JP2005195721A - 光偏向装置、光偏向アレイ、画像形成装置及び画像投影表示装置 - Google Patents

光偏向装置、光偏向アレイ、画像形成装置及び画像投影表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、光偏向装置の板状部材の平面性を確保したまま薄膜化し、軽量ミラーを達成し、低電圧駆動を達成できる。
【解決手段】 本発明は、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有し、複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、支点部材は頂部を有し、基板の上面に設けられ、板状部材は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置され、複数の電極は前記板状部材の導電体層とほぼ対向して基板上にそれぞれ設けられ、板状部材が支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて光偏向を行う。そして、板状部材が高弾性率を有する第1の部材と高反射率を有する第2の部材の2層で構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は光偏向装置、光偏向アレイ、画像形成装置及び画像投影表示装置に関し、詳細には入射光に対する出射光の方向を変える光偏向装置に関する。
静電力を利用してミラーを変位または変形させて光の反射方向を変える光偏向装置としての技術は、ラリィ ジェイ.ホーンベック(L.J.Hornbeck)らが開示している捩り梁型のデジタルマイクロミラーデバイス(以下DMDと略す)がある。このDMDは、ミラーであるビームを上部に具備するヒンジを回転軸として、ビームが空間を介して対向する電極との電位差で生じる静電引力により捩り変位させ、ミラーに入射する光束の反射方向を変えて光偏向するデバイスである。このDMDに関しての詳細は非特許文献1に記載されている。また、このDMDを用いた製品として、投影型の画像表示装置が非特許文献2に記載されている。更に、DMDに関する製造方法及びミラー部材やヒンジ部材の構成が特許文献1に開示されている。この特許文献1において、ビームがミラーすなわち光反射領域に相当する。ヒンジは厚さが75nmで組成がAl−1%Si−0.2%Tiであり、ビーム接触体金属は厚さが300nmのアルミニウム合金であり、ビームは厚さが400nmのアルミニウム合金と開示されている。なお、ビーム接触体金属とビームの組成は明らかにされていない。よって、このような構成の最も厚い部位の膜厚は加算して775nmとなる。特許文献1において、ミラーであるビームの平面性を確保する手段は明らかにされておらず、またそれぞれの部材の弾性率や膜応力に関しての記載もないが、光偏向装置として機能するDMDは少なくとも光反射領域として機能するビームにおいて平面性が必要であり、膜厚を400nmと厚くすることによりその要求を満たしていると推測される。
次に、他の従来技術として、回折格子を用いた光バルブがある。非特許文献3、そして特許文献2〜4において開示されている回折格子光バルブは、Grating Light Valve(以下GLVと略す)と呼ばれ、1素子が2つのグループからなる複数の細長いリボンを有し、このリボンは上面に光反射領域を有し、複数のリボンと空間を介して対向する電極との電位差により生じる静電引力により、2つのグループにおけるリボンの高さを変えて回折光を発生させ、反射光の強度を変えて光変調するデバイスである。また、GLVを用いた投影型の画像表示装置としては、特許文献5に開示されている。特許文献3の中で開示されているGLVの製造方法によると、光反射領域を有するリボンは、弾性材料及び薄いアルミニウム層及び薄い誘電層を含んで構成されている。弾性材料は、好ましい材料としてシリコン窒化膜であり、その膜厚及び膜応力はリボンを変位させた後に初期高さに戻すためのバネ力によって決定される。薄いアルミニウム層はリボンの反射率を増加するために設けられ、100nm以下の厚さで構成されることが好ましい。薄い誘電層は製造プロセス工程中に下層アルミニウム層を保護することを第1の目的とし、光偏向動作中の下層アルミニウム層のエレクトロマイグレーション及び機械的歪を抑制することを助けることを第2の目的として設けられ、50nm以下の厚さで構成されることが好ましい。
また、非特許文献1に開示しているDMDにおいては、ビームを400nmと厚くすることによりミラー面の平面性を確保していると推測される。しかし、そのために光反射領域を有する部材であるヒンジ、ビーム接触体金属、ビームの最も厚い部位は775nm程度となり、総重量も重くなる。そのためDMDの光応答性能は0.1MHz程度であり、高速動作が困難である問題を有している。また、重量が重いことに起因して、光偏向動作時に薄膜ヒンジの破壊を起こしやすく、長期信頼性を低下させる問題を有している。更に、ビームの材料としてアルミニウム合金を用いているので、仮にこのビームを例えば200nm程度の薄膜にした場合、アルミニウム合金の弾性率(物性値としてヤング率の意)は100GPa以下と低いため、製造過程や光偏向動作時に歪み、平面性を低下させてしまう。すなわちミラーの薄膜化が困難である問題を有している。
