JP2005205562A - 構造体の組立方法 - Google Patents

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勲 下山
Kiyoshi Matsumoto
潔 松本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、微小部品間の結合の選択が容易で、かつ選択の制御が容易な構造体及びその構造体の組立方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の構造体は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材からなる構造体であって、前記微小部材が、化学反応又は生体化学反応により結合していることを特徴とする。また、本発明の構造体の組立方法は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材を泳動させて、化学反応又は生体化学反応により結合させることによって、前記微小部材からなる構造体を製作することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、微小な部材からなる構造体、及び当該構造体を作製する組立技術に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の発展に伴い、半導体プロセスを用いて作製した微細な電気機械構造体の産業への応用が広がっている。半導体プロセスは、基本的には平板上の基板の面を加工する2次元加工であるが、加工面の上に別の加工面を積層する2.5次元加工と呼ばれる手法を用いることによって、前記基板面上に擬似的な3次元形状を作成することが行われている。 また基板上に2次元加工で展開図構造を予め作製しておき、前記展開図構造を前記基板から起こして組立、薄膜3次元構造を作る技術も開発されている(Eiji Iwase, Shoji Takeuchi, Isao Shimoyama, “Sequential Batch Assembly of 3-D Microstructures with Elastic Hinges by a Magnetic Field,” 15th IEEE International Micro Electro Mechanical Systems (MEMS '02), Las Vegas, Nevada, USA, Jan. 20-24, 2002.)。
一方、個々の微小部材を予め作製しておき、各微小部材を先鋭な先端部を有するガラス棒などを用い、顕微鏡による観察下で前記各微小部材を一つ一つ選択して、手作業で組立作業を行う方法も提唱されている(Kenji Suzuki, Isao Shimoyama, Hirofumi Miura, "Insect-Model Based Microrobot with Elastic Hinges," Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.3, No.1, pp. 4-9, 1994.)。
しかし、上記したような2.5次元加工、あるいは展開図構造を用いた手法では、擬似的な3次元構造、あるいは薄膜3次元構造しかつくることが出来ず、非常に制約が多い。また、上述した手作業による方法では、作業性、生産性の点から非常に効率が悪く、1個の構造体を作ることは可能であるが、1度に数万個もの構造体を作製することはほとんど不可能である。
そこで、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材を泳動させることにより、前記微小部材の前記吸着部分同士を確率的に衝突させて、静電気力・磁力・表面張力・疎水性相互作用・ファンデルワールス力など物理的な相互作用により前記微小部材を結合させることを特徴とする前記微小部材からなる微細な構造を製作する構造体の組立方法が提案されている(Hiroaki Onoe, Kiyoshi Matsumoto, Isao Shimoyama, “3D Micro Self-assembly Using a Hydrophobic Interaction Controlled by SAMs,” 16th IEEE International Micro Electro Mechanical Systems Conference (MEMS '03), Kyoto, Japan, Jan. 19-23, 2003.)。前記吸着部を、結合した際に、目的とする構造体が製作できるように前記微小部材の所定の位置に設けておけば、前記微小部材の大きさが著しく低減された場合においても、短時間で目的とする微細な構造体を多量に作製することができる。
Eiji Iwase, Shoji Takeuchi, Isao Shimoyama, "Sequential Batch Assembly of 3-D Microstructures with Elastic Hinges by a Magnetic Field," 15th IEEE International Micro Electro Mechanical Systems (MEMS '02), Las Vegas, Nevada, USA, Jan. 20-24, 2002.。 Kenji Suzuki, Isao Shimoyama, Hirofumi Miura, "Insect-Model Based Microrobot with Elastic Hinges," Journal of Microelectromechanical Systems, Vol.3, No.1, pp. 4-9, 1994.。 Hiroaki Onoe, Kiyoshi Matsumoto, Isao Shimoyama, "3D Micro Self-assembly Using a Hydrophobic Interaction Controlled by SAMs," 16th IEEE International Micro Electro Mechanical Systems Conference (MEMS '03), Kyoto, Japan, Jan. 19-23, 2003.。
