本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1による回転電機のステータおよびロータの斜視図である。図1を参照して、実施の形態1による回転電機100は、ステータ10と、ロータ20とを備える。
ステータ10は、中空の略円筒形状を有し、磁性材からなる。そして、ステータ10は、ティース1と、コイル2とを含む。ティース1は、略コの字形状からなり、一体的に形成される。そして、ティース1は、ステータ10の内壁に沿って所定の間隔で複数個設けられる。
ティース1は、ラジアル部1Aと、アキシャル部1B,1Cとを有する。ラジアル部1Aは、ロータ20の回転軸方向DR1に配置され、アキシャル部1B,1Cは、ロータ20の径方向DR2に配置される。図1の紙面上、アキシャル部1Bは、ステータ10の上部に設けられ、アキシャル部1Cは、ステータ10の下部に設けられる。
コイル2は、ティース1に沿って回転軸方向DR1および径方向DR2に一体的に巻回される。したがって、コイル2も、略コの字形状からなり、ラジアル部2Aおよびアキシャル部2B,2Cを有する。ティース1に巻回されたコイル2は、ステータ10の内壁に接するので、コイル2の冷却性を向上できる。つまり、コイル2は、ステータ10を構成する鉄材によって覆われるので、コイル2の冷却性を向上できる。
また、コイル2がティース1に巻回される結果、ティース1のラジアル部1Aに巻回されたコイル2のラジアル部2A、およびティース1のアキシャル部1B,1Cにそれぞれ巻回されたコイル2のアキシャル部2B,2Cのいずれか一方のコイルのコイルエンドは、コイル2のラジアル部2Aおよびコイル2のアキシャル部2B,2Cのいずれか他方のコイルのコイルエンドの内側に配置される。その結果、コイルエンドのデッドスペースにコイルを配置することができ、回転電機100の全長に対するトルク効率を増加させることができる。
ロータ20は、ロータシャフト21と、ロータコア22と、磁石23とを含む。ロータコア22は、略円筒形状を有し、ロータ20の回転軸方向DR1に複数の電磁鋼板を積層した構造からなる。そして、ロータコア22は、ロータシャフト21に固定される。磁石23は、略コの字形状からなり、ロータコア22を挟み込むようにロータコア22に固定される。そして、磁石23は、ロータ20の周方向DR3に所定の間隔で複数個配設される。
磁石23は、ラジアル部23Aと、アキシャル部23B,23Cとを有する。そして、ラジアル部23Aは、ロータコア22の円筒面22Aよりも径方向DR2に突出している。また、アキシャル部23B,23Cは、ロータコア22の円筒端面22B,22Cよりも回転軸方向DR1に突出している。
すなわち、ラジアル部23Aは、ロータ20の円筒面22A上に配置された磁石であり、アキシャル部23B,23Cは、回転軸方向DR1におけるロータ20の両端に存在する円筒端面22B,22C上に配置された磁石である。そして、ラジアル部23Aは、径方向DR2に着磁されており、アキシャル部23B,23Cは、回転軸方向DR1に着磁されている。
ロータ20は、ステータ10の中空部に配置される。この場合、ティース1のラジアル部1Aおよびコイル2のラジアル部2Aは、磁石23のラジアル部23Aに対向し、ティース1のアキシャル部1Bおよびコイル2のアキシャル部2Bは、磁石23のアキシャル部23Bに対向し、ティース1のアキシャル部1Cおよびコイル2のアキシャル部2Cは、磁石23のアキシャル部23Cに対向する。
すなわち、ティース1のラジアル部1Aおよびコイル2のラジアル部2Aは、磁石23のラジアル部23Aに対応して設けられ、ティース1のアキシャル部1Bおよびコイル2のアキシャル部2Bは、磁石23のアキシャル部23Bに対応して設けられ、ティース1のアキシャル部1Cおよびコイル2のアキシャル部2Cは、磁石23のアキシャル部23Cに対応して設けられる。そして、上述したように、磁石23のラジアル部23Aは、ロータコア22の円筒面22A上に配置され、磁石23のアキシャル部23B,23Cは、それぞれ、ロータコア22の円筒端面22B,22C上に配置されるので、ティース1のラジアル部1Aおよびコイル2のラジアル部2Aは、ロータコア22の円筒面22Aに対向して設けられ、ティース1のアキシャル部1Bおよびコイル2のアキシャル部2Bは、ロータコア22の円筒端面22Bに対向して設けられ、ティース1のアキシャル部1Cおよびコイル2のアキシャル部2Cは、ロータコア22の円筒端面22Cに対向して設けられる。
なお、ロータ20の周方向DR3に配置された複数の磁石23,23,・・・の各々は、ロータ磁極部を構成する。そして、ロータ磁極部は、磁石23のラジアル部23Aからなるラジアルロータ磁極部と、磁石23のアキシャル部23B,23Cからなるアキシャルロータ磁極部とを有する。
また、周方向DR3に配置された複数のティース1,1,・・・の各々と複数のティース1,1,・・・に巻回された複数のコイル2,2,・・・の各々とは、ステータ磁極部を構成する。そして、ステータ磁極部は、ティース1のラジアル部1Aと、コイル2のラジアル部2Aとからなるラジアルステータ磁極部と、ティース1のアキシャル部1B,1Cと、コイル2のアキシャル部2B,2Cとからなるアキシャルステータ磁極部とを有する。
上述したようにラジアル部23Aおよびアキシャル部23B,23Cは、それぞれ、ロータコア22の円筒面22Aおよび円筒端面22B,22C上に配置されるので、ロータ20のラジアル部23Aおよびアキシャル部23B,23Cは、SPM(Surface Permanent Magnet)からなる。
ロータ20は、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア22を作製し、その作製したロータコア22にロータシャフト21を挿入し、ロータコア22に磁石30を固定することによって作製される。
図2は、図1に示すコイル2およびロータ20の斜視図である。図2を参照して、磁石23のラジアル部23Aおよびアキシャル部23B,23Cは、略コの字形状からなるコイル2の内側を周方向DR3に回転可能である。
図3は、図1に示す回転電機100のステータ10およびロータ20の断面図である。図3を参照して、磁石23は、ロータコア22を挟み込むようにロータ20の径方向DR2からロータコア22に固定される。
ベアリング3〜6は、ステータ10とロータ20のロータシャフト21との間に設けられる。そして、ロータシャフト21は、ベアリング3〜6によって支持される。これによって、ロータ20は、ステータ10に対して回転自在に支持される。
ステータ10は、ラジアル部10Aと、アキシャル部10B,10Cと、結合部10D,10Eとを含む。ラジアル部10Aは、ロータ20の回転軸方向DR1に配置される。アキシャル部10B,10Cは、ロータ20の径方向DR2に配置される。そして、ラジアル部10Aは、磁石23のラジアル部23Aに対向し、アキシャル部10B,10Cは、それぞれ、磁石23のアキシャル部23B,23Cに対向する。
ラジアル部10Aは、上述したラジアルステータ磁極部を含み、アキシャル部10B,10Cは、上述したアキシャルステータ磁極部を含む。したがって、ラジアル部10Aは、コイル2に電流が流れると、径方向DR2の磁界を発生し、その発生した磁界を磁石23のラジアル部23Aに及ぼす。また、アキシャル部10B,10Cは、コイル2に電流が流れると、回転軸方向DR1の磁界を発生し、その発生した磁界を磁石23のアキシャル部23B,23Cにそれぞれ及ぼす。
そうすると、上述したように、磁石23のラジアル部23Aは、径方向DR2に着磁され、アキシャル部23B,23Cは、回転軸方向DR1に着磁されているので、ラジアル部23Aおよびアキシャル部23B,23Cは、それぞれ、ステータ10のラジアル部10Aおよびアキシャル部10B,10Cからの磁界と相互に作用する。その結果、ロータ20は、回転軸AXの回りに回転する。
この場合、ロータ20は、径方向DR2に存在するステータ10のラジアル部10Aとロータ20のラジアル部(=磁石23のラジアル部23A)との磁気的相互作用、および回転軸方向DR1に存在するステータ10のアキシャル部10B,10Cとロータ20のアキシャル部(=磁石23のアキシャル部23B,23C)との磁気的相互作用とによって回転軸AXの回りを回転する。したがって、回転電機100は、径方向DR2に存在するステータ10のラジアル部10Aとロータ20のラジアル部(=磁石23のラジアル部23A)との磁気的相互作用のみによってロータ20が回転する場合よりもトルク密度を高くできる。また、ロータ20の回転軸方向DR1における両端部においてもトルクを発生させるので、無駄なスペースがなく、空間利用効率を高くできる。さらに、円筒面22Aでは回転軸方向DR1に、円筒端面22B,22Cでは径方向DR2に漏れる磁束が少なく、トルクを効率良く発生させることができる。
