JP2005145285A - 車両の油気圧懸架装置 - Google Patents

車両の油気圧懸架装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005145285A
JP2005145285A JP2003386770A JP2003386770A JP2005145285A JP 2005145285 A JP2005145285 A JP 2005145285A JP 2003386770 A JP2003386770 A JP 2003386770A JP 2003386770 A JP2003386770 A JP 2003386770A JP 2005145285 A JP2005145285 A JP 2005145285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
oil
axles
shaft
hydraulic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003386770A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoo Matsuda
智夫 松田
Yoshinori Sunaga
義徳 須長
Takeo Ueda
武男 植田
Kazutoshi Hori
一俊 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP2003386770A priority Critical patent/JP2005145285A/ja
Publication of JP2005145285A publication Critical patent/JP2005145285A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

【課題】
対角線スタック現象を防止するとともに、ロール増大助長効果を抑制できるようにする。
【解決手段】
全車軸(4つの軸41、42、43、44)のうち少なくとも1軸(2つの軸43、44)を除いた車軸(第1軸41、第2軸42)であって、油気圧懸架装置(21、22、23、24)が備えられている車軸(第1軸41、第2軸42)の左右の各油気圧懸架装置(21、22と23、24)の油室(31)または/およびガス室が連通される。この場合、全車軸(たとえば4つの車軸41、42、43、44)の数(4)の50%に相当する数(2)よりも少ない数(1)の車軸(たとえば第1軸41)であって、油気圧懸架装置(21、23)が備えられている車軸(第1軸41)の左右の各油気圧懸架装置(21、23)の油室(31)または/およびガス室が連通されることが望ましい。さらに、操舵輪(11、12、13、14)の左右の各油気圧懸架装置(21、22と23、24)の油室(31)または/およびガス室が連通されることが望ましい。
【選択図】 図8

Description

本発明は、3軸以上の車軸を備えた多軸車両の油気圧懸架装置に関するものである。
乗用車、建設機械、重量物運搬用のトラック等の車両には車輪、リンクやアーム等のサスペンション部材、バネ要素、ダンパ要素からなる懸架脚が設けられている。一般的には、車輪が上下方向に揺動するように、車体と車輪とがリンクやアーム等のサスペンション部材を介して連結され、車体とサスペンション部材とがバネ要素およびダンパ要素を介して連結されて、懸架脚が構成される。
バネ要素の種類には、コイルスプリング等の弾性を利用した金属バネ、空気等の気体が圧縮されることによる反発力を利用した気体バネがある。
ダンパ要素に関しては、作動油をシリンダ内に封入し作動油がピストンのオリフィスを通過するときの抵抗を利用して減衰力を発生するオイルダンパが一般的に用いられる。
各種懸架装置のうち、気体バネ、オイルダンパで懸架脚が構成されるものを、本明細書では「油気圧懸架装置」と称する。油気圧懸架装置の油気圧懸架用シリンダで発生する主な力は、作動油による減衰力(シリンダストロークの速度の関数)と、気体バネのガスによるバネ力(シリンダストロークの変位量の関数)である。
乗用車等の民生用車両のサスペンション(懸架装置)では、主に整地された道路を走行する際の乗り心地や操縦安定性が重要な課題である。この観点からサスペンションに関する種々の技術が開発されている。
後掲する特許文献1(特開平2001−191778号公報)、特許文献2(USP6017023)、特許文献3( 特開平6−72127号公報)、特許文献4(特表2002−541014号公報)、特許文献5(特表2002−541015号公報)には、制御弁によって四輪車の前側および後側の左右の車輪それぞれ設けられた各気体バネのガス室同士を連通させるか、オイルダンパの油室同士を連通させるという構成(左右連通)が記載されている。
このように左右の車輪にそれぞれ設けられた各懸架装置のガス室あるいは油室を連通させることで左右車輪の接地圧が均等になり、後述するように対角線スタック現象を防止できるとともに、瞬間的なロール方向への傾きを抑制することができる。
・対角線スタック現象
まず対角線スタック現象について説明する。
重量物運搬用トラックに代表される車両は、路面凹凸の大きな鉱山や工事現場あるいは災害地域を走行することが多い。このような重量物運搬用トラックが、路面の凹凸にはまったりタイヤのスリップなどによって立ち往生すると、輸送業務に支障を来すだけではなく、立ち往生した重車両を救出すること自体が困難な状況になる。
車両が凹凸路面にはまり走行不能になる原因は、図1に示すように、車両100が突起物120に乗り上げた結果、一部の車輪が浮き上がってエンジンの駆動力を車輪を介して路面に有効に伝達できなくなる「対角線スタック」と呼ばれる現象になることが殆どである。
対角線スタックとは、図1に示すように、4つの車輪11、12、13、14のうち1つの車輪(たとえば右前輪13)が突起物120に乗り上げた結果として、その乗り上げ車輪13に対して、4つの車輪の接地すべき点(頂点A、B、C、D)で構成される平面109の対角線上にある車輪12の接地点(頂点B)と、乗り上げ車輪13の接地点(頂点C)とに荷重が集中してかかってしまい、もう一つの対角線上にあたる車輪11の接地すべき点(頂点A)と車輪14の接地すべき点(頂点D)のうち少なくとも一方が路面から浮き上がり、接地圧が極めて軽くなりスタックを招来するという現象のことである。
ここでサスペンションを備えていない4輪車両の場合には、図2に示すように、突起物120に車輪13が乗り上げると、頂点Cと頂点Bに相当する車輪13、12に車体重量が集中して作用して接地圧が増大する一方で、頂点Dと頂点Aに相当する車輪14、11には接地圧がかからないため駆動輪が空転し、駆動力を車輪を介して路面に有効に伝達されるなくなる。
実際の車両100の車輪には、サスペンションが設けられているため、大きな荷重がかかっている車輪は上に押し上げられ、小さな荷重がかかっている車輪は
