JP2005188518A - 電動圧縮機 - Google Patents

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Kenzo Matsumoto
兼三 松本
Manabu Takenaka
学 竹中
Takeshi Higuchi
剛 樋口
Kazuaki Fujiwara
一昭 藤原
Keishiro Igarashi
恵司郎 五十嵐
Masaaki Takezawa
正昭 竹澤
Kazuhiko Arai
和彦 新井
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Abstract

【課題】 固定子とシェル部との当接面積を小さくして騒音を大幅に低減させることができる電動圧縮機を提供する。
【解決手段】 電動要素(電動機)2を、密閉容器1の内壁に当接して固定される固定子鉄心74を有する固定子4と、磁性体45を有して回転軸6に取り付けられ、固定子4の内側において回転自在に支持された回転子5とから構成する。固定子鉄心74が密閉容器1に当接する部分の回転軸6方向の寸法をHとし、当該固定子鉄心74の回転軸6方向の寸法をHoとした場合、H<Hoとする。
【選択図】 図1




Description

本発明は、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される圧縮要素とを収納して成る電動圧縮機に関するものである。
従来よりこの種電動圧縮機は、例えば特許文献1及び、出願人が先に出願した特許文献2に示されている。これら、従来の電動圧縮機の電動機には誘導電動機或いはDCモータなどが用いられているが、DCモータが希土類永久磁石モータの場合、永久磁石と回転子、固定子の積厚は同一で、フェライト永久磁石モータの場合は、固定子より回転し及び永久磁石の積厚が高い設計となっている。
次に、従来のこの種電動圧縮機100を図21、図22を用いて説明する。図中101は密閉容器であり、内部の上側に電動要素として電動機(例えばDCモータ)102下側に、この電動機102で回転駆動される圧縮要素103が収納されている。密閉容器101は、上端が開口する円筒状のシェル部101Aと、このシェル部101Aの上端開口を閉塞するエンドキャップ部101Bとから成る2分割構成であり、シェル部101A内に電動機102及び圧縮要素103を収納した後、エンドキャップ部101Bをシェル部101Aに被せ、高周波溶着などによって密閉することにより構成されている。また、この密閉容器101のシェル部101A内の底部がオイル溜まりSOとなる。
電動機102は、密閉容器101の内壁に固定された固定子104と、この固定子104の内側に回転軸106を中心にして回転自在に支持された回転子105とから構成されている。そして、固定子104は略ドーナッツ状の固定子鉄板を複数枚積層して構成された固定子鉄心174と、この固定子鉄心174の内周に形成された複数の歯部に分布巻方式にて装着され、回転子105に回転磁界を与えるための固定子巻線(駆動コイル)107とから構成されている。そして、この固定子鉄心174の外周面が密閉容器101のシェル部101Aの内壁に当接して固定されている。
この場合、固定子鉄心174の外周面には複数の切欠176が形成されており、この切欠176はシェル部101Aの内壁から離間しており、そこに通路177を構成している。
圧縮要素103は中間仕切板108で仕切られた第1のロータリー用シリンダ109及び第2のロータリー用シリンダ110を備えている。各のシリンダ109、110には回転軸106で回転駆動される偏心部111、112が取り付けられており、これら偏心部111、112は偏心位置がお互いに180度位相がずれている。
113、114はそれぞれシリンダ109、110内を回転する第1のローラ、第2のローラであり、それぞれ偏心部111、112の回転でシリンダ内を回る。115、116はそれぞれ第1の枠体、第2の枠体であり、第1の枠体115は仕切板108との間にシリンダ109の閉じた圧縮空間を形成させ、第2の枠体116は同様に仕切板108との間にシリンダ110の閉じた圧縮空間を形成させている。また、第1の枠体115、第2の枠体116はそれぞれ回転軸106の下部を回転自在に軸支する軸受部117、118を備えている。
