JP2005168107A - 並列駆動型電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易で高寿命な並列駆動型電源装置を提供する。
【解決手段】 負荷2に並列接続されるDC−DCコンバータ1A、1Bの各々に関するVI特性線が、互いに異なる傾きを有し、かつ、動作範囲内において互いに交差するようにする。ある一つの出力電圧に対して2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの双方から電流が流れ出ることとなる範囲が広くなる。つまり、動作範囲の大部分において2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの双方に負荷が分散される。しかも、動作範囲の途中で、2つのDC−DCコンバータ1A、1Bからの出力電流IA,IBの大きさが逆転する。この結果、DC−DCコンバータ1A、1Bに対する負荷が均等化され、DC−DCコンバータ1A、1Bの寿命が伸び、ひいては並列駆動型電源装置自体の高寿命化が可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の電圧源を並列接続して構成される並列駆動型電源装置に関する。
従来より、DC−DCコンバータ等の直流電圧源を複数並列に接続して使用することが行われている。これは、複数の直流電圧源の各々に負荷を分散して、それぞれの寿命を延ばすことを目的とする場合や、電源装置の高出力化を図る場合に有効である。
この種の並列駆動型電源装置としては、いくつかの方式が提案されているが、それにはカレントシェア方式とオーバーフロー方式とがある。カレントシェア方式には、さらに、電圧源・電圧源タイプと、電圧源・電流源タイプとがある。
電圧源・電圧源タイプは、図11(A)に示したように、2つの直流電圧源100A,100Bを負荷に対して並列に接続して、これらの各々から同じ大きさの電流IA,IBを引き出して、出力電流I(=IA+IB)を得ようとするものである。この方式では、図11(B),(C)に示したように、2つの直流電圧源100A,100Bが全く同じVI特性をもつことが必要である。同じVI特性をもつ、とは、無負荷時の出力電圧が互いに等しく、かつ、負荷が増加(つまり、出力電流が増加)しても、出力電圧が一定を保つことを意味する。このように同じVI特性をもたせることにより、並列駆動型電源装置の全体のVI特性は、例えば図11(D)に示したように、負荷0から出力限界(Imax ×2)に至るまで、双方の直流電圧源100A,100Bから均等に電流が引き出されるので、双方の直流電圧源の負担が均等になる。したがって、並列駆動型電源装置全体の合計出力電流が等しいことを前提とすると、いずれか一方の直流電圧源からのみ電流が引き出されるようにした場合に比べて、双方の直流電圧源100A,100Bから均等に電流が引き出されるようにした方が、並列駆動型電源装置の寿命が延びる。例えば、個々の直流電圧源の最大出力電流をImax とすると、直流電圧源100Aの出力電流がImax であり直流電圧源100Bの出力電流が0(アンペア)であるように使用される場合に比べて、直流電圧源100A,100Bの各出力電流がそれぞれImax /2ずつとなるように使用される場合の方が直流電圧源100A,100Bが平均的に劣化するので、並列駆動型電源装置全体としての装置寿命が延びる。
電圧源・電流源タイプは、例えば下記の特許文献1において提案されているが、図12(A)に示したように、直流電圧源101Aと直流電流源101Bとを負荷に対して並列に接続して構成したものである。
特開平7−39151号公報
このタイプでは、直流電圧源101Aと直流電流源101Bの電流値をそれぞれ検出し、その検出結果を基に、双方の出力電流値が均衡するように直流電流源101Bのスイッチング素子(図示せず)を制御することにより、直流電流源101Bの出力電流を制御するようになっている。
また、オーバーフロー方式は、図13(A)に示したように、互いに異なる出力電圧の2つの直流電圧源102A,102Bを負荷に対して並列に接続して構成したものである。この方式では、低負荷領域では、より高い出力電圧をもつ1台目の直流電圧源(ここでは、直流電圧源102A)のみから電流が引き出される。そして、その1台目の直流電圧源の出力限界(一定電圧を維持しつつ電流を増加させることができなくなる点)を超えるほどまで負荷が増大して初めて2台目の(より出力電圧が低い)直流電圧源102Bからも電流が引き出され、それ以降、直流電圧源102A,102Bによる真の意味での並列運転となる。
