JP2005156309A - 塗膜の耐候性評価方法及び促進劣化試験方法並びに促進劣化試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗膜の促進劣化試験において、屋外暴露での塗膜の「変色」又は「退色」のみならず、塗膜の「割れ」及び「剥離」を高い精度で再現可能とする。
【解決手段】塗膜の促進劣化試験の試験単位Aは、PH1で、60℃の溶液に、1時間にわたり被検体を酸浸漬する第1の工程1と、この第1の工程1を経た被検体に、強エネルギーキセノンによって光照射量100MJ/m2の光照射を施す第2の工程2とによって構成される。第2の工程2では、被検体に、先ず、80分にわたり水スプレー及び光照射を施し、次いで、60分にわたり温度73℃で光照射のみを施こす。第2の工程2では、80分にわたり行なわれる水スプレー及び光照射と、60分にわたり温度73℃で行なわれる光照射とを、順次、所定回数繰り返す。強エネルギーキセノンによる光照射量100MJ/m2の光照射は、第2の工程2の全体にわたって施される。そして、第1の工程1と第2の工程2とからなる試験単位Aを所定回数繰り返す。
【選択図】図1
【解決手段】塗膜の促進劣化試験の試験単位Aは、PH1で、60℃の溶液に、1時間にわたり被検体を酸浸漬する第1の工程1と、この第1の工程1を経た被検体に、強エネルギーキセノンによって光照射量100MJ/m2の光照射を施す第2の工程2とによって構成される。第2の工程2では、被検体に、先ず、80分にわたり水スプレー及び光照射を施し、次いで、60分にわたり温度73℃で光照射のみを施こす。第2の工程2では、80分にわたり行なわれる水スプレー及び光照射と、60分にわたり温度73℃で行なわれる光照射とを、順次、所定回数繰り返す。強エネルギーキセノンによる光照射量100MJ/m2の光照射は、第2の工程2の全体にわたって施される。そして、第1の工程1と第2の工程2とからなる試験単位Aを所定回数繰り返す。
【選択図】図1
Description
本発明は、主として屋外で使用される耐久消費財に施された塗膜の耐候性評価方法及び促進劣化試験方法並びに促進劣化試験装置に関し、更に詳細には、自動車の車体に施された塗膜の促進劣化試験方法及びこの方法に使用する装置に関するものである。
従来、塗膜の耐候性評価には屋外暴露試験と促進劣化試験が用いられている。屋外暴露試験は、被検体を自然環境下で劣化させ、被検体を構成する材料の耐候性、耐光性、耐オゾン性等を調べる試験である。したがって、屋外暴露試験では、被検体である材料が実際に曝される環境に近い状態で劣化するから、材料の劣化が現実に即しているという特長がある。しかし、その反面、試験に非常に時間がかかること、データの再現性が低いこと、暴露場所によって結果が異なる場合があること等の問題がある。これに対して、促進劣化試験は、自然環境に近似するように人工的に作られた環境に被検体を置き、被検体を構成する材料の劣化を促進させることができる状態で材料を劣化させることにより、材料の耐候性、耐光性、耐オゾン性等を調べる試験である。したがって、促進劣化試験では、屋外暴露に比べて短い時間で試験をすることができること、同じ試験装置を使用した場合には、試験結果の再現性が比較的良好であること等の特長がある。
そこで、塗膜の耐候性を評価するに当たり、比較的短時間で試験結果を得ることができる「変色」については屋外暴露試験を使用し、試験結果を得るまでに長時間を要する塗膜の「割れ」及び「剥離」については促進劣化試験を使用して、全体としての試験時間の短縮を図るのが通常である。しかしながら、このように屋外暴露試験に促進劣化試験を併用した場合でも、データ採取までに約2年程度の時日を要しているため、塗料及び塗装技術の開発を迅速に行なうことができない。
塗膜の耐候性を迅速に評価するため、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は、樹脂製の塗膜が施されたセメント系硬化体を試験体として使用することにより、この試験体に施された塗膜の耐久性を迅速に評価する耐久性促進試験法を開示する。この方法は、所定の加温給水工程と急水冷工程とを経た試験体を所定の乾燥工程で乾燥させることによって、試験体の塗膜に温水白化に類似した状態を生じさせ、この疑似温水白化の程度を測定することによって、塗膜の耐久性を迅速に評価することを特徴とする。また、特許文献2は、塗料等の有機材料中のCH基量に関するパラメータに対する、NH基及び/又はOH基量に関するパラメータの比である、「劣化指標値」と、当該有機材料が耐候劣化に至るときの劣化指標値である「劣化基準値」とを使用し、耐候劣化試験の進行に伴って増加する「劣化指標値」の増加比率と、前述の「劣化基準値」とに基づいて、当該有機材料の劣化時期を予測する、有機材料の耐候性評価方法である。前者は、塗料の劣化の度合を示す温水白化現象を疑似的に生成することにより、塗膜の耐候性評価の迅速化を図る発明であり、後者は、単位時間における「劣化指標値」の増加量から塗膜の劣化時期を予測することにより、塗膜の耐候性評価の迅速化を図る発明である。
