JP2005183820A - 電気化学デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性の接着剤の形成に使用される溶媒成分が電極又は非水電解質層中に混入する場合であっても十分な充放電特性を確実に得ること。
【解決手段】 互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、その間に配置される非水電解質層と、を少なくとも含む電気化学デバイス素体61,62,63と、電気化学デバイス素体に電気的に接続されており該電気化学デバイス素体から放出される電流を外部に導出するための電流導出部を有し、該電流導出部が電子伝導性を有する部材を少なくとも用いて形成されており、電気化学デバイスに使用される電解質の構成成分として使用可能な有機溶媒のうちの少なくとも1種と、導電性粒子とを含むペーストを調整するペースト調製工程と、電気化学デバイス素体の外表面とケース50の内表面との間に接着剤からなる層2,3を形成し、接着剤からなる層を介して電気化学デバイス素体とケースとを一体化させる接着工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は非水電解質を使用する電気化学デバイスの製造方法に関し、より詳しくは、電気二重層キャパシタをはじめとする電気化学キャパシタ、及び、リチウムイオン二次電池をはじめとする2次電池を含む電気化学デバイスの製造方法に関する。
電気二重層キャパシタをはじめとする非水電解質を使用する電気化学キャパシタ、及び、リチウムイオン二次電池をはじめとする非水電解質を使用する2次電池は、容易に小型化、軽量化が可能な電気化学デバイスであるため、例えば、携帯機器(小型電子機器)等の電源或いはバックアップ用電源、電気自動車又はハイブリッド車向けの補助電源として期待されており、その性能向上のための様々な検討がなされている。
上記の電気化学デバイスの中には、電気化学デバイス素体を密閉した状態で収容するケースが、電気化学デバイス素体より放出される電流の外部導出端子を兼ねる構成を有するものがある。例えば、金属缶等のケースである。ここで、電気化学デバイス素体とは、互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される電解質層(例えば、電解質を内部に含む多孔質のセパレータからなる層)とを少なくとも含む積層体である。この構成を有する電気化学デバイスは、金属部材などの電子伝導性を有する部材を、ケースの電流を外部に導出するための部分(以下、必要に応じて「電流導出部」という)に少なくとも用いた構成を有している。
そしてこの場合、電気化学デバイス素体から電流をケース外部に取り出すために、電気化学デバイス素体とケースの内面の電流導出部とを電気的に接続する必要がある。電気化学デバイス素体と電流導出部とを電気的に接続する方法としては、1)溶接により上記の両者を接続する方法、2)スプリングなどの押圧手段を用いて両者を押えつけることにより両者の電気的に接触させる方法、3)導電性を有する接着剤(ペースト等の流動性を有するものも含む)を用いて電気的に接続する方法がある。上述の方法の中で最も容易なものは2)の方法だが、この方法では良好な電気的接続状態を確実かつ継続的に得ることができない場合がある。特に、電気化学デバイスを長期にわたり使用又は保存する場合、押圧手段の押圧力の低下などの要因により、初期の良好な電気的接続状態が維持できず、接触抵抗が増大する場合がある。以上のような観点から、1)の方法又は3)の方法を採用する電気化学デバイスとその製造方法が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、正極缶の内底部に、水ガラス(ケイ酸カリウムの水溶液)に炭素粉末を分散させてなる導電性塗料を塗布して液膜を形成した後、その液膜形成部分に正極集電網を載置し、その状態のまま乾燥固化することにより導電性接着材(接着剤)からなる層を形成して正極缶と正極集電網の接合を行い、更に、ステンレス製の負極キャップの内壁面にステンレス製の負極集電網をスポット溶接で接合することにより製造された電気化学デバイス(電池)が提案されている。
また、例えば、下記特許文献2にも、水を分散媒として使用し、これに導電性フィラーと有機化合物からなるバインダーを分散させて調整した導電性接着剤をケースと素体の電極との接合に使用して構成した電気化学デバイス(扁平形非水電解質二次電池)が提案されている。
更に、例えば、下記特許文献3には、d002面の面間隔が0.342nm以下の黒鉛構造が発達した、メジアン径が12μm以上30μm以下である炭素質を主成分とする導電性接着剤により負極を負極ケースに固着した構成を有する電気化学デバイス(扁平形非水電解質二次電池)が提案されている。この電気化学デバイスは、上記構成とすることにより電解液の分解反応を抑制し、高温貯蔵を実施しても放電容量を減少させることなく、負極と負極ケースとの接触抵抗を低減し得ること意図したものである。
また、例えば、下記特許文献4には、活性炭粉末とカーボンブラックと含フッ素樹脂との混合物をシート状に成形して分極性電極とし、この分極性電極をポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はこれら樹脂の前駆体をバインダー成分として含む懸濁液の炭素系導電性接着剤を使用して集電体に接合し、200℃以上で加熱乾燥することを特徴とする電気化学デバイス(電気二重層コンデンサ)の製造方法が提案されている。
更に、例えば、下記特許文献5には、導電性を有する有機質の可撓性板状体からなる集電体に導電性の接着剤を塗布する行程と、集電体上に塗布された接着剤の上にカーボン微粒子を焼結により多孔質体に形成した電極体を載置して熱プレスにより集電体と電極体を接着する行程とを有する電気化学デバイス(電気二重層コンデンサ)の製造方法として、接着剤はカーボンブラック、グラファイトの粉末をポリカルボジイミド樹脂系、ABS樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリフェニレン・サルフェート樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系のうちの1つと混合した接着剤であり、接着剤に希釈材としての有機溶剤を混合せしめたことを特徴とする電気化学デバイス(電気二重層コンデンサ)の製造方法が提案されている。
