しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、評価対象となる商品の機能・性能に基づく経済効果をもとに、商品に係わる知的財産の経済価値を寄与度に応じて算出するようにしているので、知的財産の経済価値をある程度正確に評価することができるが、商品を扱う企業単位や事業単位の評価を行うことはできず、投資、業務提携等を含む企業合併・買収、社債格付けの際に使用する企業単位や事業単位の無形財産評価を正確に行うことはできないという未解決の課題がある。
具体的には、商品ごとに競合商品とのセーリングポイント力の相対評価を行い、その優位性から商品毎に6段階に層別し、この6段階に層別された評価内容に対して、セーリングポイント力における効果係数0.1〜0.01を割り当てると共に、商品における知的財産の寄与度(%)から知的財産寄与度係数を求め、さらに商品の生産・販売額に効果係数及び知的財産寄与度係数を乗算して知的財産価値を算出するようにしており、知的財産価値を数値として客観的に表すことができるが、企業単位や事業単位における無形資産の評価は行うことはできない。
また、従来、基盤、人材、営業及び技術の寄与率を定量的に表現する方法がなく、利益4分法などに不満があった。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、企業単位や事業単位における無形資産の評価を容易に且つ正確に行うことができる無形資産評価システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る無形資産評価システムは、複数の要素により形成されている被評価無形資産の中より技術的要素を抽出する無形資産評価システムであって、前記複数の要素に関する被評価無形資産情報を収集する情報収集手段と、該情報収集手段によって収集された情報を被評価無形資産情報と被評価無形資産と異なる他社の同一無形資産情報とを比較して計数化する計数化手段とを備え、前記計数化手段によって前記技術的要素の割合を抽出することを特徴としている。
また、請求項2に係る無形資産評価システムは、複数の要素により形成されている被評価無形資産の中より技術的要素を抽出する無形資産評価システムであって、前記複数の要素に関する被評価無形資産情報を、被評価無形資産を有する複数の人材が自己評価した自己評価情報として収集する情報収集手段と、該情報収集手段によって収集された自己評価情報を計数化する計数化手段とを備え、前記計数化手段によって前記技術的要素の割合を抽出することを特徴としている。
さらに、請求項3に係る無形資産評価システムは、請求項2の発明において、前記被評価無形資産を有する複数の人材は、前記複数の要素の各分野に属する人材であって、自己の属する要素について自己評価することを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る無形資産評価システムは、複数の要素により形成されている被評価無形資産の中より技術的要素を抽出する無形資産評価システムであって、前記複数の要素に関する被評価無形資産情報を、被評価無形資産を有する人材又は被評価無形資産の顧客が前記複数の要素について各要素間の相対比較した相対比較情報として収集する情報収集手段と、該情報収集手段で収集した相対比較情報を計数化する計数化手段とを備え、前記計数化手段によって前記技術的要素の割合を抽出することを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る無形資産評価システムは、請求項1乃至4の何れか1つの発明において、前記複数の要素は、基盤、人材、営業、技術の要素であることを特徴としている。
また、請求項6に係る無形資産評価システムは、請求項1乃至5の何れか1つの発明において、前記計数化手段で求めた技術要素の割合を用いて個別特許の価値を求める個別特許価値算出手段を備えたことを特徴としている。
さらに、請求項7に係る無形資産評価システムは、無形資産の技術寄与率を評価する無形資産評価システムであって、評価対象無形資産の基盤情報を収集し、収集した基盤情報を分析する基盤情報分析手段と、前記評価対象無形資産の人材情報を収集し、収集した人材情報を分析する人材情報分析手段と、前記評価対象無形資産の営業情報を収集し、収集した営業情報を分析する営業情報分析手段と、前記評価対象無形資産の技術情報を収集し、収集した技術情報を分析する技術情報分析手段と、前記基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段の分析結果に基づいて技術寄与率を求める資産価値評価手段とを備えていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る無形資産評価システムは、請求項7に係る発明において、前記基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段は、評価対象無形資産の収集計数情報と当該評価対象無形資産の競合複数他社の集計数情報の平均計数情報とに基づいて乖離率を算出し、算出した乖離率に基づいて評価値を算出し、算出した評価値を分析結果として決定するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る無形資産評価システムは、請求項7に係る発明において、前記基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段は、複数の評価項目の夫々について前記評価対象無形資産の収集計数情報と当該評価対象無形資産の市場シェア上位複数社の収集計数情報の平均計数情報とに基づいて乖離率を算出し、算出した評価項目毎の乖離率に重み係数を乗算した値の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて評価値を算出し、算出した評価値を分析結果として決定するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項10に係る無形資産評価システムは、請求項8又は9に係る発明において、前記評価値は、乖離率と評価値との関係を表す記憶テーブルを参照して算出することを特徴としている。
なおさらに、請求項11に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至10の何れか1つに係る発明において、前記基盤情報分析手段は、評価項目として、少なくとも評価対象無形資産の新聞記事掲載数及びホームページタイトル掲載数が設定されていることを特徴としている。
また、請求項12に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至11の何れか1つに係る発明において、前記人材情報分析手段は、評価項目として、評価対象無形資産に携わる人員の平均年間給与、平均年間給与増減率、及び平均年齢のうちの少なくとも1つが設定されていることを特徴としている。
さらに、請求項13に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至12の何れか1つに係る発明において、前記営業情報分析手段は、評価項目として、売上高営業比率及び売上高に対する販売管理費から研究開発費を減算した値の比率のうちの少なくとも1つが設定されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項14に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至13の何れか1つに係る発明において、前記技術情報分析手段は、売上高研究開発比率及び知的財産権公開件数が設定されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項15に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至14の何れか1つに係る発明において、前記基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段は、前記評価対象無形資産の収集情報として計数情報、目標管理情報、アンケート情報のうちの少なくとも1つが設定されていることを特徴としている。
また、請求項16に係る無形資産評価システムは、請求項15に係る発明において、前記基盤情報分析手段は、目標管理情報として、企業倫理、危機管理、レスポンシブル・ケア規定、安全管理体制、環境管理体制、品質管理体制及び機密管理規定の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目が設定され、これらに基づいて目標管理評価値を算出するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項17に係る無形資産評価システムは、請求項15又は16に係る発明において、前記人材情報分析手段は、目標管理情報として、育成、教育、資格、社外ネットワーク、組織目標への理解、能力の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目が設定され、これらに基づいて目標管理評価値を算出するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項18に係る無形資産評価システムは、請求項15乃至17の何れか1つに係る発明において、前記営業情報分析手段は、目標管理情報として、競争力分析、効率化、顧客管理、アフターサービス、コスト管理、販売体制、営業人員、情報共有化の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目が設定され、これらに基づいて目標管理評価値を算出するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項19に係る無形資産評価システムは、請求項15乃至18の何れか1つに係る発明において、前記技術情報分析手段は、目標管理情報として、開発計画、用途開発、コスト競争力、性能競争力、品質競争力、知的財産権管理、ノウハウ管理、情報共有化の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目が設定され、これらに基づいて目標管理評価値を算出するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項20に係る無形資産評価システムは、請求項15乃至18の何れか1つに係る発明において、前記基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段は、基盤情報に対応する安心感、人材情報に対応するマンパワー、営業情報に対応するサービス及び技術情報に対応する性能とを夫々1対1で比較し、一方に対する他方の優位性を問うアンケート情報のアンケート結果に基づいてアンケート評価値を算出するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項21に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至20の何れか1つに係る発明において、前記技術情報の評価値と、インカムアプローチによる無形資産価値と、個別知的資産点数及び権利残存期間とに基づいて知的資産の評価値を算出する個別知的資産評価値算出手段を備えていることを特徴としている。
