JP2005149027A - 自動車の観測色の表示装置とその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 自動車の観測色を表示する装置は、自動車の塗装色で塗装した仮想球面を、予定位置に置かれた予定形状の光源で照明したものを、予定位置で見たときに観測される色彩分布を記述する色彩マップ記憶手段と、自動車の塗装面の形状を三次元空間内に記述する三次元モデル情報記憶手段と、前記三次元モデル情報が記述する自動車の塗装面に、前記色彩マップが記述する色彩をマッピングする手段を有している。そして、前記色彩マップには、光源の映り込みが形成されており、その光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
自動車の観測色を知るためには、実際に塗装して観測するのが最適であろう。しかしながらその作業には時間を要し、最適塗装色を決定するまでに多数台の自動車を塗装しなければならない。そこで、コンピュータ装置を用いて自動車の観測色を計算して表示する技術が必要とされている。
コンピュータグラフィックの技術が発展し、物体と、それを照明する光源と、物体が置かれている環境と、物体を見る視点を予定したときに、物体表面に観測される色彩分布をコンピュータ装置を用いて計算して表示する技術が開発されており、環境マッピング法と称されている。環境マッピング法では、三次元形状を持つ物体を視点から見たときに観測される2次元画像に、所定画像(テクスチャマップ)を貼り付ける。いわゆるテクスチャマッピングに類似する方法である。これにより、物体表面に周囲の環境を映し込んだ画像を計算して表示することが可能となる。
図15は、色彩マップ100を自動車の塗装面にマッピングした例を示している。図15(A)は、自動車の塗装面を側方から見た2次元画像115にマッピングした例を示し、図15(B)は、自動車の塗装面を斜め後方から見た2次元画像117にマッピングした例を示している。図15(C)は、マッピングに利用された色彩マップ100内の領域102、104を示している。領域102は、色彩マップ100のハイライト部を示し、領域104は、色彩マップ100のハイライト部以外の領域を示す。
色彩マップ100のハイライト部である領域102には、単一の丸い光源が仮想球面に映り込んだものが再現されているため、ハイライト面が形成される方向は仮想球面の局所的な範囲に限定されている。そのため、自動車の観測色を再現した画像115においても、ハイライト面115aは自動車の側面の一部に留まって形成される。ハイライト面115aが形成されない自動車観測色再現画像115の先頭115e側では、塗装面の陰影感が少なく表示されてしまい、塗装面の曲面形状を想起することが困難となる。
図15(B)に示す自動車を斜め後方から見た2次元画像117に色彩分布をマッピングした画像では、自動車表面の法線方向に対する視点位置の関係に基づいて、自動車の側面部118と後尾面部119には色彩マップ100の領域104の色彩分布がマッピングされる。領域104にはハイライト面が含まれていないため、自動車塗装色再現画像117には、ハイライト面が形成されず、塗装面の陰影感が少なく表示されてしまい、塗装面の曲面形状を想起することが困難となり、形状評価に適さない。
このように、現在の自動車塗装色の観測画像再現技術では、自動車形状の評価に必要な陰影表現が充分でなく、ハイライト面の形成範囲も的確でないため、自動車形状の評価をバーチャルで実施することの障害となっている。この問題を解決するためには、色彩マップに複数の光源を映し込むことが考えられるが、再現計算された自動車塗装色の観測画像上の的確な位置にハイライト面が形成されるように複数の光源位置を設定することは困難である。また、複数の光源に由来する複数のハイライト面を、平滑な輪郭で結合して一つハイライト面にすることも困難である。
本発明では上記の問題を解決する。本発明では、環境マッピング法で自動車の塗装面を観測したときに得られる色彩分布画像を再現表示する技術において、自動車形状の評価に適したハイライト面が再現表示される技術を提供する。
本発明者らは、環境マッピング法等に代表されるマッピング手法を利用して自動車の塗装面の観測色を再現表示する技術を研究し、色彩マップ上の光源の映り込み範囲を、自動車の塗装面の形状に基づいて規定することが有用であることを見出した。そして、自動車の塗装面の法線方向の分布から、色彩マップの等仰角線に沿って伸びる範囲に光源の映り込みが存在していると、光源の映り込み範囲が自動車の全長に亘って長く伸びて表示され、自動車形状の評価に適した画像が表示されることを見出した。この色彩マップを用いると、自動車を見る方向を回転しても、広範囲の塗装面への光源の映り込み(ハイライト)が維持されて表示される。