しかしながら、上記した電圧源・電圧源タイプのカレントシェア方式(図11)は、理想的ではあるものの、2つの直流電圧源100A,100Bの出力電圧を正確に一致させることは、製造上困難であり、両者の出力電圧が僅かでもずれると、結果的に、図13に示したオーバーフロー方式と同じ駆動方式になってしまう。このオーバーフロー方式では、図13(D)に示したように、全動作範囲のうちの相当広範な領域(低負荷側の領域)において、より高い出力電圧の直流電圧源102Aにのみ負荷がかかることから、この直流電圧源102Aが早期に劣化し、並列駆動型電源装置全体としての寿命が短くなってしまう。
これに対して、上記特許文献1に記載された電圧源・電流源タイプのカレントシェア方式(図12)では、低負荷領域から高負荷領域に至る全動作範囲において、直流電圧源101Aと直流電流源101Bとからバランスよく電流が引き出されるので、それぞれに対する負荷が均等化され、並列駆動型電源装置全体としても寿命が延びる。しかしながら、この方式では、双方の出力電流値が均衡するように直流電流源101Bのスイッチング素子を制御する制御手段が必要になり、また、負荷過渡応答に電流源が追従するような制御方式が必要となる等、回路構成が複雑化し、コストが上昇するおそれがある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易で高寿命な並列駆動型電源装置を提供することにある。
本発明の並列駆動型電源装置は、負荷に対して並列に接続された2以上の直流電圧源を備え、2以上の直流電圧源のうち、任意の2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが互いに異なる傾きを有しかつ動作範囲内において互いに交差するようにしたものである。
この並列駆動型電源装置では、2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインがそれぞれ傾きを有することから、直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性線は、それぞれの動作範囲の大部分において、電流軸(横軸)と平行な一の直線と交差することとなり、その結果、ある一つの出力電圧に対して2つの直流電圧源の双方から電流が流れ出ることとなる範囲が広くなる。つまり、動作範囲の大部分において2つの直流電圧源の双方に負荷が分散されることになる。しかも、2つの電圧対電流特性ラインの傾きが互いに異なり、かつ動作範囲内で互いに交差するようになっていることから、その交差点を境として、ある一つの出力電圧に対して2つの直流電圧源からそれぞれ流れ出る電流の大きさが逆転する。このため、2つの直流電圧源の相互間での負荷バランスが良好となる。
また、上述の2以上の直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが電流軸と不平行であれば、2つの直流電圧源から流れる電流値が互いに近い値となるので、より効率的にバランスをとることができ、並列型駆動回路の更なる長寿命化が図れる。
本発明の並列駆動型電源装置では、2つの直流電圧源の少なくとも一方の出力線に外付け抵抗器を挿入配置して電圧対電流特性ラインの傾きを変化させるようにするか、または、2つの直流電圧源の各々として、それ自体の電圧対電流特性ラインが傾きを有するものを用いるように構成することが可能である。特に、直流電圧源を2つ備えるようにした場合には、各直流電圧源を、最も使用頻度の高い負荷電流値において2つの直流電圧源の各々に関する各出力電圧が互いに等しくなるように構成することが好ましい。
なお、本発明における文言の意義は以下の通りである。
「直流電圧源」とは、直流電圧を出力する電源をいい、直流−直流(DC−DC)コンバータや交流−直流(AC−DC)コンバータのほか、バッテリ電源も含む。「電圧対電流特性ライン」とは、直流電圧源における出力電圧と出力電流との関係を示す特性線をいう。「任意の2つ」とは、どの2つに着目したときでも、必ずその条件が満たされていることを意味する。「動作範囲」とは、並列駆動型電源装置の仕様として定められた出力電圧または出力電流の範囲をいう。
「異なる傾き」とは、2つの直流電圧源の電圧対電流特性の勾配が互いに異なることをいい、具体的には、負荷の増加に伴って、2つの電圧対電流特性ラインが互いに離れる方向に変化する場合と、互いに近づく方向に変化する場合とがある。なお、「傾き」は、勾配が0である場合、すなわち、電流軸と平行な場合を含む。「電流軸」とは、出力電圧および出力電流のうちの一方を横軸とし他方を縦軸として電圧対電流特性ラインを描いたとき、出力電流に対応する方の軸をいう。
