JP2005180945A - 均温化方法及び装置 - Google Patents

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Takeshi Yajima
健史 矢嶌
Masasuke Nakajima
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Abstract

【課題】各種の反応や分析等を行うのに用いられるバイオチップ等の化学用機器或いはマイクロチップ等の電子用機器のような特に微小領域における温度を高い精度で一定に保持できるようにする。
【解決手段】制御温度で固液相変化する相変化物質を液体に分散した蓄熱剤Tの相変化物質を凝固させた後相変化物質の融点近傍に温度を調節し又は相変化物質を溶融させた後相変化物質の凝固点近傍に温度を調節して対象物2に隣接した微細流路に流すことにより、対象物2の温度を蓄熱剤Tの相変化物質の融点又は凝固点に保持させる。
【選択図】図1

Description

本発明は均温化方法及び装置に関し、特に、微小な量で各種の反応や分析等を行うのに用いられるバイオチップ等の化学用機器、或いはマイクロチップ等の電子用機器のような微小領域の温度を高い精度で一定に保持できるようにした均温化方法及び装置に関するものである。
従来より、バイオチップ、マイクロアレイ、マイクロリアクター等の微小化学用機器、或いはマイクロチップ等の電子用機器が使用されており、これらの微小機器は適切な反応や検出精度の向上を図る、或いは確実に機能させる等の必要性から、必要部位を所定の一定温度に精度良く保持することが要求される。
このため、マイクロチップ、マイクロアレイ、マイクロリアクター等の微小化学用デバイス(チップ)において、チップに設けた複数の収容部に収容させたそれぞれの試薬を反応させる際に、各収容部に収容させた各試薬をそれぞれの流路を通して合流流路に導くと共に、合流流路にメッキや蒸着等により電気抵抗の高いタングステン等の金属層を設け、該金属層に電源から電流を流して加熱することにより合流流路で合流した各試薬を加熱して反応させるようにしたものが特許文献1に示されている。
また、チップケース内のバイオチップ(チップ)上に洗浄液を供給する加圧式輸液装置を設け、チップケース内のチップを加熱するためのペルチェ素子によるヒートブロックと、加圧式輸液装置内の溶液を加熱するためのペルチェ素子によるヒートブロックとを設け、且つ前記チップの温度(溶液の温度)を計測する温度計測装置と、加圧式輸液装置内の溶液温度を計測する温度計測装置とを設けたものが特許文献2に示されている。
特開2003−117409号公報 特開2001−255328号公報
しかし、特許文献1の如く合流流路に設けた金属層に電流を流して試薬を加熱する方式は、薬液に金属層が直接触れるために試薬に対して化学的な影響を及ぼす危険性がある。また、特許文献2の如くヒートブロックを設けてチップの溶液を間接的に加熱する方法では応答性が低いという問題がある。
また、特許文献1の如く合流流路に設けた金属層に電流を流して試薬を加熱したり、特許文献2の如くヒートブロックを設けてチップの溶液を加熱する方法では、試薬又はチップの溶液温度を制御するために、何れの場合も温度計測装置を設けて試薬又は溶液の温度を検出し、その検出温度に基づいて試薬又は溶液の加熱を制御する必要がある。このために、温度計測装置を用いて試薬又は溶液の温度を間接的に検出するようにした場合には、応答性に乏しく実際の温度と検出温度との間に誤差を生じる問題がある。また、試薬又は溶液の温度を検出する温度計測装置を流路内に設けて直接検出するようにした場合には、温度計測装置が流路内の流体の流れを乱し、また温度計測装置が試薬や溶液に接するために化学的な影響を及ぼす危険性がある。
また、いずれの温度検出方法においても、温度の検出から加熱制御を行って試薬又は溶液が最適温度になったことを確認するまでに時間が掛かるために応答性が低いという問題があり、更に、フィードバック制御によっているために試薬又は溶液の温度に振れが生じる問題がある。
