JP2005144353A - 水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全かつ低コストで、廃液に含まれ薬理学的活性を有する化学物質を不活性化できる水処理装置を提供する。
【解決手段】 貯蔵槽12に所定量の廃水が溜まると、制御部10は、ポンプ21を駆動して、貯蔵槽12内の廃水を被処理水として電解槽11に送り、電極17,18へ電力を供給する。これにより、電解槽11に導入された被処理水に対して電解処理がなされることになる。このとき、電解促進剤供給槽14および/またはpH調整剤供給槽15から電解槽11へと所定の薬剤が導入される。制御部10、電解槽11、電解促進剤供給槽14、および、pH調整剤供給槽15は、水処理装置の本体側に固定されている。一方、貯蔵槽12は、当該水処理装置の本体に対して着脱可能に構成されている。貯蔵槽12は、水処理装置の本体から取り外されて、様々な場所へと持ち運び可能に構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水処理装置に関し、特に、医療関連機関などから排出され、薬理学的活性を有する化学物質を含む廃液を処理する水処理装置に関する。
従来、薬品工場、医療機関等の廃水中に存在する薬理学的活性を有する化学物質は、多くが、焼却処理や希釈処理を施されて、下水道に廃棄されていた。焼却処理については、従来から、たとえば、特許文献1〜特許文献3および非特許文献1等、種々の文献に、その技術が開示されている。なお、焼却処理では、一般的に、1300℃以上の高温に燃焼させることにより、ほとんどの有毒物質が、灰化され、不活性化すると言われている。また、希釈処理では、当該化学物質を不活性化するために、たとえば次亜塩素酸ナトリウムが添加されていた。
特開2001−62437号公報 特開平7−313584号公報 特開平5−302706号公報 有害微生物管理技術、第II巻、第733〜735頁
しかしながら、焼却処理が採用される場合、焼却設備を導入するのに莫大な費用を要し、また、ランニングコストにも相当の費用を要するのに加え、高温であるため安全性についても、配慮が必要であった。
また、希釈処理においても、次亜塩素酸ナトリウムは危険物である上に、大量に添加されることを必要とされるため、添加に際して、安全性についての配慮が必要であった。特に、次亜塩素酸ナトリウムを安定に保管するためにはアルカリ性雰囲気が必要であるため、特に保管等に際して配慮が必要であり、その分、化学物質の処理のためのコストが上昇するという問題があった。
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、安全かつ低コストで、廃液に含まれ薬理学的活性を有する化学物質を不活性化できる水処理装置を提供することである。
本発明のある局面に従った水処理装置は、電極対と、前記電極対を収容する電解槽と、生物学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を貯留可能であり、前記電解槽に対して着脱可能に構成された貯蔵槽と、前記貯蔵槽に貯留された被処理水を前記電解槽に導入させる導入手段とを含むことを特徴とする。
本発明に従うと、薬理学的活性を有する化学物質を含む溶液(以下、「廃液」とも言う)を被処理水として貯蔵槽に貯留し、電解槽で電極対に通電させて当該被処理水を電解することにより、当該化学物質の薬理学的活性を不活性化できる。また、貯蔵槽が、電解槽に対して着脱可能に構成されているため、貯蔵槽を複数の場所に持って行くことにより、当該貯蔵槽に当該複数の場所で生じた廃液を貯留できる。したがって、設置する水処理装置の数を廃液の生じる場所の数よりも少ないものとすることができる。
本発明の他の局面に従った水処理装置は、電極対と、前記電極対を収容する電解槽と、生物学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を貯留可能に構成された貯蔵槽と、前記貯蔵槽に貯留された被処理水を前記電解槽に導入させる導入手段と、前記貯蔵槽に連結される複数の配管とを含むことを特徴とする。
本発明に従うと、廃液を被処理水として貯蔵槽に貯留し、電解槽で電極対に通電させて当該被処理水を電解することにより、当該化学物質の薬理学的活性を不活性化できる。また、複数の配管の一端をそれぞれを異なる廃液の発生場所に設置することにより、当該貯蔵槽に当該複数の場所で生じた廃液を貯留できる。したがって、設置する水処理装置の数を廃液の生じる場所の数よりも少ないものとすることができる。
また、本発明の水処理装置では、貯蔵槽は、前記電解槽以上の容量を有することが好ましい。
これにより、電解槽において、貯蔵槽に貯留された被処理水に対し、効率良く、電解処理を行なえる。
本発明のさらに他の局面に従った水処理装置は、電極対と、生物学的に活性を有する化学物質を含む被処理水および前記電極対を収容する電解槽と、前記電極対への電力の供給態様を制御する第1の制御手段と、前記電解槽への被処理水の導入、および、当該電解槽からの被処理水の排出を制御する第2の制御手段とを含み、前記第2の制御手段は、前記電解槽に被処理水を導入させた後、所定の条件が成立するまで前記第1の制御手段により前記電極対に電力が供給されたことを条件として、当該電解槽に導入させた被処理水を当該電解槽外へ排出させることを特徴とする。
本発明に従うと、水処理装置において、廃液は、被処理水として電解槽内に導入され、所定の条件が成立するまで電解槽内で電解処理を施された後、当該電解槽外へ排出される。つまり、水処理装置において、電解槽での被処理水に対する電解処理が、いわゆるバッチ処理で、実行される。
また、本発明の水処理装置は、前記電解槽内の被処理水のpHを検出するpH検出手段、および/または、前記電解槽内の被処理水内の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段をさらに含み、前記第1の制御手段は、前記pH検出手段と前記残留塩素濃度検出手段の少なくとも一方の検出出力に基づいて、前記電極対への電力の供給態様を制御することが好ましい。
