JP2005144539A - 溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤおよびそれを用いた溶接変形低減方法 - Google Patents

溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤおよびそれを用いた溶接変形低減方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 ガスシールドアーク溶接を用いて鋼板、特に板厚が15mm以下の薄手鋼板を隅肉溶接する際に溶接変形を安定して抑制するためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤおよびそれを用いた溶接変形低減方法を提供する。
【解決手段】 シーム溶接部を有する鋼管からなる外皮内にフラックスが充填されたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が90〜97%であり、かつ前記フラックスが、質量%で、TiO2:0.5〜5.5%、TiO2以外の酸化物系スラグ形成剤の1種または2種以上の合計量:0.3〜2.0%を含有するチタニア系フラックスであり、かつ前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜3.0%を含有する溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、造船、建築、さらには橋梁、海洋構造物などの建造時に用いられるガスシールドアーク溶接方法およびフラックス入りワイヤに関し、より詳しくは、特に隅肉溶接時に発生する溶接変形を低減し、継手変形を矯正するための作業負荷を低減または省略させるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ及びそれを用いた溶接変形低減方法に関するものである。
鋼構造物を製造する場合の接合方法として、溶接が広く用いられる方法であり、なかでも、アーク溶接方法が、現在、最も一般的に用いられている。
アーク溶接方法は、溶接部に溶接アークによる熱を投与し、鋼材および溶材を溶融して溶融金属を生成し凝固させることにより溶接を行なうが、溶接入熱量により熱膨張および熱収縮の熱履歴が加わることにより継手形状の変化、すなわち溶接変形が発生する。
従来から、溶接時の変形発生機構および溶接変形低減方法については、例えば、非特許文献1および2などで検討されており、溶接変形低減方法として、溶接前に被溶接体を充分に拘束したり、継手形状・構造を工夫し溶接変形を抑制する方法が提案されている。
しかし、溶接部を充分拘束して溶接変形を低減させる方法は、継手の拘束のために作業負荷が増えるとともに、被溶接構造物の構造や作業条件により充分に拘束できない場合があるなど実用面で問題がある。
一方、最近では、特許文献1および2などで、鋼材及び溶接材料を用いて溶接変形を低減する材料が開示されている。この場合、材料の変更のみで溶接変形を低減できることになり、作業工程の負荷は大幅に低減できるはずである。しかし、これら方法は、板厚が15mm以上の比較的厚手の鋼板を隅肉溶接する場合には有効な方法であるが、板厚が15mm未満の鋼板を隅肉溶接する場合には、十分に溶接変形量を低減することができず、継手変形を矯正するための作業工程を省略できないのが現状である。
これは、従来の隅肉溶接継手の静的強度の設計では、板厚に対して継手強度の設計脚長が決められており、板厚5mmでの設計脚長は3mm程度、板厚15mmでの設計脚長は7〜8mm程度と、板厚が厚い継手に比べて板厚が薄い継手の方が、板厚に対する設計脚長の相対比が高くなるように設定されている。その結果、板厚に対して、溶接金属の設定脚長を得るための溶接入熱量も、板厚が厚い継手に比べて板厚が薄い継手の方が相対的に高くなるため、溶接変形が発生しやすい。
特開平7−138715号公報 特開平7−108375号公報 「溶接構造要覧」1988年、著者:佐藤ら、発行元:黒木出版、122〜158頁 「Analysis of welded structures」1980年、著者:K.Masubuchi、発行元:Pergamon Press
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みて、ガスシールドアーク溶接を用いて鋼板、特に板厚が15mm以下の薄手鋼板を隅肉溶接する際に溶接変形を安定して抑制するためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤおよびそれを用いた溶接変形低減方法を提供することを目的とする。
本発明は、かかる課題を解決するため、ガスシールドアーク溶接による隅肉溶接方法で用いられるフラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合およびフラックス成分を規定することにより低い溶接入熱量で溶け込み深さを増大させ、よって、溶接部の表側と裏側との温度差の低減により溶接部の角変形を抑制し、かつ隅肉溶接部の脚長を増大せずに継ぎ手強度を向上させることを技術思想とするものである。
