JP2005168472A - 葉特異的発現活性を有するプロモーター - Google Patents

葉特異的発現活性を有するプロモーター Download PDF

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Abstract

【課題】 葉特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA、該DNAを含有し、目的遺伝子を葉特異的に発現させることを可能にした組換えプラスミド、該組換えベクターを導入した形質転換植物体を提供する。
【解決手段】 以下の(a)、(b)又は(c)に示す、プロモーターとして機能しうるDNA。(a)イネ由来の特定な塩基配列からなるDNA(b)イネ由来の特定な塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ葉特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA(c)イネ由来の特定な塩基配列の一部の塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA。
【選択図】 なし

Description

本発明は、葉特異的発現活性を有するプロモーター及びその使用に関するものである。
植物細胞内で機能可能なプロモーターの下流に発現させたい目的タンパク質をコードする遺伝子を連結させた遺伝子を植物細胞に導入し、得られた植物細胞を通常の植物組織培養技術により再生させる方法によって、所望の形質を有する改良植物体を作出することが行われている。植物で一般に用いられるプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、アグロバクテリウムTiプラスミド由来ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来ユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーターなどが知られている。これらのプロモーターは、植物細胞内で目的とするタンパク質を構成的(constitutive)に発現させることが知られており、汎用されている。
しかしながら、植物を改良する場合、例えば、目的タンパク質を局所的に発現させることにより効果的な改良が行えることがあり、このような改良により新しいタイプの高機能性植物を開発する一環として、組織特異的な発現をもたらす植物プロモーターの探索が望まれている。
これまでに、植物において目的タンパク質を組織特異的に発現させることのできるプロモーターとしては、イネを例にすると、葯特異的プロモーターRA8(特許文献1)、葯又は花粉特異的プロモーターCatA(特許文献2)、雄ずい特異的プロモーターT72, T23, T42, T155, E1(特許文献3)、花器特異的プロモーターRPC213(特許文献4)、葉肉細胞特異的プロモーターrbcS(非特許文献1)、胚乳特異的プロモーターGluB-1、GluA-2(非特許文献2、3)、カルス特異的プロモーターPRO3(特許文献5)等が報告されている。
葉に存在する葉緑体は植物固有のオルガネラの一分化形態であり、植物が有する最も重要な機能である光合成の場である。植物が有する光合成機能を様々な環境条件で最適化することは、食料源供給の安定化、植物の良好な生長と分化を目指す上で重要である。また、大気中のCO2削減には、植物の持つ光合成能力の強化がもっとも直接的な手法である。このためには光合成の場である葉緑体の機能を改変し、CO2固定能を高めた植物を創製する技術が次世代技術として注目されている。さらに、葉緑体は、従来の大腸菌や枯草菌等の微生物に代わる、産業上有用な酵素等の異種タンパク質発現系としても着目されている。従って、植物における有用物質の生産、病害抵抗性の付与、環境耐性・高光合成機能植物の作出、植物の生長制御等のために、葉緑体が存在する葉に特異的発現をもたらすプロモーターの新規開発・実用化が強く望まれている。
特表2002-528125号 国際公開WO00/58454 特表平06-504910号 国際公開WO99/43818 特開2003-265182号 Plant Physiol. 102, 991-1000 (1993) Plant Mol. Biol. 30, 1207-1221 (1996) Plant J. 4, 357-366 (1993)
従って、本発明の目的は、葉に特異的発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA、該DNAを含有する遺伝子を葉で特異的に発現させることを可能にした組換えプラスミド、該組換えベクターを導入した形質転換植物体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、イネゲノム配列情報、イネESTの出現頻度情報、イネ完全長cDNA配列情報等(http://www.dna.affrc.go.jp/)を参考にしつつ鋭意研究を重ねた結果、種々の組織に特異的な発現パターンを有すると期待されるイネ遺伝子を約100種選定し、選定された各遺伝子の5’上流域をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した断片の中から、葉において特異的に目的タンパク質を発現させるプロモーター活性を有するDNA断片を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 以下の(a)、(b)又は(c)に示す、プロモーターとして機能しうるDNA。