なお、磁石23のラジアル部23Aとアキシャル部23B,23Cとは、連続していても、非磁性体または空隙を挟んで断続していてもよい。
また、回転電機100は、たとえば、車両の駆動輪を駆動する電動機、または、駆動輪の回転動力によって発電する発電機として機能する。
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2による回転電機のロータを示す斜視図である。図4を参照して、実施の形態2による回転電機100Aは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Aを備える。
ロータ20Aは、ロータ20の磁石23を磁石30に代えたものであり、その他は、ロータ20と同じである。磁石30は、周方向DR3に所定の間隔で複数個配設される。そして、各磁石30は、回転軸方向DR1からロータコア22に挿入され、回転軸方向DR1における磁石30の両端面はロータコア22から出ている。
磁石30は、略コの字形状からなり、ラジアル部30Aと、アキシャル部30B,30Cとを有する。ラジアル部30Aは、回転軸方向DR1に配置され、アキシャル部30B,30Cは、径方向DR2に配置される。磁石30は、ロータコア22に挿入されているので、ラジアル部30Aは、ロータコア22の円筒面22Aよりも内周側に存在し、磁石30の両端面は、ロータコア22から出ているので、アキシャル部30B,30Cは、それぞれ、ロータコア22の円筒端面22B,22C上に配設される。そして、ラジアル部30Aは、径方向DR2に着磁され、アキシャル部30B,30Cは、回転軸方向DR1に着磁されている。したがって、ラジアル部30Aは、IPM(Interior Permanent Magnet)からなり、アキシャル部30B,30Cは、SPMからなる。
その結果、回転電機100Aにおいては、円筒面22Aで径方向DR2に発生した磁束によるリラクタンストルクを利用できる。
ロータ20Aは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア22を作製し、その作製したロータコア22にロータシャフト21を挿入し、ロータコア22に磁石30を配設することによって作製される。
なお、ラジアル部30Aは、ラジアルロータ磁極部を構成し、アキシャル部30B,30Cは、アキシャルロータ磁極部を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
図5は、実施の形態3による回転電機のロータを示す斜視図である。図5を参照して、実施の形態3による回転電機100Bは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Bを備える。
ロータ20Bは、ロータシャフト21と、磁石31,32と、ロータコア40とを含む。ロータコア40は、ロータシャフト21に固定される。磁石31,32は、周方向DR3に所定の間隔で複数個配設される。そして、各磁石31は、回転軸方向DR1におけるロータコア40の円筒端面40B上に配設され、各磁石32は、回転軸方向DR1におけるロータコア40の円筒端面40C上に配設される。また、磁石31,32は、回転軸方向DR1に着磁されている。
ロータコア40は、略円筒形状を有し、回転軸方向DR1に積層された複数の電磁鋼板からなる。そして、ロータコア40は、空隙41〜44を有する。空隙41〜44は、周方向DR3に所定の間隔で複数個配設される。また、空隙41〜44は、磁石31,32によって挟まれるようにロータコア40中に形成される。つまり、空隙41〜44は、それぞれ、円筒端面22B,22Cに配置された1対の磁石1,32に対応して、1対の磁石31,32間のロータコア40中に形成される。
空隙41,42は、空隙43と空隙44との間で回転軸方向DR1に沿ってロータコア40の円筒面40Aよりも内周側に設けられる。そして、空隙41,42は、円筒面40A(ロータコア40の外周面)に対して略コの字形状を有し、円筒面40Aの近くに配置される。
空隙43,44は、円筒面40Aから内周側へ向かってそれぞれ円筒端面40B,40Cに略平行に設けられ、回転軸方向DR1に設けられた空隙41,42に連結される。そして、空隙43は、円筒端面40Bから円筒端面40Cの方向へ所定の距離だけ離れた位置に形成され、空隙44は、円筒端面40Cから円筒端面40Bの方向へ所定の距離だけ離れた位置に形成される。その結果、空隙41,42は、回転軸方向DR1において空隙43と空隙44との間に設けられ、円筒端面40B,40Cまで到達しない。つまり、磁石31の下側には、空隙41〜44が形成されていない領域が存在し、磁石32の上側にも、空隙41〜44が形成されていない領域が存在する。このように、磁石31の下側および磁石32の上側に空隙41〜44が形成されていない領域が存在するのは、磁石31,32の磁路を確保するためである。
空隙41,42は、径方向DR2において突極特性を実現するために設けられる。すなわち、磁束が空隙41,42を径方向DR2に横切るときのインダクタンスをLq(=q軸方向のインダクタンス)とし、周方向DR3において空隙41,42が形成されていない領域(すなわち、略コの字形状の空隙41,42と空隙41,42との間)を磁束が通過するときのインダクタンスをLd(=d軸方向のインダクタンス)とした場合、Ld>Lqとなる磁気特性を実現するために空隙41,42が設けられる。
空隙41,42は、径方向DR2における磁束が短絡するのを抑制し、空隙41,42が設けられていない領域は、磁束を径方向DR2に通過させるので、Ld>Lqとなる磁気特性が得られる。
また、空隙43,44は、径方向DR2における磁束が漏れるのを防止するために設けられる。
このように、ロータ20Bにおいては、径方向DR2において磁気的な突極特性が得られるので、周方向DR3に所定の間隔で配置された複数の空隙41〜44は、径方向DR2に着磁された磁石と同じ機能を果たす。そして、磁石を用いずに、突極特性を実現する磁極部を「SynR(Synchronous Reluctance)」という。
したがって、ロータ20Bにおいては、ラジアル部(ロータコア40および空隙41〜44)は、SynRからなり、アキシャル部(磁石31,32)は、SPMからなる。
その結果、回転電機100Bにおいては、磁束を径方向DR2に発生する磁石が円筒面40Aに存在しないため低コスト化が可能である。
なお、この発明においては、SynRからなる磁極部のd軸は、磁化容易軸の方向(図5に示す空隙41,42と空隙41,42との間の方向)であり、SynRからなる磁極部のq軸は、d軸に対して90度ずれた方向である(以下、同じ)。
ロータ20Bは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア40を作製し、その作製したロータコア40にロータシャフト21を挿入し、ロータコア40の円筒端面40B,40Cにそれぞれ磁石31,32を配設することによって作製される。この場合、ロータコア40は、空隙43と空隙44との間の部分、空隙43よりも上側の部分および空隙44よりも下側の部分に分けて成形され、その成形された3つの部分を連結することによって作製される。
なお、ロータコア40および空隙41〜44は、ラジアルロータ磁極部を構成し、磁石31,32は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
また、ロータコア40は、2つの空隙41,42を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、ロータコア40は、回転軸方向DR1に形成された少なくとも1つの空隙を含んでいればよい(以下、同じ)。ロータコア40が少なくとも1つの空隙を含んでいれば、磁気的突極特性(Ld>Lq)を実現できるからである。
さらに、空隙41,42およびロータコア40を構成する複数の電磁鋼板は、径方向DR2に磁気的突極特性を有する「強磁性体」を構成する。