すなわち、その発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1) シーム溶接部を有する鋼管からなる外皮内にフラックスが充填されたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が90〜97%であり、かつ
前記フラックスが、質量%で、
TiO:0.5〜5.5%、
TiO以外の酸化物系スラグ形成剤の1種または2種以上の合計量:0.3〜2.0%を含有するチタニア系フラックスであり、かつ
前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、
C:0.02〜0.15%、
Si:0.1〜1.0%、
Mn:0.3〜3.0%を含有することを特徴とする溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(2) 前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、さらに、
Cu:0.1〜1.5%、
Cr:0.1〜1.0%、
Mo:0.1〜1.0%、
V:0.05〜0.7%、および、
Nb:0.01〜0.3%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(3) 前記フラックス中に、質量%で、さらに、
鉄粉:4.0〜12.0%、
アーク安定剤の1種または2種以上の合計量:0.05〜1.1%、
アーク安定剤以外の弗化物および炭酸塩系のスラグ形成剤の1種または2種以上の合計量:0.3〜3.5%を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(4) 前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、さらに、
Ni:2.0〜7.0%を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに1項に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(5) ガスシールドアーク溶接を用いて隅肉溶接する際の溶接変形低減方法において上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のフラックス入りワイヤを用い、質量%で、
C :0.02〜0.25%、
Si:0.01〜2.0%、
Mn:0.30〜2.0%、
Al:0.003〜0.10%、
Nb:0.005〜0.025%、
Mo:0.05〜0.50%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ板厚が3〜15mmの鋼板を隅肉溶接することを特徴とする溶接変形低減方法。
(6) 前記鋼板中に、質量%で、さらに、
Ti:0.001〜0.10%、
V:0.002〜0.10%、
Cu:0.05〜1.5%、
Ni:0.05〜1.5%、
Cr:0.05〜0.5%、
Co:0.05〜0.5%、および、
W:0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(5)に記載の溶接変形低減方法。
(7) 前記鋼板中に、重量%で、さらに、
B:0.0002〜0.0025%、
Rem:0.002〜0.10%、および、
Ca:0.0003〜0.0040%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(5)または(6)に記載の溶接変形低減方法。
本発明によれば、低い溶接入熱量で溶け込み深さを増大させることができ、その結果、継手の静的強度を損なうことなく、溶接変形を低減でき、溶接構造物の工作精度向上、ひいては、継手変形の矯正のための作業工程の負荷低減または省略が期待できるため、産業上における貢献は多大なものである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
一般に、溶接変形を決定する要因は、溶接条件、鋼材および溶接金属の強度、ヤング率、変態開始温度等の特性などが考えられる。これらの中で、本発明では溶接条件の一つである溶接入熱量に着目し、溶接入熱量の低減により溶接変形を抑制することを前提とする。
一方、ガスシールドアーク隅肉溶接時に単に入熱量を低減すると、溶着金属量が少なくなり、溶接継手の静的強度が低下する問題が生じる。
そこで、本発明者らは、ガスシールドアーク隅肉溶接において、溶接継手の静的強度を損なわずに、溶接入熱量を低減し溶接変形を低減する方法について検討した。
従来、隅肉溶接継手の設計は、図1に示すように、隅肉溶接部において、ルート部2から各溶接止端部3までの距離を、それぞれ脚長1(L1)、脚長2(L2)とし、ルート部2から脚長1および2で定まる三角形の底辺までの距離をのど厚(TTh;これを「見かけのど厚」とする。以下、同様。)と定義し、これにより継手強度を評価している。
しかし、この継手強度の評価方法は、以下に説明するように、ルート部2での溶接金属1の溶け込み深さを全く考慮せず、単に溶着金属量との関係で継手強度を評価しているため、必ずしも継手強度を正しく評価する方法ではないことが判った。