さらに、請求項22に係る無形資産評価システムは、請求項7乃至21の何れか1つに係る発明において、前記技術情報の評価値と、マーケットアプローチによる無形資産価値と、個別知的資産点数及び権利残存期間とに基づいて知的資産の評価値を算出する個別知的資産評価値算出手段を備えていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、被評価無形資産を形成する複数の要素に関する被評価無形資産情報を収集し、収集した情報を被評価無形資産情報と被評価無形資産と異なる複数他社の同一無形資産情報とに分けて計数化してから技術的要素の割合を抽出するようにしたので、評価対象となる無形資産における技術的要素の寄与率を正確に求めることができるという効果が得られる。
また、請求項2に係る発明によれば、被評価無形資産を有する人材が被評価無形資産を形成する複数の要素について自己評価した自己評価情報を収集し、収集した自己評価情報を計数化してから技術的要素の割合を抽出するようにしたので、評価対象となる無形資産における技術的要素の寄与率を正確に求めることができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、被評価無形資産の複数の分野における人材が自己の属する要素について自己評価した自己評価情報を収集するので、より技術的要素の寄与率を正確に求めることができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、被評価無形資産を有する人材又は被評価無形資産の顧客が被評価無形資産を形成する複数の要素について各要素間を相対比較した相対比較情報を収集し、収集した相対比較情報を計数化してから技術的要素の割合を抽出するようにしたので、評価対象となる無形資産における技術的要素の寄与率を正確に求めることができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、被評価無形資産を形成する複数の要素として、基盤、人材、営業、技術の4要素を設定したので、利益4分法によって評価対象となる無形資産における技術要素の寄与率をより正確に求めることができる。
また、請求項6に係る発明によれば、求めた技術要素の割合に基づいて個別特許の価値を算出するようにしたので、個別特許の価値を正確に評価することができるという効果が得られる。
さらに、請求項7に係る発明によれば、評価対象となる無形資産の公開されている情報から、利益4分法に基づく基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報を収集し、収集した各情報を数値化して分析し、これら各情報の分析結果に基づいて技術寄与率を求めることにより、無形資産の正確な評価を行うことができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項8に係る発明によれば、収集する基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報として、公開情報を計数化した競合する無形資産との比較が容易な計数情報とし、収集する基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の複数の評価項目の夫々について、評価対象無形資産の収集計数情報と、その評価対象無形資産の競合複数他社の収集計数情報の平均計数情報とに基づいて乖離率を算出して評価値を算出し、これを分析結果とするので、容易に計数化して最適な分析を行うことができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項9に係る発明によれば、収集する基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の複数の評価項目の夫々について、評価対象無形資産の収集計数情報と、その評価対象無形資産の競合複数他社の収集計数情報の平均計数情報とに基づいて乖離率を算出し、算出した評価項目ごとの乖離率に重み計数を乗算した値の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて評価値を算出し、算出した評価値を分析結果として決定するので、評価対象となる無形資産が会社又は会社を構成する各種事業部である場合に、競合他社との比較で重み係数を最適に設定することにより、より正確な評価値を算出することができるという効果が得られる。
また、請求項10に係る発明によれば、乖離率から評価値を算出する際に、両者の関係を表す記憶テーブルを参照して算出するので、乖離率から評価値を容易に算出することができるという効果が得られる。
さらに、請求項11に係る発明によれば、基盤情報分析手段が、評価項目として、少なくとも評価対象無形資産の新聞記事掲載数及びホームページタイトル掲載数を設定するようにしているので、公開された基盤情報を容易に収集することができると共に、数値化が容易となり、正確な評価値を算出することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項12に係る発明によれば、人材情報分析手段が、評価項目として、評価対象無形資産に携わる人員の平均年間給与、平均年間給与増減率、及び平均年齢のうちの少なくとも1つを設定するようにしているので、公開された人材情報を容易に収集することができると共に、数値化が容易となり、正確な評価値を算出ことができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項13に係る発明によれば、営業情報分析手段が、評価項目として、売上高営業比率及び売上高に対する販売管理費から研究開発費を減算した値の比率のうちの少なくとも1つを設定するようにしているので、公開された営業情報を容易に収集することができると共に、数値化が容易となり、正確な評価値を算出することができるという効果が得られる。
また、請求項14に係る発明によれば、技術情報分析手段が、売上高研究開発比率及び知的財産権公開件数を設定するようにしているので、公開された技術情報を容易に収集することができると共に、数値化が容易となり、正確な評価値を算出することができるという効果が得られる。
さらに、請求項15に係る発明によれば、収集する基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報として、公開情報を計数化した競合する無形資産との比較が容易な計数情報、自己の目標管理情報、アンケート情報のうちの少なくとも1つを選定することにより、評価対象となる無形資産自体の情報のみならず広範囲な情報を収集することが可能となり、資産価値評価をより正確に行うことができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項16に係る発明によれば、基盤情報分析手段が、目標管理情報として、企業倫理、危機管理、レスポンシブル・ケア規定、安全管理体制、環境管理体制、品質管理体制及び機密管理規定の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目を設定し、これらに基づいて目標管理評価値を算出するようにしているので、これら評価項目を知っているか、実施しているか、目標を完全に達成しているか等により数値化することができ、正確な目標管理評価値を算出することができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項17に係る発明によれば、人材情報分析手段が、目標管理情報として、育成、教育、資格、社外ネットワーク、組織目標への理解、能力の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目を設定し、これらに基づいて目標管理評価値を算出するようにしているので、評価項目に対応しているか否か、対応している場合にはその対応状況等によって数値化することができ、正確な目標管理評価値を算出することができるという効果が得られる。
また、請求項18に係る発明によれば、営業情報分析手段が、目標管理情報として、競争力分析、効率化、顧客管理、アフターサービス、コスト管理、販売体制、営業人員、情報共有化の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目を設定し、これらに基づいて目標管理評価値を算出するようにしているので、評価項目の分析又は対応をとっているか否か、対応をとっている場合にはその対応状況等によって数値化することができ、正確な目標管理評価値を算出することができるという効果が得られる。
さらに、請求項19に係る発明によれば、技術情報分析手段が、目標管理情報として、開発計画、用途開発、コスト競争力、性能競争力、品質競争力、知的財産権管理、ノウハウ管理、情報共有化の何れか1つ又は複数から抽出された評価項目を設定し、これらに基づいて目標管理評価値を算出するようにしているので、各評価項目に対応策を講じているか否か、講じている場合には、その程度等によって数値化することができ、正確な目標管理評価値を算出することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項20に係る発明によれば、基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段は、基盤情報に対応する安心感、人材情報に対応するマンパワー、営業情報に対応するサービス及び技術情報に対応する性能とを夫々1対1で比較し、一方に対する他方の優位性を問うアンケート情報のアンケート結果に基づいてアンケート評価値を算出するようにしているので、1対1で比較したアンケートの比較結果から両者の何れにどの程度の優位性があるかを判定し、その優位性を数値化することにより、正確なアンケート評価値を算出することができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項21に係る発明によれば、技術情報の評価値と、インカムアプローチによる無形資産価値と、個別知的資産点数及び権利残存期間とに基づいて知的資産の評価値を算出する個別知的資産評価値算出手段を備えているので、特許、ノウハウ等の個別の知的資産価値を正確に算出することができるという効果が得られる。