119、120はカップマフラであり、それぞれ第1の枠体115、第2の枠体116を覆うように取り付けられている。尚、シリンダ109とカップマフラ119は第1の枠体115に設けられた図示しない連通孔にて連通されており、シリンダ110とカップマフラ120も第2の枠体116に設けられた図示しない連通孔にて連通されている。121は密閉容器101の外部に設けられたバイパス管であり、カップマフラ120の内部に連通している。
122は密閉容器101の上に設けられた吐出管であり、123、124はそれぞれシリンダ109、110へつながる吸入管である。また、125は密閉ターミナルであり、密閉容器101の外部から固定子104の固定子巻線107へ電力を供給するものである(密閉ターミナル125と固定子巻線107とをつなぐリード線は図示せず)。
126は回転子105の回転子鉄心であり、厚さ003mm〜007mmの電磁鋼板が所定の形状に打ち抜かれた回転子用鉄板を複数枚積層し、お互いにカシメて一体に積層されている。
この場合、回転子鉄心126の回転子用鉄板は、四極の磁極を構成する突極部128、129、130、131が形成されるように電磁鋼板から打ち抜かれており、132、133、134、135はそれぞれの突極部128、129、130、131間に突極部が形成されるように設けられた凹状部である。
141、142、143、144は磁性体145(永久磁石)を挿入するためのスロットであり、各突極部128、129、130、131に対応し、回転子鉄心126の外周側において、回転軸106の軸方向に沿って同心円上に穿設されている。
また、146は回転子鉄心126の中心に形成され、回転軸106が焼バメされる孔である。そして、各回転子用鉄板は複数枚積層した後、相互にカシメて一体化することにより回転子鉄心126を形成する。
前記、磁性体145は、例えばプラセオジウム系永久磁石、若しくは表面にニッケルメッキを施したネオジウム系永久磁石等の希土類系永久磁石材にて構成されており、その外形は断面長方形状の全体としては矩形状とされている。そして、各スロット141、142、143、144は、この磁性体145が挿入される大きさとされている。また、166、167は回転子鉄心126の上下端に取り付けられる平板状の端面部材であり、ステンレスや黄銅等の非磁性材料により、略円盤状に成形されている。
尚、172は端面部材166の上方に位置して回転子105に取り付けられた円盤状のオイル分離用のプレートであり、173はプレート172と端面部材166間に取り付けられたバランスウエイトである。
係る構成で、電動機102の固定子104の固定子巻線107に通電されると、回転磁界が形成されて回転子105が回転する。この回転子105の回転により回転軸106を介してシリンダ109、110内のローラ113、114が偏心回転され、吸入管123、124から吸入された吸入ガスは圧縮される。
圧縮された高圧のガスは前記連通孔を介してシリンダ109からカップマフラ119内に吐出され、このカップマフラ119に形成された図示しない吐出孔から密閉容器101内に吐出される。一方、シリンダ110からは前記連通孔を介してカップマフラ120に吐出され、バイパス管121を経て密閉容器101内に吐出される。
吐出された高圧ガスは電動機102内の隙間を通過して吐出管122に至り、外部に吐出される。一方、ガス中にはオイルが含まれているが、このオイルは吐出管122に至るまでにプレート172などにより分離され、遠心力で外側に向かい、通路177などを経てオイル溜まりSOに流下するものであった。
係る、電動圧縮機100に設けられた電動機102は、磁性体145が希土類永久磁石の場合、永久磁石と回転子105、固定子104の積厚は略同一設計となっており、磁性体145がフェライト永久磁石の場合は、固定子104より回転子105及び永久磁石の積厚が高い設計となっていた。
特開平10−288180号公報 特願平5−350444号
しかしながら、電動圧縮機に用いられるDCモータ(電動機)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への固定子の磁気吸引・反発力が大きい。このため、電動機のヨーク部が加振され、電動圧縮機の騒音が増大する要因となっていた。特に、高磁力の希土類永久磁石を用いた電動機や、スロット数の少ない磁極集中巻の電動機では、スロット数の多い電動機より磁束の変化が大きく、騒音低減が大きな課題となっている問題があった。
また、固定子鉄心の歯部で加振された振動は、固定子のヨーク部を加振しシェル部との当接部でシェル部を直接振動させていた。これによっても、電動圧縮機の騒音が増大してしまう要因となっている問題もあった。