つまり、発明者らの検討の結果、図2に示すように、隅肉溶接部の脚長1(L1)、脚長2(L2)は同じ、つまり、見かけのど厚(TTh)が同じであっても、ルート部2での溶接金属1の溶け込み深さが大きい場合には、実際の継手強度は向上することを実験的に確認した。
なお、本発明では、図2に示すように、継手未溶融ルート面4と溶接金属境界線5(フュージョンライン)との交点6から各溶接止端部3間を通る直線までの最短距離を、実際の継手強度を決定するためののど厚(これを「実質のど厚」(ATh)とする。以下、同様。)と定義する。
これは、隅肉溶接部のルート部2での溶接金属1の溶け込み深さを増大させる、つまり、実質のど厚を増大させることにより、実際の継手強度を維持しつつ、見かけのど厚を決定する溶着金属量、さらには、溶接入熱量を低減することが可能であることを示唆するものである。
次に、発明者らは、隅肉溶接部におけるルート部2での溶接金属1の溶け込み深さを増大させる具体的な方法について検討した。
従来の継手強度の評価方法(見かけのど厚による評価方法)において、ルート部2での溶接金属の溶け込み深さを全く考慮しない理由は、従来のフラックス入りワイヤを用いた場合には、以下に説明する理由から、その溶け込み深さが非常に小さくなり、継手強度設計上、無視し得る程度であったことが挙げられる。
図3は、従来のフラックス入りワイヤを用いて隅肉溶接した場合のアーク発生状態を示す概念図である。
フラックス入りワイヤ7は、管状の外皮8内にフラックス9が充填された構造であり、通電時には、電流はワイヤ中央部のフラックス9には流れ難く、主として外皮8に流れる傾向にあるため、溶接アーク11は、ワイヤの外皮8から鋼材10に向けて発生する。
そのため、従来のフラックス入りワイヤ7を用いて隅肉溶接する場合には、溶接アーク11は、隅肉溶接部のルート部2では弱く、その周辺でより強くなり、ルート部2での溶け込みが小さくなる傾向があるという問題があった。
そこで、本発明者らは、従来に比べてワイヤ中央部分のアーク強さが増大するためのフラックス入りワイヤの構造について検討した。
ソリッドワイヤは、フラックス入りワイヤのようなフラックスに起因したワイヤ中央部のアーク強さの低下は生じないため、隅肉溶接部のルート部2での溶け込み深さは向上できる。しかし、ソリッドワイヤを用いて隅肉溶接する場合には、溶接姿勢が下向きの場合は良好なビード形状を確保することができるものの、溶接姿勢が水平の場合はアークがフラックス入りワイヤに比べて狭くなるためビードが凸形状になりやすく、疲労強度の低下をもたらす原因となる。
したがって、本発明ではソリッドワイヤに比べて、溶接姿勢によらず良好なビード形状を確保できるフラックス入りワイヤを採用し、ルート部での溶け込みが向上できるフラックス入りワイヤの構造について検討した。
図4は、構造の異なるフラックス入りワイヤを用いて隅肉溶接継手を作製し、ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合と、継手引張試験における破断荷重および継手の溶接止端角度との関係を示すグラフである。
溶接は、C:0.1%、Si:0.4%、Mn:1.2%、Al:0.02%、Nb:0.01%およびMo:0.15%を含有する鋼材を用い、溶接条件は、電流:250A、電圧:25V、溶接速度:125cm/min、溶接入熱量:3.0kJ/cmの一定条件で行った。また、フラックス入りワイヤは、ワイヤ全質量に対して、C:0.1%、Si:0.4%、Mn:1〜2%、TiO:0.5〜1.5%およびSiO:0.3〜0.5%を含有するワイヤを用いた。継手引張試験は、図5に示すような試験片形状で、表側および裏側のそれぞれ4箇所づつ合計8箇所にビード長さ:50mmの隅肉溶接ビードを形成した試験片を作製し、図の矢印⇒の方向に引張荷重を付加し、継手の破断荷重を測定した。
図4から、フラックス入りワイヤのワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が97%を超えると継手における隅肉溶接部の止端角度(●)が130°未満となり、止端角度が急激に小さくなる。止端角度は継手疲労強度に相関し、止端角度の増加とともに継手疲労強度は低下することが知られているため、ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合の過度の増加は継手疲労強度の低下を招き、好ましくない。
また、フラックス入りワイヤのワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が高くなるにつれて継手ルート部でのアーク強さの増大に起因して溶け込み深さが増加するため継手の引張破断荷は増加する。ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が90%以上に贈賄することにより従来溶接ワイヤと比べ破断荷重は顕著に向上する。
本発明では、これらの知見をもとに、良好なビード形状およびルート部の良好な溶け込み深さを確保し、かつ継手疲労強度および継手引張強度を充分に向上するために、フラックス入りワイヤのワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合を90〜97%に規定した。