しかし、微小部品同士の結合力として、上記の様な物理的な相互作用を用いた場合、微小部品同士の結合選択を物理的な相互作用によって行うことが難しいため、結合部位のパターニングなどの工夫を施す必要があり、微小部品の作製が難しい。また、いくつかの結合部位の働く結合をそれぞれ独立に外部から結合・離脱の制御を行うことが困難である。そのために、微小部品の結合によってできる構造が制限されるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、微小部品間の結合の選択が容易で、かつ選択の制御が容易な構造体及びその構造体の組立方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、微小部品同士の結合に化学結合もしくは生体物質同士の反応を利用することにより、結合部による微小部品同士の結合選択と、複数の結合部位における結合・離脱の外部からの独立した制御を実現する。
すなわち,本発明の構造体は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材からなる構造体であって、前記微小部材が、化学反応又は生体化学反応により結合していることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、願前記結合が、化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合からなる群から選択される少なくとも1種によることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材同士の結合の選択を行うことを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、抗原と抗体との結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも一種を変化させることによることを特徴とする。
また、本発明の構造体の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、いずれかの前記変化によって生じる、チオール系又はシラン系化学物質の前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離の利用、抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、ssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復の利用からなる群から選択される少なくとも1種を利用するものであることを特徴とする。
本発明の構造体の組立方法は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材を泳動させて、前記微小部材を化学反応又は生体化学反応により結合させることによって、前記微小部材からなる構造体を製作することを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記微小部材の結合が、化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材の結合の選択を行うことを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、抗原と抗体との結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記反応選択性が、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも1種を変化させることにより行なうことを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じるチオール系もしくはシラン系化学物質の、前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じる抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じるssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じる微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記微小部材の化学反応・生体化学反応による結合の後、新たに前記微小部材の不可逆な結合が生じ、前記微小部材の吸着部での固定化を行うことを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記微小部材の不可逆な結合が、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記微小部材の不可逆な結合が、外部から制御可能であることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記不可逆な結合の外部からの制御が、系の温度を上昇・下降させることによる、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することにより行なわれることを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、特定の構造体に微小部材が結合・離脱を行うことで、前記構造体の第一の型を作製し、前記構造体と前記第一の型に、前記微小部材が結合・離脱を行うことで、さらに前記構造体及び前記第一の型のいずれか又は両者の第二の型を作製し、前記結合・離脱の操作を繰り返すことによって構造体を製作することを特徴とする。
