以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る映像表示装置に用いられる信号処理回路の一実施形態を示すブロック図である。R入力端子11に入力されたR原色信号と、G入力端子12に入力されたB原色信号と、B入力端子13に入力されたB原色信号は、それぞれA/D変換回路14に供給され、デジタル信号に変換される。マトリクス変換回路15は、このA/D変換回路14から出力されたデジタル形式の3原色信号(R,G,B)をマトリックス変換処理し、該デジタル3原色信号から輝度信号Y、及び色差信号である(R−Y)信号と(B−Y)信号に変換して出力する。この輝度信号Yは、検出回路17と逆マトリクス変換回路27にそれぞれ入力される。また、色差信号である(R−Y)信号と(B−Y)信号は、色相変換回路18と彩度変換回路21にそれぞれ入力される。色相変換回路18は、入力された(R−Y)信号と(B−Y)信号を用いて、例えば数1に示すような属性変換演算をしてデジタル形式の色相信号(θ)を出力する。
一方、彩度変換回路21は、この入力された(R−Y)信号と(B−Y)信号を用いて、例えば数2に示すような属性変換演算をしてデジタル形式の彩度信号(S)を出力する。
ここで、色相信号と彩度信号について以下に説明する。図2に示すように、横軸に(B−Y)信号をとり、縦軸に(R−Y)信号をとったとき、色はベクトルで表される。そのベクトルの方向(横軸である(B−Y)軸とそのベクトルとが為す角度)が色合いである色相(θ)を示し、ベクトルの大きさが色の濃淡である彩度(S)を示す。このように、色をベクトル表示したものは色相環と呼ばれ、一般的に知られている。この色相環において、例えばマゼンタは、図2に示すように、(B−Y)軸から45°の角度に位置するベクトルで表される。すなわち、マゼンタの色相(θ)は45°である。彩度(S)は、そのベクトルの大きさにより決定され、ベクトルの大きさが大きいほど色が濃く、小さければ色が淡い。またベクトルの大きさが0であればその色が無いことを示している。また、赤色、黄色、緑色、シアン色、青色の色相は、それぞれ113.2°、173.0°、225.0°、293.2°、353.0°である。色相変換回路18は、デジタル形式の色相信号を出力しており、デジタル信号のビット精度を10ビットとすると、色相0°〜359.9°を0〜1023のデジタル信号として出力する。すなわち、色相360°を2の10乗である1024で分割した精度となり、色相デジタル信号の1LSBは約0.35°となる。
図3は、以上説明してきた内容を補足した図であり、色相信号と彩度信号との関係の一例を波形301で示している。図3では、横軸を色相信号θ(10ビット精度)、縦軸を彩度信号S(8ビット精度)としている。また、代表的な色相
である(B−Y)を0、(R−Y)を256、−(B−Y)を512、−(R−Y)を768として示してある。
一方、彩度変換回路21は、色相信号0〜1023に対応した色ベクトルの大きさである彩度信号をデジタル信号として出力する。このデジタル彩度信号のビット精度を8ビットとすると、彩度変換回路21は、0〜255のデジタル信号を出力する。
色相変換回路18から出力されたデジタル色相信号は、色相補正回路20に入力される。色相補正回路20は、局部色相補正回路203と、加算器201及び202を有しており、入力されたデジタル色相信号のうち、特定範囲の色相を持つ信号を補正して出力する。色相補正回路20において補正される色相信号の色相範囲及び補正量は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと呼ぶ)40から出力される各種設定値によって決定される。また、彩度変換回路21から出力されたデジタル彩度信号は、彩度補正回路22に入力される。彩度補正回路22は、彩度補正係数生成回路222と、乗算器221及び加算器223を有しており、入力されたデジタル彩度信号のうち、特定範囲の彩度を持つ信号を補正して出力する。彩度補正回路において補正される彩度信号の彩度範囲及び補正量は、マイコン40から出力される各種設定値によって決定される。
色相補正回路20によって補正されたデジタル色相信号(以下、補正色相信号と呼ぶ)と、彩度補正回路によって補正されたデジタル彩度信号(以下、補正彩度信号と呼ぶ)は、色温度補正回路23に入力される。色温度補正回路23は、本発明の主たる特徴部分であり、入力された補正色相信号及び補正彩度信号のうち、マイコン40から供給される彩度上限設定値ST及び輝度下限設定値YBで定められる所定輝度以上かつ所定彩度以下の白色系信号に対して、その色温度を高めるように色温度補正を行うものである。また、色温度補正回路23は、補正色相信号について色温度補正を行う第1の色温度補正部231、該第1の色温度補正部231からの出力信号と補正色相信号(色相補正回路20の出力信号)のいずれか一方を選択して出力する第1の選択回路、補正彩度信号について色温度補正を行う第2の色温度補正部235、該第1の色温度補正部235からの出力信号と補正彩度信号(彩度補正回路22からの出力信号)のいずれか一方を選択して出力する第2の選択回路236とを有している。第1の選択回路232及び第2の選択回路236は、それぞれ入力映像信号が所定輝度以上で所定彩度以下の場合に、第1の色補正部231、及び第2の色補正部235の出力信号を選択して出力し、それ以外の場合は、補正色相信号及び補正彩度信号を選択して出力する。この第1の選択回路232及び第2の選択回路236における信号の選択動作は、検出回路17から出力される制御信号に基づいて行われる。
