JP2005189136A - 軸受損傷診断方法及び損傷診断システム - Google Patents

軸受損傷診断方法及び損傷診断システム Download PDF

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彰彦 梅田
Yoshimi Kagimoto
良実 鍵本
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康嘉 東崎
Masaya Kouno
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Abstract

【課題】 簡単にかつ精度良く軸受の損傷種別を判別することを可能とした軸受損傷診断方法及び損傷診断システムを提供する。
【解決手段】 軸受近傍に設置したAEセンサにより得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断方法において、軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の初期運転段階と、該繰り返し数が所定数以上の長期運転段階とで異なる判別処理を行い、前記初期運転段階計測(S2)は、前記AE信号の出力値に基づき損傷の有無を判別する第1の判別工程(S3)と、前記出力値と予め設定された閾値とを比較して非金属異物混入の有無を判別する第2の判別工程(S4)と、AE発生部位に基づき先在損傷か金属異物混入かを判別する第3の判別工程(S5)と、を有し、一方前記長期運転段階は、前記AE信号のイベント数に基づき疲労損傷の有無を判別する第4の判別工程(S7)を有し、損傷種別が特定されるまで前記工程を順次行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転機械に具備される軸受に発生する欠陥、破損等の損傷を検出する損傷診断方法及び該システムに関し、特にAEセンサにより得られたAE信号に基づいて損傷の種類を判別する軸受損傷診断方法及び損傷診断システムに関する。
回転機械に具備される軸受は、他の機械要素に比べて非常に多くの機械システムに使用されている。軸受には過大な荷重がかかるため異常が発生し易く、軸受に重大な異常が発生した場合にはシステム全体が停止する惧れがあるため、早期に発見してシステムに与える影響を最小限に抑える必要がある。
そこで、軸受に発生した損傷を把握するために、軸受の異常部位が放出するアコースティックエミッション(AE)を検出し、得られたAE信号を解析することにより損傷を推定する方法が用いられている。
AEの計測は、検出、前処理、解析の順で行なわれる。このとき、AEは微弱な超音波であるため、AEセンサで検出して電気信号に変換した後、該信号を解析に必要なレベルまで増幅し、フィルタで不要信号を除去する必要がある。
AEの解析にはイベント解析と波形解析があり、イベント解析ではAE信号の数や大きさ、発生場所などを測定し、統計的な傾向を求める。一般的に亀裂の進展に伴ってAE信号の発生数と振幅は増大するためイベント解析では材料の状態を推定することができる。一方、波形解析ではスペクトラムを利用した方法等があり、イベント解析より詳細な材料の情報を得ることができる。
一般に、AEを利用した軸受の損傷検出方法としては、波形解析よりも簡単で確実な解析結果が得られるイベント解析が広く用いられており、例えば特許第3247949号公報(特許文献1)では、AEセンサと、転動体位置検出センサとから検出された各信号に基づき、異常が発生した転動体を特定する方法が提案されている。
また、特開8−122302号公報(特許文献2)では、軸受のAE信号から周期別発生率と周期ズレ発生率とを導出し、これに基づき軸受に生じた傷の大小を判断することを可能とした方法が提案されている。
さらに、特開2003−177080号公報(特許文献3)では、軸受に設置した2つのAEセンサからの出力信号の差信号を取得し、該差信号にある閾値を超える変動が検出された場合に損傷の発生を検知し、その損傷箇所を特定する装置が開示されている。
このように、軸受に発生した異常が微視的な損傷であっても、AEセンサを用いることにより確実に検出することができ、またその発生箇所、損傷規模を特定することも可能となっている。
特許第3247949号公報 特開平8−122302号公報 特開平2003−177080号公報
