JP2005140124A - 回転圧縮機 - Google Patents

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高史 須永
Kenzo Matsumoto
兼三 松本
Manabu Takenaka
学 竹中
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政三 岡島
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Abstract

【課題】 分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いても、ローラとベーンの異常な摩耗が防止されるような信頼性が高い回転圧縮機を提供する。
【解決手段】 ベーンのローラとの摺接部における曲率半径(Rv)(cm)が次式(1)で表されるようなベーンを用いる。
T<Rv<Rr 式(1)
[但し、式(1)中、Tはベーンの厚さ(cm)、Rrはベーンと摺接するローラの外周曲率半径(cm)を表す。]
【選択図】 図1

Description

本発明は、分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いた回転圧縮機に関するものであり、さらに詳しくはローラとベーンの異常な摩耗を防止し、信頼性の高い回転圧縮機を提供するに好適な、ローラとベーンの構成に関するものである。
冷蔵庫、自動販売機及びショーケース用の圧縮機や家庭用・業務用エアコン使用される圧縮機は従来冷媒としてジクロロジフルオロメタン(R12)やモノクロロジフルオロメタン(R22)を多く使用していた。このR12やR22は、オゾン破壊の潜在性により、大気中に放出されて地球上空のオゾン層に到達すると、このオゾン層を破壊する問題からフロン規制の対象となっている。このオゾン層の破壊は冷媒中の塩素基(Cl)により引き起こされる。そこで、この塩素基を含有しない冷媒、例えばR32、R125やR134aなどのHFC系冷媒、あるいはプロパン、ブタンなどの炭化水素類系冷媒、炭酸ガス、アンモニアなどの自然冷媒が代替冷媒として考えられている。
図1は本発明を適用する2シリンダ方式の回転圧縮機の断面構造を示すものであり、図2はシリンダ、ローラ、ベーンなどの関係を示す断面説明図であり、図3はベーンの説明図であり、全体を符号1で示す回転圧縮機は、円筒状の密閉容器10と、密閉容器10内に収容された電動機20及び圧縮装置30を備える。電動機20は、密閉容器10の内壁部に固定されたステータ22とロータ24を有し、ロータ24の中心にとりつけられた回転軸25は、シリンダ31、32の開口部を閉鎖する2枚のプレート33、34に回転自在に軸支される。回転軸25の一部には偏心して設けられるクランク部26が形成される。2枚のプレート33、34の内部に、シリンダ31、32が配設される。このシリンダ31、32(以下、シリンダ32について述べる)は、回転軸25の軸線と同一の軸線を有する。このシリンダ32の周壁部には、冷媒の吸入口23と吐出口35が設けてある。
シリンダ32内にはリング状のローラ38が装備され、このローラ38は、その内周面38bがクランク部26の外周面26aに接触し、ローラ38の外周面38aはシリンダ32の内周面32bに接触する。シリンダ32には、ベーン40が摺動自在に設けられ、ベーン40の先端はローラ38の外周面38aに接触する。ベーン40をローラ38に向けて付勢し、また、ベーン40の背面に圧縮された冷媒を導入することによりベーン先端とローラ38とのシールを確実にする。このベーン40と、ローラ38と、シリンダ32と、シリンダ32を閉塞するプレート34などに囲まれて圧縮室50が形成される。
そこで、回転軸25が図2で反時計廻り方向に回転すると、ローラ38もシリンダ32内で偏心回転し、吸入口23から吸込まれた冷媒ガスは圧縮され、吐出口35から吐出される。この吸込み−圧縮−吐出行程において、ローラ38とベーン40の接触部に、押付力Fvが発生する。
従来は、このベーン40の先端のローラ38の外周面38aとの接触面40aを曲率半径Rvを有する円弧状に形成していた。この曲率半径Rvは、ベーン40の幅寸法Tとほぼ等しい価を有し、ローラ38の半径寸法に対して1/10〜1/3程度のものであった。そして、ローラ38の材料として、鋳鉄あるいは合金鋳鉄に焼き入れを施したもの、ベーン40の材料にはステンレス鋼あるいは工具鋼またはそれらに窒化処理等の表面処理を施したものが主に用いられ、特にベーン材に高い硬度と靭性を持たせるのが一般的であった。(特許文献1及び特許文献2参照)