本発明の自動車観測色の表示装置によると、自動車の塗装面の法線方向が様々に変化しても、再現計算される自動車の観測色の色彩分布に光源の映り込みが形成される。それにより、利用者はハイライトが広範囲に拡がった画像で自動車形状を正確に評価することができる。
この場合、仮想球面上の等仰角線に沿って光源の映り込み範囲が形成されているのに対応する色彩マップとなっている。この色彩マップを利用してマッピングすると、自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
この場合も、仮想球面上の等仰角線に沿って光源の映り込み範囲が形成されているのに対応する色彩マップとなっている。この色彩マップを利用してマッピングすると、自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
この場合、光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って伸びる色彩マップに修正され、この色彩マップを用いて自動車観測色の再現画像が表示される。自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
この場合にも、光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って伸びる色彩マップに修正され、この色彩マップを用いて自動車観測色の再現画像が表示される。自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。光源情報には従来の光源情報を利用することができる。
この場合にも、光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って伸びる色彩マップに修正され、この色彩マップを用いて自動車観測色の再現画像が表示される。自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
自動車の塗装面の形状を三次元で記述する形状情報を記憶する形状情報記憶手段と、視点位置を記述する視点位置情報を記憶する視点位置情報記憶手段と、平面投影情報生成手段が用意されていると、形状情報と視点位置情報に基づいて、その視点から見たときの自動車の塗装面の平面画像と、その平面画像内における塗装面の法線の方位分布を記述する平面投影情報を生成することができる。
そこで、視点から見た自動車の塗装面の2次元画像に色彩マップをマッピングすることが可能となる。本発明の自動車観測色の表示装置のマッピング手段は、平面投影情報が記述する自動車の塗装面に、色彩マップが記述する色彩をマッピングして自動車の塗装面を観測したときに得られる色彩分布を表示した画像情報を計算して作り出す。
本発明で利用する色彩マップは、仮想球面上の等仰角線に沿って光源の映り込み範囲が形成されていることを特徴とする。
この色彩マップを利用すると、再現計算される自動車の観測色の色彩分布に、自動車の形状評価に適した広範囲な光源の映り込み(ハイライト)が形成される。それにより、利用者は自動車の形状を正確に評価することができる。即ち、自動車の形状のよしあしを評価しやすい形状の光源を、最適位置に置いて照明したときに観測される色彩分布を再現表示することができる。自動車のハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
また自動車の塗装面の形状を三次元で記述する形状情報と、視点位置情報から、その視点から見たときの自動車の塗装面の平面画像と、その平面画像内における塗装面の法線の方位分布を記述する平面投影情報を生成する。
そこで、視点から見た自動車の塗装面の2次元画像に色彩マップをマッピングすることが可能となる。本発明の方法では、三次元モデル情報が記述する自動車の塗装面に色彩マップ情報が記述する色彩をマッピングして自動車の塗装面を観測したときに得られる色彩分布を表示した画像情報を計算して作り出す。
本発明の方法で利用する色彩マップは、仮想球面上の等仰角線に沿って光源の映り込み範囲が形成されていることを特徴とする。
この色彩マップを利用すると、再現計算される自動車の観測色の色彩分布に、自動車の形状評価に適した広範囲な光源の映り込み(ハイライト)が形成される。自動車モデル全長に亘って長く伸びるハイライト面が再現表示される。それにより、利用者は自動車の形状を正確に評価することができる。即ち、自動車形状のよしあしを評価しやすい形状の光源を、最適位置に置いて照明したときに観測される色彩分布を再現表示することができる。自動車の塗装面の質感が高品質かつハイライト部が広範囲に再現表示され、利用者は自動車の形状のよしあしを正確に評価することができる。