検出回路17は、入力映像信号が所定輝度以上でかつ所定彩度以下の白色系信号であるかを検出するものである。具体的には、検出回路17は、マトリクス変換回路15から出力された輝度信号とマイコン40によって設定された輝度下限設定値YBとを比較する輝度比較回路171と、補正彩度信号と同じくマイコンにより設定された彩度上限設定値STとを比較する彩度比較回路172と、輝度比較回路171の出力信号と彩度比較回路172からの出力信号を入力し、これらの信号に基づいて、入力映像信号が所定輝度以上でかつ所定彩度以下の条件を満足するかを否かを判定し、該条件を満足する場合に上記第1の選択回路232及び第2の選択回路236に対して制御信号を出力する切替制御回路173を有している。すなわち、切替制御回路173は、上記条件を満足する場合に、第1の選択回路232及び第2の選択回路236が第1の色補正部231及び第2の色補正部235の出力信号を選択して出力するように制御するものである。
第1の選択回路232及び第2の選択回路236からの出力信号は、色差変換回路26に入力される。色差変換回路26は、これらの出力信号から色差信号である(R−Y)及び(B−Y)信号を生成して出力する。色差変換回路26から出力された色差信号は、逆マトリクス変換回路27に入力され、マトリクス変換回路15から出力された輝度信号とともに逆マトリクス変換処理によって、R,G,Bの3原色信号に変換される。逆マトリクス変換回路27から出力された3原色信号は表示装置28に供給され、表示装置28は、この3原色信号に基づき映像の表示を行う。
次に、各部の詳細について以下に説明する。まず、色相補正回路20の詳細について、図4及び図5を参照しつつ説明する。色相補正回路は、デジタル色相信号に加算器201及び202で何も加算しなかった場合、図4(a)の直線401に示されるような、リニアな入出力特性を持つものとする。色相変換回路18から出力されたデジタル色相信号は、加算器201と局部色相補正回路203にそれぞれ入力される。局部色相補正回路203では、マイコン40から出力された色相の中心値(図4(b)に示すHP)とレベル(図4(b)に示すH)と色相幅(図4(b)に示すW)が入力され、これらの値をもとにこの範囲内の色相をデコードし、図4(b)の402に示すような波形を持つ信号を出力する。加算器201では、デジタル色相信号とこの台形状の波形402を有する局部色相補正回路203の出力信号とを加算する。この結果、加算器201の出力は、図5(a)に示すように、HPを中心としたWの区間、上方にHだけシフトした波形501を持つ信号を出力する。このシフト(制御)量は、マイコン40から入力されるレベルHによって決定される。このように、局部色相補正回路203及び加算器201は、マイコン40より指定された範囲内の色相を、同じくマイコンにより指定されたレベルで可変制御しているため、局部的な色合いの制御が可能となる。
さらに、加算器201から出力された信号(波形501)は加算器202の一方の入力端子に入力される。加算器202の他方の入力端子には、マイコン40から出力されたオフセット値が入力される。このオフセット値は、図5(b)の直線502に示されるように、全色相に渡って一定のレベルaを持っている。加算器202は、加算器201から出力された信号と、マイコン40から出力されたオフセット値とを加算する。この結果、加算器202は、図5(c)の波形503に示すような、図5(a)に示す信号の全体をオフセット値のレベルaだけ上方にシフト(オフセット)した信号を出力する。このように、加算器202は、全体的な (全色相に渡る)色合いの制御が可能となる。これは、いわゆるティント調整に相当する機能であり、全体の色相を調整したい場合に用いる。尚、本実施形態においては、加算器202として、入出力とも10ビットの加算器を使用しているため、その加算結果が1023を超えるとオーバーフローして0に戻る。従って、加算器202は、加算結果が1023を超えた場合、その加算結果から1023を引いた値を出力する。
以上のようにして、色相補正回路20は、マイコン40により指定した色相範囲の色相信号を別の色相に可変し、また、オフセットを設定することにより色相全体を所定の値だけオフセットした信号を出力することができる。また、色相信号として10ビットのデジタル信号を用いているため、約0.35度を単位とした高精度な色相シフト制御及び色相オフセット制御可能となる。また、色相のシフト量、シフト範囲及びオフセット量等の色相補正に係るパレメータをマイコン40により設定しているため、これらのパラメータを任意に変更・調整できる。尚、本実施形態では、色相シフトの範囲を1つとしているが、局部色相補正回路203を複数用意し、これらの出力信号を加算して加算器201に入力することにより、複数範囲の色相を独立にシフト(制御)することも可能である。
