JP2005147734A - 樹脂の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の該高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めることができる樹脂の分析方法を提供する。
【解決手段】
側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂を超臨界状態の低級アルコールを用いて分解し、該分解物に含有される化合物の分子量を該分解物から該化合物を分離することなく測定することを特徴とする樹脂の分析方法。分子量の測定を、マトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法により行う前記記載の分析方法。
【選択図】 図1
側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の該高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めることができる樹脂の分析方法を提供する。
【解決手段】
側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂を超臨界状態の低級アルコールを用いて分解し、該分解物に含有される化合物の分子量を該分解物から該化合物を分離することなく測定することを特徴とする樹脂の分析方法。分子量の測定を、マトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法により行う前記記載の分析方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は樹脂の分析方法に関する。
例えば架橋型アクリル樹脂等の側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂は、塗料や歯科材料など様々な分野で用いられている。側鎖および/または架橋を有する高分子の側鎖および/または架橋部分の分子量および主鎖部分の分子量を知ることは、該高分子を主に含有してなる樹脂の開発およびその生産における品質管理において重要である。しかし、そのような樹脂は、溶媒に不溶性または難溶性であることが多く、従来の分析方法の溶媒に溶解させ、溶液に含有されている化合物の分離および分子量の測定をクロマトグラフィー法を用いて行って分析する方法では分析が困難であった。
そこで、該樹脂を加熱して熱分解し、得られた分解物をクロマトグラフィー法を用いて分離・検出して行う方法や、該樹脂を超臨界状態の低級アルコールによりモノマーまたはオリゴマーまで分解し、得られた分解物をクロマトグラフィーを用いて分離・検出して行う方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
しかしながら、熱分解または超臨界状態の低級アルコールによる分解によって、主鎖、側鎖および架橋がそれぞれ多数の分子に分解されるため、側鎖および/または架橋の部分の分子量が不明となり、分析の結果を用いて高分子の構造を解析するうえで問題があり、側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めて構造を解析することができる樹脂の分析方法が求められていた。
側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の該高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めることができる樹脂の分析方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の分解方法と分解物の特定方法について鋭意研究を続け、条件を選べば超臨界状態の低級アルコールを用いて該樹脂を構成する高分子における主鎖と側鎖の結合および/または主鎖と架橋の結合を主に切断することができることを見出し、しかも、該分解物を分離せずに該分解物に含有される分子量を測定することにより、該高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を測定することができ、該樹脂の分析が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂を超臨界状態の低級アルコールを用いて分解し、該分解物に含有される化合物の分子量を該分解物から該化合物を分離することなく測定することを特徴とする樹脂の分析方法を提供する。また本発明は、低級アルコールがメタノールである前記記載の分析方法を提供する。また本発明は、分子量の測定を、マトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法により行う前記いずれかに記載の分析方法を提供する。また本発明は、樹脂が架橋アクリル樹脂である前記いずれかに記載の分析方法を提供する。さらに本発明は、前記いずれかに記載の分析方法を用いて行うことを特徴とする樹脂の品質管理方法を提供する。