例えば発電プラント等に設置されるエアヒータには、主に大型の転がり軸受が備え付けられているが、このように大型の軸受の場合は回転体の回転速度が数rpmから数十rpm程度と低回転数で運転されるため、顕著な異常が生じなければ振動による異常検知が困難であるとされている。
そこで、特に大型の回転軸受においては、上記したようにAEセンサを利用して異常を検出することが有効な手段であるが、イベント解析を利用した検出方法では主として軸受の異常を検知するのみであり個々の事象の切り分けは実施していないため、どのような異常が発生しているのか把握することができない。即ち、軸受の異常には、製造時に生じる先在損傷、長期運転により生じる疲労損傷、異物混入による損傷などのように異なる損傷発生原因が複数存在し、損傷種別により対処方法も異なってくるが、従来の方法では損傷種別を特定することは不可能であるため損傷が検出される度に運転を停止するなどの対策しか講じられていないのが実状である。
特許文献1乃至3の方法では、異常発生箇所の特定、損傷の規模を判断することはできても損傷種別を特定することは不可能であるため、異常が発生する度に運転を停止する等して損傷を確認しなければならない。
また、AE信号を波形解析することにより詳細な異常情報を得ることは可能であるが、微視的な損傷が発生するAEは非常に小さく、さらに軸受の周辺で発生する雑音に起因するバックグラウンドノイズも同時に検出されるため、これを分離して正確な波形解析を行なうことは非常に困難である。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、AEセンサを利用して得られたAE信号に基づき、簡単にかつ精度良く軸受の損傷種別を判別することを可能とした軸受損傷診断方法及び損傷診断システムを提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
軸受が発生するAEをAEセンサで検出し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断方法において、
軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満である初期運転段階と、該繰り返し数が所定数以上である長期運転段階とで異なる判別処理を行い、
前記初期運転段階では、前記AE信号の出力値、AE発生位置の少なくとも何れかに基づき損傷種別を判別し、
一方前記長期運転段階では、前記AE信号のイベント数に基づき損傷種別を判別することにより、軸受の損傷種別を特定することを特徴とする。
また、軸受が発生するAEをAEセンサで検出し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断方法において、
軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の初期運転段階と、該繰り返し数が所定数以上の長期運転段階とで異なる判別処理を行い、
前記初期運転段階は、前記AE信号の出力値に基づき損傷の有無を判別する第1の判別工程と、前記出力値と予め設定された閾値とを比較して非金属異物混入の有無を判別する第2の判別工程と、AE発生部位に基づき先在損傷か金属異物混入かを判別する第3の判別工程と、を有し、
一方前記長期運転段階は、前記AE信号のイベント数に基づき疲労損傷の有無を判別する第4の判別工程を有し、
損傷種別が特定されるまで前記工程を順次行なうことを特徴とする。
さらに、前記初期運転段階は、前記軸受回転で生じる繰り返し数が10未満の運転とし、前記長期運転段階は、該繰り返し数が10以上の運転とすることが好適である。
AE(アコースティックエミッション)センサは、固体の変形や破壊に伴って内部エネルギが音響波として放出される現象を検出するものであり、加速度センサ等とは異なり、軸受を構成する部品の質量の影響を受けずに損傷検出を行なうことが可能である。
かかる発明は、各種の異常が発生した際に、どのようなAE信号が発生するかという知見に基づき、さらに運転時間によって発生し得る異常が異なるという知見を組み合わせることにより、精度良く損傷種別を判別し、特定することを可能としている。このように損傷種別を特定することにより異常発生時に適した対処方法を選択することができ、運転を円滑に継続することも可能である。
またかかる発明によれば、AE信号の波形処理を行なうことなくイベント解析のみで必要な損傷情報を容易に取得することができる。
尚、前記初期運転段階と長期運転段階は、本発明のように繰り返し数により設定しても良いし、また運転時間により設定しても良い。