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、固定子とシェル部との当接面積を小さくして騒音を大幅に低減させることができる電動圧縮機を提供することを目的とする。
即ち、請求項1の発明の電動圧縮機は、密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される圧縮要素とを収納して成る電動圧縮機であって、電動要素を、密閉容器の内壁に当接して固定される固定子鉄心を有する固定子と、磁性体を有して回転軸に取り付けられ、固定子の内側において回転自在に支持された回転子とから構成すると共に、固定子鉄心が密閉容器に当接する部分の回転軸方向の寸法をH、当該固定子鉄心の回転軸方向の寸法をHo、磁性体の回転軸方向の寸法をHmgとした場合、H<Ho、且つ、Hmg<Hoとしたものである。
また、請求項2の発明の電動圧縮機は、寸法Hoに対する寸法Hの比率を、0.2≦H/Ho≦0.8としたものである。
また、請求項3の発明の電動圧縮機は、寸法Hoに対する寸法Hmgの比率を、0.2≦Hmg/Ho≦0.98としたものである。
以上詳述した如く請求項1の発明によれば、電動要素を、密閉容器の内壁に当接して固定される固定子鉄心を有する固定子と、磁性体を有して回転軸に取り付けられ、固定子の内側において回転自在に支持された回転子とから構成すると共に、固定子鉄心が密閉容器に当接する部分の回転軸方向の寸法をH、当該固定子鉄心の回転軸方向の寸法をHo、磁性体の回転軸方向の寸法をHmgとした場合、H<Ho、且つ、Hmg<Hoとしているので、固定子鉄心からシェル部への振動の伝達を少なくでき、然も、磁性体の磁力を固定子鉄心の回転軸方向に分散させることが可能となる。従って、電動圧縮機の騒音を更に大幅に低減させることができるようになるものである。
また、請求項2の発明によれば、請求項1又は請求項3に加えて、寸法Hoに対する寸法Hの比率を、0.2≦H/Ho≦0.8としているので、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子の磁気吸引・反発力による回転子のヨーク部の加振がシェル部に伝達され難くなる。従って、前述同様電動圧縮機の騒音を大幅に低減させることができるようになるものである。
また、請求項3の発明によれば、請求項2又は請求項3に加えて、寸法Hoに対する寸法Hmgの比率を、0.2≦Hmg/Ho≦0.98としているので、固定子の歯部への加振力を分散させることが可能となる。これにより、シェル部への振動伝達を減少させることができるようになる。従って、電動機の効率及び固定子のコストアップを防止ししつつ加振された固定子のヨーク部の振動を分散させることが可能となり、極めて電動圧縮機の騒音を低減させることができるようになるものである。
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の電動圧縮機Cの縦断側面図、図2は同電動圧縮機Cの横断上面図をそれぞれ示している。この図において、1は冷凍庫、冷蔵庫、或いはショーケースなどに設けられた冷却装置を構成する密閉容器であり、内部の上側に電動要素として電動機2、下側にこの電動機2で回転駆動される圧縮要素3が収納されている。密閉容器1は、上端が開口する円筒状のシェル部1Aと、このシェル部1Aの上端開口を閉塞するエンドキャップ部1Bとから成る2分割構成であり、シェル部1A内に電動機2及び圧縮要素3を収納した後、エンドキャップ部1Bをシェル部1Aに被せ、高周波溶着などによって密閉することにより構成されている。また、この密閉容器1のシェル部1A内の底部がオイル溜まりSOとなる。
電動機2は所謂磁極集中巻方式の直巻きDCブラシレスモータであり、密閉容器1の内壁に固定された固定子4と、この固定子4の内側に回転軸6を中心にして回転自在に支持された回転子5とから構成されている。そして、固定子4は略ドーナッツ状の固定子鉄板(珪素鋼板)を複数枚積層して構成された固定子鉄心74と、回転子5に回転磁界を与えるための固定子巻線(駆動コイル)7とから構成されている。
固定子鉄心74の内周には図示しないが6個の歯部が設けられており、この歯部の間に内方及び上下に開放したスロット部78が形成されている。そして、これらの歯部にスロット部78の空間を利用して前記固定子巻線7を直接巻回することにより、所謂集中直巻方式によって固定子4の磁極を形成して、4極6スロットの固定子4を構成している。
