JP2005139173A - ビグアナイド系薬剤を含有するゼリー製剤 - Google Patents

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啓子 山崎
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Abstract

【課題】 服用時におけるえぐみや苦みを抑制され不快感が低減されている上に、安定性を有しながらも、消化管内での薬剤放出性に優れたビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤を提供する。
【解決手段】 本発明のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤は、ビグアナイド系薬剤,無機酸,および水溶性高分子を含むことを特徴とする。つまり、特に無機酸の作用によって、ゼリー製剤の安定性と共に薬剤放出性にも優れるという相反する特性を兼備するものである。

Description

本発明は、塩酸メトホルミンや塩酸ブホルミンなどのビグアナイド系薬剤を含有するゼリー製剤に関するものである。
糖尿病は、病因に基づいて1型糖尿病と2型糖尿病とに分類されるが、近年、成人病として2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)が問題となっている。その治療では血糖値を低減することが有効であり、1型糖尿病の治療は主としてインスリン投与により行なわれる。一方、2型糖尿病では、インスリンが分泌されているにも拘わらずその作用が発揮されない状態(インスリン抵抗性)が発症に大きく関わることや、インスリンは皮下注射により投与せざるを得ず患者に苦痛を与えることから、主として経口血糖降下剤により治療が行なわれる。
斯かる経口血糖降下剤としてはスルホニル尿素系やスルホンアミド系薬剤などが挙げられるが、費用や効果の面から、世界的にはビグアナイド系薬剤が主として用いられている。例えば、その代表例であるメトホルミンは、インスリンに次ぐ市場を獲得している。ところが、このビグアナイド系薬剤には、服用し難いという欠点がある。
つまり、ビグアナイド系薬剤は高い水溶性を示し、口中でも唾液により速やかに溶解すると考えられるが、この溶解液の味は強い“えぐみ”や苦味を有し、しかも、一般的に服用量が多い。例えば、塩酸メトホルミンの1回投与量は、日本で250mg,米国で850mgとかなり高用量である。そこで、服用時における患者の不快感が低減されており、コンプライアンスを得られ易いビグアナイド系薬剤含有製剤が種々開発されている。
例えば、このビグアナイド系薬剤のえぐみや苦味は、その錠剤や顆粒剤などをコーティングしたりマイクロカプセル化し、味蕾との接触を完全に遮断することによって解決することができ得る。
しかし、これらの固形製剤は、服用量が多いビグアナイド系薬剤に応用する場合、飲み難さという問題を残す。つまり、固形製剤が口腔内から喉頭や咽頭にかけて接触することによる刺激や痛み、或いは粘膜組織と擦れることによる物理的な障害によって、患者に不快感を与えるおそれがある。また、これらの不快感を低減するため毎日の服用時に大量の水を飲むことになれば、この水自体が不快感や誤嚥の原因になりかねない。
斯かる事情は、特に高齢者などの嚥下が困難な患者にとっては、一層顕著な問題になる。そこで、これら患者に対しては服用が容易な液状製剤やシロップ剤が好ましいが、やはり誤嚥の問題は解決されない。しかも、ビグアナイド系薬剤のえぐみや苦みは、可溶化した場合に表れる。即ち、典型的なビグアナイド系薬剤である塩酸メトホルミンの場合、メトホルミンそのものは難溶性であり、水に容易に溶けないためにえぐみも苦みも感じないが、塩類にして易溶性にすると、えぐみと苦みが顕著に表れる。
このようなビグアナイド系薬剤の内服液剤におけるえぐみや苦みを軽減する方法として、特許文献1には、リンゴ酸などの有機酸を添加することが開示されている。
しかしながら、えぐみや苦みが軽減されたとしても、液状製剤では誤嚥等の問題は何ら解決されない。また、有機酸を添加しても、ビグアナイド系薬剤が味蕾に直接接触せざるを得ない場合には、その効果は十分でない。この点で、液状製剤に比べてゼリー製剤が有効であると考えられる。