また、本発明の水処理装置では、前記電極対は、第1の極性を与えられる第1の電極、および、前記第1の極性とは異なる第2の極性を与えられる第2の電極からなり、前記第1の制御手段は、定電流電源により前記電極対へ電力が供給させるように、当該電極対への電力の供給態様を制御し、そして、当該水処理装置は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電位差を検出する電位差検出手段と、前記第1の電極および前記第2の電極を移動することができ、前記電位差検出手段の検出する電位差が2ボルトを下回った場合に、当該電位差が2ボルト以上となるように前記第1の電極と前記第2の電極の間の距離を広げる、距離調整手段とをさらに含むことが好ましい。
これにより、電極間の電圧が低すぎて電解処理の効率が低下する事態を回避できる。
また、本発明の水処理装置では、前記電極対は、第1の極性を与えられる第1の電極、および、前記第1の極性とは異なる第2の極性を与えられる第2の電極からなり、前記第1の制御手段は、定電流電源により前記電極対へ電力が供給させるように、当該電極対への電力の供給態様を制御し、そして、当該水処理装置は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電位差を検出する電位差検出手段と、前記第1の電極および前記第2の電極を移動することができ、前記電位差検出手段の検出する電位差が10ボルトを上回った場合に、当該電位差が10ボルト以下となるように前記第1の電極と前記第2の電極の間の距離を短くする、距離調整手段とをさらに含むことが好ましい。
これにより、電極間の電圧が高すぎることにより、電解処理において、熱損失が大きすぎることによりランニングコストが上昇してしまう事態を回避できる。
また、本発明の水処理装置では、前記電位差検出手段は、前記電解槽内の被処理水の導電率を検出する導電率検出手段を備え、当該導電率検出手段の検出する導電率に基づいて前記電位差を算出し、当該算出された電位差を出力することが好ましい。
また、本発明の水処理装置では、前記電解槽は、微生物により水処理を行なう槽の前段に設置されることが好ましい。
これにより、微生物により水処理を行なう槽に、電解槽において微生物に悪影響を及ぼす化学物質を不活性化された後の被処理水を導入することができる。
本発明の別の局面に従った水処理装置は、電極対と、前記電極対、および、塩化ナトリウムを含む水溶液を収容する電解槽と、生物学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を収容する処理水槽と、前記処理水槽に、前記電解槽内の溶液を導入する導入手段とを含むことを特徴とする。
本発明に従うと、処理水槽には、電解槽内で、塩化物イオンを含む水溶液が電解されることにより生じる次亜塩素酸を添加される。
また、本発明の水処理装置では、前記処理水槽内の被処理水中の残留塩素を除去する手段をさらに含むことが好ましい。
また、本発明の水処理装置では、前記処理水槽内の被処理水に対して、前記残留塩素を除去する手段によって残留塩素を除去された後、6〜8のpH値となるようにpHを調整するpH調整手段をさらに含むことが好ましい。
また、本発明の水処理装置は、前記電解槽に接続され、前記電解槽内の気体を当該電解槽外へ導く排気管と、前記排気管内の気体の塩素ガス濃度を検出する塩素ガス濃度検出手段と、前記塩素ガス濃度検出手段が検出する塩素ガス濃度が所定の濃度を越えた場合に、前記電解槽に、当該塩素ガス濃度が前記所定の濃度以下となるまで当該電解槽内の被処理水中でアルカリ性を呈する薬剤を添加する、薬剤添加手段とをさらに含むことが好ましい。
これにより、電解槽内の被処理水のpHが上昇させることができ、したがって、当該被処理水中に存在する次亜塩素酸が塩素ガスとして放出されることを回避できる。
本発明によると、電解により廃液中の化学物質の薬理学的活性が不活性化されるため、従来の焼却処理や希釈処理等と比較して、安全に、廃液中の薬理学的活性の不活性化が可能となる。さらに、本発明によると、貯蔵槽を移動させることにより、または、貯蔵槽に接続される複数の配管をそれぞれ異なる廃液の発生場所に配置することにより、設置する水処理装置の数を廃液の生じる場所の数よりも少ないものとすることができるため、必要とされる水処理装置の削減が可能となり、これによって、水処理についてのコストを低減させることができる。
また、本発明によると、水処理装置において、電解槽での廃液に対する電解処理が、いわゆるバッチ処理で、実行されるため、安全にかつ確実に、廃液中の薬理学的活性を不活性化できる。さらに、本発明によると、バッチ処理で廃液に対する電解処理が実行されるため、廃液の一括処理が可能となるため電解処理自体の回数の削減が図れ、これにより、水処理についてのコストを低減させることができる。
また、本発明によると、廃液中の薬理学的活性を有する化学物質を不活性化させるための、当該廃液への次亜塩素酸の添加が、当該電解によって得られた次亜塩素酸を含む電解水を廃液に添加することによって行なわれるため、危険物である次亜塩素酸ナトリウムの保管等の必要がなくなり、これによって、廃液を安全に希釈処理でき、かつ、当該希釈処理の際のコストを低減させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書では、同様の構成を有する要素については、同じ符号を付し、必要な場合を除いて、説明を重複させない。
[第1の実施の形態]
図1に、本実施の形態の水処理装置を含む水処理システムの構成を模式的に示す。
図1を参照して、水処理システムにおいて、水処理装置は、主に、電解槽11、貯蔵槽12、電解促進剤供給槽14、pH調整剤供給槽15、および、制御部10からなる。
貯蔵槽12は、導入口12Aおよび取っ手12Bを備えている。貯蔵槽12は、各所で生じた廃液を収容した容器101から、導入口12Aを介して導入された、廃液を収容する。なお、本実施の形態の水処理装置は、その本体側に、制御部10、電解槽11、電解促進剤供給槽14、および、pH調整剤供給槽15が固定されている。一方、貯蔵槽12は、当該水処理装置の本体に対して着脱可能に構成されている。つまり、貯蔵槽12は、水処理装置の本体から取り外されて、様々な場所へと持ち運び可能に構成されている。本実施の形態の水処理装置では、本体から貯蔵槽12が取り外され、様々な場所で廃液を導入され、再度、水処理装置の本体に取付けられることにより、様々な場所で発生した廃液を貯蔵槽12に収容して、処理対象とすることができる。