さらに、前記非金属異物混入若しくは金属異物混入の存在が認められた場合に、前記軸受に供給する潤滑油の異物を除去するようにしたことを特徴とする。
異物の混入は先在損傷や疲労損傷とは異なり、潤滑油中の遺物をフィルタ等で除去することにより運転を続行することが可能である。従って、かかる発明のように潤滑油中の遺物量を制御することにより、異物が混入する度に運転を停止する必要がなく、円滑な運転が可能となる。
また、前記初期運転段階の前に、前記AEセンサによりバックグラウンドノイズを検出し、該バックグラウンドノイズが所定値以上である場合には診断不可能と判断することが好ましい。
また、軸受の近傍若しくはこれに接触させてAEセンサを配設し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断システムにおいて、
軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の場合に稼動する初期判定手段と、該繰り返し数が所定数以上の場合に稼動する長期判定手段を具備し、
前記初期判定手段が、前記AE信号の出力値、AE発生位置の少なくとも何れかに基づき損傷種別を判別する手段を有し、
前記長期判定手段が、前記AE信号のイベント数に基づき損傷種別を判別する手段を有し、
前記初期判定手段及び前記長期判定手段により軸受の損傷種別を特定することを特徴とする。
また、軸受の近傍若しくはこれに接触してAEセンサを配設し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断システムにおいて、
軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の場合に稼動する初期判定手段と、該繰り返し数が所定数以上の場合に稼動する長期判定手段を具備し、
前記初期判定手段が、前記得られたAE信号の出力値と軸受正常時の出力値とを比較して損傷の有無を判別する手段と、前記得られた出力値と予め設定された閾値とを比較して非金属異物混入の有無を判別する手段と、AE発生部位に基づき先在損傷か金属異物混入かを判別する手段と、を有し、
前記長期判定手段が、前記AE信号のイベント数に基づき疲労損傷の有無を判別する手段を有し、
前記初期判定手段及び前記長期判定手段により軸受の損傷種別を特定することを特徴とする。
このように、損傷の発生メカニズムに基づいて分類された損傷種別を、軸受の運転時間、AE信号の出力値及びイベント数等に応じて判別することにより、簡単にかつ精度良く損傷種別を特定することができる。
さらに、前記非金属異物混入若しくは金属異物混入の存在が認められた場合に、前記軸受に供給する潤滑油の異物を除去する異物量制御手段を設けたことを特徴とする。
また、前記初期判定手段は、前記得られたAE信号の出力値が、前記軸受正常時の出力値に基づき予め求められた閾値を超える場合には損傷有りの判断を行ない、さらにまた、前記初期判定手段は、前記AE発生部位がランダムである場合には金属異物混入の可能性有りの判断をし、一方前記AE発生部位が一定箇所である場合には先在損傷ありの判断を行なうように構成されることが好ましい。
以上記載のごとく本発明によれば、各種の異常が発生した際に、どのようなAE信号が発生するかという知見に基づき、さらに運転時間によって発生し得る異常が異なるという知見を組み合わせることにより、精度良く損傷種別を判別し、特定することを可能としている。このように損傷種別を特定することにより異常発生時に適した対処方法を選択することができ、運転を円滑に継続することも可能である。
また、AE信号の波形処理を行なうことなくイベント解析のみで、必要な損傷情報を簡単に取得することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の第1実施例に係る軸受損傷診断アルゴリズムを示すフロー図、図2は図1の各状態における損傷種別対応表、図3は本発明の第1実施例に係る軸受損傷診断システムのブロック図である。
本実施例は、例えば、ガスタービンや蒸気タービンが備えられた発電プラントにおける発電機の廃熱を回収するエアヒータの回転軸の軸受に適用される。尚、本実施例はエアヒータの回転軸の軸受に限らず、様々な機器の回転軸の軸受に適用可能であるが、特に低回転数の回転機械に備えられる軸受に好適に用いることができる。