(a)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNA
(b)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA
(c)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列の一部の塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA
(2) (1)に記載のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA。
(3) (1)又は(2)に記載のDNAを含有する組換えベクター。
(4) (1)又は(2)に記載のDNAと目的タンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクター。
(5) (3)又は(4)に記載の組換えベクターを導入した形質転換植物体。
本発明によれば、葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNAが提供される。このプロモーター活性を有するDNAを利用すれば、緑葉における有用物質の生産性向上、耐病性関連遺伝子の発現による耐病性付与、植物の生長制御、光合成関連遺伝子の改変や高発現による光合成能の向上などが可能となる。具体的には、例えば、ベータカロチン、アントシアニンなどの色素成分、インターフェロン、ビタミン類などの医薬成分、ショ糖などの光合成産物の緑葉での生産性向上、あるいは、葉のサイズや形状の変更による光合成能の向上、切花・観葉植物・盆栽植物における商品価値、購買意欲の向上などの効果を得ることができる。
1.プロモーター及びその単離
本発明に係るプロモーターとして機能しうるDNA(以下、「プロモーター」という)は、配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAである。
本発明のDNAは、目的タンパク質をコードする遺伝子(以下、「目的遺伝子」という)の翻訳開始点の5’側に挿入することにより、該目的遺伝子の葉における発現を誘導し、又は該目的遺伝子を葉において高レベルで発現させることができる。
また、本発明のDNAには、配列番号1又は4に示す塩基配列において1以上の塩基が置換、欠失、付加又は挿入された塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNAも含まれる。ここで、置換、欠失、付加又は挿入されてもよい塩基の数は特に限定されないが、好ましくは1個〜数個である。例えば、配列番号1又は4に示す塩基配列の1〜10個、好ましくは1〜5個の塩基が欠失してもよく、配列番号1又は4に示す塩基配列に1〜10個、好ましくは1〜5個の塩基が付加してもよく、あるいは、配列番号1又は4に示す塩基配列の1〜10個、好ましくは1〜5個の塩基が他の塩基に置換してもよい。
さらに、本発明のDNAには、配列番号1又は4に示す塩基配列の一部の塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNAも含まれる。
配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAにおけるプロモーター活性に必須な部分は、該DNAの様々な欠失体、例えば、5’上流側から様々な長さに欠損させたDNA断片をベータグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子等のリポーター遺伝子を融合させたプラスミドを宿主に導入し、プロモーター活性を測定することによって特定でき、そのような活性部分の特定のための手法は、当業者には公知である。
このような変異体DNAは、葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性(以下、「葉特異的プロモーター活性」という)を有していればよく、その活性の大きさは特に限定されないが、配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAの葉特異的プロモーター活性を実質的に保持することが好ましい。「配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAの葉特異的プロモーター活性を実質的に保持する」とは、該プロモーター活性を利用した実際の使用態様において、配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAと、同一の条件でほぼ同様の利用が可能な程度の活性が維持されていることをいう。
本発明において「葉特異的プロモーター活性」とは、葉において、同じ植物体の他の組織又は器官の少なくとも1種におけるよりも目的遺伝子を優先的かつ高度に発現させる活性をいう。
また、上記「葉」とは、主として、イネ科植物では葉身と葉鞘、また多くの双子葉植物では葉身と葉柄から構成され、維管束組織(葉身内を走る葉脈)も含むものとする。
上記のような変異体DNAを取得するための遺伝子変異導入は、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法によって行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを利用することができる。