「2つの直流電圧源の少なくとも一方の……その直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインの傾きを変化させる」とは、いずれか一方の直流電圧源の出力線にのみ外付け抵抗器を挿入配置して、その一方の直流電圧源に関する電圧対電流特性ラインにのみ傾きを与える場合と、互いに異なる抵抗値の外付け抵抗器を両方の直流電圧源の出力線に外付け抵抗器をそれぞれ挿入配置して、それらの2つの直流電圧源の電圧対電流特性ラインにそれぞれ傾きを与える場合とを含む意味である。
「使用頻度の高い」とは、通常運転時において出現頻度が最も高いことを意味し、「負荷電流値」とは、2つの直流電圧源の各出力電流値の合計、すなわち、その並列駆動型電源装置の出力電流値を意味する。
本発明の並列駆動型電源装置では、負荷に対して並列に接続された2以上の直流電圧源のうち、任意の2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが互いに異なる傾きを有しかつ動作範囲内において互いに交差するようにしたので、動作範囲の大部分において2つの直流電圧源の双方に負荷が分散される。しかも、電圧対電流特性ラインの交差点を境として、ある一つの出力電圧に対して2つの直流電圧源からそれぞれ流れ出る電流の大きさが逆転することから、2つの直流電圧源の相互間での負荷バランスが良好となる。このため、個々の直流電圧源への負荷が均等化され、並列駆動型電源装置としての寿命が延びる。しかも、2つの直流電圧源の各電圧対電流特性を外付けの抵抗器で調整するか、または、直流電圧源自体で内部的に調整するだけでよいので、複雑な制御回路が不要で構成が極めて簡易であり、コストアップの要因が少ない。
特に、直流電圧源を2つ備える場合に、各直流電圧源を、最も使用頻度の高い合計出力電流値の2分の1の中間電流値において2つの直流電圧源の各々に関する各出力電圧が互いに等しくなるようにし、2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが互いに異なる傾きを有しかつ中間電流値において互いに交差するようにした場合には、それらの2つの直流電圧源に対する負荷バランスを、より好適なものにすることができるので、さらなる高寿命化が期待できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る並列駆動型電源装置の構成を表すものである。この並列駆動型電源装置1は、直流電圧源としての第1のDC−DCコンバータ1Aおよび第2のDC−DCコンバータ1Bを備えている。DC−DCコンバータ1A、1Bの各出力線は、負荷2の入力端子T1,T2に対して、それぞれ並列に接続されている。
DC−DCコンバータ1A,1Bは、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するためのものであり、いずれも図示はしないが、入力巻線および出力巻線を有する電力変換トランスと、この電力変換トランスの入力巻線に接続され入力直流電圧(第1の直流電圧)をスイッチングするスイッチング回路と、このスイッチング回路のスイッチング動作に伴って電力変換トランスの出力巻線に現れる電圧を整流する整流回路と、整流された電圧を平滑化して第2の直流電圧として出力する平滑回路とを含んで構成される。
この並列駆動型電源装置1はまた、第1のDC−DCコンバータ1Aの正極側出力線に挿入配置された外付け抵抗器RAと、第2のDC−DCコンバータ1Bの正極側出力線に挿入配置された外付け抵抗器RBとを備えている。これらの外付け抵抗器RA,RBは、それぞれ、DC−DCコンバータ1A,1Bの出力電圧対出力電流特性(以下、VI特性という。)に傾きを与えるために設けられたものである。その詳細は後述する。
図2(A),(B)は、それぞれ、DC−DCコンバータ1A,1Bを負荷2に接続していない状態(すなわち、無負荷状態)を表すものである。図3(A)は、DC−DCコンバータ1A単体のVI特性を表し、図3(B)は、DC−DCコンバータ1B単体のVI特性を表すものである。図3(C)は、外付け抵抗器RAが付加された場合のDC−DCコンバータ1AのVI特性を表し、図3(D)は、外付け抵抗器RBが付加された場合のDC−DCコンバータ1BのVI特性を表すものである。図3(E)は、図3(C),(D)に示したVI特性をまとめて描いたものである。