貯蔵槽12の内部には、ポンプ21およびフィルタ13を介して電解槽11に接続される配管、ならびに、水位センサ19が、導入口12Aから導入されている。なお、水位センサ19および当該配管は、水処理装置の本体側に固定されている。導入口12Aの、水位センサ19および当該配管が挿入される部分は、貯蔵槽12が水処理装置本体から取り外されるのと同時に、貯蔵槽12が密閉される構造を有していることが好ましい。
貯蔵槽12に導入された被処理水は、ポンプ21が駆動されることにより、フィルタ13を介して、電解槽11に導入される。電解槽11の内部には、当該被処理水に浸るように電極対が設置されている。当該電極対は、電極17と電極18からなる。電極17,18は、たとえば、白金電極とされる。電極17,18は、電力が供給されることにより、いずれか一方がアノード電極とされ、他方がカソード電極とされる。なお、電解槽11内に設置される電極対は、複数のアノード電極および/またはカソード電極を含むように構成されても良いし、また、複数の電極対からなるように構成されていても良い。電解槽11は、水処理装置の本体に固定されているが、電極17,18は、電解槽11に対して着脱可能に構成され、適宜、交換が可能である。また、電解槽11の内部には、当該電解槽11内の被処理水の水位を検出するための水位センサ16が設置されている。
電解促進剤供給槽14は、電解槽11内の被処理水に、アルカリ金属ハロゲン化物を供給するためのものであり、アルカリ金属ハロゲン化物を固体または液体の形態で貯蔵している。アルカリ金属ハロゲン化物とは、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムを挙げることができる。電解促進剤供給槽14内のアルカリ金属ハロゲン化物は、ポンプ24が駆動されることにより、電解槽11に導入される。
pH調整剤供給槽15は、電解槽11内の被処理水に、水酸化ナトリウム等、当該被処理水のpHを調整するための薬剤を供給するためのものである。後述するように、電解槽11内での電解処理によって酸が生じるため、pH調整剤供給槽15は、主に、アルカリ性の薬剤を、電解槽11に供給する。pH調整剤供給槽15内の薬剤は、ポンプ25が駆動されることにより、電解槽11に導入される。
電解槽11内の被処理水は、ポンプ22により、電解槽11の外を通るように、循環される。これにより、電解槽11内の被処理水は、まんべんなく、電解処理を施される。なお、この循環経路には、ポンプ22よりも上流側にフィルタ22Aが備えられ、ポンプ22よりも下流側に残留塩素濃度計22BおよびpH計22Cが備えられている。電解槽11内の固形物は、フィルタ22Aによって、除去されることになる。フィルタ22Aは、電解槽11を含む水処理装置の本体に対して着脱可能であり、適宜、交換可能に構成されている。また、残留塩素濃度計22Bは、被処理水中の残留塩素濃度を検出し、pH計22Cは、被処理水のpHを検出する。残留塩素濃度計22BおよびpH計22Cの検出出力は、制御部10へ入力される。
電解槽11内の被処理水は、所定の条件が成立するまで当該電解槽11内で電解処理を施された後、バルブ23を開状態とされることにより、電解槽11外へ排出される。
電解槽11内の電極17,18は、外部の電源100に接続される。電源100から電極17,18への電力の供給態様は、制御部10により制御される。なお、電極17,18へは、一定電流の電力が供給されることが好ましい。また、ポンプ21,22,24,25の動作、および、バルブ23の開閉も、制御部10により制御される。また、水位センサ16,19の検出出力は、制御部10に入力される。
本実施の形態の水処理装置では、被処理水として導入される廃液は、医療施設、各種研究施設ならびに薬品および食品工場などの医療関係機関から排出され、細胞毒性、発癌性、変異原性、催奇形性および精子毒性などの毒性を示すおそれのある医薬物(化学物質)を含む廃液である。このような毒性を有する医薬物が人または人以外の生物およびこれらの生命体をとりまく環境に与える危険性および有害性を、本実施の形態の水処理装置によって、消滅または低下させることができる。
医薬物の薬理学的活性が、電解槽11における電解によって消滅または低下される化学的機構は詳細には明らかになっていないが、何らかの化学的変化が当該医薬物の化学構造の少なくとも一部に生じているはずである。ここで、「化学構造の少なくとも一部が変形する」とは、当該医薬物の化学的特徴を規定し、かつ、当該医薬物の性質を決めている原子または原子団であって、当該医薬物がヒトまたはそれ以外の生物中において作用する機構に寄与し得るかまたは作用する部位に活性を示し得るものの少なくとも一部が変形されることをいう。具体的には、当該医薬物の化学構造を構成する官能基の少なくとも一部が変形されると考えられる。ここで、「変形」とは、すべての化学的、物理的および電気化学的な変化を含む。たとえば、置換、環化、付加、縮合、重合、酸化および還元などの、当該医薬物に起こり得るすべての化学反応による変化を含む。
電解槽11では、電極17,18のアノード電極では、酸化反応が起こり、これによりアノード電流が流れる。また、カソード電極では、還元反応が進み、これによりカソード電流が流れる。上述したように、電解槽11内の被処理水中にアルカリ金属ハロゲン化物が供給されると、電解槽11内では、アルカリ金属ハロゲン化物が電離し、そして、アノード電極において、ハロゲン化物イオンが酸化されてハロゲンガスが発生する。そして、発生したハロゲンガスは、電解槽11内の水と反応をして次亜ハロゲン酸を生成する。
たとえば、アルカリ金属ハロゲン化物として塩化ナトリウムが供給された場合、式(1)に示すように塩化ナトリウムが電離し、式(2)に示すように塩化物イオンが酸化されて塩素が発生し、そして、式(3)に示すように次亜塩素酸と塩酸が生成される。
NaCl→Na+Cl …(1)
2Cl→Cl+2e …(2)
Cl+HO→HClO+H+Cl …(3)
本実施の形態において、廃液中の医薬物がアノード電極において直接的に酸化されることによって、または、アノード電極において酸化された医薬物以外の物質と廃液中の医薬物とが反応することによって、当該医薬物の化学構造の少なくとも一部が分解または変形し、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性が消滅または減少する。そして、上記したように電解槽11で生じた次亜ハロゲン酸が、ここで言う医薬物の化学構造の少なくとも一部に分解または変形させるものに含まれる。