ビグアナイド系薬剤のゼリー製剤については、上述の特許文献1にも開示されている(特許文献1の実施例9)。しかし、ゼリー製剤は一般的に酸性領域での安定性が悪く、離漿(ゲル層からの水分の分離)を起こしやすい。また、本発明者らの実験によれば、特許文献1に記載されているゼリー製剤はゲル化が容易でない。これは、基剤であるゼラチンのゲル化が、有機酸であるリンゴ酸により妨げられていることが原因であると考えられる。そこで、有機酸を添加しつつもゲル化を促進するためにゼラチン濃度を高めると、ゲルの安定性は増すが、それでは薬剤の放出性が低下する。
斯かる先行技術の問題点を解決するために、酸性でゲル化するアルギン酸やペクチンを有機酸と共にゲル基剤として使用することが考えられる。ところが、これらの基剤を使用したゼリー製剤はゼリーそのものの安定性は向上するものの、消化管での薬剤放出性が低下するという問題が残る。即ち、ただでさえ酸性域で固まったゼリー製剤が、服用後、胃内で胃酸という強酸の作用を受けると更にその強度が増し、その結果、消化管内での放出性が益々悪くなる可能性がある。
一方、ゼリー製剤を中性付近で調製すれば上記の問題は解決できると考えられる。しかし、特許文献1によれば、製剤のpHが6を超えると不快感が増大し、薬物の安定性が損なわれるとされている。
特表2002−512953号公報(請求項1,段落[0005])
上述した状況の中、ビグアナイド系薬剤の服用の容易さを図るには、先ず何よりもえぐみや苦みを軽減することが優先するので、酸性域でのゼリー製剤が望ましい。実際、特許文献1の実施例9では、有機酸としてリンゴ酸という果実酸を使ったビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤が調製されている。
ところが、この先行技術に係るゼリー製剤は、容易にゲル化するものではなかった。そこで、ゲル基剤としてのゼラチン濃度を高めたり、或いは酸性域でゲル化する基剤を使えば、安定性は向上できるものの薬剤放出性が悪くなる。また、ゲル化基剤として有機酸を使用すると、弾力性など食感に富んだテクスチャーが得られるが、放出性は低下する結果となる。更に、酸性域でゼリー製剤とすると、離漿が起こり易く安定性に劣るという問題もある。従って、ビグアナイド系薬剤含有製剤では、服用時における不快感の低減という特許文献1で認識されている問題のみならず、安定性を有しながらも服用後においては良好な薬剤放出性を示すという互いに相反する特性を享有することが望ましい。
そこで、本発明が解決すべき課題は、服用時におけるえぐみや苦みが少なく不快感が低減されている上に、何より安定性に優れ、且つ消化管内での薬剤放出性に優れたビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ビグアナイド系薬剤を含む様々なゼリー製剤を調製し、服用時における不快感が顕著に低減されている上に、安定性と共に体内での薬剤放出性に優れるという、互いに相反すると考えられる特性を兼備する製剤を得るべく鋭意研究を重ねた。その結果、水溶性高分子を用いてゼリー製剤とすれば、服用時の不快感を低減できるだけでなく、水溶性高分子の緩やかな架橋によるゲル化によって服用時の誤嚥もなくなり、しかも、無機酸を添加すればビグアナイド系薬剤のえぐみや苦味を抑制できるのみならず、ゼリー製剤の安定性と薬剤放出性も顕著に改善できることを見出して、本発明を完成した。
即ち、本発明のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤は、ビグアナイド系薬剤,無機酸,および水溶性高分子を含むことを特徴とする。
上記ビグアナイド系薬剤に対する上記無機酸の重量比は、ビグアナイド系薬剤を1として0.01〜2にすることが好ましい。無機酸の添加量がこれより少ない場合には、ビグアナイド系薬剤の苦み等を十分に抑制できないことがあるからであり、また、これより多いと、ゼリーの安定性が悪くなる場合があるからである。
上記ゼリー製剤では、ゲル化直前の溶液状態でのpHを4.0以上にすることが好ましい。ゼリー製剤に無機酸を添加するに当たって、pH4.0以上であれば離漿が起こり難くなり、ゼリー製剤の安定性が向上するからである。
上記無機酸としては、リン酸,塩酸,硫酸,低級アルキルスルホン酸,またはこれらから選択される2種以上の混合物が好適である。薬学上の安全性を考慮したものであり、また、後述する実施例によって、ビグアナイド系薬剤を原因とする不快感を低減でき、且つ製剤の薬剤放出性を悪化させないという効果が実証されているからである。