次に、彩度補正回路22の詳細について、図13を参照しつつ説明する。彩度補正回路22は、デジタル彩度信号に加算器223で何も加算せず、かつ乗算器221で何も乗算しなかった場合、図13(a)の直線1201Aに示されるような、リニアな入出力特性を持つものとする。彩度変換回路21から出力されたデジタル彩度信号は、彩度補正回路22の乗算器221に入力される。一方、色相変換回路18から出力されたデジタル色相信号は、局部彩度補正回路222に入力される。局部彩度補正回路222は、マイコン40によって指定された色相の中心値(図13(b)に示すHP)とレベル(図13(b)に示すH)と色相幅(図13(b)に示すW)が入力され、これら値をもとにこの範囲内の色相をデコードし、図13(b)の波形1202Aに示すような、特定範囲の色相の彩度を局部的に補正するための補正信号を出力する。加算器223は、マイコン40から出力されるオフセット値とこの局部彩度信号補正回路222の出力信号を加算する。その結果、加算器223は、図13(c)の波形1203Aに示すような特性の彩度増幅係数が出力される。従って、特定色相範囲における彩度信号の増幅度を決定するのは高さHであり、彩度信号全体(全色相における彩度信号)の増幅度は、マイコン40からのオフセット値によって決定される。このオフセット値は、全色相に渡って一定であり、そのレベルは、本実施形態においては、彩度信号の最小値 (0)と最大値(255)の中間である128に設定している。加算器223の出力信号(彩度増幅係数)は、乗算器221の一方の入力端子に入力され、他方の入力端子には、彩度変換回路21からのデジタル彩度信号が入力される。乗算器221は、デジタル彩度信号と彩度増幅係数を乗算することにより、特定色相範囲の彩度レベルをシフト(補正)している。
このように、彩度補正回路22は、指定された色相範囲の彩度信号を局部的に補正して特定色相における色の濃淡を可変制御することでき、また全色相の彩度信号を制御して全色相における色の濃淡を可変制御することもできる。これは、いわゆるカラー調整に相当する機能である。また、彩度の補正量、補正範囲及びオフセット量等の彩度補正に係るパラメータをマイコン40により設定しているため、これらのパラメータを任意に変更・調整できる。尚、本実施形態では、彩度の補正範囲を1つとしているが、局部彩度補正回路を複数用意し、これらの出力を加算して乗算器221に入力することにより、複数の色相範囲における彩度を独立に補正することも可能である。
次に、検出回路17の詳細について、図6を参照しつつ説明する。マトリクス変換回路15から出力された輝度信号Yは、輝度レベル比較回路171に入力される。輝度レベル比較回路171は、輝度信号Yと図6に示される輝度下限設定値YB(601)とを比較し、輝度信号Yが輝度下限設定値YBより大きい場合に、“1”の高輝度レベル検出信号を出力する。反対に輝度信号Yが輝度下限設定値YBより小さい場合は“0”を出力する。本実施形態では、輝度下限設定値YBを210としている。一方、彩度補正回路22の乗算器22から出力された彩度信号は、彩度レベル比較回路172に入力される。彩度レベル比較回路172は、その彩度信号と図6に示される彩度上限設定値ST(602)とを比較し、彩度信号が彩度上限設定値STより小さい場合に、“1”の低彩度レベル検出信号を出力する。反対に、彩度信号が彩度上限設定値STより大きい場合は“0”を出力する。本実施形態では、彩度上限設定値STを10としている。
高輝度レベル検出信号と低彩度レベル検出信号は、ともに切替制御回路173に入力される。切替制御回路173は、2つの検出信号をAND演算することにより、入力映像信号が所定輝度以上でかつ所定彩度以下の白色系信号(すなわち、非常に明るく色が非常に淡い白色の信号)であるか否かを判定する。つまり、切替制御回路173は、入力映像信号が図6に示される斜線が付された円柱エリア内(白色系の信号の領域)に存在するか否かを判定するものである。そして、入力映像信号が斜線の円柱エリア内にあるとき(すなわち、2つの検出信号がともに“1”の場合)に“1”を、斜線の円柱エリア外にあるとき(すなわち、2つの検出信号のいずれか、もしくは両方が0の場合)に“0”のフラグ信号を出力する。このフラグ信号は、色温度補正回路23の第1の選択回路232、及び第2の選択回路236を制御するための制御信号として、該第1及び第2の選択回路に供給される。
このように、本実施形態に係る検出回路17は、彩度上限設定値ST以下の彩度を有し、かつ輝度下限設定値YB以上の輝度を持つ映像信号を検出しているため、純粋な白色のみならず、若干色が混じっているような白色系の信号や、輝度の低い(若干グレーが混じっている)白色系の信号をも検出できる。また、この白色系信号の検出の基準となる輝度下限設定値YB並びに彩度上限設定値STは、マイコン40により設定されているため、検出したい白色系の信号の範囲を任意かつ高精度に設定できる。更に、例えば、人の肌等十分に色が着色しているような画像エリアは彩度信号の振幅レベルが大きく輝度信号も極端に大きくないため、ST、YBの設定値次第で白色系信号の検出範囲から除外できる。
次に、色温度補正回路23の詳細について、図7〜図11を参照しつつ説明する。まず、色相信号について色温度補正を行う第1の色温度補正部231について、図7〜図10を参照しつつ述べる。第1の色温度補正部231は、図8(a)のベクトル801に示された色相(ここでは青色の色相)を基準色相とし、この基準色相に周辺の色相を寄せ集める色相シフト係数を生成するものである。その回路構成の一具体例を図7に示している。