また、本発明の構造体の組立方法の好ましい実施態様において、前記組立方法が、前記化学反応・生体化学反応、結合選択性、外部からの制御、不可逆な固定方法のいずれか1種を利用することを特徴とする。
本発明によれば、極めて簡易な方法で、2次元あるいは3次元などの微細な構造体を製作することができるという有利な効果を奏する。
すなわち,本発明の構造体は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材からなる構造体であって、前記微小部材が、化学反応又は生体化学反応により前記微小部材同士が結合している。前記吸着部は、化学物質・生体化学物質が吸着しているか、もしくは化学物質と特異的に反応する物質とすることができる。すなわち、本発明によれば、微小部材表面に少なくとも1つ以上ある吸着部を化学物質もしくは生体化学物質により修飾する。数あるそのような微小部品の中で、それらの化学物質・生体化学物質が反応することができる相手と衝突した場合のみ、反応が生じて微小部品が結合する。このような結合を利用して後述するように構造体の組立を行なうことができる。
また、化学反応及び生体化学反応については、特に限定されないが、例えば,抗原・抗体反応、ビオチン・アビジン反応、ssDNA同士の結合、チオール末端・シラン末端を持つ炭化水素系化学物質などを挙げることができる。このような化学反応及び生体化学反応を利用することにより、後述するように物理的な吸着力を用いる場合と比較して、微小部材同士の結合選択が容易にかつ多くの選択性を持たせることが可能という利点を有する。これは、化学結合又は生体物質同士の反応によれば、反応相手に選択的に反応する化学物質、生体化学物質が数多くあるためである。
本発明においては、微小部材が微小部材及び/又は構造体へ結合可能である。結合として、例えば,化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
また、前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材同士の結合の選択を行うことができる。ここで、反応選択性について例示すれば、以下のようである。すなわち、例えば、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着、抗原と抗体との結合の選択性、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性を挙げることができる。結合選択性の数、化学物質・生体化学物質自体の安定性という観点から、適当な反応選択については、特に好ましくは、抗原と抗体との結合を挙げることができる。
また、好ましい実施態様において、前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能である。制御可能であれば、後述するように、構造体を組み立てる際に、閉構造など複雑な形状の構造の組み立てが可能となるという利点を有する。
このような制御は、また、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも一種を変化させることにより行うことが可能である。
当該変化によって生じる、チオール系又はシラン系化学物質の前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離を利用することによって、結合・離脱を制御することができる。同様に利用できるものとして、抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、ssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復の利用などを挙げることができる。化学物質・生体化学物質自体の安定性という観点から、特に好ましくは、抗原と抗体との結合を利用することが好ましい。
次に、本発明の構造体の組立方法について説明する。まず、本発明の構造体の組立方法の概要について説明すれば、少なくとも1種類以上ある多量の微小部材を、液中で振動等を印加することによりランダムに衝突させることにより、吸着部同士が衝突した際、その表面の化学物質もしくは生体化学物質がお互いに結合する性質である場合のみ、吸着部同士での結合が生じるが、この衝突を繰り返すことにより、微小部材により構造体を組立てることができるが、本発明においては、かかる原理を利用したものである。
本発明の構造体の組立方法は、少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材を泳動させて、当該微小部材を化学反応又は生体化学反応により結合させることによって、前記微小部材からなる構造体を製作する。「吸着部」、「微小部材」、「化学反応又は生体化学反応」、「結合」などについては、上述の本発明の構造体で説明したものをそのまま用いることができる。
微小部材の結合としては、例えば,化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合を挙げることができる。これらの少なくとも1種を挙げることができる。
また、本発明の構造体の組立方法によれば、前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材の結合の選択を行うことができる。これによれば、物理的な吸着力による組立と異なり、本発明の手法は化学物質もしくは生体化学物質の持つ結合の選択性を利用し、微小部材同士の結合の選択に利用しているが、反応相手に選択的に反応する化学物質、生体化学物質は数多くあるため、物理的な吸着力を用いる場合に比べて、微小部材同士の結合選択が容易にかつ多くの選択性を持たせることができる点有利である。