更に、前記したような小型のチップに対して前記温度計測装置や制御線、冷媒管等を複数配置する構成では、構成が複雑になってこれらの取り付けが非常に大変であり、しかも洗浄等も困難になるという問題がある。
一方、従来より温度調節流体として水或いは種々のガス等を流動させてチップの温度を制御する方法が考えられている。しかし、チップの温度を高い精度で制御する場合には急激な加熱・抜熱が必要であるが、前記水やガス等では伝達熱量が不足する問題があり、このために水やガスを大流に流す必要があるが、大量の温度調節流体を流すことは構造上不可能であり、従って実際的にチップの温度を高い精度で制御することはできない。
本発明は、上記実情に鑑みてなしたもので、各種の反応や分析等を行うのに用いられるバイオチップ等の化学用機器或いはマイクロチップ等の電子用機器のような特に微小領域における温度を高い精度で一定に保持できるようにした均温化方法及び装置を提供することを目的としてなしたものである。
請求項1に記載の発明は、制御温度で固液相変化する相変化物質を液体に分散した蓄熱剤の相変化物質を凝固させた後相変化物質の融点近傍に温度を調節し又は相変化物質を溶融させた後相変化物質の凝固点近傍に温度を調節して対象物に隣接した微細流路に流すことにより、対象物の温度を蓄熱剤の相変化物質の融点又は凝固点に保持させることを特徴とする均温化方法、に係るものである。
請求項2に記載の発明は、前記蓄熱剤に含有する液体は水であり、蓄熱剤に含有する相変化物質は、トリアコンタン、オクタコサン、ヘプタコサン、ヘキサコサン、テトラコサン、ドコサン、ヘネイコサン、エイコサン、ノナデカン、オクタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、テトラデカン、トリデカン、ドデカンのいずれか1つ又はその2つ以上を組み合わて用いることを特徴とする請求項1に記載の均温化方法、に係るものである。
請求項3に記載の発明は、前記蓄熱剤に含まれる相変化物質の径は、10ミクロンメートル以下、好ましくは1ミクロンメートル以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の均温化方法、に係るものである。
請求項4に記載の発明は、前記蓄熱剤に含まれる相変化物質の重量%濃度は、25〜45%wt、好ましくは30%wtであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の均温化方法、に係るものである。
請求項5に記載の発明は、制御温度で固液相変化する相変化物質を液体に分散した蓄熱剤を冷却し該蓄熱剤に含有する相変化物質を凝固させて相変化物質の融点近傍の温度に温度調節するか、又は、蓄熱剤を加熱し該蓄熱剤に含有する相変化物質を溶融させて相変化物質の凝固点近傍の温度に温度調節する蓄熱剤温度調節装置と、
該蓄熱剤温度調節装置により相変化物質が凝固し且つ相変化物質の融点近傍の温度に調節された蓄熱剤、又は、相変化物質が溶融し且つ相変化物質の凝固点近傍の温度に調節された蓄熱剤を、対象物に隣接した微細流路に供給する蓄熱剤供給装置と、
を備えたことを特微とする均温化装置、に係るものである。
請求項6に記載の発明は、前記微細流路が前記対象物とフィルム状隔壁により隔てられたことを特徴とする講求項5に記載の均温化装置、に係るものである。
請求項7に記載の発明は、前記フィルム状隔壁が合成樹脂フィルムであることを特徴とする講求項6に記載の均温化装置、に係るものである。
請求項8に記載の発明は、前記フィルム状隔壁がポリ塩化ビニリデンフィルムであることを特徴とする講求項7に記載の均温化装置、に係るものである。
請求項9に記載の発明は、前記フィルム状隔壁が金属フィルムであることを特徴とする講求項6に記載の均温化装置、に係るものである。
請求項10に記載の発明は、前記フィルム状隔壁が銅フィルムであることを特徴とする講求項9に記載の均温化装置、に係るものである。
請求項11に記載の発明は、前記フィルム状隔壁がガラス薄板であることを特徴とする講求項5に記載の均温化装置、に係るものである。