図2(A),(B)および図3(A),(B)に示したように、DC−DCコンバータ1Aは、それ単体で定電圧VA0を出力し、DC−DCコンバータ1Bは、それ単体で定電圧VB0を出力するようになっている。本実施の形態では、VA0>VB0である。定電圧VA0,VB0の差はごく僅かなものであり、例えば、VA0=14.01[V],VB0=13.99[V]程度である。但し、図3では説明の便宜上、両者の差を誇張して描いている。
図3(C),(D),(E)に示したように、外付け抵抗器RAが付加された状態のDC−DCコンバータ1Aは、無負荷状態(IA=0)において電圧VA0を出力し、負荷の増加と共に出力電圧VAが徐々に低下するという傾きをもったVI特性線LAを有する。一方、外付け抵抗器RBが付加された状態のDC−DCコンバータ1Bは、無負荷状態において電圧VB0を出力し、負荷の増加と共に出力電圧VBが徐々に低下するという傾きをもったVI特性線LBを有する。外付け抵抗器RA,RBは、例えば1〜2Ω程度の小さな抵抗値を有するもので十分であるが、その値に応じてVI特性線LA,LBの傾きが変化する。この抵抗値をより大きくすれば、VI特性線LA,LBの傾きをより大きくすることができる。
VI特性線LAとVI特性線LBとは、互いに異なる傾きを有し、かつ動作範囲内において互いに交差している。なお、ここでいう動作範囲は、DC−DCコンバータ1A、1Bの各仕様として定められた出力電流の範囲をいい、例えば図3(C)〜(E)に示した例では、0〜IAmax,0〜IBmax である。
次に、図4〜図6を参照して、以上のような構成の並列駆動型電源装置1の動作を説明する。ここで、図4は、図3(E)に示したDC−DCコンバータ1A、1BのVI特性グラフをより詳細に描いたものである。図5は、この並列駆動型電源装置1における主な出力電圧値に対する出力電流値を表すものであり、図6は、図5に示した値をプロットして描いた並列駆動型電源装置1の総合VI特性線を表すものである。
図4に示したように、DC−DCコンバータ1Aは、外付け抵抗器RAの付加により、無負荷時の出力電圧VA0を始点として、負荷の増加と共に出力電圧VAが漸減するVI特性LAを有する。DC−DCコンバータ1Bは、外付け抵抗器RBの付加により、無負荷時の出力電圧VB0(<VA0)を始点として、負荷の増加と共に出力電圧VBがDC−DCコンバータ1Aの出力電圧VAと異なる割合(傾き)で漸減するVI特性LBを有する。この図では、VI特性線LAよりもVI特性LBの傾きの方が小さい。外付け抵抗器RAの付加されたDC−DCコンバータ1AのVI特性LAは、出力電圧範囲VA0〜VA1(出力電流範囲0〜IAmax )においてほぼ直線状を呈するが、出力電流IAmax を越えると出力電圧が急激に垂下する。同様に、外付け抵抗器RBの付加されたDC−DCコンバータ1BのVI特性LBは、出力電圧範囲VB0〜VB1(出力電流範囲0〜IBmax )においてほぼ直線状を呈するが、出力電流IBmax を越えると出力電圧が急激に垂下する。このような特性の2つのDC−DCコンバータ1A,1Bを含む並列駆動型電源装置1は、出力電圧範囲VA0〜VA1において動作可能である。すなわち、出力電圧範囲VA0〜VA1が並列駆動型電源装置1の動作範囲に該当する。
ここで、2つのVI特性線LA,LBは、いずれも、電流軸(横軸)に対して傾きをもっているので、この並列駆動型電源装置1の動作範囲の大部分において、電流軸と平行な一の直線と交差する。このため、ある一つの出力電圧に対してDC−DCコンバータ1A、1Bの双方から電流が流れ出ることとなる範囲が広くなる。つまり、動作範囲の大部分においてDC−DCコンバータ1A、1Bの双方に負荷が分散されることになる。
また、VI特性線LAよりもVI特性LBの傾きの方が小さいことから、2つのVI特性線LA,LBは、各直線領域の中央部分の1点CPにおいて、互いに交差する。すなわち、この交差点CPを境として、ある一つの出力電圧に対して2つのDC−DCコンバータ1A、1Bからそれぞれ流れ出る電流の大きさが逆転する。このため、2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの相互間での負荷バランスが良好となる。以下、この点について、より詳細に説明する。
DC−DCコンバータ1A、1Bは負荷2に対して並列接続されているので、並列駆動型電源装置1の出力電流(すなわち、実際に負荷2に供給される電流)の大きさは、より高い出力電圧をもつ方のDC−DCコンバータによって支配される。したがって、DC−DCコンバータ1Bの出力限界電圧VB0を超える電圧の範囲では、DC−DCコンバータ1Aのみが電流を出力する。例えば、電圧V1(>VB0)のときは、出力電流は、DC−DCコンバータ1Aから出力される電流IA1のみである。また、電圧VB0のときは、出力電流は、DC−DCコンバータ1Aから出力される電流IAdのみである(図5参照)。