電解槽11内の電解において、カソード電極における反応は、詳細には明らかでないが、上記した被処理水中の医薬物がカソード電極において直接的に化学変化する反応が含まれると考えられる。また、カソード電極において、被処理水中の医薬物が、カソード電極において直接的に還元されるのではなく、カソード電極において還元反応を受けた医薬物以外の物質と二次的に反応することも考えられる。
本実施の形態は、かかる還元反応を受けた当該医薬物以外の物質と、医薬物との間接的反応により、医薬物の化学構造または当該構造の少なくとも一部が分解または変形され、当該医薬物の薬理学的活性が消滅または減少する場合をも含む。
電解槽11に導入される被処理水に含まれる医薬物の例としては、有害性廃棄物、具体的には、消毒液(消毒剤を含む)、抗生物質、および、抗悪性腫瘍剤が挙げられる。
消毒液は、短時間の接触により病原体微生物を死滅させる細胞毒性などを有する。したがって、環境を保護し、そして生態系の秩序を維持する観点から、当該消毒液の毒性を除去して河川などに放流する必要がある。本実施の形態の水処理装置は、このような消毒液の毒性を、消滅または低下させることができる。当該消毒液の具体例としては、たとえば、グルタラールが挙げられる。
抗生物質は、一般に、微生物によって産生される化学物質で、他の微生物(感染症の原因となる微生物)または生物細胞に対して作用し、その増殖または機能を低濃度で阻害または死滅させる物質である。また、抗生物質には、化学的に合成された、上記作用を有する物質も含まれる。化学的に合成された抗生物質は、抗菌薬と呼ばれる場合もある。抗生物質には非常に多くの種類があり、その代表的なものに、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネル系、モノバクタム系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系および抗真菌系等がある。かかる抗生物質は、好ましい化学療法剤である一方で、元来当該抗生物質に感受性であった微生物を耐性化させたり、アレルギーや菌交代現象などの作用をもたらすことがある。したがって、このような耐性化をもたらしたり細胞毒性などを有する抗生物質が、何らの処理も施さず河川や海洋に放流された場合、当該河川や海洋に生息する生物(微生物を含む)が、抗生物質を摂取して、上記のような耐性化や副作用を示すことが考えられる。本実施の形態の水処理装置は、上記作用を示し得る抗生物質の薬理学的活性を、電気分解を用いて消滅または低下させることができる。
抗悪性腫瘍剤とは、一般に、固形癌、白血病、悪性リンパ腫および肉腫などの悪性腫瘍に対して作用し、これを治癒または軽減させるとともに、かかる悪性腫瘍の発生を防止する薬剤である。抗悪性腫瘍剤の具体例としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、植物アルカロイドおよび白金化合物が挙げられる。抗悪性腫瘍剤は、癌細胞の増殖および発生を阻害し得る良好な薬剤である一方で、発癌性、変異原性、催奇形性および精子毒性などの毒性をも有することが知られている。かかる毒性は、抗悪性腫瘍剤が、そもそも正常細胞と腫瘍細胞との感受性の差異や薬剤の取り込みの違いによる差異を利用していることに起因しており、抗悪性腫瘍剤が腫瘍細胞のみならず、正常細胞にも作用し得ることを考慮する必要がある。したがって、上記の毒性を有する抗悪性腫瘍剤は、自然界に放流される前に、当該毒性を不活性化される程度まで処理される必要がある。本実施の形態の水処理装置は、上記毒性を有する抗悪性腫瘍剤を、電気分解を用いて当該抗悪性腫瘍剤を形成する化学構造の少なくとも一部を分解または変形させることにより、その毒性を消滅または低減させることができる。
本実施の形態の水処理装置では、制御部10が、貯蔵槽12に所定量の廃水が溜まったことを、水位センサ19の検出出力によって認識すると、ポンプ21を駆動して、貯蔵槽12内の廃水を、被処理水として電解槽11に送り、電極17,18へ電力を供給する。これにより、電解槽11に導入された被処理水に対して電解処理がなされることになる。この場合、貯蔵槽12から電解槽11への被処理水の導入は、水位センサ16によって一定量の被処理水が電解槽11内に溜まったことが検出されたことに基づいて、停止される。貯蔵槽12の容量は、電解槽11の容量以上であることことが好ましい。これにより、貯蔵槽12で電解槽11の容量分以上の廃液を溜めることができる。したがって、貯蔵槽12から電解槽11への一度の被処理水を送る動作によって、電解槽11にその容量分だけ被処理水を導入させることができるため、電解槽11において被処理水に対する電解処理が行なわれる際に、何度も、送水動作を行なう必要がなくなる。このことから、水処理装置における制御動作を簡略化できる。
電解処理が開始される前や、電解処理がなされている間、適宜、電解促進剤供給槽14および/またはpH調整剤供給槽15から電解槽11へと薬剤が導入される。pH調整剤供給槽15から薬剤が供給される量およびタイミングは、pH計22Cによって検出されるpH値に基づいて、決定されることが好ましい。なお、pH調整剤供給槽15は、電解槽11内の被処理水のpHが6〜8となるように、薬剤を供給することが好ましい。
さらに、電解処理がなされている間、ポンプ22が駆動されることにより、電解槽11内の被処理水は、電解槽11外を通って循環される。このような循環により、電解槽11内の被処理水が、内部に撹拌棒等を挿入されることなく撹拌されるため、電解槽11の小型化が可能となる。なお、pH計22Cは、ポンプ22を含む循環経路に備えられているが、電解槽11内に備えられていても良い。
また、制御部10は、電解処理がなされている間、電極17,18への電力の供給態様を、pH計22Cによって検出されるpH値に応じて、調整しても良い。つまり、式(1)〜(3)に示したように、電解が進行すると、電解槽11内の被処理水を酸性に傾くため、制御部10は、被処理水のpH値が予め定められた特定の値よりも低くなった場合には、電極17,18への電力の供給を抑える等の制御を実行することが好ましい。
さらに、制御部10は、電解処理がなされている間、電極17,18への電力の供給態様を、残留塩素濃度計22Bの検出する残留塩素濃度に応じて、調整しても良い。つまり、式(1)〜(3)に示したように、電解が進行すると、電解槽11内に次亜塩素酸と塩酸が生成されるため、制御部10は、被処理水の残留塩素濃度が予め定められた一定の値よりも高くなるように、電極17,18への電力の供給量を増やす等の制御を実行することが好ましい。