特開2002‐75457号公報 特開2002‐289260号公報 特開2002‐324583号公報 特開平9‐270370号公報 特開平5‐82396号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜5に記載の電気化学デバイスとその製造方法には、導電性の接着剤の溶媒成分又はその原料となるペースト(塗工液)の溶媒成分が微量でも電気化学デバイスの電極や非水電解質層中に残存すると充放電特性が大きく低下するため、溶媒成分を十分に除去しなければならず、製造する際に手間がかかるという問題があった。
すなわち、上述の特許文献1に記載の電気化学デバイスは、正極とケースの接合において、水ガラス(ケイ酸カリウムの水溶液)に炭素粉末を分散させてなる導電性塗料の液膜を乾燥固化させることにより導電性接着材からなる層を形成しているため、水を十分に除去するのに手間がかかっていた。分散媒の水が導電性接着材からなる層に残存していると、非水電解質層に含まれる非水電解質及び/又は有機溶媒と化学反応を起し、非水電解質及び/又は有機溶媒の分解、及び、この分解により生成するガスにより充放電特性が低下する。更に、特許文献1に記載の電気化学デバイスは、負極とケースをスポット溶接により接合しているため、電気化学デバイスの小型化を容易に図ることが困難であった。電気化学デバイスの小型化を図る場合、電極の小型化により電極の機械的強度が低下するためスポット溶接により電極とケースとを接合させることは非常に困難となる。
上述の特許文献2に記載の電気化学デバイスも導電性接着剤を調製する際に、分散媒として水を使用しているため、上述の特許文献1に記載の電気化学デバイスと同様の問題があった。
上述の特許文献3に記載の電気化学デバイスは、導電性接着剤を調製する際に、炭素質の分散媒として水又はアルコールを使用しているため、以下の問題があった。すなわち、水を分散媒として調製した導電性接着剤を電気化学デバイスの製造に使用する場合には、上述の特許文献1に記載の電気化学デバイスと同様の問題があった。また、アルコールが十分に除去されず、電気化学デバイス中に残存していると、該アルコールが非水電解質に容易に溶解し、電極活物質に付着する等して充放電特性が低下する問題が発生する。また、非水電解質溶液中にアルコールが混入すると、アルコールが製造過程における熱処理、又は、放電中若しくは充電中に分解してガスが発生し、この観点からも充放電特性が低下する問題が発生する。なお、特許文献3に記載の実施例及び比較例では、水を分散媒として調製した導電性接着剤を負極とケースとの接合及び正極とケースの接合に使用した電気化学デバイスが開示されている。
上述の特許文献4に記載の電気化学デバイスの製造方法は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はこれら樹脂の前駆体をバインダー成分として含む懸濁液の炭素系導電性接着剤を使用しているため以下の問題があった。すなわち、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はこれら樹脂の前駆体をバインダー成分として使用した場合、これらの溶剤として、加熱乾燥による除去に時間を要するN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という)を使用しなければならず、製造するのに手間がかかっていた。NMPが電気化学デバイス中に残存していると、充放電特性が低下する問題が発生する。
上述の特許文献5に記載の電気化学デバイスの製造方法は、接着剤に希釈材として有機溶剤を使用しているので、有機溶剤を十分に除去するのに時間がかかるという問題があった。また、有機溶剤が十分に除去されず、電気化学デバイス中に残存していると、該有機溶剤が非水電解質に容易に溶解し、電極活物質に付着する等して充放電特性が低下する問題が発生する。また、有機溶剤が十分に除去されないと、有機溶剤が製造過程における熱処理、又は、放電中若しくは充電中に分解してガスが発生し、この観点からも充放電特性が低下する問題が発生する。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、導電性の接着剤の形成に使用される溶媒成分が電極又は非水電解質層中に混入する場合であっても十分な充放電特性を確実に得ることのできる電気化学デバイスを容易に製造することができる電気化学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、以下の条件を満たす構成のペーストを原料として得られる導電性の接着剤を使用して電気化学デバイスを形成すること(ペーストに熱処理を施すことにより得られる導電性の接着剤を使用して電気化学デバイスを形成すること)が上述の目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置される非水電解質層と、を少なくとも含む電気化学デバイス素体と、
電気化学デバイス素体に電気的に接続されており該電気化学デバイス素体から放出される電流を外部に導出するための電流導出部を有し、該電流導出部が電子伝導性を有する部材を少なくとも用いて形成されており、電気化学デバイス素体を密閉した状態で収容するとともに電流の外部導出端子を兼ねるケースと、
を少なくとも有する電気化学デバイスの製造方法であって、
電気化学デバイスに使用される電解質の構成成分として使用可能な有機溶媒のうちの少なくとも1種と、導電性粒子とを含むペーストを調整するペースト調製工程と、
ペーストからなる層を、電気化学デバイス素体の外表面とケースの内表面との間に形成し、次いで、ペーストを導電性の接着剤に変化させることにより、電気化学デバイス素体の外表面とケースの内表面との間に接着剤からなる層を形成し、接着剤からなる層を介して電気化学デバイス素体とケースとを一体化させる接着工程と、