さらに、当業者であれば、配列番号1又は4に示す塩基配列の全部又は一部からなるDNAを用いて、配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNAと同様の機能、すなわち、葉特異的プロモーター活性を有する他の塩基配列からなるDNAを種々の生物から新たに取得し、利用することも容易である。このような他の塩基配列からなるDNAの取得は、例えば、配列番号1又は4に示す塩基配列の全部又は一部からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせるハイブリダイゼーション、該塩基配列の一部をプライマーとして用いるPCR等によって行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち配列番号1又は4に示す塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が10〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が25℃〜70℃、好ましくは42℃〜55℃での条件をいう。
上記のように取得した変異体DNAやハイブリダイゼーションにより得られるホモログがプロモーターとしての活性を有するか否かは、種々のレポーター遺伝子、例えばベータグルクロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ(LUC)、Green fluorescent protein(GFP)、
クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ベータガラクトシダーゼ(GAL)、ノパリン合成酵素(NOS)、オクトピン合成酵素(OCS)等の遺伝子を上記プロモーターの下流域に連結したベクターを作製し、該ベクターを用いて従来から周知慣用されている種々の形質転換法(後述)により植物細胞のゲノムに挿入した後、該レポーター遺伝子の発現を測定することにより確認できる。
例えば、レポーター遺伝子がGUSの場合には、宿主細胞内でのプロモーター活性は、(i)ヒストケミカルなGUS染色による方法(EMBO J. 6, 3901-3907 (1987))により、及び/又は(ii)蛍光基質を用いるCastle&Morrisの方法(Plant Molecular Biology Manual, B5, 1-16 (1994); S.B.Gelvin & R.A.Schilperoort, Kluwer Academic Publishers)に従ってGUS活性を測定し、さらにBradfordの方法(Anal. Biochem. 72, 248-254(1976))に従ってタンパク質量を測定して、GUS活性をタンパク量当たりに換算する(nmole 4-MU/min/mg proteinとして算出する)ことにより、それぞれ確認することができる。
本発明のプロモーターは、イネ(日本晴)の第1番染色体ゲノム上に存在し、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する光化学系II酸素発生複合体33-kDaタンパク質(33-kDa protein component of the oxygen-evolving complex in photosystem II: psbOまたはOEC33と略称)をコードすると推定されるイネ遺伝子〔DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp):アクセッション番号AK104760〕の塩基配列(配列番号2)に基づき、該遺伝子(以下、本明細書において「イネpsbO遺伝子」という)の5’上流ゲノム領域(あるいは配列)を単離することによって取得できる。
本発明のプロモーターはまた、イネ(日本晴)の第4番染色体ゲノム上に存在し、配列番号6に示すアミノ酸配列を有する未知タンパク質(Unknown protein)をコードするイネ遺伝子〔DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp):アクセッション番号AK058848〕の塩基配列(配列番号5)に基づき、該遺伝子(以下、本明細書において「イネ#42遺伝子」という)の5’上流ゲノム領域(あるいは配列)を単離することによって取得できる。
プロモーター領域を単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、インバースPCR、ゲノムDNAライブラリーから単離する方法等を例示することができる。
インバースPCRによる場合は、イネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子の塩基配列情報に基づいて一対のプライマーを合成し、これら一対のプライマーと所定の制限酵素で処理した後にセルフライゲーションさせたゲノムDNA断片とを用いてPCRを行うことによって、イネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子の上流領域を増幅することができる。その後、イネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子の上流領域をクローニングし塩基配列を決定することによって、イネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子のプロモーター領域の単離、及び塩基配列(配列番号1、4)の決定を行うことができる。