特開2000−206034号公報
特願2003−082280号明細書
屋外暴露試験は特定の場所で屋外に被検体を置き、その場所の自然条件を構成する環境因子が被検体に及ぼす影響を検証する試験であるから、被検体が置かれた場所によって被検体の劣化に影響を及ぼす環境因子に差異は存するものの、被検体に生じた変化は自然条件下で生じた変化に変わりはない。これに対し、促進劣化試験は、人工的に生成した疑似自然条件下に被検体を置き、この疑似自然条件の環境因子が被検体に及ぼす影響を評価する試験であるから、促進劣化試験の試験結果を屋外暴露試験の試験結果に整合させるためには、促進劣化試験の試験条件の設定が重要である。
従来の促進劣化試験法では、塗膜の「変色」又は「退色」については各種塗膜の「変色」自体を代表特性とし、また、塗膜の「割れ」及び「剥離」については各種塗膜の「光沢低下」の度合を代表特性とし、これらの代表特性の変化挙動が屋外暴露における変化挙動と同じになるように試験条件を設定している。しかし、各種塗膜の「光沢低下」の度合と塗膜の「割れ」及び「剥離」との因果関係についての解析が十分になされていなかったので、促進劣化試験の試験条件が屋外暴露での「光沢低下」を再現する条件に設定された場合でも、促進劣化試験の試験結果が屋外暴露での塗膜の「割れ」及び「剥離」を再現することができない場合がある。このため、従来の促進劣化試験法によって塗膜の「割れ」及び「剥離」を評価すると、塗膜の耐候性評価を失敗する場合があった。
近年、塗膜の耐候性評価に使用される促進劣化試験機として、強エネルギー型キセノン光源を使用した試験機が開発されている。この試験機は、従来の試験機に比べて格段に精度が良く、劣化促進性も良好であるため、日本自動車工業会はこの試験機を用いた促進劣化試験法をJASO M351として規格化するに至っている。このM351は外板用試験モードである。日本自動車工業会が規格化した促進劣化法(以下、自工会法という。)の試験モードと試験条件を図2に示す。同図に示すように、自工会法では、被検体に対して18分間にわたって水スプレーと光照射とを同時に施す第1工程と、102分間にわたって温度63℃で光照射のみを施す第2工程とを組み合わせて1ユニットとし、第1工程と第2工程とにわたって光照射量100MJ/m2の強エネルギーキセノンを照射する。そして、このユニットを所定の回数だけ繰り返すことにより、塗膜の促進劣化を行い、この試験結果に基づいて塗膜の耐候性評価を行なう。自工会法は、塗膜の変色については精度良く評価することが可能であるが、塗膜の「割れ」及び「剥離」については高い精度で評価することができない。
自工会法も含めて、従来の促進劣化試験法では、塗膜の促進劣化試験の試験条件として塗膜の「光沢低下」を塗膜の「割れ」及び「剥離」の代表特性にしているが、屋外暴露での「光沢低下」を再現することができる試験条件で塗膜の促進劣化試験を行なった場合であっても、その試験結果は、屋外暴露での塗膜の「割れ」及び「剥離」を再現していない。そこで、本発明の目的は、塗膜の促進劣化試験において、屋外暴露での塗膜の「変色」又は「退色」のみならず、塗膜の「割れ」及び「剥離」を高い精度で再現可能とし、これによって、短期間に、かつ、正確に、塗膜の耐候性を評価することができる、塗膜の耐候性評価方法及び促進劣化試験方法並びに促進劣化試験装置を提供することにある。
本発明は、塗膜の促進劣化試験において屋外暴露での塗膜の「割れ」及び「剥離」を再現可能にするため、塗膜を形成する樹脂の「親水化度」及び「脆化度」のうちのいずれか一方又は双方を、塗膜の「割れ」及び「剥離」のうちのいずれか一方又は双方についての代表特性とし、これらの代表特性に基づいて塗膜の促進劣化試験の試験条件を設定することにより、屋外暴露の変化挙動を再現することを最も主要な特徴とする。ここにいう「親水化度」は、CH基量に関するパラメータ値に対する、NH基及びOH基のうちのいずれか一方又は双方の量に関するパラメータ値に基づいて決定される。ここで、塗膜を形成する樹脂の「親水化度」は、赤外分光法を使用してNH値及びOH/CH値によって定量化する。具体的には、NH基及びOH基のうちのいずれか一方又は双方の量に関するパラメータ値の測定、及び、CH基量に関するパラメータ値の測定は、赤外分光法による赤外線スペクトルで各基がピークを示したときのピーク面積を測定することによって行なう。また、塗膜の「脆化度」は、ガラス転移温度Tgに基づいて定量化する方法と、破断エネルギー(Fracture Energy)値に基づいて定量化する方法とがある。ガラス転移温度Tgは、DSC(示差熱走査熱量計)を使用して定量化することができる。これに対し、破断エネルギー(Fracture Energy)値は、引張り試験機によって測定して定量化することができる。破断エネルギー(Fracture Energy)値は、また、フォード社のR&Aのマーク・ニコルス(Mark Nichols)考案法によって定量化することができる。