本発明によれば、側鎖および/または架橋を有する高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めることができ、そのような高分子を主に含有してなる樹脂の高分子の構造を解析することが可能となり、本発明の分析方法は、特に架橋型アクリル樹脂の分析に好適に用いることができる。そして、本発明の分析方法は、側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の製造における品質管理や新たな樹脂の開発に用いることができるので、本発明は工業的に極めて有用である。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の分析方法においては、超臨界状態の低級アルコールにより樹脂を分解して分解物を得る。
本発明の分析方法においては、超臨界状態の低級アルコールにより樹脂を分解して分解物を得る。
本発明で用いる低級アルコールは、式(1)
R−OH (1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される低級アルコールである。
R−OH (1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で示される低級アルコールである。
本発明で用いる低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが例示され、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノールである。
本発明において、上記低級アルコールを超臨界状態とし、それに樹脂を接触させて樹脂を分解する。ここに本発明でいう超臨界状態とは次の状態をいう。すなわち、物質には、固有の気体、液体、固体の三態があり、さらに、温度が臨界温度を超えかつ、圧力が臨界圧力を超えた状態とすると、圧力をかけても凝縮しない流体相となる。この状態を超臨界状態という。
この臨界温度と臨界圧力は物質により異なり、低級アルコールが超臨界状態になる温度圧力条件を具体的に示すと、メタノールの場合には、臨界温度が240℃、臨界圧力が8.0MPaであり、エタノールの場合には、臨界温度が243℃、臨界圧力が7.0MPaであり、イソプロパノールの場合には、臨界温度が244℃、臨界圧力が5.4MPaであり、n−プロパノールの場合には、臨界温度が264℃、臨界圧力が5.1MPaである。
このような超臨界状態の低級アルコールに樹脂を接触させることにより、樹脂を構成する高分子が分解する。ここで、温度と圧力の条件は、上記のように低級アルコールにより臨界温度および臨界圧力以上となるように変更する必要があり、さらに樹脂により変更する必要があり、樹脂に含有され、側鎖および/または架橋を有する高分子の主鎖も、側鎖および/または架橋のいずれもがそれぞれ多数の分子に分解されることなく、主鎖と側鎖の結合および/または主鎖と架橋との結合が主に切断されるよう、温度と圧力条件を樹脂および低級アルコールにより適宜選ぶ。通常は、温度は250℃以上410℃以下の範囲であり、300℃以上380℃以下の範囲が好ましい。
圧力条件については、圧力が高すぎると、側鎖および/または架橋と主鎖との結合に加えて、主鎖、側鎖および/または架橋のそれぞれが多数の分子に分解されやすくなり、かつ反応容器のコストがかかるので、35MPa以下が好ましく、8MPa以上20MPa以下の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、超臨界状態の低級アルコールによる樹脂の分解は、回分式で行ってもよいし、流通式で行っても良い。また分解は攪拌下で行っても攪拌無しで行ってもよい。分解を行うための熱源としては、反応に用いる範囲で温度を制御できる物が好ましく、ガスクロマトグラフィーなどに用いるオーブン、流動床サンドバス、ソルト(溶融塩)バスなどが挙げられる。
反応の時間は、樹脂の種類、温度、圧力、低級アルコールの種類等の条件に応じて、樹脂が十分な量の低分子量物に転化する時間を適宜定めればよいが、通常は5分〜180分である。
本発明において、樹脂に対する低級アルコールの重量比は、分析の対象となる樹脂と用いる低級アルコールとの組み合わせにより適宜決定されるが、通常は1:5〜500の範囲であり、1:20〜200の範囲がさらに好ましく使用できる。
次に、本発明の分析方法においては、樹脂を超臨界状態の低級アルコールと接触させて得られた分解物を、分解物に含まれる化合物毎に分離することなく、分子量を測定する。そのような分子量の測定が可能な方法としては、質量分析法を好ましく用いることができ、特に高い分子量を有する化合物を簡便に分析することができるマトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析(MALDI−TOFMS)法が特に好ましい。従来用いられているクロマトグラフィー法では、例えば1000以上の高い分子量の化合物を検出することができないが、MALDI−TOFMS法によれば、1000以上の高い分子量を有する化合物の分子量を測定することができるので、分解物に含有され、高い分子量を有している主鎖、側鎖、架橋のいずれか一つ以上の分子量を求めることができるのである。