上記無機酸としては、特にリン酸が好ましい。また、無機酸としてリン酸を用いる場合には、更にリン酸塩を添加することが好ましい。ビグアナイド系薬剤の苦味のマスキング剤としてリン酸を十分量用いれば、飲用時の不快感と薬剤放出性を改善できるが、ゼリー製剤のpH(ゲル化直前に測定するものとする)が低くなり過ぎると、製剤の安定性が悪化する場合がある。そこで、リン酸とリン酸塩の両方を添加すれば、製剤の薬剤放出性と安定性、および飲用時の不快感の全てを改善することができ得る。
上記水溶性高分子としては、アルギン酸,ペクチン,ジェランガム,寒天,カラギーナン,カロブビーンガム,タマリンドガム,プルランまたはこれらから選択される2種以上の混合物を使用することが好ましい。薬学上安全であることや、安定で且つ薬剤放出性に優れるという本発明に係るゼリー製剤の構成成分として優れているからである。
上記ビグアナイド系薬剤としては、メトホルミン,ブホルミン,またはその薬学上許容される塩が好ましい。経口糖尿病治療剤として実績があるからである。
本発明のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤は、服用時における不快感が顕著に低減されているのみならず、何より安定性に優れ、且つ薬剤の放出性に優れている。
従って、本発明のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤は、患者のコンプライアンスが得られ易い糖尿病治療薬として極めて有用である。
以下に、本発明の実施形態、及びその効果について説明する。
本発明のゼリー製剤に主剤として配合される「ビグアナイド系薬剤」は、糖新生を抑制して解糖作用を刺激するほか、腸管からのグルコース吸収を抑制する作用効果を有し、糖尿病治療剤として使用される一方で、服用時に独特の不快感があることから、その抑制が求められるものである。斯かる「ビグアナイド系薬剤」としては、例えば前述の薬剤を挙げることができる。
「ビグアナイド系薬剤」の1製剤当たりの配合量は、ビグアナイド系薬剤の種類や1回当たりの投与量などによって異なるが、例えば、1製剤当たり200〜2250mgを配合するのが適当であり、適宜調整することができる。
本発明で使用される「無機酸」は、ビグアナイド系薬剤のえぐみや苦味をマスキングする作用を発揮できるものであり、薬学上許容されるものをいう。また、「無機酸」をゼリー製剤に加えると、製剤の安定性を維持しつつ適度な崩壊性が得られるため、消化管内での速やかな薬剤放出を期待することができる。この様な「無機酸」としては、例えば前述の無機酸を挙げることができる。好ましい無機酸としてはリン酸および/または塩酸を挙げることができ、更に好ましくはリン酸である。
「無機酸」の配合量は、ビグアナイド系薬剤の不快感を抑制できる範囲で決定することができる。例えば、ビグアナイド系薬剤に対する重量比として、ビグアナイド系薬剤を1とした場合0.01〜2とすることが好ましい。より好ましい下限は0.03,0.05,0.1,0.15であり、より好ましい上限は1.5,1.0,0.5である。尚、ここでの「無機酸の重量」とは、実質的に酸のみの重量をいう。例えば、リン酸の様にそのまま添加できる無機酸の場合は問題ないが、塩酸の様に水等で希釈されている酸の場合には、規定度等から算出した無機酸自体(塩酸では塩化水素)の重量とする。また、「塩酸メトホルミン」の様に、添加されるビグアナイド系薬剤が塩である場合には、ビグアナイド系薬剤に含まれる無機酸の重量は、ここでの「無機酸の重量」には含めない。
更に、当該「無機酸」の塩を添加してもよい。緩衝作用が期待できるからである。斯かる塩としては、例えば、無機酸としてのリン酸に対するリン酸塩を挙げることができる。このリン酸塩は、リン酸の添加によって低下した本発明に係るゼリー製剤のpHを上げることによって、製剤の安定性を向上させ得る。従って、斯かるリン酸塩は水に溶解した際に塩基性を示す必要があるので、リン酸と強塩基の塩が好適である。この様なリン酸塩としては、例えば、リン酸水素ナトリウム(Na2HPO4),リン酸ナトリウム(Na3PO4),リン酸水素カリウム(K2HPO4),リン酸カリウム(K3PO4),およびこれらの2種以上の組合せを挙げることができる。
一方、ゼリー製剤における有機酸は、ゲル化を阻害してゼリー製剤の安定性を損ねる可能性があるため、それぞれの特性(例えば、酸化防止剤としてのアスコルビン酸)を発揮し得る以上の量を添加することは好ましくなく、実質的に添加しないことがより好ましい。