本発明によれば、対象物の目標保持温度に応じて蓄熱剤に含有する相変化物質(油)の融点或いは凝固点を選定、又は組み合わせることによって融点或いは凝固点を設定し、相変化物質の融解熱或いは凝固熱を利用して対象物の均温を行うようにしたので、対象物の温度を検出する必要がなく、更に、対象物の温度を融点或いは凝固点の温度に高い精度で均温できる効果がある。例えば、対象物の温度を±0.5℃という高い精度で均温できるようになる。
更に、微細流路の流速を0.1m/s以上に保持させると高い熱伝導性が得られる効果がある。一方、微細流路に蓄熱剤を早い速度で流動させるためには蓄熱剤が良好な流動性を有している必要があるが、蓄熱剤の相変化物質の径を10ミクロンメートル以下、好ましくは1ミクロンメートル以下とし、更に、蓄熱剤に含まれる相変化物質の重量%濃度を25〜45%wt、好ましくは30%wtとしたので、蓄熱剤は微細流路に留まることなく高い流速で良好に流動できる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の均温化方法をバイオチップを有する化学用機器に適用した場合の一例を示す切断正面図、図2は図1の平面図であり、化学用機器1は、バイオチップ1Aを有して均温を行う対象物2と調節側部材3とがフィルム状隔壁4を介して固定部材6により一体に固定されている。
前記対象物2及び調節側部材3は、シリコンゴム、ガラス、セラミックス等の無機物、ポリメチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン等のプラスチックスを含む有機化合物、金属等から構成することができる。対象物2及び調節側部材3は、リサイクル性を考慮するとガラス、熱可塑性プラスチックス又は金属から製造することが好ましく、加工性を考慮するとシリコンゴムのキャスティング成型物、プラスチックスによるものがより好ましい。
前記対象物2におけるフィルム状隔壁4に接する面(フィルム状隔壁4の上側)には、図3に示す如く凹溝による被均温流体通路5を形成したバイオチップ1Aの背面が対峙しており、被均温流体通路5の一端には試料流体入口7が設けられ、被均温流体通路5の他端には試料流体出口8が設けられている。
また、前記調節側部材3が前記フィルム状隔壁4に接する面(フィルム状隔壁4の下側)には、前記バイオチップ1Aの所定範囲に対応して凹溝によるマイクロチャンネル9を形成することにより均温部10を構成している。
前記マイクロチャンネル9は、図4に示す如く、微細流路11と混合室12が交互に形成されており、微細流路11と混合室12を蓄熱剤Tが交互に繰返して流れるようになっている。マイクロチャンネル9の一端には蓄熱剤入口13が設けられ、マイクロチャンネル9の他端には蓄熱剤出口14が設けられている。蓄熱剤Tはマイクロチャンネル9の微細流路11を流動する時に乱流となることによって熱伝導性が高められて均温部10における被均温流体通路5の試料流体の温度を蓄熱剤Tと同じ温度に制御するようになっている。このときの微細流路11の径は1ミリメートル以下が好ましく、更には0.5ミリメートル以下とするのが望ましい。
前記マイクロチャンネル9を形成する方法としては、調節側部材3の材質と微細流路11の大きさ、要求される加工精度にもよるが、例えば、レーザー加工、感光ガラス材料のフォトマスクを介した露光、フォトリソグラフィーとエッチング、原子線エッチング、プラスチック加工で汎用される射出成形等の成形技術、予め流路形状を形成した基材の積層等が挙げられる。これらの技術により、平面のみならず立体的な流路構造も形成できる。
上記均温を行う場合、対象物2の試料流体とマイクロチャンネル9側の蓄熱剤Tとの温度差が小さく、熱伝導の駆動力となる温度勾配がつきにくいため、図1、図3に示すようにマイクロチャンネル9と対象物2との間を薄いフィルム状隔壁4で隔てた構成とすることが好ましい。