また、ゲノムDNAライブラリーから単離する場合には、イネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子を含むcDNAをプローブとして、定法に従って調製したゲノムDNAライブラリーからイネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子を含むゲノムDNAをスクリーニングする。その後、スクリーニングしたゲノムDNAの塩基配列を決定することによってイネpsbO遺伝子又はイネ#42遺伝子の上流領域に存在するプロモーター領域を特定することができ、さらに、該プロモーター領域のみをPCR等によって増幅してクローニングすることによって単離することができる。
いったん本発明のプロモーターの塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、あるいはその塩基配列の一部からなるDNAをプライマーとして合成し、イネの全DNAを鋳型として用いて、該プライマーを用いるPCRによって容易に得ることができる。
さらに、単離したプロモーター領域(配列番号1又は4)の一部を用いてプロモーター活性を測定することによって、単離したプロモーター領域(配列番号1又は4)において、プロモーター活性に寄与している領域を特定することができる。プロモーター領域の一部は、該プロモーター領域の一部をPCRによって増幅する方法、プロモーター領域を所定の制限酵素で処理して断片化する方法等を適宜使用して得ることができる。
得られたプロモーター領域の一部は、発現量を定量できる遺伝子の上流に組み込み、該遺伝子の発現量を定量することによってプロモーター活性を測定することができる。すなわち、得られたプロモーター領域の一部及び所定の遺伝子を組み込んでなる組換えベクターを構築し、該組換えベクターを用いて形質転換した細胞における該遺伝子の発現量を定量することによって、得られたプロモーター領域の一部におけるプロモーター活性を測定することができる。
2. 組換えベクター
本発明の組換えベクターは、上記1.のプロモーターに目的遺伝子を連結した遺伝子を適当なベクターに導入することにより構築することができる。ここで、ベクターとしては、アグロバクテリウムを介して植物に目的遺伝子を導入することができる、pBI系、pPZP系(Hajdukiewicz P, Svab Z, Maliga P.: The small, versatile pPZP family of Agrobacterium binary vectors for plant transformation., Plant Mol Biol., 25: 989-94, 1994)、pCAMBIA系(http://www.cambia.org/main/r_et_camvec.htm)、pSMA系のベクターなどが好適に用いられる。特にpBI系のバイナリーベクター又は中間ベクター系が好適に用いられ、例えば、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3等が挙げられる。バイナリーベクターとは大腸菌(Escherichia coli)及びアグロバクテリウムにおいて複製可能なシャトルベクターで、バイナリーベクターを保持するアグロバクテリムを植物に感染させると、ベクター上にあるLB配列とRB配列より成るボーダー配列で囲まれた部分のDNAを植物核DNAに組み込むことが可能である(EMBO Journal, 10(3), 697-704 (1991))。一方、pUC系のベクターは、植物に遺伝子を直接導入することができ、例えば、pUC18、pUC19、pUC9等が挙げられる。また、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、インゲンマメモザイクウイルス(BGMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)等の植物ウイルスベクターも用いることができる。
ベクターに目的遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
目的遺伝子としては、対象となる植物における内因性遺伝子、または外来遺伝子であって、その遺伝子産物の発現が葉において所望される任意の遺伝子をいう。かかる遺伝子としては、有用物質(医薬、色素、芳香成分など)生産遺伝子、植物生長制御(促進/抑制)遺伝子、糖代謝関連遺伝子、耐病虫害性〔昆虫食害抵抗性、カビ(菌類)及び細菌病抵抗性、ウイルス(病)抵抗性など〕遺伝子、環境ストレス(低温、高温、乾燥、光障害、紫外線)抵抗性関連遺伝子等が挙げられるが、これらに限定はされない。
上記の目的遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、ベクターには、目的遺伝子の上流、内部、あるいは下流に、本発明のプロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリA付加シグナル、5'-UTR配列、選抜マーカー遺伝子などを連結することができる。
エンハンサーとしては、例えば、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域などが挙げられる。
ターミネーターとしては、前記プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよく、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター、オクトピン合成酵素遺伝子のターミネーター、CaMV 35S RNA遺伝子のターミネーター等が挙げられる。