また、請求項22に係る発明によれば、技術情報の評価値と、マーケットアプローチによる無形資産価値と、個別知的資産点数及び権利残存期間とに基づいて知的資産の評価値を算出する個別知的資産評価値算出手段を備えているので、特許、ノウハウ等の個別の知的資産価値を正確に算出することができるという効果が得られる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の概略構成を示すシステム構成図であって、図中、1は無形資産評価装置であり、この無形資産評価装置1に、例えばローカルエリアネットワーク2を介して、製品情報データベース3、報道情報データベース4、企業情報データベース5、会計情報データベース6、及び知的財産権情報データベース7が接続されている。
製品情報データベース3では、例えば事業部単位の自社製品の製品情報とこれに対応する国内外の市場シェアと、自社製品と競合する国内外の市場シェア上位3社の競合製品の製品情報とが製品名、分類名等で対応付けられて格納されている。
報道情報データベース4では、日々発行される新聞情報を収集すると共に、自社製品及び市場シェア上位3社の競合商品についてインターネットの内外国のホームページを日々検索した場合の検索データを収集し、これらが基盤情報として格納されている。
企業情報データベース5では、前述した事業部単位の自社及び市場シェア上位3社の平均年間給与、平均年間給与増減率、平均年齢等の人材情報とを格納している。
会計情報データベース6では、株式公開企業のホームページ、有価証券報告書等の開示データベース等から会計情報を収集し、前述した事業部単位の自社及び市場シェア上位三者の売上高営業費用比率、販売管理費、研究開発費、及び売上高を格納している。
知的財産権情報データベース7では、各事業部及び市場シェア上位三社の製品情報に関与する知的財産権情報即ち公開特許情報、登録特許情報、登録実用新案情報、登録意匠情報、登録商標情報等が製品情報に対応付けられて格納されている。
無形資産評価装置1は、評価対象となる無形資産を指定することにより、各情報データベース3〜7を参照して、利益4分法に基づく基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の各評価項目を読込み、これら評価項目について分析を行うことにより、事業部単位又は企業単位の無形資産評価を行い、その評価結果をモニタ8に出力して一覧表示すると共に、プリンタ9に出力して印刷するように構成されている。
この無形資産評価装置1では、評価対象とする事業部における基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報のそれぞれについて設定された評価項目の情報を収集するために、図2に示す事業領域等入力シート11、技術要素/特許分類入力シート12、他社・技術要素/特許分類入力シート13、製品名入力シート14、国内シェア情報入力シート15、世界シェア入力シート16及び主要顧客名入力シート17が用意され、これらがモニタ8に表示され、表示された各入力シート11〜17に対してキーボード10から必要事項を入力することにより、各入力シート11〜17の入力データが製品情報データベース3に格納される。
ここで、事業領域等入力シート11には、事業部での事業領域名記入欄11aと、事業部名記入欄11bとが形成されている。技術要素/特許分類入力シート12には、製品の材料・プロセス名を記入する材料・プロセス名記入欄12a、用途を記入する用途記入欄12b及び機能を入力する機能入力欄12c、その他を記入するその他記入欄12dが形成されている。他社・技術要素/特許分類入力シート13も技術要素2 特許分類入力シート12と同様に材料・プロセス入力欄12a、用途入力欄12b、機能入力欄12c、その他入力欄12dが形成されている。製品名入力シート14は、事業部で扱っている製品名を連続番号に対応させて入力する製品名入力欄14aが形成されている。国内シェア情報入力シート15は、対象とする事業部における製品の国内シェア上位3社の会社名及びシェアを記入する会社名記入欄15a及びシェア記入欄15bと、比較単位を記入する比較単位記入欄15cとが形成されている。世界シェア情報入力シート16も国内シェア情報入力シート15と同様に、世界シェア上位3社の会社名記入欄16a、シェア記入欄16b及び比較単位記入欄16cが形成されている。主要顧客名記入シート17は、対象とする事業部で製品を納入する国内の主要顧客の会社名を記入する会社名記入欄17a及び事業部名を記入する事業部名記入欄17bと、海外の主要顧客の会社名を記入する会社名記入欄17a及び事業部名を記入する事業部名記入欄17dとが形成されている。
これら各入力シート11〜17に所定項目を入力することにより、評価対象となる事業部とその製品が特定されることになり、これら入力シート11〜17に入力された情報に基づいて各データベース3〜7をアクセスすることにより、評価項目情報を収集する。
一方、知的財産権情報については、国内及び海外の特許情報、国内実用新案情報を入力するために、図3に示す個別特許入力シート21が設けられ、この個別特許入力シート21をモニタ8に表示した状態で所定項目のデータをキーボード10から入力することにより、個別特許入力シート21のデータが知的財産権情報データベース7に格納される。この個別特許入力シート21は、出願人名記入欄21a、国内特許(PCT国内移行分を含む)、国内実用新案、海外特許(PCT出願中を含む)の何れかの種別を表す特許区分入力欄21b、名称記入欄21c、出願国名記入欄21d、出願日記入欄21e、出願番号記入欄21f、公開日記入欄21g、公開番号記入欄21h、登録日記入欄21i、登録番号記入欄21j、有効期間記入欄21k、製品名入力シート14で入力した製品名に対する利用状況を入力する特許利用製品名記入欄21mと、特許情報が監視する必要がある要監視情報であるか参考情報であるかを区分する要監視区分入力欄21nと、技術要素/特許分類入力シート12に入力された分類項目との対応関係を入力する技術要素/特許分類入力対応入力欄21oと、他社・技術要素/特許分類入力シート13に入力された分類項目との対応関係を入力する他社・技術要素/特許分類入力対応入力欄21pとが形成されている。なお、技術要素には、個別特許入力シート21の特許の特徴を表す内容を記入することもできる。
そして、無形資産評価装置1では、図4に示す計数情報評価処理を実行する。この計数情報評価処理は、先ず、ステップS1で、図2に示す各種入力シート11〜17を表示し、次いで、ステップS2に移行して、各入力シート11〜17に所定データが入力されたか否かを判定し、所定データが入力されていないときにはこれらが入力されるまで待機し、所定データが入力されたときにはステップS3に移行する。
このステップS3では、事業領域等入力シート11に入力された評価対象となる事業部名と、国内シェア情報入力シート15に入力された事業部の属する業界の国内シェア上位3社の事業部名をもとに、基盤情報の評価項目として、報道情報データベース4をアクセスして主要新聞に掲載された掲載数を検索すると共に、インターネットのホームページ検索ソフトで日本語の事業部名及び製品名をシェア上位3社のホームページタイトル掲載数を検索し、さらにインターネットのホームページ検索ソフトで外国語の事業部名及び製品名をシェア上位3社のホームページタイトル掲載数を検索し、これらの検索結果を図5に示す計数情報記憶テーブルの該当箇所に記憶する。
次いで、ステップS4に移行して、企業情報データベース5をアクセスして、人材情報の評価項目として該当事業部の属する全社及び国内シェア上位3社の事業部の属する全社における平均年間給与、平均年間給与増減率及び平均年齢を検索して、これらの検索結果を図5に示す計数情報記憶テーブルの該当箇所に記憶する。
次いで、ステップS5に移行して、会計情報データベース6にアクセスして、営業情報の評価項目として、該当事業部及び国内シェア上位3社の事業部における売上高営業比率を算出すると共に、販売管理費から研究開発費を除いた額を売上高で除した値を算出し、これらの算出結果を図5に示す計数情報記憶テーブルの該当箇所に記憶する。
次いで、ステップS6に移行して、企業情報データベース5をアクセスして、技術情報の評価項目として、有価証券報告書の売上高研究開発比率を検索すると共に、知的財産権情報データベースをアクセスして、事業領域での評価対象事業部及び国内シェア上位3社の国内公開特許件数を検索し、これら検索結果を図5に示す計数情報記憶テーブルの該当箇所に記憶する。
次いで、ステップS7に移行して、計数情報記憶テーブルに記憶された国内シェア上記3社の中に評価対象となる事業部の属する会社(自社)が存在するか否かを判定し、事業部の属する会社が存在しない場合には、ステップS8に移行して、計数情報記憶テーブルに記憶された各評価項目における国内シェア上位3社のデータの平均値を算出し、これを平均値記憶欄に記憶してからステップS10に移行し、事業部の属する会社が存在する場合にはステップS9に移行して、計数情報記憶テーブルに記憶された該当会社を除く2社の平均値を算出し、これを平均値記憶欄に記憶してからステップS10に移行する。
ステップS10では、計数情報記憶テーブルに記憶された評価対象となる事業部に対応する評価項目値AとステップS8又はステップS9で算出した平均値Bとに基づいて下記(1)式の演算を行って評価対象となる事業部の国内シェア上位3社からの乖離率を算出する。
乖離率=(A−B)×100/B …………(1)
次いで、ステップS11に移行して、上記ステップS10で算出した各評価項目についての乖離率に評価項目毎に予め設定された重み係数(図5における重み付け係数欄に記載されている)を乗算した値を基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報毎に個別に加算して、その加算値を基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報毎の重み係数の絶対値の加算値で除して基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報毎の平均乖離率を算出し、次いで、ステップS12に移行して算出した基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報毎の平均乖離率をもとに、図6に示されている採点記憶テーブルを参照して計数値を表す得点を算出する。ここで、重み係数としては、人材情報の平均年間給与増減率については0.1、平均年齢については−1、技術情報の国内公開特許件数については0.2に設定され、その他の評価項目については全て“1”に設定されている。
また、図6の採点記憶テーブルは、基盤情報、人材情報、営業情報、技術情報毎に、平均乖離率の範囲に応じて得点が“1”〜“9”に配分された構成を有し、例えば平均乖離率が−100%以下であるときに得点が“1”、平均乖離率が−100%を越え−50%以下であるときに得点が“2”、平均乖離率が−50%を越え−20%以下であるときに得点が“3”、平均乖離率が−20%を越え−10%以下であるときに得点が“4”、平均乖離率が−10%を越え+10%未満であるときに得点が“5”、平均乖離率が+10%以上+20%未満であるときに得点が“6”、平均乖離率が+20%以上+50%未満であるときに得点が“7”、平均乖離率が+50%以上+100%未満であるときに得点が“8”、平均乖離率が+100%以上であるときに得点が“9”となるように設定されている。