一方、特許文献2,4に開示しているGLVにおいては、光反射領域を有するリボンが弾性材料及び薄いアルミニウム層並びに薄い誘電層から構成されている。しかし、このGLVは両端固定梁型のリボンを用いているため、静電引力によりリボンの高さを変える、すなわちリボンを微小伸び変形させる際に、例えば弾性材料の膜応力が高い引張応力であったり、弾性率が特に高い場合には、リボンが静電引力により変形変位することが困難となり、駆動電圧が上昇することとなる。逆にいうと、駆動電圧を低電圧とするためにはリボンの主要部材である弾性材料の膜応力及び弾性率は比較的低く抑えることが必要となる。一般的に、薄膜の残留膜応力σと弾性率(物性的なヤング率)Eと歪εは、ε=σ/Eの関係を有しているので、特許文献3に開示されているように、弾性材料としてシリコン窒化膜を用いた場合には、その弾性率Eは250GPa以上と高く、低電圧駆動のためには膜応力σを例えば0.1GPa以下と低くする必要がある。その場合、膜応力σにより弾性材料に内在する歪量εは小さくなる。一方、薄いアルミニウム層の弾性率Eは一般的に100GPa以下と低く、膜応力σも一般的に0.5GPa程度と低いので、膜応力σによりアルミニウム層の歪量εは弾性材料のそれより大きくなる。すなわち弾性材料と薄いアルミニウム層の歪量に差が生じることとなる。例えば弾性材料の膜厚を200nm程度と薄くした場合、各膜に内在する歪量の差はリボン膜の反りとなって生じる。そのため、固定端を有するGLVにおいてはリボンの平面性が低下する問題を有している。この問題は弾性材料の膜厚を厚くすることにより解決するが、その場合は駆動電圧を上昇させる問題を有している。以上のように、GLVにおいてはその動作がリボンの伸び変形を伴うために、駆動電圧の制限により、リボンを構成する部材の弾性率及び残留膜応力を特に大きくすることができない。そのため、光反射領域の平面性を確保しつつリボンを薄膜化することは困難である問題を有している。
次に、図7は従来の光偏向装置の構成を示し、同図の(a)は平面図であり、同図の(b)は図7の(a)のB−B’線断面図である。但し、支点部材103及び電極105a,105b,105c,105dに関しては透過して記載する。図7に示す従来の光偏向装置100は、光反射領域を有する部材が静電引力にて変位することにより、この光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて偏向される光偏向装置である。そして、従来の光偏向装置100は、基板101と、複数の、図7では4つの規制部材102と、支点部材103と、板状部材104と、複数の電極105、図7では4つの電極105a,105b,105c,105dを有している。更に、各規制部材102はそれぞれ上部にストッパ102−1を有し、基板101の複数の端部にそれぞれ設けられている。また、支点部材103は頂部を有して基板101の上面に設けられている。更に、板状部材104は固定端を持たず、上面に光反射領域を有しており、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、基板101と支点部材103とストッパ102−1の間の空間内で可動的に配置されている。また、複数の電極105a,105b,105c,105dは基板101上にそれぞれ設けられ、板状部材104の導電体層とほぼ対向している。このような従来の光偏向装置100は、次のような利点を有している。すなわち、支点部材103と基板101と板状部材104の接触で、傾斜角が決定されるので、ミラーの偏向角の制御が容易かつ安定である。また、支点部材103を中心として対向する電極に異なる電位を印加することにより高速に薄膜の板状部材104を反転するので、応答速度が速くできる。更に、板状部材104が固定端を有していないので捻り変形などの変形を伴わず長期的な劣化が少なく低電圧で駆動できる。また、半導体プロセスにより微細で軽量な板状部材104を形成できるので、ストッパ102−1との衝突による衝撃が少なく、長期的な劣化が少ない。更には、規制部材102、板状部材104や光反射領域の構成を任意に決めることにより、反射光のON/OFF比、つまり画像機器におけるS/N比、映像機器におけるコントラスト比を向上できる。また、半導体プロセス及び装置を使用できるので、低コストにて微細化と集積化が可能である。更に、支点部材103を中心として複数の電極を配置することにより、1軸及び2軸方向の光偏向が可能である。
次に、従来の光偏向装置の駆動の様子を模式的に図8に、及び各電極に印加する電位のタイミングチャートを図9に示す。図9は図7の従来の光偏向装置を例として駆動により板状部材が傾斜した様子を示しており、図8の(a)にOFF動作時の図7の(a)のA−A’線断面図、図8の(b)にOFF動作時の図7の(a)のC−C’線断面図、図8の(c)にON動作時の図7の(a)のA−A’線断面図、図8の(d)にON動作時の図7の(a)のC−C’線断面図を示している。図7に示す電極105a,105b,105c,105dに印加する電位を切り替えることにより光偏向動作が発生する。また、図8の(a)〜(d)のそれぞれには、電極105a,105b,105c,105dに印加された電位により発生する静電引力が白抜き矢印で記載されている。
以下に、図8及び図9を基に、従来の光偏向装置の駆動動作と、それに対応した板状部材104の傾斜変位動作、すなわち光偏向動作を説明する。