負荷が重くなり、出力電圧が電圧VB0よりも小さくなると、今度はDC−DCコンバータ1Aのみならず、DC−DCコンバータ1Bからも電流が流れ始める。例えば、電圧V2(<VB0)では、DC−DCコンバータ1A、1Bから、それぞれ、電流IA2,IB2が流れ、並列駆動型電源装置1の総出力電流はIA2+IB2となる(図5参照)。電圧VB0よりも小さい電圧範囲においては、DC−DCコンバータ1Aからの出力電流IAの方がDC−DCコンバータ1Bからの出力電流IBよりも大きい。例えば上記の電圧V2では、IA2>IB2である。
出力電圧が、2つのVI特性線LA,LBの交差点CPに対応する電圧Vcになると、DC−DCコンバータ1A、1Bからは、それぞれ同じ出力電流Icが流れ、並列駆動型電源装置1の総出力電流はI0=Ic×2となる(図5参照)。この電流値I0は、並列駆動型電源装置1の最も使用頻度の高い合計出力電流値と等しく設定するのが好ましい。言い換えると、最も使用頻度の高い合計出力電流値I0の2分の1の中間電流値Icにおいて2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの各々に関する各出力電圧が互いに等しくなるように設定するのが好ましい。
出力電圧が、交差点CPに対応する電圧Vcを下回ると、DC−DCコンバータ1Aからの出力電流IAとDC−DCコンバータ1Bからの出力電流IBの大小関係が逆転し、出力電流IBの方が大きくなる。例えば、電圧V3(<Vc)では、DC−DCコンバータ1A、1Bから、それぞれ、電流IA3,IB3が流れ、並列駆動型電源装置1の総出力電流はIA3+IB3であるが、各電流の大小関係はIA3<IB3となる(図5参照)。
負荷がさらに重くなり、出力電圧がVB1になると、DC−DCコンバータ1Aからの出力電流がIAs、DC−DCコンバータ1Bからの出力電流がIBmaxとなる。さらに負荷が重くなり、出力電圧がV4になると、DC−DCコンバータ1Aからの出力電流がIA4、DC−DCコンバータ1Bからの出力電流がIB4となる。そして、負荷がさらに重くなって出力電圧がVA1になると、DC−DCコンバータ1Aからの出力電流がIAmax 、DC−DCコンバータ1Bからの出力電流がIB5となる。ここで、電流値IB4、IB5は電圧垂下過程の電流であり、IAmax 、IBmax は、それぞれ、上記したようにVI特性LA,LBが直線性を維持できる限界の電流値である。なお、電圧VA1を下回る電圧範囲では並列駆動型電源装置1自体の動作を停止させるようにするのが好ましい。
本実施の形態の並列駆動型電源装置では、上記したように、出力電圧がVA0〜VA1の範囲を動作範囲として設定されている。すなわち、出力電圧がVA0〜VA1の範囲で正常に動作し、そのVI特性は、図6に示したように、無負荷時の出力電圧VA0を始点として負荷の増加と共に出力電圧Vが漸減するVI特性となる。この図から明らかなように、出力電圧範囲がVA0〜VB0(出力電流範囲0〜IAd)では、DC−DCコンバータ1Aのみから電流が流れるが、それ以外の出力電圧範囲VB0〜VA1(出力電流範囲IAd〜IAmax +IB5)では、DC−DCコンバータ1A、1Bの双方から電流が流れる。すなわち、動作範囲の大部分において、DC−DCコンバータ1Aのみならず、DC−DCコンバータ1Bも動作する。したがって、出力電圧の大きいDC−DCコンバータ1Aにのみ負荷がかかってしまう、という不都合を回避することができる。
しかも、本実施の形態では、2つのVI特性線LA,LBが各動作範囲の中央部分の1点CPにおいて互いに交差していることから、この交差点CPを境として、ある一つの出力電圧に対して2つのDC−DCコンバータ1A、1Bからそれぞれ流れ出る電流の大きさが逆転し、2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの相互間での負荷バランスをとることができる。特に、最も使用頻度の高い合計出力電流値I0の2分の1の中間電流値Icにおいて2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの各々に関する各出力電圧が互いに等しくなるように設定するようにすれば、DC−DCコンバータ1A、1Bの相互間での負荷バランスが一層良好になる。