次いで、ステップS13に移行して、ステップS12で算出した基盤情報、人材情報、営業情報、技術情報毎の得点を合計した合計得点で100を除した値に基盤情報、人材情報、営業情報、技術情報毎の得点を乗算することにより、基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報毎の合計100%に対する比率配分即ち基盤、人材、営業及び技術の要素毎の評価対象となる無形資産に対する寄与率を算出し、この算出結果を図7に示す目標指標の集計表を表す目標指標記憶テーブルにおける計数情報の国内分に記憶する。これによって、評価対象事業又は製品の基盤、人材、営業及び技術の計数的重み付けが明確となる。
次いで、世界分の計数情報を上記国内分と同様に算出して、算出した計数情報を図7に示す目標指標の集計表を表す目標指標記憶テーブルにおける計数情報の世界分に記憶して計数評価処理を終了する。なお、ここでは、シェア上位3社を対象としたが任意数の競合他社を設定することができる。
この図4の処理において、ステップS3及びS7〜S12の処理が基盤情報分析手段に対応し、ステップS4及びS7〜S12の処理が人材情報分析手段に対応し、ステップS5及びS7〜S12の処理が営業情報分析手段に対応し、ステップS6及びS7〜S12の処理が技術情報分析手段に対応し、ステップS13の処理が資産価値評価手段に対応し、またステップS3〜S6の処理が情報収集手段に対応し、ステップS7〜ステップS13の処理が計数化手段に対応している。
また、無形資産評価装置1は、上述した計数評価処理の他に、図8に示す。目標管理評価処理を実行する。この目標管理評価処理は、基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の各情報について個別の目標管理評価視点に基づいて予め設定した評価者が個別に設定した評価項目についての達成度を評価するものである。
この目標管理評価処理では、先ずステップS21で、図9に示す目標管理評価シートとしての基盤情報用評価シートをモニタ8に表示し、次いでステップS22に移行して、表示された評価シート毎に評価結果を得点で入力し終わったか否かを判定し、評価結果の入力が完了していないときにはこれが完了するまで待機し、評価結果の入力完了したときにはステップS23に移行して、各評価項目の評価結果を合計して、その合計得点を算出し、次いでステップS24に移行して、合計得点を前記図7に示す目標指標記憶テーブルにおける基盤情報の目標管理得点入力欄に書込んでから後述するステップS25に移行する。
ここで、基盤情報用評価シートは、図9に示すように、評価の視点を企業倫理とした場合に、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長及び技術者としての製造課長の4人とし、これら評価者が評価項目として「企業倫理に関する文書の周知」を設定し、企業倫理文書についてはほとんど知らない状態であるときに“0”点、企業倫理文書については教育を実施済みであるときに“1”点、企業倫理文書について定期的に教育を実施しているときに“3”点、企業倫理文書に関して自部署の課題を検討しているときに“5”点とする。また、評価の視点として危機管理を設定した場合には、評価者は前記と同様とし、評価項目として「危機管理文書の周知」を設定し、危機管理文書についてはほとんど知らないときには“0”点、危機管理文書は回覧済みであるときには“1”点、危機管理文書の内容について教育を実施済みであるときに“3”点、危機管理文書の内容に関連して自部署の課題を検討しているときに“5”点とする。さらに、評価の視点としてレスポンシブル・ケア(RC)規定を設定した場合には、評価者は企業倫理及び危機管理と同様とし、評価項目として「レスポンシブル・ケア報告書の周知」を設定し、レスポンシブル・ケア報告書についてはほとんどしらないときには“0”点、レスボンシブル・ケア報告書は回覧済みであるときには“1”点、レスポンシブル・ケア報告書の内容について教育を実施済みであるときには“3”点、レスポンシブル・ケア報告書の内容に関連して自部署の課題を検討しているときには“5”点とする。さらにまた、評価の視点として労災に関する安全管理体制を設定した場合には、評価者を製造課長とし、評価項目として「事故発生率は高めか」を設定し、労災の度数率及び強度率が自社全体との対比で悪いときに“0”点、労災の度数率及び強度率が自社全体との対比で少ないがゼロではないときに“1”点、労災の度数率及び強度率がゼロであるときに“3”点、労災の度数率及び強度率ゼロを5年以上継続しているときには“5”点とする。なおさらに、評価の視点として設備事故に関する安全管理体制を設定した場合には、評価者を製造課長とし、評価項目として「製造設備の故障などによる休止」を設定し、対前年で設備故障による休止が増加したときには“0”点、対前年で設備故障による休止は減少したが依然として多いときには“1”点、設備故障による休止はほとんどないときには“3”点、設備故障による休止はゼロであるときには“5”点とする。また、評価の視点として、環境管理体制を設定した場合には、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長及び技術者としての製造課長の4人とし、評価項目として「ISO14001の周知」を設定し、ISO14000シリーズについてはほとんど知らないときには“0”点、ISO1400シリーズを導入済みであるときには“1”点、ISO1400で重大な指摘を受けたが是正処置が取られているときには“3”点、ISO1400で重大な指摘を過去3年間受けていないときには“5”点とする。さらに、評価の視点として品質管理体制を設定した場合は、評価者を環境管理体制と同様の評価者とし、評価項目として「ISO9000シリーズの周知」とし、ISO9000シリーズについてはほとんど知らないときには“0”点、ISO9000シリーズを導入済みであるときには“1”点、ISO9000で重大な指摘をうけたが是正処置が取られているときには“3”点、ISO9000で重大な指摘を過去3年受けていないときには“5”点とする。さらにまた、評価の視点として機密管理規定を設定した場合に、評価者は品質管理体制と同様の評価者とし、管理項目として「機密管理規定/情報セキュリティ内規の周知」を設定し、規定/内規についてはほとんど知らないときには“0”点、規定/内規については教育を実施済みであるときには“1”点、規定/内規に基づき内部チェックを定期的に実施しているときには“3”点、内部チェックで課題は発生していないときには“5”点とする。
また、ステップS25で、図10に示す目標管理評価シートとしての人材情報用評価シートをモニタ8に表示し、次いでステップS26に移行して、表示された評価シート毎に評価結果を得点で入力し終わったか否かを判定し、評価結果の入力が完了していないときにはこれが完了するまで待機し、評価結果の入力完了したときにはステップS27に移行して、各評価項目の評価結果を合計して、その合計得点を算出し、次いでステップS28に移行して、合計得点を前記図7に示す目標指標記憶テーブルにおける基盤情報の目標管理得点入力欄に書込んでから後述するステップS29に移行する。
ここで、人材情報用評価シートは、図10に示すように、評価の視点を育成とした場合に、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長及び技術担当者としての製造課長とし、評価項目として「キャリアパス制度は整備されているか」を設定し、対応なしのときに“0”点、個人のスキルがリスト化されているときには“1”点、キャリアパス制度が採用されているときには“3”点、キャリアパス制度が運用されているときには“5”点とする。また、評価の視点として教育を設定した場合には、評価者は育成と同じ4人とし、評価項目として「教育の効果測定はなされているか」を設定し、対応なしのときには“0”点、教育制度が存在するときには“1”点、左記に加えて、教育の効果について、満足度、達成度等の観点から成果が測定されているときには“3”点、左記に加えて、教育効果が確認されているときには“5”点とする。さらに、評価の視点として資格を設定した場合には、評価者を育成と同じ4人とし、評価項目として「社内で認定した技能工や技能検査合格者は何人いて、また組織が活用できる体制になっているか」を設定し、対応なしのときには“0”点、部署毎に必要資格が設定されているときに“1”点、左記に加え、各部署での取得率目標が設定されているときに“3”点、左記の資格取得目標は達成されているときに“5”点とする。さらにまた、評価の視点として社外ネットワークを設定した場合には、評価者を育成と同じ4人とし、評価項目を「他の研究機関の研究者とネットワークを持っているか、研究会に参加しているか、海外の研究活動の情報収集及び対応ができているか」を設定し、該当研究開発部署で外部研究部署の交流がないときに“0”点、該当研究開発部署で外部研究部署との交流があるが数回/人/年程度であるときには“1”点、該当研究開発部署で外部研究部署との交流があるが数回/人/月であるときには“3”点、該当研究開発部署で外部研究部署との交流があり数回/人/毎週であるときには“5”点とする。なおさらに、評価の視点として同じ社外ネットワークを設定した場合に、評価者を教育と同じ4人とし、評価項目として「異業種交流会で自社の技術の不足を補い、業績が向上したことがあるか」を設定し、対応なしのときには“0”点、異業種交流会への参加人数を把握しているときに“1”点、異業種交流会の成果が事業に反映されつつあるときに“3”点、異業種交流会の成果として直接事業に寄与した事実があるときには“5”点とする。また、評価の視点として組織目標への理解を設定した場合に、評価者を教育と同じ4人とし、評価項目として「経営者は業務方針や経営スタイルを組織に押し付けていないか」を設定し、経営による組織目標の説明会を実施していないときに“0”点、経営による組織目標の説明会を実施している(1年/年以上)ときに“1”点、左記に加えて、組織目標に関するミーティングを課長職以上で行っているときに“3”点、左記に加えて、組織目標に関するミーティングを全正社員を対象に実施しているときに“5”点とする。さらに、評価の視点として能力を設定した場合に、評価者を育成と同じ4人とし、評価項目として「対外発表数」を設定し、対応なしのときに“0”点、対外発表数を組織的に把握しているときに“1”点、業界内の他社の対外発表数を把握しているときに“3”点、業界内の平均以上に発表がなされているときに“5”点とする。さらにまた、評価の視点として同じく能力を設定した場合に、評価者を技術担当者としての製造課長とし、評価項目として「博士数」を設定し、対応なしのときに“0”点、博士数を把握しているときに“1”点、業界内の他社の博士数を把握しているときに“3”点、業界内の平均以上に博士がいるときに“5”点とする。
