JP2005136542A - アレイアンテナ装置及び該装置の設計方法 - Google Patents

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真毅 篠原
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Abstract

【課題】 複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列したアレイアンテナ装置において、主ビーム近傍のサイドローブと全方向のグレーティングローブを抑圧する。
【解決手段】 各アンテナ素子2に対し、アンテナ素子2を等間隔配置としたときの位置を仮位置として与え、その仮位置を中心にしてランダムな位置分散成分を与えて最終的な位置を決める。これによって、各アンテナ素子2の位置は、仮位置に拘束されつつ(つまり等間隔配置の成分を持ちながら)ランダム位置分散成分を付与される。それによって、主ビームにエネルギーが集中しサイドローブ及びグレーティングローブが抑圧されるので、例えば送電用アンテナとした場合に、エネルギーの伝送効率が向上するとともに周囲へのエネルギーの漏洩を防止してEMS対策としても有効である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列して成るアレイアンテナ装置と、該装置においてアンテナ素子の位置を決定するための設計方法に関する。
宇宙空間において太陽光により発電した電力をマイクロ波に変換し、地上に無線送電して地上でその電力を利用する宇宙太陽発電所(SPS=Solar Power Station/Satellite)に関する研究・開発が、各地の研究機関で鋭意進められている(例えば非特許文献1など参照)。このSPSでは、大型の太陽電池パネルを備えた発電用衛星を静止軌道上に乗せ、そこで発電により得られた電力をマイクロ波エネルギーに変換して送電アンテナから地上の所定位置に設置された受電アンテナに向けて送出する。例えばレクテナ等である受電アンテナはこのマイクロ波エネルギーを受けて電力に変換し、送電網を通して変電施設や需要者へと送出する。このシステムでは、大気圏内での天候の影響を受けない宇宙空間で発電を行うため安定的な電力供給が可能であり、また、化石燃料を利用しないので環境汚染の問題も生じないという大きな利点がある。
このSPSの実用化における大きな課題の1つが、衛星の送電アンテナから地上の受電アンテナへのマイクロ波伝送における送電効率の向上であり、そのために送電アンテナの放射エネルギーの指向性を鋭くして受電アンテナ外へ到達するエネルギー量を減らすことが重要である。また、こうした指向性の鋭さは、単に送電効率の向上のみならず、地上施設の周囲におけるEMC対策や既存の通信網との干渉の防止のためにも重要である。
ところで、SPSでは、従来の発電所1基分程度の電力伝送を前提としており、送電、受電アンテナも非常に大型のものが必要である。例えば送電アンテナとしては直径が1km程度のものが考えられおり(非特許文献1参照)、1個のアンテナ素子でこれを実現することは実用的ではない。そこで、多数のアンテナ素子を面状に配置して全体として大口径としたアレイアンテナ装置が有用である。こうしたアレイアンテナ装置では、目的とする主ビームの外側にサイドローブと呼ばれる電磁波放射パターンが発生する。さらに、各アンテナ素子同士の干渉によって電磁波放射パターンの強弱が生じ、グレーティングローブ(又は量子化ローブともいう)が発生する。そこで、前述したように送電効率を上げたり周囲への影響を最小限に食い止めるには、サイドローブやグレーティングローブを抑圧する必要がある。
こうしたアレイアンテナ装置では、一般に、各アンテナ素子を等間隔配置とした場合に干渉現象が顕著に現れグレーティングローブが増加することが知られている。そこで、グレーティングローブを抑圧するために、各アンテナ素子を周期的に配列せずに不等間隔とする、つまり全てのアンテナ素子をランダムに配置することが、従来、提案されている。従来のこうした設計手法は、グレーティングローブの抑圧には効果があるものの、主ビーム近傍のサイドローブを抑圧することができず、全体として主ビームへの放射エネルギーの集中効率は必ずしも高くない。
"マイクロ波エネルギー伝送実験装置 METLAB"、[online]、京都大学宙空電波科学研究センター、[平成15年10月8日検索]、インターネット<URL : http://www.kurasc.kyoto-u.ac.jp/space-group/sps/MET3.PDF>