係る、固定子鉄心74の外周面は密閉容器1のシェル部1Aの内壁に当接して固定されている。この場合、固定子鉄心74が密閉容器1に当接する部分の回転軸6方向の寸法をHとし、当該固定子鉄心74の回転軸6方向の寸法をHoとした場合、H<Hoとなるように構成されている。そして、固定子鉄心74の外周面には円周を弦状に切り欠いた複数の切欠76(実施例では6箇所)が形成され、この切欠76はシェル部1Aの内壁から離間し、そこに後述する如くオイル戻り用の通路77を構成している。
図3は図1に示した回転子5の一部縦断側面図、図4は平面図(回転軸6に圧入する前の状態)である。各図において、26は回転子鉄心であり、厚さ0.3mm〜0.7mmの電磁鋼板から図5の如き形状に打ち抜いた回転子用鉄板27を複数枚積層し、お互いにカシメて一体に積層されている(尚、カシメによらずに溶接にて一体化しても良い)。
この回転子用鉄板27は、図5に示す如く四極の磁極を構成する突極部28〜31が形成されるように電磁鋼板から打ち抜かれており、32〜35はそれぞれの突極部28〜31間に突極部が形成されるように設けられた凹状部である。該各突極部28〜31の頂点間の外径(直径)Dは15フレームの圧縮機では、実施例の例えば50mmである。また、各突極部28〜31の回転方向(回転子5の回転方向。実施例では図5における時計回り)側の外面は、所定範囲で斜めに内方に向かって切除され、カット部36〜39が形成されている。尚、回転子5を反時計回りに回転させるよう設計した際は、カット部36〜39は回転方向の反対側を切除して構成する。即ち、図4、図5と反対側を切除する。
41〜44は後述する磁性体45(永久磁石)を圧入するためのスロットであり、各突極部28〜31に対応し、回転子用鉄板27の外周側において、回転軸6の軸方向に沿って同心円上に穿設されている。そして、各スロット41〜44と隣接する突極部28〜31の側壁間の狭路幅dは0.3〜1.0mm(実施例では0.5mm)とされている。
また、46は回転子用鉄板27の中心に形成され、回転軸6が焼バメされる孔である。そして、各回転子用鉄板27を複数枚積層した後、相互にカシメて一体化することにより回転子鉄心26を形成する。47〜50は後述するカシメ用のリベット51〜54が通される大きさと略同形状の貫通孔であり、各スロット41〜44の内側に対応して穿設されている。56〜59は各回転子用鉄板27相互をカシメ固定するためのカシメ部であり、各貫通孔47〜50と略同心円上で各スロット41〜44の間に形成されている。更に、61〜64は各カシメ部56〜59の内側に穿設されたオイル通路を形成するための孔である。
各回転子用鉄板27は複数枚積層され、前記カシメ部56〜59において相互にカシメられて一体化されることにより、図6の側面図に示す如き回転子鉄心26が形成される。このとき、回転子鉄心26の外径は前述の回転子用鉄板27の外径D(50mm)であり、回転軸6方向の積層寸法Lは例えば40mmとされている。ここで、前記外径Dと寸法Lの比L/Dは1.1より小さくなるように形成し、実施例では0.8となる。即ち、回転軸6方向の寸法Lが小さくなるように設定する。
一方、磁性体45は、例えばプラセオジウム系磁石、若しくは表面にニッケルメッキを施したネオジウム系磁石等の希土類系磁石材にて構成されており、その外形は図7に示す如き矩形状とされている。尚、各スロット41〜44は、この磁性体45がきっちり圧入される大きさとされている。該磁性体45の厚さtを例えば2.65mmとし、その回転軸6方向の寸法Hmgを前述の寸法Lと同じ40mmとしている。そして、前記厚さtと寸法Hmgの比t/Hmgを0.1より小さく(実施例では0.08)形成している。即ち、磁性体45の回転軸6方向の寸法をHmgとし、固定子鉄心74の回転軸6方向の寸法をHoとした場合、Hmg<Hoになるように構成している。また、72は端面部材66の上方に位置して回転子5に取り付けられた円盤状のオイル分離用のプレートであり、73はプレート72と端面部材66間に取り付けられたバランスウエイトである。
66、67は回転子鉄心26の上下端に取り付けられる平板状の端面部材であり、アルミや樹脂材料等の非磁性材料により、前記回転子用鉄板27と略同形状に成形されている。尚、この端面部材66、67の外径は前記回転子鉄心26の外径Dと同一若しくは若干小さくする。また、端面部材66、67には前記貫通孔47〜50に対応する位置に貫通孔81〜84が穿設されている。前記孔59及び61〜64に対応する位置に孔76及び87〜90が穿設されている。
