JP2005166373A - 飛行時間型質量分析装置および該装置を備えた固形試料不純物分析装置 - Google Patents

飛行時間型質量分析装置および該装置を備えた固形試料不純物分析装置 Download PDF

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淳二 小林
Hiroshi Kurokawa
博志 黒川
Jiro Naka
慈朗 中
Tatsuya Shiromizu
達也 白水
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Abstract

【課題】簡易的に固形試料中の不純物の含有量を調べることができる固形試料不純物分析装置を提供する。
【解決手段】固形試料保持部の多孔性フィルタの下部に配置される液溜部および該液溜部に接続する加熱可能なキャピラリ管を含む抽出装置と、該キャピラリ管に接続され、ガスをイオン化するイオン化部および該イオンの質量分析部を含む飛行時間型質量分析装置とを組み合わせている。プラスチックなどの固体試料に溶剤を滴下したのち、抽出液中に含まれる高沸点の添加剤を2段階加熱によりガス化したのち、熱電子によるイオン化後、同心円状のメッシュ線電極群および周囲の遮蔽板中央の線状アパーチャー部により、同心円平面に垂直方向の空間的なばらつきを抑えたのちに、イオンを分析するようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は飛行時間型質量分析装置および該装置を備えた固形試料不純物分析装置に関する。
プラスチック添加剤の分析法としては、抽出、精製および濃縮といったプロセスを用いた化学的な前処理を行なったのちに、ガスクロマトグラフ質量分析装置により分析する方法が一般的である。本分析法は、たとえばポリプロピレン中の分析の場合については、非特許文献1に記載されている。また、廃液や排出ガス中の有害有機物をオンラインで監視するための装置としては、たとえば特許文献1に記載されているような装置がある。しかしながら、これらは非常に手間がかかるか、または高価であるという問題があり、さらに簡易的な分析手段が強く望まれている。このため、プラスチック添加剤を物理的な分析手段により簡易に直接検出することが課題となっている。
プラスチック添加剤を直接検出するためには、分析質量範囲が広く、たとえば質量数として1〜2000程度までの分析が可能で、かつ感度ができるだけ高い質量分析装置が必要であるため、飛行時間型の質量分析装置が最適である。一般に化学的に抽出された溶媒中には、添加剤以外にプラスチック主成分のオリゴマーや各種不純物が含まれており、それらから対象とする添加剤を精製および濃縮することが重要である。それらの化学的前処理をできるだけ省略した形で、直接物理的に対象成分を分析するためには前述した分析可能な質量と高感度の条件が必要となってくる。
前記飛行時間型質量分析装置(TOFMS)をプラスチック添加剤の検出方法として用いる方法としては、プラスチックを溶剤で抽出した溶液を直接分析装置に導入し、揮発性ガスの成分を測定する方法がある。たとえば、抽出液中の対象成分をガス化したのち、ガス成分をイオントラップにより飛行時間型質量分析装置に導入する方法(特許文献1)、ガス成分を冷却固化したのち、レーザでイオン化して飛行時間型質量分析装置に導入する方法(特許文献2)、およびガスをイオン源から引き出したのち、垂直加速により飛行時間型質量分析装置に導入する方法(特許文献3、一般にOA-TOFMSと呼ばれる)がある。このOA-TOFMSは、ガスイオン源から一方向(y方向)にイオン流を引き出し、途中加速しつつイオン加速領域で垂直電場を印加してリフレクトロン型の分析装置にイオンを導入し、検出するものである。
抽出液のガス化は、一般に試料溶液の注入口を高温に保持することで可能であるが、イオントラップやレーザを利用してガスをイオン化するため高価となり、一般的ではない。また、垂直加速法では、一方向(y方向)からイオンを引き出すため飛行時間型質量分析装置への導入効率が充分ではなく、さらに一般に高価であるという問題がある。
「高分子添加剤の分離・分析技術」 特開2002−250716号公報 特開平9−80025号公報 特開2000−260387号公報
本発明は、叙上の事情に鑑み、簡易に固形試料中の不純物(たとえばプラスチック中の添加剤)の含有量を調べることができる飛行時間型質量分析装置および該装置を備えた固形試料不純物分析装置を提供することを目的とする。