本第1実施例の軸受損傷診断システムが適用される軸受200は、図3に示すように、ハウジング23内に設けられ、回転体の軸とともに回転する内輪20と、定位置に固定される外輪21と、これらの内外輪の間に挟持されて転動する複数のコロ22と、該コロ22を等間隔に保持する不図示の保持器と、から構成される。
本実施例では、かかる軸受200の近傍若しくはこれに接触させて一又は複数のAEセンサ10を取付けている。該AEセンサ10の取付け方法としては、軸受に直接接触させて取付けてもよいし、軸受から離間させてハウジング23等に取付けても良い。また、離間させた場合は、軸受200とAEセンサ10との間に固体若しくは液体を介在させ、該介在物質は音響伝播性に優れた物質とすることが好ましい。勿論、既存の潤滑油中に浸漬するように設けることもできる。
また、本第1実施例における軸受損傷診断システムは、軸受が発生するAEを電気的なAE信号として検出する前記AEセンサ10と、入力信号を増幅する増幅器11と、入力信号の特定周波数成分をのみを通過させるバンドパスフィルタ12と、増幅されたAE信号を包絡線検波する検波器13と、取得したAE信号に基づき損傷種別を判別する損傷診断装置(制御装置)15と、を備えている。前記AEセンサ10は公知のセンサであり、音響波を検出する素子を検査面に具備している。
前記損傷診断装置15は、初期判定部150aと長期判定部150bからなる判定部150と、AE信号レベル検出部151と、AE発生位置算出部152と、イベント数計数部153と、繰り返し数カウント部154と、閾値設定部155と、を主要構成とする。
前記初期判定部150aは、軸受の回転で生じる繰り返し数が所定数未満の初期運転段階で稼動し、一方長期判定部150bは前記繰り返し数が所定数以上の長期運転段階で稼動する。このとき、前記初期運転段階と長期運転段階とは運転時間により設定することも可能で、所定時間運転後に初期判定部150aから長期判定部150bに移行するようにしてもよい。
前記AE信号レベル検出部151は、前記AEセンサ10で検出されたAEに、前記増幅器11、バンドパスフィルタ12、検波器13により信号処理を施し、これにより得られたAE信号の出力値を検出する機能を有する。前記AE発生位置算出部152は、軸受のどこに損傷が発生したかを検出する機能を有し、例えば複数のAEセンサから検出されたAE信号の時間差分と、前記AEセンサの設置位置から算出する。また、前記イベント数計数部153は、イベントが出現した回数を計数する機能を有し、前記繰り返し数カウント部154は、軸受の回転により生じる繰り返し数をカウントし、前記初期運転段階と長期運転段階とを区分して判定部を切り替える。
さらに、前記閾値設定部155は、例えば長期運転段階において疲労損傷が認められるイベント数を予め閾値として設定する機能を有しており、検出したAE信号の検出値と比較することにより損傷の有無を判定できるようにする。尚、かかる閾値設定部155では、前記閾値の他にも、初期運転段階と長期運転段階との境界となる繰り返し数、初期損傷の有無若しくは異物混入の有無を判定するAE信号出力値、などにおける他の閾値を設定する機能を有していてもよく、該閾値設定部155にて設定した閾値を基準に前記判定部150にて各種損傷種別を判別することが好適である。
また、本実施例1の軸受診断システムには軸受を円滑に回転駆動させるための異物量制御装置16が設けられており、前記判定部150で特定された損傷種別が異物混入である場合に、該異物量制御装置16を制御して異物量を調整する。
次に、図1を参照して本第1実施例に係る軸受損傷診断アルゴリズムにつき説明する。
まず、軸受200にAEセンサ10を設置して回転機械の運転を開始し、AEセンサ10のバックグラウンド出力値を計測する(S1)。バックグラウンド出力は、軸受の周辺で発生する雑音に起因するノイズであり、これが5V以上計測された場合にはAEセンサ自体に異常がある可能性が高いため診断は不可能である。バックグラウンド出力が5V以下である場合には、初期判定部150aを稼動するとともに初期運転段階計測を開始する(S2)。本実施例では、前記閾値設定部155により繰り返し数10回を閾値に設定し、該繰り返し数未満の運転を初期運転段階とする。
そして、第1判別工程として、前記AE信号レベル検出部151にて取得したAE信号の出力値と、前記バックグラウンド信号の出力値とを比較し(S3)、前記AE信号出力値が前記バックグラウンド信号出力値の2倍以下である場合には初期運転段階での異常は無い可能性有りとの判断が下され(S3A)、運転は続行される。