下に垂れ下がる。このためよほどの高い突起物120に乗り上げない限り、図2のように車輪が路面から完全に浮き上がってしまうことがない。
しかしサスペンションとともに上に大きく持ち上げられた車輪は、バネの圧縮量が大きいため、大きな荷重を支えることになり、逆にサスペンションとともに下へ垂れ下がった車輪は、バネの圧縮量が小さいため、小さな荷重しか支えることができない。つまりサスペンションを備えた車両においても、突起物120に乗り上げれば、車輪の接地圧にバラツキが生じる。
ここで、エンジン出力が車輪を介して伝達される際の駆動力Fと、車輪と路面との間の摩擦係数μと、車輪が支える荷重Wとの間には、
F=μW
なる関係がある。上述したように各車輪間に荷重のバラツキが生じると、各車輪で発揮できる駆動力にもバラツキが生じる。このため駆動力が過大となった車輪はスリップを引き起こし無意味に路面を掘る結果を招き、ますます凹凸路面から脱出しにくくなる。
・瞬間的なロール方向への傾き抑制効果
図3は4つの油気圧懸架装置21、23、22、24が、前側の左右車輪11、13および後側の左右車輪12、14(図示は省略してる)にそれぞれ設けられた4輪車両を車体前側からみた図であり、左前輪11が突起物121に乗り上げた状態を示している。
同図3に示すように、左右の前輪11、13の各油気圧懸架用シリンダ30の各油室31は、管路32によって連通されているとともに、左右の後輪12、14の各油気圧懸架用シリンダ30の各油室31は、管路32によって連通されている。
この構成で車両100が低い段差121に乗り上げたものとすると、乗り上げた瞬間に作動油が右前の懸架装置23のシリンダ30から作動油が流出して、左前の懸架装置21のシリンダ30に圧入される。同時に左前の懸架装置21のシリンダ30に作動油が圧入されるので、車体の左前が上昇することになり、結果的に左右の前輪11、13が均等に持ち上がる。後輪の左右輪12、14についても同様である。
このように瞬間的に車輪が突起物等の段差に乗り上げた場合には、左右の車輪11、13(12、14)が均等に上方向へ動くため、車両100がロール方向に傾くことを抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。
特許文献1〜5として掲げた「左右連通」の従来技術によれば、制御弁によって四輪車の前後左右の車輪にそれぞれ設けられた各気体バネのガス室を連通させるか、オイルダンパの油室を連通させるという構成をとっているため、左右車輪で接地圧が均等になり上述した「対角線スタック現象」を防止することができるとともに、上述した「瞬間的なロール方向への傾き抑制効果」が得られる。
また後掲する特許文献6(特表2003−511300号公報)、特許文献7(特開平7−32851号公報)には、制御弁によって四輪車の左側および右側の前後の各車輪にそれぞれ設けられた各気体バネのガス室同士を連通させるか、オイルダンパの油室同士を連通させるという構成(前後連通)が記載されている。
このような「前後連通」の構成は、ラフロードにおける特別な運転状況下での乗り心地の改善が得られる。しかし「左右連通」の構成をとっていないため、上述した「対角線スタック現象」の防止効果、上述した「瞬間的なロール方向への傾き抑制効果」は得られない。
特開平2001−191778号公報 USP6017023 特開平6−72127号公報 特表2002−541014号公報 特表2002−541015号公報 特表2003−511300号公報 特開平7−32851号公報
上述したように四輪車の前後の車輪について左右連通させる構成をとった場合には、急激なショックには有用であるものの、傾斜したまま車両が走行する場合にはロール増大を助長させる問題を引き起こす。
・ロール増大助長効果
図4に示すように、図3と同様の構成の車両100が、車両100の車幅方向である左右方向に傾斜している傾斜路122(一例として図中左側が低く右側が高い傾斜路を想定する)を走行している場合、車両100が路面傾斜によって図中左(車体右側)に傾くと、車両100の重心Gが同じ方向に傾き、右前輪13の荷重が増加すると同時に、左前輪11の荷重が減少する。このため右前輪13のシリンダ30の油室31の圧力が大きくなり右前輪13のシリンダ30の油室31から左前輪11のシリンダ30の油室31に作動油が圧入される。このため右前輪13のシリンダ30は益々縮退し右前輪13側の車高が低くなるとともに左前輪11のシリンダ30は益々伸張し左前輪11側の車高が高くなる。このため車両100は路面傾斜の影響に加えて益々傾斜路122の低い側に傾いていく(ロール増大助長効果)。
このロール増大助長効果は、車両100が高速で旋回する際にも発生し、車100が横転する原因になる。
しかしながら、舗装路外の凹凸路を走行する車両では、車体の重心Gが左右に振れるほど路面凹凸が大きいために、左右連通しても乗り心地は改善されず、却って欠点だけが目立ってしまうという問題があった。
そこで本発明は、対角線スタック現象を防止するとともに、ロール増大助長効果を抑制できるようにすることを、解決課題とするものである。
第1発明は、
車軸が3軸以上ある車両に適用され、
少なくとも1軸の左右車輪に対応してそれぞれ、油気圧懸架装置が備えられており、
全車軸のうち少なくとも1軸を除いた車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
を特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
全車軸の数の50%に相当する数よりも少ない数の車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
を特徴とする。
第3発明は、第1発明において、
左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通される車軸は、操舵輪であること
を特徴とする。
第4発明は、
車軸が3軸以上ある車両に適用され、
少なくとも隣り合う前後の2軸の左右車輪にそれぞれ、油気圧懸架装置が備えられており、
全車軸のうち少なくとも1軸を除いた車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている少なくとも隣り合う前後2軸の車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されているとともに、当該前後2軸の車軸の前後の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
を特徴とする。
第5発明は、第4発明において、
車軸が4軸以上ある車両に適用され、
左右および前後の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されている車軸は、操舵輪であること
を特徴とする。