さらに、ステップS29で、図11に示す目標管理評価シートとしての営業情報用評価シートをモニタ8に表示し、次いでステップS30に移行して、表示された評価シート毎に評価結果を得点で入力し終わったか否かを判定し、評価結果の入力が完了していないときにはこれが完了するまで待機し、評価結果の入力完了したときにはステップS31に移行して、各評価項目の評価結果を合計して、その合計得点を算出し、次いでステップS32に移行して、合計得点を前記図7に示す目標指標記憶テーブルにおける基盤情報の目標管理得点入力欄に書込んでから後述するステップS33に移行する。
ここで、営業情報用評価シートは、図11に示すように、評価の視点を競争力分析とした場合に、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長とし、評価項目として「営業に関する実績データを把握、分析しているか」を設定し、分析していないときに“0”点、営業担当者1人あたりの売上高、利益を計算しているときに“1”点、左記に加えて過去実績との推移や同業他社と比較分析を実施しているときに“2”点、左記に加えて分析の効果を事業計画に反映させるときに“3”点、左記に加えて毎年遅滞なく左記業務を実施しているときに“4”点、左記に加えて実績の把握、分析に関するソフトを開発、又は利用済みであるときに“5”点とする。また、評価の視点として効率化を設定し、評価者を競争力分析と同様にとし、評価項目を「各種営業情報、業務手順の共有化により効率かのレベルアップが図られているか」を設定した場合に、対応していないときに“0”点、一部の部署で文書化されているときには“2”点、左記文書がインターネットワーク化されているときに“3”点、左記に加えて対象者全員に文書(電子メールを含む)の配布が行われているときに“4”点、左記に加えて定期的にデータの見直しが行われているときに“5”とする。さらに、評価の視点として顧客管理を設定し、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長及び技術担当者としての製造課長を設定し、評価項目として「取引先、顧客との関係は良好か相手からの信頼度は高いか」とした場合に、取引先、顧客別にクレーム発生率を把握していないときに“0”点、取引先、顧客別にクレーム発生を把握しているときに“1”点、左記把握の原因を明確にして改善を行っているときに“3”点、クレーム発生率が対前年比で低下しているときに“5”点とする。さらにまた、評価の視点としてアフターサービスを設定し、評価者を顧客管理と同様の評価者とし、評価項目として「製品ごとのアフターサービス、メンテナンスの提供状況」とし、対応していないときに“0”点、左記2サービスの状況を顧客別に把握しているときに“2”点、左記把握の状況は随時更新されているときには“3”点、左記に加えて、把握した状況は関係者に周知されているときには“5”点とする。なおさらに、評価の視点としてコスト管理を設定し、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長とし、評価項目を「各製品ごとの売上と利益に占める販売費用、アフターサービス費用、メンテナンス費用などの割合(メンテナンス費用は社外に対する費用と定義)」を設定し、左記3費用の一部は把握されていないときには“0”点、左記3費用を把握しているときに“1”点、左記に加えて過去の実績推移や同業他社との比較分析を実施しているときに“2”点、左記に加えて、分析結果を事業計画に反映しているときに“3”点、左記に加えて毎年遅滞なく左記業務を実施しているときに“4”点、左記に加えて実績の把握、分析に関するソフトを開発又は利用済みであるときに“5”点とする。また、評価の視点として販売体制を設定し、評価者としてはアフターサービス等と同様の4人とし、評価項目として「優良・有望な販売チャンネルを持っているか」を設定し、持っていないときに“0”点、優良・有望な販売チャンネルを区分し管理しているときに“1”点、左記の実績を管理し、チャンネル維持の体制があるときに“2”点、左記チャンネルの支援体制が明確となっている(担当など)ときに“3”点、左記チャンネルに対して、新商品の提案がなされている(通年度実績)ときに“4”点、左記チャンネルの実績が増加しているときに“5”点とする。さらに、評価の視点として営業人員を設定し、評価者を販売体制と同様の4人に主要顧客を加えた人数とし、評価項目として「営業の人員数は十分か?」を設定し、営業人員数を分析していないときに“0”点、競合他社と対比して少ないときに“1”点、競合他社と同程度であるときに“3”点、競合他社と対比して多いときに“5”点とする。さらに、また、評価の視点として情報共有化を設定し、評価者を販売体制と同様の4人とし、評価項目として「社内コミュニケーションは良好か(営業発信の情報に関して)」を設定し、他の関連部署には定期報を回覧していいなときに“0”点、定期報の一部を他の関連部署に回覧しているときに“1”点、定期報の全てを他の関連部署に回覧しているときに“3”点、全ての定期報に加え出張報告、会議報告などを解散しているときに“5”とする。
さらにまた、ステップS33で、図12に示す目標管理評価シートとしての技術情報用評価シートをモニタ8に表示し、次いでステップS34に移行して、表示された評価シート毎に評価結果を得点で入力し終わったか否かを判定し、評価結果の入力が完了していないときにはこれが完了するまで待機し、評価結果の入力完了したときにはステップS35に移行して、各評価項目の評価結果を合計して、その合計得点を算出し、次いでステップS36に移行して、合計得点を前記図7に示す目標指標記憶テーブルにおける基盤情報の目標管理得点入力欄に書込み、次いでステップS37に移行して、100点に対する比率を算出し、これを目標指標記憶テーブルの基盤情報の評価点記入欄に書込んでから目標管理評価処理を終了する。
ここで、技術情報用評価シートは、図12に示すように、評価の視点として開発計画を設定した場合に、評価者を経営者としての事業部長、企画担当者としての企画管理部長、営業担当者としての営業部長及び技術担当者としての製造課長を設定し、評価項目として「主力製品の次世代製品の準備をしているか」を設定し、準備していないときには“0”点、次世代製品についての開発計画が作成されているときに“1”点、左記を達成すための開発組織があるときに“3”点、左記の開発計画が遅滞なく進んでいるときに“5”点とする。また、評価の視点として用途開発を設定した場合に、評価者を開発計画と同じ4人に主要顧客を加えたものとし、評価項目として「これまで顧客が利用する用途開発の実勢或いは調査の実施はあるか(用途開発→自社が実施しない技術開発)」を設定し、対応なしのときに“0”点、これまでに用途開発の実績があるときに“1”点、左記に加えて、用途開発の開発費に占める比率に目標値が設定されているときに“3”点、左記に加えて、用途開発の開発費に占める比率が目標に達しているときに“5”点とする。さらに、評価の視点としてコスト競争力を設定した場合に、評価者を開発計画と同じ4人とし、評価項目として「製造コスト競争力は十分か」を設定し、競合他社対比の製造コスト強力分析は行っていないときに“0”点、競合製品よりも製造コストが高いときに“1”点、低い製品原価を実現するための製造プロセスの分析が行われているときに“3”点、左記の結果を踏まえてより高いコスト競争力を実現するための計画を持っているときに“5”とする。さらにまた、評価の視点として性能競争力を設定した場合に、評価者を用途開発と同じ人員とし、評価項目として「自社事業領域において優位技術力を持つか、導入できるか(最有力の競合他社対比の要素別性能分析をベースとする)」を設定し、要素別性能分析を行っていないときに“0”点、左記分析の結果競合他社対比で劣る場合が多いときに“1”点、左記分析の結果競合他社と同等レベルの性能であるときに“3”点、左記分析の結果競合他社との対比で性能が上回る項目がほとんどであるときに“5”点とする。なおさらに、評価の視点として品質競争力を設定した場合に、評価者を性能競争力と同じ人員とし、評価項目として「製品の生産について、品質が保持できる技術を有するか」を設定し、競合製品よりも品質レベルが明確に低いときに“0”点、競合製品よりも品質レベルがやや劣るときに“1”点、競合製品と品質レベルは同等レベルであるときに“3”点、競合製品に対して品質レベルが明確に高いときに“5”点とする。また、評価の視点として特許管理を設定した場合に、評価者を開発計画と同じ4人とし、評価項目として「現有自社技術・ノウハウの優位期間を認識しているか(競合他社対比の特許マップ作成)」を設定し、対応なしのときに“0”点、自社特許、競合他社特許について特許マップを作成しているときに“1”点、左記特許マップが常に最新に更新されているときに“3”点、左記特許マップに基づき特許出願計画が策定されているときに“5”点とする。さらに、評価の視点をノウハウ管理に設定したときに、評価者を特許管理と同じ4人とし、評価項目として「研究開発と知的私有権を保護するためにどのような安全対策がとられているか(自社のノウハウの管理体制)」を設定し、対応なしのときに“0”点、各社ノウハウを把握しているとき(記録が前提)に“1”点、左記ノウハウが常に最新に更新されているときに“3”点、左記ノウハウが関係者に周知されている(定期的教育要)ときに“5”点とする。さらにまた、評価の視点として情報共有化が設定されている場合に、評価者としノウハウ管理と同じ4人とし、評価項目として「社内コミュニケーションは良好か(技術〔開発、生産など〕発信の情報に関して)」を設定し、他の関連部署には定期報を回覧していないときには“0”点、定期報の位置部を他の関連部署に回覧しているときに“1”点、定期報のすべてを他の関連部署に回覧しているときに“3”点、すべての定期報に加え出張報告、会議報告などを回覧しているときに“5”点とする。
この図8の処理において、ステップS22〜S24の処理が基盤情報分析手段に対応し、ステップS26〜S28の処理が人材情報分析手段に対応し、ステップS30〜S32の処理が営業情報分析手段に対応し、ステップS34〜S36の処理が技術情報分析手段に対応し、ステップS37の処理が資産価値評価手段に対応し、さらにステップS21,S22,S25,S26,S29,S30,S33,S34の処理が情報収集手段に対応し、ステップS23,S24,S27,S28,S31,S32,S35〜S37の処理が計数化手段に対応している。
さらに、無形資産評価装置1は、前述した計数評価処理及び目標管理評価処理に加えて図13に示すアンケート評価処理を実行する。