上記ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が90%未満になると、溶接変形が生じない低い溶接入熱で隅肉溶接した場合に、溶接部のルート部での溶け込み深さが充分に向上することができず、図4に示されるように継手強度が低下してしまう。この継手強度の向上の点からは、上記ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合の下限は92%とすることが好ましい。
一方、上記ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が97%を超えると、アークの広がりが狭くなるため、図4に示されるように止端角度が小さいビードが凸形状になりやすく、疲労強度の低下をもたらす原因となる。特に溶接姿勢が水平の場合はこの問題が生じやすくなる。良好なビード形状を得るためには、好ましくは上記ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合の上限を96%とすることが望ましい。
本発明では、良好なビード形状およびルート部の良好な溶け込み深さを確保し、継手疲労強度と継手強度を向上するために、上記のフラックス入りワイヤのワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合の規定に加えて、フラックス入りワイヤの合金成分およびフラックス成分を以下のように規定する。
本発明におけるフラックス入りワイヤの各成分元素とその添加量について以下に説明する。
なお、以下の「%」は特に説明がない限り、ワイヤ全質量に対する「質量%」を示すものとする。
本発明では、以下の理由に示すとおり、主として、溶接金属の変態開始点を低下させる狙いで、フラックス入りワイヤの外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜3.0%、好ましくは、さらに、Niを含有させる必要がある。
Cは溶接金属の変態点低下の効果があり、また、強度向上の効果からも0.02%以上、好ましくは0.03%以上添加する必要がある。しかし、過度の添加は溶接金属部の高温割れ感受性の増大と靱性低下につながるために、C含有量の上限を0.15%とし、好ましくはその上限を0.09%とする。
Siは溶接金属中の酸素量を低減するとともに、ビード形状を改善する効果があり少なくとも0.1%以上の添加が必要である。しかし過度の添加は溶接金属の靱性を低下させるのでSi含有量の上限を1.0%とする。
Mnは溶接金属の変態点低下の効果が大きく、少なくとも0.3%以上、好ましくは0.8%以上添加する必要がある。過度な添加は溶接金属の高温割れ感受性の増大と靱性低下につながるために、Mn含有量の上限を3.0%とする必要がある。
Niは代表的なγフォーマであり、変態点低下の効果が大きいため、上記変態点低下作用を有する成分とともに補完的に添加できる。少なくとも0.2%以上添加する必要がある。添加量が多すぎる場合にはコスト上昇となることにより、上限は7.0%とするが、例えば海洋構造物において、電気的に溶接金属部が貴になりすぎ、局部電池を形成して溶接熱影響部が選択的に腐食されることになるので好ましくは上限を5.0%とするのが良い。
また、本発明では、上記の溶接金属のMs変態点低下作用を有する成分元素に加えて、この変態温度域での強度向上効果を狙ってCu:0.1〜1.5%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜1.0%、V:0.05〜0.7%、および、Nb:0.01〜0.3%のうちのいずれか1種または2種以上を選択的に添加することができる。
Cuは、溶接金属の変態点低下および強度向上の効果があるために0.1%以上添加する必要がある。過度な添加は溶接金属の靱性低下につながるために、上限を1.5%とする。
Crは、溶接金属の強度増加の効果が生じるために0.1%以上の添加が必要である。添加量が多すぎる場合には常温強度及び硬度が増加して靱性が劣化し、さらに溶接性も低下するので、上限を1.0%とする。
Moは溶接金属の強度向上の点から0.1%以上の添加が必要である。一方過度の添加は靭性劣化を招くため、上限を1.0%とする。
Vは、0.1%以上の添加で溶接金属の強度上昇の効果がある。過大な添加は常温での強度・硬度の上昇によって靱性が劣化し、変態温度を上昇させることになるので、上限を0.7%とする。
Nbは、0.01%以上の添加で溶接金属の強度上昇の効果がある。過大な添加は常温強度及び硬度の上昇をもたらすので、上限を0.5%とするが、さらに靱性劣化を防止するためには0.05%以下とすることが望ましい。
以上の成分元素は、溶接金属の変態開始点の低下、高温降伏強度向上により、溶接時に発生する角変形量を低減させる作用効果を発揮させるために必要である。
本発明では、さらに溶接ビード形状、特に溶接止端角を改善し、継手疲労強度を向上するために、フラックス中にTiOおよびその他の酸化物系スラグ形成剤を以下のように添加する。
TiOは溶融プールの流動性を調整し、溶接ビード形状、特に溶接止端角を改善するために必須なスラグ形成剤である。またスラグ被包性を高めるうえでも不可欠の成分であり、0.5%未満ではその効果が得られない。しかし5.5%を超えるとスラグの粘性が高くなりすぎてビード形状が悪化し、さらには溶接金属中に過剰の還元チタンが歩留って機械的性質(特に靱性)が低下する。