図6は、実施の形態3におけるロータの他の斜視図である。図6を参照して、実施の形態3による回転電機100Bは、図5に示すロータ20Bに代えて図6に示すロータ20B1を備えていてもよい。
ロータ20B1は、ロータコア40から空隙43,44を削除したものであり、その他は、ロータ20Bと同じである。この場合、空隙41,42の端41A,42Aと円筒端面40Bとの距離は、回転軸方向DR1における空隙41,42の端部41A,42Aが磁石31,32の磁束によって飽和するように設定される。これによって、磁石31,32の飽和磁束を利用して径方向DR2における磁束の漏洩を防止できる。また、径方向DR2における磁束の漏洩を防止する空隙43,44を設ける必要がないので、図5に示すロータ20Bを用いた場合よりもモータの全長を短くできる。
そして、ロータ20B1は、SynRからなるラジアル部と、SPMからなるアキシャル部とを有し、ロータ20Bと同じように機能する。
ロータ20B1は、ロータ20Bの作製方法と同じ方法によって作製される。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態4]
図7は、実施の形態4による回転電機のロータを示す斜視図である。図7を参照して、実施の形態4による回転電機100Cは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Cを備える。
ロータ20Cは、ロータシャフト21と、磁石23と、ロータコア50とを含む。ロータコア50は、凸部51,52を有する。凸部51,52は、回転軸方向DR1におけるそれぞれ円筒端面50B,50Cに所定の間隔で磁石23の数と同じ数だけ周方向DR3に沿って形成される。この場合、凸部51は、周方向DR3において凸部52と同じ位置に形成される。
凸部51,52は、径方向DR2におけるロータコア50の全領域に形成されず、その内周端が磁石23のアキシャル部23B,23Cの内周端に一致するように形成される。
磁石23は、アキシャル部23Bが隣接する2つの凸部51,51間に挿入され、アキシャル部23Cが隣接する2つの凸部52,52間に挿入されるように径方向DR2からロータコア50に固定される。これにより、アキシャル部23Bは、隣接する2つの凸部51,51間に嵌合し、アキシャル部23Cは、隣接する2つの凸部52,52間に嵌合する。
図8は、図7に示す線VIII−VIIIにおける断面図である。図8を参照して、ロータコア50は、回転軸方向DR1における両側にそれぞれ凸部51,52が設けられる。そして、略コの字形状からなる磁石23は、ロータコア50を挟み込むように径方向DR2からロータコア50に固定される。
そして、磁石23のラジアル部23Aは、その内周面がロータコア50の円筒面50Aに接している。すなわち、ラジアル部23Aの外周面は、ロータコア50の円筒面50Aよりも径方向DR2に突出している。
また、凸部51の上面51Aは、アキシャル部23Bの上面23BSに一致し、凸部52の上面52Aは、アキシャル部23Cの上面23CSに一致する。すなわち、アキシャル部23B,23Cの上面23BS,23CSは、それぞれ、凸部51,52の上面51A,52Aから回転軸方向DR1へ突出していない。このように、アキシャル部23B,23Cの上面23BS,23CSは、それぞれ、凸部51,52の上面51A,52Aに一致しているので、アキシャル部23B,23Cは、ロータコア50に埋め込まれたものとなる。
したがって、ラジアル部23Aは、SPMからなり、アキシャル部23B,23Cは、IPMからなる。
その結果、円筒面50Aでリラクタンストルクを利用でき、高トルク密度を実現できる。
なお、磁石23のアキシャル部23B,23Cがそれぞれ凸部51,52から回転軸方向DR1に突出しないようにアキシャル部23B,23Cをそれぞれ凸部51,51間および凸部52,52間に配設することは、「磁石をロータコア50に埋め込むこと」に相当する。
ロータ20Cは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア50を作製し、その作製したロータコア50にロータシャフト21を挿入し、ロータコア50に磁石23を配設することによって作製される。
なお、ラジアル部23Aは、ラジアルロータ磁極部を構成し、アキシャル部23B,23Cは、アキシャルロータ磁極部を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態5]
図9は、実施の形態5による回転電機のロータを示す斜視図である。図9を参照して、実施の形態5による回転電機100Dは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Dを備える。
ロータ20Dは、ロータシャフト21と、磁石23と、ロータコア60とを含む。ロータコア60は、凸部61,62を有する。凸部61,62は、実施の形態4におけるロータコア50の凸部51,52と同じように形成される。
ロータ20Dにおいては、磁石23のラジアル部23Aは、隣接する2つの凸部61,61間および隣接する2つの凸部62,62間において、回転軸方向DR1からロータコア60に挿入される。また、磁石23のアキシャル部23Bは、隣接する2つの凸部61,61間に挿入され、アキシャル部23Cは、隣接する2つの凸部62,62間に挿入される。これにより、アキシャル部23Bは、隣接する2つの凸部61,61間に嵌合し、アキシャル部23Bは、隣接する2つの凸部61,61間に嵌合し、アキシャル部23Cは、隣接する2つの凸部62,62間に嵌合する。
そして、アキシャル部23Bの上面は、凸部61の上面に一致、アキシャル部23Cの上面は、凸部62の上面に一致している。つまり、アキシャル部23B,23Cは、凸部61,62の上面から回転軸方向DR1に突出していない。
したがって、ラジアル部23Aおよびアキシャル部23B,23Cは、IPMからなる。
その結果、円筒面60Aおよび円筒端面60B,60Cでリラクタンストルクを利用でき、高トルク密度を実現できる。
なお、磁石23のアキシャル部23B,23Cがそれぞれ凸部61,62から回転軸方向DR1に突出しないようにアキシャル部23B,23Cをそれぞれ凸部61,61間および凸部62,62間に配設することは、「磁石をロータコア60に埋め込むこと」に相当する。
ロータ20Dは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア60を作製し、その作製したロータコア60にロータシャフト21を挿入し、ロータコア60に磁石23を配設することによって作製される。
なお、ラジアル部23Aは、ラジアルロータ磁極部を構成し、アキシャル部23B,23Cは、アキシャルロータ磁極部を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態6]
図10は、実施の形態6による回転電機のロータを示す斜視図である。図10を参照して、実施の形態6による回転電機100Eは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Eを備える。
ロータ20Eは、図5に示すロータ20Bのロータコア40をロータコア70に代えたものであり、その他は、ロータ20Bと同じである。ロータコア70は、ロータコア40に凸部71,72を追加したものであり、その他は、ロータコア40と同じである。
凸部71,72は、実施の形態4におけるロータコア50の凸部51,52と同じように形成される。この場合、凸部71,72は、周方向DR3において空隙41,42が形成されていない領域(すなわち、略コの字形状からなる空隙41,42と空隙41,42との間)に対応した位置に形成される。
ロータ20Eにおいては、磁石31は、隣接する2つの凸部71,71間の円筒端面70Bに配設される。また、磁石32は、隣接する2つの凸部72,72間の円筒端面70Cに配設される。そして、磁石31の上面は、凸部71の上面と一致し、磁石32の上面は、凸部72の上面と一致する。すなわち、磁石31は、ロータコア70の凸部71から回転軸方向DR1に突出しておらず、磁石32は、ロータコア70の凸部72から回転軸方向DR1に突出していない。その他は、図5に示すロータコア40と同じである。
したがって、ロータ20Eにおいては、ラジアル部(ロータコア70および空隙41〜44)は、SynRからなり、アキシャル部(磁石31,32)は、IPMからなる。
