JP2005157306A - 光学補償板の製造方法、光学補償板、光学フィルム及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の光学補償板と同等の位相差値を有し、かつ面内位相差のバラツキが少ない、薄型化した光学補償板を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる工程(1)、次いで加熱延伸処理する工程(2)を含む光学補償板の製造方法において、ポリカーボネートフィルムは、厚みが20μm以上50μm未満であり、かつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上であるものを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる工程(1)、次いで加熱延伸処理する工程(2)を含む光学補償板の製造方法において、ポリカーボネートフィルムは、厚みが20μm以上50μm未満であり、かつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上であるものを用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、薄型の光学補償層の製造方法に関する。また本発明は当該製造方法により得られた光学補償板、光学補償光板を少なくとも1つ用いた光学フィルムに関する。さらに本発明は、上記光学補償板、光学フィルムを用いた液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置に関する。
現在、中小型LCDの市場では、薄型化および広視野角化のニーズが強い。その中で、STN−LCD用の広視野角光学補償板は、厚み方向に位相差を持たせたポリカーボネートフィルムからなるものが主流を占めている。広視野角光学補償板の厚み方向の位相差は、たとえば、ポリカーボネートフィルムに対して、熱収縮フィルムの幅方向および流れ方向の収縮力を利用することにより得られている(特許文献1参照)。具体的には、ポリプロピレン等の二軸フィルムを粘着剤を介しポリカーボネートフィルムの両面に貼り合わせ、これを加熱延伸することで二軸ポリプロピレンフィルムが幅方向および流れ方向に収縮され、その結果、厚み方向に伸ばされる形となり、厚み方向の位相差が得られる。
しかし、厚み方向に伸ばされて得られるフィルム(光学補償板)は、他の光学部材に比べより厚くなる問題があった。したがって、熱収縮フィルムを利用して、薄型の広視野角光学補償板を得るためには、基材となるポリカーボネートフィルムをより薄くする必要があった。しかし、光学補償板は薄くなるに従って位相差値が小さくなるため、熱収縮フィルムを用いて、従来の光学補償板と同等の位相差値を有する薄型化した光学補償板を得ることは困難であった。一方、基材となるポリカーボネートフィルムとして薄いものを用いて同等の位相差値を有する光学補償板を製造すると面内位相差にバラツキが生じる。
特開平5−157911号公報
本発明は、熱収縮フィルムを利用して、従来の光学補償板と同等の位相差値を有し、かつ面内位相差のバラツキが少ない、薄型化した光学補償板を製造する方法を提供することを目的とする。
また本発明は、前記製造方法により得られた光学補償板を提供すること、当該光学補償光板を少なくとも1つ用いた光学フィルムを提供することを目的とする。さらに本発明は、上記光学補償板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記光学補償板の製造方法により上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
1.ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる工程(1)、次いで加熱延伸処理する工程(2)を含む光学補償板の製造方法において、
ポリカーボネートフィルムは、厚みが20μm以上50μm未満であり、かつ、
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上であることを特徴とする光学補償板の製造方法。
ポリカーボネートフィルムは、厚みが20μm以上50μm未満であり、かつ、
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上であることを特徴とする光学補償板の製造方法。
2.貼り合わせる工程(1)において、ポリカーボネートフィルムの両面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせることを特徴とする上記1に記載の光学補償板の製造方法。
3.粘着剤がアクリル系粘着剤であることを特徴とする上記1または2に記載の光学補償板の製造方法。
4.光学補償板の面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとした場合に、
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数を、−1〜1の範囲で制御できることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数を、−1〜1の範囲で制御できることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
5.光学補償板の厚さが、20〜60μmであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
6.光学補償板の面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸とし、
それぞれの軸方向の屈折率をnx、nyとした場合に、
Δn=nx−nyで表される複屈折率(Δn)が、1.0×10-2〜2.0×1.0-2であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
それぞれの軸方向の屈折率をnx、nyとした場合に、
Δn=nx−nyで表される複屈折率(Δn)が、1.0×10-2〜2.0×1.0-2であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
7.上記1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた光学補償板。
8.上記7記載の光学補償板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
9.上記7記載の光学補償板、上記8記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
上記本発明の光学補償板の製造方法では、熱収縮性フィルムとして、上記収縮応力、収縮率を満足する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることにより、得られる光学補償板の複屈折率を上げることができる。そのため、光学補償板を形成する基材であるポリカーボネートフィルムとして、従来よりも薄いものを用いて、光学補償板を薄型化した場合にも従来と同等の位相差値を有する光学補償板を製造することができる。また得られる光学補償板の面内位相差のバラツキを小さく制御できる。すなわち、かかる本発明の製造方法よれば、複屈折率(Δn)が1.0×10-2〜2.0×1.0-2を有し、かつ厚みを60μm以下に薄型化した光学補償板を得ることができる。またNz係数を、−1〜1の広い範囲で制御できる。このように薄型化した光学補償板は、STN−LCD用の500nm以上の高位相差を補償する広視野角光学補償板として好適に使用できる。
本発明の光学補償板の製造方法では、まず、ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる工程(1)を施す。
基材であるポリカーボネートフィルムとしては、厚みが20μm以上50μm未満であるものを用いる。熱収縮性フィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いることから、得られる光学補償板の厚みが基材よりも厚くなるが、前記50μm未満の基材を用いることで、厚さが20〜60μmの薄型化した光学補償板を得ることができる。