そこで、本来の伝送目的である主ビームの近傍のサイドローブと全方向のグレーティングローブとの両者を抑圧できるようなアレイアンテナ装置が望まれている。本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、サイドローブとグレーティングローブとを充分に抑圧することで、主ビームに伝送エネルギーを集中することができるアレイアンテナ装置と、そのアレイアンテナ装置においてアンテナ素子の位置を決定するための設計方法を提供することにある。
前述したように、各アンテナ素子を等間隔配置した場合、主ビーム近傍のサイドローブは比較的抑圧されるもののグレーティングローブが顕著に現れる。一方、各アンテナ素子をランダムに配置した場合には、グレーティングローブを抑圧することはできるが、主ビーム近傍のサイドローブが問題となる。こうしたことから、本願発明者は、上記課題を解決するために等間隔配置の要素とランダム配置の要素とを適切に組み合わせることに想到し、さらにシミュレーション計算により、実際に主ビーム近傍のサイドローブとグレーティングローブの両者を充分に抑圧できるという効果を確認するに至った。
すなわち、本発明に係るアレイアンテナ装置は、複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列して構成するアレイアンテナ装置において、隣接するアンテナ素子が等間隔を保って配置される位置を各アンテナ素子の仮位置とし、該仮位置を中心としてその近傍の所定範囲内でのランダム位置分散成分を付与することにより決定された位置に各アンテナ素子が配置されて成ることを特徴としている。
また本発明に係るアレイアンテナ装置の設計方法は、複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列して構成するアレイアンテナ装置の設計方法であって、アンテナ素子が等間隔を保って配置される位置を各アンテナ素子の仮位置とし、該仮位置を中心としてその近傍の所定範囲内でのランダム位置分散成分を付与することにより、各アンテナ素子の位置を決定することを特徴としている。
本発明に係るアレイアンテナ装置及び該装置の設計方法では、まず等間隔配置により各アンテナ素子の仮位置を決め、各アンテナ素子がそれぞれの仮位置に存在すると仮定した状態からランダムな位置分散成分を与えることにより、各アンテナ素子を仮位置からズラして実際の位置を決定する。これによって、各アンテナ素子の位置は、等間隔配置の要素(成分)とランダム配置の要素(成分)とを併せ持つことになる。
このアレイアンテナ装置では、初めに各アンテナ素子に等間隔配置である仮位置を与えることによって、ランダム位置分散成分を付与した場合でも各アンテナ素子の移動可能範囲は仮位置に拘束される。そのため、原則的には、アレイアンテナ装置の中心付近においてアンテナ素子の存在密度が高くなり、端部側にゆくほど存在密度が低下することになる。その結果、各アンテナ素子の出力(又は感度)が同一であっても中心ほど出力(又は感度)が高くなり、それによって主ビーム近傍のサイドローブを効果的に抑圧することができる。また、等間隔配置ではないために、各アンテナ素子同士の干渉による特定の電磁波放射パターンの強弱は生じず、グレーティングローブの発生も抑圧できる。
本発明に係るアレイアンテナ装置及び該装置の設計方法において、より具体的には、前記仮位置が一次元方向に配列された複数のアンテナ素子について、各アンテナ素子に付与されるランダム位置分散成分は、両端部に位置する2つのアンテナ素子のその仮位置間の距離をほぼ最大範囲とするランダム位置分散成分に1/n(nは正の整数)を乗じたものとすることができる。ここでnの値を変更することは、各アンテナ素子の配置における等間隔配置の成分とランダム配置の成分との寄与の相対的な割合を変更することを意味する。これによって、指向性パターンなどの特性を変え、その用途や目的により適合したものとすることができる。
具体的な一態様としてn=1とすることにより、主ビーム近傍のサイドローブ(主として第1サイドローブ)と全方向のグレーティングローブとの両者を十分に抑圧し、効率よく送電又は受電を行うことができる。
また別の態様としてn=N(Nは前記一次元方向に仮位置が配列されるアンテナ素子数)とすれば、ランダム成分による各アンテナ素子の仮位置からのズレの最大範囲が隣接する2つのアンテナ素子の仮位置の中間位置に制限され、等間隔配置の成分による作用が強まる。これにより、主ビーム近傍の中でも特に周辺側のサイドローブを大きく抑圧することができる。
もちろん、1<n<Nの範囲で適宜にnを設定すると、上記n=1の場合とn=Nの場合との指向性パターンを合成したようなパターンが得られることになる。