その結果、回転電機100Eにおいては、磁束を径方向DR2に発生する磁石が円筒面70Aに存在しないため低コスト化が可能である。
なお、磁石31,32がそれぞれ凸部71,72から回転軸方向DR1に突出しないように磁石31,32をそれぞれ凸部71,71間および凸部72,72間に配設することは、「磁石をロータコア70に埋め込むこと」に相当する。
ロータ20Eは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア70を作製し、その作製したロータコア70にロータシャフト21を挿入し、ロータコア70の円筒端面70B,70Cにそれぞれ磁石31,32を配設することによって作製される。この場合、ロータコア70は、空隙43と空隙44との間の部分、空隙43よりも上側の部分および空隙44よりも下側の部分に分けて成形され、その成形された3つの部分を連結することによって作製される。
なお、ロータコア70および空隙41〜44は、ラジアルロータ磁極部を構成し、磁石31,32は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
また、ロータコア70は、2つの空隙41,42を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、ロータコア70は、回転軸方向DR1に形成された少なくとも1つの空隙を含んでいればよい(以下、同じ)。ロータコア70が少なくとも1つの空隙を含んでいれば、磁気的突極特性(Ld>Lq)を実現できるからである。
さらに、空隙41,42およびロータコア70を構成する複数の電磁鋼板は、径方向DR2に磁気的突極特性を有する「強磁性体」を構成する。
図11は、実施の形態6におけるロータの他の斜視図である。図11を参照して、実施の形態6による回転電機100Eは、図10に示すロータ20Eに代えて図11に示すロータ20E1を備えていてもよい。
ロータ20E1は、ロータコア70から空隙43,44を削除したものであり、その他は、ロータ20Eと同じである。この場合、空隙41,42の端41A,42Aと円筒端面70Bとの距離は、回転軸方向DR1における空隙41,42の端部41A,42Aが磁石31,32の磁束によって飽和するように設定される。これによって、磁石31,32の飽和磁束を利用して径方向DR2における磁束の漏洩を防止できる。また、径方向DR2における磁束の漏洩を防止する空隙43,44を設ける必要がないので、SynRからなるラジアル部からより大きいトルクを得ることができる。
そして、ロータ20E1は、SynRからなるラジアル部と、IPMからなるアキシャル部とを有し、ロータ20Eと同じように機能する。
ロータ20E1は、ロータ20Eの作製方法と同じ方法によって作製される。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態7]
図12および図13は、実施の形態7による回転電機のロータを示す斜視図である。図12および図13を参照して、実施の形態7による回転電機100Fは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Fを備える。
ロータ20Fは、ロータシャフト21と、磁石33と、ロータコア80とを含む。ロータコア80は、ロータシャフト21に固定される。複数の磁石33,33,33,・・・は、周方向DR3に所定の間隔でロータコア80の円筒面80Aに配設される。この場合、各磁石33の外周面33Aは、円筒面80Aよりも径方向DR2に突出している。また、回転軸方向DR1における各磁石33の端面33B,33Cは、それぞれ、ロータコア80の円筒端面80B,80Cに一致している。
ロータコア80は、スリット81,82を周方向DR3に所定の間隔で有する。スリット81,82は、ロータコア80の内部に形成され、周方向DR3において磁石33の配置位置と同じ位置になるように形成される(図13参照)。
図14は、図12および図13に示すロータコア80の円筒面80A側から見たロータコア80の平面図である。図14を参照して、ロータコア80は、スリット81〜84を含む。スリット81,82は、円筒端面80B側に形成され、スリット83,84は、円筒端面80C側に形成される。
スリット81,82は、円筒端面80Bに対して略コの字形状に形成される。また、スリット83,84は、円筒端面80Cに対して略コの字形状に形成される。そして、スリット81は、スリット82よりも円筒端面80B側に形成される。スリット83は、スリット84よりも円筒端面80C側に形成される。
スリット81,82および83,84は、回転軸方向DR1において突極特性(Ld>Lq)を実現するためのスリットである。これによって、ロータコア80およびスリット81,82、またはロータコア80およびスリット83,84は、回転軸方向DR1において着磁された磁石と同じ機能を果たす。
したがって、ロータ20Fにおいては、ラジアル部(=磁石33)は、SPMからなり、アキシャル部(=ロータコア80およびスリット81,82またはロータコア80およびスリット83,84)は、SynRからなる。
その結果、円筒面80Aにおけるマグネットトルクを利用してロータ20Fを回転できる。また、円筒端面80B,80Cにおいて回転軸方向DR1に磁束を発生する磁石が不要であるためロータ20Fの低コスト化が可能である。
ロータ20Fは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア80を作製し、その作製したロータコア80にロータシャフト21を挿入し、ロータコア80の円筒面80Aに磁石33を配設することによって作製される。この場合、ロータコア80は、スリット81〜84を含まない部分、スリット81,82を含む部分およびスリット83,84を含む部分に分けて成形され、その成形された3つの部分を連結することによって作製される。また、スリット81,82を含む部分は、周方向DR3におけるスリット81,82の中央部を切断した複数の部分に分けてスリット81,82を形成しながら成形され、その成形された複数の部分を周方向DR3に連結することによって作製される。スリット83,84を含む部分も、スリット81,82を含む部分と同じ方法によって作製される。
なお、磁石33は、ラジアルロータ磁極部を構成し、ロータコア80およびスリット81〜84は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
また、ロータコア80は、回転軸方向DR1の両端部においてそれぞれ2つのスリット81,82および2つのスリット83,84を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、ロータコア80は、回転軸方向DR1の両端部においてそれぞれ少なくとも1つのスリットを含んでいればよい(以下、同じ)。ロータコア80が回転軸方向DR1の両端部において少なくとも1つのスリットを含んでいれば、ロータコア80は回転軸方向DR1に磁気的突極特性(Ld>Lq)を有するからである。
[実施の形態8]
図15は、実施の形態8による回転電機のロータを示す斜視図である。図15を参照して、実施の形態8による回転電機100Gは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Gを備える。
ロータ20Gは、ロータシャフト21と、磁石34と、ロータコア90とを含む。ロータコア90は、凸部91,92を有する。凸部91,92は、実施の形態4におけるロータコア50の凸部51,52と同じように形成される。
複数の磁石34,34,・・・は、周方向DR3に所定の間隔で回転軸方向DR1からロータコア90に挿入される。より具体的には、各磁石34は、隣接する2つの凸部91,91間および凸部92,92間において円筒面90Aに近い位置で回転軸方向DR1からロータコア90に挿入される。この場合、回転軸方向DR1における磁石34の両端面は、ロータコア90の円筒端面90B,90Cに一致している。そして、各磁石34は、径方向DR2に着磁されている。
凸部91,92がそれぞれ円筒端面90B,90Cに形成される結果、ロータコア90は、周方向DR3に凹凸構造が形成され、回転軸方向DR1に磁気的突極特性を有する。これによって、ロータコア90および凸部91またはロータコア90および凸部92は、回転軸方向DR1において着磁された磁石と同じ機能を果たす。