本発明の塗膜の耐候性評価方法は、塗膜を形成する樹脂の「親水化度」及び「脆化度」のうちのいずれか一方又は双方を、塗膜の「割れ」及び「剥離」のうちのいずれか一方又は双方についての代表特性とし、これらの代表特性に基づいて塗膜の促進劣化試験の試験条件を設定するから、屋外暴露での塗膜の「変色」又は「退色」のみならず、塗膜の「割れ」及び「剥離」を高い精度で再現可能とし、これによって、短期間に、かつ、正確に、塗膜の耐候性を評価することができるという利点がある。
本発明の塗膜の耐候性評価方法は、従来の試験装置の試験条件の設定を変えるだけで、従来の試験装置をそのまま使用することができるから、本発明の塗膜の耐候性評価方法を実施するための新たな試験装置を導入する必要がないという利点がある。
表1は、メラミン及びウレタン系塗膜について本発明の耐候性評価方法を実施した結果の一例である。表1から明らかなように、屋外暴露試験においてフロリダ2年相当で発生する「割れ」が、本発明の評価方法においてはフロリダ1.5年相当で発生する。この値は、割れが、従来法においてはフロリダ8年相当まで発生せず、自工会法においてはフロリダ1年相当未満で発生することに比較して、実際に「割れ」の生じる時期に近似する値であることが明らかである。また、屋外暴露試験において広島8.5年相当で発生する「剥離」が、本発明の評価方法においては広島9年相当で発生することを示している。この値は、「剥離」が、従来法及び自工会法の何れの試験法においても広島12年相当まで発生しないことと比較して、実際に「剥離」が発生する時期にほぼ等しい値であることを示している。従って、本発明の促進劣化試験法によれば、従来法及び自工会法に比較して、塗膜に「割れ」及び「剥離」が発生する時期を正確に再現することができる。
図1に、本発明の試験モードと試験条件を示す。本発明の促進劣化試験は、試験単位Aを、PH1で、60℃の溶液に、1時間にわたり被検体を酸浸漬する第1の工程1と、この第1の工程1を経た被検体に、強エネルギーキセノンによって光照射量100MJ/m2の光照射を施す第2の工程2とによって構成する。第2の工程2では、被検体に、先ず、80分にわたり水スプレー及び光照射を施し、次いで、60分にわたり温度73℃で光照射のみを施こす。第2の工程2では、80分にわたり行なわれる水スプレー及び光照射と、60分にわたり温度73℃で行なわれる光照射とを、順次、所定回数繰り返す。強エネルギーキセノンによる光照射量100MJ/m2の光照射は、第2の工程2の全体にわたって施される。そして、本発明では、第1の工程1と第2の工程2とからなる試験単位Aを所定回数繰り返す。
以下、塗膜の「割れ」及び「剥離」の発生現象を解析し、この解析結果に基づいて、本発明の促進劣化試験法で屋外暴露試験の試験結果を再現するための要件を明らかにする。
なお、本発明の以下の説明は、説明の便宜上、塗膜の「クリア層」を例示して行なわれるが、本発明は「クリア層」に限らず、塗膜の「有色層」の評価にも適用することができる。
一般に、クリア層や有色層の最表面部の塗膜の「割れ」及び「剥離」は、該塗膜の劣化によって生じると考えられる。すなわち、上記塗膜が劣化すると、該塗膜が脆くなり、「割れ」が発生する。この「割れ」から紫外線や雨水が塗膜のクリア層とベースの間に侵入し、ここから「剥離」が生じると考えられる。従来、上記塗膜の劣化の度合は塗膜表面の光沢度の低下度を代表特性としていた。光沢度の低下は、上記塗膜の表面の「荒れ」の度合によって引き起こされると考えられるが、この「荒れ」と「割れ」及び「剥離」との因果関係が必ずしも明らかではなかった。
なお、本発明の以下の説明は、説明の便宜上、塗膜の「クリア層」を例示して行なわれるが、本発明は「クリア層」に限らず、塗膜の「有色層」の評価にも適用することができる。
一般に、クリア層や有色層の最表面部の塗膜の「割れ」及び「剥離」は、該塗膜の劣化によって生じると考えられる。すなわち、上記塗膜が劣化すると、該塗膜が脆くなり、「割れ」が発生する。この「割れ」から紫外線や雨水が塗膜のクリア層とベースの間に侵入し、ここから「剥離」が生じると考えられる。従来、上記塗膜の劣化の度合は塗膜表面の光沢度の低下度を代表特性としていた。光沢度の低下は、上記塗膜の表面の「荒れ」の度合によって引き起こされると考えられるが、この「荒れ」と「割れ」及び「剥離」との因果関係が必ずしも明らかではなかった。
先ず、「割れ」の発生とクリア樹脂の脆化度の関係を明らかにし、同時にクリア樹脂の脆化度の測定法について説明する。塗膜の「割れ」の発生とクリア樹脂の「脆化度」との関係を解析するため、「割れ」が発生したサンプルのクリア層の表面及び内部のガラス転移温度と、「割れ」が発生していないサンプルのクリア層の表面及び内部のガラス転移温度とを測定し、その結果をTg値として図3に示した。ガラス転移温度を示すTg値は、示差走査熱量計(DSC)によって測定した。