このアンケート評価処理は、図14に示すアンケートシートを経営、企画、営業、技術の担当者及び主要顧客の各評価者に配布し、所定事項を記入したアンケートシートを回収して、回収したアンケートシートのデータを入力することにより、アンケートシート毎に評価結果を算出する。ここで、アンケートシートは、図14に示すように、比較対象要素として、基盤に対応する「安心感」、人材に対応する「マンパワー」、営業に対応する「サービス」、技術に対応する「性能」を設定し、各比較対象要素を2つずつ総当たりで比較するように6通りの組合せが比較対象要素1及び比較対象要素2に順次記載され、これらの比較結果として、評価対象の事業又は製品について、明らかに比較対象要素1の比重が大きい、どちらかというと比較対象要素1の比重が大きい、どちらともいえない、どちらかというと比較対象要素2の比重が大きい、明らかに比較対象要素2の比重が大きいの何れかを評価し、該当する欄に○印を付けるように回答欄が形成され、回答欄の下側に比較対象要素1及び比較対象要素2の配点が記載されている。この場合の配点は、比較対象要素1については明らかに比較対象要素1の比重が大きいときには“4”点、どちらかというと比較対象要素1の比重が大きいときには“2”点、どちらともいえないときには“1”点、どちらかとういと比較対象要素2の比重が大きいときに“1/2=0.5”点、明らかに比較対象要素2の比重が大きいときには“1/4=0.25”点が配分され、比較対象要素2についても同様に明らかに比較対象要素2の比重が大きいときには“4”点、どちらかというと比較対象要素2の比重が大きいときには“2”点、どちらともいえないときには“1”点、どちらかとういと比較対象要素1の比重が大きいときに“1/2=0.5”点、明らかに比較対象要素1の比重が大きいときには“1/4=0.25”点が配分されている。
そして、アンケート評価処理では、先ず、ステップS41で、図14に示すアンケートシートをモニタ8に表示し、次いでステップS42に移行して、アンケートシートの回答欄に全て回答結果が入力されたか否かを判定し、入力が完了していないときにはこれが完了するまで待機し、入力が完了したときにはステップS43に移行して、回答結果と配点とに基づいて基盤、人材、営業及び技術の夫々に対する基盤、人材、営業及び技術の得点を算出し、算出した得点を図15に示す得点算出テーブルに書込む、次いでステップS44に移行して、算出した得点の合計点及び100点に対する比率を算出して、これらを得点算出テーブルの合計点記入欄及び比率記入欄に書込み、次いでステップS45に移行して、評価者の所属、役職入力欄に入力された入力データに基づいて評価者が経営、企画、営業、技術の担当者及び主要顧客の何れであるかを判別し、算出した合計点(素点)及び比率を図7に示す目標指標記憶テーブルにおける該当する評価者の基盤、人材、営業、技術の素点入力欄及び比率入力欄に書込んでからステップS46に移行して、全ての評価者の図7の目標指標記憶テーブルへの書込みが完了したか否かを判定し、書込みが完了していないときには前記ステップS41に戻り、書込みが完了したときにはステップS47に移行して、全ての評価者の合計点(素点)及び比率の平均値を算出し、次いでステップS48に移行して、算出した素点及び比率の平均値を図7の目標指標記憶テーブルのアンケート全平均入力欄に書込んでから処理を終了する。更に主要顧客の数値が、計数情報の数値と比較して大きな乖離があれば、計数記憶テーブルの重み係数を見直してフィードバックすることもできる。
この図13の処理において、ステップS41〜S46の手段が基盤情報分析手段、人材情報分析手段、営業情報分析手段及び技術情報分析手段に対応し、ステップS47及びS48の処理が資産価値評価手段に対応し、ステップS41,S42の処理が情報収集手段に対応し、ステップS43〜ステップS48の処理が計数化手段に対応している。
さらにまた、無形資産評価装置1は、インカムアプローチによって、計数情報評価処理、目標管理評価処理及びアンケート評価処理によって求めた技術情報の評価値即ち100点満点での得点と、個別特許点数及び残存年数と、事業領域等の無形資産価値とに基づいて個別特許価値を算出するインカムアプローチ演算処理を実行する。
このインカムアプローチ演算処理は、図16に示すように、先ず、ステップS51で、図17に示すように、無形資産価値を算出する。この無線資産価値の算出は、会計情報データベース6をアクセスして、該当事業領域の各年度の売上高、営業利益、実効税率、流動資産、現金預金、負債、減価償却、設備投資、割引率、今年度の売掛金、買掛金、棚卸資産、有形固定資産、無形固定資産(計上無形資産、特許等は除く)を読込む。次いで、ステップS52に移行して、読込んだ各データを図17に示す計算シートの所定位置に書込むことにより、流動資産から現金預金及び負債を減算して求めた運転資本を算出し、下記(2)式に基づいて各年度のフリーキャッシュフロー(FCF)を算出し、算出した各年フリーキャッシュフローに割引計数を乗算して各年度の割引キャッシュフロー(DCF)を算出し、最終年フリーキャッシュフローを割引率で除して求めた残余価値を、各年割引キャッシュフローの加算値に加算して事業現在価値を算出し、今年度の売掛金、棚卸資産、有形固定資産及び無形固定資産の加算値から買掛金を減算して使用資産を算出し、事業現在価値から使用資産を減算して事業領域等の無形資産価値IAvを算出する。
FCF=営業利益(1−実効税率/100)
+減価償却−設備投資−(運転資本の前年から今年の増分) ……(2)
次いで、ステップS53に移行して、特許出願毎に評価される個別特許点数PAsと残存年数Yと前記ステップS52で算出した事業領域等の無形資産価値IAvと、前述した計数情報評価処理、目標管理評価処理及びアンケート評価処理で求めた技術情報の評価値即ち国内計数情報の評価値Tv1(=30.8)、海外計数情報の評価値Tv2(=35)、目標管理評価値Tv3(=24.4)及びアンケート全平均評価値Tv4(=32.6)とをもとに下記(3)式にしたがって国内計数情報、海外計数情報、目標管理及びアンケートに対応するインカムアプローチによる個別特許価値IPAv1〜IPAv4を算出する。
PAs×Y
IPAvi=――――――――×IAv×Tvi×1/2 …………(3)
Σ(PAs×Y)
ここで、iは1〜4の何れかを表し、Σ(PAs×Y)は該当事業領域の全ての特許出願についての合算値を表す。
次いで、ステップS54に移行して、算出した個別特許価値IPAv1〜IPAv4を図18に示す事業部名、事業領域、知的資産区分、出願番号、公開番号、登録番号、特許利用製品名、技術要素、有効期間等を入力する知的資産管理台帳のインカムアプローチの評価結果入力欄に入力してから処理を終了する。この図16の処理が個別知的資産価値算出手段に対応している。
なおさらに、無形資産評価装置1は、マーケットアプローチ(残存価値法)によって、計数情報評価処理、目標管理評価処理及びアンケート評価処理によって求めた技術情報の評価値即ち100点満点での得点と、個別特許点数及び残存年数と、マーケットアプローチによる事業領域等の無形資産価値とに基づいて個別特許価値を算出するマーケットアプローチ演算処理を実行する。
このマーケットアプローチ演算処理は、図19に示すように、先ず、ステップS61で、会計情報データベース6をアクセスして、株価SV、発行株数SN、有形資産等TA、該当事業領域又は事業部の営業利益額OP、全社営業利益額TOPを読込み、次いでステップS62に移行して、営業利益額OPが“0”又は負(OP≦0)であるか否かを判定し、OP≦0であるときにはステップS63に移行して、マーケットアプローチによる事業領域等の無形資産価値MAvを“0”に設定してからステップS65に移行し、OP>0であるときにはステップS64に移行して、下記(4)式にしたがって、マーケットアプローチによる事業領域等の無形資産価値MAvを算出してからステップS65に移行する。
MAv=(SV×SN−TA)×OP/TOP …………(4)
ステップS65では、特許出願毎に評価される個別特許点数PAsと残存年数Yと前記ステップS62又は63で算出したマーケットアプローチによる事業領域等の無形資産価値MAvと、前述した計数情報評価処理、目標管理評価処理及びアンケート評価処理で求めた技術情報の評価値即ち国内計数情報の評価値Tv1(=30.8)、海外計数情報の評価値Tv2(=35)、目標管理評価値Tv3(=24.4)及びアンケート全平均評価値Tv4(=32.6)とに基づいて下記(5)式にしたがって国内計数情報、海外計数情報、目標管理及びアンケートに対応するマーケットアプローチによる個別特許価値MPAv1〜MPAv4を算出する。ここで、個別特許点数PAsとしては、特許の権利化状況、自社での出願順位、権利の強さ、抵触可能性、代替え技術との技術優位性、技術の完成度、移転流通性、発明の事業可能性等に基づいて採点されるが、これに限らず、特許庁の特許評価指標等の任意の採点法を使用して採点するようにしてもよい。
PAs×Y
MPAvi=――――――――×IAv×Tvi×1/2 …………(5)
Σ(PAs×Y)
ここで、iは1〜4の何れかを表し、Σ(PAs×Y)は該当事業領域の全ての特許出願についての合算値を表す。
次いで、ステップS66に移行して、算出した個別特許価値MPAv1〜MPAv4を 前述した図18に示す事業部名、事業領域、知的資産区分、出願番号、公開番号、登録番号、特許利用製品名、技術要素、有効期間等を入力する知的資産管理台帳のマーケットアプローチの評価結果入力欄に入力してから処理を終了する。この図19の処理が個別知的資産価値算出手段に対応している。
また、無形資産評価装置1は、個別特許コストを算出する特許コスト算出処理を実行する。この特許コスト算出処理は、図20に示すように、先ず、ステップS71で、会計情報データベース6をアクセスして個別特許出願の出願費用APc、維持費用Mc、特許管理部場経費ADc、事業領域開発コスト(研究開発費)DVcを読込むと共に、知的財産権情報データベース7をアクセスして当該年出願件数合計TAP及び過年度個別特許コストPPAcを読込む。
次いで、ステップS72に移行して、下記(6)式の演算を行って、個別特許コストPAcを算出する。
PAc=APc+Mc+((ADc+DVc)/TAP)×1/2+PPAc…(6)
次いで、ステップS73に移行して、算出した個別特許コストPAcを図18に示す事業部名、事業領域、知的資産区分、出願番号、公開番号、登録番号、特許利用製品名、技術要素、有効期間等を入力する知的資産管理台帳のコスト入力欄に入力してから処理を終了する。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、知的財産権情報データベース7では、自社特許出願情報、国内公開特許情報及び海外特許情報の電子データを新たに登録する際に、図3に示す個別特許入力シート21をモニタに表示して、これに出願番号、出願日、出願人等の書誌事項を入力すると共に、該当する特許利用製品名、該当する技術要素/特許分類及び他社・技術要素/特許分類に例えば○印を入力し、入力が完了した個別特許入力シート21を順次登録する。この他、実用新案登録情報を入力する場合も、上記公開特許情報の入力に準じて処理し、特許登録情報を入力する場合は、公開番号又は出願番号から該当する個別特許シートを検索し、検索した個別特許シートに登録日及び登録番号と実有効期間を入力する。
