形態の微細加工装置によれば、上述したレーザ照射装置1の場合と同様に、フェムト秒レーザLfsに係る照射フルーエンスを低フルーエンス領域内で調整・制御することによって、ターゲット13に対して原子・分子レベルでの超微細加工が可能となる。
この場合、好ましくは、制御装置10による駆動制御下で、レーザ光源装置11は、フェムト秒レーザLBとして、一つのレーザパルスを他のレーザパルスから時間的に独立した形で照射可能に構成される。これにより、一つのレーザパルスを他のレーザパルスから時間的に独立した形で照射することで、ターゲット13の表面から分子イオンを、一つのレーザパルスに対応する極めて微細な剥離量でイオン化放出させることが可能となる。
尚、図1では、ターゲット13は、θだけ傾けられているが、放出された分子イオンを特に利用しない、微細加工装置の場合には、このように傾ける必要は必ずしもなく、要求される加工の形状や程度に応じて、θを適宜調整してもよい。
本実施形態に係る微細加工装置によれば、レーザ波長以下のナノ構造の形成、トライポロジー、レーザ波長以下の微小穴あけ、半導体結晶化、通信用微小デバイスの作成、μ−TAS(Total Analysis System)、MEMS(Micro Electro Mechanical System)などへの、幅広い応用が可能となる。
(薄膜形成装置)
図18を参照して本発明の薄膜形成装置の実施形態について説明する。ここに、図18は、薄膜形成装置の概略構成を示す。尚、図18において、図1と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図18に示すように、薄膜形成装置3は、図1のレーザ照射装置1と同じく制御装置10、レーザ光源装置11、集光レンズ12及び真空容器14を備え、更に、被成膜体201が載置される基台202及び電源装置203を備えて構成される。基台202及び電源装置203は、本発明に係る「成膜手段」の一例を構成する。
基台202は、電源装置203により所定電位とされ、被成膜体201を所定電位とした状態で保持する。これにより、薄膜形成時には、既存のスパッタリング技術と類似の要領で、フェムト秒レーザLBの照射に応じてターゲット13から放出される分子イオンが、被成膜体201上に衝突し、被成膜体201上に分子イオンから構成される薄膜が形成される。
尚、図18に不図示のイオン加速器或いは電界印加装置を真空容器14内に設けて、ターゲット13から放出された分子イオンを加速してから被成膜体201に衝突させるように構成してもよい。
従って、本実施形態によれば、上述したレーザ照射装置1の場合と同様に、ターゲット1の表面から原子・分子レベルで放出される分子イオンを利用して、例えば半導体装置基板などの非成膜体201上に、極薄い薄膜を形成可能となる。
尚、制御装置10による駆動制御下で、レーザ光源装置11は、複数のレーザパルスをまとめて或いは連続して照射するように構成してもよい。これにより、ターゲット13から大量の剥離量で分子イオンを放出させ、薄膜形成装置3における成膜速度を上げることが可能となる。
以上説明した実施形態では、金属に限らず、半導体、絶縁体、化合物、生体材料と幅広い固体をターゲット13とできる。特に、レーザ強度を高めることも容易であるので、絶縁体等を、比較的問題なくターゲット13としてアブレーションできる。或いは、レーザを低フルーエンスで照射するので、破壊されやすい化合物や生物試料も比較的問題なくターゲット13としてアブレーションできる。このため、微細化が進行してゆく、ナノテクノロジー、情報技術、環境技術、バイオテクノロジー、製造技術など広い分野にわたって、本発明は、極めて重要な技術を提供することになる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うレーザ照射方法及び装置、微細加工方法及び装置、並びに薄膜形成方法及び装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の実施形態に係るレーザ照射装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るレーザ照射・分析装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る極短パルスレーザ(即ち、フェムト秒レーザ)の波形特性を示す特性図である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置における各種パラメータや各種機材等に係る条件の一例を示す表である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置内における、レーザ光源装置及び検証用のCCDカメラ等の光学配置を示すブロック図である 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって得られる照射フルーエンスとアブレーション率との関係を示す特性図である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって得られるレーザパルス幅とアブレーション閾値との関係を示す特性図である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって検出されるイオン信号強度を時間軸(横軸)に対して示す特性図(その1)である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって検出されるイオン信号強度を時間軸(横軸)に対して示す特性図(その2)である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって検出されるイオン信号強度を時間軸(横軸)に対して示す特性図(その3)である。 Cu(銅)についての温度と分布密度との関係を示す特性図である。 実施形態に係るレーザ照射・分析装置によって得られるCuについての入射レーザエネルギとイオン信号強度との関係を示す特性図である。 実施形態で用いるフェムト秒レーザLfsの波形を示す波形図である。 実施形態でフェムト秒レーザLfsに係る照射フルーエンス及びパルス数を変えた場合における、照射位置を中心とした各位置に対する剥離深さを示す特性図である。 実施形態においてフェムト秒レーザLfsの照射によってターゲットの表面に形成される周期構造を示す特性図(グラフ)である。 実施形態においてフェムト秒レーザLfsの照射によってターゲットの表面に形成される周期構造を示す特性図(濃淡図)である。 実施形態において周期構造の間隔と、照射フルーエンスとの関係を示す特性図である。 本発明の実施形態に係る薄膜形成装置の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…レーザ照射装置(微細加工装置)