特開平10−141269号公報 特開平11−217665号公報
ローラ38とベーン40の接触状態は、図4に示すように、異なる曲率を有する円筒同志の接触問題に置き換えることができる。このような状態では、ベーン40の押付力Fvにより、ローラ38とベーン40の2つの弾性体が押し付けられると、一般にそれらは点や線接触ではなく面接触をし、その時の弾性接触面長さdは前記式(7)で計算され、そして接触部に、次式(9)で表わされるヘルツ応力Pmax(kgf/cm2 )が発生する(ヘルツの弾性接触理論)。
Pmax=4/π・Fv/L/d 式(9)
(式(9)中のFv、L、dは式(6)、式(7)のものと同じである)
このように面接触をし、ヘルツ応力が増大すると、分子中に塩素を含まない冷媒を用い、潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いた回転圧縮機のベーン40は、耐磨耗性の向上のため窒化処理やCrNのイオンコーティングなどの表面処理が行われているが、窒化処理はその耐力が十分でなく、また、CrNのイオンコーティングは、コーティング層の剥離の危険性があるとともに生産コスト高になるなどの欠点があった。
本発明の目的は、従来の諸問題を解決し、分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いた回転圧縮機であって、ローラとベーンの異常な摩耗を防止し、信頼性の高いロータリ圧縮機を提供することである。
本発明者等は解題を解決するために鋭意研究した結果、従来はベーン40の先端のローラ38の外周面38aとの接触面40aの曲率半径Rvをベーン40の幅寸法Tとほぼ等しい価としていたのを改め、ベーン40とローラ38との摺接部における摺接面を確保する範囲において曲率半径Rvをベーン40の幅寸法Tより大きくすることにより、ヘルツ応力Pmaxが低減されるとともに、摺動距離evが大きくなって応力が分散しベーン40とローラ38との摺接部における温度が低下するので、ベーン40に高価なコーテイング処理を行わず、安価な窒化処理(NV窒化、浸硫窒化、ラジカル窒化)でも充分にローラ38の外周38aやベーン40の摩耗を軽減させる効果があり、ローラ38とベーン40の異常な摩耗を防止し、信頼性の高いロータリ圧縮機を提供できることを見いだし本発明を成すに到った。
課題を解決するための本発明の請求項1の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張装置、蒸発器などを順次配管で接続してなる冷凍回路を備え、分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いた回転圧縮機において、吸入口と吐出口を有するシリンダと、シリンダの軸線上に配設されるクランク部を有する回転軸と、クランク部とシリンダの間に配設されて偏心回転するローラと、シリンダに設けられる溝内を往復動してローラの外周面に摺接するベーンを有し、ベーンのローラとの摺接部における曲率半径(Rv)(cm)が次式(1)で表されることを特徴とする回転圧縮機に関する。
T<Rv<Rr 式(1)
[但し、式(1)中、Tはベーンの厚さ(cm)、Rrはベーンと摺接するローラの外周曲率半径(cm)を表す。]
また、請求項1記載の回転圧縮機において、ベーンのローラとの摺接部における摺接面を確保するため、回転軸の回転中心(O1)とローラ中心(O2)の偏心量(cm)をEとし、ベーンの曲率半径(Rv)の中心(O3)とローラ中心(O2)とを結ぶ直線(L1)が中心(O3)と回転中心(O1)とを結ぶ直線(L2)となす角度をαとし、直線(L1)がローラの外周に交わる点と直線(L2)がローラの外周に交わる点との間の摺動距離をevとした時、T、Rv、Rr、E、α、evが次式(2)〜(4)で表される関係にあっても良い。
T>2・Rv・E/(Rv+Rr) 式(2)
sinα=E/(Rv+Rr) 式(3)
ev=Rv・E/(Rv+Rr) 式(4)
また、請求項1記載の回転圧縮機において、高負荷運転時の弾性接触を考慮し、ベーンのローラとの摺接部における摺接面を確保するため、ベーンの高さをL(cm)とし、ベーンとローラの縦弾性係数をそれぞれE1、E2(kgf/cm2 )とし、ベーンとローラのポアソン比をそれぞれν1、ν2とし、設計圧力をΔP(kgf/cm2)とし、式(5)で計算される等価半径(cm)をρとし、式(6)で計算されるベーンの押付力をFv(kgf)とし、これらを用いて式(7)で計算される弾性接触面長さをd(cm)とした時、T、Rv、Rr、E、dが次式(8)で表される関係にあっても良い。