前記フィルム状隔壁4としての材料は特に限定されないが、厚さを薄く加工できしかも熱伝導性が高く、且つマイクロチャンネル9と対象物2とを区画できる所要の強度を有することが好ましい。例えばプラスチックフィルム、金属フィルム、ガラス薄板等を用いて構成することができ、フィルム状隔壁4をプラスチックフィルムで構成する場合には、食品包装等に用いられるポリ塩化ビニリデンフィルムを用いることが好ましい。このとき、フィルム状隔壁4をポリ塩化ビニリデンフィルムで構成すると、マイクロチャンネル9と対象物2との間をシールする機能を同時に備えることができるので好適である。また、前記フィルム状隔壁4に金属フィルムを用いる場合には、熱伝導性の面から銅フィルムを用いることが好ましい。
図5は、前記調節側部材3のマイクロチャンネル9に蓄熱剤Tを供給して対象物2の試料流体を均温する蓄熱剤循環装置15を示している。図中16は前記化学用機器1を多段に備えた均温棚、17は蓄熱剤Tの温度制御槽、18は第1蓄熱剤温度調節用熱交換器、18a,18bは伝熱管、19は第2蓄熱剤温度調節用熱交換器、19a,19bは伝熱管、20は前記第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の伝熱管19bに接続された冷却水循環装置等の熱源循環装置、21は前記温度制御槽17の蓄熱剤Tを供給配管に供給するポンプ等の蓄熱剤供給装置である。蓄熱剤供給装置21によって供給配管22に供給された蓄熱剤Tは、前記第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18の伝熱管18a、第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の伝熱管19a、第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18の伝熱管18bに順次導かれた後、前記各化学用機器1における各調節側部材3の蓄熱剤入口13からマイクロチャンネル9に供給されるようになっている。そして、各調節側部材3のマイクロチャンネル9に供給された蓄熱剤Tは蓄熱剤出口14から戻り管23を介して温度制御槽17に戻されるようになっている。
前記第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18と第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19と熱源循環装置20によって蓄熱剤温度調節装置29が構成され、この蓄熱剤温度調節装置29と前記蓄熱剤供給装置21とによって蓄熱剤循環装置15が構成されている。
図6〜図9は本発明の均温化方法をCPUを有する電子用機器に適用した場合の一例を示すもので、図6はCPUを備えたパソコンの斜視図、図7はCPUを有する電子用機器の切断正面図、図8は図7の平面図、図9は図7のIX−IX方向断面図である。
図6中、24はパソコン本体であり、パソコン本体24には、電子用機器30であるマイクロチップを内蔵したCPU1B(対象物2)が設けられており、更に、CPU1Bを均熱するための蓄熱剤TをCPU1Bに供給するポンプ25、蓄熱剤Tを冷却するラジエータ26等が備えられている。
図7、図8では、CPU1Bである対象物2の上部にフィルム状隔壁4を介して調節側部材3を一体に固定した場合を示しており、調節側部材3のマイクロチャンネル9がCPU1Bの全面を覆うように均温部10を形成している。また、図8、図9では、マイクロチャンネル9が前記図3、図4と同様に微細流路11と混合室12とを備えた場合を示しているが、図10では調節側部材3に、熱伝導率が高い物質にマイクロ穴27を多数貫通させた構成を有する伝熱部材28をCPU1Bに密着させて設けた場合を示している。
前記蓄熱剤Tは、制御温度で固液相変化する相変化物質を界面活性剤を用いて液体(水)に混合・分散して乳化させたものである。この蓄熱剤Tはポンプで循環することによって再拡散が可能なように、常圧乳化することが望ましい。
蓄熱剤Tに含有する相変化物質には、対象物2を保持する要求温度(目標保持温度)と一致する凝固点又は融点を有する相変化物質を選定して用いるか、又は、前記目標保持温度より凝固点又は融点が高い相変化物質と、目標保持温度より凝固点又は融点が低い相変化物質とを混合して前記目標保持温度が得られるように凝固点又は融点を設定して用いる。