本発明の固形試料不純物分析装置は、固形試料保持部の多孔性フィルタの下部に配置される液溜部および該液溜部に接続する加熱可能なキャピラリ管を含む抽出装置と、該キャピラリ管に接続され、ガスをイオン化するイオン化部および該イオンの質量分析部を含む飛行時間型質量分析装置とを組み合わせてなることを特徴としている。
また、本発明の固形試料不純物分析装置は、固体試料中の不純物の溶媒抽出のための多孔性フィルタを有する試料保持板と、側面から溶媒の通過可能な側面多孔性フィルタを有する乾燥管と、該乾燥管の周りに配置されるヒータと、加熱可能なキャピラリ管と、イオン化用フィラメント、同心円メッシュ線状のパルス電極群および加速用平行パルス電極群を備えた飛行時間型質量分析装置とからなることを特徴としている。
また、本発明の飛行時間型質量分析装置は、ガスをイオン化するイオン化部と、該イオン化部で生成されたイオンを一平面上で同心円状に発散させる同心円メッシュ線状のパルス電極群と、該パルス電極群の下部に配置されるアパーチャー部と、前記イオンの質量分析部と、該質量分析部にイオンを導入するために、前記平面に垂直方向の電場を形成する加速用平行パルス電極群とを備えてなることを特徴としている。
さらに、本発明の固形試料不純物分析装置は、固形試料から不純物を抽出する抽出装置とイオンを分析する飛行時間型質量分析装置とが垂直方向に配置されており、前記抽出装置が、固体試料中の不純物の溶媒抽出のための多孔性フィルタを有する固形試料保持部と、側面から溶媒の通過可能な多孔性フィルタを有する乾燥管および該乾燥管の周りに配置されるヒータを有する溶剤乾燥部と、加熱可能なキャピラリ管を有する試料ガス導入部かとらなるとともに、前記飛行時間型質量分析装置が、ガスをイオン化するイオン化部と、同心円メッシュ線状のパルス電極群および加速用平行パルス電極群を有するイオン光学部と、イオンの質量分析部とからなることを特徴としている。
本発明によれば、簡易に固形試料であるプラスチック中の添加剤(不純物)の含有量を調べることができる。
本発明においては、従来困難であったプラスチック添加剤を小型の物理分析手段により簡易に分析するために以下の工夫を行なった。すなわち、プラスチックなどの固体試料に溶剤を滴下したのち、抽出液中に含まれる高沸点の添加剤を2段階加熱によりガス化したのち、熱電子によるイオン化後、同心円状のメッシュ線電極群および周囲の遮蔽板中央の線状アパーチャー部により、同心円平面に垂直方向の空間的なばらつきを抑えたのちに、イオンを分析するようにしている。固形試料から検出部までを小型で直線的な配置とし、固形試料への溶剤滴下以外はオンラインで分析できる構成にされている。
以下、添付図面に基づいて、本発明の飛行時間型質量分析装置および該装置を備えた固形試料不純物分析装置を説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかわる固形試料不純物分析装置の概略構成図、図2はプラスチック中の添加剤の分析装置の原理を示す図、図3は本発明にかかわる分析のフローチャートである。これらの図により発明の一実施の形態を以下、説明する。
図1〜2に示されるように、本実施の形態にかかわる固形試料不純物分析装置は、固形試料12から不純物を抽出する抽出装置と、イオンが検出部31に到達する時間を計測して、イオンを分析する飛行時間型質量分析装置とから構成されている。
前記抽出装置は、図1および図3に示されるように、固形試料保持部11A、溶剤乾燥部11Bおよび試料ガス導入部11Cからなり、前記飛行時間型質量分析装置は、イオン化部(イオン源)11E、イオン光学部11Fおよび質量分析部11Dからなる。
本実施の形態では、まず固形試料であるプラスチック試料片12を固形試料保持部11Aの上部を仕切った試料保持板14上に静置する。該試料保持板14は、中央部に多孔性フィルタ14aを備えており、試料片12に滴下された抽出液(溶剤)13が下部に流出できるようになっている。また、たとえば所定の溶媒13を少量(1cc程度)滴下し、試料片12から抽出される不純物である、プラスチック添加剤を含んだ溶液が、保持板14の中央部のフィルタ14aを通して、前記溶媒乾燥部11Bに流下する。
流下した溶液は、溶剤乾燥部11Bのヒータ16により周囲を加熱され、側面に多孔性フィルタ15を備えた乾燥管17を通過するあいだに、低沸点抽出溶剤が乾燥管17の周囲に蒸発し、高沸点の添加剤を含んだ濃縮溶液になる。