上記TiOと同様にスラグの粘性を調整するとともにビード外観、形状を良くするほか、全姿勢溶接性を良好にする作用効果を有するTiO以外の酸化物系スラグ形成剤としては、SiO、Al、ZrO、MnO、MgO、FeO、Fe等が挙げられる。
本発明では、溶接ビード形状、特に溶接止端角を改善するために上記TiO以外の酸化物系スラグ形成剤の1種または2種以上を合計量で0.3〜2.0%添加する。
上記合計量が0.3%未満では上記効果を有効に発揮することができない。一方、多すぎると溶融スラグの粘性が著しく低下して溶接作業性が極端に悪化するので上記合計量を2.0%以下とする。
また、本発明では、溶着速度の増加による溶接効率の向上、さらには、溶接ビード形状の改善、スパッタの抑制を目的として、さらに、フラックス中に、鉄粉、アーク安定剤、アーク安定剤以外の弗化物系スラグ形成剤、炭酸塩系スラグ形成剤を以下のように添加するのが好ましい。
溶接能率向上効果を十分達成させるために鉄粉は4.0%以上添加する必要がある。
4.0%未満ではワイヤの溶着速度が遅くなり、溶接能率が低下する。一方、12.0%を超えるとそれだけワイヤ中空部を大きくせざるを得ず、溶け込み深さを確保できなくなるという問題が発生するためその上限を12.0%とした。
アークを安定化してスパッタ発生量を低減させるためには、Li、Na、K等のアルカリ金属またはその化合物からなるアーク安定剤の何れか1種または2種以上の合計量で0.05〜1.1%添加する必要がある。
上記アーク安定剤の何れか1種または2種以上の合計量が0.05%未満では、アーク安定剤としての効果が得られない。一方その合計量が1.1%を超えると逆にアーク長が極端に長くなり溶滴移行性を妨げるためスパッタが多発する。
また、アーク安定剤以外の、CaF、BaF、MgF、LiF等の弗化物系スラグ形成剤、及びCaCO、BaCO等の炭酸塩系スラグ形成剤は、ビード形状を改善するために溶着速度の低下をきたさない範囲で添加する必要がある。これらの弗化物系スラグ形成剤および炭酸塩系スラグ形成剤の何れか1種または2種以上の合計量が0.3%未満では、ビード形状改善効果は認められず、その合計量が3.5%を超えるとスラグ量が増大してスラグ巻込み等の欠陥を生じたり溶接能率が低下する。
従って、アーク安定剤以外の、上記弗化物系スラグ形成剤、および上記炭酸塩系スラグ形成剤の何れか1種または2種以上の合計量は、0.3〜3.5%とする。
上記本発明フラックス入りワイヤを用いてガスシールドアーク溶接により隅肉溶接することにより、継手の溶接部に良好なビード形状を形成し、かつルート部の溶け込み深さを向上することができるため、溶接変形が生じない低溶接入熱で、従来に比べて継手疲労強度と継手強度を向上することが可能となる。
また、本発明では、上記効果を顕著に発揮するためには、上記フラックス入りワイヤを用いてガスシールドアーク溶接により鋼材を隅肉溶接する際に、鋼材の板厚や成分を以下のように規定するのが好ましい。
まず、本発明において隅肉溶接する対象鋼材の板厚を3〜15mm以下と規定するのが好ましい。
対象鋼材の板厚が15mmを超えた板厚では、従来のフラックス入りワイヤを用いて溶接変形を低減できる溶接入熱量で溶接した場合でも、十分に継手強度を確保することができる。しかし、対象鋼材の板厚が15mm以下の板厚では、従来のフラックス入りワイヤを用いて溶接変形を低減できる溶接入熱量で溶接した場合には、ルート部での溶け込みが小さいため、継手強度が低下する。
一方、対象鋼材の板厚が3mm未満では、溶接金属の脚長が短く設定されても、この脚長に対する溶接時の溶接ワイヤの狙い位置の変動の影響が大きくなるため、本発明ワイヤを用いても溶接入熱量を低減することができない。
次に、本発明における鋼材の各成分の好ましい限定理由について以下に説明する。
鋼材中に添加する基本成分の限定理由は以下の通りである。
Cは鋼材を強化するために不可欠の元素であって、0.02%未満では所要の高強度が得られにくく、また0.25%を越えると溶接部の靱性が損なわれるため0.02%以上0.25%以下に限定した。
Siは脱酸を促進しかつ強度を上げることで効果的な元素であるので0.01%以上添加するが、添加しすぎると溶接性を劣化させるため2.0%以下にとどめる。
Mnは低温靱性を向上させる元素として有効であるので0.3%以上添加するが、2.0%超添加すると溶接割れを促進させ、さらに室温での降伏応力が過大になるおそれがあるので、2.0%以下にとどめる。
Alは脱酸剤として有効であるので0.003%以上添加しても良いが、過量のAlは材質にとって有害な介在物を生成するため上限を0.1%とした。
Nbは溶接熱履歴中の析出により降伏応力を高め、溶接角変形の抑制に大きな効果をもたらす。添加量が少ないと析出強化量が不足するため0.005%以上添加するが、過度の添加は室温における降伏応力が高くなりすぎ溶接角変形の抑制には逆に不利となるため、0.025%以下にとどめる。
MoはNbと同様に溶接熱履歴中の析出により降伏応力を高め、溶接角変形の抑制に大きな効果をもたらす。特にNbとの複合添加による相乗効果が溶接角変形の抑制に有効である。溶接熱履歴の初期には比較的析出の早いNbが有効に作用し、後期には比較的析出の遅いMoが有効に作用する。Moの添加量が少ないと析出強化量が不足するため0.05%以上添加するが、過度の添加は室温における降伏応力が高くなりすぎ溶接角変形の抑制には逆に不利となるため、0.50%以下にとどめる。