MALDI−TOFMS法によれば、試料分子を分解することなくイオン化させ、試料分子の分子量を測定する手法で、高い分子量を有する化合物まで測定できる。測定にあたっては、試料をマトリックスと呼ばれるイオン化助剤および必要に応じて無機塩と混合し、ターゲットと呼ばれる試料台に添着させ装置内に挿入し、レーザーを照射することによりイオン化させて測定するものである。
以上のようにして、側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の該高分子の主鎖、側鎖、架橋のいずれかの分子量を求めることが可能となるのである。
このような本発明の分析方法は、側鎖および架橋部となる部分の分子量が1000以上の場合に好適に用いることができ、側鎖および/または架橋を有する高分子のうち架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂の分析に特に好適に用いることができる。
架橋を有する高分子を主として含有してなる樹脂として、架橋アクリル樹脂を挙げることができる。なお、主に含有するとは高分子のうちの50重量%以上を含有することである。架橋アクリル樹脂において、主鎖としてはアクリル酸および/またはメタクリル酸の重合体からなるものを挙げることができる。ただし、前記以外の繰り返し構造単位(たとえばエチレン基、水素原子の1つがヒドロカルビル基で置換されたエチレン基などが例示されるが、これらに限定されない。)が50重量%未満含有されてもよい。
主鎖と架橋との結合としては、エステル結合またはアミド結合が挙げられる。主鎖と架橋との結合がエステル結合である場合の架橋としては、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂モノマーの重合体、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂モノマーの重合体、ポリオールとジイソシアネートの重合体、ポリエーテル、ポリエステルを挙げることができる。また、主鎖と架橋との結合がアミド結合である場合の架橋としては、例えば、
−NH−(CH)n−NH−を挙げることができる。
−NH−(CH)n−NH−を挙げることができる。
ここで、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの繊維状補強材、ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強材;ガラスビーズ、シリカ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、アルミ粉、鉄粉などの無機充填材は、超臨界状態の低級アルコールによっては分解されずにそのまま残存するため、本法の分析結果に影響を与えないので樹脂に含有されていてもよい。
また、超臨界状態の低級アルコールと反応する化合物であっても、反応生成物が、樹脂を構成する高分子の分解物と区別できる限りにおいて、フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;フルオロカーボンなどの界面活性剤;シロキサンなどの表面改質剤;架橋剤;重合促進剤;重合禁止剤が樹脂に含有されていてもよい。
このようにして行うことができる本発明の分析方法により、側鎖および/または架橋を有する高分子の側鎖および/または架橋部分の分子量および主鎖部分の分子量を測定することができるので、本発明の分析方法は、該高分子を主に含有してなる樹脂の生産における品質管理に用いることができる。本発明の分析方法を用いて品質管理を行うには、生産された樹脂から無作為にサンプリングし、測定対象の樹脂サンプルから本発明の方法に従って分子量を測定してデータを得る。得られた分子量データを用いて、統計的品質管理の手法を用いた母集団の標準偏差の推定、母集団の平均値の推定等を行い、また、以前に製造した樹脂との差の検定を行うことができる。また、管理図を作成して工程を安定な状態に保つよう管理することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、メタノールは試薬特級、テトラヒドロフランは保存安定剤を含まないHPLCグレードを用いた。
なお、メタノールは試薬特級、テトラヒドロフランは保存安定剤を含まないHPLCグレードを用いた。
実施例1
試料は、以下の条件で作成した。紫外線硬化樹脂プレポリマーであるポリエチレングリコールジアクリル酸エステル(共栄社化学株式会社製PEG600DA(商品名)。ポリエチレングリコール鎖の平均鎖長が14である。)20gを70℃で10分加熱し、これに光開始剤であるイルガキュア907(商品名)を0.6gを添加し、攪拌溶解させ、室温に冷却して硬化前の樹脂原料を得る。次に、長さ76mm×幅52mm、厚さ1.3mmのガラス板の上にPETフィルムを乗せ、その上にガラス板の大きさに合わせたゴムの枠(厚さ2mm、枠の幅10mm)を乗せ、その中に硬化前の樹脂原料を入れ、上から同じPETフィルムとガラス板でふたをして、紫外線照射に供することにより硬化を行った。このとき紫外線照射は先に作成した樹脂を流し込んだガラス板をベルトコンベアに乗せ、200MJ/cm2照射量の水銀灯付き紫外線照射装置に挿入して、コンベアスピード0.5m/分で表裏各1回、1m/分で表裏各1回の計4回の照射を行った。