前記溶媒乾燥部11Bは、ポンプ22により乾燥管17の周囲を低真空状態に保持しておき、蒸発した溶媒は当該ポンプ22により系外に排出される。前記濃縮溶液は、乾燥管17の下部の液溜部から、試料ガス導入部11Cのキャピラリ管19に導かれる。このキャピラリ管19は半径1mm以下の細管であり、イオン化部11Eに導入される溶液量を制限するとともに、試料環境である、固形試料保持部11Aの大気圧とイオン化部11Eの高真空状態を分離する働きをする。また、キャピラリ管19はヒータ18により200℃以上に加熱されており、添加剤の成分はキャピラリ管19の下部にてガス化したのち、イオン化部11Eに導入される。
前記イオン化部11Eは、ガスをイオン化するための、イオン化用フィラメントである熱電子放出フィラメント1、イオンをその中心軸方向で加速する円筒形電極2、該電極2の周囲に配置される磁石3およびイオン流の速度を制御する平板電極4から構成されている。前記フィラメント1は、できるだけ円筒形電極2の軸線の中央近くに近づけさせて設置されており、その配列構造は、本発明において、とくに限定されるものではなく、直線形、正方形または三角形など適宜設定することができる。このフィラメント1は、たとえばピン1a、1bに接続されており、所定の電圧が印加されると電子e-を生成する。この電子e-はガスの分子mと衝突してイオンをイオン室のy方向に引き出す(生成する)。この引き出されたイオンは、z方向の質量分析部11Dへ導入するため、まずイオン光学部11Fへ導入される。前記円筒形電極2は、たとえばピン2aに接続されており、イオンを収束させるために配置されている。また、前記磁石3は、円筒形電極2を通る電子の通路の距離を長くするために配置されている。前記平板電極4は、ピン4aに接続されており、該平板電極4により速度が制御されたイオン流は、イオン光学部11Fに達する。なお、前記イオン化部11Eのイオン室とイオン光学部11Fのイオン光学室とは、遮蔽板を兼ねた部屋区切り部5により電気的に遮蔽されている。
前記イオン光学部11Fは、同心円メッシュ線状のパルス電極群であるメッシュ線電極群7と、イオン加速用平行パルス電極群である押し出し電極6および引き出し用メッシュ電極8とから構成されている。このメッシュ線電極群7はピン(図示せず)に接続されているとともに、押し出し電極6および引き出し用メッシュ電極8もそれぞれピン6a、8aに接続されている。前記メッシュ線電極群7は、前記イオン化部11Eにおいて生成されたイオンを一平面上で同心円状に発散させるものであって、該メッシュ線電極群7の平面上で速度がゼロになるように制御されたイオンを平面上に広げる働きをする。そして、平面上にイオンを蓄積した時点で、押し出し電極6および引き出し用メッシュ電極8にパルス電圧を印加すると、平面に垂直方向の電場を形成し、イオンをメッシュ線電極群7の平面と垂直方向(z方向)に加速する。なお、前記メッシュ線電極群7は、たとえば図4に示されるように、3本のリング状電極7a、7bおよび7cからなり、外方の電極ほど高い電圧が掛けられるように設定されている。また、図5(a)に示されるように、前記メッシュ線電極群7に印加されるパルス電圧のパルスに対して、前記押し出し電極6および引き出し用メッシュ電極8に印加されるパルス電圧のタイミングは図5(b)に示すように設定されている。
また、前記メッシュ線電極群7と平板電極4は、該メッシュ線電極群7の平面にイオン通過部を設けるように遮蔽板9により電気的に遮蔽されている。前記引き出しメッシュ用電極8の下部には、イオン導入用のアパーチャーを同心円状または線状に配したアパーチャー部である第2引き出し電極10を備えており、前記引き出しメッシュ用電極8と第2引き出し電極10により、前記イオンを2段階に加速するとともに、イオンを飛行時間型の質量分析部11Dへ導入する。
なお、前記イオン化部11Eおよびイオン光学部11Fは、ともにポンプ23、24により高真空状態に保持されている。かかる真空度は、本発明において、とくに限定されるものではないが、たとえばイオン化部11Eでは約10-5Pa、イオン光学部11Fでは約10-8Paの真空度が望ましい。放出されたイオンは、前記質量分析部11Dで分析される。前記押し出し電極6および引き出し用メッシュ電極8により、パルス的に飛行時間計測管(図示せず)に導入した時点をスタートに、検出部31、たとえばMCP(マイクロチャンネルプレート)などからなるイオン検出器などに到着するまでのイオンの飛行時間を計測し、イオンの質量分析を行なう。