そして、回転子鉄心26のスロット41〜44内に前記磁性体45を圧入した後、上下の端面部材66、67をセットしてスロット41〜44の上下を塞ぐ。この状態で貫通孔47〜50及び81〜84は回転子鉄心26及び端面部材66、67を回転軸6方向に沿って貫通している。また、孔61〜64及び87〜90は回転子鉄心26と端面部材66、67を貫通している。その後、前記リベット51〜54を各貫通孔47〜50及び81〜84に挿通させ、上下をカシメて一体に構成する。尚、73はバランスウエイトであり、上方の端面部材66と共にリベット51にて回転子鉄心26に固定されている。
前記固定子鉄心74には切欠部74Aが設けられており、この切欠部74Aは回転子5の回転軸6延在方向に所定寸法切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれている。この場合、固定子鉄心74とシェル部1A内壁との当接長さをH(図中H1+H2)として固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)をHoとした場合、寸法Hoに対する寸法Hの比率を、0.2≦H/Ho≦0.8となるように構成されている。
即ち、固定子鉄心74の回転軸6延在方向に設けられた切欠部74Aの両側部H1、H2をシェル部1A内壁に当接させると共に、切欠部74Aをシェル部1A内壁より離間させている。これにより、電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなる。従って、電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。
一方、回転圧縮要素3は中間仕切板8で仕切られた第1のロータリー用シリンダ9及び第2のロータリー用シリンダ10を備えている。各のシリンダ9、10には回転軸6で回転駆動される偏心部11、12が取り付けられており、これら偏心部11、12は偏心位置がお互いに180度位相がずれている。
13、14はそれぞれシリンダ9、10内を回転する第1のローラ、第2のローラであり、それぞれ偏心部11、12の回転でシリンダ9、10内を回る。15、16はそれぞれ第1の枠体、第2の枠体であり、第1の枠体15は中間仕切板8との間にシリンダ9の閉じた圧縮空間を形成させ、第2の枠体16は同様に中間仕切板8との間にシリンダ10の閉じた圧縮空間を形成させている。また、第1の枠体15、第2の枠体16はそれぞれ回転軸6の下部を回転自在に軸支する軸受部17、18を備えている。
19、20はカップマフラであり、それぞれ第1の枠体15、第2の枠体16を覆うように取り付けられている。尚、シリンダ9とカップマフラ19は第1の枠体15に設けられた図示しない連通孔にて連通されており、シリンダ10とカップマフラ20も第2の枠体16に設けられた図示しない連通孔にて連通されている。そして、この実施例では下面のカップマフラ20内はシリンダ9、10、中間仕切板8を貫通する貫通孔79を介して上面のカップマフラ19に連通されている。
22は密閉容器1の上に設けられた吐出管であり、23、24はそれぞれシリンダ9、10へつながる吸入管である。また、25は密閉ターミナルであり、密閉容器1の外部から固定子4の固定子巻線7へ電力を供給するものである(密閉ターミナル25と固定子巻線7とをつなぐリード線は図示せず)。
係る構成で、電動機2の固定子4の固定子巻線7に通電されると、回転磁界が形成されて回転子5が回転する。この回転子5の回転により回転軸6を介してシリンダ9、10内のローラ13、14が偏心回転され、吸入管23、24から吸入された吸入ガスは圧縮される。
圧縮された高圧のガスは前記連通孔を介してシリンダ9からカップマフラ19内に吐出され、このカップマフラ19に形成された吐出孔(図示せず)から上方の密閉容器1内に吐出される。一方、シリンダ10からは前記連通孔を介してカップマフラ20に吐出され、貫通孔(図示せず)を経てカップマフラ19内に入り、同様に吐出孔から上方の密閉容器1内に吐出される。
吐出された高圧ガスは、電動機2の前記固定子4内に設けられた隙間や固定子鉄心74と回転子5との間の隙間、回転子鉄心26の凹状部32、33、34、35を通過して上昇する。そして、ガスはプレート72に当たり、遠心力で外側に向かい上昇して吐出管22から吐出される。
次に、図23に係る電動圧縮機Cを用いた冷却装置の冷媒回路図を示している。電動圧縮機Cの出口側は凝縮器69に接続され、凝縮器69の出口側は図示しないが受液器、液管電磁弁を介して減圧装置としての膨張弁70に接続されている。膨張弁70は蒸発器71に接続され、蒸発器71の出口側はアキュムレータを介して電動圧縮機Cの吸込側に接続された環状の冷媒回路が構成されている。電動圧縮機Cから吐出された高温高圧のガス冷媒は凝縮器69にて放熱し、凝縮液化される。そして、膨張弁70で減圧された後、蒸発器71に入り、そこで周囲から熱を奪って気化するサイクルを繰り返すものである。