また、新製品を開発した場合には、既存の製品名から該当する個別特許入力シートを検索して、検索した個別特許入力シートの特許利用製品名に新製品名を登録すると共に、新たな技術要素/特許分類ができた場合も該当する個別特許入力シート12を検索して、新規事項を追加する。
そして、評価対象事業部として例えば包装事業部について無形資産評価を行う場合には、無形資産評価装置1で、メニューを表示させ、表示されたメニューから、計数情報評価処理を選択すると、 図4の処理が実行されて、先ず、事業領域等入力シート11で、この包装事業部の属する事業領域名として「W事業領域」を入力すると共に事業部名を「包装事業」として入力する。次いで、技術要素/特許分類入力シート12で、分類が材料・プロセスとなるモノマー合成、重合、溶融製膜、巻き取り、梱包を入力すると共に、用途として、食品、医療、電子材料を入力し、さらに性能として保温及び酸素遮断を入力する。また、他社・技術要素/特許分類入力シート13で、分類として材料・プロセスで湿式製膜、用途で美容・健康、機能で紫外線遮断を入力し、さらに製品名入力シート14で製品名として家庭用包装材A、家庭用包装材B、業務用包装材A、業務用包装材B、医療用包装材A、医療用包装材B、電子材料用包装材A、電子材料用包装材Bを入力する。また、国内シェア情報入力シート15で評価対象となる包装事業部の国内シェア情報として上位3社の会社名、シェア(%)及び比較単位を入力すると共に、世界情報入力シート16で評価対象となる包装事業部の世界シェア情報として上位3社の会社名、シェア(%)及び比較単位を入力する。さらに、主要顧客名入力シート17で国内及び海外の主要顧客の会社名及び事業部名を入力する。
以上の入力が完了すると、先ず基盤情報として、評価対象事業部名、国内シェア上位3社名をもとに、主要紙の新聞記事の掲載数を計数し、各計数値を図5に示す計数情報記憶テーブルの該当欄に記憶する。このとき、掲載記事の内容がネガティブである情報については減算する。同様に、ホームページ閲覧ソフトを使用して、日本語のキーワードでインターネットのホームページタイトル掲載数を算出すると共に、英語のキーワードでインターネットのホームページタイトル掲載数を算出し、算出したホームページ掲載数を夫々図5に示す計数情報記憶テーブルの該当欄に記憶する。
また、企業情報データベース5にアクセスして、人材情報として、評価対象となる包装事業部及び国内シェア上位3社の人材情報即ち、平均年間給与、平均年間給与増減率、平均年齢を読込み、これらを図5の計数情報記憶テーブルの該当欄に記憶する。
さらに、会計情報データベース6にアクセスして、営業情報として、評価対象となる包装事業部及び国内シェア上位3社の営業情報即ち売上高営業費用比率、(販売管理費−研究開発費)/売上高を読込んで、図5の計数情報記憶テーブルの該当欄に記憶する。ここでは、各社の売上高営業費用比率が算出されておらず、(販売管理費−研究開発費)/売上高のみが記憶されている。
さらにまた、会計情報データベース6をアクセスして、技術情報として、評価対象となる包装事業部及び国内シェア上位3社の売上高研究開発費比率を読込み、これらを図5の計数情報記憶テーブルに記憶すると共に、知的財産権情報データベース7をアクセスして、製品名、技術要素/特許分類、他社・技術要素/特許分類をもとに評価対象となる包装事業部及び国内シェア上位3社の個別特許入力シートを検索して該当する国内公開特許件数を算出し、これらを図5の計数情報記憶テーブルの該当個所に記憶する。
これにより、図5の計数情報記憶テーブルの計数部が全て埋まることになり、例えば基盤情報についてみると、新聞記事掲載数については包装事業部が“79”、国内シェア第1位メーカーが“50”、第2位メーカーが“43”、第3位メーカーが“30”となり、国内シェア上位3社の平均値は“41.0”となる。そして、包装事業部のシェア上位3社との乖離率は前述した(1)式の演算を行うことにより、(79−41)×100/41=“92.7”となる。日本語によるホームページタイトル掲載数では、包装事業部が“32”、国内シェア第1位メーカーが“10”、第2位メーカーが“23”、第3位メーカーが“5”となり、国内シェア上記3社の平均値は“12.7”となり、乖離率は152.6となる。さらに、英語によるホームページタイトル掲載数では、包装事業部が“144”、国内シェア第1位メーカーが“230”、第2位メーカーが“25”、第3位メーカーが“34”となり、国内シェア上位3社の平均値は“96.3”となり、乖離率は “49.5”となる。
このため、乖離率に重み係数(基盤情報の場合全て“1”)を乗算した値を加算して重み係数加算値で除した平均乖離率は“98.3”となり、図6の採点記憶テーブルを参照すると、得点が“8”となり、これが素点として、図7の目標指標記憶テーブルにおける基盤情報の国内係数情報入力欄に記憶される。
また、人材情報、営業情報及び技術情報についても上記基盤情報の演算と同様の演算処理が行われて、人材情報の平均乖離率が“5.4”で、得点が“5”、営業情報の平均乖離率が“9.1”で得点が“5”、技術情報の平均乖離率が“92.5”で得点“8”となり、これら得点が素点として図7の国内係数情報入力欄に記憶される。
そして、基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の国内係数情報が全て記憶されると、素点の100点に対する比率(素点/合計素点)×100即ち各要素の評価対象となる無形資産に対する寄与率を算出すると、基盤情報の寄与率は“30.8”%となり、人材情報の寄与率は“19.2”%となり、営業情報の寄与率は“19.2”%となり、技術情報の寄与率は“30.8”%となる。
このため、一般の利益4分法での標準値が“25”%であることから、基盤情報及び技術情報の比重が人材情報及び営業情報の比重より高く、ブランド力と技術力の評価は高いがマンパワー及び営業力の評価は低いと判断することができる。この評価結果から該当事業部の強化すべき方向性を明示することができ、予算配分、採用計画をシミュレーションすることにより、具体的な強化策を提示することができる。
同様に、世界計数情報についても、上記国内計数情報と同様に、図21に示すように、ホームページタイトル掲載数、平均年間給与、(販売管理費−研究開発費)/売上高、売上高研究開発比率、国内登録特許件数等の評価対象事業及び世界シェア上位3社との乖離率を算出して得点を算出し、これを図7の目標指標記憶テーブルに記憶する。
さらに、計数情報に基づく無形資産評価を補強するために、予め設定した経営担当者、企画担当者、営業担当者、技術担当者等の評価者による目標管理の達成度に基づく無形資産評価を行う。この目標管理による評価は、図9に示す基盤情報用評価シート、図10に示す人材情報用評価シート、図11に示す営業情報用評価シート及び図12に示す技術情報用評価シートに記載されている各評価項目についての達成度を得点で評価する。
これらの評価結果のうち、基盤情報用評価シートについては、「企業倫理に関する文書の周知」の評価項目については文書を定期的に教育して実施している」ので、得点が“3”点、「危機管理文書の周知」の評価項目については危機管理文書の内容について教育を実施済みであるので、得点が“3”点、その他、「レスポンシブル・ケア報告書の周知」、「事故発生率は高めか」、「製造設備の故障などによる休止」、「ISO14001の周知」及び「気密管理規定の周知」の各評価項目については、得点が“3”点、「ISO9000シリーズの周知」の評価項目についてはISO9000で重大な指摘を過去3年受けていないとして得点が“5”となり、合計得点が“26”点となる。
同様に、人材情報用評価シートについては、図10に示すように、「キャリアパス精度は整備されているか」の評価項目についてはキャリアパス精度が運用されているので、得点が“5”点、「教育の効果測定はなされているか」の評価項目については教育精度が存在するが教育の効果について、満足度、達成度等の観点から成果が測定正確に測定されていないので得点が“2.5”点、「社内で認定した技能工や技能検査合格者は何人いて、また組織が活用できる体制となっているか」の評価項目については部場毎に必要資格が設定されているが一部取得目標が設定されていない部場が存在することから得点が“2.5”点、「他の研究機関の研究者とネットワークを持っているか、研究会に参加しているか、海外の研究活動の情報収集及び対応ができているか」の評価項目については該当研究開発部場で外部研究部場の交流があるが数回/人/月であるので得点が“3”点、「異業種交流会で自社の技術の不足を補い、業績が工場したことがあるか」の評価項目については「異業種交流会の成果が事業に反映しつつあるので得点が“3”点、「経営者は業務方針や経営スタイルを組織に押し付けていないか」の評価項目については経営による組織目標説明会を実施、組織目標に関するミーティングを全正社員を対象に実施しているので得点が“5”点、「対外発表数」の評価項目については業界内平均以上に発表がなされているので、得点が“5”点、「博士数」の評価項目については業界内の平均以上に博士がいるので得点が“5”点となり、合計得点が“27”となる。
また、営業情報用評価シートについては、図11に示すように、「実績データを把握、分析している」の評価項目については、分析結果を事業計画に反映させているので、得点が“3”点、「各種営業情報、業務手順の共有化により効率化のレベルアップが図られているか」の評価項目については、文書がネットワーク化されているので得点が“3”点、「取引先、顧客との関係は良好か相手からの信頼度は高いか」の評価項目については、「クレーム発生率が対前年比で低下しているので得点が“5”点、「製品毎のアフターサービス、メンテナンスの提供状況」の評価項目については、「サービスの状況を顧客別に把握し、把握した状況は関係者に周知されているので得点が“5”点、「製品ごとの売上と利益に示す販売費用、アフターサービス費用、メンテナンス費用などの割合」の評価項目について、過去の実績推移や同業他社との比較分析を実施し、分析結果を事業計画に反映しているので得点が“3”点、「優良・有望な販売チャンネルを持っているか」の評価項目については、優良・有望な販売チャンネルの実績が増加しているので得点が“5”点、「営業の人員数は十分か?」の評価項目については、競合他社と対比して多いので得点が“5”点、「社内コミュニケーションは良好か」の評価項目については、定期報の全てを他の関連部場に回覧しているので聞く点が“3”点となり、合計得点が“32”点となる。
さらに、技術情報用評価シートについては、図12に示すように、「主力製品の次世代製品の準備をしているか」の評価項目については、次世代製品の開発計画を達成するための開発組織があるので得点が“5”点、「これまで顧客が利用する用途開発の実績あるいは調査の実施はあるか」の評価項目については、用途開発の開発費に示す比率が目標に達しているので得点が“5”点、「製造コスト競争力は十分か」の評価項目については、低い製品原価を実現するための製造プロセスの分析が十分とはいえないので得点が“2.5”点、「自社事業領域において優位技術力を持つか、導入できるか」の評価項目については、要素別性能分析の結果競合他社とどうレベルの性能であるので得点が“3”点、「製品の生産について、品質が保持できる技術を有するか」の評価項目については競合製品と品質レベルは同等レベルであるので得点が“3”点、「現有自社技術・ノウハウの優位機関を認識しているか」の評価項目については、特許マップに基づき特許出願計画が策定されているので得点が“5”点、「研究開発と知的財産権を保護するためにどのような安全対策がとられているか」の評価項目については、自社ノウハウを最新に更新しているので得点が“3”点、「社内コミュニケーションは良好か」の評価項目については、「定期報の全てを他の関連部場に回覧しているので得点が“3”点となり、合計得点が“27.5”となる。