先ず図9のOFF動作における電位の印加組み合わせにおいて、電極105aに高電位aを印加し、電極105bに低電位cを印加し、電極105c及び電極105dに中間の電位bを印加すると、導電体層を有しかつ電極群105と対向している電気的に浮いている板状部材104は簡易的なクローズ回路の計算から容易に類推されるように上記中間の電位bと等しくなる。それにより、ON側の電極105c,105dに対して静電引力を生じず、OFF側の電極105a,105bに対して図8の(a)に記載のように静電引力が発生する。そのため、板状部材104がOFF側に傾斜変位する。この動作は一連の光偏向動作のOFF動作だけでなく、光偏向動作の初期に行うリセット動作であっても良い。次に、図9のON動作における電位の印加組み合わせにおいて、電極105cに高電位aを印加し、電極105dに低電位cを印加し、電極105a及び電極105bに中間の電位bを印加すると、導電体層を有しかつ電極群105と対向している電気的に浮いている板状部材104はやはり簡易的なクローズ回路の計算から容易に類推されるように上記中間の電位bと等しくなる。それにより、OFF側の電極105a,105bに対して静電引力を生じず、ON側の電極105c,105dに対して図8の(d)に記載のように静電引力が発生する。そのため、板状部材104がON側に傾斜変位する。なお、従来の光偏向装置の板状部材104は単層であるが、必ずしも単層に限るものではなく、2層構造を有するものでも良い。また、上述の従来の光偏向装置の駆動動作及びそれに対応した板状部材104の傾斜変位動作は、電気的に浮いている板状部材104を傾斜変位させる方法を記載したが、他に支点部材103を導電性部材で構成し、この支点部材103を経由して板状部材104に接触させて電位を付与し、対向する電極群105との間の静電引力により板状部材104を傾斜変位させる方法もある。
従来の光偏向装置の利点として、光偏向に寄与する板状部材104が固定端を有しておらず、光偏向動作に板状部材の変形変位すなわち伸び変形や捩り変形が伴わないことによるものである。すなわち、従来の光偏向装置における板状部材は支点部材を中心とした傾斜変位による光偏向動作を行うので、板状部材は軽量であればあるほど低電圧駆動が可能であることは明らかである。軽量な板状部材とするためには、薄膜化または小型化が有効であるが、小型化は必要なミラー面積により制限されるため、薄膜化が有効である。しかし、板状部材の構成部材を安易に薄膜化することは、板状部材の反りすなわち平面性の低下や、製造プロセス中の凝着及び光偏向動作時の平面性低下を招く恐れがある。
ここで、板状部材の薄膜化による課題を詳しく説明すると、第一に板状部材が単層膜である場合について記載すると、板状部材は高反射性が必要となるためにアルミニウム膜またはアルミニウムを90重量パーセント含有するアルミニウム合金単層であることが最も好ましい。その場合、アルミニウム系膜の弾性率(物性的にヤング率のこと)は70〜100GPaと低いために、製造プロセス中及び光偏向動作時に膜に対して過剰な力を受け平面性を確保することが困難となる。
次に、従来の光偏向装置の製造プロセスの一例を図10に示す。同図の(a)〜(i)は、図7に示した従来の光偏向装置の製造過程を代表的な工程に沿って示し、図7の(a)のB−B’線断面工程図である。
はじめに、図10の(a)に示すように、シリコン基板101上に、支点部材103を構成するシリコン酸化膜がプラズマCVD法により堆積され、その後、濃度階調性を有するフォトマスクを用いた写真製版法やレジストパターン形成後熱変形させる写真製版法により、支点部材103の形状とほぼ同形状の任意の膜厚を有するレジストパターンを形成し、その後、ドライエッチング法により目的形状の支点部材103が形成される。なお、シリコン基板101上にシリコン酸化膜を形成し、その上層の一部を同様の加工を行っても良い。次に、図10の(b)に示すように、電極105a,105b,105c,105dを窒化チタン(TiN)膜の薄膜で形成する。TiN薄膜は、TiをターゲットとしたDCマグネトロンスパッタ法により成膜し、写真製版法及びドライエッチング法により複数の電極105a,105b,105c,105dとしてパターン化する。そして、図10の(c)に示すように、電極105a,105b,105c,105dの保護膜106として、プラズマCVD法によるシリコン酸化膜を形成する。次に、図10の(d)に示すように、非晶質なシリコン膜をスパッタ法により堆積させ、CMP技術を用いて処理時間制御にて平坦化した。この時、支点部材103の頂部上に残る非晶質なシリコン膜の膜厚を制御することが重要である。残存する非晶質なシリコン膜が第1の犠牲層107である。なお、第1の犠牲層107としては上記非晶質なシリコン膜以外にもポリイミド膜、感光性有機膜(一般的に半導体プロセスにて用いられるレジスト膜)や多結晶シリコン膜などを用いることもでき、平坦化の手法としては、熱処理によるリフロー法やドライエッチングによるエッチバック法を用いることもできる。そして、図10の(e)に示すように、従来の光偏向装置の特徴である板状部材104を堆積、パターン化する。板状部材104は高い光反射性を有しかつ導電体層としての役割を果たすために、アルミニウム膜をスパッタリング技術により堆積させ、写真製版法及びドライエッチング法によりパターン化する。
次に、図10の(f)に示すように、非晶質なシリコン膜をスパッタ法により堆積させ、第2の犠牲層108とした。なお、第2の犠牲層108としては上記非晶質なシリコン膜以外にもポリイミド膜、感光性有機膜(一般的に半導体プロセスにて用いられるレジスト膜)や多結晶シリコン膜などを用いることもできる。そして、図10の(g)に示すように、光偏向装置を個別に分離し、板状部材104の周囲にストッパ102−1を有する規制部材102を配置するために、写真製版法及びドライエッチング法により、第1の犠牲層107及び第2の犠牲層108を同時に板状部材104よりやや広くパターン化する。次に、図10の(h)に示すように、ストッパを有する規制部材102を構成するシリコン酸化膜をプラズマCVD法により堆積させ、写真製版法及びドライエッチング法により任意の個所にパターン化する。なお、ストッパ102−1を有する規制部材102は、図7に見られる配置に留まらず、板状部材104を制限空間に留める位置であれば良い。そして、図10の(i)に示すように、残存する第1の犠牲層107及び第2の犠牲層108を、ウェットエッチング法により開口部を通してエッチング除去し、板状部材104を可動範囲が制限された空間に配置して、従来の光偏向装置が完成する。なお、犠牲層のエッチングは犠牲層の種類に応じて、ウェットエッチングに限らずドライエッチングにより実施することもできる。また、犠牲層のエッチングは基板平面方向にエッチングを進行させるため、板状部材104の材質をエッチングされにくい材料で最適化することが重要である。