該電動圧縮機Cの騒音波形を図9に示している。図から可聴音域(500Hz〜1.6kHz)のハッチング部の騒音が低下していことがわかる。尚、電動圧縮機Cは2気筒回転圧縮機(ツインロータリー)700W、冷媒はR401A、電動機2は集中巻、希土類永久磁石を用いている。また、Ct/Et=43℃/44℃で80Hz運転、マイクは水平で1m離間した位置に設置している。この結果を下記表1に示している。
上記表より騒音が低減されているのが分かる。
このように、電動圧縮機Cに用いた電動機2(DCモータ)の回転子5を構成する固定子鉄心74の外周面に切欠部74Aを設け、この切欠部74A以外をシェル部1A内壁に当接させているので、電動圧縮機Cに用いた電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部が加振されるが、回転子5を構成する固定子鉄心74の外周面に切欠部74Aを設けて、切欠部74A以外をシェル部1A内壁に当接させているので、固定子4のヨーク部が加振された場合でもシェル部1Aへの振動伝達を減少させることが可能となる。従って、電動圧縮機Cの騒音を大幅に低減させることができるようになる。
特に、高磁力の希土類永久磁石電動機や、スロット数の少ない磁極集中巻電動機では、スロット数の多い電動機より磁束の変化が大きな場合でも、固定子鉄心74の外周面に切欠部74Aを設けてシェル部1A内壁に当接させているので、固定子4のヨーク部からシェル部1Aへの振動伝達を減少させることができるようになる。これにより、同様に電動圧縮機Cの騒音を大幅に低減させることが可能となる。
次に、図10、図11にもう一つの電動圧縮機Cを示している。この場合、固定子鉄心74の外周面には回転子5の回転軸6延在方向に所定寸法切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれた切欠部74Aが設けられている。該切欠部74Aは回転軸6の延在方向で固定子鉄心74の中心よりどちらか一方(図中下側)を切り欠くと共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かいている。この場合、固定子鉄心74とシェル部1A内壁との当接長さをH(図中H1)として固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)をHoとした場合、0.2≦H1/Ho≦0.8としている。
即ち、固定子鉄心74の回転軸6延在方向に設けられた切欠部74Aの一側部(図中H1)をシェル部1A内壁に当接させると共に、切欠部74Aをシェル部1A内壁より離間させている。尚、固定子鉄心74以外は図1、図2と同様である。これにより、電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなる。従って、前述同様電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。
次に、図12、図13にもう一つの電動圧縮機Cを示している。この場合、固定子鉄心74の外周面には回転子5の回転軸6延在方向に所定寸法切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれた切欠部74Aが設けられている。該切欠部74Aは回転軸6の延在方向で固定子鉄心74の中心よりどちらか一方(図中上側)を切り欠くと共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かいている。この場合、固定子鉄心74とシェル部1A内壁との当接長さをH(図中H2)として固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)をHoとした場合、0.2≦H2/Ho≦0.8としている。
即ち、固定子鉄心74の回転軸6延在方向に設けられた切欠部74Aの一側部H2をシェル部1A内壁に当接させると共に、切欠部74Aをシェル部1A内壁より離間させている。尚、固定子鉄心74以外は図1、図2と同様である。これにより、電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなる。従って、前述同様電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。