上記基本成分に加えて、さらに、選択的に以下の成分を鋼材中に添加することができる。
Tiは微量の添加で結晶粒の微細化に有効であるので0.001%以上添加するが、多量に添加すると溶接部靱性を劣化させるので添加量の上限は0.10%とする。
Vは析出効果により強度の上昇に有効であり、溶接歪み抑制効果を高める働きをするため0.002%以上添加するが、過度の添加は靱性を損なうことになるため、上限を0.10%とした。
Cu、Ni、Cr、Co、Wはいずれも本発明鋼に添加した場合、固溶強化により鋼の強度を上昇させることができるので0.05%以上添加するが、過度の添加は溶接性を損ない、さらに室温での降伏応力が過大になるため、添加量の上限をCu、Niについては1.5%、Cr、Co、Wについては0.5%とする。
Bは焼入れ性を向上させる元素として知られており、本発明に添加した場合、鋼の強度を上昇させることができ0.0002%以上添加するが、過度の添加はBの析出物を増加させて靱性を損なうことになるため、上限を0.0025%とした。
RemとCaはSの無害化に有効であり、この効果をえるために、Remは0.002%以上、Caは0.0003%以上添加するが、過度の添加は靱性を損なうことになるため、上限をそれぞれ0.10%、0.0040%とした。なお、本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを用いる溶接での好ましい対象鋼材について述べたが、本発明ワイヤはこの対象鋼材に限定されるものではない。
表1に示す外皮断面積割合及び成分組成を有するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤと、表2に示す成分を有する板厚7mmの鋼材S1を用いて、表3に示すNo.1の溶接条件で隅肉溶接を行った。表4には、得られた溶接継手の脚長、実質のど厚、引張試験の破断荷重、溶接止端角度θ、継手疲労強度、および、溶接変形(角変形、そり)の測定結果を示す。
Figure 2005144539
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継手引張試験は、図5に示すような試験片形状になるように継手を組んで、表3に示す溶接条件で、表側および裏側のそれぞれ表裏対称位置に4箇所づつ合計8箇所にビード長さ:50mmの隅肉溶接ビード12を形成した試験片を作製し、図の矢印⇒の方向に引張荷重を付加し、継手の破断荷重を測定した。
また、同じ条件で作製した継手試験片から、隅肉溶接部の断面マクロ試験片を採取し、図1および2にそれぞれ示される脚長1および脚長2の平均脚長(見かけのど厚)および実質のど厚を測定した。
また、溶接継手における溶接止端角度θとは、図6に示されるビード表面と板表面で決まる角度と定義される。この止端角度θは、溶接継手の疲労強度と相関があり、止端角度が大きいほど溶接継手疲労強度は向上するものである。
また、溶接継手の疲労強度は、疲労試験において500万回繰り返し応力を加えても破断しない場合の応力範囲とした。
溶接変形は、図7に示すように、2種類の変形量で評価した。1つ目の変形量は、隅肉溶接継手の底板がはね上がる変形量、すなわち角変形δとし、測定値としては、図7に示すように変形後の底板と変形前の底板との間の角度で評価した。2つ目の変形量は、溶接ビードの裏面の直線性であり、図7に示すように直線からのずれ量を、そりLとし、その測定値は、変形後のビード裏面と変形前の裏面のすきまで評価した。
本実施例では、溶接変形が小さい低い溶接入熱量(3.0kJ/cm一定)の溶接条件で、得られた溶接継手の引張破断荷重、溶接止端角度θ、継手疲労強度により本発明の効果を評価した。
表4の試験番号1〜5の継手(発明例)および試験番号6〜9の継手(比較例)のいずれも、低い溶接入熱量での溶接のため溶接変形は、角変形で0.22〜0.31°、そりで2.5〜2.8mmと小さく、良好であった。
表4の試験番号1〜5の継手(発明例)では、本発明で規定した範囲のフラックス入りワイヤA〜Eを用いて溶接したため溶接金属の溶け込み深さが十分で、実質のど厚が2.8〜3mmと良好であり、その結果、引張破断荷重が16.7〜17.2tonと高く、継手疲労強度も225〜235MPaと高く、良好な結果であった。
これに対して、試験番号6の継手(比較例)は、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より高く外れたフラックス入りワイヤIを用いて溶接したため、溶接止端角度が105°と狭いビード形状となり、この部分が応力集中部となり継手疲労強度が190MPaと低い結果となった。
また、試験番号7〜9の継手(比較例)は、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より低く外れたフラックス入りワイヤJ〜Lを用いて溶接したため、溶接金属の溶け込み深さが不十分で、実質のど厚が2.2〜2.3mmと薄くなり、その結果、引張破断荷重が13.4〜13.7tonと低い結果であった。