第1発明によれば、図8(a)、(b)に示すように、全車軸(4つの軸41、42、43、44)のうち少なくとも1軸(2つの軸43、44)を除いた車軸(第1軸41、第2軸42)であって、油気圧懸架装置(21、22、23、24)が備えられている車軸(第1軸41、第2軸42)の左右の各油気圧懸架装置(21、22と23、24)の油室(31)または/およびガス室が連通される。
第2発明によれば、全車軸(たとえば図5において4つの車軸41、42、43、44)の数(4)の50%に相当する数(2)よりも少ない数(1)の車軸(たとえば第1軸41)であって、油気圧懸架装置(21、23)が備えられている車軸(第1軸41)の左右の各油気圧懸架装置(21、23)の油室(31)または/およびガス室が連通される。
第3発明によれば、図6に示すように、操舵輪(11、12、13、14)の左右の各油気圧懸架装置(21、22と23、24)の油室(31)または/およびガス室が連通される。
第4発明によれば、図8(a)、(b)に示すように、全車軸(4つの軸4
1,42、43、44)のうち少なくとも1軸(2つの軸43、44)を除いた車軸(第1軸41、第2軸42)であって、油気圧懸架装置(21、22、23、24)が備えられている少なくとも隣り合う前後2軸の車軸(41、42)の左右の各油気圧懸架装置(21、22と23、24)の油室(31)または/およびガス室が連通されるとともに、当該前後2軸の車軸(41、42)の前後の各油気圧懸架装置(21と22、23と24)の油室(31)または/およびガス室が連通される。
第5発明によれば、図6に示すように、車軸が4軸以上ある車両(4軸車両100)の操舵輪(11、12、13、14)の左右および前後の各油気圧懸架装置(21、22と23、24;21と22、23と24)の油室(31)または/およびガス室が連通される。
(第1発明)
第1発明によれば、車軸の左右の油気圧懸架装置同士を左右連通させるようにしたので、図11に示すように、対角線スタック現象が防止される。また少なくとも1つの車軸を残して車軸の左右の油気圧懸架装置同士を左右連通させるようにしたので、図4に示すロール増大助長効果を抑制することができる。
(第2発明)
図8(b)あるいは図12(b)の構成をとる場合には、全車軸の数(4)に対する、左右連通される車軸の数(2)の割合は、50%となる。50%の車軸(第1軸41、第2軸42)が左右連通されていることでロール増大を助長しようとするが(図4参照)、他の50%の左右連通されていない車軸(第3軸43、第4軸44)がロール増大助長を抑制する。このロール増大助長を抑制する効果を高めるには、全車軸の数に対する、左右連通されている車軸の数の割合を50%よりも更に小さくすればよい。そこで、たとえば図5(図14(a))の4軸8軸の車両100の第1軸41の左右の油気圧懸架装置11、13同士を左右連通させるのみで、前後連通を省略する構成を取る。この構成を取った場合には、全車軸の数(4)に対する、左右連通される車軸の数(1)の割合は、25%となり、同割合が50%の構成の場合と比較して、ロール増大助長抑制効果は、同割合の減少率(50%→25%)に応じて増大することになる。
(第3発明)
第3発明によれば、図6に示すように、操舵輪の左右の油気圧懸架装置同士を左右連通させるようにしたので、第1発明の効果に加えて、積雪路、凍結路、わだち等におけるスリップ、スタックが防止されるという効果が得られる。
(第4発明)
第4発明によれば、隣り合う前後の油気圧懸架装置同士を前後連通させるようにしたので、第1発明の効果に加えて、図9に示すように、突起物乗り越え性能が向上するという効果が得られる。
(第5発明)
第5発明によれば、図6に示すように、操舵輪の左右の油気圧懸架装置同士を左右連通させるようにしたので、第4発明の効果に加えて、積雪路、凍結路、わだち等におけるスリップ、スタックが防止されるという効果が得られる。
以下図面を参照して本発明に係る車両のバネ制御装置の実施の形態について説明する。
図5は実施形態の車両100の全体構成を示している。また図5(a)は正面図であり、図5(b)は側面図であり、図5(c)は上面図である。
実施形態では、戦闘車両であって、4軸の車軸、8つの車輪が備えられた多軸装輪車両を想定する。また実施形態では車両100として、独立懸架方式の車両をベースとした車両100を想定しており、独立懸架方式としてストラット式を想定している。
なお以下に述べる説明は、4軸以外の多軸車両あるいは装軌式車両に適用してもよく、戦闘車両以外の民生用の車両に適用してもよい。
またストラット式以外に、フル・トレーリングアーム式、セミ・トレーリングアーム式、ダブルウィッシュボーン式、マルチリンク式等の他の独立懸架方式を適用してもよく各種懸架方式を組み合わせて適用してもよい。
図5に示すように車体101には、車体101の前側より第1軸41、第2軸42、第3軸43、第4軸44が備えられている。
車体101の下部には、各車輪に対応して懸架脚としての油気圧懸架装置21、22、23、24、25、26、27、28が懸架されている。
すなわち第1軸41の左側車輪11に対応して油気圧懸架装置21が、そして第1軸右側車輪13に対応して油気圧懸架装置23が設けられている。また第2軸42の左側車輪12に対応して油気圧懸架装置22が、そして第2軸右側車輪14に対応して油気圧懸架装置24が設けられている。また第3軸43の左側車輪15に対応して油気圧懸架装置25が、そして第3軸右側車輪17に対応して油気圧懸架装置27が設けられている。また第4軸44の左側車輪16に対応して油気圧懸架装置26が、そして第4軸右側車輪18に対応して油気圧懸架装置28が設けられている。
油気圧懸架装置21〜28は、車輪11〜18、リンクやアーム等のサスペンション部材102、後述する気体バネ35、ダンパ要素を内蔵した油気懸架用シリンダ30とからなる。車輪11〜18が上下方向に揺動するように、車体101と車輪11〜18とがリンクやアーム等のサスペンション部材102を介して連結され、車体101とサスペンション部材102とが油気圧懸架用シリンダ30を介して連結されて、懸架脚としての油気圧懸架装置21〜28が構成される。油気圧懸架用シリンダ30はアウタチューブ30aと、このアウタチューブ30aに対して摺動自在のインナチューブ30bとからなる。アウタチューブ30a、インナチューブ30bのうち一方が車体101に接続され他方がサスペンション部材102に接続されている。車輪11〜18が上下方向に揺動しこれに伴いサスペンション部材102が揺動するに伴い、油気圧懸架用シリンダ30のインナチューブ30bはアウタチューブ30aに対して摺動し、後述する気体バネ35でバネ発生力が発生しダンパ要素で減衰力が発生する。
実施形態ではストラット式を想定しており油気圧懸架用シリンダ30がサスペンションの支柱(ストラット)を兼ねている。