を含むこと、
を特徴とする電気化学デバイスの製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、導電性の接着剤からなる層を電気化学デバイス素体の外表面とケースの内表面との間に形成するためのペーストを調製する際に、電気化学デバイスに使用される電解質の構成成分として使用可能な有機溶媒を用いるので、この溶媒成分が電極又は非水電解質層中に混入する場合があっても、充放電特性が低下することはない。更に、この溶媒成分が電気化学デバイス中に残存してもよいため、シンプルな製造工程により容易に電気化学デバイスを製造することができる。
また、導電性の接着剤からなる層により、外部導出端子を兼ねるケースと電気化学デバイス素体とを電気的に接続する際に、接触抵抗を十分に低減した状態で接続することが容易かつ確実にできる。
従って、本発明の製造方法によれば、導電性の接着剤の形成に使用される溶媒成分が電極又は非水電解質層中に混入する場合であっても十分な充放電特性を確実に得ることのできる電気化学デバイスを容易に製造することができる。
また、本発明において、「電気化学デバイス素体」とは、互いに対向する第1の電極及び第2の電極とを少なくとも有しており、これら第1の電極と第2の電極との間に、非水電解質層が配置された構成を有する積層体を示す。非水電解質層としては、(1)絶縁性材料から形成された多孔質のセパレータからなる層、(2)固体電解質膜(固体高分子電解質からなる膜又はイオン伝導性無機材料を含む膜)からなる層、(3)非水電解質溶液にゲル化剤を添加してゲル化したゲル状の層、(4)上記(1)〜(3)の層のうちの2種以上の層を積層した積層体からなる層が挙げられる。なお、上記(1)の構成の場合には、第1の電極、第2の電極及びセパレータの内部に非水電解質溶液が含有されている構成を有していよく、第1の電極、第2の電極及びセパレータの内部に固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)が含有されている構成を有していてもよい。
また、電気化学デバイス素体は、第1の電極と第2の電極との間に非水電解質層が配置された単純な3層構造のものの他に、該3層構造のものが複数積層された構成を有していてもよい。
更に、本発明において、「電気化学デバイス」とは、電気化学デバイス素体と、該電気化学デバイス素体を密閉した状態で収容するとともに電流の外部導出端子を兼ねるケースと、電気化学デバイス素体の外表面とケースの内表面との間に形成される接着剤からなる層とを少なくともを有する構成のデバイスを示す。
より具体的には、「電気化学デバイス」とは、好ましくは2次電池又は電気化学キャパシタを示す。2次電池としては好ましくは、リチウムイオン二次電池等の非水電解質を使用する非水電解質2次電池、電解質水溶液を使用する2次電池等が挙げられる。電気化学キャパシタとしては、電気二重層キャパシタ、擬似容量キャパシタ、レドックスキャパシタ等が挙げられる。更に、大電流の充放電を円滑に行うことが可能な補助電源として使用する観点から、「電気化学デバイス」とは、より好ましくは上記電気化学キャパシタを示し、同様の観点から更に好ましくは電気二重層キャパシタを示す。
本発明によれば、導電性の接着剤の形成に使用される溶媒成分が電極又は非水電解質層中に混入する場合であっても十分な充放電特性を確実に得ることのできる電気化学デバイスを容易に製造することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の電気化学デバイスの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明の電気化学デバイスの製造方法の好適な一実施形態により製造された電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)の基本構成を示す模式断面図である。
図1に示すように、電気二重層キャパシタ1は、主として、3つの電気化学デバイス素体(電気化学デバイス素体61、電気化学デバイス素体62及び電気化学デバイス素体63)と、電気化学デバイス素体61と電気化学デバイス素体62との間に配置される板状の集電体16と、電気化学デバイス素体62と電気化学デバイス素体63との間に配置される板状の集電体17と、各素体中に含有される電解質溶液(図示せず)と、これらを密閉した状態で収容するとともに電流の外部導出端子を兼ねるケース50(金属製の缶状の外装体)と、から構成されている。なお、以下の説明においては、「電気化学デバイス素体」を「素体」と略記する。
電気二重層キャパシタ1のケース50の内面と素体61との間には、板状の集電体15(以下、「アノード集電体15」という)が配置されている。更に、ケース50の内面とアノード集電体15との間には、導電性の接着剤からなる層2が配置されている。また、ケース50の内面と素体63との間には、板状の集電体18(以下、「カソード集電体18」という)が配置されている。更に、ケース50の内面とカソード集電体18との間には、導電性の接着剤からなる層3が配置されている。そして、導電性の接着剤からなる層2及び導電性の接着剤からなる層3により、3つの素体(素体61、素体62及び素体63)、アノード集電体15及びカソード集電体18からなる積層体(以下、「積層体A1」という)がケース50に電気的に接続された状態で一体化されている。導電性の接着剤からなる層2及び導電性の接着剤からなる層3により、外部導出端子を兼ねるケース50と積層体A1とを電気的に接続する際に、接触抵抗を十分に低減した状態で接続することが容易かつ確実にできる。
また、3つの素体(素体61、素体62及び素体63)は、それぞれ、互いに対向する板状のアノード10(第1の電極)及び板状のカソード20(第2の電極)と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される板状のセパレータ40(非水電解質層)とから構成されている。なお、電気二重層キャパシタ1の説明で使用する「アノード」及び「カソード」は説明の便宜上、電気二重層キャパシタ1の放電時の極性を基準に決定したものである。