このような製造プロセス中、特に図10の(i)に示す第1の犠牲層107及び第2の犠牲層108のエッチングにおいて、板状部材104が上記アルミニウム系膜単層である場合200nm以下の薄膜とすると、アルミニウム系単層膜は犠牲層ウェットエッチング工程において保護膜106や規制部材102に貼りつく不良(凝着のこと)を起こすことになる。そのため、板状部材104を上記アルミニウム系膜単層で構成する場合には好ましくは400〜500nm程度の厚膜であることが望ましい。
特許第3,383,031号明細書 特許第2,941,952号明細書 特許第3,016,871号明細書 特許第3,164,824号明細書 特開2002−131838号公報 Proc. SPIE Vol.1150, pp.86-102(1989) 「A MEMS-Based Projection Display」PROCEEDINGS OF THE IEEE. VOL.86,N0.8,AUGUST 1998 ,page 1687-1704 Optics Letters,Vol.7, No.9, pp688〜pp690
しかし、板状部材を薄膜とした場合光偏向動作中に不具合が発生する場合がある。この不具合について説明する。図11はON動作後に起きた不具合の様子を示す断面図であり、図7の(a)のB−B’線断面図である。図11においてON動作後、傾斜した板状部材104は電極105c,105dと対向する部位において近接する。そのため比較的大きな静電引力が作用する。この時板状部材104として弾性率が比較的低いアルミニウム系単層膜を200nm以下の薄膜で用いると、図11に示すように板状部材104が撓み、極端な場合は電極105への電位を断った後も元に戻らない現象、一般的に固着という現象が発生する。そのため板状部材104の平面性が低下することとなる。このように、板状部材が単層で構成されかつ薄膜化した場合の問題点であるが、この問題は単層膜に限らず多層膜でも同様であるのは言うまでもない。
次に、板状部材を多層とする場合に顕著となる問題について以下に説明する。なお、代表的に2層で構成しかつ薄膜化した場合を例として説明する。
一般的に任意の基板上に堆積した膜はその基板との熱膨張係数差や堆積手法や堆積時の温度さらに膜中の元素の結合状態に応じて、膜中に残留応力を有することとなる。後述する残留膜応力または膜応力はこれを表す。残留膜応力は理想的には膜厚方向で均一であることが望まれるが、堆積手法によっては膜厚方向に不均一である場合もある。更に、この膜はその組成及び堆積手法に応じてそれぞれ特有のヤング率を有する。後述する弾性率はこれを表す。特有の弾性率を持つ膜が残留膜応力を有するので、上述のε=σ/Eに示すように、膜は歪を内在することとなる。後述する歪量はこれを表す。図7の従来の光偏向装置は、板状部材104が固定端を有していないことを特徴としており、図10の(i)の犠牲層のエッチングにおいて周囲の第1の犠牲層107及び第2の犠牲層108がエッチング除去されると、板状部材104は膜応力及び弾性率に応じて歪が開放され伸縮されることとなる。この時、膜厚方向に膜応力が不均一でない限り単層膜では均一に歪が開放されるので板状部材104が大きく反ることはない。すなわち平面性が低下することはない。それに対し、板状部材104が2層で構成されている場合、各膜はそれぞれが有する弾性率及び膜応力に従い、それぞれの歪量を開放することとなる。図12に板状部材が2層で構成され犠牲層エッチング時に歪が開放された様子を模式的に示す。図12において構成膜201、202がそれぞれ弾性率E1、E2と残留引張応力σ1、σ2を有する場合、それぞれの歪量はσ1/E1、σ2/E2となる。歪量が白抜き矢印の大きさで示したように、構成膜201の方が大きい場合、板状部材は、図12に黒矢印で記載のように曲げモーメントを受け、201側に反ることとなる。すなわち板状部材の平面性が低下することとなる。この不具合は、板状部材の総膜厚が薄膜化するほど顕著となり、例えば総膜厚が300nm以下では重要な課題と考えられる。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、光偏向装置の板状部材の平面性を確保したまま薄膜化し、軽量ミラーを達成し、低電圧駆動を達成できる、光偏向装置、光偏向アレイ、画像形成装置及び画像投影表示装置を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の光偏向装置は、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有している。そして、複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、基板の複数の端部にそれぞれ設けられている。また、支点部材は頂部を有し、基板の上面に設けられている。更に、板状部材は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置され、複数の電極は前記板状部材の導電体層とほぼ対向して基板上にそれぞれ設けられている。このような構成を有する本発明の光偏向装置は、板状部材が支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて光偏向を行う。更に、本発明の光偏向装置では、板状部材が、高弾性率を有する第1の部材と、高反射率を有する第2の部材の2層で構成されている。よって、第1の部材において入射光に対する反射光を効率良く反射させることができ、第2の部材において製造プロセス中や光偏向動作時における板状部材の変形、すなわち平面性の低下を抑制することができることにより、高反射性及び高平面性を両立した薄膜な光偏向装置を提供できる。