ここで気体バネ35とは、空気、窒素ガス等の気体が圧縮されることによる反発力を利用したバネのことである。ダンパ要素に関しては、作動油をシリンダ30内に封入し作動油がピストンのオリフィスを通過するときの抵抗を利用して減衰力を発生するオイルダンパを想定している。
図6は、各車輪と操舵輪との関係を示している。
実施形態の車両100は、前側の車輪11、12、13、14が操舵輪となっており、ステアリング指令信号に応じて、車体101に対して車輪の向きが変化して、旋回走行等を行うことができる。
図7(a)は各油気圧懸架懸架装置21〜28の構成を、第1軸右車輪33、第1軸左車輪31に対応する油気圧懸架装置23、21を代表させて示している。
同図7(a)に示すように、第1軸右車輪33、第1軸左車輪31に対応する油気圧懸架用シリンダ30は、高圧容器としてのアウタチューブ30a(シリンダ本体)とこのアウタチューブ30a内で摺動するインナチューブ30bとからなる。アウタチューブ30aは、作動油が収容されている油室31を備えている。インナチューブ30bはピストン34を接続したロッド30eとして構成されており、ピストン34は油室31内で摺動する。ピストン34には、オリフィスが形成されており、オリフィスの作動油出口側には、板バネからなるバルブがそれぞれ設けられている。作動油がピストン34のオリフィスを通過するときの抵抗によって減衰力が生じる。
油室31は管路33を介してアキュムレータ36の油室37に連通している。アキュムレータ36のガス室38には、高圧のガス、たとえば空気あるいは窒素ガスなどが封入されている。シリンダ30の油室31内の圧力が変化し、アキュムレータ36の油室37内の圧力が変化すると、ガス室38の高圧気体が圧縮され、高圧気体で反発力が生じバネ発生力が発生する。つまりアキュムレータ36と油圧シリンダ30と管路33とによって気体バネ35が構成されている。
本実施形態では、本来独立しているこれら左右の油気圧懸架装置21、23の油室31、31同士が管路32によって接続されている。管路32上には、遮断弁50が設けられており、遮断弁50が連通位置50aとなることで、左右の油気圧懸架装置21、23の油室31、31同士が連通状態になる。このように各油気圧懸架装置の油室同士が連通される構成のことを、本明細書では、「油室連通」と称するものとする。
図8(a)は、車両全体の各油気圧懸架装置21〜28と、これら各油気圧懸架装置21〜28を相互に接続する油圧機器との関係を示している。
すなわち上述したように第1軸41の左右の油気圧懸架装置21、23の油室31、31同士が管路32によって接続されている。管路32上には遮断弁50が設けられている。遮断弁50は、図示しないコントローラから出力されるオンオフ指令信号に応じて弁位置が、連通位置50a、遮断位置50bに切り換えられる。
図7(a)と同様な構成によって、車体左前側の隣り合う前後の油気圧懸架装置21、22の油室31、31同士が管路32によって油室連通可能に接続されている。同じく車体左後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置25、26の油室31、31同士が管路32によって油室連通可能に接続されている。
同様に車体右前側の油気圧懸架装置23、24の油室31、31同士が管路32によって油室連通可能に接続されている。同じく車体右後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置27、28の油室31、31同士が管路32によって油室連通可能に接続されている。
図8(b)は図8(a)に示される各遮断弁50を連通位置50aにしたときの油室連通状態を概念的に示している。同図8(b)に示すように各遮断弁50が連通位置50aに位置されると、車両100の第1軸41、第2軸42の左の油気圧懸架装置21、22と右の油気圧懸架装置23、24とが油室連通状態になる。また車体左前側の隣り合う前後の油気圧懸架装置21、22が油室連通状態になり、車体左後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置25、26が油室連通状態になり、車体右前側の油気圧懸架装置23、24が油室連通状態になり、車体右後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置27、28が油室連通状態になる。
つぎに上述した車両100が各種路面を走行する場合の挙動およびそれによる効果について説明する。
(前後連通させることによる効果)
図9は、4軸8輪の車両100の車体右側の各車輪13、14、17、18が突起物123を乗り越すときの挙動を示している。
本実施例では、車体101に傾斜センサが設けられ、傾斜センサの出力から判断して、突起物123を乗り越す状況である場合には、少なくとも隣り合う前後の油気圧懸架装置間の管路上の各遮断弁50が連通位置50aに切り換えられる。これにより隣合う前後の油気圧懸架装置(23と24、27と28)が油室連通状態になる。最初に突起物123に乗り上げるのは右の第1輪13であるが、その右第1輪13に対応する油気圧懸架装置23とつぎに乗り上げるべき右第2輪14に対応する油気圧懸架装置24とが前後連通状態となっているため、これら右前側車輪13、14の接地圧は均等になる。同様に右後ろ側車輪17、18の接地圧は均等になる。車体左側の車輪が突起物に乗り上げる場合も同様であり、左前側車輪11、12の接地圧が均等な状態で突起物に乗り上げられ、左後ろ側車輪15、16の接地圧が均等な状態で突起物に乗り上げられる。このため凹凸の路面における突起物乗り越え時の乗り越え性能が向上する。
(左右連通させることによる効果)
しかし凹凸路面において片側突起物を乗り越えるときには、前述したような対角線スタック現象が発生するおそれがある。
図10(a)、(b)は、車両100の右前側の隣合う車輪13、14が突起物124に乗り上げた場合の状態を示しており、図10(a)は水平な路面を走行している場合を示し、図10(b)は登坂路を走行している場合を示している。
ここで仮に各遮断弁50が遮断位置50bに位置されており各油気圧懸架装置が遮断(非連通)状態になっている場合を想定する。
図10(a)に示すように、水平な路面であっても右前側の車輪13、14が突起物(突起地形)124に乗り上げると 図1で説明したのと同様に、 右前側の車輪13、14の接地点(頂点C)の対角線上の反対側の頂点Bつまり左後ろ側の車輪15、16の接地点で荷重が集中する一方で、他の対角線上の頂点A、Dつまり左前側車輪11、12、右後ろ側車輪17、18の接地すべき点で荷重が減少してしまいエンジンの駆動力を車輪を介して有効に路面に伝えられなくなり車輪がスリップし易くなる。つまり対角線スタック現象が発生する。
特に図10(b)に示すように、登坂路を走行中に車輪がスリップすると、8輪合計で発揮できる駆動力が不足してしまい前進そのものが困難になることが予測される