また、上記のようにn=Nとした場合には等間隔配置成分の寄与の割合が相対的にかなり大きいので、中心部側に位置するアンテナ素子と相対的に端部側に位置するアンテナ素子とで所定の放射強度比又は感度比となるような振幅テーパを与えることが特に有効となる。そのため、各アンテナ素子の出力(又は感度)に適切な振幅テーパを与えることにより、主ビームにエネルギーを一層集中させて主ビームのビーム幅を広げることができる。
複数のアンテナ素子が線状つまり一次元上に配置されて本発明に係るアレイアンテナ装置が構成される場合には、そのアンテナ素子の全てが上記「前記仮位置が一次元方向に配列された複数のアンテナ素子」となるが、複数のアンテナ素子が面状つまり二次元上に配置されて本発明に係るアレイアンテナ装置が構成される場合には、その面内で互いに直交する二軸方向(例えばx軸、y軸)についてそれぞれ同様の手法を適用すればよい。具体的には次に例示するような様々な手法が考え得る。
すなわち、例えば多数のアンテナ素子について格子状の交点の位置を仮位置と定め、そこからx軸方向に関し各アンテナ素子に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これが二次元面内でのランダム位置分散のx軸方向成分となる。一方、それとは独立に、仮位置に在る各アンテナ素子に対して、y軸方向に関し各アンテナ素子に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これが二次元面内でのランダム位置分散のy軸方向成分となる。このランダム位置分散のx軸方向成分とy軸方向成分とにより各アンテナ素子の仮位置からの移動位置までの方向と距離とが決まるから、これによって各アンテナ素子を仮位置に拘束しつつ、それぞれ二次元面内でのランダム位置分散成分を与えることができる。
また、例えば多数のアンテナ素子について格子状の交点の位置を仮位置と定め、そこからx軸(又はy軸)方向に関し各アンテナ素子に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。この段階では、各アンテナ素子は仮位置に拘束されつつ、x軸(又はy軸)方向についてのみランダム成分が付与された状態となる。次に、こうして作成された一次元状のアレイ素子配列を線とみなすと、この線が等間隔で配列された状態にあると考えることができるから、その線と直交する方向つまりy軸(又はx軸)方向に関し、各線に対して上述した方法を適用してランダム位置分散成分を与える。これによって、各アンテナ素子の位置を仮位置に拘束しつつ、x軸方向及びy軸方向の両方についてランダム位置分散成分を付与することができる。
更にまた、例えば多数のアンテナ素子について格子状の交点の位置を第1の仮位置と定め、そこからx軸(又はy軸)方向に関し各アンテナ素子に上述した方法によりランダム位置分散成分を与え、そこをx軸(又はy軸)方向に関するランダム成分のみを考慮した第2の仮位置とする。そして、その第2の仮位置からそれぞれのアンテナ素子に対し、y軸(又はx軸)方向に関して上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これによっても、各アンテナ素子の位置を仮位置に拘束しつつ、x軸方向及びy軸方向の両方についてランダム位置分散成分を付与することができる。もちろん、二次元内でのランダム成分の付与の手法についてはこれら記載のものに限定されない。
なお、こうした場合においては、上記「前記仮位置が一次元方向に配列された複数のアンテナ素子」とは仮位置がx軸方向に配列された複数のアンテナ素子、又は仮位置がy軸方向に配列された複数のアンテナ素子であり、上記Nはx軸方向に配列されたアンテナ素子数又はy軸方向に配列されたアンテナ素子数である。
このように、本発明に係るアレイアンテナ装置及び該装置の設計方法によれば、主ビームの近傍のサイドローブを抑圧することができると同時に全方向のグレーティングローブも抑圧することができる。したがって、本発明に係るアレイアンテナ装置を例えば送電又は送信アンテナ装置に適用した場合には、伝送目的である主ビームにそれだけエネルギーが集中し伝送効率を高めることができる。また、伝送対象の周囲に漏れるエネルギーを減らしてEMC対策に有効であるとともに、他の送信網等との干渉を防止することができる。また、本発明に係るアレイアンテナ装置を例えば受電又は受信アンテナ装置に適用した場合には、鋭い指向性を有しているので、不所望の他の送電又は送信アンテナから到来するエネルギーを排除して目的とする信号の純度(つまりS/N比等)を上げることができる。