2…レーザ照射・分析装置
3…薄膜形成装置
10…制御装置
11…レーザ光源装置
12…集光レンズ
13…ターゲット
14…真空容器
16…検出装置

Claims (16)

  1. 固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値を、前記低フルーエンス領域内で設定する設定工程と、
    前記固体表面に対して前記設定された照射フルーエンスの値で前記フェムト秒レーザを照射する照射工程と
    を備えたことを特徴とするレーザ照射方法。
  2. 前記設定工程は、前記低フルーエンス領域内として、前記材質に依存する複数のアブレーション閾値フルーエンスのうち1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内で、前記照射フルーエンスの値を設定することを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射方法。
  3. 前記設定工程は、前記複数のアブレーション閾値フルーエンスとして少なくとも3つ存在するアブレーション閾値フルーエンスのうち、前記1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF3,thと前記2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスF2,thとの間の領域内で、前記照射フルーエンスの値を設定することを特徴とする請求項2に記載のレーザ照射方法。
  4. 前記設定工程は、前記1番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスと前記2番目に小さいアブレーション閾値フルーエンスとの間の領域内で、前記材質に応じてレーザ多光子吸収過程に基づいて予め設定される照射フルーエンスの値に対するアブレーション率の特性曲線に従って、前記照射フルーエンスの値を設定することを特徴とする請求項2又は3に記載のレーザ照射方法。
  5. 前記設定工程は、前記レーザ多光子吸収過程として3光子吸収過程に基づいて予め設定される前記特性曲線に従って、前記照射フルーエンスの値を設定することを特徴とする請求項4に記載のレーザ照射方法。
  6. 前記設定工程は、前記剥離深さ及び前記材質に応じて、前記フェムト秒レーザの光強度の値を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザ照射方法。
  7. 固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る光強度の値を、前記フェムト秒レーザに係る照射フルーエンスが前記低フルーエンス領域内から外れない範囲内で設定する設定工程と、
    前記固体表面に対して前記設定された光強度の値で前記フェムト秒レーザを照射する照射工程と
    を備えたことを特徴とするレーザ照射方法。
  8. 前記設定工程は、前記剥離深さに加えて又は代えて前記固体表面から剥離すべき所望の剥離面積と前記材質とに応じて、前記照射フルーエンスの値及び前記光強度の値のうち少なくとも一方を設定することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザ照射方法。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のレーザ照射方法を含み、前記照射工程によって前記固体表面を微細加工することを特徴とする微細加工方法。
  10. 請求項1から8のいずれか一項に記載のレーザ照射方法と、
    前記照射工程によって前記固体表面から放出された分子イオンを用いて被成膜体に対して成膜を行う成膜工程と
    を備えたことを特徴とする薄膜形成方法。
  11. 固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る照射フルーエンスの値を、前記低フルーエンス領域内で設定する設定手段と、
    前記固体表面に対して前記設定された照射フルーエンスの値で前記フェムト秒レーザを照射する照射手段と
    を備えたことを特徴とするレーザ照射装置。
  12. 固体表面から剥離すべき所望の剥離深さ及び前記固体表面の材質に応じて、前記固体表面に照射されることで前記固体表面に非熱的なイオン化放出を引き起こす低フルーエンス領域内のフェムト秒レーザに係る光強度の値を、前記フェムト秒レーザに係る照射フルーエンスが前記低フルーエンス領域内から外れない範囲内で設定する設定手段と、
    前記固体表面に対して前記設定された光強度の値で前記フェムト秒レーザを照射する照射手段と
    を備えたことを特徴とするレーザ照射装置。
  13. 前記照射手段は、前記レーザとして、一つのレーザパルスを他のレーザパルスから時間的に独立した形で照射可能に構成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のレーザ照射装置。
  14. 請求項11から13のいずれか一項に記載のレーザ照射装置を含み、前記照射手段によって前記固体表面を微細加工することを特徴とする微細加工装置。
  15. 請求項11から13のいずれか一項に記載のレーザ照射装置と、
    前記照射手段によって前記固体表面から放出された分子イオンを用いて被成膜体に対して成膜を行なう成膜手段と
    を備えたことを特徴とする薄膜形成装置。
  16. 請求項1から8のいずれか一項に記載のレーザ照射方法により微細加工が施された構造を有することを特徴とする加工物。
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