また、反応選択性としては、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着、抗原と抗体との結合の選択性、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性などを例示することができる。
また、前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能であることが、より複雑な構造体の組立を可能とするという観点から好ましい。
結合・離脱の制御は、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも1種を変化させることにより行なうことができる。これらを変化されることにより、チオール系もしくはシラン系化学物質の、前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離を利用することができ、ひいては、結合・脱着を制御することができる。他に利用できるものを例示すれば、(1)抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化、(2)ssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化、(3)微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復を利用などを挙げることができる。
本発明によれば、組立の系外部からの働きかけにより、それぞれの結合に対して独立に可逆的な結合・離脱が可能となる。結合が外部から制御できることにより、微小部品同士の結合の順番が制御でき、閉構造など複雑な形状の構造の組立が可能となる。また結合だけでなく、離脱が可能であるため、微小部材同士の仮止めなども行うことが可能であり、壊れやすい構造も一時的に保つことにより、組立可能な形状により幅が広がるというような、従来の物理的な吸着力を利用したものに比較して有利な効果を奏するものである。
また、本発明の構造体の組立方法において、前記微小部材の化学反応・生体化学反応による結合の後、新たに前記微小部材の不可逆な結合が生じ、前記微小部材の吸着部での固定化を行うことができる。これは、上述の結合によって、一端固定化された構造をさらに安定に強固に固定化されることを狙ったものである。微小部品により組立てられた構造体をより強固に保つことは、重要な要素である。特に液中から取り出す際、液の表面張力の影響により組立てられた構造が破壊されてしまうという問題がある。本発明が提案する、構造体を組立てた後、さらに不可逆な結合を用いて構造を強固に固定することにより、この問題は大きく解決される。この作業は、構造が液中にあるうちに、系外部からの制御で不可逆な結合を生じさせることにより、行うことができる。
このような不可逆な結合としては、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することが可能である。また、不可逆な結合が、外部から制御可能であることが、組立られた構造体全てを、一度に容易に固定化できるというという観点から、好ましい。
前記不可逆な結合の外部からの制御としては、系の温度を上昇・下降させることによる、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することができる。このように系の温度上昇によって制御できれは、比較的容易に構造体の固定化を行なうことができ、また、撹拌の必要がなく、構造体を破壊する可能性が低いという観点から有利である。
また、本発明の好ましい実施態様において、特定の構造体に微小部材が結合・離脱を行うことで、前記構造体の第一の型を作製し、前記構造体と前記第一の型に、前記微小部材が結合・離脱を行うことで、さらに前記構造体及び前記第一の型のいずれか又は両者の第二の型を作製し、前記結合・離脱の操作を繰り返すことによって構造体を製作する。このような方法によれば、結合・離脱のプロセスを繰り返すという極めて単純な作業により、最初に投入した型となる構造体を指数関数的に量産することが可能となる利点を有する。また、この指数関数的に量産可能な組立方法においては、前記化学反応・生体化学反応、結合選択性、外部からの制御、不可逆な固定方法のいずれか1種を利用することが可能である。
このように、本発明によれば、上述したこれらの要素を組み合わせることにより、ある特定の構造体を型とし、その構造体の構成要素である多量の微小部材が泳動している液中に投入、結合・離脱の制御を繰り返すことで、前記の構造体が指数関数的に複製して組立てることが可能となる。これにより、複雑な形状のもののマスターを1つ作製すれば、それのコピーを大量に短時間かつ容易な操作により作製することが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更修正可能であることはいうまでもない。
図1は本発明の基本原理を示している。多種、多数の微小部品が液中で攪拌され、ランダムに衝突することにより、各微小部品上のすくなくとも1箇所以上ある吸着部で結合し、構造体が組みあがる。吸着部は化学物質・生体化学物質が吸着している、もしくは化学物質と特異的に反応する物質でできている。数あるそのような微小部品の中で、それらの化学物質・生体化学物質が反応することができる相手と衝突した場合のみ、反応が生じて微小部品が結合する。具体的な化学反応・生体化学反応として、抗原・抗体反応、ビオチン・アビジン反応、ssDNA同士の結合、チオール末端・シラン末端を持つ炭化水素系化学物質などが利用できる。