したがって、ロータ20Gにおいて、ラジアル部(=磁石34)は、IPMからなり、アキシャル部(=ロータコア90および凸部91またはロータコア90および凸部92)は、SynRからなる。
その結果、円筒面90Aにおけるマグネットトルクおよびリラクタンストルクを利用して高密度のトルクを実現できる。また、円筒端面90B,90Cにおいて回転軸方向DR1に磁束を発生する磁石が不要であるためロータ20Gの低コスト化が可能である。
ロータ20Gは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア90を作製し、その作製したロータコア90にロータシャフト21を挿入し、ロータコア90に磁石34を配設することによって作製される。
なお、磁石34は、ラジアルロータ磁極部を構成し、ロータコア90および凸部91またはロータコア90および凸部92は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
図16は、実施の形態8におけるロータの他の斜視図である。図16を参照して、実施の形態8による回転電機100Gは、図15に示すロータ20Gに代えて図16に示すロータ20Hを備えていてもよい。
ロータ20Hは、ロータシャフト21と、磁石35,36と、ロータコア110とを含む。ロータコア110は、空隙111,112を内部に有する。空隙111,112は、回転軸方向DR1および径方向DR2に連続するように形成される。そして、空隙111,112は、周方向DR3において所定の間隔で複数個配設される。
空隙111,112は、円筒端面110B,110Cに平行な平面内においては、円筒面110Aに対して略コの字形状に形成される。そして、磁石35,36は、径方向DR2に着磁されており、回転軸方向DR1からそれぞれ空隙111,112に挿入される。
その結果、磁石35,36からの漏れ磁束は、空隙111,112によって回転軸方向DR1から径方向DR2に曲げられ、円筒端面110B,110Cにおいてステータ10のコイル2からの磁束と鎖交し、円筒端面110B,110Cでもリラクタンストルクに加えてマグネットトルクを得ることができる。
つまり、空隙111,112は、円筒端面110B,110Cの近傍で径方向DR2にも形成されるため、径方向DR2に形成された空隙111,112によってロータコア110は、回転軸方向DR1に突極特性(Ld>Lq)を有し、円筒端面110B,110Cでリラクタンストルクが得られるとともに、磁石35,36からの磁束によるマグネットトルクも得られる。
ロータ20Hにおいては、磁石35,36は、ロータコア110中に埋め込まれているので、ラジアル部(=磁石35,36)は、IPMからなり、空隙111,112が径方向DR2に形成されているので、アキシャル部(=ロータコア110および径方向DR2に形成された空隙111,112)は、SynRからなる。
ロータ20Hは、ロータコア110を作製し、その作製したロータコア110にロータシャフト21を挿入することによって作製される。そして、ロータコア110は、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア110のうち回転軸方向DR1に空隙111,112を含む部分を作製し、その作製した部分の空隙111,112に磁石35,36を挿入し、圧粉磁心を略円筒形に成形して径方向DR2に空隙111,112を含む2つの部分を作製し、その作製した2つの部分を磁石35,36が挿入された部分の両側に連結して作製される。
なお、磁石35,36は、ラジアルロータ磁極部を構成し、ロータコア110および径方向DR2に形成された空隙111,112は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
また、ロータコア110は、2つの空隙111,112を含むと説明したが、この発明においては、これに限らず、ロータコア110は、回転軸方向DR1から径方向DR2に形成された少なくとも1つの空隙を含んでいればよい。ロータコア110が少なくとも1つの空隙を含んでいれば、磁気的突極特性(Ld>Lq)を実現できるからである。この場合、回転軸方向DR1に形成された空隙は、径方向DR2に形成された空隙と連続していても、不連続であってもよい。
さらに、空隙111,112のうち、回転軸方向DR1に形成された空隙およびロータコア110を構成する複数の電磁鋼板は、径方向DR2に磁気的突極特性を有する「第1の強磁性体」を構成する。
さらに、空隙111,112のうち、径方向DR2に形成された空隙およびロータコア110を構成する複数の電磁鋼板は、回転軸方向DR1に磁気的突極特性を有する「第2の強磁性体」を構成する。
図17は、実施の形態8におけるロータのさらに他の斜視図である。図17を参照して、実施の形態8による回転電機100Gは、図15に示すロータ20Gに代えて図17に示すロータ20Iを備えていてもよい。
ロータ20Iは、ロータシャフト21と、磁石37と、ロータコア80とを含む。ロータコア80については、図13において説明したとおりである。磁石37は、径方向DR2に着磁され、回転軸方向DR1からロータコア80に挿入される。
この場合、磁石37は、スリット81,82よりも外周側でロータコア80に挿入される。そして、磁石37とスリット81,82との間には、スリットが形成されていない領域が存在する。このスリットが形成されていない領域は、回転軸方向DR1の磁束が磁石37の磁束によって漏れない程度に飽和するように機能する。
また、回転軸方向DR1における磁石37の両端面は、ロータコア80の円筒端面80B,80Cと一致している。すなわち、磁石37は、ロータコア80の円筒端面80B,80Cから回転軸方向DR1へ突出していない。
ロータ20Iにおいては、磁石37は、ロータコア80中に埋め込まれているので、ラジアル部(=磁石37)は、IPMからなる。また、スリット81,82およびスリット83,84がそれぞれ円筒端面80B,80Cの近傍に形成されているので(図14参照)、アキシャル部(=ロータコア80およびスリット81,82またはロータコア80およびスリット83,84)は、SynRからなる。
ロータ20Iは、ロータ20Fの作製方法において説明した方法と同じ方法によってロータコア80を作製し、その作製したロータコア80に磁石37を配設することによって作製される。
なお、磁石37は、ラジアルロータ磁極部を構成し、ロータコア80およびスリット81,82またはロータコア80およびスリット83,84は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
[実施の形態9]
図18は、実施の形態9による回転電機のロータを示す斜視図である。図18を参照して、実施の形態9による回転電機100Hは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Jを備える。
ロータ20Jは、図16に示すロータ20Hから磁石35,36を削除したものであり、その他は、ロータ20Hと同じである。
ロータコア110は、回転軸方向DR1、径方向DR2および周方向DR3に3次元的に形成された空隙111,112を内部に含むため、回転軸方向DR1および径方向DR2に突極特性を実現する。
すなわち、空隙111,112のうち、径方向DR2に形成された部分は、回転軸方向DR1における突極特性を実現し、空隙111,112のうち、回転軸方向DR1に形成された部分は、径方向DR2における突極特性を実現する。つまり、空隙111,112のうち、径方向DR2に形成された部分は、回転軸方向DR1に着磁された磁石と同じ機能を果たし、空隙111,112のうち、回転軸方向DR1に形成された部分は、径方向DR1に着磁された磁石と同じ機能を果たす。
したがって、ロータ20Jにおいては、ラジアル部(=空隙111,112のうち、回転軸方向DR1に形成された部分)およびアキシャル部(=空隙111,112のうち、径方向DR2に形成された部分)は、SynRからなる。
その結果、回転軸方向DR1および径方向DR2に磁束を発生させるための磁石を必要とせず、ロータの低コスト化が可能である。
ロータ20Jは、圧粉磁心を略円筒形に成形してロータコア110のうち回転軸方向DR1に空隙111,112を含む部分を作製し、圧粉磁心を略円筒形に成形して径方向DR2に空隙111,112を含む2つの部分を作製し、その作製した2つの部分を回転軸方向DR1に空隙111,112を含む部分の両側に連結して作製される。