次に、図14、図15もう一つの電動圧縮機Cを示している。この場合、固定子鉄心74の外周面には回転子5の回転軸6延在方向に所定寸法切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれた切欠部74Aが設けられている。該切欠部74Aは回転軸6の延在方向に複数箇所(この場合、2箇所)切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれている。この場合、固定子鉄心74とシェル部1A内壁との当接長さをH(図中H1+H2+H3)として固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)をHoとした場合、0.2≦H(H1+H2+H3)/Ho≦0.8としている。
即ち、固定子鉄心74の回転軸6延在方向に2箇所設けられた切欠部74A、74A以外の箇所(図中H1、H2、H3)をシェル部1A内壁に当接させると共に、切欠部74Aをシェル部1A内壁より離間させている。尚、固定子鉄心74以外は図1、図2と同様である。これにより、電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなる。従って、前述同様電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。
次に、図16、図17にもう一つの電動圧縮機Cを示している。この場合、回転子5に設けられた各スロット41、42、43、44内に挿入された各磁性体45(永久磁石)・・・の積厚を固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)より短くしている。そして、各スロット41、42、43、44内に挿入された各磁性体45・・・は、各スロット41、42、43、44内の長手方向中心に位置させている。また、回転子5に設けた磁性体45の積厚をHmg、固定子鉄心74の積厚をHoとした場合、寸法Hoに対する寸法Hmgの比率を、0.2≦Hmg/Ho≦0.98となるように構成されている。即ち、各スロット41、42、43、44内に挿入された各磁性体45・・・は、各スロット41、42、43、44の両端を同一寸法短くしている。尚、磁性体45以外は図1、図2と同様である。これにより、電動機2は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなり、前述同様電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。
図8は界磁を構成する磁性体45として使用する永久磁石であるフィライト系磁石材と希土類系磁石材の減磁曲線を示し、縦軸は磁束密度B、横軸は保持力Hcを示している。尚、同図中、破線で示したのが一般的なフェライト系磁石材の場合、実線で示したのが一般的な希土類系磁石材の場合で、T1は+25℃、T2は+150℃の各場合である。同図より分かる通り、希土類系磁石材は、フェライト系磁石材に比して残留磁束密度Br及び保持力Hc共に大きく、磁気エネルギー積も極めて大きい。従って、磁石面積を小さくしても必要なギャップ磁束数を確保でき、所要の出力を得ることが可能となる。
即ち、各磁性体45(永久磁石)・・・の積厚を固定子鉄心74の積厚より短くしても所要の出力を得ることが可能となるので、電動機2の出力を殆ど低減させることなく、固定子4の歯部への加振力を磁性体45幅Hmgより広い固定子4幅Ho方向(図中矢印方向)に分散させることが可能となり、シェル部1Aへの振動伝達を振動伝達の分散により軽減させることができるようになる。尚、Hmg/Hoの最低を0.2としたのは、電動機1の効率面と固定子4のコストから決定している。
この電動圧縮機Cの騒音の波形を図18に示している。図中ハッチングで示す部分500Hz〜10kHz(可聴音域)が低下している。この図でSHはHoを示している。この図から固定子4幅Ho=40mmと磁性体45幅Hmg=40mmの場合従来の大きな騒音、固定子4幅Ho=50mmと磁性体45幅Hmg=40mmの場合騒音が大幅に低減され、固定子4幅Ho=45mmと磁性体45幅Hmg=40mmの場合、固定子4幅Ho=50と40の間の騒音となることが分かる。尚、この場合も、電動圧縮機Cはツインロータリー700W、冷媒はR401A、電動機2は集中巻、希土類永久磁石を用いている。また、Ct/Et=43℃/44℃で80Hz運転、マイクは水平で1m離間した位置に設置している。尚、図18の説明を表2に示しており、騒音レベルはHmg/Hoを変化させた時の値である。