図3に示すように、塗膜のクリア層の表面からクリア層の厚さ方向に向かってクリア層の中央部までのTg値は、「割れ」が未だに発生していない初期状態のサンプル(図3中、「初期」と記載する。)においては16であるのに対し、「割れ」が発生したサンプル(図3中、「ワレ発生」と記載する。)のクリア層は67であり、「割れ」が発生したサンプルのクリア層のTg値は、「割れ」が発生していない初期状態のサンプルのクリア層のTg値よりも遙かに大きな値を示している。物質の弾性はTg値を境にして、高温側では柔軟なエントロピー弾性を示し、低温側では硬い(脆い)エネルギー弾性を示す。したがって、「割れ」が発生したサンプルの脆性の範囲は、「割れ」が未だに発生していない初期状態のサンプルの脆性の範囲に比べて、遙かに大きい。
また、塗膜の厚さ方向に向かってクリア層の中央部からクリア層とベース層の界面までのガラス転移温度を比較すると、「割れ」が未だ発生していない初期状態のサンプル(図3中、「初期」と記載する。)のクリア層のTg値は19であるのに対し、「割れ」が発生したサンプル(図3中、「ワレ発生」と記載する。)のクリア層のTg値は64であり、「割れ」が発生したサンプルのクリア層のTg値は、「割れ」が発生していない初期状態のサンプルのクリア層のTg値よりも遙かに大きな値を示している。したがって、塗膜の厚さ方向に向かってクリア層の中央部からクリア層とベース層の界面までの領域においても、「割れ」が発生したサンプルの脆性の範囲は、「割れ」が未だに発生していない初期状態のサンプルの脆性の範囲に比べて、遙かに大きいことが解る。
このように、「割れ」が発生したサンプルは「割れ」が発生していないサンプルに比べてTg値が高いことから、塗膜の「割れ」の発生がクリア層の樹脂の脆化度に依存することが裏付けられる。同時に、示差走査熱量計によるTg値によって塗膜の脆化度を計測することができることが解る。この結果、塗膜の「割れ」を促進劣化試験によって再現するには、屋外でのTg値の増加挙動(UV照射量とTg値の増加との関係)を再現する必要があることが解る。
次に、塗膜の「割れ」の発生原因とクリア層の親水化度との関係を明らかにし、同時にクリア層の親水化度の測定方法を説明する。図4及び図5は、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)によって塗膜のクリア樹脂を解析した結果の一例を示す。図4は、「割れ」が発生していないクリア樹脂の初期のスペクトルを示し、図5は、「割れ」が発生したクリア樹脂のサンプルのスペクトルを示す。図4及び図5中、NH基及びOH基は親水基であり、CH基は疎水基である。
図4及び図5を比較すると、「割れ」が発生していない初期のクリア樹脂のスペクトルでは親水基であるNH基及びOH基の量が少ないが(図4参照)、「割れ」が発生したクリア樹脂ではこれらの親水基の量が増加していることが解る(図5参照)。また、「割れ」が発生していない初期のクリア樹脂のスペクトルの疎水基CH基の量(図4参照)に比較して、「割れ」が発生したクリア樹脂の疎水基CH基の量(図5参照)は、減少していることが解る。
このように、NH基及びOH基という親水基が増加し、CH基という疎水基が減少したということは、「割れ」が発生したクリア樹脂の親水化度が「割れ」が発生していない初期のクリア樹脂の親水化度よりも増加していることを意味するから、塗膜の「割れ」はクリア樹脂の親水化度に依存することが解る。換言すると、塗膜樹脂は耐候劣化によってNH基及びOH基が増加し、CH基が減少するから、塗膜の「割れ」に関して屋外での耐候劣化状態を再現するには、クリア樹脂の親水化度の増加挙動(UV照射量とTg値の増加量との関係)を再現する必要があることが解る。
図6は、図5に示した「割れ」発生サンプルのスペクトルに基づいて、NH基及びOH基の面積とCH基の面積を表した図である。クリア樹脂の親水化度は、式1のように、NH基及びOH基の面積とCH基の面積との比によって表すことができる。
図7は、厚さ5μmのクリアフィルムを恒温恒湿層で50℃、90%RHに15分間保持した後の同フィルムの吸水率を示す図である。この図を参照すると、クリアフィルムにおいても、HP値=(NH基及びOH基の量)/(CH基の量)と吸水率との間には相関があることを確認することができる。したがって、クリア樹脂の親水化度を表すための代表値として使用可能であることが解る。
次に、塗膜樹脂の親水化と剥離発生の関係を解析する。図8は、酸―エポキシ硬化アクリルからなるクリア樹脂を使用した塗膜について、塗膜表面のクリア層からベース層に至る塗膜表面からの深さとクリア樹脂の親水化度(HP値)との関係を示す図である。同図中、黒い三角形は「割れ」と「剥離」とが共に発生しているサンプルから得たデータを示し、黒い方形は「割れ」は発生しているが「剥離」は発生していないサンプルから得たデータを示す。いずれのサンプルも酸―エポキシ硬化アクリルからなるクリア樹脂を使用していること及びクリア樹脂が親水化していることについては同じであるが、各サンプルのベース層は、互いに色の違う別の塗料によって構成されている点で異なる。
図8に示すように、塗膜はクリア層とベース層とクリア/ベース混合層とからなる。クリア層は塗膜の表面からほぼ25μmの深さまで延在し、クリア/ベース混合層は塗膜表面から計測してほぼ25μmの深さからほぼ40μmの深さまで延在し、ベース層は塗膜表面から計測してほぼ40μmの深さからほぼ50μmの深さまで延在している。クリア/ベース混合層は、塗装工程においてベース層を構成する塗料の樹脂とクリア層を構成するクリア樹脂とが混合し、ベース層とクリア層の界面部分に生成される混合層である。