また、本発明に係るアレイアンテナ装置及び該装置の設計方法は、前述したSPS用の送電アンテナや受電アンテナに適用して上記効果を達成できるのはもちろんのこと、一般の通信や放送用のアレイアンテナやアレイアンテナと同様の原理を有するレーダーなどに広く適用して上記効果を達成することができる。すなわち、本発明に係るアレイアンテナ装置を利用することにより、特定の二箇所の間の通信・放送や或る箇所から比較的狭い範囲へ向けての通信・放送などにおいて、周囲からの妨害を受けにくくまた同時に周囲への妨害や電波の漏洩も軽減して、効率的に所望の信号の伝送を可能とすることができる。
本発明に係るアレイアンテナ装置について、そのアンテナ素子配置の決定方法を説明する。
本発明に係るアレイアンテナ装置1は実際には、図2に示すように複数の多数のアンテナ素子2が面状(図2では平面だが平面とは限らず曲面でもよい)に配列された構成を有するものであるが、説明を簡単にするために、アンテナ素子2を一次元上(x軸上)に配置する場合について図1を参照して説明する。
図1(a)及び(b)は従来のアレイアンテナ装置の素子配置を示す模式図であり、(a)は等間隔配置、(b)は不等間隔(ランダム)配置によるものの一例である。図1(a)に示すように、等間隔配置では、全部でN(ここでは偶数と仮定しているが奇数でもよい)個のアンテナ素子2を一定間隔dxを保って配置する。両端部のアンテナ素子2間の距離は(N−1)・dxとなる。一方、図1(b)に示すように、ランダム配置では、同じく全部でN個のアンテナ素子2を、距離(N−1)・dxの間にランダムに配置する。したがって、隣接するアンテナ素子2同士の距離dx’は様々であり、理論的にはdx’は0〜(N−1)・dxの範囲の値をとり得る。dx’が0となるのは、隣接するアンテナ素子2の位置が重なるときであり、dx’が(N−1)・dxとなるのは、アンテナ素子2が両端部に集まったときである。
ここでは、等間隔配置によるn(n=1〜N)番目のアンテナ素子2の位置を、
{xn}={xn det} …(1)
と表現する。また、ランダム配置によるn番目のアンテナ素子2の位置を、
{xn}={xn rand} …(2)
と表現する。また、等間隔配置によるアンテナ素子の位置の決定アルゴリズムをUAと呼び、不等間隔配置によるアンテナ素子の位置の決定アルゴリズムをRA1と呼ぶ。前述したように、UAではグレーティングローブが増加し、RA1では主ビーム近傍のサイドローブを抑圧することが困難である。
図1(c)は本発明に係るアレイアンテナ装置の素子配置を示す模式図である。このアレイアンテナ装置のアンテナ素子配置の主たる特徴は、等間隔配置とランダム配置の両要素を適切に組み合わせることであり、これによってグレーティングローブ及びサイドローブを抑圧する。すなわち、このアンテナ素子配置では、図1(c)に示すように、全部でN個のアンテナ素子2を配置するにあたって、まず各アンテナ素子2を距離dxで等間隔配置する位置を仮位置として定める。それから、その仮位置を中心に各アンテナ素子2にランダムな位置分散成分を付与することで、その仮位置から適宜にズレた位置を最終的な位置として定める。各アンテナ素子2に付与されるランダム位置分散成分の最大範囲は両端部の仮位置間の距離、つまり(N−1)・dxである。したがって、各アンテナ素子2の移動可能範囲は仮位置に拘束されることになる。
この配置方法では、各アンテナ素子2はその位置に関して等間隔配置の成分とランダム配置の成分との両方を併せ持つ。すなわち、上記のように式で表現すれば、
{xn}={xn det}+{xn rand} …(3)
である。ここでは、このようなアンテナ素子の位置の決定アルゴリズムをRA2と呼ぶ。この配置では、各アンテナ素子2の移動可能範囲は仮位置に拘束されるもののその移動可能範囲自体は広いため、各移動可能範囲の重なりが大きくなるアレイアンテナ装置の中心付近ほどアンテナ素子2が存在し得る確率、つまり存在密度は大きくなり、端部側にゆくほどアンテナ素子2の存在密度は小さくなる。
また、等間隔配置の成分に対するランダム配置の成分の寄与を相対的に小さくするために、ランダム配置の成分を例えば素子数Nで除するとよい。すなわち、
{xn}={xn det}+{xn rand}/N …(4)
である。このときには、ランダムな位置分散成分によるアンテナ素子2の最大移動可能範囲は隣接するアンテナ素子2の仮位置との間の中間位置となり、仮位置に対して±dx/2の移動可能範囲に制限されることになる。したがって、この場合には、隣接するアンテナ素子2同士が最大限近づいたときに理論的には重なり、それを越えて互いの移動可能範囲に入り込むことはない。ここでは、このようなアンテナ素子の位置の決定アルゴリズムをRA3と呼ぶ。