また、第1の部材の膜応力に起因する歪量と、第2の部材の膜応力に起因する歪量をほぼ同等とすることにより、積層時の各膜の歪量が同等となるため、積層膜の反りを抑制することができ、高平面性でかつ薄膜な光偏向装置を提供できる。
更に、本発明の光偏向装置では、板状部材が、高弾性率を有する第1の部材と、高反射率を有する第2の部材と、少なくとも1層以上の歪量調整部材で構成され、板状部材を構成する各部材内または部材間の歪量の差を、歪量調整部材の歪量で補正することに特徴がある。よって、第1の部材又は第2の部材のわずかな歪量のずれを補正し、より高平面性でかつ薄膜な光偏向装置を提供できる。
また、第1の部材としてシリコン窒化膜、アルミニウム窒化膜、アルミニウム合金の窒化膜、クロム膜又はクロム合金膜を用いることにより、高い引張応力を有する板状部材を提供でき、板状部材の薄膜化及び高い平面性の確保を実現できる。
更に、歪量調整部材としてシリコン酸化膜又はクロム酸化膜を用いることにより、低い圧縮応力を有する歪量調整部材を提供することができ、第1の部材と第2の部材の任意の順に膜厚を最適化して積層でき、よって板状部材の平面性を向上させることができる。
また、別の発明としての光偏向アレイは、上記記載の光偏向装置を複数、任意の基板上に1次元又は2次元アレイ状に配置したことに特徴がある。よって、低電圧駆動が可能な光偏向アレイを提供できる。
更に、別の発明としての画像形成装置は、上記記載の光偏向アレイを、ライン露光型の潜像形成手段である光書込みユニットとして用いることに特徴がある。よって、低電圧駆動が可能な画像形成装置を提供できる。
また、別の発明としての画像投影表示装置は、上記記載の光偏向アレイを、光源からの光束を画像情報に応じて目的の方向へ反射させる表示ユニットとして用いることに特徴がある。
本発明によれば、光偏向装置の板状部材を構成する膜種及び膜特性(弾性率及び膜応力)を最適化して各膜の歪量を調整することにより、板状部材の平面性を確保したまま薄膜化することができる。それにより軽量な光偏向装置を提供でき、固定端を持たない軽量な光偏向装置を傾斜変位させる駆動電圧を低下させることができ、高反射性及び高平面性を両立した薄膜な光偏向装置を提供でき、かつ低電圧駆動を達成することができる。
本発明によれば、固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置された板状部材を、高弾性率を有する第1の部材と、高反射率を有する第2の部材の2層で構成する。
図1は本発明の第1の実施例に係る光偏向装置の構成を示す図であり、同図の(a)は平面図であり、同図の(b)は図1の(a)のB−B’線断面図である。但し、支点部材103及び電極105a,105b,105c,105dに関しては透過して記載している。図1において、図7と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図1に示す本実施例の光偏向装置300は、図7に示す従来の光偏向装置と異なる構成要素として、板状部材301が高弾性率を有する第1の部材302、高反射率を有する第2の部材303の2層で構成されている。また、板状部材301を構成する、高弾性率を有する第1の部材302の膜応力に起因する歪量と、高反射率を有する第2の部材303の膜応力に起因する歪量とはほぼ同等とする。更に、高弾性率を有する第1の部材302としてシリコン窒化膜、アルミニウム窒化膜またはアルミニウム合金の窒化膜、あるいはクロム膜またはクロム合金膜を用いている。なお、本実施例の光偏向装置の構成及び製造方法は、図7に示した従来の光偏向装置と同様であるのでここでは省略する。
図2において、板状部材301は高反射率を有する第2の部材303と高弾性率を有する第1の部材302の積層により構成される。このように構成とすることにより、高い反射性を有するミラーが総膜厚300nm以下の薄膜にて平面性を確保して形成することができる。以下に、高弾性率を有する部材が、製造プロセス中の凝着や光偏向動作時の固着や平面性不良を抑制できる理由を簡単に説明する。上述のように、弾性率とはヤング率のことであり、高弾性率としては200GPa以上をいう。上述のε=σ/Eは膜中の残留膜応力についてのみ該当するわけではなく、外力に対しても歪を表すことができる。すなわち一定の外力に対して、膜の弾性率が2倍になると歪は2分の1となる。すなわちそれだけ変形を抑制することができるわけで、上記平面性不良を抑制する理由である。
次に、下記の表1に、高弾性率を有する膜として使用される膜の弾性率及び膜応力及び上述のε=σ/Eから算出される歪量を記載する。
Figure 2005195721