前述のように、図8中、黒い三角形で示されるデータも黒い方形で示されるデータも、共に、クリア樹脂が親水化したサンプルから得たデータであるが、黒い三角形で示されるデータを得たサンプルには、塗膜の「割れ」と「剥離」とが共に認められるのに対し、黒い方形で示されるデータを得たサンプルには塗膜の「割れ」のみが認められ、塗膜の「剥離」は認められない。図8を参照すると、塗膜の「割れ」と「剥離」とが共に認められるサンプルは、塗膜の「割れ」のみが認められ「剥離」の認められないサンプルに比べて、クリア/ベース混合層におけるクリア樹脂の親水化度(HP値)が顕著に高いことが解る。すなわち、塗膜の「剥離」が発生しているサンプルは、クリア層とベース層との間の界面部分の親水化度が著しく高く、この界面部分の親水化が進んでいることを示している。
前述のように、塗膜に「割れ」が発生するか否かはクリア樹脂の脆化度に依存すると考えられるから、図8に黒い三角形で示された塗膜の「割れ」と「剥離」とが共に認められるサンプルの界面部分(クリア/ベース混合層)においては、クリア樹脂の脆化が進行していると同時に、クリア層及びベース層の親水化度よりも遙かに親水化が進み、クリア樹脂の付着力が減少して「剥離」に至ると考えられる。したがって、塗膜に「剥離」が発生するか否かは、クリア樹脂の親水化度と、クリア樹脂の脆化度と、クリア/ベース混合層の親水化度という三つの要件に依存すると解される。換言すれば、塗膜の「剥離」には、クリア/ベース混合層の親水化度が寄与しているから、促進劣化試験において塗膜の「剥離」についての屋外暴露を再現するには、クリア/ベース混合層の親水化度の増加挙動(UV照射量と親水化度の増加との関係)を再現する必要があることが解る。
図9は、その縦軸に、塗膜に「剥離」が発生したサンプルのクリア層を構成するクリア樹脂の親水化度(HP値)を示し、その横軸に、同サンプルのクリア/ベース混合層を構成する樹脂の親水化度を示した図である。同図中、円形の黒色の印は塗膜Aのデータを示し、三角形の黒色の印は塗膜Bのデータを示す。塗膜Aと塗膜Bは異なる塗料を使用した塗膜である。塗膜A、Bのいずれにも塗膜の「剥離」が発生しており、図9に円形の黒色の印で示した塗膜Aのデータも、同図に三角形の黒色の印で示した塗膜Bのデータも、それぞれの塗膜に「剥離」が発生したサンプルから採取したデータである。
図9を参照すると、塗膜Aのクリア層を構成するクリア樹脂の親水化度(HP値)と、塗膜Aのクリア/ベース混合層を構成する樹脂の親水化度とは、相関関係にあり、クリア層の親水化度(HP値)が上昇するとクリア/ベース混合層の親水化度も上昇することが解る。また、同図から、塗膜Bのクリア層を構成するクリア樹脂の親水化度(HP値)と、塗膜Aのクリア/ベース混合層を構成する樹脂の親水化度との間にも、同様の相関関係が認められ、塗膜Bについても、クリア層の親水化度(HP値)が上昇するとクリア/ベース混合層の親水化度も、塗膜Aの場合と同様の比率で上昇していることが解る。以上の結果から、塗膜に「剥離」が発生したサンプルに関しては、同塗膜のクリア層内部の親水化度とクリア/ベース混合層内部の親水化度とは相関関係にあるから、促進劣化試験において塗膜の「剥離」についての屋外暴露を再現するには、同塗膜のクリア/ベース混合層の親水化度の増加挙動(UV照射量と親水化度の増加との関係)を再現する代わりに、同塗膜のクリア層を構成するクリア樹脂の親水化度の増加挙動(UV照射量と親水化度の増加との関係)を再現すれば良いことになる。
以上、図3乃至図9を参照して説明した事実から、促進劣化試験において塗膜サンプルに生じる「割れ」と「剥離」とを、屋外暴露の場合と同様に再現するためには、塗膜のクリア層内部の親水化度の増加挙動(UV照射量と親水化度の増加との関係)と、同クリア層の「脆化度」の増加挙動とを、屋外暴露の場合と同様に再現すればよいことになる。換言すれば、塗膜の「割れ」及び「剥離」のいずれか一方又は双方に関し、塗膜の耐候性評価を目的として促進劣化試験を行なう場合、表2に示すように、塗膜のクリア層内部の親水化度の増加挙動(UV照射量と親水化度の増加との関係)と、同クリア層の「脆化度」の増加挙動とを代表特性とし、これらの代表特性の挙動を屋外暴露と同じにすれば、同促進劣化試験の試験結果を屋外暴露の試験結果と同じにすることができる。
この実施例では、スガ試験機(株)製の強エネルギー型キセノンウェザオメーター(SX75−AP)を使用した。この試験機を用いて行なった以下の試験の基本条件は、光照射強度180W/m2(光波長:300―400nm)であり、かつ、フィルターはIN、OUT共にスガ試験機275タイプを使用した。