なお、上記したように、本実施の形態の水処理装置では、制御部10は、pH計22Cおよび残留塩素濃度計22Bのの検出出力に基づいて、電極17,18への電力の供給態様を制御していたが、本発明はこれに限定されず、水処理装置には、残留塩素濃度計22BとpH計22Cの少なくとも一方が設置され、制御部10は、これらの少なくとも一方の検出出力に基づいて電極17,18への電力の供給態様を制御するように構成されても良い。
そして、電解槽11において、予め定められた時間だけ電解処理がなされると、ポンプ22の駆動および電極17,18への電力の供給が停止されることにより、電解処理が終了される。そして、バルブ23が開状態とされて、電解槽11内の被処理水が、電解槽11外へ排出される。
なお、ポンプ22の駆動および電極17,18への電力の供給は、上記したように電解処理がなされた時間を条件として停止されても良いし、電解槽11内の被処理水のpH値、または、残留塩素濃度が、予め定められた条件(予め定められた範囲の値となった、または、予め定められた範囲の値を一定時間以上維持した等)を満たしたことに基づいて、停止されても良い。
本実施の形態の水処理装置は、医薬物を含む廃液に対して、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性を、消滅または低減させることができる。したがって、本実施の形態は、このような廃液について、活性汚泥によって水処理を行なう装置等、微生物により水処理を行なう装置の前段に設置されることが好ましい。
なお、貯留槽12に所定量の廃水が溜まった場合以外でも、制御部10に備えられた操作部に対して所定の操作がなされたことによって、貯留槽12から電解槽11に廃水が送られ、電解処理が開始されても良い。
さらに、上記の電解処理は、上述した医薬物(消毒剤、抗生物質、および、抗悪性腫瘍剤等)が、予め定められた程度だけ分解または変形されたことを確認されたことを条件として終了されても良いし、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性が、消滅または予め定められた程度だけ低減されたことを条件として終了されても良い。
上述した医薬物が分解または変形されたことを確認するための手法としては、ガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、イオンクロマトグラフィ、吸収スペクトル法、および、フローインジェクション法を用いる分析が挙げられる。
また、上述した医薬物が有する薬理学的活性および/または毒性が消滅または低減されたことを確認するための手法としては、抗菌活性試験、変異原性試験および細胞毒性試験などの試験を使用することができる。
抗菌活性試験としては、日本化学療法学会の標準法である、微量液体希釈法によるMIC(minimum inhibitory concentration)試験が挙げられる。
変異原性試験としては、ウムテスト(DNA損傷性試験)が挙げられる。具体的には、ウムテストに基づいて変異誘発濃度が算出されることにより、医薬物の薬理学的活性または毒性の、消滅または低減の度合いが認識される。
細胞毒性試験としては、ヒトリンパ球樹立細胞であるMolt−4細胞を用いた細胞毒性(CC50)試験が挙げられる。当該試験では、50%細胞毒性濃度(CC50)が得られる。
[第2の実施の形態]
図2に、本実施の形態の水処理装置を含む水処理システムの構成を模式的に示す。
本実施の形態の水処理装置は、第1の実施の形態の水処理装置と同様に、医薬物を含む廃液に対して、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性を、消滅または低減させることができる。
そして、本実施の形態の水処理装置は、上記した第1の実施の形態の水処理装置と同様に、主に、電解槽11、貯蔵槽12、電解促進剤供給槽14、pH調整剤供給槽15、および、制御部10からなる。
本実施の形態の水処理装置の、第1の実施の形態の水処理装置に対する主な変更点は、貯蔵槽12を水処理装置の本体に固定させた点と、貯蔵槽12に種々の場所に設置された複数の容器12Cに導入された廃水を導入する点である。
具体的には、本実施の形態の水処理装置では、貯蔵槽12は、当該水処理装置の本体に固定されている。そして、貯蔵槽12には、種々の場所に設置される複数の容器12Cが、それぞれ、配管26を介して接続されている。容器12Cと貯蔵槽12をつなぐ配管26上には、それぞれ、当該配管26を開閉するバルブ26Aが備えられている。
本実施の形態の水処理装置は、上記のように構成されることにより、様々な場所で発生した廃液を貯蔵槽12に収容して、処理対象とすることができる。
[第3の実施の形態]
図3に、本実施の形態の水処理装置を含む水処理システムの構成を模式的に示す。
本実施の形態の水処理装置は、第1の実施の形態の水処理装置と同様に、医薬物を含む廃液に対して、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性を、消滅または低減させることができる。
そして、本実施の形態の水処理装置は、上記した第1の実施の形態の水処理装置と同様に、主に、電解槽11、貯蔵槽12、電解促進剤供給槽14、pH調整剤供給槽15、および、制御部10からなる。
本実施の形態の水処理装置の、第1の実施の形態の水処理装置に対する主な変更点は、電解槽11に水を導入可能に構成されている点、電解槽11内の導電率に基づいて電極17と電極18の間の電位差を調整する点、および、電解槽11内の気体を電解槽11外へ強制的に排出する機構を備えた点である。
本実施の形態の水処理装置では、貯蔵槽12内の廃液は、ポンプ21が駆動されることにより、貯蔵槽12内に一端を収容された配管を介して電解槽11へと導入されるが、本実施の形態の水処理装置では、当該配管にバルブ31が取付けられている。バルブ31には、水道の配管と貯蔵槽12内に収容されている配管とが接続されている。バルブ31の開閉状態が制御部10により変更されることにより、ポンプ21が駆動された際に、貯蔵槽12内の廃液と水道水とのいずれか一方が、電解槽11へと導入される。なお、本実施の形態において、電解槽11に導入される水は、当該電解槽11内の水溶液を希釈できる水であれば良く、水道水に限定されない。