この表1において、膜応力の+は引張応力を示し、−は圧縮応力を示す。また、歪量の+は引張応力に起因し縮む方に作用する歪量であり、−は圧縮応力に起因し伸びる方に作用する歪量である。膜応力は第1の部材302、第2の部材303の堆積後の製造プロセスにおける熱過程を経た後の応力値である。上記表1において、アルミニウム窒化膜1は、DCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウムをターゲットとしてAr、N混合ガスにより反応性スパッタされて形成された膜である。アルミニウム窒化膜2は、DCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウム3チタン1合金(AlTi)をターゲットとしてAr、N混合ガスにより反応性スパッタされて形成された膜である。アルミニウム窒化膜3は、DCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウムーネオジウム合金をターゲットとしてAr、N混合ガスにより反応性スパッタされて形成された膜である。更に、シリコン窒化膜1は、低圧CVD法によりシラン及びアンモニアガスを原料として830℃の高温で形成された膜である。シリコン窒化膜2は、低温高密度プラズマCVD法によりシラン及びアンモニアガスを原料として300℃の低温で形成された膜である。クロム膜はDCマグネトロンスパッタ法にて、クロムをターゲットとしてArガスによりスパッタされて形成された膜である。上記表1に記載のように弾性率が200〜380GPaまでの任意の弾性率を有する部材が提供できる。また、この部材以外にも必要に応じて、弾性率400GPaの高い値を有するアルミニウム酸化膜、及び弾性率450GPaの高い値を有するシリコン炭化膜を用いることができる。上記表1に記載の高弾性率を有する膜は、膜厚250Nm以下の膜厚で用いられる。
次に、下記の表2に、高反射率を有する膜として使用される膜の反射率及び弾性率及び膜応力及び上述のε=σ/Eから算出される歪量を記載する。
Figure 2005195721
ここで、反射率は一般的に高反射ミラー膜として用いられるアルミニウム膜の波長400〜800nmの入射光に対する反射率を100%とした相対的な値である。弾性率及び膜応力を表1と同様な記載である。アルミニウム膜は、DCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウムをターゲットとしてArガスによりスパッタされて形成された膜である。アルミニウム合金膜1はDCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウム−シリコン合金をターゲットとしてArガスによりスパッタされて形成された膜である。アルミニウム合金膜2はDCマグネトロンスパッタ法にて、アルミニウム−ネオジウム合金をターゲットとしてArガスによりスパッタされて形成された膜である。上記表2に記載されている膜は97%以上の高い反射率を有しつつ、膜応力に起因する歪量を幾つか選択することができる。なお、高反射率を有する膜は上記の表2に記載の膜組成に限定されるものではない。例えば、アルミニウム−シリコン−銅合金膜やアルミニウム−シリコン−チタン合金膜やアルミニウム−チタン合金膜であっても良い。各組成を選択することにより、高い反射率を確保しつつ膜応力に起因する歪量を3.0〜6.0×10―3で任意に選択できる。高反射率を有する膜は反射性を確保するために30nm以上の膜厚で構成され、板状部材の総膜厚を300nm以下とする膜厚で用いられる。なお、上記高反射率を有する膜は、アルミニウム系合金膜であることに起因して、本実施例の光偏向装置の板状部材に要求される要件である導電性を有することを兼ねている。上記の表1及び表2から最適な組み合わせの具体例1及び具体例2の構成及び実際の板状部材の反りを、以下の表3に記載する。表3において、板状部材の反りは、光偏向装置の特徴である固定端を有しない板状部材が犠牲層エッチング後に開放された後に、代表的なミラーとしての大きさである10μm×10μmの大きさの板状部材の反り量を測定した値である。
Figure 2005195721
具体例1においては、表1に記載のクロム膜と表2に記載のアルミニウム膜を板状部材301の第1の部材302及び第2の部材303として用い、具体例2では、表1に記載のシリコン窒化膜1と表2に記載のアルミニウム合金膜1を板状部材301の第1の部材302及び第2の部材303として用いた。この部材共に膜応力に起因する歪量が同等となる構成とすることにより、図2の(a)に模式的に示したように積層膜の歪量の差が生じないので曲げモーメント(図12の黒色の矢印)が発生せず、板状部材の反り量(図12に反り量の定義を図示)も0.1μm以下と小さな値が得られた。
なお、上記高弾性率を有する膜は、必要に応じて導電性を有するクロム膜、絶縁性を有するアルミニウム窒化膜、シリコン窒化膜が選択される。
次に、図3は本発明の第2の実施例に係る光偏向装置の構成を示す図であり、同図の(a)は平面図であり、図3の(b)は図3の(a)のB−B’線断面図である。但し、支点部材103及び電極105a,105b,105c,105dに関しては透過して記載している。第1の実施例と主に異なる点は板状部材401が高弾性率を有する第1の部材402と、高反射率を有する第2の部材403と、少なくとも1層以上の歪量調整部材404で構成されており、かつ板状部材401を構成する各部材内または部材間の歪量の差を、歪量調整部材404の歪量で補正する点である。また、歪量調整部材404としてシリコン酸化膜あるいはクロム酸化膜を用いている。図3において、歪量調整部材404は第1の部材402と第2の部材403の間に設けられているが、第1の部材402の上層であっても良いし、第2の部材403の下層であっても良い。また、必ずしも1層でなくて良い。上述した第1の実施例では高弾性率を有する第1の部材302と高反射率を有する第2の部材303の歪量をほぼ同等とすることにより板状部材301の平面性の向上を図ったが、必ずしも第1の部材302と第2の部材303の歪量を合わせるだけで改善されない場合もあり得る。