上記表より騒音が低減されているのが分かる。
次に、図19、図20にもう一つの電動圧縮機Cを示している。この場合、電動圧縮機Cには図1の切欠部74Aが設けられた固定子4が用いられると共に、図16の各スロット41、42、43、44内に挿入された各磁性体45・・・の積厚は固定子鉄心74の積厚より短い回転子5が設けられている。
該磁性体45は回転子鉄心26の直径Dと回転軸6方向の寸法Lとの比L/Dを1.1より小さくすると共に、磁性体45の厚さ寸法tと回転軸方向の積厚Hmgとの比t/Hmgを0.1より小さくしている。即ち、磁性体45を希土類系磁石材により構成すると共に、回転子5の回転子鉄心26の直径をD、当該回転子鉄心26の回転軸6方向の寸法をL、磁性体45の厚さ寸法をtとした場合、寸法Dに対する寸法Lの比率を、L/D<1.1とし、寸法Hmgに対する寸法tの比率を、t/Hmg<0.1とすることにより固定子4のヨーク部の振動を分散させてシェル部1Aの振動を減少させられると共に、磁性体45の厚さ寸法tと回転軸6方向の積厚Hmgとの比t/Hmgを0.1より小さくすることにより更に固定子4のヨーク部の振動を分散させてシェル部の振動を減少させることが可能となる。尚、固定子鉄心74及び磁性体45以外は図1、図2と同様である。これにより、固定子4のヨーク部が加振された場合でも固定子5の歯部への加振力を分散させてシェル部1Aへの振動伝達を大幅に減少させることが可能となる。従って、エアコン、冷凍庫、冷蔵庫、或いはショーケースなどに設けられた冷却装置から発生する騒音を大幅に低減させることができるようになる。
回転子の回転軸延在方向に切欠部を設けた本発明の電動圧縮機の縦断側面図である。 同図1の電動圧縮機の横断上面図である。 本発明の回転子の一部縦断側面図である。 本発明の回転子の平面図である。 本発明の回転子を構成する回転子用鉄板の平面図である。 本発明の回転子を構成する回転子鉄心の側面図である。 本発明の回転子を構成する磁性体の斜視図である。 磁性体として使用される永久磁石の減磁曲線を示す図である。 回転子の回転軸延在方向に切欠部を設けた電動圧縮機の騒音の波形を示す図である。 もう一つの電動圧縮機の縦断側面図である。 同図10の電動圧縮機の横断上面図である。 もう一つの電動圧縮機の縦断側面図である。 同図12の電動圧縮機の横断上面図である。 もう一つの電動圧縮機の縦断側面図である。 同図14の電動圧縮機の横断上面図である。 回転子に設けた磁性体を固定子より短く構成した本発明のもう一つの電動圧縮機の縦断側面図である。 同図16の電動圧縮機の横断上面図である。 回転子に設けた磁性体を固定子より短く構成した電動圧縮機の騒音の波形を示す図である。 回転子の回転軸延在方向に切欠部を設けると共に回転子に設けた磁性体を固定子より短く構成した本発明のもう一つの電動圧縮機の縦断側面図である。 同図19の電動圧縮機の横断上面図である。 従来の電動圧縮機の縦断側面図である。 同図21の電動圧縮機の横断上面図である。 本発明の電動圧縮機用いた冷却装置の冷媒回路図である。
符号の説明
1 密閉容器
1A シェル部
2 電動機
3 圧縮要素
4 固定子
5 回転子
6 回転軸
7 固定子巻線
26 回転子鉄心
45 磁性体
68 圧縮機
69 凝縮器
70 膨張弁
71 蒸発器
74 固定子鉄心
74A 切欠部
C 電動圧縮機

Claims (3)

  1. 密閉容器内に電動要素と、この電動要素に連結された回転軸にて駆動される圧縮要素とを収納して成る電動圧縮機において、
    前記電動要素を、前記密閉容器の内壁に当接して固定される固定子鉄心を有する固定子と、磁性体を有して前記回転軸に取り付けられ、前記固定子の内側において回転自在に支持された回転子とから構成すると共に、前記固定子鉄心が前記密閉容器に当接する部分の前記回転軸方向の寸法をH、当該固定子鉄心の前記回転軸方向の寸法をHo、前記磁性体の前記回転軸方向の寸法をHmgとした場合、H<Ho、且つ、Hmg<Hoとしたことを特徴とする電動圧縮機。
  2. 寸法Hoに対する寸法Hの比率を、0.2≦H/Ho≦0.8としたことを特徴とする請求項1の電動圧縮機。
  3. 寸法Hoに対する寸法Hmgの比率を、0.2≦Hmg/Ho≦0.98としたことを特徴とする請求項1又は請求項2の電動圧縮機。
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