選抜マーカー遺伝子としては、例えば、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、アセト乳酸合成酵素(Acetolactate synthase)遺伝子などが挙げられる。
また、選抜マーカー遺伝子は、上記のように目的遺伝子とともに同一のプラスミドに連結させて組換えベクターを調製してもよいが、あるいは、選抜マーカー遺伝子をプラスミドに連結して得られる組換えベクターと、目的遺伝子をプラスミドに連結して得られる組換えベクターとを別々に調製してもよい。別々に調製した場合は、各ベクターを宿主にコトランスフェクト(共導入)する。
3.形質転換植物体
上記2.で調製した組換えベクターを用いて、対象植物を形質転換し、形質転換植物体を調製することができる。
形質転換植物体を調製する際には、既に報告され、確立されている種々の方法を適宜利用することができ、その好ましい例として、アグロバクテリウム法、PEG−リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等が挙げられる。アグロバクテリウム法を用いる場合は、プロトプラストを用いる場合、組織片を用いる場合、及び植物体そのものを用いる場合(in planta法)がある。プロトプラストを用いる場合は、Tiプラスミドをもつアグロバクテリウムと共存培養する方法、スフェロプラスト化したアグロバクテリウムと融合する方法(スフェロプラスト法)、組織片を用いる場合は、対象植物の無菌培養葉片(リーフディスク)に感染させる方法やカルスに感染させる等により行うことができる。また種子あるいは植物体を用いるin planta法を適用する場合、すなわち植物ホルモン添加の組織培養を介さない系では、吸水種子、幼植物(幼苗)、鉢植え植物などへのアグロバクテリウムの直接処理等にて実施可能である。
遺伝子が植物体に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、ウェスタンブロッティング法等により行うことができる。例えば、形質転換植物体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRを行った後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法でもよい。
本発明において形質転換に用いられる植物としては、イネ、ムギ、トウモロコシ、ネギ、ユリ、ラン等の単子葉植物、ダイズ、ナタネ、トマト、バレイショ、キク、バラ、カーネーション、ペチュニア、カスミソウ、シクラメン等の双子葉植物などの植物が挙げられ、特に限定はされない。好ましくは、本発明のDNAが単離されたイネ科の植物、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、サトウキビ、シバ、ソルガム、アワ、及びヒエなどの植物が挙げられる。
本発明において、形質転換の対象とする植物材料としては、例えば、根、茎、葉、種子、胚、胚珠、子房、茎頂(植物の芽の先端の生長点)、葯、花粉等の植物組織やその切片、未分化のカルス、それを酵素処置して細胞壁を除いたプロプラスト等の植物培養細胞が挙げられる。またin planta法適用の場合、吸水種子や植物体全体を利用し得る。
また、本発明において形質転換植物体とは、植物体全体、植物器官(例えば根、茎、葉、花弁、種子、種子、実等)植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞のいずれをも意味するものである。
植物培養細胞を対象とする場合において、得られた形質転換細胞から形質転換体を再生させるためには既知の組織培養法により器官又は個体を再生させればよい。このような操作は、植物細胞から植物体への再生方法として一般的に知られている方法により、当業者であれば容易に行うことができる。植物細胞から植物体への再生については、例えば、以下のように行うことができる。
まず、形質転換の対象とする植物材料して植物組織又はプロトプラストを用いた場合、これらを無機要素、ビタミン、炭素源、エネルギー源としての糖類、植物生長調節物質(オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモン)等を加えて滅菌したカルス形成用培地中で培養し、不定形に増殖する脱分化したカルスを形成させる(以下「カルス誘導」という)。このように形成されたカルスをオーキシン等の植物生長調節物質を含む新しい培地に移しかえて更に増殖(継代培養)させる。
カルス誘導は寒天等の固型培地で行い、継代培養は例えば液体培養で行うと、それぞれの培養を効率良くかつ大量に行うことができる。次に、上記の継代培養により増殖したカルスを適当な条件下で培養することにより器官の再分化を誘導し(以下、「再分化誘導」という)、最終的に完全な植物体を再生させる。再分化誘導は、培地におけるオーキシンやサイトカイニン等の植物生長調節物質、炭素源等の各種成分の種類や量、光、温度等を適切に設定することにより行うことができる。かかる再分化誘導により、不定胚、不定根、不定芽、不定茎葉等が形成され、更に完全な植物体へと育成させる。あるいは、完全な植物体になる前の状態(例えばカプセル化された人工種子、乾燥胚、凍結乾燥細胞及び組織等)で貯蔵等を行ってもよい。