なお、空隙111,112のうち、回転軸方向DR1に形成された部分は、ラジアルロータ磁極部を構成し、空隙111,112のうち、径方向DR2に形成された部分は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
図19は、実施の形態9におけるロータの他の斜視図である。図19を参照して、実施の形態9による回転電機100Gは、図18に示すロータ20Jに代えて図19に示すロータ20Kを備えていてもよい。
ロータ20Kは、ロータ20Jに非磁性部材113,114を追加したものであり、その他は、ロータ20Jと同じである。
非磁性部材113,114は、ロータコア110の空隙111,112が形成された領域を充填する。つまり、非磁性部材113,114は、図18に示す空隙111,112に挿入される。これにより、空隙111,112を構成する電磁鋼板の空間的保持が容易になる。
その他は、ロータ20Jと同じである。
[実施の形態10]
図20は、実施の形態10による回転電機のロータを示す斜視図である。図20を参照して、実施の形態10による回転電機100Iは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Lを備える。
ロータ20Lは、ロータシャフト21と、ロータコア120とを含む。ロータコア120は、凸部121〜123を有する。凸部121〜123は、周方向DR3に所定の間隔で複数個配設される。凸部121,123は、径方向DR2に沿ってそれぞれロータコア120の円筒端面120B,120Cに配設され、凸部122は、回転軸方向DR1に沿ってロータコア120の円筒面120Aに配設される。
凸部121は、ロータコア120の円筒端面120Bよりも回転軸方向DR1に突出しており、凸部123は、ロータコア120の円筒端面120Cよりも回転軸方向DR1に突出している。また、凸部122は、ロータコア120の円筒面120Aよりも径方向DR2に突出している。
図21は、図20に示す回転軸方向DR1から見たロータシャフト21およびロータコア120の平面図である。なお、図21においては、ステータ10の一部も示されている。
図21を参照して、ステータ10は、周方向DR3に所定の間隔で配設された8個の凸部101を有する。8個の凸部101の各々には、図示省略したコイルが巻回される。ステータ10が8個の凸部101を有することに対応してロータコア120は、周方向DR3に配設された8個の凸部122を有する。
ロータコア120は、円筒面120Aから径方向DR2に突出した凸部122を所定の間隔で周方向DR3に有するので、径方向DR2に磁気的突極構造が形成される。つまり、凸部122におけるインダクタンスは、凸部122が形成されていない領域におけるインダクタンスよりも大きくなる。そして、ロータコア120の凸部122がステータ10の凸部101に近づくと、ステータ10の凸部101に巻回されたコイルに電流が流される。
そうすると、電流がコイルに流れることによって発生した磁界は、ロータコア120の凸部122と磁気的に相互作用し、ロータ20Lを周方向DR3に回転させる。
ステータ10は、回転軸方向DR1の両端部において、図21に示す態様と同じ態様でロータコア120の凸部121,123に対向する8個の凸部を有し、その8個の凸部にはコイルが巻回されている。したがって、電流がコイルに流れることによって発生した磁界は、ロータコア120の凸部121,123と磁気的に相互作用し、ロータ20Lを周方向DR3に回転させる。
このように、ロータ20Lは、回転軸方向DR1および径方向DR2に突出した凸部121,123および凸部122を有するので、ラジアル部(=凸部122)およびアキシャル部(=凸部121,123)は、SR(Switched Reluctance)からなる。
その結果、円筒面120Aおよび円筒端面120B,120Cにおいて磁気的な突極構造が形成され、高密度なトルクを実現できる。
ロータ20Lは、圧粉磁心を凸部121〜123が形成されるように略円筒形に成形してロータコア120を作製し、その作製したロータコア120にロータシャフト21を挿入することによって作製される。
なお、凸部101は、ラジアルステータ磁極部を構成し、図21に示す態様と同じ態様でロータコア120の凸部121,123に対向するステータ10の凸部は、アキシャルステータ磁極部を構成する。
また、凸部122は、ラジアルロータ磁極部を構成し、凸部121,123は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態11]
図22は、実施の形態11による回転電機のロータの斜視図である。図22を参照して、実施の形態11による回転電機100Jは、図5に示す回転電機100Bのロータ20Bをロータ20Mに代えたものであり、その他は、回転電機100Bと同じである。
ロータ20Mは、ロータ20Bと同じように、ロータシャフト21と、磁石31,32と、ロータコア40とを含む。ロータ20Mにおいては、磁石31,32の配置位置がロータ20Bの場合と異なる。すなわち、ロータ20Mにおいては、磁石31,32は、周方向DR3において隣接する2つの空隙41,41間および2つの空隙42,42間の領域45を挟むようにそれぞれ円筒端面40B,40Cに配置される。つまり、磁石31,32は、ロータ20Bの場合よりも45度の電気角だけ周方向DR3に移動した位置に配置される。
図23は、実施の形態11におけるロータの他の斜視図である。図23を参照して、実施の形態11による回転電機100Jは、図22に示すロータ20Mに代えて図23に示すロータ20Nを備えていてもよい。
ロータ20Nは、図13に示すロータ20Fと同じように、ロータシャフト21と、磁石33と、ロータコア80とを含む。ロータ20Nにおいては、磁石33の配置位置がロータ20Fの場合と異なる。すなわち、ロータ20Nにおいては、スリット81,82およびスリット83,84(図23においては、スリット83,84は省略されている。)は、隣接する2つの磁石33,33間に位置するように配置される。つまり、磁石33は、ロータ20Fの場合よりも45度の電気角だけ周方向DR3に移動した位置に配置される。
このように、実施の形態11による回転電機100Jは、ロータのラジアル部およびアキシャル部のいずれか一方がSPMであり、かつ、いずれか他方がSynRからなるロータ20B,20Fにおいてラジアル部とアキシャル部との位相差が45度の電気角になるようにアキシャル部をラジアル部に対して周方向DR3に移動させたロータ20M,20Nを備えることを特徴とする。
図24は、図23に示すロータコア80および磁石33の展開図である。また、図25は、図13に示すロータコア80および磁石33の展開図である。
図24を参照して、磁石33を45度の電気角だけ周方向DR3に移動させた場合、すなわち、磁石33を11.25度の機械角だけ周方向DR3に移動させた場合、アキシャル部(ロータコア80およびスリット81,82またはロータコア80およびスリット83,84)のd軸は、ラジアル部(磁石33)のd軸(磁石33の中心)に対して45度の電気角だけずれている。なお、図24および図25は、8極(4極対)のモータを示すので、45度の電気角は、11.25度(=45度/4)の電気角に相当する。
一方、図25を参照して、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させない場合、アキシャル部(ロータコア80およびスリット81,82またはロータコア80およびスリット83,84)のq軸は、アキシャル部のd軸に対して90度の電気角だけずれており、ラジアル部のd軸(磁石33の中心)に一致する。
図26は、トルクとステータ10のコイル2に流れる電流位相との関係図である。図26において、横軸は、電流位相であり、縦軸は、トルクである。図26を参照して、曲線k1は、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させない場合のリラクタンストルクを表わし、曲線k2は、磁石33のマグネットトルクを表わし、曲線k3は、曲線k1と曲線k2との和、すなわち、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させない場合のトータルトルクを表わす。