図7において、第1の色温度補正部231の色相入力端子2312には、色相補正回路20の加算器202から出力された補正色彩信号が入力される。色相入力端子2312に入力された補正色相信号は、加算器2322の一方の入力端子に供給される。また、加算器2322の他方の入力端子には、マイコン40で設定された色相オフセット値(HUEOFFSET)が、色相オフセット入力端子2311を介して供給される。色相オフセット値(HUEOFFSET)は、減算器2336の一方の入力端子にも供給される。加算器2322は、補正色相信号と色相オフセット値(HUEOFFSET)とを加算する。ここで、マイコン40によって設定される色相オフセット値(HUEOFFSET)は、デジタル値の“1024”と図8(a)に示されている基準ベクトル801の色相値θとの差分Tに等しく、例えば以下の式により決定される。
HUEOFFSET=1024−(353/360)・1024=20
このため、加算器2322は、図8(b)のベクトル802で示すように、ベクトル801の色相値を持つ信号が入力されると、デジタル値“0”を出力する。これは、ベクトル801が(B−Y)軸であるベクトル802の位置まで色相オフセット値T分だけ反時計周りに回転シフトしたことを示す。加算器2322により色相オフセット値(HUEOFFSET)分だけ全体的に回転(シフト)した色相信号は、第1の色相シフト係数生成回路2340の構成要素である減算器2323に入力される。
以下、第1の色相シフト係数生成回路2340の動作について説明する。減算器2323は、加算器2322から出力された色相信号から512を減算した色相信号を出力する。それと同時に、減算器2323は、減算した結果が正ならデジタル値“1” を出力し、反対に負であればデジタル値“0”の符号信号を出
力する。この減算出力された色相信号と符号信号は、絶対値回路2324に入力される。この絶対値回路2324では、符号信号が“1”のとき入力信号をそのまま出力し、符号信号が“0”のとき入力信号は負なので絶対値演算を行い出力する。絶対値回路2324で絶対値化された色相成分は、乗算器2325に入力され、マイコン40から入力端子2313を介して入力された色相乗算係数と乗算されることにより、ゲイン調整される。乗算器2325は、このゲイン調整した色相成分を、選択回路2332の第1の入力端子に出力する。このように、第1の色相シフト係数生成回路2340は、マイコン40で設定した青色付近の色相値(図8(a)に示されるベクトル801)から180°ずれた色相(デジタル値では512ずれた色相)を最も小さいシフト量とし、この180°ずれた色相値
に近付くにつれ徐々に大きなシフト量となる色相シフト係数を生成するように構成している。この色相シフト係数は、乗算器2325によってゲイン調整される。このゲイン調整のための色相乗算係数は、マイコン40で調整することができる。
第2の色相シフト係数生成回路2341は、前述した検出回路17において白色系信号の検出に用いられる輝度下限設定値YBを基準として、それより大きな輝度信号Yとの差信号を出力する。輝度下限設定値YBよりも輝度信号のほうが小さい時は、この差信号のレベルをゼロとする。そして、この差分信号の大きさに比例した色相シフト係数生成する。この色相シフト係数のゲイン調整についても、マイコン40により設定可能である。以下、第2の色相シフト係数生成回路2341の詳細について説明する。前述したマトリクス変換回路15より出力された輝度信号Yは、輝度入力端子2314を介して、減算器2326に供給される。また減算器2326のもう一方の入力端子2315には、輝度下限設定値YBが供給される。そして、この減算器2326では、輝度信号Yから輝度下限設定値YBを減算して、その差分を示す信号を出力する。この輝度差分信号は、クリップ回路2327に供給される。クリップ回路2327は、入力された輝度差分信号の負の値を“0”にクリップして正の輝度差分信号を出力する。クリップ回路2327の出力信号は、乗算器2328に入力され、マイコン40を介して入力された輝度乗算係数と乗算されることにより、ゲイン調整される。乗算器2328は、このゲイン調整した輝度成分を、色相シフト係数として、選択回路2332の第2の入力端子に出力する。図10(a)の直線1001は、第2の色相シフト係数生成回路2341の入出力特性を示している。直線1001の傾きを調整するのが輝度乗算係数である。このように、第2の色相シフト係数生成回路2341は、輝度信号のレベルが輝度下限設定値YB以上の場合に、輝度信号レベルが大きくなるに従って値が大きくなる色相シフト係数を出力する。尚、輝度信号レベルが輝度下限設定値YB以下の場合は、0を出力する(すなわち色相シフト量も0)。