一方、前記AE信号出力値が前記バックグラウンド出力値の2倍以上である場合には、初期異常が存在する可能性が考えられる。そこで、第2の判別工程を行なう。かかる第2の判別工程は、前記検出されたAE信号出力値と、前記閾値設定部155により設定された閾値とを比較する(S4)。かかる閾値は、砂粒等の無機異物が混入した時のAE信号出力値と金属異物が混入した時のAE信号出力値を基に設定された数値であり、予め実験等により好適な閾値を求めておく。本実施例では、AE信号出力値が100V以下の場合には砂粒混入の可能性有りの判断を下し(S4A)、100V以上の場合には第3の判別工程を行なう。
前記第3の判別工程は、前記AE発生位置算出部152により取得したAE発生位置がランダムか否かの判定を行い(S5)、発生位置がランダムである場合には金属異物混入の可能性有りの判断がなされる(S5A)。一方、AE発生位置が固定である場合には製造時からの先在損傷の可能性有りの判断がなされる(S5B)。
尚、前記砂粒混入若しくは金属異物混入有りの判断がなされた場合には、前記異物量制御装置16にその旨を通知する信号が送信され、軸受200に送給される異物量を調整して正常化し(S6A,S6B)、運転が続行される。
そして、前記繰り返し数カウント部154により算出された繰り返し数が10回以上となったら長期運転段階計測(S7)に移行し、前記長期判定部150bを稼動する。長期運転段階では第4の判別工程を実施し、前記イベント数計数部153により検出したAE信号のイベント数と、初期イベント数とを比較する(S8)。検出されたAE信号のイベント数が前記初期イベント数の1.4倍(閾値)以下の場合は疲労損傷が未発生であるとみなし(S8B)、イベント数が閾値以上の場合には疲労損傷の発生(S8A)が有りとの判断が下される。
本実施例では、一実施例として上記したように、前記初期運転段階で前記得られたAE信号の出力値が、軸受正常時におけるAE信号の出力値の約2倍以上である場合に、損傷の存在が認識されるようにしている。
これは、本発明者らが実験を行ない、軸受正常時におけるAE信号の出力値、即ちバックグラウンドノイズと、異常が存在する場合のAE信号出力値とを比較した結果、前記異常が発生した際のAE信号出力値はバックグラウンドノイズの約2倍の出力値であった。従って、予めバックグラウンドノイズの出力値を計測しておき、取得したAE信号出力値とバックグランド出力値とを比較することにより、初期運転段階における異常の存在を簡単にかつ正確に判別することが可能である。
また、前記長期運転段階で、前記得られたAE信号のイベント数が軸受正常時におけるAE信号のイベント数の約1.4倍以上である場合に、疲労損傷の存在が認識されるようにしている。
長期運転を行なった時のAEイベント数の推移を図4に示す。これによれば、ある時間を境界としてイベント数の大幅な増加が見られる。これは長期運転に伴う疲労損傷が発生したためである。図4(b)よりイベント数の増加率は初期運転段階の約1.4倍であり、かかる値を閾値として設定することにより、長期運転段階における疲労損傷の発生を簡単にかつ精度良く判別することが可能となる。
このように、各種の異常が発生した際にどのようなAE信号が発生するかという知見に基づき、さらに運転時間によって発生し得る異常が異なるという知見を組み合わせることにより、精度良く損傷種別を判別し、特定することができる。また、損傷種別を特定することにより異常発生時に適した対処方法を選択することができ、運転を円滑に継続することも可能である。また、波形解析を行なわずにイベント解析のみで異常情報を取得するため解析処理が容易である。
尚、上記した数値は何れも、対象機器及びセンサの種類、又は設置方法等により適宜設定することが好ましい。
かかるアルゴリズムにおける損傷種別対応表を図2に示す。
図4乃至図7は長期運転段階における疲労試験結果を示す。図4は本実施形態を用い、コロ軸受面圧を120kgf/mm2とした時の試験結果を示し、(a)は2回の試験結果から得られたイベント数の推移を示すグラフで、(b)はイベント数の推移を明瞭化したグラフである。
図4(a)によれば、運転開始から3000分経過後に初期運転段階に比べてイベント数が急激に増加している。これはフレーキングの発生を表し、疲労損傷が発生したことが判る。フレーキングとは転動による疲れを主な原因として軌道面がうろこ状に剥離する現象であり、副次的な原因として過大荷重、軸又はハウジングの精度不良、取付け誤差などによる異常荷重等が考えられるため、軸受を補修若しくは交換するとともにこれらの原因を取り除くことが必要である。また、2回目試験では初期運転段階に比べてイベント数が多く、マイクロピットの発生が考えられる。かかる損傷に対しても、その補修若しくは交換とともに発生原因を取り除く必要がある。