例えば、第1の部材402や第2の部材403が、堆積手段や膜種によってそれぞれの膜厚方向に膜応力に分布を有する場合である。この傾向は下地基板との熱膨張係数差が大きい場合に顕著となり、第1の部材402及び第2の部材403の膜厚を例えば100nm以下に薄膜化すると影響が大きくなり、第2の実施例の構成のみで改善されないこともある。また、第1の部材402及び第2の部材403の歪量がわずかなずれを生じる場合もあり得る。このような構成において、板状部材401の反りを抑制するために歪量調整部材404を配置する。前述の表2に見られるように、高反射率を有する第2の部材403としてアルミニウム系合金を用いた場合、その膜は低い引張応力を有する。また、高弾性率を有する第1の部材402も前述のように比較的強い引張応力であることが望まれる。すなわち第1の部材402及び第2の部材403共に引張応力の部材で構成されることが好ましく、その歪量を調整するために効果的な膜としては膜応力が圧縮応力を有することが望まれる。すなわち歪量調整部材404としては、圧縮応力を有する膜が望ましい。下記の表4に、歪量調整部材としてクロム酸化膜を用いた具体例3、シリコン酸化膜を用いた具体例4の構成と板状部材の反り量を記載する。
Figure 2005195721
なお、表4中、具体例3の第1の部材402の層と第2の部材403の層は具体例1の実施例1の各層と同一の膜種であり、第2の部材403の層の膜厚を薄膜化した場合を示している。また、具体例4の第1の部材402の層と第2の部材403の層は前述の具体例2の各層と同一膜種であり、第2の部材403の層の膜厚を薄膜化した場合を示している。表4における板状部材401の反りは表3と同様な評価手段による。具体例3及び具体例4共に、板状部材401の総膜厚が150nm程度であるにかかわらず、反りが約0.1μmと抑制されていることがわかる。具体例3に用いた歪量調整部材404のクロム酸化膜は、RFマグネトロンスパッタ法にて、クロムをターゲットとしてAr、O混合ガスにより反応性スパッタされて形成された膜であり、−2.0GPa程度の高い圧縮応力を膜応力として有する膜である。この膜は非常に薄膜にて歪量調整が可能であるだけでなく、高弾性率を有する膜としてクロム膜を用いた場合は同一のウェットエッチングで加工できる利点もある。具体例4に用いた歪量調整部材404のシリコン酸化膜は、プラズマCVD法にて、シラン、2窒化酸素ガスを原料として300℃の成膜温度で堆積された膜であり、−0.4GPa程度の低い圧縮応力を膜応力として有する膜である。この膜は応力値が比較的低いので歪量調整を膜厚で制御しやすい利点がある。歪調整部材を配置する効果を模式的に示した図3の(b)によれば、薄膜化により顕著となる高弾性率を有する第1の部材402の膜応力の膜厚分布を歪量調整部材404を配置して相殺、補正することにより、曲げモーメントを発生させず、反りを抑制している。この歪量調整部材による反りの抑制は板状部材の総膜厚が小さい場合すなわち薄膜における抑制なので、膜厚の最適化が重要である。
次に、図4は別の発明の一実施例に係る光偏向アレイの構成を示す平面図である。本発明の光偏向アレイは、上述した光偏向装置を複数個、1次元または2次元アレイ状に配置したものである。図4の(a)は、図1の光偏向装置を光偏向面方向に対して垂直方向に複数個、一列に整列して配置した光偏向アレイの平面図であり、つまり1次元アレイである。図4の(b)は、図1の光偏向装置を光偏向面方向と垂直方向に複数個整列してアレイ状に配置した光偏向アレイの平面図であり、つまり2次元アレイである。このように上述した光偏向装置を複数個、1次元または2次元アレイ状に配置することにより、低電圧駆動ができる光偏向アレイを提供することができる。
次に、図5は別の発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す本実施例の画像形成装置500は、図4に示す光偏向アレイである光偏向アレイ503をライン露光型の潜像形成手段である光書込みユニット502として用いている。電子写真プロセスにより光書き込みを行って画像を形成する画像形成装置500は、図中の矢印D方向に回転可能に保持されて形成画像を担持し、ドラム形状の感光体である画像担持体501を有し、帯電手段504で均一に帯電された画像担持体501上を光偏向アレイ503からなる光書込みユニット502で光書き込みを行って潜像を形成する。そして、この潜像を現像手段505により画像担持体501上にトナー画像として形成し、その後トナー画像を転写手段506で被転写体507に転写して、被転写体507に転写されたトナー画像を定着手段508で定着した後に、被転写体507を排紙トレイ509に排紙して収納される。一方、トナー画像を転写手段507で被転写体507に転写した後の画像担持体501は、クリーニング手段510でクリーニングされて次工程の画像形成に備えるようになっている。光書込みユニット502は、光源511からの入射光束512を、第1のレンズシステム513を介して光偏向アレイ503に照射し、各光偏向装置は画像情報に応じて傾斜変位し反射光方向を変え、入射光束512を第2のレンズシステム514を通じて画像担持体501上の表面に結像させるようになっている。このように、図4に示す光偏向アレイを光書込みユニットとして用いることにより、低電圧駆動が可能な画像形成装置を提供できる。