T>[2・Rv・E/(Rv+Rr)]+d 式(8)
[但し、式(8)中、T、Rv、Rr、Eは式(1)、式(2)と同じものを表す。]
また、回転圧縮機において、高負荷運転時の設計圧力(ΔP)がHFC407Cを使用する冷凍サイクルの場合は、2.98MPa、HFC410Aの場合は4.14MPa、HFC404Aである場合は、3.10MPa、HFC134aである場合は、1.80MPaとした。
また、回転圧縮機において、ベーンが縦弾性係数1.96×105 〜2.45×105 N/mm2 の鉄系材料で形成されている。
また、回転圧縮機において、ベーンの最表面にFeとNを主成分の化合物層を形成させ、その下にFeとNを主成分とする拡散層を形成させた窒化処理により処理しても良い。
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の回転圧縮機において、ベーンの表面がFeとNを主成分とする拡散層のみを形成してなる窒化処理により処理されていることを特徴とする。
また、回転圧縮機において、窒化処理により、ベーンの最表面にFeとSを主体とした化合物層を形成させ、その下にFe−Nを主体とした拡散層を形成させる窒化処理により処理しても良い。
また、回転圧縮機において、ベーンの最表面にFeとNを主成分の化合物層を形成させ、その下にFeとNを主成分とする拡散層を形成する窒化処理を行い、ベーンのすくなくとも側面のFeとNを主成分とする化合物層を除去しても良い。
また、回転圧縮機において、窒化処理により、ベーンの最表面にFeとSを主体とした化合物層を形成させ、その下にFe−Nを主体とした拡散層を形成する窒化処理を行い、ベーンの少なくとも側面のFeとSを主成分とする化合層を除去しても良い。
また、回転圧縮機において、ベーンと摺接するローラの材質は、縦弾性係数9.81×104 〜1.47×105 N/mm2の鉄系材料で形成されている。
また、回転圧縮機において、基油の動粘度が40℃で20〜80mm2 /sである。
本発明の請求項1記載の回転圧縮機は、分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いても、ベーンとローラとの摺接部における摺接面を確保しつつヘルツ応力を減少でき、偏心量(ev)が大きくなって応力が分散しベーンとローラとの摺接部における温度が低下し、ローラとベーンの異常な摩耗を防止できる。
本発明の請求項1記載の回転圧縮機は、ベーンに高価なコーテイング処理を行わず、安価な窒化処理(NV窒化、浸硫窒化、ラジカル窒化)でも充分にローラの外周やベーンの摩耗を軽減させる効果があり、信頼性が高い。
本発明の請求項2記載の回転圧縮機は、ベーンの摩耗耐力を向上できる。
以下本発明を詳細に説明する。
図6に、ポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを潤滑油基油として用い、蒸発気化したHFC系冷媒などの分子中に塩素分子を含まない冷媒を圧縮する本発明の回転圧縮機a、同冷媒を凝縮液化する凝縮器b、同冷媒の圧力を減じる膨張装置c、液化冷媒を蒸発させる蒸発器dなどを順次冷媒管でつないで形成した冷凍回路の例を示す。
図5は本発明の回転圧縮機のローラとベーンの関係を示す断面説明図である。
図5において、回転軸25の回転中心(O1)とローラ38のローラ中心(O2)の偏心量(cm)をEとし、ベーン40の曲率半径(Rv)の中心(O3)とローラ中心(O2)とを結ぶ直線(L1)が中心(O3)と回転軸25の回転中心(O1)とを結ぶ直線(L2)となす角度をαとし、直線(L1)がローラ38の外周38aに交わる点と直線(L2)がローラ38の外周38aに交わる点との間の摺動距離をevとした時、evは前記式(4)で計算される。
ベーン40のローラ38との摺接部における曲率半径(Rv)、ベーン40の厚さ(T)、ベーン40と摺接するローラ38の外周曲率半径(Rr)、偏心量(E)、ベーン40とローラ38の縦弾性係数をそれぞれE1、E2、ベーン40とローラ38のポアソン比をそれぞれν1、ν2、設計圧力ΔPを具体的に設定すると、
ρは前記式(5)で、ベーンの押付力Fvは前記式(6)で、弾性接触面長さdは前記式(7)で、ヘルツ応力Pmaxは前記式(9)で計算される。