前記蓄熱剤Tに含有する相変化物質(油)としては、トリアコンタン、オクタコサン、ヘプタコサン、ヘキサコサン、テトラコサン、ドコサン、ヘネイコサン、エイコサン、ノナデカン、オクタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、テトラデカン、トリデカン、ドデカン等のいずれか1つ又はその2つ以上を組み合わて用いることができる。
上記相変化物質の物質名と分子式及び性状を[表1]に示す。
[表1]
物 質 名 分 子 式 融 点 融解潜熱
トリアコンタン C30H62 65.4 251
オクタコサン C28H58 61.4 164
ヘプタコサン C27H56 59.5 159
ヘキサコサン C26H54 56.3 162
テトラコサン C24H50 50.6 162
ドコサン C22H46 44 157
ヘネイコサン C21H44 40.5 161
エイコサン C20H42 36.4 247
ノナデカン C19H40 32.1 171
オクタデカン C18H38 28.2 243
ヘプタデカン C17H36 22
ヘキサデカン C16H34 18.2 228.8
ペンタデカン C15H32 10 163.8
テトラデカン C14H30 5.8 229.8
トリデカン C13H28 -5.4
ドデカン C12H26 -9.6 210
前記蓄熱剤Tの相変化物質の径は、前記マイクロチャンネル9の微細流路11で詰まらないようにするため、及び蓄熱剤Tの見かけ上の粘性が高くならないようにするために、10ミクロンメートル以下が好ましく、更に1ミクロンメートル以下とするのが好ましい。このような蓄熱剤Tの相変化物質の微細な径は、前記した種々の相変化物質と水とを従来から知られている種々の混合手段によって混合することで容易に得ることができる。
また、前記蓄熱剤Tに含まれる相変化物質の重量%濃度は、25〜45%wt、好ましくは30%wtであるのが望ましい。更に、蓄熱剤Tはマイクロチャンネル9での流動性を保持させるため、蓄熱剤Tに含まれる相変化物質の重量%濃度が40%wtの場合において粘度が50mPa・s以下であることが好ましく、更に15mPa・S以下であることが望ましい。
更に、マイクロチャンネル9の微細流路11を流動する蓄熱剤Tの流速は0.1m/s以上に保持することが好ましい。
次に、図5に示す蓄熱剤循環装置15を用いて、図1、図7の対象物2(試料流体)を均温する際に、対象物2を均温する目標保持温度が例えば31℃である場合を例にとって説明する。31℃冷却均温を行う場合には、例えば相変化物質(油)としてノナデカン+エイコサンを混合したものを使用し、融解熱(吸熱)を利用して均温することができる。一方、31℃加熱均温を行う場合には、エイコサン+へネイコサンの凝固熱(発熱)を利用して均温することができる。
次に、上記蓄熱剤Tに含有する相変化物質の融解熱(吸熱)を利用して対象物2を31℃に冷却均温する場合を説明する。均温を目的とする場合、相変化物質には過冷却が存在するため、冷却均温を行う場合は凝固点まで蓄熱剤Tを冷却した後、融点付近まで加熱してから利用する必要がある。これは加熱均温の場合も同様である。
このため、図5に示す冷却水循環装置等の熱源循環装置20は、熱源流体(水)を第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の伝熱管19bに循環供給して第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19内部の媒体を蓄熱剤Tの凝固点以下の温度に冷却している。
ポンプ等の蓄熱剤供給装置21を駆動し、温度制御槽17における一部が凝固し殆どが融解した状態になっている蓄熱剤Tを供給配管22に供給する。供給配管22に供給された蓄熱剤Tは、第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18の伝熱管18aにより加熱されて総てが融解され、続いて第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の伝熱管19aに導かれ冷却されて凝固される。ここで、蓄熱剤Tは乳液状になっているために相変化物質が凝固しても蓄熱剤Tの流動性は保持される。続いて、凝固された蓄熱剤Tは再び前記第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18に導かれて伝熱管18bを通る間に、前記温度制御槽17からの蓄熱剤Tと熱交換して略31℃の融点直前温度まで加熱される。このときの蓄熱剤Tは略31℃で凝固している。