以下に図1に基づいて電気二重層キャパシタ1の各構成要素の詳細を説明する。
ケース50(金属製の缶状の外装体)は積層体A1を上下から挟んで密閉する容器であり、上蓋(金属製の部材の一方)53及び下蓋(金属製の部材の他方)54と、上蓋53と下蓋54とを電気的に絶縁するガスケット70と、を有している。上蓋53及び下蓋54は、積層体A1を上下方向から挟み、該積層体A1を取り囲んでいる。
下蓋54は、アルミニウム等の金属箔から形成されている。この下蓋54は、下端が閉じられ上端が開放された円筒状の円筒部54aと、この円筒部54aの上端部から外側に突出するように円環状に形成された鍔部54b(端部)と、を有している。下蓋54の円筒部54aの底部はカソード集電体18と接している。
上蓋53は、アルミニウム等の金属箔から形成されており、下蓋54の開口部を覆うと共にアノード集電体15と接する板状の中央部53aと、この中央部53aの周縁沿って設けられ、下蓋の鍔部54bを上下方向から挟みつけてかしめるカシメ部(端部)53bとを有している。
詳しくは、上蓋53のカシメ部53bは、下蓋54の鍔部54bとの間に絶縁性のガスケット70を介在させつつ、下蓋54の鍔部54bの図示上面に沿って外側に延び、鍔部54bの外側端で下方に折り曲げられ、さらに、鍔部54bの下面に沿って内側に延びている。そして、このカシメ部53bは、鍔部54bとの間にガスケット70を介在させつつ、鍔部54bを上下から挟み込むように鍔部54bに対してかしめられている。このようにして、積層体A1が、上蓋53と下蓋54とにより形成される外装体の内部に密閉されている。
そして、上蓋53の中央部53aが、導電性の接着剤からなる層2を介して積層体A1のアノード集電体15及びアノード10と電気的に接続されることにより、上蓋53は、電気二重層キャパシタ1Aのアノードとして機能する。また、下蓋54の円筒部54aの底部が、導電性の接着剤からなる層3を介して積層体A1のカソード集電体18及びカソード20と電気的に接続されることにより、下蓋54は、電気二重層キャパシタ1Aのカソードとして機能する。ガスケット70は、上蓋53と下蓋54との間を電気的に絶縁している。
そして、特に、本実施形態において、上蓋53のカシメ部53bと、下蓋54の鍔部54bとが、ガスケット70によって接着されている。
このようなガスケット70としては、金属と接着する樹脂を利用できる。例えば、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレン等の樹脂が好ましい。これらのような、加熱されることにより金属と接着する樹脂をガスケット70として用いると、ガスケット70を介在させて上蓋53のカシメ部53bを下蓋54の鍔部54bに対してかしめた後に、このガスケット70を外部から加熱することにより、容易にガスケット70によって上蓋53及び下蓋54とを接着させることができる。また、ガスケット70として、エポキシ樹脂等の接着剤を利用し、かしめと接着とを同時に行ってもよい。
なお、上記実施形態では、加熱により金属との接着性を発現するガスケット70を用い、カシメ後に熱処理を行って接着を行っているが、例えば、鍔部54bの上下面に接着性を呈する電気絶縁性の樹脂をガスケットとして塗布した後、上蓋を載置して、かしめてもよい。
次に、素体61、素体62及び素体63について説明する。
素体61、素体62及び素体63のそれぞれのアノード10は、電子伝導性の多孔体からなる多孔体層とからなる。また、カソード20は、電子伝導性の多孔体からなる多孔体層28とからなる。
アノード10及びカソード20の構成材料としては、特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている炭素電極等の分極性電極を構成する多孔体層に使用されているものと同様の材料を使用することができる。例えば、原料炭(例えは、石油系重質油の流動接触分解装置のボトム油や減圧蒸留装置の残さ油を原料油とするディレードコーカーより製造された石油コークス等)を賦活処理することにより得られる炭素材料(例えば、活性炭)を構成材料の主成分としているものを使用することができる。その他の条件(バインダー等の炭素材料以外の構成材料の種類とその含有量)は特に限定されるものではない。例えば、炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤(カーボンブラック等)と、例えばバインダー(ポリテトラフルオロエチレン,以下、PTFEという)とが添加されていてもよい。
アノード10とカソード20との間に配置されるセパレータ40は、絶縁性の多孔体から形成されていれば特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられているセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
次に、集電体16及び集電体17並びにアノード集電体15及びカソード集電体18は、多孔体層10及び多孔体層20への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている集電体を使用することができる。例えば、アルミニウムなどの金属箔等が挙げられる。
また、カソード集電体18は、導電性の接着剤からなる層3に電気的に接続され、導電性の接着剤からなる層3はケース50の内面に電気的に接続されている。一方、アノード集電体15も、導電性の接着剤からなる層2に電気的に接続され、導電性の接着剤からなる層2はケース50の内面に電気的に接続されている。
電解質溶液は、特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、キャパシタの耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