本発明に係る製剤をゼリー製剤とするための「水溶性高分子」は、主にゲル化することによりゼリー製剤を形成できるものであって、薬学上許容されるものであれば特に制限なく使用できる。この様な「水溶性高分子」としては、例えばカラギーナン,寒天,寒天とカロブビーンガムとの組合わせ,キサンタンガムとカロブビーンガムとの組合わせ,HMペクチン,LMペクチンなど水溶液を加熱後に冷却することによりゲル化するもの;LMペクチン,アルギン酸ナトリウムなど2価金属イオンの添加によりゲル化するもの;プルランなど溶液を乾燥することにより固形化するもの等を挙げることができる。また、これら2種以上の混合物を使用することによって、ゲル化工程における利便性や薬剤放出性を改善することも可能になる。
「水溶性高分子」の添加量は、水溶性高分子の種類や所望するゲル化度,薬剤放出性等によって異なるが、一製剤当たり製剤全量に対して0.15〜5.0重量%が好適である。より好ましい下限は0.2,0.5,0.7,1.0重量%であり、より好ましい上限は4.0,3.0,2.0重量%である。
その他、本発明のゼリー製剤には、薬学上許容される添加剤を配合してもよい。その様な添加剤としては、例えばアスパルテームTM,サッカリン,サッカリンナトリウム,ステビア,エリスリトール,ソルビトース,キシリトール,還元麦芽糖水飴などの甘味料(好ましくは、アスパルテームTM,サッカリン,サッカリンナトリウム,および/またはステビア);バニラエッセンス,レモンフレーバーなどの香料;着色料;パラオキシ安息香酸プロピルなどの防腐剤;グリセリンを挙げることができ、その他の添加剤を含め適宜選択して添加すればよい。
本発明のゼリー製剤を製造するには、ゼリー製剤の一般的な製造方法を採用することができる。例えば、ビグアナイド系薬剤や水溶性高分子などの構成成分を、精製水や蒸留水などの水系溶媒(薬学上許容されるものに限る)を入れた攪拌槽に投入し、所定の温度で実質的な均一溶液或いは実質的な均一分散液とする。当該溶液または分散液を高温槽に移し、例えば85℃で30分以上加熱滅菌する。その後、添加した水溶性高分子に応じたゲル化を行ない、充填・包装機により充填・包装する。
本発明のゼリー製剤を製造するに当たっては、ゲル化直前のゾル状態において、pHを4.0以上に調節することが好ましい。このpHが4.0未満であると、ゼリー製剤が離漿し易くなり安定性が損なわれる場合があるからである。また、当該値が5.0以上であるとゼリー製剤としての安定性はより良好となり、6.0以上と中性に近くなると、更に良好となる。但し、当該pHは7.4以下が好適である。7.4を超えるとアミン臭を伴う場合があるからである。
以下に、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1 塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤の製造
表1の配合(重量%)に従って、塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤を製造した。
例えば処方1では、水へ塩酸メトホルミン,リン酸水素ナトリウム,リン酸および甘味料を加えて攪拌し、次いでカラギーナンおよびプルランを加えて攪拌した。更に、攪拌しつつ他の成分を加え、85℃に昇温して均一溶液とし、アルミラミネート包装容器に充填した後室温で静置し、ゼリー製剤を調製した。
実施例2 塩酸ブホルミン含有ゼリー製剤の製造
表2の配合に従って、塩酸ブホルミン含有ゼリー製剤を製造した。
比較例1
比較例として、上記処方1の成分中、無機酸であるリン酸の代わりに、有機酸であるクエン酸(0.8重量%)を添加したゼリー製剤を製造した。
試験例1 塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤の放出性試験
上記実施例1の処方1で調製した塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤と比較例1で製造した塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤について、「第十四改正日本薬局方解説書」B−679〜に記載の溶出試験法第2法(パドル法)に従って、薬剤放出性を試験した。
即ち、所定の容器に胃液を想定して日本薬局方崩壊試験液第1液を入れて約37℃とし、各製剤を投入してから一定時間経過後における薬剤の溶出率(%)を求めた。結果を図1に示す。
図1に示した結果の通り、有機酸を添加した塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤は薬剤放出性に劣っていたが、本発明の塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤は、薬剤放出性が明らかに改善されていた。