本発明の形質転換植物体は、形質転換を施した再分化当代である「T1世代」のほか、その植物の種子から得られた後代である「T2世代」、薬剤選抜あるいはサザン法等による解析によりトランスジェニックであることが判明した「T2世代」植物の花を自家受粉して得られる次世代(T3世代)などの後代植物をも含む。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
(実施例1) イネpsbO遺伝子、イネ#42遺伝子プロモーター配列の単離及び形質転換用ベクターへの導入
(1)プロモーターの単離
配列番号2に示す塩基配列を有するイネpsbO遺伝子(DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp):アクセッション番号AK104760)の5’上流域に位置するプロモーター配列の単離をゲノミックPCR法にて行った。イネ(品種:日本晴)幼植物体の緑葉よりDNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社)を使って抽出したゲノムDNAを鋳型とし、DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp:アクセッション番号AP003203)に登録されているイネゲノム配列情報から設計されたプライマー#23-5[5’-ATGCAAGCTTCACGAATTAGGGACTAAAGC-3’(下線部はHindIII制限酵素認識部位):配列番号7]と#23-3 [5’-GCTGCCATGGCCGCTCGCTCGCCTGCTCA-3’(下線部は、NcoI制限酵素認識部位):配列番号8]をプライマーとして用い、PCRを行った。プライマーは、psbO遺伝子のmRNAの情報から予測される翻訳開始コドンATGの5’側に位置する1999塩基対[配列番号1において7位(1位〜6位はHindIII認識配列)の塩基から2005位(2006位〜2011位はNcoI認識配列)までの塩基に対応]の配列を増幅するように設計した。また、プライマーは増幅断片のクローニングを容易にするため、増幅断片の5’末端(#23-5)及び3’末端(#23-3)に、それぞれ唯一のHindIII及びNcoI制限酵素認識部位を導入した。
PCR後、増幅断片(約2.0 kb)をEx Taqポリメラーゼ(Takara)を用いてdATP存在下で72℃、5分間処理して末端にAを付加し、Promega社のpGEM-T easy vector systemを用いてpGEM-T easyベクターにクローニングした。
クローニング後、インサートの塩基配列を解読し、上記の登録イネゲノム配列情報と同一であることを確認した。配列番号1にその塩基配列を示す。なお、配列番号1の塩基配列において1位〜6位までの塩基配列、2006位〜2011位までの塩基配列がクローニングに用いた制限酵素部位であり、1944位以降の塩基配列が転写領域である。
一方、配列番号5に示す塩基配列を有するイネ#42遺伝子(DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp):アクセッション番号AK058848)の5’上流域に位置するプロモーター配列の単離をゲノミックPCR法にて行った。イネ(品種:日本晴)幼植物体の緑葉よりDNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社)を使って抽出したゲノムDNAを鋳型とし、DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp:アクセッション番号AL606453)に登録されているイネゲノム配列情報から設計されたプライマー#42-5[5’-ATGCAAGCTTCACGAATTAGGGACTAAAGC-3’(下線部はHindIII制限酵素認識部位):配列番号9]と#42-3 [5’-GCTGCCATGGCCGCTCGCTCGCCTGCTCA-3’(下線部は、NcoI制限酵素認識部位):配列番号10]をプライマーとして用い、PCRを行った。プライマーは、#42遺伝子のmRNAの情報から予測される翻訳開始コドンATGの5’側3塩基上流までに位置する1266塩基対[配列番号4において6位(うち6位はHindIII認識配列AAGCTTの一部)の塩基から1271位(うち1270位〜1271位まではNcoI認識配列ccATGgの一部)までの塩基に対応]の配列を増幅するように設計した。また、プライマーは増幅断片のクローニングを容易にするため、増幅断片の5’末端(#42-5)及び3’末端(#42-3)に、それぞれ唯一のHindIII及びNcoI制限酵素認識部位を導入した。
PCR後、増幅断片(約1.3 kb)をEx Taqポリメラーゼ(Takara)を用いてdATP存在下で72℃、5分間処理して末端にAを付加し、Promega社のpGEM-T easy vector systemを用いてpGEM-T easyベクターにクローニングした。
クローニング後、インサートの塩基配列を解読し、上記の登録イネゲノム配列情報と同一であることを確認した。配列番号4にその塩基配列を示す。なお、配列番号4の塩基配列において1位〜6位までの塩基配列、1270位〜1275位までの塩基配列がクローニングに用いた制限酵素部位であり、1203位以降の塩基配列が転写領域である。
以上のイネ遺伝子プロモーター配列のクローニング手順を図1に示す。
(2)植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクターの構築