そこで本実施例では、車体に傾斜センサが設けられ、傾斜センサの出力から判断して、対角線スタック現象が起こることが予測される場合あるいはスリップにより前進が困難になると予測される場合には、少なくとも左側車輪に対応する油気圧懸架装置と右側車輪に対応する油気圧懸架装置との間の各遮断弁50が連通位置50aに切り換えられる。
遮断弁50が連通位置50aに切り換えられると、図8(b)で説明したように、左前側車輪11、12に対応する左の油気圧懸架装置21、22と、右前側車輪23、24に対応する右の油気圧懸架装置23、24とが油室連通状態になる。
図11は、上記制御が行われて、対角線スタック現象が解消された状態を図1に対応させて模式的に示している。図8(a)と併せ参照して説明する。
すなわち図11に示すように、右前側車輪13、14が突起物124に乗り上げると、図8(a)に示すように、右前側の油気圧懸架装置23、24の油室31圧力が上昇するが、その後、右前側の油気圧懸架装置23、24の油室31の作動油が管路32を介して、突起物124の側方にあって突起物124に乗り上げてない左前側の油気圧懸架装置21、22の油室に圧入される。このため右前側の油気圧懸架装置23、24から作動油が抜けて、右前側車輪13、14(頂点C)が上がり(シリンダ縮退)、車体右前側の車高が下がることになる。逆に左前側の油気圧懸架装置11、12の作動油が増加して、左前側車輪11、12(頂点A)が下がり(シリンダ伸張)、車体左前側の車高が上がる。これにより浮き上がっていた、あるいは浮き上がるおそれのあった左前側車輪11、12(頂点A)が接地することになる。左右の油気圧懸架装置21、22と23、24とは作動油が連通しているため、左前側車輪11、12と右前側車輪13、14の接地圧が等しくなるまで、上述した右前側車輪13、14の上昇(右前側シリンダの縮退;右前側の車高の下がり)と、左前側車輪11、12の下降(左前側シリンダの伸張;左前側の車高の上がり)とが継続される。この結果、8つの車輪は、少なくとも頂点A(左前側車輪11、12)、頂点B(左後ろ側車輪15、16)、頂点C(右前側車輪13、14)で負荷を分担して接地することになる。このように本実施形態によれば、車体前側の左の油気圧懸架装置21、22と右の油気圧懸架装置23、24とを連通させているため、左前側車輪11、12と右前側車輪13、14とが荷重を分担することができ、対角線スタック現象を防止することができる。
(少なくとも1つの車軸を残して左右連通させることによる効果)
本実施例では、車体101に傾斜センサが設けられ、傾斜センサの出力から判断して、車両100が、図4で説明したような車幅方向である左右方向に傾斜している傾斜路122(一例として図中左側が低く右側が高い傾斜路を想定する)を走行すると予測される場合あるいは走行中であると判断された場合には、各油気圧懸架装置間の管路上の各遮断弁50が連通位置50aに切り換えられる。
この結果、車両100は、図8(b)に示すように、少なくとも1つの車軸つまり後ろ側の第3軸43、第4軸44を残して、前側の第1軸41、第2軸42の左の油気圧懸架装置21、22と右の油気圧懸架装置23、24とが左右連通した状態になる。
4軸8輪の車両100が図4で説明した傾斜路122(一例として図中左側が低く右側が高い傾斜路を想定する)を走行していると、車両100が路面傾斜によって図中左に傾き、車両100の重心Gが同図中左に傾き、右前側車輪13、14の荷重が増加すると同時に、左前側車輪11、12の荷重が減少する。このため右前側車輪13、14のシリンダ30の油室31の圧力が大きくなり右前側車輪13、14のシリンダ30の油室31から左前側車輪11、12のシリンダ30の油室31に作動油が圧入される。このため右前側車輪13、14のシリンダ30を益々縮退させ右前側の車高を低くさせ、左前側車輪11、12のシリンダ30は益々伸張し左前側の車高を高くしようとし車体101は傾斜路122の低い側に倒れ込もうとする(ロール増大助長効果)。
ところが車体101の後ろ側では左の油気圧懸架装置25、26と右の油気圧懸架装置27、28とは左右連通されていない。このため左の油気圧懸架装置25、26と右の油気圧懸架装置27、28とは独立して作動することになり、右後ろ側の車高を低くさせ、左後ろ側の車高を高くしようとするロール増大助長効果は抑制される。
結局、車体101の後ろ側でロール増大助長効果が抑制されるため、同じ剛体である車体101の前側でのロール増大助長効果が抑制されることになり、車体全体として傾斜路122の低い側に傾くことが抑制されることになる。
(操舵輪を左右連通させることによる効果)
図6を参照して、4軸8輪の車両100がスリップしスタックしやすい路面、たとえば積雪路、凍結路、わだちを走行しているときの挙動を説明する。
本実施例では、車体101に左右車輪の回転数差からスリップを検出するなどのスリップセンサが設けられ、スリップセンサの出力から判断して、スリップしやすい路面状況である場合には、少なくとも操舵輪に対応する各油気圧懸架装置間の管路上の各遮断弁50が連通位置50aに切り換えられる。
この結果、車両100は、図6に示すように、左側の操舵輪11、12に対応する油気圧懸架装置21、22と、右側の操舵輪13、14に対応する油気圧懸架装置23、24とが左右連通した状態になる。
ここで、車体に対する車輪の向きを変化させることで操舵される車両にあっては、路面と車輪の間に働く横力によって操舵力が発生する。横力と車輪の接地荷重との間には、
横力=係数×(摩擦係数)×(接地荷重)
なる関係がある。よって接地荷重を左右の車輪で均等にし横力を左右車輪で均等にすることで操舵力を左右車輪で均等にすることができ、スリップしやすい路面
での走破性を向上させることができる。
本実施例では、左側の操舵輪11、12に対応する油気圧懸架装置21、22と、右側の操舵輪13、14に対応する油気圧懸架装置23、24とが左右連通されるため、左側操舵輪11、12の接地荷重と右側操舵輪13、14の接地荷重とが均等になり、左側操舵輪11、12で発生する横力と右側操舵輪13、14で発生する横力が均等になり、左側操舵輪11、12で発生する操舵力と右側操舵輪13、14で発生する操舵力が均等になる。これによりスリップしやすい路面における発進時、走行中いずれの場合でも左右で均等な操舵力が得られ、スリップやスタックを引き起こす可能性が極めて少なくなる。またスリップしやすい路面で対角線スタック現象が引き起こされることが防止される。特に左右の操舵輪の一方で過大な操舵力が発生すると、路面が損傷されることがあるが、本実施例では左右の操舵輪で均等な接地荷重が得られ操舵力が均等となるため、路面の損傷を最小限に軽減でき、路面の損傷によって走行条件が益々悪化することが防止される。
上述した説明では、油室連通で構成された場合を想定したが、図7(b)に示すようにガス室連通で構成してもよい。
すなわち、図7(b)に示すように、本来独立しているこれら左右の油気圧懸架装置21、23のガス室38、38同士が管路39によって接続されている。管路39上には、遮断弁50が設けられており、遮断弁50が連通位置50aとなることで、左右の油気圧懸架装置21、23のガス室38、38同士が連通状態になる。このように各油気圧懸架装置のガス室同士が連通される構成のことを、本明細書では、「ガス室連通」と称するものとする。