試験例2 官能試験
上記処方1の塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤と市販のメトホルミン錠を用いて、10名のパネラーによる官能試験を行なった。尚、錠剤を服用する際に飲用する水の量は、ゼリー製剤と同じ10mLとした。評価は、服用時の感覚について、ゼリーのテクスチャーという物性面とえぐみや苦味といった味覚の両面から、「飲みやすい」,「やや飲みにくい」,「飲みにくい」という3段階を指標とした。結果を表3に示す。
上記結果より、本発明のゼリー製剤は食感が良好である上に、ビグアナイド系薬剤に特有の咀嚼時におけるえぐみや苦味もなく、容易に嚥下できることがわかった。
試験例3
上記処方6のゼリー製剤について、ゲル化前のpHをリン酸とリン酸ナトリウムを用いて調整し、安定性試験および官能試験を行なった。なお、処方6自体のゲル化直前における製剤pHは、約6.5であった。
「安定性試験」は、湿度75%,温度40℃の環境下で1週間放置する加速試験にて行ない、pHと離漿の関係について調べた。
「官能試験」は、服用時の食感と咀嚼時の味に関して、「良好」,「普通」,「不可」の3段階に分けて評価した。各結果を表4に示す。
上記結果より、処方6のpHが4.0未満になるとゲルの安定性が悪くなる。従って、安定性を考慮するとpHが4.0以上であることが望ましい。また、ビグアナイド系薬剤の苦味のマスキング剤としてリン酸を用いれば、pHが6以上の場合であっても、苦味のマスキング効果は保持されることが明らかになった。一方、pHが7.6の場合には、わずかにアミン臭が伴った。
よって、塩酸メトホルミンの場合には、製剤として安定で且つ服用性に優れるという相反する条件を満たすpHとして、pH4.0以上が望ましく、更に好ましくは4.5以上、そして更なる製剤の安定性と服用時における不快感の低減のためには、pH6.0以上で7.4以下が好適であることが明らかにされた。
塩酸メトホルミンの溶出試験結果を示す。−●−は実施例1の処方1で調製した塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤の溶出曲線を、−□−は比較例1で製造した塩酸メトホルミン含有ゼリー製剤の溶出曲線をそれぞれ表す。また、縦軸は溶出率(%)を、横軸は時間(分)を表す。

Claims (8)

  1. ビグアナイド系薬剤,無機酸,および水溶性高分子を含むことを特徴とするビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  2. 上記ビグアナイド系薬剤に対する上記無機酸の重量比が、ビグアナイド系薬剤を1として0.01〜2である請求項1に記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  3. ゲル化直前の溶液状態でのpHが4.0以上である請求項1または2に記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  4. 上記無機酸が、リン酸,塩酸,硫酸,低級アルキルスルホン酸,またはこれらから選択される2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれかに記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  5. 上記無機酸がリン酸である請求項1〜3のいずれかに記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  6. 更にリン酸塩を含む請求項5に記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  7. 上記水溶性高分子が、アルギン酸,ペクチン,ジェランガム,寒天,カラギーナン,カロブビーンガム,タマリンドガム,プルラン,またはこれらから選択される2種以上の混合物である請求項1〜6のいずれかに記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。
  8. 上記ビグアナイド系薬剤が、メトホルミン,ブホルミン,またはその薬学上許容される塩である請求項1〜7のいずれかに記載のビグアナイド系薬剤含有ゼリー製剤。

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