先ず、クリア層樹脂として酸―エポキシ硬化アクリルAを使用したクリア層表面の親水化度の増加挙動について解析する。酸―エポキシ硬化アクリルAによってクリア層を構成した塗膜について、屋外暴露試験及び促進劣化試験の各スプレー時間における光照射量とクリア層表面の親水化度との関係を図10に示す。同図中、円形の黒印は屋外暴露試験の試験結果を示し、方形の黒印は自工会法(JASO M351)でスプレー時間18分(光照射+スプレーモード時間=18分、光照射=102分 温度63℃)にした場合の試験結果を示す。図10に示した自工会法の試験結果と屋外暴露試験の試験結果とを比較すると、自工会法ではクリア層樹脂の親水化度(ΔHP)の増加挙動が屋外暴露試験よりも急激であり、クリア層樹脂の水の遮蔽能力の低下度合が、現実の屋外暴露の場合よりも大きいことが解る。そこで、スプレー時間を120分(光照射+スプレーモード時間=120分、光照射=温度63℃で60分)にしたところ、図10に三角形の黒印で示したように、光照射量に対するクリア層樹脂の親水化度(ΔHP)の増加挙動が自工会法の場合よりも低下した。以上の試験結果から、自工会法に対して光照射+スプレーモードの時間を増加することは、屋外暴露の親水化度(ΔHP)の増加挙動を再現するために有効であることが解る。
次に、クリア層樹脂として酸―エポキシ硬化アクリルAを使用したクリア層内部の親水化度の増加挙動について解析する。酸―エポキシ硬化アクリルAによってクリア層を構成した塗膜について、屋外暴露試験及び促進劣化試験の各スプレー時間における光照射量とクリア層内部の親水化度との関係を図11に示す。図11において、円形の白印は屋外暴露試験の試験結果を示し、方形の黒印は自工会法(JASO M351)でスプレー時間18分(光照射+スプレーモード時間=18分、光照射=102分 温度63℃)にした場合の試験結果を示す。これに対し、同図中、三角形の白印は自工会法を改良し、そのスプレー時間を18分から5分(光照射+スプレーモードの時間=5分、光照射=温度63℃で115分)に短縮した試験結果を示す。このようにスプレー時間を短縮すると、光照射量に対するクリア層内部の親水化度の増加挙動は、屋外暴露試験の場合に比べて僅かに向上することが解る。次に、自工会法の試験温度を63℃から73℃(光照射+スプレーモードの時間=18分、光照射=温度73℃で102分)に上昇させた試験を行なった。その試験結果を同図中に菱形の白印で示す。菱形の白印で示すように、自工会法を改良して、その試験温度を73℃に上昇させると、光照射量に関するクリア層内部の親水化度(ΔHP)の増加挙動が通常の自工会法の試験結果(方形の黒印で示す)に比較して大幅に上昇することが解る。これにより、クリア層内部の親水化度(ΔHP)の増加挙動を屋外暴露による親水化度の増加挙動に近づけるためには、自工会法を改良してスプレー時間を短縮する場合よりも、自工会法の試験温度を上昇させることが効果的であることが解る。
以上の試験結果を踏まえて、クリア層樹脂として酸―エポキシ硬化アクリルAを使用したクリア層の屋外での親水化度の増加挙動を促進劣化試験で再現するための試験条件の最適化について検討する。表3は、促進劣化試験の各試験条件におけるクリア層の親水化の増加挙動の再現性を示す。
表3中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
また、表3中、二重線で囲まれたスプレー時間60分、80分及び120分の試験においては、光照射のみの時間を60分に固定して行なった。
表3の試験結果から、酸―エポキシ硬化アクリルAをクリア層樹脂として使用する場合には、同表中、太い実線で囲んだ「スプレー時間80分、試験温度73℃」という試験条件が促進劣化試験において屋外暴露試験の試験結果を再現するために有効であることが解る。
表3中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
また、表3中、二重線で囲まれたスプレー時間60分、80分及び120分の試験においては、光照射のみの時間を60分に固定して行なった。
表3の試験結果から、酸―エポキシ硬化アクリルAをクリア層樹脂として使用する場合には、同表中、太い実線で囲んだ「スプレー時間80分、試験温度73℃」という試験条件が促進劣化試験において屋外暴露試験の試験結果を再現するために有効であることが解る。
表3において太い実線で囲まれた「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の試験条件は、酸―エポキシ硬化アクリルについて有効であることが判明したが、この試験条件の有効性をメラミン硬化アクリル、ウレタン硬化アクリル及びメラミン硬化ポリエステルについて検証した結果を表4に示す。
表4中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
表4に示した試験条件及び試験結果から、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件は、酸―エポキシ硬化アクリルとウレタン硬化アクリルについては良好な再現性を有するのに対し、この試験条件では、メラミン硬化アクリル及びメラミン硬化ポリエステルについてクリア層表面の親水化度の増加挙動を再現することができないことが解る。