図12(a)は、車両全体の各油気圧懸架装置21〜28と、これら各油気圧懸架装置21〜28を相互に接続する油圧機器との関係を示している。
すなわち上述したように第1軸41の左右の油気圧懸架装置21、23のガス室38、38同士が管路39によって接続されている。管路39上には遮断弁50が設けられている。遮断弁50は、図示しないコントローラから出力されるオンオフ指令信号に応じて弁位置が、連通位置50a、遮断位置50bに切り換えられる。
図7(b)と同様な構成によって、車体左前側の隣り合う前後の油気圧懸架装置21、22のガス室38、38同士が管路39によってガス室連通可能に接続されている。同じく車体左後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置25、26のガス室38、38同士が管路39によってガス室連通可能に接続されている。
同様に車体右前側の油気圧懸架装置23、24のガス室38、38同士が管路39によってガス室連通可能に接続されている。同じく車体右後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置27、28のガス室38、38同士が管路39によってガス室連通可能に接続されている。
図12(b)は図12(a)に示される各遮断弁50を連通位置50aにしたときのガス室連通状態を概念的に示している。同図8(b)に示すように各遮断弁50が連通位置50aに位置されると、車両100の第1軸41、第2軸42の左の油気圧懸架装置21、22と右の油気圧懸架装置23、24とがガス室連通状態になる。また車体左前側の隣り合う前後の油気圧懸架装置21、22がガス室連通状態になり、車体左後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置25、26がガス室連通状態になり、車体右前側の油気圧懸架装置23、24がガス室連通状態になり、車体右後ろ側の隣り合う油気圧懸架装置27、28がガス室連通状態になる。
このように車両100をガス室連通に構成した場合にも、上述した油室連通に構成した場合と同様な連通状態が得られ、上述した各実施例と同様に車両100が動作し、上述した各種路面の走行時の走破性が向上する。
上述した各実施例では、遮断弁50を自動制御しているが、遮断弁50を手動スイッチ等で切り換える手動制御で行うようにしてもよい。
また上述した各実施例では、遮断弁50を制御することによって路面状況等に応じて連通状態としているが、遮断弁50の配設を省略し、各油室同士あるいは各ガス室同士を管路を介して常時、連通状態とする実施も可能である。かかる実施例によれば、制御弁、コントローラ等の機器の配設が不要となり、制御が簡易になるとともに、コストを低減させることができる。
上述した各実施例では、4軸8輪の多軸車両100を想定し、前側の2軸(第1軸41、第2軸42)を左右連通および前後連通させるとともに、後ろ側の2軸(第3軸43、第4軸44)を前後連通させているが、これ以外の3軸、5軸以上の多軸車両に対しても同様に構成してもよい。
すなわち図13、図14、図15に例示するように、3軸以上の多軸車両を、その重心Gに対して車体前側の車軸を等価前軸61とみなし、車体後ろ側の車輪を等価後軸62とみなして、2軸4輪の構造の「等価2軸車」として扱い、図8(b)あるいは図12(b)と同様な連通状態とすることができる。
図13は3軸6輪の車両100を例示しており、図13(a)は車両100(車体101)の重心Gより前方の第1軸41、第2軸42が等価前軸61とされ重心Gより後方の第3軸43が等価後軸62とされる構造の車両を示している。同様に図13(b)は重心Gより前方の第1軸41が等価前軸61とされ重心Gより後方の第2軸42、第3軸43が等価後軸62とされる構造の車両を示している。
図14は4軸8輪の車両100を例示しており、図14(a)は図5と同一構造の車両100を示している。図14(b)は車両100(車体101)の重心Gより前方の第1軸41が等価前軸61とされ重心Gより後方の第2軸42、第3軸43、第4軸44が等価後軸62とされる構造の車両を示している。同様に図14(c)は重心Gより前方の第1軸41、第2軸42、第3軸43が等価前軸61とされ重心Gより後方の第4軸44が等価後軸62とされる構造の車両を示している。
図15は5軸10輪の車両100を例示しており、図15(a)は車両100(車体101)の重心Gより前方の第1軸41、第2軸42が等価前軸61とされ重心Gより後方の第3軸43、第4軸44、第5軸45が等価後軸62とされる構造の車両を示している。同様に図15(b)は重心Gより前方の第1軸41、第2軸42、第3軸43が等価前軸61とされ重心Gより後方の第4軸44、第5軸45が等価後軸62とされる構造の車両を示している。なお6軸以上の車両についても同様に扱われる。
図13〜図15に例示したいずれの構造の車両100についても2軸4輪の等価2軸車として扱われ、図8(b)あるいは図12(b)と同様に等価前軸61に設けられた左右の油気圧懸架装置同士が左右連通され、その場合、等価前軸61が2軸以上であれば、少なくとも隣り合う前後の油気圧懸架装置同士が前後連通される。さらに等価後軸62が2軸以上であれば、少なくとも隣り合う前後の油気圧懸架装置同士が前後連通される。
たとえば図14(b)に示す車両であれば、等価前軸61を構成する第1軸41の左右の油気圧懸架装置同士が左右連通され、等価後軸62を構成する第2軸42、第3軸43、第4軸44のうち、第3軸43、第4軸44の前後の油気圧懸架装置同士が前後連通された構成とすることができる。
本実施形態は、得ようとする効果に応じて、適宜、種々の変形が可能である。
すなわち、等価前軸61側を左右連通させるものとして説明したが、逆に等価後軸62側を左右連通させてもよい。
たとえば図5(図14(a))の4軸8輪の車両100であれば、等価後軸62を構成する第3軸43、第4軸44の左の油気圧懸架装置25、26と、右の油気圧懸架装置27、28を左右連通させることができる。
また上述した説明では、前後連通をさせているが、前後連通を適宜省略する実施も可能である。
たとえば図5(図14(a))の4軸8軸の車両100であれば、第1軸41の左右の油気圧懸架装置11、13同士を左右連通させるのみとする構成であってもよい。かかる構成の場合には、上述した(前後連通させることによる効果)、つまり突起物乗り越え時の性能向上は、やや期待できないが、(左右連通させることによる効果)が得られ、対角線スタック現象が防止される。また(少なくとも1つの車軸を残して左右連通させることによる効果)が得られ、ロール増大助長効果を抑制することができる。また(操舵輪を左右連通させることによる効果)が得られ、積雪路、凍結路、わだち等におけるスリップ、スタックが防止される。