但し、上記(4)式のNはアンテナ素子数でなくともよく、一般的に、
{xn}={xn det}+{xn rand}/n …(5)
n=1〜N
とすることができる。(5)式においてn=1が(3)式であり、(5)式においてn=Nが(4)式である。このようにしてランダムな位置分散成分の寄与の程度を変えることにより、後述するようにアレイアンテナ装置の特性を変えることができる。
次に、本発明に係るアレイアンテナ装置を送電アンテナに適用した場合のサイドローブ及びグレーティングローブの抑圧効果を検証するために、シミュレーション計算を行った結果について図3〜図5により説明する。
シミュレーション計算の条件は、伝送エネルギーの周波数f=5.8GHz、測定ポイント数Ndata=181、素子数N=1000、平均素子間隔dav=2λである。また、ランダム配置の成分を含むRA1、RA2、RA3についてはアンテナ素子配置決定毎に各アンテナ素子の位置が変化するので、500回の平均を計算するようにした。図3はRA2、RA1及びUAについての主ビームの近傍範囲(θが−0.2°〜0.2°)における平均指向性パターンの計算結果、図4はRA3、RA2、RA1及びUAについての広範囲(θが−90°〜90°)での平均指向性パターンの計算結果である。
図3で明らかなように、RA2ではRA1よりも主ビーム近傍のサイドローブが下がっている。これはRA2では、アレイアンテナの中央部でアンテナ素子の存在密度が高くなることによって電力密度が高くなり、そのことによってサイドローブ抑制効果が現れたものである。また、図4を見ると、RA3では、主ビームから離れた部分までの範囲(15°程度以下)で最大20dB程度のサイドローブ低減効果が顕著であることが分かる。なお、グレーティングローブはサイドローブに重畳されているものとみることができるので、上記結果でサイドローブが全体として抑圧されていることはグレーティングローブも抑圧されていることを意味する。
さらに、RA3の利点として、ランダム位置分散成分による移動可能範囲が狭く等間隔配置の成分の寄与の程度がかなり大きいため、ビームを集中させるためにアンテナの中心部と端部とで強度比を持たせる手法(振幅テーパ)が特に有効に作用する。図5はcos2(πx/2)の振幅テーパをつけた場合のRA3及びRA1についての平均指向性パターンである。RA1では等間隔配置の成分を殆ど持たないため、振幅テーパによるビーム集中の効果は殆どみられない。これに対し、RA3は等間隔配置の成分が大きいため、RA1に比べて主ビームの幅が広く且つ主ビーム近傍のサイドローブは低くなっており、主ビームにエネルギーが集中していることが分かる。
なお、本発明に係るアレイアンテナ装置の設計方法の一例であるRA2及びRA3では、前述したように、アンテナ素子配置の決定を行う毎に各アンテナ素子の位置は変化する。それに伴って指向性パターン等の特性も変化するが、素子数Nが大きい場合(実用的には30程度以上)には、各アンテナ素子の位置の変化による指向性パターンの変化は殆ど現れない。実際上、サイドローブが微妙に変化する程度であって無視できる程度のレベルである。したがって、上記方法で各アンテナ素子の位置を1回だけ決定しさえすれば、サイドローブ及びグレーティングローブをほぼ最適に抑圧した状態となることが保証できる。但し、ランダム配置の成分によって、複数のアンテナ素子が偶然、同一位置を与えられることがあり得る。理論上は問題ないが実際にはそうした素子配置は不可能であるから、その場合には、アンテナ素子位置の決定をやり直せばよい。
また、上記説明やシミュレーションはアンテナ素子が一次元上(x軸上)に配置された状態を仮定したものであり、ランダム位置分散成分によるアンテナ素子の移動はその一次元方向にのみ考慮されているが、図2に示すように二次元上(x−y平面上)にアンテナ素子2が配置される場合には、x軸、y軸のいずれの方向にもランダム性が保証されるように上記一次元の手法を二次元に拡張すればよい。
その一方法について具体的に説明すると、まず図2(b)に示すように多数のアンテナ素子2について格子状の交点の位置を仮位置と定める。このとき、アンテナ素子2のx軸方向の仮位置の間隔とy軸方向の仮位置の間隔とは等しくなくてもよい。そして、その仮位置からx軸方向に関し各アンテナ素子2に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これがx−y平面内でのランダム位置分散のx軸方向成分Xとなる。一方、それとは独立に、仮位置に在る各アンテナ素子2に対してy軸方向に関し、各アンテナ素子2に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これがx−y平面内でのランダム位置分散のy軸方向成分Yとなる。ここで(X,Y)は各アンテナ素子2の仮位置を原点としたときの座標を表し、各アンテナ素子2毎にそれぞれ仮位置から移動位置までの方向と距離とが決まる。これによって、各アンテナ素子2を初めの仮位置に拘束しつつ、それぞれx−y面内での二次元のランダム位置分散成分を与えることができる。