例えば、シリンダ内径39mm×高さ14mm、偏心量(E)2.88mm、排除容積4.6cc×2の2シリンダ方式の回転圧縮機について、T、Rr、E1、E2、ν1、ν2、ΔPを表1に示した値とし、Rvを3.2mm、4mm、6mm、8mm、10mm、16.6mm(Rrと同じ)、フラット、と変化させた場合のρ、Fv、d、ev、(T−ev−d)/2、Pmaxなどの計算結果を表1に示す。
表1から、ヘルツ応力Pmaxは、T=Rvの場合を100%とすると、Rvを増加するにつれて減少し、一方、ev(摺動距離)は増加し、Rv=10mmでヘルツ応力Pmaxは66%となり、evは約2.3倍になる。しかし、Rv=16.6mm=Rrとすると、ヘルツ応力Pmaxは57%となるが、(T−ev−d)/2≒0.16となってベーンとローラとの摺接部における摺接面の確保が困難となることが判る。
また、シリンダ内径39mm×高さ14mm、偏心量(E)2.35mm、排除容積4.6cc×2の2シリンダ方式の回転圧縮機について、T、Rr、E1、E2、ν1、ν2、ΔPを表2に示した値とし、Rvを3.2mm、4mm、6mm、8mm、10mm、18.1mm(Rrと同じ)、フラットと変化させた場合のρ、Fv、d、ev、(T−ev−d)/2、Pmaxなどの計算結果を表2に示す。
表2から、ヘルツ応力Pmaxは、T=Rvの場合を100%とすると、Rvを増加するにつれて減少し、一方、ev(摺動距離)は増加し、Rv=10mmでヘルツ応力Pmaxは65%となり、evは約2.4倍になる。しかし、Rv=18.1mm=Rrとすると、ヘルツ応力Pmaxは55%となるが、(T−ev−d)/2≒0.42となってベーンとローラとの摺接部における摺接面の確保が困難となることが判る。
また、シリンダ内径41mm×高さ16mm、偏心量(E)3.475mm、排除容積6.6cc×2の2シリンダ方式の回転圧縮機について、T、Rr、E1、E2、ν1、ν2、ΔPを表3に示した値とし、Rvを3.2mm、4mm、6mm、8mm、10mm、17mm(Rrと同じ)、フラットと変化させた場合のρ、Fv、d、ev、(T−ev−d)/2、Pmaxなどの計算結果を表3に示す。
表3から、ヘルツ応力Pmaxは、T=Rvの場合を100%とすると、Rvを増加するにつれて減少し、一方、ev(摺動距離)は増加し、Rv=10mmでヘルツ応力Pmaxは65%となり、evは約2.3倍になる。しかし、Rv=17mm=Rrとすると、ヘルツ応力Pmaxは56%となるが、(T−ev−d)/2≒−0.14となってベーンとローラとの摺接部における摺接面の確保ができないことが判る。
また、シリンダ内径38mm×高さ15mm、偏心量(E)4.715mm、排除容積7.65ccの回転圧縮機について、T、Rr、E1、E2、ν1、ν2、ΔPを表4に示した値とし、Rvを4.7mm、6mm、8mm、10mm、12mm、14.5mm(Rrと同じ)、フラットと変化させた場合のρ、Fv、d、ev、(T−ev−d)/2、Pmaxなどの計算結果を表4に示す。
表4から、ヘルツ応力Pmaxは、T=Rvの場合を100%とすると、Rvを増加するにつれて減少し、一方、ev(摺動距離)は増加し、Rv=12mmでヘルツ応力Pmaxは74%となり、evは約1.9倍になる。しかしRv=14.5mm=Rrとするとヘルツ応力Pmaxは70%となるが、(T−ev−d)/2≒−0.008となってベーンとローラとの摺接部における摺接面の確保ができないことが判る。
以上の結果から、Rvが、前記式(1)で表されるT<Rv<Rrの範囲にあると、ベーンとローラとの摺接部における摺接面を確保しつつヘルツ応力を減少でき、偏心量(ev)が大きくなって応力が分散しベーンとローラとの摺接部における温度が低下し、ローラとベーンの異常な摩耗を防止できることが判る。
ベーンに高価なコーテイング処理を行わず、安価な窒化処理(NV窒化、浸硫窒化、ラジカル窒化)でも充分にローラの外周やベーンの摩耗を軽減させる効果があり、信頼性の高いロータリ圧縮機を提供できる。
Tが前記式(2)で表されるT>2・Rv・E/(Rv+Rr)の範囲にあると、ベーンのローラとの摺接部における摺接面を安全に確保できる。
Tが前記式(8)で表されるT>[2・Rv・E/(Rv+Rr)]+dの範囲にあると、高負荷運転時であっても、ベーンのローラとの摺接部における摺接面を安全に確保できる。
高負荷運転時の設計圧力(ΔP)がHFC407Cを使用する冷凍サイクルの場合は、2.98MPa、HFC410Aの場合は4.14MPa、HFC404Aである場合は、3.10MPa、HFC134aである場合は、1.80MPaとし、各冷媒毎の高負荷時の弾性変形を考慮した場合、ローラとベーン間の摺動距離において、ベーンのシリンダと摺接する側面とローラと摺接する面の双方の稜線間でのローラ曲面との摺接面が確保される。