また、曲線k4は、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させた場合のリラクタンストルクを表わし、曲線k5は、曲線k2と曲線k4との和、すなわち、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させた場合のトータルトルクを表わす。この場合、曲線k4は、曲線k1を45度の電流位相だけ左方向へ移動させた曲線に相当する。なお、曲線k4は、曲線k1を45度の電流位相だけ左方向へ移動させた曲線に限らず、一般には、曲線k4は、マグネットトルクの最大値がリラクタンストルクの最大値に一致するように曲線k1を移動させた曲線に相当する。
図26から明らかなように、磁石33を周方向DR3に45度の電気角だけ移動させることによって0度の電流位相において、より大きなトータルトルクが得られる。これは、曲線k1を45度の電流位相だけ左方向へ移動させることによって、リラクタンストルクの最大値が得られる電流位相とマグネットトルクの最大値が得られる電流位相とが一致するためである。
このように、実施の形態11による回転電機100Jは、リラクタンストルクおよびマグネットトルクが最大になる電流位相で駆動できる。その結果、より大きなトルクを実現できる。
なお、ロータ20M,20Nは、それぞれ、ロータ20B,20Fの作製方法において磁石31,32および磁石33の配置位置を周方向DR3に11.25度の機械角だけずらすことによって作製される。
[実施の形態12]
図27は、実施の形態12による回転電機のステータの斜視図である。図27を参照して、実施の形態12による回転電機100Kは、図1に示す回転電機100のステータ10をステータ10Kに代えたものであり、その他は、回転電機100と同じである。なお、図27においては、コイル2は、省略されている。
ステータ10Kは、ステータ10に冷却水路11〜15を追加したものであり、その他は、ステータ10と同じである。冷却水路11〜13は、ステータ10Kの結合部10Dにステータ10Kの円周に沿って配設される。また、冷却水路14〜16は、ステータ10Kの結合部10Eにステータ10Kの円周に沿って配設される。
このように、磁束密度が比較的低い結合部10D,10Eに冷却水路11〜16を設けることによって磁束密度の飽和に対する磁界の強さを減少させずに冷却性能を向上できる。
図28は、実施の形態12におけるステータの他の斜視図である。図28を参照して、実施の形態12による回転電機100Kは、図27に示すステータ10Kに代えて図28に示すステータ10Lを備えていてもよい。
ステータ10Lは、ステータ10Kにおいて結合部10D,10Eをラジアル部10Aおよびアキシャル部10B,10Cと別体としたものであり、その他は、ステータ10Kと同じである。
このように、別体とした結合部10D,10Eに冷却水路11〜16を設けることによっても、磁束密度の飽和に対する磁界の強さを減少させずに冷却性能を向上できる。
なお、実施の形態12による回転電機100Kにおいては、ロータ20に代えて上述したロータ20A〜20Nのいずれを用いてもよい。
[実施の形態13]
図29は、実施の形態13による回転電機のティースおよびコイルの斜視図である。図29を参照して、実施の形態13による回転電機100Lは、ティース1Lおよびコイル2Lを備える。
径方向DR2におけるコイル2Lの先端Aから外周側へ距離L1だけ離れた位置Bにおけるティース1Lの幅の開き角度をθ1とし、先端Aから外周側へ距離L2だけ離れた位置Cにおけるティース1Lの幅の開き角度をθ2とし、位置Bにおけるコイル2Lの断面積をS1とし、位置Cにおけるコイル2Lの断面積をS2としたとき、S1<S2、およびθ1≧θ2が成立するようにティース1Lおよびコイル2Lの幅を決定する。
すなわち、周方向におけるティース1Lおよびコイル2Lの全体の幅Wを保持したまま、径方向DR2におけるティース1Lの幅がほぼ一定であるか、外周側から内周側へ向かうに従って幅が広くなるようにティース1Lの幅を決定する。
これにより、磁束密度が高くなっても先端Aにおける磁束密度の飽和を抑制することができる。その結果、径方向DR2に配置されたステータ磁極部とロータ磁極部との磁気的相互作用により発生するトルクの飽和を抑制できる。
なお、実施の形態13による回転電機100Lにおいては、上述したロータ20〜20Lのいずれを用いてもよい。また、実施の形態12において説明したようにステータの結合部に冷却水路を設けるようにしてもよい。
[実施の形態14]
図30は、実施の形態14による回転電機の断面概略図である。図30を参照して、実施の形態14による回転電機100Mは、図3に示す回転電機100のステータ10をステータ10Mに代えたものであり、その他は、回転電機100と同じである。
ステータ10Mは、ラジアル部11Aと、アキシャル部11B,11Cと、結合部11D,11Eとを含む。ラジアル部11Aは、回転軸方向DR1に配置され、アキシャル部11B,11Cは、径方向DR2に配置される。
ラジアル部11Aは、回転軸方向DR1に積層された複数の電磁鋼板17,17,17,・・・からなり、アキシャル部11B,11Cは、径方向DR2に積層された複数の電磁鋼板18,18,18,18,・・・からなる。そして、ラジアル部11Aとアキシャル部11B,11Cとを結合する結合部11D,11Eは、圧粉鉄心からなる。圧粉鉄心は、鉄心の粉を接着剤によって接着して作製される。
図31は、図30に示すステータ10Mのラジアル部11A、アキシャル部11Bおよび結合部11Dにおける磁束の分布図である。なお、図31においては、極座標を用いて磁束の分布を表しており、z軸は、回転軸方向DR1に相当し、r軸は、径方向DR2に相当し、θ軸は、周方向DR3に相当する。
図31を参照して、ラジアル部11Aにおいては、磁束は、領域RE1に示すようにr−θ平面の方向に流れる。また、アキシャル部11Bにおいては、磁束は、領域RE2に示すようにr−z平面の方向に流れる。このように、ラジアル部11Aおよびアキシャル部11Bでは、磁束は、平面方向に流れる。
一方、結合部11Dでは、磁束は、領域RE3に示すように3次元的に分布する。
このように、ラジアル部11Aおよびアキシャル部11Bでは、磁束は平面方向に分布するのでラジアル部11Aおよびアキシャル部11B,11Cを積層した複数の電磁鋼板によって作製しても渦電流を防止可能である。
結合部11D,11Eをラジアル部11Aと同じように回転軸方向DR1に積層した複数の電磁鋼板によって作製すると、アキシャル部11B,11Cの電磁鋼板に渦電流を発生させ、磁気特性が低下する。また、結合部11D,11Eをアキシャル部11B,11Cと同じように径方向DR2に積層した複数の電磁鋼板によって作製すると、ラジアル部11Aの電磁鋼板に渦電流を発生させ、磁気特性を低下させる。
そこで、ラジアル部11Aで発生した磁束とアキシャル部11B,11Cで発生した磁束とを結合させるために、磁束が3次元的に分布可能な圧粉鉄心により結合部11D,11Eを作製することにしたものである。
上述したように、磁束が3次元的に分布可能な圧粉鉄心により結合部11D,11Eを作製することにより、ラジアル部11Aで発生した磁束とアキシャル部11B,11Cで発生した磁束とを結合させ易く、回転電機100Mの出力トルクを大きくできる。
なお、回転電機100Mにおいては、上述したロータ20〜20Nのいずれかが用いられる。
図32は、図30に示すステータ10Mの作製方法を示す図である。図32を参照して、まず、ラジアル部11Aの作製方法について説明する。円形の電磁鋼板25の内周側をプレスで打ち抜き、ティース1を形成するための凸部26を作製する。そして、電磁鋼板25を回転軸方向DR1に積層してラジアル部11Aを作製する。この場合、内周側に複数のティース1が形成される。
次に、アキシャル部11B,11Cの作製方法について説明する。複数のスリット27,27,27,・・・が形成された帯状の電磁鋼板28を放射状のスリットが形成されるように矢印29の方向に巻いてアキシャル部11B,11Cを作製する。この場合、帯状の電磁鋼板28には、間隔が徐々に大きくなるように複数のスリット27,27,27,・・・が形成されている。
そして、上述した方法によって作製したラジアル部11Aとアキシャル部11B,11Cとを圧粉鉄心からなる結合部11D,11Eによって結合させると、ステータ10Mが完成する。