そして、これらか各基盤情報用評価シート、人材情報用評価シート、営業情報用評価シート及び技術情報用評価シートの合計得点が図7の目標指標記憶テーブルの目標管理入力欄に素点として入力され、これら素点に基づいて100点満点の比率を算出することにより、目標管理に基づく評価点は基盤情報が“23.1”、人材情報が“24.0”、営業情報が“28.4”及び技術情報が“24.4”となり、この評価結果から目標管理については基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の全てが略標準値に近いことが解る。
さらに、アンケートに基づく無形資産評価を行う。このアンケートによる無形資産評価では、予め経営、企画、営業、技術及び主要顧客に対して図14に示すアンケートシートを配布し、所定項目の回答欄に回答したアンケートを回収して、回答をモニタに表示されているアンケートシートに入力する。このとき、経営に携わる事業部長のアンケートシートが図22に示すように、「安心感」と「サービス」との対比では明らかに「安心感」が勝っており、「安心感」と「マンパワー」との対比、「安心感」と「性能」との対比、「サービス」と「マンパワー」との対比では、どちらともいえず、「サービス」と「性能」との対比ではどちらかというと「性能」のほうが勝っており、「マンパワー」と「性能」との対比では明らかに「性能」のほうが勝っているものとすると、安心感が基盤情報に対応し、マンパワーが人材情報に対応し、サービスが営業情報に対応し、性能が技術に対応することから、基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報と他の情報との得点は図22 の配点に基づいて図23に示すように、基盤情報は基盤情報、人材情報及び技術情報に対して得点“1”、営業情報に対して得点“4”となるので、合計点は“7”となる。また、人材情報は基盤情報、人材情報、営業情報に対して得点“1”、技術情報に対して得点“0.25(=1/4)”となるので、合計点は“3.25”となる。さらに、営業情報は、基盤情報に対して得点“0.25(=1/4)”、人材情報及び営業情報に対して得点“1”、技術情報に対して得点“0.5(=1/2)”となるので、合計点は“2.75”となる。さらにまた、技術情報は基盤情報及び技術情報に対して得点“1”、人材情報に対して得点“4”、営業情報に対して得点“2”となるので、合成点は“8”となる。このため、100点に対する比率は基盤情報が“33.3”、人材情報が“15.5”、営業情報が“13.1”、技術情報が“38.1”となり、これらが図7の目標指標記憶テーブルのアンケート評価値記入欄における経営記入欄に記憶される。
また、企画に携わる企画管理部長のアンケートシートは、図24に示すように、「安心感」が「サービス」、「マンパワー」及び「性能」より明らかに勝っており、「サービス」と「マンパワー」とはどちらともいえず、「サービス」と「性能」とはどちらかいうと「性能」のほうが勝っており、「マンパワー」と「性能」とでは明らかに「性能」のほうが勝っている。このため、図25に示すように、基盤情報に対して得点“1”、その他の人材情報、営業情報及び技術情報に対して得点“4”となり、合計点は“13”となる。人材情報は基盤情報及び技術情報に対して得点“0.25”、人材情報及び営業情報に対して得点“1”となり、合計点は“2.5”となる。営業情報は基盤情報に対して得点“0.25”、人材情報及び営業情報に対して得点“1”、技術情報に対して得点“0.5”となり、合計点は“2.75”となる。技術情報は基盤情報に対して得点“0.25”、人材情報に対して得点“4”、営業情報に対して得点“2”、技術情報に対して得点“1”となり、合計点は“7.25”となる。このため、100点に対する比率は基盤情報が“51.0”、人材情報が“9.8”、営業情報が“10.8”、技術情報が“28.4”となり、これらが図7の目標指標記憶テーブルのアンケート欄における企画記入欄に記憶される。
そのほか、営業に携わる営業部長のアンケートシートは、図26に示すようになり、計算結果は図27に示すように、基盤情報の合計点が“10”、人材情報の合計点が“2.5”、営業情報の合計点が“6.25”、技術情報の合成点が“6.25”となり、100点に対する比率は基盤情報が“40.0”、人材情報が“10.0”営業情報及び技術情報が共に標準値の“25.0”となり、これらが図7の目標指標記憶テーブルのアンケート記入欄における営業情報記憶欄に記憶される。同様に技術情報に携わる製造課長のアンケートシートは図28に示すようになり、計算結果は図29に示すように、基盤情報の合計点が“8”、人材情報の合計点が“2.75”、営業情報の合計点が“2.75”、技術情報の合計点が“8”となり、100点に対する比率即ち寄与率が基盤情報で“37.2”、人材情報で“12.8”、営業情報で“12.8”、技術情報で“37.2”となり、これらが図7のアンケート記入欄における技術情報記入欄に記憶される。
同様に、主要顧客のアンケートシートは図30に示すようになり、計算結果は図31に示すように、基盤情報の合計点が“10”、人材情報の合計点が“2.5”、営業情報の合計点が“2.75”、技術情報の合計点が“8”となり、100点に対する比率即ち寄与率が基盤情報で“43.0”、人材情報で“10.8”、営業情報で“11.8”、技術情報で“34.4”となり、これらが図7のアンケート記入欄における主要顧客情報記入欄に記憶される。
そして、経営、企画、営業、技術及び主要顧客のアンケート評価値が図7の目標指標記憶テーブルに記憶されると、アンケート評価値の基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報の全平均値が算出され、これが図7の目標指標記憶テーブルのアンケート情報記入欄における全平均記入欄に記憶される。
このアンケートに基づく評価値は、前述した国内計数情報の評価値に略対応した値となっており、国内計数情報に基づく無形資産評価手法のみでも正確な評価を行うことができることが実証された。
このようにして、図7に示す目標指標記憶テーブルの基盤情報、人材情報、営業情報及び技術情報に対する計数情報に基づく評価値、目標管理に基づく評価値及びアンケート情報に基づく評価値の記憶が完了すると、このうちの技術情報に対する計数情報に基づく評価値、目標管理に基づく評価値及びアンケート情報に基づく評価値を使用して、評価対象となる事業部で出願した知的財産権に対する評価を行うことができる。
この知的財産権に対する評価は、会計情報データベース6をアクセスして、売上高、営業利益、実行税率、流動資産等を読込み、これらに基づいて図17に示す計算シートに基づいてインカムアプローチによる無形資産価値IAvを算出すると共に、知的財産権情報データベース7をアクセスして、評価対象となる特許出願の個別特許点数及び残存期間を読込むと共に、全社の特許出願の個別特許点数に残存期間を乗算した値の合算値を読込み、さらに、図7の目標指標記憶テーブルに記憶されている技術情報の国内計数情報、世界計数情報、目標管理の評価値Tv1〜Tv3及びアンケートの全平均評価値Tv4を読込み、前述した(3)式の演算を行うことにより、インカムアプローチによる国内計数情報、世界計数情報、目標管理情報及びアンケート情報に基づく個別特許価値IPAv1〜IPAv4を算出し、これらを図18に示す知的資産管理台帳に記憶する。
一方、会計情報データベース6をアクセスして、株価SV、発行株数SN、有形資産等TA、該当事業領域又は事業部の営業利益額OP、全社営業利益額TOPを読込み、これらに基づいて前述した(4)式の演算を行ってマーケットアプローチによる事業領域等の無形資産価値MAvを算出し、この無形資産価値MAvと、前述した評価対象となる特許出願の個別特許点数及び残存期間と、全社の特許出願の個別特許点数に残存期間を乗算した値の合算値と、図7の目標指標記憶テーブルに記憶されている技術情報の国内計数情報、世界計数情報、目標管理情報の評価値Tv1〜Tv3及びアンケートの全平均評価値Tv4とに基づいて前述した(5)式の演算を行うことにより、マーケットアプローチによる国内計数情報、世界計数情報、目標管理情報及びアンケート情報に基づく個別特許価値MPAv1〜MPAv4を算出し、これらを図18に示す知的資産管理台帳に記憶する。
さらに、会計情報データベース6をアクセスして個別特許出願の出願費用APc、維持費用Mc、特許管理部場経費ADc、事業領域開発コスト(研究開発費)DVcを読込むと共に、知的財産権情報データベース7をアクセスして当該年出願件数合計TAP及び過年度個別特許コストPPAcを読込み、前述した(6)式の演算を行って、個別特許コストPAcを算出し、算出した個別特許コストPAcを図18に示す知的資産管理台帳に記憶する。
このようにして、個別特許出願後に知的資産管理台帳を作成することにより、個別の特許出願の無形資産価値をインカムアプローチ及びマーケットアプローチから容易且つ正確に算出することができる。
なお、上記実施形態においては、個別特許価値評価のみを行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、個別特許価値評価と同様に個別ノウハウ点数に残存期間(一律20年を設定)を乗算した値を算出し、個別特許点数に残存期間を乗算した値と個別ノウハウ点数に残存期間を乗算した値の総加算値で、個別ノウハウ点数及び残存期間の乗算値又は個別特許点数及び残存期間の乗算値を除した値にインカムアプローチによる事業領域の無形資産価値又はマーケットアプローチによる事業領域の無形資産価値及び図7の目標指標記憶テーブルに記憶されている技術情報の各評価値を乗算することにより(即ち(3)式及び(5)式の1/2を除いた式)、インカムアプローチによる個別特許・ノウハウ価値又はマーケットアプローチによる個別特許・ノウハウ価値を算出するようにしてもよい。また、個別ノウハウについてのコストとしては、全体費用から個別特許コストの総加算値を減算した値を新規作成ノウハウ数で除することにより算出することができる。この個別ノウハウ評価については図32に示す知的管理台帳を作成する。
1…無形資産評価装置、2…ローカルエリアネットワーク、3…製品情報データベース、4…報道情報データベース、5…企業情報データベース、6…会計情報データベース、7…知的財産権情報データベース、8…モニタ、9…プリンタ、10…キーボード