本実施の形態の水処理装置は、電極17と電極18の、対向する面の距離を変更する図示せぬ機構を備えている。当該機構は、制御部10によって、動作を制御される。また、導電率計20の検出した、電解槽11内の被処理水の導電率は、制御部10に入力される。そして、制御部10は、入力された導電率および電極17−電極18間に流れる電流値に基づいて、電極17と電極18の電位差を算出し、当該電位差が所定の範囲内になるように、電極17と電極18の、対向する面の距離を変更する。具体的には、当該電位差が所定の範囲よりも大きい場合には、当該距離を短くするように変更し、当該電位差が所定の範囲よりも小さい場合には、当該距離を長くするように変更する。
このように、本実施の形態の水処理装置において、電極17と電極18の電位差が所定の範囲内に維持されるのは、電位差が小さすぎると、当該電位差が上記したようなアノード電極におけるハロゲン化物イオンの酸化についての酸化還元電位に満たなくなり、廃液の処理ができなくなるためである。一方、電位差が大きすぎると、電解における熱損失が大きくなるため、水処理装置のランニングコストを無駄に高くするためである。なお、電解槽11がポリ塩化ビニル系材料から構成されている場合には、電位差が大きすぎると、熱損失により、電解槽11内の被処理水の温度が当該材料の許容温度以上となるという問題も考えられる。そして、本実施の形態の水処理装置では、このような問題が解決される。なお、当該所定の範囲内とは、たとえば、2ボルト〜10ボルトとすることができる。
熱損失の一例として、電極17と電極18の電位差が10ボルトとされた際の熱損失について考察する。なお、この電位差は、電解処理において電極17,18に100ワットの電力が入力されたことにより、2リットルの被処理水の温度が20℃上昇した場合のものとする。
このときの被処理水の温度上昇についての熱量は、式(4)から、47ワットと算出される。
2(リットル)×20(℃)=40(キロカロリ/時)=47ワット …(4)
したがって、熱損失は、式(5)から、44%と算出される。
47(ワット)/100(ワット)=0.47=47% …(5)
このように、電位差が10ボルトとされると、熱損失は、大きな値となってしまう。そして、電極17と電極18の電位差は、熱損失が20%以下となるようにされるのがことが好ましい。つまり、上記した、電位差についての所定の範囲とは、熱損失をこのような程度に抑えることのできるような範囲とされることが好ましい。
なお、本実施の形態の水処理装置では、電極17と電極18の対向する面の距離を変更することにより、これらの電位差を所定の範囲内に維持していたが、これに限らず、たとえば、電解槽11に水道水を添加すること、または、電解促進剤供給槽15から電解槽11へ供給される薬剤(電解反応を促進する薬剤、電解促進剤と呼ぶ)の供給量を調整すること等によって、当該電位差を所定の範囲内に維持しても良い。具体的には、当該電位差が所定の範囲よりも小さくなった場合には、電解槽11内に水道水を導入させることにより、当該電解槽11内の被処理水の導電率を低下させて、当該電位差を上げるようにされても良い。また、当該電位差が所定の範囲よりも大きくなった場合には、電解槽11内に電解促進剤を供給することにより、当該電解槽11内の被処理水の導電率を上昇させて、当該電位差を下げるようにされても良い。
本実施の形態の電解槽11には、その上部に、配管34が接続されている。配管34上には、ポンプ32、および、塩素ガスセンサ33が備えられている。ポンプ32は、制御部10により動作を制御される。また、塩素ガスセンサ33の検出した塩素ガス濃度は、制御部10に入力される。
電解槽11内で電解処理が行なわれることにより、電解槽11内では、水素ガス等のガスが発生する。そして、当該ガスは、ポンプ32が駆動されることにより、強制定に、配管34へと導かれる。配管34内の気体は、配管34の終端に設置されたフィルタ30を介して、水処理装置外へ放出される。フィルタ30内には、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ等でできた吸着剤が充填されている。これにより、水処理装置外へ、電解処理によって発生した、水素ガスおよび塩素ガス等の有害なガスが排出されることを抑制できる。
なお、制御部10は、塩素ガスセンサ33の検出する塩素ガス濃度が所定の値を越えた場合には、当該塩素ガス濃度が当該所定の値以下となるまで、ポンプ25を駆動させて、pH調整剤供給槽15から電解槽11へアルカリ性の薬剤を供給する。そして、このような処理が行なわれるのは、電解槽11内の被処理水が酸性(pHが、約4程度またはそれ以下)となって、当該被処理水中の次亜塩素酸が塩素ガスとなって放出されていると考えられるためである。
[第4の実施の形態]
図4に、本実施の形態の水処理装置を含む水処理システムの構成を模式的に示す。
本実施の形態の水処理装置は、第1の実施の形態の水処理装置と同様に、医薬物を含む廃液に対して、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性を、消滅または低減させることができる。
そして、本実施の形態の水処理装置は、上記した第1の実施の形態の水処理装置と同様に、主に、電解槽11、貯蔵槽12、電解促進剤供給槽14、pH調整剤供給槽15、および、制御部10からなる。
本実施の形態の水処理装置の、第1の実施の形態の水処理装置に対する主な変更点は、第2の実施の形態と第3の実施の形態の水処理装置の、第1の実施の形態の水処理装置に対する変更点を合わせたものである。つまり、本実施の形態の水処理装置の、第1の実施の形態の水処理装置に対する主な変更点は、貯蔵槽12を水処理装置の本体に固定させた点、貯蔵槽12に種々の場所に設置された複数の容器12Cに導入された廃水を導入する点、電解槽11に水を導入可能に構成されている点、電解槽11内の導電率に基づいて電極17と電極18の間の電位差を調整する点、および、電解槽11内の気体を電解槽11外へ強制的に排出する機構を備えた点である。
これにより、本実施の形態の水処理装置では、貯蔵槽12は、当該水処理装置の本体に固定されている。また、貯蔵槽12には、先端が容器12Cに接続された配管26が、複数、接続されている。