(形態1): コンピュータグラフィクス装置では、自動車モデルを再現するオブジェクト空間にXYZ座標系が定義される。
(形態2): オブジェクト空間では、方向を記述する二次元座標(α,β)が定義される。二次元座標(α,β)は、図3に示すように仰角αと傾角βによって定義される。
(形態3): 色彩マップでは、二次元座標(α,β)に対応付けて色彩が記述されている。
(形態4): コンピュータグラフィクス装置は、設定された視点位置と観測塗装面を結ぶ直線と、観測塗装面の法線方向からマッピング方向(α,β)を決定する。色彩マップからマッピング方向(α,β)に対応する色彩を選択して自動車モデルの表面にマッピングする。
コンピュータ本体12は、CPU14、RAM16、ROM18、ハードディスクドライブ装置20、入出力インターフェース22等を備えている。入出力インターフェース22と、CPU14やRAM16やROM18やハードディスクドライブ装置20は、データ等を授受可能に接続されている。
マウス24とキーボード26は、コンピュータグラフィクス装置10にデータやコマンドを入力するための入力装置である。また、ディスプレイ30は、コンピュータグラフィクス装置10が生成した画像を表示する表示装置である。
マウス24、キーボード26、ディスプレイ30は、コンピュータ本体12の入出力インターフェース22に接続されている。
記録媒体34としては、例えばCD−R、MO、DVD等の記録ディスク等を利用することでき、それらに対して記憶装置32には、CD−R装置、MO装置、DVD装置等を用いることができる。
形状データ52は、自動車の三次元形状を記述している。形状データ52には、自動車の外形形状を記述するCADデータ等を用いることができる。
塗装面色彩データ54は、塗装面の色彩を変角分光反射率で記述している。変角分光反射率は、物体表面を測色する受光方向を、正反射方向から変化させて得られる分光反射率である。正反射方向に対して受光方向がなす角度を変角という。変角分光反射率は、変角毎に測定される分光反射率を記述するものである。図16を用いて変角を説明する。図16は塗装面1に光源2から光が入射している様子を示している。その入射方向は矢印3で示される。このとき、塗装面1での正反射方向は図中の矢印4で示される。塗装面の反射光を図中の矢印6で示される方向で受光した場合、矢印4の正反射方向と矢印6の受光方向のなす角度θが変角である。塗装面色彩データ54が塗装面の色彩を変角分光反射率で記述しているため、コンピュータグラフィクス装置10は、自動車の塗装面の色彩分布をより現実的に再現することができる。
光源データ56は、光源の形状や色や強さ(光の各波長における強さ)を記述している。光の色や強さは、RGB(赤・緑・青)の強さとして数値化してもよい。また太陽を記述する場合では、大きさが無限大の平行光として記述することが一般的である。
光源位置設定部62は、利用者等がマウス24やキーボード26から入力した指示に基いて、オブジェクトを置く空間(以下、単にオブジェクト空間という)における光源の位置を設定し、その設定された光源位置を記述する光源位置データ63を生成して記憶する。利用者等による光源位置の指示は、オブジェクト空間において座標を用いて設定することができる。あるいは、例えば太陽を光源とする場合は、予め暦や時刻に対応付けて太陽の位置が記述されたデータを用意し、暦や時刻を指定する方式としてもよい。また、光源の数は1つに限定されず、複数の光源を指定することもできる。
オブジェクト空間にはXYZ座標系が定義されている。オブジェクト空間では、XY平面によって水平面が規定されており、Z軸方向によって鉛直方向が規定されている。また、オブジェクト空間において方向を定義する二次元座標(α,β)が定義されている。二次元座標(α,β)の定義方法は後に詳述する。
視点位置設定部64は、利用者等がマウス24やキーボード26から入力した指示に基いて、オブジェクト空間で自動車モデルを見る視点位置を設定し、その設定された視点位置を記述する視点位置設定データ65を生成して記憶する。
モデル方向設定部66は、利用者等がマウス24やキーボード26から入力した指示に基いて、オブジェクト空間に自動車モデルを置く方向を設定し、モデル方向データ67を生成して記憶する。オブジェクト空間において自動車モデルを置く方向を設定することにより、視点位置から見える自動車モデルの角度又は方向が決定する。それにより、所望する方向から自動車を見たときの自動車モデル画像を表示させることができる。