更に、電解質溶液の種類は特に限定されないが、一般的には溶質の溶解度、解離度、液の粘性を考慮して選択され、高導電率でかつ高電位窓(分解開始電圧が高い)の電解質溶液であることが望ましい。例えば、代表的な例としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイトのような4級アンモニウム塩を、ジエチレンカーボネイト、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメトキシエタンからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒に溶解したものが使用される。
ここで、本発明において、「電解質溶液」は液状の状態以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。
また、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、電気二重層キャパシタ1は、その厚さ(電気二重層キャパシタ1全体の厚さ)が0.2〜2.0mmであることが好ましく、0.2〜1.0mmであることがより好ましい。
更に、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、素体61〜63のそれぞれの厚さが、0.1〜0.4mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。
次に、本発明の電気化学デバイスの製造方法を上述の電気化学キャパシタ1の製造に適用した場合の好適な実施形態について説明する。
先ず、素体61、素体62及び素体63を製造する。素体61、素体62及び素体63(アノード10、セパレータ40及びカソード20がこの順で順次積層された積層体)の製造方法は、特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタ1の製造に採用されている公知の薄膜製造技術を用いることができる。
アノード10及びカソード20となる電極(多孔体層)が炭素電極(分極性電極)の場合、例えば、公知の方法により賦活処理済みの活性炭等の炭素材料を用いてシート状の電極を作製することができる。この場合、例えば、炭素材料を5〜100μm程度に粉砕し粒度を整えた後、例えば炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤(カーボンブラック等)と、例えばバインダー(ポリテトラフルオロエチレン,以下、PTFEという)とを添加して混練し、混練物を圧延伸してシート状に成形して製造することができる。
ここで、上記の導電性補助剤としては、カーボンブラックの他、粉末グラファイトなどを用いることができ、また、バインダーとしては、PTFEの他、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フッ素ゴムなどを使用することができる。
次に、セパレータ40をアノード10とカソード20との間に接触した状態(非接着状態)又は接着した状態で配置し、素体61〜63を完成する。接着する場合には、各素体をホットプレスのような加熱処理と加圧処理を同時に行うことのできる処理手段を用いて熱圧着する。
次に、素体61、素体62及び素体63、並びに、アノード集電体15、集電体16、集電体17、及び、カソード集電体18を図1に示した配置条件で配置し、これらの積層体(先に述べた積層体A1)を形成する。
また、アノード10及びカソード20となる電極を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)を調製し、これを用いて上述の積層体Aを形成してもよい。例えば、カソード集電体18上に塗布液を塗布し、乾燥させてカソード20を形成する。次に、カソード20上にセパレータ40を配置し、セパレータ40上に塗布液を塗布し、乾燥させてアノード10を形成し、素体63を形成する。以下同様にして素体62、素体61を順次形成し、ホットプレスのような加熱処理と加圧処理を同時に行うことのできる処理手段を用いて熱圧着処理することにより、素体61、素体62及び素体63、並びに、アノード集電体15、集電体16、集電体17、及び、カソード集電体18が一体化した積層体A1を得ることができる。
次に、この積層体A1に減圧下で、先に述べた非水電解質溶液を加え、各素体を構成する電極及びセパレータ中に非水電解質溶液含ませる。次に、減圧下の状態に置かれた積層体A1を大気圧下の状態に戻し、積層体A1の外部に漏れでる余分な非水電解質溶液を拭き取って、非水電解質溶液を含む積層体A1を得る。
次に、電気化学デバイス(この場合には電気二重層キャパシタ)に使用される電解質の構成成分として使用可能な有機溶媒のうちの少なくとも1種と、導電性粒子とを含むペーストを調整する(ペースト調製工程)。上記有機溶媒としては、ジエチレンカーボネイト、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメトキシエタンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく挙げられる。
上記導電性粒子としては、黒鉛、気相成長炭素繊維(VGCF)、及び、カーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく挙げられる。
また、ケース50と積層体A1とをより確実に一体化させる観点から、ペーストに導電性粒子同士を結着可能なバインダーを添加することが好ましい。上記バインダーとしては、酸変性PP、酸変性PE、フッ素ゴム、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、PVDF、及び、PVDFコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく挙げられる。
次に、接着工程において、ペースト調製工程により調製したペーストを用いて積層体A1の外表面とケース50の内表面との間にペーストからなる層(図示せず,熱処理により導電性の接着剤からなる層2及び導電性の接着剤からなる層3に変化する層)を形成する。