ポリカーボネートフィルムの素材であるポリカーボネートは、重縮合反応によりカーボネート結合を形成した高分子材料であり、一般的にビスフェノール誘導体と、ホスゲンまたはジフェニールカーボネートから得られる。ビスフェノール誘導体としては、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげられる。更にこれらのフェニル基の水素基が一部メチル基やハロゲン基で置換されているものであってもよい。これらビスフェノール誘導体は1種を、または2種以上を組み合わせて用いられる。またポリカーボネートにはテレフタル酸、イソフタル酸等の成分を含むポリエステルカーボネートを使用することもできる。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムとしては、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上である熱収縮性フィルムを用いる。かかる収縮応力、収縮率が高い熱収縮性フィルムを用いることで、複屈折率(Δn)の大きく、面内位相差のバラツキが少ない光学補償板が得られる。
前記幅方向における収縮応力は2.5〜4.5N/mm2が好ましく、さらには3〜4N/mm2が好ましい。前記幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)は3〜5が好ましく、さらには3.5〜4.5が好ましい。また、流れ方向の収縮率は15%以上が好ましい。流れ方向の収縮率は30%以下であるのが好ましい。幅方向の収縮率は28%以上、さらには30%以上が好ましい。カール防止、加工性、位相差特性の点からは、流れ方向の収縮率は、50%以下であるのが好ましい。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さは、一般には接着処理時の取扱性や収縮処理の操作性、収縮力の付与性などの点より20〜500μm程度であり、好ましくは35〜300μm、さらに好ましくは40〜200μmである。
貼り合わせる工程(1)では、前記ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは加熱延伸処理時の操作性、得られる光学補償板の位相差特性の点からポリカーボネートフィルムの両面に貼り合わせるのが好ましい。なお、貼り合わせは、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの搬送の流れ方向と、ポリカーボネートフィルムの搬送方向が一致するように行なう。
粘着剤としては例えばアクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系などの各種粘着剤を用いることができ、これらは1種を単独で又は2種以上を用いることができる。また加熱延伸処理する工程(2)においては二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対して良好な接着状態を維持でき、一方加熱延伸処理する工程(2)後の剥離工程においては、糊残りなく容易に分離できるものが好適である。このような二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対する濡れ性が良好であり、加熱収縮処理で接着力が可及的に上昇しにくい低剥離タイプの粘着剤としては、アクリル系粘着剤が好適である。粘着層の厚さは、通常1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらには好ましくは10〜30μmである。
なお、前記ポリカーボネートフィルムと前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムとの粘着剤による貼りあわせ方法は特に制限されないが、通常、二軸延伸ポリプロピレンフィルムに粘着層を付設し、これをポリカーボネートフィルムに貼り合わせる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムへの粘着層の付設は、塗工して乾燥処理する方式、セパレータ上に設けた粘着層を移着する方式などを採用できる。なお粘着層を付設する二軸延伸ポリプロピレンフィルム面には粘着層との密着力の向上を目的としたコロナ処理等の各種表面処理を施すことができる。
次いで加熱延伸処理する工程(2)を施す。加熱延伸処理は、ロール延伸機、テンター、二軸延伸機等の延伸機を用いて行うことができる。その処理温度は、前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムのガラス転移温度の近傍、特にガラス転移温度の±30℃以内、特に±20℃以内の温度範囲で行うことが処理操作の制御性による位相差の高精度化などの点より好ましい。特にガラス転移温度以上での処理が特に好ましい。なお、延伸倍率は、得られる光学補償板に要求される位相差により適宜に調整される。複屈折率(Δn)が、1.0×10-2〜2.0×1.0-2の光学補償板を得るには、延伸倍率は、通常、1.1〜2倍程度に調整するのが好ましい。
次いで上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離する。得られた光学補償板は、厚みが60μm以下に薄型化されているが、複屈折率(Δn)が1.0×10-2〜2.0×1.0-2を有するものが得られる。また光学補償板は、延伸温度、延伸倍率を制御することで、Nz係数を、−1〜1に制御することができる。
本発明の光学補償板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、たとえば、偏光板に積層した楕円偏光板または円偏光板として用いられる。
偏光板に用いられる偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものが用いられる。保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどがあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系粘着剤としては、ポリビニルアルコール系粘着剤、ゼラチン系粘着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムとしては、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記楕円偏光板または円偏光板について説明する。これらは直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板(光学補償板)としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いら
れる。
れる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
本発明の光学補償板には、ポリカーボネート系延伸フィルムが用いられるが、これにさらに他の位相差板を積層することができる。例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有する2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。位相差板を複数枚用いる場合には、ポリカーボネート以外の他の材料の位相差板を用いることができる。他の材料の位相差板の具体例としては、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。
本発明の光学補償板は、視角補償フィルムとして用いることもでき、偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。前記位相差板は、一軸延伸処理された複屈折を有するフィルムが用いられるのに対し、このような視角補償位相差板としては、二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルムが用いられる。なお、視角補償フィルムとしては、他に液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したもの、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板があげられる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。前記位相差板の粘着剤層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。位相差板の両側に光学層を積層する場合には、積層した光学層に別途液晶セル貼付け用の粘着剤層を設けることができる。前記の位相差板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