上記のプロモーター配列をイネに導入するために、植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクターpSMAHdN627-M2GUSを構築した(図2)。図2に示すように、本バイナリーベクターには、T-DNA上に植物用選抜マーカー遺伝子として、アグロバクテリウムTiプラスミド由来Nos(ノパリン合成酵素遺伝子)プロモーター::大腸菌由来HPT(ハイグロマシン耐性)遺伝子のコード領域::Tiプラスミド由来TiaaM(トリプトファンモノオキシゲナーゼ遺伝子)ターミネーターを配置し、形質転換された植物体がハイグロマイシンB耐性を示すようにした。また、その隣接部位にベータグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子のコード領域::Tiプラスミド由来Nosターミネーターから構成されるキメラ遺伝子を配置し、GUS遺伝子の5’上流側にプロモーター配列を挿入できるようにマルチクローニング部位を設けた。また、left border(LB)配列とright border(RB)の配列の外側には、微生物細胞で機能し得るスペクチノマイシン耐性(SpR)遺伝子、大腸菌で機能するpBR322由来(ColE1型)複製開始領域、アグロバクテリウム細胞内においてプラスミドが安定に保持されるための配列Sta、及び複製開始領域Repを設けた。
(3)バイナリーベクターへのプロモーター配列の導入
pGEM-T easyベクターをHindIII及びNcoIで二重消化することにより、イネpsbO遺伝子、イネ#42遺伝子プロモーター断片をそれぞれ切り出し、(2)で構築したpSMAHdN627-M2GUSベクターの対応する部位にクローニングした。得られたプラスミドをpSMAHdN627-psbOGUS、pSMAHdN627-#42GUSとそれぞれ命名し、バイオラッド社のE. coliパルサーを用いたエレクトロポレーション法(0.2 cmキュベット、パルス条件:2.4kV/cm、25μF、200Ω)により、アグロバクテリウムEHA105系統に導入した。
(実施例2) イネ形質転換
イネの形質転換は超迅速形質転換法(WO 01/06844 A1 (2001)参照)により行った。イネ(品種:日本晴)種子を、70 %エタノール、続いて次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、滅菌蒸留水ですすいで水を切った後、胚が上向きになるようN6D寒天培地〔N6 salts 及びvitamins (Chu C.C., C.S.Wang, C.C.Sun, C. Hsu, K.C. Yin, C.Y. Chu, Establishment of an efficient medium for anther culture of rice through comparative experiments on the nitrogen sources, Sci. Sinica, 18, 659-668 (1975))、30 g/L ショ糖、 0.3 g/L カザミノ酸、2.8 g/L プロリン、2 mg/L 2,4-D, 2 g/L ゲルライト、pH5.7〕に置床し、30℃かつ明条件下で5日間培養した。
一方、イネpsbO遺伝子プロモーター断片を挿入したプラスミドpSMAHdN627-psbOGUS、又はイネ#42遺伝子プロモーター断片を挿入したプラスミドpSMAHdN627-#42GUSを保持するアグロバクテリウムEHA105系統を、25 mg/Lクロラムフェニコール、25 mg/Lリファンピシン、及び100 mg/Lスペクチノマイシンを含むLB寒天培地にて28 ℃で3日間培養した。続いて増殖した菌体をミクロスパーテルで少量かきとり、20 mg/Lアセトシリンゴンを含むAAM液体培地 〔Hiei, Y., Ohta, S., Komari, T., Kumashiro, T., Efficient transformation of rice (Oryza sativa L.) mediated by Agrobacterium and sequence analysis of the boundaries of the T-DNA, Plant J., 6, 271-282 (1994)〕に懸濁した。このアグロバクテリウム懸濁液に、N6D培地で5日間培養したイネ発芽種子を浸し、菌液をよく切ったあと、20 mg/Lアセトシリンゴンを含むAAM寒天培地に置床し、25℃の暗条件下で3日間培養した(共存培養)。共存培養後のイネ発芽種子を滅菌水、続いて500 mg/Lカルベニシリンを含む滅菌水で洗浄し、滅菌ろ紙上で余分な水分を切った後にシュート基部を四分割し、500 mg/Lカルベニシリン及び30 mg/LハイグロマイシンBを含むN6D寒天培地に置床し、30℃の明条件下で14日間培養した。その後、成長してきたシュート基部を、組換え体再分化及び選択培地〔植物体再分化培地:MS salts及びvitamins (Murashige, T., Skoog, F., A revised medium for rapid growth and bioassays with tobacco tissue cultures, Physiol. Plant, 15, 473-497 (1962))、 30 g/l ショ糖、30 g/l ソルビトール、2 g/l カザミノ酸、0.02 mg/l NAA、2 mg/l カイネチン、2 g/l ゲルライト、pH 5.8〕に、300 mg/Lカルベニシリン + 30 mg/LハイグロマイシンBを添加したもの; Toki, S., 1997, Rapid and Efficient Agrobacterium-mediated transfomation of rice, Plant Mol Biol. Rep., 15: 16-21参照〕に移し、30℃かつ明条件下で14日間培養し、さらにこの操作をもう一度繰り返し、ハイグロマイシン耐性を有する植物体を再分化させた。