第3の色相シフト係数生成回路2342は、前述した検出回路17における白色系信号の検出に用いられる彩度上限設定値STを基準として、それより小さな彩度信号との差分信号に基づいて色相シフト係数を生成する。彩度上限設定値STより彩度信号のほうが大きい時は、この差分信号は0となり、色相シフト量も0となる。以下、第3の色相シフト係数生成回路2342の詳細について説明する。前述した彩度補正回路の乗算器221から出力された補正彩度信号は、彩度入力端子2318を介して、減算器2329の一方の入力端子に供給される。減算器2326の他方の入力端子には、入力端子2317を介して、彩度上限設定値STが供給される。そして減算器2329は、補正彩度信号から彩度上限設定値STを減算し、その差分信号をクリップ回路2330に出力する。クリップ回路2330は、入力された差分信号の負の値を“0”にクリップし、正の差分信号のみを出力する。クリップ回路2330から出力された差分信号は、乗算器2331に入力される。乗算器2331は、この差分信号と、入力端子2319を介して供給されたマイコン40からの彩度乗算係数とを乗算してゲイン調整を行う。乗算器2331でゲイン調整された彩度成分は、選択回路2332の第3の入力端子に供給される。図10(b)の直線1002に、第3の色相シフト係数生成回路2342の入出力特性を示す。直線1002の傾きは、彩度乗算係数で調整される。このように、第3の色相シフト係数生成回路2342は、彩度信号のレベルが彩度上限設定値STより小さい場合に、彩度信号レベルが小さくなるに従って値が大きくなる色相シフト係数を生成する。尚、彩度信号のレベルが彩度上限設定値STよりも大きい場合は、0を出力する(色相シフト量も0)。
選択回路2332は、その第1の入力端子に入力された信号(第1の色相シフト係数生成回路2340からの出力信号)、第2の入力端子に入力された信号(第2の色相シフト係数生成回路2341からの出力信号)、及び第3の入力端子に入力された信号(第3の色相シフト係数生成回路2342からの出力信号)のうち、色相シフト量の最小または最大の信号を選択して出力する。選択回路2332における信号の選択動作は、入力端子2321を介して入力された、マイコン40からの切替制御信号に従って制御される。選択回路2332が選択した信号の処理内容について、説明を容易にするために、選択回路2332が第1の入力端子に入力された信号を選択する場合を例にして、図9を用いて以下に説明する図9は、第1の色温度補正部231における各部の入出力特性を示す。図9(a)は加算器2322の入出力特性で、色相オフセット値(HUEOFFSET)が0の場合を示している。図9(b)は第1の色相シフト係数生成回路2340の入出力特性、図9(c)は切替回路2335の入出力特性を示している。
乗算器2325から出力された色相成分は、選択回路2332を介して減算器2333と加算器2334に入力される。前述の加算器2322から出力された色相信号は減算器2323に入力されるとともに減算器2333と加算器2334にも入力される。まず、減算器2333は、加算器2322から出力された色相信号から選択回路2332の出力信号を減算し、もし減算結果が負ならば、内蔵のクリップ回路(図示せず)で0にクリップして、切替回路2335の入力端子Aに出力する。また、加算器2334は、加算器2322から出力された色相信号と選択回路2332からの出力信号を加算し、もし加算結果が1023を越えるならば、内蔵のクリップ回路(図示せず)で上限値1023にクリップして、切替回路2335の入力端子Bに出力する。前述した減算器2323から出力された符号信号の値が“1”(すなわち減算器2323の減算結果が正)の時、切替回路2335は、入力端子Bに入力された信号を選択して出力する。また、符号信号の値が“0” (すなわち減算器2323の減算結果が負)の時、切替回路
2335は、入力端子Aに入力された信号を選択して出力する。
すなわち、減算器2333は、図9(b)の減算期間(つまり加算器2322の出力が0〜512の範囲)において、図9(a)の波形901の信号と、図9(b)の減算期間における波形902の信号とを減算して切替回路2335の入力端子Aに出力する。また、加算器2334は、図9(b)の加算期間(つまり加算器2322の出力が513〜1023の範囲)において、図9(a)の波形901の信号と、図9(b)の加算期間における波形902の信号とを加算して切替回路2335の入力端子Bに出力する。切替回路2335は、減算器2323から出力された符号信号に応じて、入力端子Aに入力された信号(減算器2333の出力信号)と、入力端子Bに入力された信号(加算器2334の出力信号)とのいずれか一方を切り替えて出力する。すなわち、加算器2322の出力が0〜512の範囲では入力端子Aの信号を選択し、加算器2322の出力が513〜1023の範囲では入力端子Bの信号を選択する。この結果、選択回路2335からは、図9(c)の波形903に示されるような、色相が0の方向に回転移動した信号を出力する。図8(c)と(d)は、この色相の回転移動の様子を模式的に示したものである。図8(c)の波形803は、色相が(B−Y)軸の0に近い程回転移動が大きくなる様子を示している。
具体的な数値を例にして、色相の回転移動の様子を説明する。以下では、説明の簡易化のために、色相オフセット値(HUEOFFSET)を0、乗算器2325によって乗算される乗算係数を1として説明する。
補正色相信号の値が10の、青色に近い色相を持つ場合、減算器2323は10−512の演算を行い、演算結果として“−502”を、符号信号として“0”を出力する。絶対値回路は、−502を502に変換し、減算器2333及び加算器2334に出力する。減算器2333は、10−502の演算を行い、その演算結果が負(−492)なので、演算結果として“0”を選択回路2335の入力端子Aに出力する。一方、加算器2334は、10+502の演算を行い、その演算結果である“512”を選択回路2335の入力端子Bに出力する。選択回路2335は、減算器2323からの符号信号が“0”のため、入力端子Aの信号、すなわち0を選択して出力する。