なお本発明において、上記した位相差板、偏光板を形成する偏光子や保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の光学補償板を含む光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に前記光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、本発明の構成及び効果を具体的に示す実施例等について説明する。光学補償板の屈折率nx、ny、nzは、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21ADH)により550nmにおける屈折率を計測した。その結果から、Nz係数、Δn=nx−nyで表される複屈折率(Δn)を算出した。面内位相差=Δn・d、である。dは厚み(nm)である。面内位相差(Δn・d)のバラツキは、流れ方向に300mm長、幅方向に400mm長のサンプルを切り取り、中央の1点および四隅の4点の計5点の面内位相差を測定し、最大値と最小値の差によりにより測定した。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの160℃での収縮応力(流れ方向,幅方向)は以下の通りである。(1)流れ方向の収縮応力測定用に流れ方向100mm、幅方向25mmでフィルムを切り取る。一方、幅方向の収縮応力測定用に幅方向100mm、流れ方向25mmでフィルムを切り取る。(2)テンシロン(RTM−100,東洋ボールドウィン)に(1)の各サンプルをチャック間距離100mmでセットする。(3)160℃に昇温後、2分間160℃を保持し、その時の応力の最大値をチャートから読み取り、収縮応力とする。また、収縮率(流れ方向,幅方向)は、X−Yステージのついた顕微鏡:株式会社トプコン製の平面座標測定機CP−600Sを用いて測定した。二軸延伸ポリプロピレンフィルムに予め印を二箇所つけておき、加熱(160℃で2分間)前後にその距離を測定することで、収縮率を求めた。なお、収縮率は以下の計算式より算出した。収縮率(%)={(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/加熱前の寸法}×100。
実施例1
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
熱収縮性フィルムとして、厚さ60μmの長尺二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。当該二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、160℃における搬送の流れ方向に直交する幅方向の収縮応力が3.2N/mm2、幅方向/流れ方向の収縮応力比が3.9であり、流れ方向の収縮率が16%、幅方向の収縮率が33%である。
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
熱収縮性フィルムとして、厚さ60μmの長尺二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。当該二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、160℃における搬送の流れ方向に直交する幅方向の収縮応力が3.2N/mm2、幅方向/流れ方向の収縮応力比が3.9であり、流れ方向の収縮率が16%、幅方向の収縮率が33%である。
(光学補償板の製造)
前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にアクリル系粘着層(厚さ15μm)を形成した後、その粘着層を介し、厚さが35μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムの両面に接着した。これを160℃の雰囲気下に加熱設定した延伸機にて1.20倍の条件にて流れ方向に延伸しつつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを加熱収縮させることでポリカーボネートフィルムに流れ方向と幅方向の収縮処理を施し、その後、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して光学補償板を連続的に製造した。
前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にアクリル系粘着層(厚さ15μm)を形成した後、その粘着層を介し、厚さが35μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムの両面に接着した。これを160℃の雰囲気下に加熱設定した延伸機にて1.20倍の条件にて流れ方向に延伸しつつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを加熱収縮させることでポリカーボネートフィルムに流れ方向と幅方向の収縮処理を施し、その後、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の性能)
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.0であった。なお、Δn=1.3×10-2、d=42μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.0であった。なお、Δn=1.3×10-2、d=42μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。
実施例2
(光学補償板の製造)
実施例1で用いたのと同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にアクリル系粘着層(厚さ15μm)を形成した後、その粘着層を介し、厚さが45μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムの両面に接着した。これを145℃の雰囲気下に加熱設定した延伸機にて1.30倍の条件にて流れ方向に延伸しつつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを加熱収縮させることでポリカーボネートフィルムに流れ方向と幅方向の収縮処理を施し、その後、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の製造)
実施例1で用いたのと同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にアクリル系粘着層(厚さ15μm)を形成した後、その粘着層を介し、厚さが45μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムの両面に接着した。これを145℃の雰囲気下に加熱設定した延伸機にて1.30倍の条件にて流れ方向に延伸しつつ、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを加熱収縮させることでポリカーボネートフィルムに流れ方向と幅方向の収縮処理を施し、その後、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを剥離して光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の性能)
得られた光学補償板は、Δn・d=617nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=1.3×10-2、d=47μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±3nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=617nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。
得られた光学補償板は、Δn・d=617nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=1.3×10-2、d=47μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±3nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=617nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。
比較例1
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
熱収縮性フィルムとして、厚さ30μmの長尺二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。当該二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、160℃における搬送の流れ方向に直交する幅方向の収縮応力が1.2N/mm2、幅方向/流れ方向の収縮応力比が2.3であり、流れ方向の収縮率が11%、幅方向の収縮率が22%である。
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