また、貯蔵槽12内の廃液を電解槽11へと送るポンプ21が、水道と所定の配管で結ばれ、当該所定の配管上には、電解槽11に送られるのが、貯蔵槽12内の廃液か水道水かを切替えるためのバルブ31が接続されている。なお、本実施の形態において、電解槽11に導入される水は、当該電解槽11内の水溶液を希釈できる水であれば良く、水道水に限定されない。
また、電解槽11内には導電率計20が設置され、また、当該電解槽11内の気体は、配管34内へ、ポンプ32が駆動することにより強制的に、導入される。配管34上には塩素ガスセンサ33が設置され、また、配管34の終端にはフィルタ30が設置されている。
[第5の実施の形態]
図5に、本実施の形態の水処理装置を含む水処理システムの構成を模式的に示す。
本実施の形態の水処理装置は、第1の実施の形態の水処理装置と同様に、医薬物を含む廃液に対して、当該医薬物の薬理学的活性および/または毒性を、消滅または低減させることができる。
そして、本実施の形態の水処理装置は、主に、制御部50、電解水添加槽51、脱塩化処理槽54、および、pH調整槽57からなる。電解水添加槽51、脱塩化処理槽54、および、pH調整槽57は、それぞれ、被処理水を導入され、当該被処理水に対して処理を行なうための槽である。なお、各槽には、それぞれ、導入された被処理水を撹拌するための部材が設置されている。制御部50は、電解水添加槽51、脱塩化処理槽54、および、pH調整槽57から被処理水を種々の槽へ送るための、図示せぬポンプおよびバルブの動作等、本実施の形態の水処理装置の動作を全体的に制御する。
本実施の形態の水処理装置では、電解水添加槽51には、上記のような廃液が被処理水として導入されるとともに、電解槽52において生成された電解水が導入される。電解槽52は、たとえば、無隔壁一室型の電解槽からなる。
電解槽52では、図示せぬ電極対が収容されているとともに、電解促進剤供給槽53から塩化ナトリウム水溶液を供給される。ここでは、飽和塩化ナトリウム水溶液が供給されることが好ましい。当該電極対は、アノード電極とカソード電極を含み、たとえば、白金から構成される。また、当該電極対を構成するアノード電極およびカソード電極は、単数であっても複数であっても良く、また、電解槽52に収容されている電極対は単数であっても複数であっても良い。そして、当該電極対に、外部の電源100から電力が供給されることにより、電解槽52内では、塩化ナトリウム水溶液の電解が行なわれる。なお、電解槽52における電解は、一定時間、バッチ式で行なわれる。電極対には、一定の電流値の電力が供給されることが好ましい。電極対への電力の供給態様および電解促進剤供給槽53から電解槽52への塩化ナトリウム水溶液を供給態様は、制御部50によって制御される。
塩化ナトリウム水溶液の電解が行なわれると、上記した式(1)〜式(3)に従って、次亜塩素酸が生成される。つまり、電解水添加槽51では、廃液に、電解槽52において生成された次亜塩素酸が添加される。これにより、当該廃液中の医薬物の薬理学的活性および/または毒性が、消滅または低減される。
電解水添加槽51において、廃液に電解水が加えられ、一定時間(たとえば2時間)撹拌された後、当該電解水添加槽51内の被処理水(廃液と電解水が混合された溶液)は、脱塩化処理槽54へと送られる。
脱塩化処理槽54へ送られた被処理水は、その一部が、図示しないポンプによって残留濃度塩素計55に送られることにより、その残留塩素濃度を検出される。なお、残留濃度塩素計55に送られた被処理水は、図示しないポンプによって脱塩化処理槽55に戻される。また、脱塩化処理槽54内には、被処理水の量を検出するための水位センサが備えられている。検出された残留塩素濃度および被処理水の量は、制御部50に入力される。そして、制御部50は、入力された残留塩素濃度および被処理水の量に基づいて、薬剤供給槽56に、脱塩化処理槽54へ、当該脱塩化処理槽54内の被処理水における残留塩素を除去できる量のチオ硫酸ナトリウムを供給させる。脱塩化処理槽54においてチオ硫酸ナトリウムを供給された被処理水は、pH調整槽57へと送られる。なお、脱塩化処理槽54において被処理水に供給される薬剤は、チオ硫酸ナトリウムに限定されず、還元剤として作用する薬剤であれば、亜硫酸ナトリウム等、他の薬剤であっても良い。
pH調整槽57へ送られた被処理水は、pH計58により、そのpHを検出される。なお、pH調整槽57内には、被処理水の量を検出するための水位センサが備えられている。検出されたpH値および被処理水の量は、制御部50に入力される。そして、制御部50は、入力されたpH値および被処理水の量に基づいて、薬剤供給槽59に、pH調整槽57へ、当該pH調整槽57内の被処理水のpH値が6〜8となるようにpH調整用の薬剤を供給させる。そして、pH調整槽57においてpHを調整された被処理水は、水処理装置の外部へと放出される。つまり、本実施の形態の水処理装置では、被処理水をpHを調整することにより、ほぼ中性の溶液として、外部へ放出することになる。なお、ここで用いられるpH調整用の薬剤とは、一般的に水溶液のpHを調整できる薬剤を用いることができ、たとえば、塩酸と水酸化ナトリウムが挙げられる。
以上説明した本発明についての第1〜第5の実施の形態である各水処理装置では、薬理学的活性および/または毒性を有する医薬物を含む廃液に対して、電解によって生成された次亜塩素酸が供給される。これにより、次亜塩素酸を加えるのに際し、危険物である次亜塩素酸ナトリウムの保管および取扱いの必要がなくなる。また、各水処理装置では、次亜塩素酸が多量に必要な事態が生じても、電解時間を長くする等によって、つまり、容易に、当該事態に対応することができる。
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、上記した各実施の形態は、単独でも、可能な限り組合されても、実施可能である。