このように、AE信号の総イベント数を計数することで疲労損傷の発生を明瞭に把握することができる。また、図4(b)によれば、疲労損傷が出現した時のAE総イベント数は約35000であり、初期運転段階におけるAE総イベント数の25000に比べて約1.4倍であることが判る。従って、前記第4の判別工程において閾値を初期イベント数の1.4倍とすることで、疲労損傷を正確に判別することができる。
図5乃至図7は、図4の比較例である。図5は図4と同様の疲労損傷試験でコロ軸受面圧を300kgh/mm2とした時のイベント数の推移を示すグラフである。これによれば、時間3000分付近で急激にイベント数の増加が見られる。即ち、これは図4と同様にフレーキングによる疲労損傷が発生したことが明瞭に判別できる。
一方図6は、図4と同様の疲労損傷試験における試験結果で、AE出力の最大ピーク値の推移を示すグラフ(a)、AE出力の平均ピーク値の推移を示すグラフ(b)であるが、かかるグラフではプロットが分散しており明瞭な解析結果を得ることができなかった。
また、図7は図4と同様の疲労損傷試験において加速度計測を行なった場合の試験結果を示すグラフであるが、図6と同様に明瞭な解析結果を得ることはできなかった。
上記比較例からも明らかなように、本実施例において疲労損傷を判別する手段としては、AE信号のイベント数の推移を利用して判別することが最適で、特に閾値を初期イベント数の1.4倍とすることが好適であるがあることが判った。
このように、他の閾値設定についても、最適なパラメータを選出して閾値を適宜設定することが好ましい。
本実施形態の損傷診断システムに、損傷種別に応じたメンテナンス情報を格納したデータベースをリンクさせ、判別された損傷種別に応じて適したメンテナンスが実行されるようにしても良い。
本発明の第1実施例に係る軸受損傷診断アルゴリズムを示すフロー図である。 図1の各状態における損傷種別対応表である。 本発明の第1実施例に係る軸受損傷診断システムのブロック図である。 本実施形態を用い、コロ軸受面圧を120kgf/mm2とした時の疲労損傷試験結果を示し、2回の試験結果から得られたイベント数の推移を示すグラフ(a)、イベント数の推移を明瞭化したグラフ(b)である。 図4と同様の疲労損傷試験でコロ軸受面圧を300kgh/mm2とした時のイベント数の推移を示すグラフである。 図4と同様の疲労損傷試験における試験結果で、AE出力の最大ピーク値の推移を示すグラフ(a)、AE出力の平均ピーク値の推移を示すグラフ(b)である。 図4と同様の疲労損傷試験において加速度計測を行なった場合の試験結果を示すグラフである。
符号の説明
10 AEセンサ
15 損傷診断装置
16 異物量制御装置
20 内輪
21 外輪
22 コロds
23 ハウジング
150 判定部
150a 初期判定部
150b 長期判定部
151 AE信号レベル検出部
152 AE発生位置算出部
153 イベント数計数部
154 繰り返し数カウント部
155 閾値設定部
200 軸受

Claims (10)

  1. 軸受が発生するAEをAEセンサで検出し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断方法において、
    軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満である初期運転段階と、該繰り返し数が所定数以上である長期運転段階とで異なる判別処理を行い、
    前記初期運転段階では、前記AE信号の出力値、AE発生位置の少なくとも何れかに基づき損傷種別を判別し、
    一方前記長期運転段階では、前記AE信号のイベント数に基づき損傷種別を判別することにより、軸受の損傷種別を特定することを特徴とする軸受損傷診断方法。
  2. 軸受が発生するAEをAEセンサで検出し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断方法において、
    軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の初期運転段階と、該繰り返し数が所定数以上の長期運転段階とで異なる判別処理を行い、