また、補正色相信号の値が600の、比較的黄色に近い色相を持つ場合、減算器2323は600−512の演算を行い、演算結果として“88”を、符号信号として“1”を出力する。絶対値回路は88をそのまま出力し、減算器2333及び加算器2334に供給する。減算器2333は、600−88の演算を行い、その演算結果である“512”を選択回路2335の入力端子Aに出力する。一方、加算器2334は、600+88の演算を行い、その演算結果である“688”を選択回路2335の入力端子Bに出力する。選択回路2335は、減算器2323からの符号信号が“1”のため、入力端子Bの信号、すなわち688を選択して出力する。
このように、本実施形態の回路構成においては、青から離れた色相ほど、その色相シフト量を小さくしてあまり色合いを変えずに色温度を高めるようにしている。一方、青に近い色相では、その色相シフト量を大きくして、大きく青に近づけるようにしている。
また図8(d)は、減算器2336で為される色相の回転移動を示したものである。すなわち、減算器2336は、図8(c)の波形803を、色相オフセット値(HUEOFFSET)分、時計方向に回転移動するものである。
以上の通り、第1の色温度補正部231は、色差信号のうち、所定輝度(輝度
下限設定値YB)以上かつ所定彩度(彩度上限設定値ST)以下の色差信号について、その色温度を高めるように、その色相を(青色の方向に)回転移動させるものである。
尚、以上の第1の色温度補正部231に関する説明において、選択回路2332は、第1の色相シフト係数生成回路2340の出力信号を選択する場合を例にして説明したが、当然ながら、第2の色相シフト係数生成回路2341もしくは第3の色相シフト係数生成回路2342の出力信号を選択するようにしても構わない。選択回路2332における信号の選択については、3つの色相シフト係数生成回路のうち、任意の一つの出力信号を選択するように予め設定してもよい(
この場合、選択回路2332の入力信号の大きさや状態に関わらず、選択される信号は1種類に固定される)。また、選択回路2332を最大値選択回路とし、3つまたは任意に選んだ2つの色相シフト係数生成回路から出力される信号のうち、レベルが最大のものを選択するようにしてもよい。更に、選択回路2332を最小値選択回路とし、3つまたは任意に選んだ2つの色相シフト係数生成回路から出力される信号のうち、レベルが最小のものを選択するようにしても構わない。
次に、第2の色温度補正部235の詳細について、その回路構成の一具体例を示す図11及び図12を参照しつつ説明する。前述の彩度補正回路22における乗算器221から出力された補正彩度信号は、彩度入力端子2351を介して、加算器2356の一方の入力端子に入力される。第1の色温度補正部231の出力端子2320から彩度差分信号が出力され、入力端子2352を介して乗算器2355の一方の入力端子に入力される。乗算器2355の他方の入力端子には、マイコン40から出力された乗算係数が入力端子2353を介して入力される。乗算器2355は、彩度差分信号と乗算係数とを乗算して彩度差分信号のゲイン調整を行う。乗算器2355によってゲイン調整された彩度差分信号は、加算器2356の他方の入力端子に入力される。加算器2356は、補正彩度信号とゲイン調整された彩度差分信号とを加算して、クリップ回路2357に出力する。クリップ回路2357は、加算器2356の加算結果がオーバーフローした場合に、その加算結果を所定の上限値でクリップする。クリップ回路2356の出力信号は、彩度係数出力端子2354を介して切替回路236のもう一方の入力端子に供給される。図12は、第2の色温度補正部235における各部の入出力特性を示している。図12(a)は、彩度差分信号が0のときの、第2の色温度補正部235の入出力特性を直線1201で示し、補正彩度信号に加算器2356で何も加算されない場合の特性を示している。この場合、第2の色温度補正部は、彩度入力端子2351からの補正彩度信号をそのまま出力する。図12(b)は、乗算器2355の入出力特性を直線1202で示している。この図から理解できるように、乗算器2355は、彩度信号が0のとき最大レベル(ST1)の信号を出力し、彩度信号が大きくなるに従ってそのレベルが小さくなる信号を出力する。図12(c)は、第2の色温度補正部の入出力特性であって、補正彩度信号に、加算器2356によって乗算器2355の出力信号が加算された場合の特性を折れ線1203で示している。
このように、第2の色温度補正部235は、彩度信号に対し色温度補正を行うものである。すなわち、彩度信号のうち、所定彩度(彩度上限設定値ST)以下の信号について、その彩度を高めるようにし、上記第1の色温度補正部231で青色方向にシフトされた白色系信号をより濃い青色にして、きれいな(鮮やかな)白色を得るものである。この色温度補正は、もともと青の彩度レベルが小さな場合に効果的である。もともと青の彩度レベルが大きい(十分に青色が確認できる)白色及び/または暖色系の色が強い白色については、このような彩度を高める補正を行わなくてもよい。