本発明の水処理装置の第1の実施の形態を含む、水処理システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の水処理装置の第2の実施の形態を含む、水処理システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の水処理装置の第3の実施の形態を含む、水処理システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の水処理装置の第4の実施の形態を含む、水処理システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の水処理装置の第5の実施の形態を含む、水処理システムの構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10,50 制御部、11,52 電解槽、12 貯蔵槽、12A 導入口、12B 取っ手、13 フィルタ、14,53 電解促進剤供給槽、15 pH調整剤供給槽、16,19 水位センサ、17,18 電極、20 導電率計、21,22,24,25,32 ポンプ、22B,55 残留濃度塩素計、22C,58 pH計、23,26A バルブ、26,34 配管、30 フィルタ、33 塩素ガスセンサ、51 電解水添加槽、54 脱塩化処理槽、56,59 薬剤供給槽、57 pH調整槽、100 電源。

Claims (13)

  1. 電極対と、
    前記電極対を収容する電解槽と、
    薬理学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を貯留可能であり、前記電解槽に対して着脱可能に構成された貯蔵槽と、
    前記貯蔵槽に貯留された被処理水を前記電解槽に導入させる導入手段とを含む、水処理装置。
  2. 電極対と、
    前記電極対を収容する電解槽と、
    薬理学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を貯留可能に構成された貯蔵槽と、
    前記貯蔵槽に貯留された被処理水を前記電解槽に導入させる導入手段と、
    被処理水を通すことができ、それぞれが前記貯蔵槽に連結される複数の配管とを含む、水処理装置。
  3. 前記貯蔵槽は、前記電解槽以上の容量を有する、請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
  4. 電極対と、
    薬理学的に活性を有する化学物質を含む被処理水および前記電極対を収容する電解槽と、
    前記電極対への電力の供給態様を制御する第1の制御手段と、
    前記電解槽への被処理水の導入、および、当該電解槽からの被処理水の排出を制御する第2の制御手段とを含み、
    前記第2の制御手段は、前記電解槽に被処理水を導入させた後、所定の条件が成立するまで前記第1の制御手段により前記電極対に電力が供給されたことを条件として、当該電解槽に導入させた被処理水を当該電解槽外へ排出させる、水処理装置。
  5. 前記電解槽内の被処理水のpHを検出するpH検出手段、および/または、前記電解槽内の被処理水内の残留塩素濃度を検出する残留塩素濃度検出手段をさらに含み、
    前記第1の制御手段は、前記pH検出手段と前記残留塩素濃度検出手段の少なくとも一方の検出出力に基づいて、前記電極対への電力の供給態様を制御する、請求項4に記載の水処理装置。
  6. 前記電極対は、第1の極性を与えられる第1の電極、および、前記第1の極性とは異なる第2の極性を与えられる第2の電極からなり、
    前記第1の制御手段は、定電流電源により前記電極対へ電力が供給させるように、当該電極対への電力の供給態様を制御し、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間の電位差を検出する電位差検出手段と、
    前記第1の電極および前記第2の電極を移動することができ、前記電位差検出手段の出力する電位差が2ボルトを下回った場合に、当該電位差が2ボルト以上となるように前記第1の電極と前記第2の電極の間の距離を広げる、距離調整手段とをさらに含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水処理装置。
  7. 前記電極対は、第1の極性を与えられる第1の電極、および、前記第1の極性とは異なる第2の極性を与えられる第2の電極からなり、
    前記第1の制御手段は、定電流電源により前記電極対へ電力が供給させるように、当該電極対への電力の供給態様を制御し、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間の電位差を検出する電位差検出手段と、
    前記第1の電極および前記第2の電極を移動することができ、前記電位差検出手段の出力する電位差が10ボルトを上回った場合に、当該電位差が10ボルト以下となるように前記第1の電極と前記第2の電極の間の距離を短くする、距離調整手段とをさらに含む、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の水処理装置。
  8. 前記電位差検出手段は、前記電解槽内の被処理水の導電率を検出する導電率検出手段を備え、当該導電率検出手段の検出する導電率に基づいて前記電位差を算出し、当該算出された電位差を出力する、請求項6または請求項7に記載の水処理装置。
  9. 前記電解槽は、微生物により水処理を行なう槽の前段に設置される、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の水処理装置。
  10. 電極対と、
    前記電極対、および、塩化物イオンを含む水溶液を収容する電解槽と、
    薬理学的に活性を有する化学物質を含む被処理水を収容する処理水槽と、
    前記処理水槽に、前記電解槽内の溶液を導入する導入手段とを含む、水処理装置。
  11. 前記処理水槽内の被処理水中の残留塩素を除去する手段をさらに含む、請求項10に記載の水処理装置。
  12. 前記処理水槽内の被処理水に対して、前記残留塩素を除去する手段によって残留塩素を除去された後、6〜8のpH値となるようにpHを調整するpH調整手段をさらに含む、請求項11に記載の水処理装置。
  13. 前記電解槽に接続され、前記電解槽内の気体を当該電解槽外へ導く排気管と、
    前記排気管内の気体の塩素ガス濃度を検出する塩素ガス濃度検出手段と、
    前記塩素ガス濃度検出手段が検出する塩素ガス濃度が所定の濃度を越えた場合に、前記電解槽に、当該塩素ガス濃度が前記所定の濃度以下となるまで当該電解槽内の被処理水中でアルカリ性を呈する薬剤を添加する、薬剤添加手段とをさらに含む、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の水処理装置。
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