試料は、以下の条件で作成した。紫外線硬化樹脂プレポリマーであるポリエチレングリコールジアクリル酸エステル(共栄社化学株式会社製PEG600DA(商品名)。ポリエチレングリコール鎖の平均鎖長が14である。)20gを70℃で10分加熱し、これに光開始剤であるイルガキュア907(商品名)を0.6gを添加し、攪拌溶解させ、室温に冷却して硬化前の樹脂原料を得る。次に、長さ76mm×幅52mm、厚さ1.3mmのガラス板の上にPETフィルムを乗せ、その上にガラス板の大きさに合わせたゴムの枠(厚さ2mm、枠の幅10mm)を乗せ、その中に硬化前の樹脂原料を入れ、上から同じPETフィルムとガラス板でふたをして、紫外線照射に供することにより硬化を行った。このとき紫外線照射は先に作成した樹脂を流し込んだガラス板をベルトコンベアに乗せ、200MJ/cm2照射量の水銀灯付き紫外線照射装置に挿入して、コンベアスピード0.5m/分で表裏各1回、1m/分で表裏各1回の計4回の照射を行った。
硬化させて得られた樹脂を凍結粉砕した後、その15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後密閉し、350℃で約15MPaにて1時間保持して加熱した。加熱後の容器を室温に冷却後、内容物をメタノール、テトラヒドロフランにて洗いながら回収し、パーセプティブバイオシステムズ社製のVoyager−DE RP型MALDI−TOFMS装置にて分析した。MALDI−TOFMS法の測定においては、マトリックスとして0.1Mジスラノールおよびイオン化助剤として0.01Mヨウ化ナトリウムのTHF溶液を用いた。
測定の結果、架橋部がPEG600であることを反映するようにポリエチレングリコールの14量体のナトリウム付加イオン([HO(−CH2−CH2−O−)14H]-Na+)であるm/z=657を中心としてm/z=1000を超える領域まで44amu間隔の分布を持つ図1に示すスペクトルを得た。
実施例2
紫外線硬化樹脂プレポリマーであるネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学製、NKエステル A−NPG(商品名))20gを70℃で10分加熱し、これに光開始剤である2,2ジメトキシ2フェニルアセトフェノンを0.6gを添加し、攪拌溶解させ、室温に冷却して硬化前の樹脂原料を得た。次に実施例1の方法にて紫外線硬化樹脂を得た。硬化させて得られた樹脂を凍結粉砕し、その15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて2時間保持して加熱した。
紫外線硬化樹脂プレポリマーであるネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学製、NKエステル A−NPG(商品名))20gを70℃で10分加熱し、これに光開始剤である2,2ジメトキシ2フェニルアセトフェノンを0.6gを添加し、攪拌溶解させ、室温に冷却して硬化前の樹脂原料を得た。次に実施例1の方法にて紫外線硬化樹脂を得た。硬化させて得られた樹脂を凍結粉砕し、その15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて2時間保持して加熱した。
加熱後の容器を室温に冷却後、内容物をメタノールにて洗いながら回収し、溶媒留去後テトラヒドロフランにて溶解し、実施例1と同様の条件でMALDI−TOFMS法にて分析した。その結果、図2および3に示したように、アクリル酸メチルオリゴマーの6から30量体を検出した。
比較例1
実施例1で得られた凍結粉砕後の樹脂の15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて1時間保持して加熱した。加熱後の容器を室温に冷却後、内容物であるメタノール懸濁液のうち4μLを採取して、ヒューレット・パッカード社製6890型ガスクロマトグラフにて該懸濁液に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を行なった。ガスクロマトグラフでの測定は、カラムに内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μmのフロンティアラボ社製Ultra ALLOY−5を用いて、カラム初期温度50℃、昇温速度10℃/分、最終温度320℃(10分)の条件で行った。その結果、分子量282の6量体(HO(−CH2−CH2−O−)6H)から分子量414の9量体までのポリエチレングリコール成分は検出した(図4)が、MALDI−TOFMSで検出されたような分子量600以上の化合物は検出されず、架橋の分子量の分布を反映するものではなかった。