前述した検出回路17から出力されたフラグ信号が“1”の時、つまり高輝度で低彩度の入力信号が検出されたとき、第1の選択回路232は、第1の色温度補正部231の出力信号を選択して出力する。また、このフラグ信号が“0”の時、すなわち高輝度で低彩度エリアの外では、第1の選択回路232は、色相補正回路20の出力信号を選択して出力する。この選択制御と連動し、上記フラグ信号の値が“1”のとき、第2の選択回路236は、第2の色温度補正部235の出力信号をして出力する。またフラグ信号が”0“のとき、第2の選択回路236は、彩度補正回路22の出力信号を選択して出力する。以上のようにして色温度補正エリアの範囲(白色系信号の範囲)に含まれる信号についてのみ、色相をシフトした色相信号を出力するとともに、彩度を補正した彩度信号を出力する。
第1,第2の選択回路232、236の出力信号は、前述したように、色差変換回路26により色差信号に変換された後、逆マトリックス回路27によりR、G、Bの3原色信号に変換され、表示装置28に供給される。表示装置28では、入力信号に応じて最適に色温度補正がなされた映像が表示される。
以上のように本実施形態では、所定輝度以上でかつ所定彩度以下の白色系の信号について色温度補正を行うことができる。その色温度補正を、色相信号と彩度信号とのそれぞれに対してデジタル的に行うので、より精度の高い色温度補正が実現できる。また、マイコンにより色温度の補正範囲及び補正量を設定しているため、任意にその補正範囲及び補正量を調節できる。
図14は、本発明に係る別の実施の形態を示すブロック図である。同図において、図1と同じ機能のブロックには同一符号を付して、説明を省略する。なお、図15は、図14を補足説明する図である。図14に示す実施形態の図1と異なる点は、色温度補正レベル検出回路17の構成要素に色相比較回路131を追加した点である。この色相比較回路131を追加した検出回路を、新たな検出回路17'とする。色相比較回路131は、所定輝度以上でかつ所定彩度以下の白色信号のうち、所定の色相の信号を色温度補正の対象から除外するための検出動作を行う。以下に詳細について説明する。
色相比較回路131は、その一方の入力端子に、色相補正回路20から出力された補正色相信号が入力される。また他方の入力端子に、マイコン40から出力された、例えば図15の色相141に示される範囲の色相設定値が入力される。この色相設定値は、色温度補正の対象から除外したい色相の範囲を指定するものであり、その範囲の始端と終端を表す2つの値を持つ。色相比較回路131は、補正色相信号と色相設定値とを比較し、補正色相信号の値が2つの色相設定値の間にあれば“0”を出力し、補正色相信号の値が2つの色相設定値以外(すなわち図15の斜線で示す範囲)であれば“1”を出力する。切替制御回路173は、輝度比較回路171、彩度比較回路172及び色相比較回路131のそれぞれの出力信号が入力される。そして、それら3つの信号のAND演算を行って、前述したような、選択回路232及び236を制御するためのフラグ信号を出力する。すなわち、切替制御回路173は、輝度比較回路171が高輝度信号を検出して“1”を出力し、彩度比較回路172が低彩度信号を検出して“1”を出力し、かつ色相比較回路131が色相設定値の範囲外の信号を検出して“1”を出力した場合に、“1”のフラグ信号を選択回路232及び236に出力し、第1の色温度補正部231及び第2の色温度補正部235の出力信号を選択するように制御する。一方、輝度比較回路171及び彩度比較回路172がともに“1”を出力し、色相比較回路131が色相設定値の範囲内の信号を検出して“0”を出力した場合は、切替制御回路173は“0”のフラグ信号を出力する。従って、この場合は、入力信号が高輝度で低彩度の白色系信号であるが、色温度補正の対象外の色相を持つため、選択回路232及び236は色温度補正が為されていない色相補正回路20及び彩度補正回路22の出力信号を選択する。
このように、本実施形態は、白色系信号でも指定した色相の範囲は色温度補正を行わないようにすることができる。従って、色温度の補正範囲を限定でき、変化させることが好ましくないような色相の信号については、その色相の補正を防止できる。また、マイコン40により色温度補正の対象範囲を指定しているので、任意の範囲を設定できる。
図16は、本発明に係る更に別の実施形態を示すブロック図である。図1に示される実施の形態と異なる点は、新たに輝度補正回路151を設けた点である。以下の説明においては、図1と同じ機能のブロックには同一符号を付して、その説明を省略する。
輝度補正回路151は、マトリクス変換回路15によって入力映像信号から分離された輝度信号の振幅レベルや直流レベルを可変制御するものであり、図17に、その詳細な回路図を示す。マトリクス変換回路15から出力された輝度信号Yは、黒伸長回路1606の一方の入力端子に供給される。黒伸長回路1606の他方の入力端子には、マイコン40によって設定された黒伸長上限設定値(YBK)とゲイン係数が、入力端子1602を介して供給される。黒伸長回路1606は、黒伸長上限設定値(YBK)以下の輝度信号の輝度振幅を可変制御して出力し、白伸長回路1607の一方の入力端子に供給する。白伸長回路1607の他方の入力端子には、マイコン40によって設定された白伸長下限設定値(YWT)とゲイン係数が、入力端子1603を介して供給される。