表4中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
表4に示した試験条件及び試験結果から、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件は、酸―エポキシ硬化アクリルとウレタン硬化アクリルについては良好な再現性を有するのに対し、この試験条件では、メラミン硬化アクリル及びメラミン硬化ポリエステルについてクリア層表面の親水化度の増加挙動を再現することができないことが解る。
図12は、メラミン硬化アクリルBの光照射量(MJ/m2;300−400nm)に関する親水化度(ΔHP)の増加挙動を示す図である。同図中、円形の黒印は屋外暴露試験における試験結果を示し、三角形の黒印は前述した「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件での試験結果を示し、方形の黒印は自工会法(JASO M351:スプレー時間18分)での試験結果を示す。図12の試験結果から、メラミン硬化アクリルB等のメラミン系クリア樹脂についての促進劣化試験で屋外暴露を再現するためには、何らかの要因によって最適化を行なう必要があることが解る。
促進劣化試験においてメラミン硬化アクリルの親水化度の増加挙動を屋外暴露試験の試験結果に近づけるため、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件に加えて、硫酸浸漬(ph2、70℃、2時間;100MJ/m2ごと)を付加した。その試験結果を図13に示す。同図中、円形の黒印は屋外暴露試験における試験結果を示し、三角形の黒印は前述した「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件での試験結果を示し、円形の白印は、促進劣化試験の改良された試験条件に硫酸浸漬(ph2、70℃、2時間;100MJ/m2ごと)を付加した試験条件で促進劣化試験を行なった場合の試験結果を示す。図13を参照すると、円形の白印を滑らかに結んだ点線が円形の黒印を滑らかに結んだ太い実線に近接して同様の湾曲形状を示していることから、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件に硫酸浸漬(ph2、70℃、2時間;100MJ/m2ごと)を付加した試験条件を付加することにより、メラミン系クリア樹脂についても、促進劣化試験で親水化度の増加挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現可能であることが解る。
メラミン系クリア樹脂の促進劣化試験において、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件に硫酸浸漬という試験条件を付加するに際し、付加すべき硫酸浸漬の試験条件を検証した結果を表5に示す。
表5中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
表5に示した試験条件及び試験結果から、メラミン系クリア樹脂の促進劣化試験において同樹脂の親水化度の増加挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現するためには、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件に、「ph1、60℃の硫酸溶液に1時間又は2時間浸漬するという試験条件を付加することが有効であることが解る。
表5中、○印は親水化度値が屋外暴露の±20%以内にあることを示し、△印は親水化度値が屋外暴露の±20〜40%の範囲内にあることを示し、×印は親水化度値が屋外暴露の±40%以上にあることを示す。
表5に示した試験条件及び試験結果から、メラミン系クリア樹脂の促進劣化試験において同樹脂の親水化度の増加挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現するためには、「スプレー時間80分、試験温度73℃」という促進劣化試験の改良された試験条件に、「ph1、60℃の硫酸溶液に1時間又は2時間浸漬するという試験条件を付加することが有効であることが解る。
以上、実施例において、促進劣化試験で塗膜の親水化度の増加挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現するための最適の試験条件を見出し、これらの試験条件を、図10乃至図13を参照して説明した。また、図3乃至図9に基づいてクリア樹脂の「親水化度」と「脆化」の関係を示し、これら両者が相俟って塗膜の「剥離」や「割れ」が発生することを説明した。そこで、塗膜の親水化度の増加挙動を最適の促進劣化試験条件で再現したときの試験結果が、塗膜の「脆化」に関しても屋外暴露試験の試験結果に対応することを検証するため、酸―エポキシ硬化アクリルAからなるクリア層について脆化度(Tg値)を測定した。その結果を図14に示す。図14中、円形の黒印は屋外暴露での試験結果を示し、三角形の白印は酸―エポキシ硬化アクリルAに最適の試験条件で促進劣化試験を行なったときの試験結果を示す。同図を参照すると、促進劣化試験の試験結果である三角形の白印は、光照射量が0MJ/m2の時点でのクリア層のTg値と屋外暴露試験の試験結果を示す円形の黒印とを結ぶ直線に沿って位置することが解る。これによって、塗膜のクリア層の「親水化度」の変化挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現するための最適な試験条件は、クリア層の「脆化」の挙動を屋外暴露試験の場合と同様に再現することを確認することができる。