    前記初期運転段階は、前記AE信号の出力値に基づき損傷の有無を判別する第1の判別工程と、前記出力値と予め設定された閾値とを比較して非金属異物混入の有無を判別する第2の判別工程と、AE発生部位に基づき先在損傷か金属異物混入かを判別する第3の判別工程と、を有し、
    一方前記長期運転段階は、前記AE信号のイベント数に基づき疲労損傷の有無を判別する第4の判別工程を有し、
    損傷種別が特定されるまで前記工程を順次行なうことを特徴とする軸受損傷診断方法。
  3. 前記初期運転段階は、前記軸受回転で生じる繰り返し数が10未満の運転とし、前記長期運転段階は、該繰り返し数が10以上の運転としたことを特徴とする請求項1若しくは2記載の軸受損傷診断方法。
  4. 前記非金属異物混入若しくは金属異物混入の存在が認められた場合に、前記軸受に供給する潤滑油の異物を除去するようにしたことを特徴とする請求項1若しくは2記載の軸受損傷診断方法。
  5. 前記初期運転段階の前に、前記AEセンサによりバックグラウンドノイズを検出し、該バックグラウンドノイズが所定値以上である場合には診断不可能と判断することを特徴とする請求項1若しくは2記載の軸受損傷診断方法。
  6. 軸受の近傍若しくはこれに接触させてAEセンサを配設し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断システムにおいて、
    軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の場合に稼動する初期判定手段と、該繰り返し数が所定数以上の場合に稼動する長期判定手段を具備し、
    前記初期判定手段が、前記AE信号の出力値、AE発生位置の少なくとも何れかに基づき損傷種別を判別する手段を有し、
    前記長期判定手段が、前記AE信号のイベント数に基づき損傷種別を判別する手段を有し、
    前記初期判定手段及び前記長期判定手段により軸受の損傷種別を特定することを特徴とする軸受損傷診断システム。
  7. 軸受の近傍若しくはこれに接触してAEセンサを配設し、得られたAE信号に基づき軸受の損傷を検出する軸受損傷診断システムにおいて、
    軸受回転で生じる繰り返し数が所定数未満の場合に稼動する初期判定手段と、該繰り返し数が所定数以上の場合に稼動する長期判定手段を具備し、
    前記初期判定手段が、前記得られたAE信号の出力値と軸受正常時の出力値とを比較して損傷の有無を判別する手段と、前記得られた出力値と予め設定された閾値とを比較して非金属異物混入の有無を判別する手段と、AE発生部位に基づき先在損傷か金属異物混入かを判別する手段と、を有し、
    前記長期判定手段が、前記AE信号のイベント数に基づき疲労損傷の有無を判別する手段を有し、
    前記初期判定手段及び前記長期判定手段により軸受の損傷種別を特定することを特徴とする軸受損傷診断システム。
  8. 前記非金属異物混入若しくは金属異物混入の存在が認められた場合に、前記軸受に供給する潤滑油の異物を除去する異物量制御手段を設けたことを特徴とする請求項6若しくは7記載の軸受損傷診断システム。
  9. 前記初期判定手段は、前記得られたAE信号の出力値が、前記軸受正常時の出力値に基づき予め求められた閾値を超える場合には損傷有りの判断を行なうように構成されることを特徴とする請求項6若しくは7記載の軸受損傷診断システム。
  10. 前記初期判定手段は、前記AE発生部位がランダムである場合には金属異物混入の可能性有りの判断をし、一方前記AE発生部位が一定箇所である場合には先在損傷ありの判断を行なうように構成されることを特徴とする請求項6若しくは7記載の軸受損傷診断システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009109267A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Nsk Ltd 転がり軸受の異常判定方法及び異常判定装置
DK177922B1 (en) * 2010-08-25 2015-01-05 Gen Electric Method and system for monitoring wind turbine
CN106124212A (zh) * 2016-06-16 2016-11-16 燕山大学 基于稀疏编码器和支持向量机的滚动轴承故障诊断方法

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