略31℃の融点直前まで加熱された蓄熱剤Tは、均温棚16に多段に設けられた各化学用機器1における調節側部材3の蓄熱剤入口13からマイクロチャンネル9に供給され、蓄熱剤Tはマイクロチャンネル9において対象物2から熱を奪って自身は融解しこれにより対象物2を均温する。対象物2から熱を奪って融解した蓄熱剤Tは、蓄熱剤出口14から戻り管23を介して温度制御槽17に戻る。このとき、前記温度制御槽17に戻される蓄熱剤Tには一部が凝固したままとなっていて全ての化学用機器1の対象物2を均温できる余裕を有している。
前記した蓄熱剤温度調節装置29における第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18の伝熱管18bからマイクロチャンネル9に供給される蓄熱剤Tの温度を略31℃の融点直前温度まで精度良く加熱することは均温を精度良く行う上で重要であり、この蓄熱剤Tの温度の調節は蓄熱剤供給装置21による蓄熱剤Tの供給流量を調節することで制御できる。
また、蓄熱剤Tに含有する相変化物質の凝固熱(発熱)を利用して対象物2を31℃に加熱均温する場合には、熱源循環装置20の熱源流体を第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の伝熱管19bに循環供給して第2蓄熱剤温度調節用熱交換器19の媒体を相変化物質の融解熱以上の所定温度に保持させた状態において、蓄熱剤供給装置21を駆動し、第1蓄熱剤温度調節用熱交換器18によって略31℃の凝固点直前温度まで冷却した蓄熱剤Tを伝熱管18bから前記対象物2に供給することで同様に実施することができる。
上記したように、対象物2の目標保持温度に応じて蓄熱剤Tに含有する相変化物質(油)の融点或いは凝固点を選定、又は組み合わせることによって融点或いは凝固点を設定し、相変化物質の融解熱或いは凝固熱を利用して対象物2の均温を行うようにしたので、対象物2の温度を検出する必要がなく、対象物2の温度を融点或いは凝固点の温度に高い精度で均温させることができる。これにより化学用機器1の対象物2の温度を±0.5℃という高い精度で均温が可能になる。このとき、前記したように相変化物質の融解熱或いは凝固熱を利用して均温を行う蓄熱剤Tは熱輪送性能に優れているため、±0.5℃に均温する場合には水の約1/25の流量を流すのみで良く、また、5℃差の熱輪送を行う場合は、水の約1/4の流量を流すことで同じ加熱・冷却効果が得られる。
図1に示す化学用機器1或いは図7に示す電子用機器30のような微小領域を精度良く均温するためには、均温部10の熱伝導性が高いことが重要になる。
このため、調節側部材3に、1ミリメートル以下、好ましくは0.5ミリメートル以下とした微細流路11と混合室12とを交互に備えたマイクロチャンネル9を備えて、蓄熱剤Tが微細流路11と混合室12を交互に流動するようにしたので、蓄熱剤Tは微細流路11を流動する時に乱流となることによって熱伝導性が高められ、更に微細流路11を多数設けることで伝熱面積が増加でき、よって微小領域を精度良く効果的に均温できるようになる。
更に、均温部10を構成するマイクロチャンネル9の微細流路11の流速を0.1m/s以上確保すると高い熱伝導性を得ることができる。一方、上記したように口径が小さい微細流路11に蓄熱剤Tを早い速度で流動させるためには蓄熱剤Tが良好な流動性を有している必要があり、このために、蓄熱剤Tの相変化物質の径を10ミクロンメートル以下、好ましくは1ミクロンメートル以下としており、更に、蓄熱剤Tに含まれる相変化物質の重量%濃度を25〜45%wt、好ましくは30%wtとし、更に、相変化物質の重量%濃度が40%wtの場合において粘度は50mPa・s以下、好ましくは15mPa・S以下としている。これにより、蓄熱剤Tはマイクロチャンネル9の微細流路11に留まることなく高い流速で良好に流動することができる。