図33は、実施の形態14による回転電機のロータの概略断面図である。図33を参照して、実施の形態14による回転電機100Nは、図3に示す回転電機100のロータ20に代えてロータ20Pを備える。
ロータ20Pは、ロータシャフト21と、ロータコア130と、磁石135〜137とを含む。ロータコア130は、結合部131と、ラジアル部132と、アキシャル部133,134とからなる。
結合部131は、圧粉鉄心からなり、ロータシャフト21に固定される。ラジアル部132は、回転軸方向DR1に積層された複数の電磁鋼板138からなる。アキシャル部133,134は、径方向DR2に積層された複数の電磁鋼板139からなる。
磁石135は、ラジアル部132の円筒面132Aに配置され、磁石136は、アキシャル部133の円筒端面133Aに配置され、磁石137は、アキシャル部134の円筒端面134Aに配置される。
このように、ロータ20Pのラジアル部132とアキシャル部133,134とを結合する結合部131を圧粉鉄心によって作製することによって、ラジアル部132で発生した磁束をアキシャル部133,134で発生した磁束と結合させ易くでき、回転電機100Nの出力トルクを大きくできる。
なお、結合部131を圧粉鉄心によって作製することにした理由は、回転電機100Mの結合部11D,11Eを圧粉鉄心によって作製することにした理由と同じである。
また、上記においては、ステータおよびロータのいずれか一方を、回転軸方向DR1に積層された複数の電磁鋼板からなるラジアル部と、径方向DR2に積層された複数の電磁鋼板からなるアキシャル部と、ラジアル部とアキシャル部とを結合する圧粉鉄心からなる結合部とにより構成すると説明したが、この発明においては、これに限らず、ステータおよびロータの両方を、回転軸方向DR1に積層された複数の電磁鋼板からなるラジアル部と、径方向DR2に積層された複数の電磁鋼板からなるアキシャル部と、ラジアル部とアキシャル部とを結合する圧粉鉄心からなる結合部とにより構成してもよい。
図34は、実施の形態14による回転電機の他のロータの斜視図である。また、図35は、図34に示すロータの分解図である。図34および図35を参照して、実施の形態14による回転電機100Pは、回転電機100のロータ20に代えてロータ20Qを備える。
ロータ20Qは、ロータ20Pに非磁性体板140,141と、エンドプレート142,143を追加したものであり、その他は、ロータ20Pと同じである。非磁性体板140,141は、ロータ20Pに含まれる電磁鋼板の回転軸方向DR1における両端を押さえる。そして、エンドプレート142,143は、ロータシャフト21にかしめられることによってロータ20Pの電磁鋼板および非磁性体板140,141を保持する。
エンドプレート142,143は、ロータ20Pの電磁鋼板と反対側の表面に周方向DR3に形成された凹凸構造を有する。
このように、非磁性体板140,141およびエンドプレート142,143を用いることによって回転軸方向DR1または径方向DR2に積層された複数の電磁鋼板を容易に保持できる。
[実施の形態15]
図36は、実施の形態15による回転電機の概略断面図である。図36を参照して、実施の形態15による回転電機100Qは、ステータ200と、ロータ300とを備える。ステータ200は、ロータ300の内周側にロータ300に対して回転自在に設けられる。
ステータ200は、ステータコア210と、ティース220と、コイル230とを含む。ティース220は、ラジアル部221,222と、アキシャル部223とからなる。コイル230は、ラジアル部231,232と、アキシャル部233とからなる。
ティース220のラジアル部221,222は、回転軸方向DR1に配置され、アキシャル部223は、径方向DR2に配置される。そして、コイル230のラジアル部231,232は、それぞれ、ティース220のラジアル部221,222およびアキシャル部223に巻回される。
ロータ300は、ロータコア310と、磁石321〜323とを含む。ロータコア310は、中空の円筒形状からなる。磁石321〜323は、ロータコア310の内周面に設置される。より具体的には、磁石321,322は、回転軸方向DR1に沿ってロータコア310の内周面に設置され、磁石323は、径方向DR2に沿ってロータコア310の内周面に設置される。この場合、磁石321〜323は、それぞれ、コイル230のラジアル部231,232およびアキシャル部233に対向するように配置される。そして、磁石321,322は、径方向DR2に着磁されており、磁石323は、回転軸方向DR1に着磁されている。
コイル231〜233に電流が流れると、ステータ200は、回転軸方向DR1および径方向DR2に磁界を発生する。ロータ300の磁石321〜323は、それぞれ、コイル231〜233によって発生された磁界を受け、磁気的に相互作用する。その結果、ロータ300は、ステータ200の回りを回転し、回転電機100Qは、所定のトルクを発生する。
このように、ステータ200をロータ300の内周側に配置した場合にも、ロータ300の回転軸方向DR1における端面を磁気的に有効に利用できる。その結果、ロータ300の回転軸方向DR1における端面を磁気的に利用しない場合よりも大きいトルクを発生することができる。
なお、回転電機100Qにおいては、上述したロータ20〜20Nのいずれが用いられてもよく、また、上述したステータ10,10K,10L,10Mのいずれが用いられてもよい。
また、磁石321,322は、ラジアルロータ磁極部を構成し、磁石323は、アキシャルロータ磁極部を構成する。
さらに、ロータ20,20A,20B,20B1,20C,20D,20E,20E1,20F,20G,20H,20I,20J,20K,20L,20M,20Nにおいては、圧粉磁心を成形したロータコア22,40,50,60,70,80,90,110,120を作製すると説明したが、この発明においては、これに限らず、ロータコア22,40,50,60,70,80,90,110,120は、塊状鉄心によって成形されてもよく、複数の電磁鋼板を積層することによって作製されてもよい。ロータコア22,40,50,60,70,80,90,110,120が複数の電磁鋼板を積層することによって作製される場合、ラジアル部(径方向DR2に着磁される部分)は、複数の電磁鋼板を回転軸方向DR1に積層することによって作製され、アキシャル部(回転軸方向DR1に着磁された部分)は、複数の電磁鋼板を径方向DR2に積層することによって作製される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1L,220 ティース、1A,2A,10A,11A,23A,30A,132,221,222,231,232 ラジアル部、1B,1C,2B,2C,10B,10C,11B,11C,23B,23C,30B,30C,133,134,223,233 アキシャル部、2,2L,230 コイル、3〜6 ベアリング、10,10K,10L,10M,200 ステータ、10D,10E,11D,11E,131 結合部、11〜16 冷却水路、17,18,25,28、138,139 電磁鋼板、20,20A,20B,20B1,20C,20D,20E,20E1,20F,20G,20H,20I,20J,20K,20L,20M,20N,20P,20Q,300 ロータ、21 ロータシャフト、22,40,50,60,70,80,90,110,120,130,310 ロータコア、22A,40A,50A,60A,70A,80A,90A,110A,120A 円筒面、22B,22C,40B,40C,50B,50C,60B,60C,70B,70C,80B,80C,90B,90C,110B,110C,120B,120C 円筒端面、23,30〜37,135〜137,321〜323 磁石、23BS,23CS,51A,52A 上面、33A 外周面、26,51,52,61,62,71,72,91,92,101,121〜123 凸部、27,81〜84 スリット、29 矢印、33B,33C 端面、41〜44,111,112 空隙、41A,42A 端、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100I,100J,100K,100M,100P,100Q 回転電機、113,114 非磁性部材、140,141 非磁性体板、142,143 エンドプレート。