次に、図6は別の発明の一実施例に係る画像投影表示装置の構成を示す概略図である。画像投影表示装置600は、光源601からの光束608を画像情報に応じて目的の方向へ反射させる表示ユニット603として図4に示した光偏向アレイを用いている。図6において、光源601は白色光源などの、レーザ光源に比べ安価な光源である。光学系602は光源601からの光束608を光偏向アレイ603に導く照明光学系である。光偏向アレイ603は図4に示した光偏向アレイである。投影光学系604、605は、表示画面の垂直方向の画素列及び水平方向の画素列に対応して2次元に配置された光偏向アレイ603により目的方向に偏向された光束を、拡大投影する投影光学系である。制御システム606は光偏向アレイ603の動作を制御する制御システムであり、電子回路により構成される。図中に点線で示す光束608の一部を示したが、光源601から発せられた光は照明光学系602により光偏向アレイ603上に導かれ、光偏向アレイ603で偏向された光束は投影光学系604、605により、2次元画像として投影される。なお、図6において、回転カラーホィール607は、光偏向アレイ603に導かれる入射光束の波長を選択するために用いられる。このように、本発明の画像投影表示装置によれば、上述した光偏向アレイを表示ユニットとして用いていることから、低電圧駆動が可能となる。
なお、各発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
本発明の第1の実施例に係る光偏向装置の構成を示す図である。 板状部材の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施例に係る光偏向装置の構成を示す平面図である。 別の発明の一実施例に係る光偏向アレイの構成を示す平面図である。 別の発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。 別の発明の一実施例に係る画像投影表示装置の構成を示す概略図である。 従来の光偏向装置の構成を示す図である。 従来の光偏向装置の駆動の様子を示す図である。 各電極に印加する電位のタイミングと板状部材の傾斜変位の関係を示す図である。 従来の光偏向装置の製造プロセスの一例を示す工程断面図である。 ON動作後に起きた不具合の様子を示す断面図である。 板状部材が2層で構成され犠牲層エッチング時に歪が開放された様子を示す断面図である。
符号の説明
300;光偏向装置、301,401;板状部材、
302,402;第1の部材、303,403;第2の部材、
304,404;歪量調整部材、500;画像形成装置、
503,603;光偏向アレイ、600;画像投影表示装置。

Claims (8)

  1. 基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は頂部を有し、前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記複数の電極は前記板状部材の導電体層とほぼ対向して基板上にそれぞれ設けられ、前記板状部材が前記支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、前記光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて光偏向を行う光偏向装置において、
    前記板状部材が、高弾性率を有する第1の部材と、高反射率を有する第2の部材の2層で構成されることを特徴とする光偏向装置。
  2. 前記第1の部材の膜応力に起因する歪量と、前記第2の部材の膜応力に起因する歪量をほぼ同等とする請求項1記載の光偏向装置。
  3. 基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有し、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、前記支点部材は頂部を有し、前記基板の上面に設けられ、前記板状部材は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置され、前記複数の電極は前記板状部材の導電体層とほぼ対向して基板上にそれぞれ設けられ、前記板状部材が前記支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、前記光反射領域に入射する光束が反射方向を変えて光偏向を行う光偏向装置において、
    前記板状部材が、高弾性率を有する第1の部材と、高反射率を有する第2の部材と、少なくとも1層以上の歪量調整部材で構成され、前記板状部材を構成する各部材内または部材間の歪量の差を、前記歪量調整部材の歪量で補正することを特徴とする光偏向装置。
  4. 前記第1の部材としてシリコン窒化膜、アルミニウム窒化膜、アルミニウム合金の窒化膜、クロム膜又はクロム合金膜を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の光偏向装置。
  5. 前記歪量調整部材としてシリコン酸化膜又はクロム酸化膜を用いる請求項3記載の光偏向装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光偏向装置を複数、任意の基板上に1次元又は2次元アレイ状に配置したことを特徴とする光偏向アレイ。
  7. 請求項6記載の光偏向アレイを、ライン露光型の潜像形成手段である光書込みユニットとして用いることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項6記載の光偏向アレイを、光源からの光束を画像情報に応じて目的の方向へ反射させる表示ユニットとして用いることを特徴とした画像投影表示装置。

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