尚、上記形態例では、化学用機器におけるバイオチップ及び電子用機器におけるCPU1Bからなる対象物の均温を行う場合について例示したが、上記以外の均温を必要とする機器或いは物質等の種々の対象物に対しても適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論である。
本発明の均温化方法をバイオチップを有する化学用機器に適用した場合の一例を示す切断正面図である。 図1の平面図である。 図1のIII−III方向断面図である。 マイクロチャンネルの一例を示す部分平面図である。 マイクロチャンネルに蓄熱剤を供給して対象物を均温する蓄熱剤循環装置の概略側面図である。 本発明の均温化方法を適用するCPUを有する電子用機器が備えられたパソコンの斜視図である。 CPUを有する電子用機器の一例を示す切断正面図である。 図7の平面図である。 図7のIX−IX方向断面図である。 図9と異なる調節側部材の例を示す断面図である。
符号の説明
2 対象物
4 フィルム状隔壁
11 微細流路
21 蓄熱剤供給装置
29 蓄熱剤温度調節装置
T 蓄熱剤

Claims (11)

  1. 制御温度で固液相変化する相変化物質を液体に分散した蓄熱剤の相変化物質を凝固させた後相変化物質の融点近傍に温度を調節し又は相変化物質を溶融させた後相変化物質の凝固点近傍に温度を調節して対象物に隣接した微細流路に流すことにより、対象物の温度を蓄熱剤の相変化物質の融点又は凝固点に保持させることを特徴とする均温化方法。
  2. 前記蓄熱剤に含有する液体は水であり、蓄熱剤に含有する相変化物質は、トリアコンタン、オクタコサン、ヘプタコサン、ヘキサコサン、テトラコサン、ドコサン、ヘネイコサン、エイコサン、ノナデカン、オクタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、テトラデカン、トリデカン、ドデカンのいずれか1つ又はその2つ以上を組み合わて用いることを特徴とする請求項1に記載の均温化方法。
  3. 前記蓄熱剤に含まれる相変化物質の径は、10ミクロンメートル以下、好ましくは1ミクロンメートル以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の均温化方法。
  4. 前記蓄熱剤に含まれる相変化物質の重量%濃度は、25〜45%wt、好ましくは30%wtであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の均温化方法。
  5. 制御温度で固液相変化する相変化物質を液体に分散した蓄熱剤を冷却し該蓄熱剤に含有する相変化物質を凝固させて相変化物質の融点近傍の温度に温度調節するか、又は、蓄熱剤を加熱し該蓄熱剤に含有する相変化物質を溶融させて相変化物質の凝固点近傍の温度に温度調節する蓄熱剤温度調節装置と、
    該蓄熱剤温度調節装置により相変化物質が凝固し且つ相変化物質の融点近傍の温度に調節された蓄熱剤、又は、相変化物質が溶融し且つ相変化物質の凝固点近傍の温度に調節された蓄熱剤を、対象物に隣接した微細流路に供給する蓄熱剤供給装置と、
    を備えたことを特微とする均温化装置。
  6. 前記微細流路が前記対象物とフィルム状隔壁により隔てられたことを特徴とする講求項5に記載の均温化装置。
  7. 前記フィルム状隔壁が合成樹脂フィルムであることを特徴とする講求項6に記載の均温化装置。
  8. 前記フィルム状隔壁がポリ塩化ビニリデンフィルムであることを特徴とする講求項7に記載の均温化装置。
  9. 前記フィルム状隔壁が金属フィルムであることを特徴とする講求項6に記載の均温化装置。
  10. 前記フィルム状隔壁が銅フィルムであることを特徴とする講求項9に記載の均温化装置。
  11. 前記フィルム状隔壁がガラス薄板であることを特徴とする講求項5に記載の均温化装置。
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