より具体的には、金属箔を整形して鍔部54b付きの円筒状の下蓋54と、平板状の上蓋53とを用意する。次に、積層体A1を下蓋54内に収容する。このとき、ペーストを下蓋54の円筒部54aの内表面上に塗工するか、又は、ペーストを積層体A1の外表面のうちの円筒部54aの内表面に対向する部分に塗工する。これにより、積層体A1を下蓋54内に収容した際に、積層体A1と円筒部54aとの間にペーストからなる層(図示せず,熱処理により導電性の接着剤からなる層3に変化する層)が形成される。
次に、下蓋54の鍔部54b上に、加熱により金属との接着性を呈する材料を含む電気絶縁性のガスケット70を介在させつつ、図1に示したカシメ部53bを形成していないフラットな上蓋53で下蓋54の開口部を覆う。このとき、ペーストを上蓋53の中央部53aの内表面上に塗工するか、又は、ペーストを積層体A1の外表面のうちの中央部53aの内表面に対向する部分に塗工する。これにより、上蓋53を積層体A1上に配置した際に、積層体A1と上蓋53の中央部53aとの間にペーストからなる層(図示せず,熱処理により導電性の接着剤からなる層2に変化する層)が形成される。
(i)次いで、ペーストを導電性の接着剤に変化させること(好ましくは、熱処理を施してペーストを導電性の接着剤に変化させること)により、電気化学デバイス素体の外表面とケースの内表面との間に導電性の接着剤からなる層2及び導電性の接着剤からなる層3を形成し、導電性の接着剤からなる層2及び導電性の接着剤からなる層3を介して積層体A1とケース50となる上蓋10及び下蓋54とを一体化させる。
このとき、熱処理で完全に蒸発しきらなかったペースト中の有機溶媒がケース50内で気化するなどして、非水電解質溶液中に混入したとしても、非水電解質溶液にもペースト中の有機溶媒が使用されているため、電気二重層キャパシタ1の充放電特性の低下を招くことは全くない。また、非水電解質溶液に、ペースト中の有機溶媒が使用されていない場合であっても、ペースト中の有機溶媒は、非水電解質溶液中の有機溶媒として使用可能なものを使用しているため電気二重層キャパシタ1の充放電特性の低下を招くことは全くない。
次に、フラットな上蓋53の端部を下方に折り曲げて鍔部54bを上下から挟み込み、端部を鍔部54bに対してかしめて図1に示したカシメ部53bを形成し、積層体A1を密封する。なお、上記(i)の作業を省略して(i)と同様の作業をこの時点で行ってもよい。また、上記(i)の作業を省略せず、(i)と同様の作業を更にこの時点で行ってもよい。ここで(i)と同様の作業を行う場合においても、ペースト中の有機溶媒がケース50の非水電解質溶液中に混入したとしても、非水電解質溶液にもペースト中の有機溶媒が使用されているため、電気二重層キャパシタ1の充放電特性の低下を招くことは全くない。また、非水電解質溶液に、ペースト中の有機溶媒が使用されていない場合であっても、ペースト中の有機溶媒は、非水電解質溶液中の有機溶媒として使用可能なものを使用しているため電気二重層キャパシタ1の充放電特性の低下を招くことは全くない。
次に、カシメ部53bを外部から加熱して、ガスケット70を溶融させ、上蓋10及び下蓋54とをガスケット70で接着する。これによって、図1のような、電気二重層キャパシタ1が完成する。
なお、上記実施形態では、加熱により金属との接着性を発現するガスケット70を用い、カシメ後に熱処理を行って接着を行っているが、例えば、鍔部54bの上下面に接着性を呈する電気絶縁性の樹脂をガスケットとして塗布した後、上蓋を載置してかしめてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の説明においては、主として、本発明を電気二重層キャパシタに適用した場合に好適な構成について説明したが、本発明の電気化学デバイスは電気二重層キャパシタに限定されるものではなく、例えば、擬似容量キャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学デバイスに適用可能である。
更に、上記実施形態の説明においては、主として、本発明を電気化学キャパシタ(特に電気二重層キャパシタ)に適用した場合に好適な構成について説明したが、本発明の電気化学デバイスはこれに限定されるものではなく、リチウムイオン2次電池等の2次電池にも適用可能である。この場合には、第1の電極(アノード)となる多孔体層には、リチウムイオン2次電池等の2次電池のアノードに使用可能な電極活物質が含有される。また、第2の電極(カソード)となる多孔体層には、リチウムイオン2次電池等の2次電池のカソードに使用可能な電極活物質が含有される。
また、上記実施形態の説明においては、積層される電気化学デバイス素体が3つの態様について説明したが、本発明の電気化学デバイスにおける素体の数は上記実施形態に限定されるものではなく、電気化学デバイス素体の数は1つ又は2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
また、本発明においては、ケースは、上述の金属製の部材から形成された缶状の外装体(金属製のケース)もの以外に、ケースが電流の外部導出端子を兼ねる構成を有していれば、複合包装フィルム等の可とう性を有するフィルム(金属箔からなる層、合成樹脂からなる層を含む積層フィルム)から形成されるものであってもよい。これにより、軽量化により高い単位重量当りの出力特性が要求される場合等の用途に適用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の電気化学デバイスの製造方法の内容をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順により、電気化学デバイス素体の数を1つとしたこと以外は、図1に示した電気化学デバイスと同様の構成を有する電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)を作製した。
(1)電極の作製
アノード(分極性電極)及びカソード(分極性電極)は以下の手順により作製した。先ず、賦活処理を施した活性炭素材料(活性炭)と、バインダーとなるフッ素ゴムと、導電助剤(カーボンブラック)とを、これらの質量比が炭素材料:導電助剤:バインダー=8:1:1となるように配合し、これを溶媒であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に投入して混合することにより、電極形成用の塗布液(以下、「塗布液L1」という)を調製した。