また、試験番号10の継手(比較例)は、本発明で規定した成分組成からSi含有量が低く外れたフラックス入りワイヤMを用いて溶接したため、溶接金属中の脱酸が不十分となりブローホールが生じ、それが疲労亀裂の起点となった結果、継手疲労強度は185MPaと低くなった。
以上から、本発明のフラックス入りワイヤを用いて溶接変形が小さい低入熱で溶接場合にも継手の引張破断荷重(16.7ton以上)および疲労強度(220MPa以上)は向上することができることは明らかである。
表1に示す外皮断面積割合及び成分組成を有するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤと、板厚7mm、12.7mm、18mmの表2に示す成分を有する鋼材S1〜S3、F1およびF2を用いて、表3に示すNo.1〜5の溶接条件で隅肉溶接を行った。表5には、得られた溶接継手の引張試験の破断荷重、溶接止端角度θ、継手疲労強度、および、溶接変形(角変形、そり)の測定結果を示す。
Figure 2005144539
なお、継手引張試験、溶接止端角度θ、継手疲労強度、溶接変形(角変形、そり)の試験および評価方法は実施例1と同じ方法を用いた。
本実施例では、得られた溶接継手の引張破断荷重がほぼ同等(強度レベルI:16.7〜17.5ton、強度レベルII:22.1〜23.4ton)となるような条件で溶接継手を作製し、同じ継手強度レベル毎に各継手の溶接変形(角変形、そり)量の違いを比較、評価した。
表5において、試験番号1〜3、および、11〜12の継手(板厚:7mm)が強度レベルI:16.7〜17.5tonのグループに区分され、試験番号4〜10、および、13〜15の継手(板厚:7mm)、16〜23の継手(板厚:12.7mm)および24〜26の継手(板厚:18mm)が強度レベルII:22.1〜23.4tonに区分される。
板厚:7mmで、溶接継手の引張破断荷重がほぼ同等である強度レベルIの発明例と比較例を比較すると、試験番号1、2および11の発明例の継手は、本発明で規定した範囲内のフラックス入りワイヤAおよびEを用いて溶接したため、低い溶接入熱量(3.0kJ/cm)で十分な溶け込み深さが得られ、その結果、溶接変形は、角変形で0.23〜0.31°、そりで2.6〜2.8mmと何れも小さく、良好であった。これに対して、試験番号3および12の比較例の継手では、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より低く外れたフラックス入りワイヤJを用いて溶接したため、高い溶接入熱量(4.9kJ/cm)でなければ継手強度を確保するための必要な実質のど厚が得られず、その結果、溶接変形は、角変形で0.54〜0.62°、そりで3.7〜3.8mmと何れも発明例より大きく、不良であった。
板厚:7mmで、溶接継手の引張破断荷重がほぼ同等である強度レベルIIの発明例と比較例を比較すると、試験番号4、5、7〜9および13の発明例の継手は、本発明で規定した範囲内のフラックス入りワイヤA〜Dを用いて溶接したため、低い溶接入熱量(7.0〜7.6kJ/cm)で十分な溶け込み深さが得られ、その結果、溶接変形は、角変形で0.49〜0.82°、そりで6.0〜6.5mmと何れも小さく、良好であった。これに対して、試験番号6、10、14および15の比較例の継手では、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より低く外れたフラックス入りワイヤJ〜Lを用いて溶接したため、高い溶接入熱量(11.3kJ/cm)でなければ継手強度を確保するための必要な実質のど厚が得られず、その結果、溶接変形は、角変形で1.18〜1.21°、そりで9.5〜10.2mmと何れも発明例より大きく、不良であった。
板厚:12.7mmで、溶接継手の引張破断荷重がほぼ同等である強度レベルIIの発明例と比較例を比較すると、試験番号16〜18および20〜22の発明例の継手は、本発明で規定した範囲内のフラックス入りワイヤA〜CおよびEを用いて溶接したため、低い溶接入熱量(7.0〜7.6kJ/cm)で十分な溶け込み深さが得られ、その結果、溶接変形は、角変形で0.17〜0.34°、そりで3.2〜3.7mmと何れも小さく、良好であった。これに対して、試験番号19および23の比較例の継手では、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より低く外れたフラックス入りワイヤKを用いて溶接したため、高い溶接入熱量(11.3kJ/cm)でなければ継手強度を確保するための必要な実質のど厚が得られず、その結果、溶接変形は、角変形で0.3〜0.4°、そりで5.6mmと何れも発明例より大きく、不良であった。
板厚:18mmで、溶接継手の引張破断荷重がほぼ同等である強度レベルIIの発明例と比較例を比較すると、試験番号26の発明例の継手は、本発明で規定した範囲内のフラックス入りワイヤBを用いて溶接したため、低い溶接入熱量(7.0kJ/cm)で十分な溶け込み深さが得られ、その結果、溶接変形は、角変形で0.08°、そりで3.0mmと何れも小さく、良好であった。これに対して、試験番号24および25の比較例の継手では、本発明で規定した外皮面積割合の範囲より低く外れたフラックス入りワイヤJおよびKを用いて溶接したため、高い溶接入熱量(11.3kJ/cm)でなければ継手強度を確保するための必要溶け込み深さが得られず、その結果、溶接変形は、角変形で0.08〜0.15°、そりで5.0〜5.8mmと何れも発明例より大きく、不良であった。