色彩マップ生成部72は、塗装面色彩データ54と光源データ56と光源位置データ63を処理して色彩マップ100を生成する(図14を参照)。色彩マップ100は、オブジェクト空間に置かれた仮想球面を、X軸方向から見たときの色彩分布を表している。仮想球面は塗装面色彩データ54が記述する塗装面であり、自動車の塗装面と同一塗料が塗布されていることに対応する。仮想球面をX軸負方向に見ると、塗装面をあらゆる方向から見ることとなる。従って、仮想球面をX軸負方向に見たときに観測される色彩分布には、自動車の塗装面をあらゆる方向から見たときの色彩が含まれる。色彩マップ100には、塗装面が変角に応じて呈する色彩がすべて記述されている。また、色彩マップ100上には、光源データ56に基づき、光源の映り込みであるハイライト面100aも形成されている。
本実施例では光源データ56が略真円形状の光源を記述しており、ハイライト面100aは略真円状に形成されている。
cosα2=X/(X2+Z2)1/2 (−180度<α≦180度)
cosβ2=(X2+Z2)1/2/(X2+Y2+Z2)1/2(−90度<β≦−90度)
の関係となる。図3(C)に示すように、色彩マップ100上には等仰角線E群(α0,α1,α2,・・・)が規定される。仮想球面101上の点P(α2,β2)は、図3(C)の色彩マップ100上において、仰角α2の等仰角線Eと傾角β2の等傾角線Fの交点に位置する。
点Pにおける変角が求められると、塗装面色彩データ54から点Pにおける色彩が決定される。このように、点Pに規定された二次元座標(α2、β2)に対応付けて色彩が決定される。同様にして、仮想球面101上のすべての点(α,β)に対して色彩が決定され、2次元座標(α,β)に対応付けて色彩が記述された色彩マップ100が生成される。
マッピング処理部78は、平面画像生成部76が生成した自動車の平面画像に、色彩マップ修正部74が生成した修正色彩マップ90を用いて色彩をマッピングする。マッピング処理部78がマッピングして生成した自動車モデル画像は、ディスプレイ30に表示される。
図6を用いて、マッピング処理部78のマッピング処理を説明する。図6は、自動車の形状に類似する円筒モデル110を用い、円筒モデル110上の点Qへのマッピング処理を示している。
まず、視点位置から点Qを見たときの観測方向を、視点位置の座標(Xb,Yb,Zb)と点Qの座標(X1,Y1,Z1)から求める。この観測方向と修正色彩マップ90で観測方向に規定されているX軸負方向がなす角度γを求める。この角度γによって円柱モデル110の点Qにおける法線方向(α1,β1)を補正して、点Qにおけるマッピング方向(α3,β3)を決定する。点Qにおけるマッピング方向(α3,β3)に対応して、修正色彩マップ90が二次元座標(α3,β3)に対応付けて記述している色彩を、点Qにマッピングする。同様にして、円筒モデル110上のすべての点において、その点の法線方向をその点の観測方向に基づいて補正してマッピング方向を決定し、マッピング方向に対応する色彩を修正色彩マップ90から決定してマッピングする。
なお、マッピング処理部78のマッピング処理は上述の方式に限定されることはなく、公知の環境マッピング方法を利用することもできる。
ステップS1では、色彩マップ生成部72が記憶部40から塗装面色彩データ54を読み取る。次にステップS3では、色彩マップ生成部72が記憶部40から光源データ56を読み取る。次にステップS5では、利用者がマウス24やキーボード26によって光源位置を指示することにより、光源位置設定部62が光源位置を設定し、光源位置データ63を生成して記憶する。
ステップS9では、色彩マップ修正部74がステップS9で生成された色彩マップ100を修正して、図5に示した修正色彩マップ90を生成する。
図8を用いて色彩マップ修正部74の処理を説明する。第一に、色彩マップ修正部74は、図8(A)に示す色彩マップ100を二値化処理し、図8(B)に示すようにハイライト面100aを抽出する。次に、抽出されたハイライト面100aを細線化処理して、図8(C)に示すようにハイライト面100aの中心点Sを求める。これら2値化処理や細線化処理等の画像処理は、公知の方法を利用することができる(例えば鳥脇純一郎著;画像理解のためのディジタル画像処理II;昭晃堂)。求められた中心点Sの二次元座標を(αs、βs)とする。
この色彩分布の移動処理は、例えば色彩マップ100での二次元座標(α,β)における色彩をCA(α,β)とし、図8(D)に示す移動後の色彩マップ93での二次元座標(α,β)における色彩をCB(α,β)とすると、