左右の油気圧懸架装置同士を左右連通させる場合、車両の最も前側あるいは最も後ろ側の軸であって、操舵輪に対応する油気圧懸架装置同士であることが、上記効果を有効に得る上で望ましい。
また図13、図14、図15に示す各種車両に本発明を適用する場合において、図8(a)、図12(a)と同様に管路上に遮断弁50を設けて自動制御あるいは手動制御で遮断弁50を切換え、選択的に連通状態にしてもよく、図8(a)、図12(a)から遮断弁50を省いた構成とし、管路を介して常時、油室連通状態あるいはガス室連通状態にしてもよい。
さらに上述した説明では、車両100の各車輪に対応して油気圧懸架装置が設けられている独立懸架式の車両がベースとなっていることを想定して説明した。しかし本発明としては、連通すべき箇所のみに油気圧懸架装置が設けられていればよく、連通しない箇所に油気圧懸架装置が設けられているか否かは不問である。
たとえば図5(図14(a))の4軸8軸の車両100の第1軸41の左右の油気圧懸架装置11、13同士を左右連通させるのみで、前後連通を省略する構成を取る場合には、第1軸41の左右に、油気圧懸架装置11、13を設けるのみとし、他の第2軸42、第3軸43、第4軸44に相当する懸架装置は、機械バネとオイルダンパで構成される独立懸架装置あるいはリジット式の懸架装置であってもよい。
また上述した各実施例では、油気圧懸架装置同士を連通させる場合、油室連通のみの構成(図8(a))またはガス室連通のみの構成(図12(a))を前提として説明したが、1台の車両100の中で油室連通とガス室連通とを適宜組み合わせてもよい。たとえば図8(a)の構成において、等価前軸61側の油気圧懸架装置21、22、23、24の連通に関しては各油室31同士を管路32を介して連通させることにするが、等価後軸62側の各油気圧懸架装置25、26同士の連通および各油気圧懸架装置27、28同士の連通に関しては、図12(a)に示される各ガス室38同士を管路39を介して連通させる構成とすることができる。
つぎに全車軸の数に対する、左右連通される車軸の数の割合と、本発明の効果との関係について説明する。
前述したように、少なくとも1つの車軸(第3軸43、第4軸44)を残して、左右連通(第1軸41、第2軸42を左右連通)させることで、ロール増大助長効果を抑制するという効果が得られる。
ここで、図8(b)あるいは図12(b)の構成をとる場合には、全車軸の数(4)に対する、左右連通される車軸の数(2)の割合は、50%となる。50%の車軸(第1軸41、第2軸42)が左右連通されていることでロール増大を助長しようとするが(図4参照)、他の50%の左右連通されていない車軸(第3軸43、第4軸44)がロール増大助長を抑制する。このロール増大助長を抑制する効果を高めるには、全車軸の数に対する、左右連通されている車軸の数の割合を50%よりも更に小さくすればよい。
そこで、たとえば図5(図14(a))の4軸8軸の車両100の第1軸41の左右の油気圧懸架装置11、13同士を左右連通させるのみで、前後連通を省略する構成を取る。この構成を取った場合には、全車軸の数(4)に対する、左右連通される車軸の数(1)の割合は、25%となり、同割合が50%の構成の場合と比較して、ロール増大助長抑制効果は、同割合の減少率(50%→25%)に応じて増大することになる。
上述した各実施例では、車両100が、突起物がある路面、傾斜路、積雪路、凍結路、わだちを走行する場合を想定して説明したが、これ以外の路面状況でも本発明を当然適用可能である。
たとえば路面の硬さが左右車輪で不均質となる路面を走行する場合、つまり左右車輪で土質の軟弱の程度が異なる路面を走行する場合、あるいは左右車輪の一方が通常の路面(コンクリート路やあぜ道)であって他方が脱輪している状況下などにも本発明を適用することができ、その場合、左右の車輪で接地圧が均等になることで、対角線スタック現象防止を抑制できるなど著しい走破性の向上が得られる。
本発明は、戦闘車両のみならず民生用の車両にも適用することができる。
図1は対角線スタック現象を説明する模式図である。 図2はサスペンションなしの構成で四輪車が対角線スタック現象を引き起こした場合の車輪の状態を例示した図である。 図3は前後の2軸を左右連結した四輪車が突起物に乗り上げたときの作動油の流れを示した図である。 図4は前後の2軸を左右連結した四輪車が左右傾斜路を走行するときの作動油の流れを示した図である。 図5(a)、(b)、(c)は実施形態の4軸8輪の車両の全体構成を示す図である。 図6は操舵輪に対応する左右の油気圧懸架装置を左右連通させた場合の挙動を説明する図である。 図7(a)は油室連通可能な各油気圧懸架装置を例示した図であり、図7(b)はガス室連通可能な各油気圧懸架装置を例示した図である。 図8(a)は車両の各油気圧懸架装置と、これら各油気圧懸架装置間に設けられた油圧機器との関係を示した図であり、図8(b)は図8(a)に示す各遮断弁が連通位置に位置されたときの状態を模式的に示した図である。 図9は、隣り合う前後の車輪に対応する前後の油気圧懸架装置同士が前後連通された車両が突起物の乗り上げたときの挙動を説明する図である。 図10(a)は車両が水平な路面を走行中に突起物に右前の2つの車輪が乗り上げたときの挙動を説明する図で、図10(b)は車両が登坂路を走行中に突起物に右前の2つの車輪が乗り上げたときの挙動を説明する図である。 図11は、図1に対応させて対角線スタック現象が解消された状態を模式的に示す図である。 図12(a)は車両の各油気圧懸架装置と、これら各油気圧懸架装置間に設けられた油圧機器との関係を示した図であり、図12(b)は図12a)に示す各遮断弁が連通位置に位置されたときの状態を模式的に示した図である。 図12(a)、(b)は3軸の多軸車両の構造を例示した図である。 図14(a)、(b)、(c)は4軸の多軸車両の構造を例示した図である。 図15(a)、(b)は5軸の多軸車両の構造を例示した図である。
符号の説明
11〜18 車輪
21〜28 油気圧懸架装置
30 油気圧懸架用シリンダ
31 油室
32、33、39 管路
35 気体バネ
36 アキュムレータ
38 ガス室
100 車両

Claims (5)

  1. 車軸が3軸以上ある車両に適用され、
    少なくとも1軸の左右車輪に対応してそれぞれ、油気圧懸架装置が備えられており、
    全車軸のうち少なくとも1軸を除いた車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
    を特徴とする車両の油気圧懸架装置。
  2. 全車軸の数の50%に相当する数よりも少ない数の車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
    を特徴とする請求項1記載の車両の油気圧懸架装置。
  3. 左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通される車軸は、操舵輪であること