このようにして得られた再分化個体をMSホルモンフリー寒天培地〔MS salts 及びvitamins(Murashige, T.ら、前掲)、30g/l ショ糖、4 g/l ゲルライト、pH5.8〕に移植し、30℃、明条件下で1〜2週間生育させ、シュート(地上部)の伸長、及び発根とその伸長を促した。シャーレ(直径9 cm)内で形質転換体のシュート及び根の長さが約10 cmあるいはそれ以上の長さに到達した際、培養土に移植し、遺伝子組換え体育成用グロースチャンバーにて明期14時間(30℃)- 暗期10時間(25℃)のサイクルでさらに生育させた。
(実施例3) 植物組織切片の作製とGUS染色による導入遺伝子の発現の観察
イネに導入したイネpsbO遺伝子、#42遺伝子プロモーターの活性を観察するため、GUS酵素活性の組織化学的染色を実施した。実験に用いた植物組織材料のうち、カルス、花器官、根についてはイネ個体あるいはカルス(培養細胞)から切り取った材料をそのまま反応液に浸漬した。葉身については展開葉を5〜10 mmの幅で切り取り5%の寒天に包埋し、マイクロスライサー(堂阪イーエム、DTK1000)を用いて80μmの厚さの切片を作製した〔植物細胞工学 第4巻281-285頁(1992)〕。稈基部については、根を切り取った稈(かん:イネ科植物の茎を表す用語)の根元から5-10 mmの組織を切り取り、また茎頂については前出の稈基部の直上部分を10 mmほど切り取り、葉身と同様の方法で80μmの厚さの切片を作製した。こうして作製した植物材料をGUS活性測定用の反応液〔50 mMリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)、1 mM 5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-glucuronide (X-Gluc)、5%(v/v) メタノール、10μg/mlシクロヘキシミド、1 mMジチオスレイトール〕に浸漬し、37℃で穏やかに振盪しながら24時間置いた。その後、100%エタノールで反応液を置換して反応を停止し、さらに24時間静置することにより緑色組織の細胞より葉緑素を除去した。次にエタノールを純水で置換した後、実体顕微鏡あるいは光学顕微鏡で染色パターンを観察した。
その結果、イネpsbO遺伝子プロモーターを導入した場合、葉身でGUS遺伝子の発現を示す青色の呈色が強く観察された。花器官においては内頴・外頴に比較的弱い活性が認められたが、内部の雌蕊、雄蕊などには発現は認められなかった。その他の組織・器官では、カルスにおいて弱い発現が認められたが、茎頂、稈基部、根では発現は認められなかった。(図3)。
一方、イネ#42遺伝子プロモーターを導入した場合、同様に、葉身でGUS遺伝子の発現を示す青色の呈色が強く観察された。葉身と葉鞘の境界部分の葉緑体の少ない白色組織(カラー部)においては発現が見られず、この組織をはさむ形で葉身、葉鞘にGUS活性が認められた。花器官では、内頴・外頴に弱い活性が認められたが、内部の雌蕊、雄蕊などには発現は認められなかった。その他の組織・器官(茎頂、稈基部、根)では発現は認められなかった。また、種子では発現は認められず、T2種子由来のカルスでは5粒中4粒の種子由来のカルスにおいてGUS活性が認められた(図4)。
本発明のイネ遺伝子プロモーターのクローニング手順を示す。 植物形質転換用バイナリーTiプラスミドベクター:pSMAHdN627-M2GUSの構造を示す。 イネpsbO遺伝子プロモーター遺伝子を導入した植物から調製した各植物材料におけるGUS染色結果を示す。 イネ#42遺伝子プロモーター遺伝子を導入した植物から調製した各植物材料におけるGUS染色結果を示す。

Claims (5)

  1. 以下の(a)、(b)又は(c)に示す、プロモーターとして機能しうるDNA。
    (a)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列からなるDNA
    (b)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA
    (c)配列表の配列番号1又は4に示す塩基配列の一部の塩基配列からなり、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA
  2. 請求項1に記載のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉に特異的な発現をもたらすプロモーター活性を有するDNA。
  3. 請求項1又は2に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  4. 請求項1又は2に記載のDNAと目的タンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えベクター。
  5. 請求項3又は4に記載の組換えベクターを導入した形質転換植物体。
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