(i)−90度<β<0度の範囲では、
CB(α,β)=CA(α,β×(90+βs)/90+βs);
(ii)0度≦β<90度の範囲では、
CB(α,β)=CA(α,β×(90−βs)/90+βs);
の演算によって行うことができる。
CC(α,β)=CA(α,β・(β/90)4)
の演算によって行うことができる。
ステップS13では、利用者がマウス24やキーボード26によってオブジェクト空間に自動車モデルを置く方向を指示することにより、モデル方向設定部66がモデル方向データ67を生成して記憶する。モデル方向データは、オブジェクト空間に自動車モデルが置かれる方向を記述する。
ステップS15では、平面画像生成部76が、形状データ52と視点位置データ65とモデル方向データ67を用いて、オブジェクト空間に置かれた自動車モデルを視点位置から見たときの平面画像を生成する。その平面画像には、視点位置から見たときの自動車の塗装面の位置と法線の方位分布が記述されている。
ステップS17では、マッピング処理部78が、モデル生成部74が生成した自動車の平面画像に、色彩マップ修正部74が生成した修正色彩マップ90が記述する色彩をマッピングし、自動車モデル画像を生成する。
ステップS19では、マッピング処理部78が生成した自動車モデル画像が、ディスプレイ30に表示される。
ステップS11に戻ると、利用者はマウス24やキーボード26によって、再び視点位置や自動車モデルを置く方向を指示することができる。それにより、ステップS15で再び自動車モデルの平面画像が生成され、ステップS17で自動車モデルの平面画像に色彩がマッピングされ、新たな観測方向から自動車モデルを見たときの自動車モデル画像がディスプレイ30に表示される。
図9(A)の自動車モデル画像85では、図9(C)に示す修正色彩マップ90の色彩分布がマッピングに利用される。自動車モデル画像85には、ハイライト部として修正色彩マップ90の領域92がマッピングされている。修正色彩マップ90では、ハイライト面92が仰角αsの等仰角線に沿って形成されているため、自動車モデル画像85のハイライト面85aが自動車の先頭部85eから後尾部85fまで伸びて形成される。それにより、自動車モデル画像85全体に亘って塗装面の陰影感がよく再現表示され、利用者は自動車の形状を正確に評価することができる。
コンピュータグラフィック装置10は、マッピング処理に利用する色彩マップの光源の映り込み(ハイライト面)を、自動車モデルの形状に基づいて修正することにより、様々な方向から観測される自動車の塗装面の色彩分布を質感高く表示することができる。
本実施例のコンピュータグラフィクス装置10で、自動車の観測方向を連続的に変化させて自動車モデル画像を表示させることにより、自動車の塗装面の光の流れや色彩分布の変化を観測することができ、塗装面で観測される動的な色彩分布(広範囲なハイライトの流れ)によって、自動車形状の評価を可能とする。
色彩マップ120は、仮想球面が光源で直接的に照明される場合の第1の色彩マップと、仮想球面が地面を想定した仮想面での反射光で照明される場合の第2の色彩マップを生成し、この第1、第2の色彩マップを合成することによって生成することができる。
この色彩マップ120を用いると、地面での反射による光源の映り込みも自動車モデル画像に再現される。それにより、自動車モデルの下方範囲の暗く表示されていた部分に陰影がつき、塗装面の下方範囲の形状も認識可能となる。このように、利用者は自動車モデル形状をより正確に評価することができる。
本実施例の色彩マップには、環境マッピングで用いられる環境マップ画像を合成することもできる。オブジェクト空間に設定する環境を映し込んだ環境マップ画像を予め用意し、生成した色彩マップに合成することで、自動車モデル画像に環境の映り込みを併せて表示することもできる。
図11は、本実施例の光源位置データ63と光源データ56によって記述される光源130と、仮想球面91を示している。図11(A)は、仮想球面91や光源130が配置されたオブジェクト空間をX軸方向から見たときを示す。図11(B)は、仮想球面91や光源130が配置されたオブジェクト空間をZ軸方向から見たときを示す。図11(A)(B)によく示されるように、光源位置データ63は5つの光源130からなる光源130群を記述している。光源130群は、X=X2,Z=Z2で表される直線上に配置されている。即ち、光源130群は、X軸に垂直であってY軸に平行な直線上に配置されている。仮想球面91の中心はXYZ座標系の原点であり、仮想球面91を観測する視点はX軸方向の無限遠方に仮定されているので、X軸は仮想球面91の中心とその視点を結んでいる。また、Y軸はオブジェクト空間の水平線と平行である。従って、光源130群は、仮想球面91の中心とその視点を結ぶ直線に対して垂直な平面上の水平線上に配置されている。