本実施の形態では、プラスチックのような固体試料中の不純物を溶剤抽出と組み合わせて、抽出液のガス化後にオンラインで飛行時間型の質量分析部に導入して分析するので、簡易に固形試料であるプラスチック中の添加剤の含有量を調べることができる。
なお、本実施の形態では、プラスチック添加剤を対象とした場合について説明したが、本発明は、固体試料中から抽出される高沸点物質の分析に汎用的に適用することができる。
また、本発明における、ガスのイオン化およびイオン流の生成については、本実施の形態にかかわるイオン化部(イオン源)に限定されるものではなく、たとえば平板電極を省いたイオン源、円筒形電極に代えて円錐形電極を用いたイオン源またはレーザを用いたイオン源などとすることもできる。
本発明の一実施の形態にかかわる固形試料不純物分析装置を示す概略構成図である。 プラスチック中の添加剤の分析装置の原理を示す図である。 本発明にかかわる分析のフローチャートである。 メッシュ線電極群の構成を上部から見た概略図である。 パルス電圧の印加のタイミングを示した図である。
符号の説明
1 熱電子放出フィラメント、2 円筒形電極、3 磁石、4 平板電極、5 部屋区切り部、6 押し出し電極、7 メッシュ線電極群、8 引き出し用メッシュ電極、
9 遮蔽板、10 第2引き出し電極、12 プラスチック試料片、13 抽出液(溶剤)、14 試料保持板、16 ヒータ、17 乾燥管、18 ヒータ、19 キャピラリ管、22 ポンプ、23 ポンプ、24 ポンプ、31 検出部、11A 固形試料保持部、11B 溶剤乾燥部、11C 試料ガス導入部、11D 質量分析部、
11E イオン化部(イオン源)、11F イオン光学部。

Claims (5)

  1. 固形試料保持部の多孔性フィルタの下部に配置される液溜部および該液溜部に接続される加熱可能なキャピラリ管を含む抽出装置と、該キャピラリ管に接続され、ガスをイオン化するイオン化部および該イオンの質量分析部を含む飛行時間型質量分析装置とを組み合わせてなることを特徴とする固形試料不純物分析装置。
  2. 前記飛行時間型質量分析装置が、前記イオン化部で生成されたイオンを一平面上で同心円状に発散させる同心円メッシュ線状のパルス電極群と、該パルス電極群の下部に配置されるアパーチャー部と、前記イオンを質量分析部に導入するために、前記平面に垂直方向の電場を形成する加速用平行パルス電極群とを備えてなる請求項1記載の固形試料不純物分析装置。
  3. 固体試料中の不純物の溶媒抽出のための多孔性フィルタを有する試料保持板と、側面から溶媒が通過可能な側面多孔性フィルタを有する乾燥管と、該乾燥管の周りに配置されるヒータと、加熱可能なキャピラリ管と、イオン化用フィラメント、同心円メッシュ線状のパルス電極群および加速用平行パルス電極群を備えた飛行時間型質量分析装置とからなることを特徴とする固形試料不純物分析装置。
  4. ガスをイオン化するイオン化部と、該イオン化部で生成されたイオンを一平面上で同心円状に発散させる同心円メッシュ線状のパルス電極群と、該パルス電極群の下部に配置されるアパーチャー部と、前記イオンの質量分析部と、該質量分析部にイオンを導入するために、前記平面に垂直方向の電場を形成する加速用平行パルス電極群とを備えてなることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  5. 固形試料から不純物を抽出する抽出装置とイオンを分析する飛行時間型質量分析装置とが垂直方向に配置されており、前記抽出装置が、固体試料中の不純物の溶媒抽出のための多孔性フィルタを有する固形試料保持部と、側面から溶媒が通過可能な多孔性フィルタを有する乾燥管および該乾燥管の周りに配置されるヒータを有する溶剤乾燥部と、加熱可能なキャピラリ管を有する試料ガス導入部とからなるとともに、前記飛行時間型質量分析装置が、ガスをイオン化するイオン化部と、同心円メッシュ線状のパルス電極群および加速用平行パルス電極群を有するイオン光学部と、イオンの質量分析部とからなることを特徴とする固形試料不純物分析装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010170987A (ja) * 2008-12-26 2010-08-05 Canon Anelva Corp 質量分析方法およびそれに用いる質量分析装置
JP2013535800A (ja) * 2010-08-10 2013-09-12 エフ・イ−・アイ・カンパニー 荷電粒子検出器

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