このように、本実施の形態の並列駆動型電源装置によれば、2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインがそれぞれ傾きを有することから、DC−DCコンバータ1A、1Bの各々に関するVI特性線LA,LBは、それぞれの動作範囲の大部分において、電流軸(横軸)と平行な一の直線と交差することとなり、その結果、ある一つの出力電圧に対して2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの双方から電流が流れ出ることとなる範囲が広くなる。つまり、動作範囲の大部分において2つのDC−DCコンバータ1A、1Bの双方に負荷が分散される。しかも、2つのVI特性線LA,LBの傾きが互いに異なり、かつ動作範囲内で互いに交差するようになっていることから、その交差点CPを境として、一の出力電圧に対して2つの直流電圧源からそれぞれ流れ出る電流の大きさが逆転する。このため、2つの直流電圧源の相互間での負荷バランスが良好となる。この結果、DC−DCコンバータ1Aの寿命が伸び、ひいては並列駆動型電源装置1自体の高寿命化に繋がる。
なお、上記の説明では、電圧VB1を下回った場合には電圧垂下状態でDC−DCコンバータ1Aを動作させ、電圧VA1を下回る電圧範囲では並列駆動型電源装置1自体の動作を停止させるようにしたが、これに代えて、電圧VB1を下回る電圧範囲で並列駆動型電源装置1自体の動作を停止させるようにしてもよい。
また、上記の説明では、DC−DCコンバータ1A、1Bの各正極側に外付け抵抗器RA,RBをそれぞれ配置するようにしたが、これに代えて、DC−DCコンバータ1A、1Bの各負極側に外付け抵抗器RA,RBをそれぞれ配置するようにしてもよい。
さらに、上述の説明では、DC−DCコンバータ1A,1BのVI特性線LA,LBのどちらも出力電流軸に対して不平行であるとしたが、2つのVI特性のいずれか一方が出力電流軸に平行であることを否定するものではない。例えば、図4において、VI特性線LBが0〜IBmaxの範囲で出力電流軸に平行であり、出力電流値がCP、出力電圧値がVcでVI特性線LAと交差するものでも良い。この場合、並列駆動型電源装置にかかる負荷が軽い場合には、出力電流は、DC−DCコンバータ1Aから出力される電流IA1のみである。負荷が重くなり、出力電圧が電圧VcになるとDC−DCコンバータ1Bからも電流が僅かに流れ始まる。このときDC−DCコンバータ1Aから出力される電流はIcである。負荷が更に重くなっても、VI特性LBが、出力電流軸と平行であるため、DC−DCコンバータ1Aから出力される電流はIcを維持し、DC−DCコンバータ1Bから出力される電流が上昇する。負荷が更に重くなりVI特性LBが、電圧垂下過程、すなわち、VI特性LBの出力電流軸と平行な部分の電圧から下がった状態になると、これに合わせてVI特性LAの出力電圧も下がり、この出力電圧に相当する電流がDC−DCコンバータ1A,1Bから出力されることとなる。
このように、VI特性線LBが0〜IBmaxの範囲で出力電流軸と平行になっていると、2つのVI特性線LA,LBの交差点に対応する出力電圧Vcにおいては、DC−DCコンバータ1Aの出力電流IAが一定値Icをとる一方、DC−DCコンバータ1Bの出力電流IBは0〜IB5の間で変化する。すなわち、出力電流IAと出力電流IBとが常に接近した値であるようにはならない。これに対し、VI特性線LA,LBが共に電流軸と平行でない場合には、出力電流IAと出力電流IBとが、常に、比較的接近した値をとるようになる。このため、DC−DCコンバータ1A,1Bの劣化の度合いを、より均等化することができ、長寿命化を図れるのである。
[変形例]
上記実施の形態では、DC−DCコンバータ1A、1Bについて、それぞれ、外付け抵抗器RA,RBを付加することにより、図4に示したような各DC−DCコンバータ1A、1BについてのVI特性を得るようにしたが、これとは異なり、図7に示した並列駆動型電源装置1αのように、DC−DCコンバータ1A、1Bのいずれか一方にのみ外付け抵抗器を設けるようにしてもよい。図7に示した例では、DC−DCコンバータ1Aの出力ラインにのみ外付け抵抗器RAを挿入配置している。なお、図7において、図1に示した構成要素と同じものには同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
本変形例では、DC−DCコンバータ1A,1B自体のVI特性は、図8(A)に示したように、上記実施の形態(図3(A),(B))とは異なり、互いに等しい傾きをもっているものとする。但し、無負荷時の出力電圧VA0,VB0は、互いに異なっており、VA0>VB0である。このようなDC−DCコンバータ1Aに外付け抵抗器RAを付加することにより、DC−DCコンバータ1AのVI特性は、図8(A)の状態から、図8(C)に示した傾きをもつVI特性線LAへと変化する。但し、この場合の外付け抵抗器RAの抵抗値は、上記実施の形態の場合(図3(A),(C))の値とは異ならせるのが妥当である。一方、DC−DCコンバータ1Bについては、VI特性線LBに変化はない(図8(D)参照)。結局、両者のVI特性を重ねて描いた図8(E)は、図3(E)と同じになる。