光源130の数や位置は、利用者がマウス24やキーボード26から指示することによって、様々に設定することができる。また、光源130は円形の光源に限らず、線状の光源等を用いることもでき、所望する光源の形状を記述する光源データ56を用いればよい。
本実施例においても、実施例1と同様に色彩マップ生成部72が色彩マップを生成する。図11に示すような仮想球面91の中心とその視点を結ぶ直線に対し垂直な平面上の水平線上に配置された光源130群は、仮想球面91へ等仰角線に沿って映り込む。従って、生成される色彩マップには等仰角線に沿ってハイライト面が形成され、色彩マップ生成部72は、図5に示す修正色彩マップ90と略同等の色彩マップを生成する。マッピング処理部78が、この色彩マップを用いて自動車モデル画像を生成することにより、実施例1と略同様に自動車のハイライト部を広範囲に再現表示することができる。本実施例では、色彩マップ生成部72が生成した色彩マップ90を、色彩マップ修正部74が修正する必要はない。即ち、本実施例では、コンピュータグラフィクス装置10が、色彩マップ修正部74を備える必要はない。
図12は、本実施例の光源位置データ63と光源データ56が記述している光源132と、仮想球面91を示している。図12(A)は、光源132と仮想球面91が配置されたオブジェクト空間をX軸方向から見たときを示す。図12(B)は、光源132と仮想球面91が配置されたオブジェクト空間をZ軸方向から見たときを示す。図12(A)(B)によく示されるように、線状光源132は、X=X2,Z=Z2で表される直線上に配置されている。即ち、線状光源132は、X軸に垂直であってY軸に平行な直線上に配置されている。仮想球面91の中心はXYZ座標系の原点であり、仮想球面91を観測する視点はX軸方向の無限遠方に仮定されているので、X軸は仮想球面91の中心とその視点を結んでいる。また、Y軸はオブジェクト空間の水平線と平行である。従って、光源130群は、仮想球面91の中心とその視点を結ぶ直線に対して垂直な平面状の水平線上に配置されている。
本実施例においても、実施例1と同様に色彩マップ生成部72は色彩マップを生成する。図12に示すような仮想球面91の中心とその視点を結ぶ直線に対して垂直な平面上の水平線上に配置された線状光源132は、仮想球面91へ等仰角線に沿って映り込む。従って、生成される色彩マップには等仰角線に沿ってハイライト面が形成され、色彩マップ生成部72によって図5に示す修正色彩マップ90が生成される。マッピング処理部78が、この色彩マップ90を用いて自動車モデル画像を生成することにより、実施例1と同様に自動車のハイライト部を広範囲に再現表示することができる。本実施例では、色彩マップ生成部72が生成した修正色彩マップ90を、色彩マップ修正部74が修正する必要はない。即ち、本実施例では、コンピュータグラフィクス装置10が色彩マップ修正部74を備える必要はない。
図13(A)は色彩マップ生成部72が生成する色彩マップ135を示し、図13(B)は色彩マップ修正部74が修正した色彩マップ137を示している。なお、図13(A)(B)は、オブジェクト空間をX軸方向から見たときを示している。本実施例では、色彩マップ生成部72が楕円状の仮想球面によって色彩マップ135を生成する。色彩マップ135は、自動車の塗装色で塗装した楕円状の仮想球面をオブジェクト空間に置き、その仮想球面を光源で照明し、X軸方向から見たときに観測される色彩分布を記述している。楕円状の仮想球面では光源が楕円状に映り込むため、図14(A)に示すように、楕円状の色彩マップ135では楕円状のハイライト面135aが形成される。本実施例ではオブジェクト空間に1つの光源を設定しているが、オブジェクト空間に複数の光源を設定することもできる。また、設定する光源は、丸い光源でもよいし線状の光源でもよい。
色彩マップ修正部74は、楕円状の色彩マップ135をY軸方向、即ち、水平方向に縮小して略真円状に修正し、図14(B)に示す色彩マップ137を生成する。この色彩マップ135を縮小する修正は、公知の画像処理技術を利用することができる。略真円状に修正された色彩マップ137では、ハイライト面137aが等仰角線に沿って形成されており、色彩マップ137は図5に示した修正色彩マップ90と略同等である。本実施例においても、マッピング処理部78が、この色彩マップ137を用いて自動車モデル画像を生成することにより、実施例1と同様に自動車のハイライト部を広範囲に再現表示することができる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12・・コンピュータ本体