図2は溶液の温度・pH・塩濃度を変えることにより、外部からの制御により微小部品間の結合・離脱をする様子を示したものである。抗原・抗体などは多数のアミノ酸が結合した超分子であり、それらの構造は溶液の温度・pH・塩濃度で変化することが知られている。抗原と抗体は、機能が発現しているときは互いにその抗体に対応した抗原と結合が生じるが、分子構造が変化することにより、機能が失われ結合しなくなる。この現象を利用し、抗原・抗体反応での微小部品同士の結合を制御する。また、分子構造の変化が、温度・pH・塩濃度に対して可逆的であるため、図2に示す通り微小部品同士の結合・離脱も可逆的に行うことが可能である。
図3は、微小部品を結合させている生体化学物質に直接作用する物質を投入することにより、外部からの微小部品間の結合・離脱を制御する一実施例である。生体化学物質にはssDNAやそれに類似した物質が利用できる。投入する物質として、離脱作用として例えば制限酵素、結合作用として例えばDNAポリメラーゼ等の酵素の利用が考えられる。これにより、可逆的な微小部品同士の結合・離脱の制御が可能となる。
図4は、微小部品の吸着部への化学物質の吸着・遊離を、溶液の温度、pH、塩濃度により制御することを利用して、微小部品同士の結合を外部から可逆的に制御する一実施例である。化学物質として、例えばチオール末端やシラン末端を持つ炭化水素鎖が挙げられる。微小部品の吸着部にAu等の貴金属や、SiO2、Al2O3等の酸化物を用いることにより、チオール末端、シラン末端がそれぞれ特異的に吸着する。この吸着は溶液の温度を上げることにより、容易に離脱させることができる。またチオールとシランで離脱の温度が異なるため、温度の調整によりそれぞれを異なるタイミングで、離脱させることも可能である。また1度離脱させた後、温度を下げることにより、再吸着させることができるので、制御が可逆的に行える。
図5は、上記の化学結合・生体化学結合の後、外部からの制御により不可逆的な結合を生じさせ、微小部品を固定化する一実施例である。上記の吸着部と固定化物質を2重構造にする、もしくは吸着部周囲に固定化物質を配置し、吸着後に固定化物質を外部から熱をかけることにより融解・融合させ、温度を下げて凝固させる。固定化物質の例しては、低温ハンダなどの利用が考えられる。これにより、組立られた微小部品をより強固に固定化することが可能となり、溶液を乾燥させる際などに構造が破壊されてしまうのを防ぐことができる。
図6は、上に述べた組立方法を利用することにより、1つの構造の複製を指数関数的に作製する手法の説明である。まず、構造体を構成するの微小部品が十分多量に泳動している溶液中に、型となる構造体を投入する。その型の表面は上で述べたような化学物質・生体化学物質で修飾されており、それに反応する微小部品が型に結合する。型に結合した後、上で述べた結合の制御方法により、型と、型に結合した微小部品による構造体を離脱させる。離脱後、先程離脱した吸着部を再び結合可能な状態にすることにより、微小部品が型と、型から離脱した構造体に結合する。この時、微小部品同士の結合が一対一対応であることにより、型から離脱した構造体に結合することにより出来る構造体は、最初に溶液に投入した型と同じ形となり、型を複製したこととなる。また、最初に投入した型からには、再び型に対応した構造体が製作される。こうして、この結合・離脱のプロセスを繰り返すという極めて単純な作業により、最初に投入した型となる構造体が指数関数的の作製することができる。
半導体など、微細な電気機械構造体の産業への応用が期待される。
図1は、本発明の一実施態様における基本原理を示す。 図2は、温度、pH、塩濃度などを変化させることにより、外部からの制御により微小部品間の結合、離脱の様子の一実施態様を示す。 図3は、微小部品を結合させている生体化学物質に直接作用する物質を投入することにより、外部から微小部品間の結合、離脱を制御する様子の一実施態様を示す。 図4は、微小部品の吸着部への化学物質の吸着、遊離を、溶液の温度、pH、塩濃度などにより制御することを利用して、微小部品同士の結合を外部から可逆的に制御する様子の一実施態様を示す。 図5は、化学結合又は生体化学結合の後、外部からの制御により、不可逆的な結合を生じさせ、微小部品を固定化する一実施態様を示す。 図6は、本発明の組立方法を利用することにより、1つの構造体の複製を指数関数的に作製する手法の一実施態様を示す。

Claims (29)

  1. 少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材からなる構造体であって、前記微小部材が、化学反応又は生体化学反応により結合していることを特徴とする構造体。
  2. 前記結合が、化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合からなる群から選択される少なくとも1種によることを特徴とする請求項1記載の構造体。
  3. 前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材同士の結合の選択を行うことを特徴とする請求項1又は2項記載の構造体。
  4. 前記反応選択性が、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着である請求項3記載の構造体。
  5. 前記反応選択性が、抗原と抗体との結合の選択性である請求項3記載の構造体。
  6. 前記反応選択性が、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性である請求項3記載の構造体。
  7. 前記反応選択性が、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性である請求項3記載の構造体。