    を特徴とする請求項1記載の車両の油気圧懸架装置。
  4. 車軸が3軸以上ある車両に適用され、
    少なくとも隣り合う前後の2軸の左右車輪に対応してそれぞれ、油気圧懸架装置が備えられており、
    全車軸のうち少なくとも1軸を除いた車軸であって、油気圧懸架装置が備えられている少なくとも隣り合う前後2軸の車軸の左右の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されているとともに、当該前後2軸の車軸の前後の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されていること
    を特徴とする車両の油気圧懸架装置。
  5. 車軸が4軸以上ある車両に適用され、
    左右および前後の各油気圧懸架装置の油室または/およびガス室が連通されている車軸は、操舵輪であること
    を特徴とする請求項4記載の車両の油気圧懸架装置。
JP2003386770A 2003-11-17 2003-11-17 車両の油気圧懸架装置 Pending JP2005145285A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003386770A JP2005145285A (ja) 2003-11-17 2003-11-17 車両の油気圧懸架装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003386770A JP2005145285A (ja) 2003-11-17 2003-11-17 車両の油気圧懸架装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005145285A true JP2005145285A (ja) 2005-06-09

Family

ID=34694361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003386770A Pending JP2005145285A (ja) 2003-11-17 2003-11-17 車両の油気圧懸架装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005145285A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009544509A (ja) * 2006-07-28 2009-12-17 マラベセ デザイン ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ 三輪または四輪のオートバイのトリムを制御するシステム
JP2011011568A (ja) * 2009-06-30 2011-01-20 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 運搬車両
JP2021014247A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 和秀 上森 エアサスによる車体制御のつく改良型操舵装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009544509A (ja) * 2006-07-28 2009-12-17 マラベセ デザイン ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ 三輪または四輪のオートバイのトリムを制御するシステム
JP2011011568A (ja) * 2009-06-30 2011-01-20 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 運搬車両
JP2021014247A (ja) * 2019-07-11 2021-02-12 和秀 上森 エアサスによる車体制御のつく改良型操舵装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7472914B2 (en) Suspension system
AU2013300167B9 (en) Cylinder shock assembly
US7731208B2 (en) Tag axle operating system
US5556115A (en) Vehicle suspension systems
AU671592B2 (en) Vehicle suspension system
US6217047B1 (en) Passive vehicular suspension system including a roll control mechanism
EP0599882B1 (en) Vehicle suspension system
US7740252B2 (en) Payload-carrying motor vehicle with tag axle having force relievable suspension
US7775533B2 (en) Payload-carrying motor vehicle with tag axle having disableable brakes
US7040631B2 (en) Hydraulic suspension system for a vehicle
US7775308B2 (en) Payload-carrying motor vehicle with tag axle having primary and secondary suspension
US6883813B2 (en) Independent paddle lift axle suspension system
JP2005145285A (ja) 車両の油気圧懸架装置
JP2003146043A (ja) 車両用サスペンション装置
JPH0880722A (ja) 車両の懸架装置
JP4483701B2 (ja) 多軸車両の油圧サスペンション装置
KR100257246B1 (ko) 자동차 현가장치
AU648045B2 (en) Interconnected fluid suspension for vehicles
JPS643684B2 (ja)
JPH0372482B2 (ja)
JP2004114901A (ja) 油圧サスペンション装置
JPS63166615A (ja) 車両用油圧スタビライザ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A02 Decision of refusal

Effective date: 20090217

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02