14・・CPU、16・・RAM、18・・ROM
20・・ハードディスクドライブ装置、22・・入出力インターフェース
24・・マウス、26・・キーボード
30・・ディスプレイ
32・・記憶装置、34・・記憶媒体
90・・修正色彩マップ、91・・仮想球面
100・・従来の色彩マップ、101・・仮想球面
130・・仮想球面の中心と視点を結ぶ直線に垂直な面の水平線上に配置された光源
132・・仮想球面の中心と視点を結ぶ直線に垂直な面の水平線上に配置された線状光源
135・・楕円状の仮想球面
Claims (8)
- 自動車の塗装色で塗装した仮想球面を、予定位置に置かれた予定形状の光源で照明したものを、予定位置で見たときに観測される色彩分布を記述する色彩マップ記憶手段と、
自動車の塗装面の形状を三次元空間内に記述する三次元モデル情報記憶手段と、
前記三次元モデル情報が記述する自動車の塗装面に、前記色彩マップが記述する色彩をマッピングする手段を有し、
前記色彩マップには、光源の映り込みが形成されており、その光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って形成されていることを特徴とする自動車の観測色を表示する装置。 - 前記色彩マップには、仮想球面の中心と視点を結ぶ直線に垂直な面の水平線上に配置された光源群の映り込みが形成されていることを特徴とする請求項1の表示装置。
- 前記色彩マップには、仮想球面の中心と視点を結ぶ直線に垂直な面の水平線上に配置された線状光源の映り込みが形成されていることを特徴とする請求項1の表示装置。
- 前記色彩マップに形成された光源の映り込み範囲が等仰角線に沿って伸びるように色彩マップを修正する色彩マップ修正手段が付加されており、
マッピング手段は修正された色彩マップを利用することを特徴とする請求項1の表示装置。 - 前記色彩マップ修正手段は、色彩マップに形成された光源の映り込み範囲を基準位置に移動するとともに、その映り込み範囲を拡張することを特徴とする請求項4の表示装置。
- 前記色彩マップは、仮想楕円球を用いて作成した楕円状の色彩マップを、水平方向に縮小して略真円状に修正されていることを特徴とする請求項4の表示装置。
- 自動車の塗装面の形状を三次元で記述する形状情報を記憶する形状情報記憶手段と、
光源の位置と形状を記述する光源情報を記憶する光源情報記憶手段と、
視点位置を記述する視点位置情報を記憶する視点位置情報記憶手段と、
前記光源情報と視点位置情報に基づいて、その光源で照らされているとともに自動車の塗装色で塗装されている仮想球面を、その視点位置で見たときに観測される色彩分布を記述する色彩マップを生成する色彩マップ生成手段と、
前記形状情報と視点位置情報に基づいて、その視点から見たときの自動車の塗装面の平面画像と、その平面画像内における塗装面の法線の方位分布を記述する平面投影情報を生成する平面投影情報生成手段と、
前記平面投影情報が記述する自動車の塗装面に、前記色彩マップが記述する色彩をマッピングする手段を有し、
前記色彩マップには、光源の映り込みが形成されており、その光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って形成されていることを特徴とする自動車の観測色を表示する装置。 - 自動車の塗装面の形状を三次元で記述する形状情報を記憶する工程と、
自動車の塗装色を記述する色彩情報を記憶する工程と、
光源の位置と形状を記述する光源情報を記憶する工程と、
視点位置を記述する視点位置情報を記憶する工程と、
前記色彩情報と光源情報と視点位置情報に基づいて、その光源で照らされるとともにその塗装色で塗装されている仮想球面を、その視点位置で見たときに観測される色彩分布を記述する色彩マップ情報を生成する工程と、
前記形状情報と視点位置情報に基づいて、その視点から見たときの自動車の塗装面の平面画像と、その平面画像内における塗装面の法線の方位分布を記述する平面投影情報を生成する工程と、
前記平面投影情報が記述する自動車の塗装面に、前記色彩マップ情報が記述する色彩をマッピングする工程を有し、
前記色彩マップ情報が記述する色彩分布には、光源の映り込みが形成されており、その光源の映り込み範囲が仮想球面上の等仰角線に沿って形成されていることを特徴とする自動車の観測色を表示する方法。
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