白伸長回路1607は、白伸長下限設定値(YWT)以上の輝度信号の輝度振幅を可変制御して出力する。白伸長回路1607によって振幅制御された輝度信号は、乗算回路1608に供給される。乗算回路1608は、この輝度信号と、入力端子1604を介して入力されたマイコン40からのコントラスト制御係数とを乗算して振幅を可変制御(コントラスト制御)する。クリップ回路1609は、乗算回路1608からの出力信号にオーバーフローが生じた場合に、そのオーバーフロー分を上限値(8ビット精度で最大値255)でクリップして出力する。この出力信号は、加算回路1610に入力される。加算回路1610は、この出力信号と入力端子1605を介して入力されたマイコン40からの直流(DC)値とを加算してブライトネス制御を行う。クリップ回路1611は、加算回路1610からの出力信号にオーバーフローが生じた場合に、このオーバーフロー分を上限値(8ビット精度で最大値255)でクリップする。クリップ回路1611の出力信号は、輝度出力端子1614を介して、逆マトリクス変換回路27、検出回路17及び色温度補正回路23へ出力される。また、最大値/最小値検出回路1612は、入力端子1601を介して入力される輝度補正を行う前の輝度信号の最大レベルと最小レベルを検出し、マイコン40へ出力する。マイコン40は、検出された最大レベル及び最小レベルに基づいて、前述の黒伸長回路1606に入力される黒伸長上限設定値(YBK)及びゲイン係数、白伸長回路1607に入力される白伸長下限設定値(YWT)及びゲイン係数、乗算回路1608に入力されるコントラスト制御係数、及び加算回路1610に入力される直流値を演算して決定する。
図18は、今述べてきた輝度補正回路151の動作を補足説明するためのもので、輝度補正回路151の各部の入出力特性を示している。図18(a)の波形1701は、輝度補正回路151で何も補正されないときの出力特性を示し、輝度入力端子1601から入力された輝度信号がそのまま出力された場合を示す。図18(b)の波形1702は黒伸長回路1606と白伸長回路1607とで、黒部分及び白部分が伸長された出力信号を示している。波形1702において、黒伸長回路1606により処理された部分は、設定値YBKレベル以下のゲイン調整された実線の部分であり、白伸長回路1607により処理された部分は、設定値YWTレベル以上のゲイン調整された実線の部分である。図18(c)の波形1703は、輝度入力信号を乗算器1608とクリップ回路1609で、コントラスト制御処理を行ったときの信号を示している(図18(c)では、図示を簡単とするため、黒伸長と白伸長はされてないものとして示してある)。図18(d)の波形1704は、波形1701を、加算器1610とクリップ回路1611でブライトネス制御処理を行ったときの信号を示している(図18(d)では、図示を簡単とするため、黒伸長、白伸長、コントラスト制御はされてないものとして示してある)。
このように、本実施形態では、輝度信号の明るさ制御(コントラスト制御)及び直流レベル制御(ブライトネス制御)を行うとともに、高レベルの輝度信号の階調を強調制御(白伸長制御)、及び低レベルの輝度信号の階調を強調制御(黒伸長制御)している。これにより、メリハリのついた階調豊かな輝度信号(以下、補正輝度信号と呼ぶ)を得ることができる。また、補正輝度信号は、検出回路17及び色温度補正回路23に同時に供給される。よって、補正輝度信号を用いた検出回路17もしくは17’における色温度補正エリア(白色系信号の領域)の検出と、当該補正輝度信号を用いた色温度補正回路23における色温度補正とに相関を持たせることができる。従って、輝度補正を行った方が画質的に良好になる表示装置に対しても、より最適に色温度補正が行えるという効果がある。
以上、本発明に係る色温度補正を含めた信号処理回路の詳細について説明したが、この信号処理回路は、直視型テレビジョン受像機や、背面投射型テレビジョン受像機に用いられる。また、コンピュータのモニタ用のディスプレイ装置にも適用できる。更に、この信号処理回路を備えた表示装置の表示デバイスは、ブラウン管のみならず、液晶パネルやプラズマディスプレイパネル(PDP)等を用いることができる。つまり、本発明は、どのような表示デバイスを用いても、上述したような効果を得ることができる。また、表示デバイスの種類(色再現や輝度飽和などの各種特性)に応じて、色相補正、彩度補正、白色信号の領域検出、及び色温度補正に関する各種パラメータ(例えば、輝度下限設定値YBや彩度上限設定ST等)を、マイコン40により適宜変更することも好適である。そのような実施形態も本発明に含まれることは言うまでもない。また、上述した3つの実施形態は、いずれも色相補正及び彩度補正を行った後に色温度補正を行っているが、その処理の順番を逆にしてもよい。更に、色相補正及び彩度補正を行わずに色温度補正を行ってもよい。
11…R原色信号入力端子、12…G原色信号入力端子、13…B原色信号入力端子、14…A/D変換回路、15…マトリックス変換回路、17,17’…検出回路、18…色相変換回路、20…色相補正回路、21…彩度変換回路、22…彩度補正回路、23…色温度補正回路、26…色差変換回路、27…逆マトリクス変換回路、28…表示装置、40…マイコン、231…第1の色温度補正部、232…第1の選択回路、235…第2の色温度補正部、236…第2の選択回路。