実施例1で得られた凍結粉砕後の樹脂の15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて1時間保持して加熱した。加熱後の容器を室温に冷却後、内容物であるメタノール懸濁液のうち4μLを採取して、ヒューレット・パッカード社製6890型ガスクロマトグラフにて該懸濁液に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を行なった。ガスクロマトグラフでの測定は、カラムに内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μmのフロンティアラボ社製Ultra ALLOY−5を用いて、カラム初期温度50℃、昇温速度10℃/分、最終温度320℃(10分)の条件で行った。その結果、分子量282の6量体(HO(−CH2−CH2−O−)6H)から分子量414の9量体までのポリエチレングリコール成分は検出した(図4)が、MALDI−TOFMSで検出されたような分子量600以上の化合物は検出されず、架橋の分子量の分布を反映するものではなかった。
比較例2
実施例1にて作製した樹脂50μgに水酸化テトラメチルアンモニウムの25%メタノール水溶液を5μL添加し、これを内部を400℃に保持したフロンティアラボ社製PY2010型熱分解装置に挿入し、得られた分解物に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を、この熱分解装置に接続したヒューレット・パッカード社製6890型ガスクロマトグラフにて行なった。ガスクロマトグラフでの測定条件は、実施例3の条件に従った。その結果、図5に示したように、分子量530のポリエチレングリコールジメチルエーテル11量体は検出したが、MALDI−TOFMSで検出されたような分子量600以上の化合物は検出されず、架橋の分子量の分布を反映するものではなかった。
実施例1にて作製した樹脂50μgに水酸化テトラメチルアンモニウムの25%メタノール水溶液を5μL添加し、これを内部を400℃に保持したフロンティアラボ社製PY2010型熱分解装置に挿入し、得られた分解物に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を、この熱分解装置に接続したヒューレット・パッカード社製6890型ガスクロマトグラフにて行なった。ガスクロマトグラフでの測定条件は、実施例3の条件に従った。その結果、図5に示したように、分子量530のポリエチレングリコールジメチルエーテル11量体は検出したが、MALDI−TOFMSで検出されたような分子量600以上の化合物は検出されず、架橋の分子量の分布を反映するものではなかった。
比較例3
実施例2にて作製した樹脂を凍結粉砕し、その15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて2時間保持して加熱した。加熱後の容器を室温に冷却後、内容物であるメタノール懸濁液のうち4μLを採取してHP製6890型ガスクロマトグラフにて該懸濁液に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を行なった。ガスクロマトグラフでの測定条件は、実施例3の条件に従った。その結果、図6に示したように、6量体までのアクリル酸メチルオリゴマーを検出したが、実施例2においてMALDI−TOFMSにて検出されたような分子量が1000を超える高い分子量を有する化合物は検出されなかった。
実施例2にて作製した樹脂を凍結粉砕し、その15mgをステンレス製容器に入れ、メタノールを0.5ml添加した後、密閉し350℃で約15MPaにて2時間保持して加熱した。加熱後の容器を室温に冷却後、内容物であるメタノール懸濁液のうち4μLを採取してHP製6890型ガスクロマトグラフにて該懸濁液に含有される化合物の分離およびその分子量の測定を行なった。ガスクロマトグラフでの測定条件は、実施例3の条件に従った。その結果、図6に示したように、6量体までのアクリル酸メチルオリゴマーを検出したが、実施例2においてMALDI−TOFMSにて検出されたような分子量が1000を超える高い分子量を有する化合物は検出されなかった。
Claims (5)
- 側鎖および/または架橋を有する高分子を主に含有してなる樹脂を超臨界状態の低級アルコールを用いて分解し、該分解物に含有される化合物の分子量を該分解物から該化合物を分離することなく測定することを特徴とする樹脂の分析方法。
- 低級アルコールがメタノールである請求項1記載の分析方法。
- 分子量の測定を、マトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法により行う請求項1または2に記載の分析方法。
- 樹脂が架橋アクリル樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の分析方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の分析方法を用いて行うことを特徴とする樹脂の品質管理方法。
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