以上から、本発明のフラックス入りワイヤを用いて溶接した継手は、従来に比べて、変形が生じないような低入熱でも良好な溶け込み深さが得られ、継手強度レベルを良好に維持できることは明らかである。
従来の隅肉溶接継手の設計における脚長と見かけのど厚を説明する概念図である。 溶接金属の溶け込みがある場合の実質のど厚、溶け込みがない場合の見かけのど厚および脚長を説明する概念図である。 従来のフラックス入りワイヤを用いて隅肉溶接した場合のアーク状態を説明する概念図である。 ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合と、継手引張試験における破断荷重および継手の溶接止端角度との関係を示すグラフである。 隅肉溶接継手の静的強度を測定するための継手引張試験を説明する概念図である 隅肉溶接部の溶接止端角θを説明する概念図である。 隅肉溶接部の角変形δとそりLを定義するための概念図である。
符号の説明
1 溶接金属
2 ルート部
3 溶接止端部
4 未溶融ルート面
5 溶接金属境界線(フュージョンライン)
6 未溶融ルート面と溶接金属境界線の交点
7 フラックス入りワイヤ
8 外皮
9 フラックス
10 鋼材
11 溶接アーク
12 隅肉溶接ビード
L1 脚長1
L2 脚長2
TTh 見かけ(理論)のど厚
ATh 実質のど厚
θ 溶接止端角度
δ 角変形
L そり

Claims (7)

  1. シーム溶接部を有する鋼管からなる外皮内にフラックスが充填されたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
    ワイヤ全断面積に対する外皮断面積の割合が90〜97%であり、かつ
    前記フラックスが、質量%で、
    TiO2:0.5〜5.5%、
    TiO2以外の酸化物系スラグ形成剤の1種または2種以上の合計量:0.3〜2.0%を含有するチタニア系フラックスであり、かつ
    前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、
    C:0.02〜0.15%、
    Si:0.1〜1.0%、
    Mn:0.3〜3.0%を含有することを特徴とする溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、さらに、
    Cu:0.1〜1.5%、
    Cr:0.1〜1.0%、
    Mo:0.1〜1.0%、
    V:0.05〜0.7%、および、
    Nb:0.01〜0.3%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 前記フラックス中に、質量%で、さらに、
    鉄粉:4.0〜12.0%、
    アーク安定剤の1種または2種以上の合計量:0.05〜1.1%、
    アーク安定剤以外の弗化物塩系および炭酸塩系のスラグ形成剤の1種または2種以上の合計量:0.3〜3.5%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 前記外皮及び/またはフラックス中に、ワイヤ全質量に対して、質量%で、さらに、
    Ni:2.0〜7.0%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載の溶接変形低減のためのガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  5. ガスシールドアーク溶接を用いて隅肉溶接する際の溶接変形低減方法において、請求項1〜4の何れか1項に記載のフラックス入りワイヤを用い、質量%で、
    C :0.02〜0.25%、
    Si:0.01〜2.0%、
    Mn:0.30〜2.0%、
    Al:0.003〜0.10%、
    Nb:0.005〜0.025%、
    Mo:0.05〜0.50%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ板厚が3〜15mmの鋼板を隅肉溶接することを特徴とする溶接変形低減方法。
  6. 前記鋼板中に、質量%で、さらに、
    Ti:0.001〜0.10%、
    V:0.002〜0.10%、
    Cu:0.05〜1.5%、
    Ni:0.05〜1.5%、
    Cr:0.05〜0.5%、
    Co:0.05〜0.5%、および、
    W:0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の溶接変形低減方法。
  7. 前記鋼板中に、重量%で、さらに、
    B:0.0002〜0.0025%、
    Rem:0.002〜0.10%、および、
    Ca:0.0003〜0.0040%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の溶接変形低減方法。
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