すなわち、本発明の促進劣化試験方法によれば、塗膜の「割れ」及び「剥離」についても、屋外暴露試験の試験結果を再現することができる。
すなわち、本発明の促進劣化試験方法によれば、塗膜の「割れ」及び「剥離」についても、屋外暴露試験の試験結果を再現することができる。
本発明は、主として屋外で使用される自動車等の耐久消費財に施された塗膜の耐候性の評価に使用することが可能であり、特に、従来の促進劣化試験では正確な評価をすることができなかった塗膜の「割れ」や「剥離」についての評価も短期間に行なうことができる。
A 本発明の促進劣化試験の試験単位
1 本発明の促進劣化試験の試験単位の中の第1の工程
2 本発明の促進劣化試験の試験単位の中の第2の工程
1 本発明の促進劣化試験の試験単位の中の第1の工程
2 本発明の促進劣化試験の試験単位の中の第2の工程
Claims (7)
- 塗膜を形成する樹脂の親水化度及び脆化度のうちのいずれか一方又は双方を、塗膜の割れ及び剥離のうちのいずれか一方又は双方についての代表特性とし、前記代表特性に基づいて塗膜の促進劣化試験の試験条件を設定することにより、屋外暴露の変化挙動を再現することを特徴とする、塗膜の耐候性評価方法。
- 請求項1に記載の塗膜の耐候性評価方法において、前記親水化度は、CH基量に関するパラメータ値に対する、NH基及びOH基のうちのいずれか一方又は双方の量に関するパラメータ値に基づいて決定されることを特徴とする、前記耐候性評価方法。
- 請求項1に記載の塗膜の耐候性評価方法において、前記親水化度は、NH基及びOH基のうちのいずれか一方又は双方の量に関するパラメータ値と、CH基量に関するパラメータ値とを、赤外分光法を使用して測定し、前記赤外分光法による赤外線スペクトルで各基がピークを示したときのピーク面積を測定することにより計測することを特徴とする、前記耐候性評価方法。
- 請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の塗膜の耐候性評価方法において、前記脆化度は塗膜のガラス転移温度(Tg)に基づいて定量化されることを特徴とする、前記耐候性評価方法。
- 請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の塗膜の耐候性評価方法において、前記脆化度は塗膜の破断エネルギー値に基づいて定量化されることを特徴とする、前記耐候性評価方法。
- 請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の塗膜の耐候性評価方法に使用する促進劣化試験方法において、前記試験方法は、PH1で、60℃の溶液に、1時間にわたり被検体を酸浸漬する第1の工程と、前記第1の工程を経た被検体に、強エネルギーキセノンによって光照射量100MJ/m2の光照射を施す第2の工程とによって、試験単位を構成し、前記第2の工程2で、前記被検体に、80分にわたり水スプレー及び光照射を施し、次いで、60分にわたり温度73℃で光照射のみを施こし、前記第2の工程は、前記水スプレー及び光照射と前記光照射とを所定回数繰り返し、前記強エネルギーキセノンによる光照射は前記第2の工程の全体にわたって施され、前記促進劣化試験方法は、前記試験単位を所定回数繰り返すことを特徴とする、前記促進劣化試験方法。
- 請求項6に記載の促進劣化試験方法を実施するための促進劣化試験装置。
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JP2008032430A (ja) * | 2006-07-26 | 2008-02-14 | Ihi Corp | 塗膜劣化診断方法 |
JP2013117415A (ja) * | 2011-12-02 | 2013-06-13 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 塗膜劣化検出方法 |
CN104090090A (zh) * | 2014-07-11 | 2014-10-08 | 王景泉 | 一种耐水性uv雪花油墨的检测方法 |
-
2003
- 2003-11-25 JP JP2003394113A patent/JP2005156309A/ja active Pending
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