このように、DC−DCコンバータ1A,1B自体のVI特性が元々傾きをもっている場合には、いずれか一方のDC−DCコンバータにのみ外付け抵抗器を付加するだけでよいので、回路構成がより簡易になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
上記実施の形態では、DC−DCコンバータ1A、1Bの少なくとも一方に外付け抵抗器を付加することにより図4に示したようなVI特性を得るようにしたが、各DC−DCコンバータを、それ自体で図4に示したような傾きを有するVI特性を持つように予め構成すれば、外付け抵抗器は不要である。この場合には、図9に示したように、DC−DCコンバータ3A、3Bの各出力線を負荷2の入力端子T1,T2に直接並列接続して並列駆動型電源装置3を構成すればよい。なお、図9で、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。DC−DCコンバータ3A、3B自体が、図4に示したような傾きを有するVI特性をもつようにするには、その内部回路を、例えば図10に示したように構成すればよい。
図10に示したように、DC−DCコンバータ3Aは、1次側の基本回路として、入力直流電圧から電磁妨害(EMI)成分を除去するための入力フィルタ31Aと、入力直流電圧を平滑化するための入力コンデンサ32Aと、平滑化された入力直流電圧をスイッチングしてほぼ矩形波状の交流電圧波形に変換するスイッチング回路33Aとを備えている。DC−DCコンバータ3Aはまた、スイッチング回路33Aからの交流電圧が印加される1次側巻線と、1次側巻線に入力された交流電圧を電圧変換して出力する2次側巻線とを有するトランス34Aを備えている。DC−DCコンバータ3Aはさらに、2次側の基本回路として、トランス34Aからの出力交流電圧を整流して平滑化するための整流平滑回路35Aと、電磁妨害成分の発生を阻止するための出力フィルタ36Aとを備えている。整流平滑回路35Aは、いずれも図示しないが、1対の整流ダイオードと、平滑回路をなすチョークコイルおよび出力コンデンサとを含んで構成される。
DC−DCコンバータ3Aはまた、制御回路として、入力コンデンサ32Aからスイッチングか33Aに供給される電流の値を検出する電流検出回路37Aと、整流平滑回路35Aからの出力電圧の値を検出する出力電圧検出回路38Aと、スイッチング回路33Aを駆動するドライバ回路39Aと、電流検出回路37Aにより検出された検出電流値と出力電圧検出回路38Aにより検出された出力電圧値とに基づいてドライバ回路39Aを制御するカレントモード制御回路40Aとを備えている。電流検出回路37Aは、いわゆるカレントトランスとして構成され、ドライバ回路39Aは、いわゆるパルストランスとして構成される。出力電圧検出回路38Aは、いずれも図示しないが、例えば、整流平滑回路35Aの正極出力端と接地との間に直列接続された2つの分圧生成用抵抗器と、これらの2つの分圧生成用抵抗器の相互接続点に一端側が接続されたVI特性傾き調整用抵抗器とから構成される。2つの分圧生成用抵抗器の相互接続点は、カレントモード制御回路40Aの定電位端子(図示せず)に接続され、VI特性傾き調整用抵抗器の他端側は、カレントモード制御回路40Aの比較電位端子(図示せず)に接続されている。カレントモード制御回路40Aは、いわゆるPWM(パルス幅モジュレーション)制御、すなわち、パルス幅デューティ制御によってドライバ回路39Aを制御するものである。
なお、DC−DCコンバータ3Bは、図12に示したDC−DCコンバータ3Aと同様の構成を有するので、その説明を省略する。
この並列駆動型電源装置3は、次のように動作する。出力電圧検出回路38Aは、DC−DCコンバータ3Aの出力電圧を検出し、また、電流検出回路37Aは、DC−DCコンバータ3Aの出力電流を検出する。並列駆動型電源装置3に接続されている負荷が重くなる、すなわち、負荷抵抗が小さくなると、DC−DCコンバータ3A,3Bのそれぞれに流れる電流が大きくなるため、電流検出回路37Aによってそのことが検出される。このときカレントモード制御回路40Aは、比較電位端子の電圧を上げる。したがって、比較電位端子とVI特性傾き調整用抵抗器を介して接続されている定電位端子の電圧も上がる。この低電位端子と電圧上昇に基づいて、カレントモード制御回路40Aは、ドライバ回路39Aを制御して、スイッチング回路33Aのスイッチング動作間隔を狭める。これにより、並列駆動型電源装置3の出力電圧が下がる。この結果、上記の第1の実施の形態で示したVI特性(図6)と同様のVI特性が得られる。