  8. 前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能であることを特徴とする請求項1〜7項のいずれか1項に記載の構造体。
  9. 前記結合・離脱の制御が、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも一種を変化させることによることを特徴とする請求項1〜8項のいずれか1項に記載の構造体。
  10. 前記結合・離脱の制御が、いずれかの前記変化によって生じる、チオール系又はシラン系化学物質の前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離の利用、抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、ssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化の利用、微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復の利用からなる群から選択される少なくとも1種を利用するものであることを特徴とする請求項9記載の構造体。
  11. 少なくとも一部に吸着部を有する複数の微小部材を泳動させて、当該微小部材を化学反応又は生体化学反応により結合させることによって、前記微小部材からなる構造体を製作することを特徴とする構造体の組立方法。
  12. 前記微小部材の結合が、化学物質の架橋、抗原と抗体との結合、ssDNA同士の結合、ビオチンとアビジンとの結合からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載の構造体の組立方法。
  13. 前記化学反応又は前記生体化学反応が有する反応選択性を利用することにより、前記微小部材の結合の選択を行うことを特徴とする請求項11又は12記載の構造体の組立方法。
  14. 前記反応選択性が、チオール系化学物質、シラン系化学物質の物質表面への特異的な吸着である請求項13記載の構造体の組立方法。
  15. 前記反応選択性が、抗原と抗体との結合の選択性であることを特徴とする請求項13記載の構造体の組立方法。
  16. 前記反応選択性が、ssDNA同士の塩基配列による結合の選択性である請求項13記載の構造体の組立方法。
  17. 前記反応選択性が、ビオチン・アビジン結合による結合の選択性である請求項13記載の構造体の組立方法。
  18. 前記微小部材の結合・離脱が可逆的であり、外部からの働きかけにより又は外部から独立に前記結合・離脱が制御可能であることを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の構造体の組立方法。
  19. 前記結合・離脱の制御を、溶液温度、溶液のpH、溶液の塩濃度からなる群から選択される少なくとも1種を変化させることにより行なうことを特徴とする請求項18記載の構造体の組立方法。
  20. 前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じるチオール系もしくはシラン系化学物質の、前記微小部材の吸着部表面からの吸着・遊離を利用することにより行なわれる請求項18又は19記載の構造体の組立方法。
  21. 前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じる抗体・抗原の分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化を利用することにより行なわれる請求項18又は19記載の構造体の組立方法。
  22. 前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じるssDNAの分子構造の変化にともなう機能の活性化・不活性化を利用することにより行なわれる請求項18又は19記載の構造体の組立方法。
  23. 前記結合・離脱の制御が、前記変化によって生じる微小部材の吸着部に吸着しているssDNAに直接作用する酵素を溶液中に投入することによる、ssDNAの切断・修復を利用することにより行なわれる請求項18又は19記載の構造体の組立方法。
  24. 前記微小部材の化学反応・生体化学反応による結合の後、新たに前記微小部材の不可逆な結合が生じ、前記微小部材の吸着部での固定化を行うことを特徴とする請求項11〜23項のいずれか1項に記載の構造体の組立方法。
  25. 前記微小部材の不可逆な結合が、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することにより行なわれることを特徴とする請求項24記載の構造体の組立方法。
  26. 前記微小部材の不可逆な結合が、外部から制御可能であることを特徴とする、請求項24又は25記載の構造体の組立方法。
  27. 前記不可逆な結合の外部からの制御が、系の温度を上昇・下降させることによる、前記吸着部又はその近辺の結合部材の溶解・融合・凝固を利用することを特徴とする請求項24〜26項のいずれか1項に記載の構造体の組立方法。
  28. 特定の構造体に微小部材が結合・離脱を行うことで、前記構造体の第一の型を作製し、前記構造体と前記第一の型に、前記微小部材が結合・離脱を行うことで、さらに前記構造体及び前記第一の型のいずれか又は両者の第二の型を作製し、前記結合・離脱の操作を繰り返すことによって構造体を製作する請求項11〜27のいずれか1項に記載の構造体の組立方法。
  29. 前記組立方法が、前記化学反応・生体化学反応、結合選択性、外部からの制御、不可逆な固定方法のいずれか1種を利用する請求項28記載の構造体の組立方法。
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