ベーンを縦弾性係数1.96×105 〜2.45×105 N/mm2 の鉄系材料で形成するが、弾性係数が小さすぎるとベーンの摩耗耐力が不足であり、大きすぎると弾性変形を期待できず、応力低減が図れず耐摩耗耐力が得られない。
ベーンの表面がFeとNを主成分とする拡散層のみを形成してなる窒化処理により処理されていたり、ベーンの最表面にFeとNを主成分の化合物層を形成させ、その下にFeとNを主成分とする拡散層を形成させた窒化処理により処理されていたり、ベーンの最表面にFeとSを主体とした化合物層を形成させ、その下にFe−Nを主体とした拡散層を形成させる窒化処理により処理されているようなベーンが、ベーンの摩耗耐力に有効であることが、特開平10−141269号公報、特開平11−217665号公報、特開平5−73918号公報などに開示されている。しかし、HFC冷媒下では、その摩耗耐力が十分ではない。
そこで本発明においては、ベーンとローラとの摺動部におけるベーンの曲率半径(Rv)を前記式(1)〜(8)により計算されるものとし、そのような曲率半径(Rv)などを有する形状のベーンに上記処理を行うことと併用することにより、より高摩耗耐力が得られる。
また、ベーンの最表面にFeとNを主成分とする化合物層を形成させ、その下にFeとNを主成分とする拡散層を形成する窒化処理により、ベーンのすくなくとも側面のFeとNを主成分とする化合物層を除去したものや、ベーンの最表面にFeとSを主体とした化合物層を形成させ、その下にFe−Nを主体とした拡散層を形成させる窒化処理を行い、ベーンの少なくとも側面のFeとSを主成分とする化合層を除去したものは、処理による結晶構造の変化がもたらす寸法変化に対応し、寸法の再調整のための研磨などにより、その化合物層を除去しても高摩耗耐力が得られる。
ベーンと摺接するローラの材質は、縦弾性係数9.81×104 〜1.47×105 N/mm2 の鉄系材料で形成するが、縦弾性係数が小さすぎるとローラの摩耗耐力が不足であり、大きすぎると弾性変形を期待できず、ベーンとローラ間の応力低減が図れず耐摩耗耐力が得られない。
本発明で用いるポリオールエステルまたはポリビニルエーテルからなる基油の動粘度は特に限定されるものではない。しかし、基油の動粘度が40℃で20〜80mm2 /sであることが好ましい。基油の動粘度が20mm2/s未満では摺接部における摩耗を防止できない恐れがあり、80mm2 /sを超えると消費電力が大きくなるなど不経済となる恐れがある。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
本発明を適用する2シリンダ方式の回転圧縮機の断面構造を示す説明図である。 図1に示した回転圧縮機のシリンダ、ローラ、ベーンなどの関係を示す断面説明図である。 図1に示した回転圧縮機のベーンの説明図である。 図1に示した回転圧縮機のローラとベーンの関係を示す断面説明図である。 図1に示した回転圧縮機の回転軸の回転中心、ローラ中心とベーンの曲率半径の中心などの関係を示す断面説明図である。 図1に示した回転圧縮機の冷凍回路を示す説明図である。
符号の説明
a 回転圧縮機
b 凝縮器
c 膨張装置
d 蒸発器
1 回転圧縮機
31、32 シリンダ
23 吸入口
35 吐出口
26 クランク部
38 ローラ
40 ベーン

Claims (2)

  1. 分子中に塩素を含まない冷媒および潤滑油としてポリオールエステル、またはポリビニルエーテルを基油として用いた回転圧縮機において、吸入口と吐出口を有するシリンダと、シリンダの軸線上に配設されるクランク部を有する回転軸と、クランク部とシリンダの間に配設されて偏心回転するローラと、シリンダに設けられる溝内を往復動してローラの外周面に摺接するベーンを有し、ベーンのローラとの摺接部における曲率半径(Rv)(cm)が次式(1)で表されることを特徴とする回転圧縮機。
    T<Rv<Rr 式(1)
    [但し、式(1)中、Tはベーンの厚さ(cm)、Rrはベーンと摺接するローラの外周曲率半径(cm)を表す。]
  2. ベーンの表面がFeとNを主成分とする拡散層のみを形成してなる窒化処理により処理されていることを特徴とする請求項1記載の回転圧縮機。
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