このように、本実施の形態によれば、DC−DCコンバータ3A,3B自身が図4に示したVI特性をもつように構成しているので、図4における外付け抵抗器RA,RBが不要となる。このため、この外付け抵抗器による電力消費がなくなり、効率が上がるという利点を有する。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施の形態では、2つのDC−DCコンバータを並列接続した例について説明したが、本発明はこれに限られず、3以上のDC−DCコンバータを並列接続した場合にも同様である。この場合には、それらのうちの任意の2つのDC−DCコンバータのVI特性線が、図4に示したように、互いに異なる傾きを有し、かつ、動作範囲内において互いに交差していればよい。
また、上記各実施の形態および変形例では、直流電圧を出力する電源として、2つのDC−DCコンバータを例示したが、2つの交流−直流(AC−DC)コンバータや、2つのバッテリ電源についても適用可能であり、さらに、それらの任意の組み合わせについても適用可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る並列駆動型電源装置の全体構成を表すブロック図である。 図1に示した並列駆動型電源装置を構成するDC−DCコンバータの無負荷時の状態を表す図である。 図1に示した並列駆動型電源装置を構成する各DC−DCコンバータのVI特性を表す図である。 図3(E)に示したVI特性をより詳細に表す図である。 図1に示した並列駆動型電源装置についての、主要な出力電圧における出力電流値を示す図である。 図5に基づいて得られる、並列駆動型電源装置のVI特性を示す図である。 変形例に係る並列駆動型電源装置を示すブロック図である。 図7に示した並列駆動型電源装置を構成する各DC−DCコンバータのVI特性を表す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る並列駆動型電源装置の全体構成を表すブロック図である。 図11に示した並列駆動型電源装置を構成するDC−DCコンバータの回路図である。 従来のカレントシェア方式の並列駆動型電源装置における一例を説明する図である。 従来のカレントシェア方式の並列駆動型電源装置における他の例を説明する図である。 従来のオーバーフロー方式の並列駆動型電源装置における一例を説明する図である。
符号の説明
1,1α,3…並列駆動型電源装置、1A,1B,3A,3B…DC−DCコンバータ、2…負荷、RA,RB…外付け抵抗器、LA,LB…VI特性線。

Claims (5)

  1. 負荷に対して並列に接続された2以上の直流電圧源を備え、
    前記2以上の直流電圧源のうち、任意の2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが、互いに異なる傾きを有し、かつ、動作範囲内において互いに交差している
    ことを特徴とする並列駆動型電源装置。
  2. 前記2以上の直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが電流軸と不平行であることを特徴とする請求項1記載の並列駆動型電源装置。
  3. 前記2つの直流電圧源の少なくとも一方の出力線に外付け抵抗器を挿入配置して電圧対電流特性ラインの傾きを変化させることにより、前記2つの直流電圧源の各々に関する電圧対電流特性ラインが、互いに異なる傾きを有し、かつ、動作範囲内において互いに交差するようにした
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の並列駆動型電源装置。
  4. 前記2つの直流電圧源の各々として、それ自体の電圧対電流特性ラインが傾きを有するものを用いる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の並列駆動型電源装置。
  5. 2つの直流電圧源を備え、
    各直流電圧源を、最も使用頻度の高い負荷電流値において前記2つの直流電圧源の各々に関する各出力電圧が互いに等しくなるようにした
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の並列駆動型電源装置。
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