次に、この塗布液L1をアルミニウム箔からなる集電体(厚さ:50μm)の一方の面上に均一に塗布した。その後、乾燥処理により、塗膜からMIBKを除去し、更に圧延ロールを用いて集電体と乾燥後の塗膜とからなる積層体をプレスし、アルミニウム箔からなる集電体(厚さ:50μm)の一方の面上に電子伝導性の多孔体層(厚さ:37μm)が形成された電極(以下、「電極E1」という)を作製した。次に、この電極E1を打ち抜き金型を使用して円形(φ:15mm)状を呈するように打ち抜いた。次に、150℃〜175℃の温度で真空乾燥を12時間以上行うことにより、電子伝導性の多孔体層の表面に吸着した水分を除去した。このようにして、実施例1の電気化学デバイスに搭載するアノード及びカソードを作製した。
(2)電気化学デバイスの作製
先ず、アノード及びカソードを互いに対向させ、その間に再生セルロース不織布からなるセパレータ(φ:15.4mm)を配置し、アノード、セパレータ及びカソードがこの順で順次積層された積層体を形成した。
次に、熱処理及び加圧処理を行う手段(ホットプレス)を使用し、上記積層体の熱処理及び加圧処理を同時に行った。なお、熱処理温度を230℃、圧力を90kg/cm、処理時間を40秒とした。
次に、得られた積層体に減圧下で非水電解質溶液を加えて、各素体を構成する電極及びセパレータ中に非水電解質溶液含ませた。次に、減圧下の状態に置かれた積層体を大気圧下の状態に戻し、積層体の外部に漏れでる余分な非水電解質溶液を拭き取って、非水電解質溶液を含む積層体を得た。なお、非水電解質溶液は、1.2mol/Lのトリエチルメチルアンモニウム四フッ化ホウ素塩のプロピレンカーボネート溶液を使用した。
次に、図1に示したケース50と同様の構成を有するステンレス製の上蓋及びステンレス製の下蓋を有する缶状のケースを準備した。
次に、プロピレンカーボネートと、バインダーとなるPVDFコポリマー(ATOFINA Chemicals社製,商品名「Kyner2801」)と、導電性粒子となるアセチレンブラックとを、これらの質量比がプロピレンカーボネート:PVDFコポリマー:アセチレンブラック=8:1:1となるように混合することにより、導電性の接着剤の原料となるペーストを調製した。ここで、PVDFコポリマーは非水電解質溶液中の有機溶媒にも溶解し、また、上述のステンレス製のケースの表面とも十分な接着性を有する。このペーストは室温ではゲル状であるため、加熱処理を施して軟化させ流動化させた後、上述したステンレス製の上蓋の内側及びステンレス製の下蓋の内側にそれぞれ塗布した。次に、ペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に、非水電解質溶液を含む積層体を配置し、更に、先に図1を用いて説明したように、ガスケットを配置し、上蓋の縁部をかしめて密封し、電気化学デバイスを作製した。
(実施例2)
加熱処理を施して軟化させ流動化させた後のペーストを、上述したステンレス製の上蓋の内側及びステンレス製の下蓋の内側にそれぞれ塗布し、ペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に、非水電解質溶液を含む積層体を配置した後に100℃で10分間更に熱処理を行いペーストを乾燥させたこと以外は、実施例1の電気化学デバイスと同様の手順及び条件により電気化学デバイスを作製した。
(実施例3)
加熱処理を施して軟化させ流動化させた後のペーストを、上述したステンレス製の上蓋の内側及びステンレス製の下蓋の内側にそれぞれ塗布しペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に、非水電解質溶液を含む積層体を配置した後に100℃で10分間更に熱処理を行いペーストを乾燥させたことと、ペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に非水電解質溶液を含む積層体を配置し、次いで、ガスケットを配置し、上蓋の縁部をかしめて密封した後に、更に、加熱部材で電気化学デバイスを挟持した状態で、140℃の熱を5秒間加えたこと以外は、実施例1の電気化学デバイスと同様の手順及び条件により電気化学デバイスを作製した。
(比較例1)
ペーストの調製に使用する有機溶媒をNMP(N‐メチルピロリドン)にしたこと以外は、実施例1の電気化学デバイスと同様の手順及び条件により電気化学デバイスを作製した。
(比較例2)
ペーストの調製に使用する有機溶媒をNMP(N‐メチルピロリドン)にしたことと、加熱処理を施して軟化させ流動化させた後のペーストを、上述したステンレス製の上蓋の内側及びステンレス製の下蓋の内側にそれぞれ塗布しペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に、非水電解質溶液を含む積層体を配置した後に100℃で10分間更に熱処理を行いペーストを乾燥させたことと、ペーストを塗布した上蓋とペーストを塗布した下蓋との間に非水電解質溶液を含む積層体を配置し、次いで、ガスケットを配置し、上蓋の縁部をかしめて密封した後に、更に、加熱部材で電気化学デバイスを挟持した状態で、140℃の熱を5秒間加えたこと以外は、実施例1の電気化学デバイスと同様の手順及び条件により電気化学デバイスを作製した。
[電気化学デバイスの特性評価試験]
実施例1〜実施例3並びに比較例1及び比較例2の各電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)について、等価直列抵抗とキャパシタ容量を測定した。
先ず、充放電試験装置を使用し、0.5Cの定電流充電を行い、電気二重層キャパシタに電荷が蓄積していくに従って電圧が上昇するのをモニタし、電位が2.5Vに達したのち、定電圧充電(緩和充電)に移行し、電流が充電電流の1/10になった時に充電を終了させた。なお、このときのトータルの充電時間(つまり、充電時間+緩和充電時間)は、セルの静電容量に依存する。そして、放電も0.5Cの定電流放電を行い終止電圧を0Vとした。この試験後、1Cの電流で充電を行い、電位が2.5Vに達した後、定電圧充電に移行し、電流が充電電流の1/10になったときに充電を終了させた。そして、放電も1Cの定電流放電を行い終止電圧を0Vとした。再び充電を開始させ、これを10回繰り返した。