熱収縮性フィルムとして、厚さ30μmの長尺二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。当該二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、160℃における搬送の流れ方向に直交する幅方向の収縮応力が1.2N/mm2、幅方向/流れ方向の収縮応力比が2.3であり、流れ方向の収縮率が11%、幅方向の収縮率が22%である。
(光学補償板の製造)
上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたこと、延伸倍率を2.87倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたこと、延伸倍率を2.87倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の性能)
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=1.5×10-2、d=37μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±10nm以内であり、実施例1に比べて大きくなっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際には色むらによって表示品位が損なわれた。
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=1.5×10-2、d=37μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±10nm以内であり、実施例1に比べて大きくなっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際には色むらによって表示品位が損なわれた。
比較例2
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
比較例1と同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
比較例1と同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
(光学補償板の製造)
上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたこと、厚さ65μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムを用いたこと、延伸倍率を1.30倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
上記二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたこと、厚さ65μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムを用いたこと、延伸倍率を1.30倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の性能)
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=7.9×10-3、d=70μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−0.3未満にすることは不可能であった。延伸後の厚みは70μmであり実用面で問題があった。
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0.5であった。なお、Δn=7.9×10-3、d=70μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−0.3未満にすることは不可能であった。延伸後の厚みは70μmであり実用面で問題があった。
比較例3
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
実施例1と同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)
実施例1と同様の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
(光学補償板の製造)
厚さ65μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムを用いたこと、延伸倍率を1.05倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
厚さ65μmで面内位相差が5nmの長尺ポリカーボネートフィルムを用いたこと、延伸倍率を1.05倍としたこと以外は、実施例1と同様にして光学補償板を連続的に製造した。
(光学補償板の性能)
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0であった。なお、Δn=7.9×10-3、d=70μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。延伸後の厚みは70μmであり実用面で問題があった。
得られた光学補償板は、Δn・d=550nmで、Nz=0であった。なお、Δn=7.9×10-3、d=70μmであった。また400mm×400mmサイズの面内位相差のバラツキは±5nm以内に納まっていた。この補償板にアクリル系粘着剤を介し偏光板を貼り合せた光学フィルムを液晶パネルに実装した際にも表示品位が損なわれることがなかった。なお、Δn・d=550nmの光学補償板においては温度、延伸倍率の条件により、Nz係数を−1〜1の範囲に制御可能であった。延伸後の厚みは70μmであり実用面で問題があった。
Claims (9)
- ポリカーボネートフィルムの少なくとも片面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせる工程(1)、次いで加熱延伸処理する工程(2)を含む光学補償板の製造方法において、
ポリカーボネートフィルムは、厚みが20μm以上50μm未満であり、かつ、
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、搬送の流れ方向に直交する幅方向における、160℃での収縮応力が2〜6N/mm2であり、160℃での幅方向の収縮応力と流れ方向の収縮応力の比(幅方向/流れ方向)が2.5〜5.5であり、かつ流れ方向の収縮率が13%以上であり、幅方向の収縮率が24%以上であることを特徴とする光学補償板の製造方法。 - 貼り合わせる工程(1)において、ポリカーボネートフィルムの両面に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを粘着剤を介して貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載の光学補償板の製造方法。
- 粘着剤がアクリル系粘着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償板の製造方法。
- 光学補償板の面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとした場合に、
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で表されるNz係数を、−1〜1の範囲で制御できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。 - 光学補償板の厚さが、20〜60μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。
- 光学補償板の面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、nyとした場合に、
Δn=nx−nyで表される複屈折率(Δn)が、1.0×10-2〜2.0×1.0-2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償板の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた光学補償板。
- 請求項7記載の光学補償板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項7記載の光学補償板、請求項8記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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2004
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