電気化学デバイスの容量(電気化学デバイスのセルの静電容量)は次のようにして求めた。すなわち、放電曲線(放電電圧−放電時間)から放電エネルギー(放電電圧×電流の時間積分として合計放電エネルギー[W・s]を求め、キャパシタ容量[F]=2×合計放電エネルギー[W・s]/(放電開始電圧[V])の関係式を用いて評価セルの容量(キャパシタ容量)[F]を求めた。なお、この容量(キャパシタ容量)[F]は同一の評価セルについて5回の測定を行った結果得られる5つの測定値の相加平均値である。
次に、測定環境温度25℃、相対湿度60%において、各電気化学デバイスのESRを測定した。ESRの測定は、以下の手順で行った。すなわち、1KHzの周波数で10mAを流したときの電圧の変化量より、ESRを算出した。
実施例1〜実施例3並びに比較例1及び比較例2の各電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)のキャパシタ容量及びESRの結果を表1に示す。
Figure 2005183820
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜実施例3の各電気化学デバイスは、各比較例に比して優れたキャパシタ容量を得ることができ、ESRも十分に低減されていることが確認された。
比較例1及び比較例2の各電気化学デバイスは、作製直後のESRは実施例1〜実施例3の各電気化学デバイスと大きな差はないが、キャパシタ容量が大きく低下している。試験後にセルを分解して電気化学デバイス素体を目視により観察してみると電解液の色が測定前の無色から茶色に変色していた。これは、ペーストの調製に使用した有機溶媒のNMPが非水電解質溶液に混入しており、このNMPが充電時に分解したためであると考えられる。
本発明の製造方法により得られる電気化学デバイスは、電気二重層キャパシタをはじめとする電気化学キャパシタ、及び、リチウムイオン2次電池をはじめとする電池に利用することができ、例えば、携帯機器(小型電子機器)等の電源のバックアップ用電源、ハイブリッド車向けの補助電源として利用することができる。
本発明の電気化学デバイスの製造方法の好適な一実施形態により製造された電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)の基本構成を示す模式断面図である。
符号の説明
1…電気化学デバイス(電気二重層キャパシタ)、2,3…導電性の接着剤からなる層、10…アノード、12…アノード用リード線、14…絶縁体、20…カソード、22…カソード用リード線、15・・・アノード集電体、16,17・・・集電体、18・・・カソード集電体、24…絶縁体、30…スペーサ、40…セパレータ、50…ケース、61,62,63…素体、70・・・ガスケット。

Claims (7)

  1. 互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される非水電解質層と、を少なくとも含む電気化学デバイス素体と、
    前記電気化学デバイス素体に電気的に接続されており該電気化学デバイス素体から放出される電流を外部に導出するための電流導出部を有し、該電流導出部が電子伝導性を有する部材を少なくとも用いて形成されており、前記電気化学デバイス素体を密閉した状態で収容するとともに電流の外部導出端子を兼ねるケースと、
    を少なくとも有する電気化学デバイスの製造方法であって、
    前記電気化学デバイスに使用される電解質の構成成分として使用可能な有機溶媒のうちの少なくとも1種と、導電性粒子とを含むペーストを調整するペースト調製工程と、
    前記ペーストからなる層を、前記電気化学デバイス素体の外表面と前記ケースの内表面との間に形成し、次いで、前記ペーストを導電性の接着剤に変化させることにより、前記電気化学デバイス素体の外表面と前記ケースの内表面との間に前記接着剤からなる層を形成し、前記接着剤からなる層を介して前記電気化学デバイス素体と前記ケースとを一体化させる接着工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする電気化学デバイスの製造方法。
  2. 前記有機溶媒が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメトキシエタンからなる群より選択される少なくとも1種であること、
    を特徴とする請求項1記載の電気化学デバイスの製造方法。
  3. 金属製の部材を用いて前記ケースを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  4. 前記ペースト調製工程において、前記導電性粒子同士を結着可能なバインダーを更に用いて前記ペーストを調製すること、を特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  5. 前記接着工程において、放置乾燥によって前記ペーストを導電性の接着剤に変化させること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  6. 前記接着工程において、熱処理を施して前記ペーストを導電性の接着剤に変化させること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  7. 前記第1の電極と前記第2の電極の間に多孔質のセパレータを配置し、更に、前記セパレータ、前記第1の電極及び前記第2の電極の内部に前記電解質を含有させること、を特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
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