また他の方法について説明すると、上記と同様に図2(b)に示すように多数のアンテナ素子2について格子状の交点の位置を仮位置と定め、その仮位置からx軸方向に関し各アンテナ素子2に上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。この段階では、各アンテナ素子2は仮位置に拘束されつつx軸方向についてのみランダム成分が付与された状態となる。次に、こうして作成された一次元状のアレイ素子配列を線とみなし、その線と直交する方向つまりy軸方向に関し、各線に対して上述した方法を適用してランダム位置分散成分を与える。これによっても、x軸方向、y軸方向にそれぞれランダム位置分散成分が付与されることになるから、各アンテナ素子2の位置を仮位置に拘束しつつ、それぞれx−y面内で二次元のランダム位置分散成分を与えることができる。
また更に他の方法について説明すると、上記と同様に図2(b)に示すように多数のアンテナ素子2について格子状の交点の位置を仮位置(第1の仮位置)と定め、その第1の仮位置からx軸方向に関し各アンテナ素子2に上述した方法によりランダム位置分散成分を与え、そこをx軸方向に関するランダム成分のみを考慮した第2の仮位置とする。この段階では、各アンテナ素子2は仮位置に拘束されつつx軸方向についてのみランダム成分が付与された状態である。次に、各アンテナ素子2がそれぞれ第2の仮位置に存在する状態から、各アンテナ素子2毎にy軸方向に関して上述した方法によりランダム位置分散成分を与える。これによっても、x軸方向、y軸方向にそれぞれランダム位置分散成分が付与されることになるから、各アンテナ素子2の位置を仮位置に拘束しつつ、それぞれx−y面内で二次元のランダム位置分散成分を与えることができる。
このようにしてx−y面内で各アンテナ素子2の位置を確定させることによって、全方向に関してサイドローブ及びグレーティングローブをほぼ最適に抑圧した状態とすることができる。
なお、上記説明ではマイクロ波エネルギー伝送用アンテナについて説明したが、本発明に係るアレイアンテナ装置の適用対象波長はマイクロ波のみに限るものではないことは明らかである。また、一般に送信側(伝送側)アンテナと受信側アンテナとは可逆性を有しているから、送信側、受信側いずれかのアンテナに限定されるものでもない。また、エネルギー伝送用ではなく一般の通信用や放送用のアンテナ、或いは、レーダー等、アンテナとしての機能を有する装置全般に利用できることは当然想到し得る。
アレイアンテナ装置におけるアンテナ素子の配置を示す模式図であり、(a)は従来の等間隔配置、(b)は従来のランダム配置、(c)は等間隔配置とランダム配置とを組み合わせた本発明の一例による配置。 アレイアンテナ装置におけるアンテナ素子の二次元的配列状態の概念図。 主ビームのごく近傍範囲の平均指向性パターンを示す図。 広範囲の平均指向性パターンを示す図。 cos2(πx/2)の振幅テーパを与えた場合の指向性パターンを示す図。
符号の説明
1…アレイアンテナ装置
2…アンテナ素子

Claims (10)

  1. 複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列して構成するアレイアンテナ装置において、隣接するアンテナ素子が等間隔を保って配置される位置を各アンテナ素子の仮位置とし、該仮位置を中心としてその近傍の所定範囲内でのランダム位置分散成分を付与することにより決定された位置に各アンテナ素子が配置されて成ることを特徴とするアレイアンテナ装置。
  2. 前記仮位置が一次元方向に配列された複数のアンテナ素子について、各アンテナ素子に付与されるランダム位置分散成分は、両端部に位置する2つのアンテナ素子のその仮位置間の距離をほぼ最大範囲とするランダム位置分散成分に1/n(nは正の整数)を乗じたものであることを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ装置。
  3. n=1としたことを特徴とする請求項2に記載のアレイアンテナ装置。
  4. n=N(Nは前記一次元方向に仮位置が配列されるアンテナ素子数)としたことを特徴とする請求項2に記載のアレイアンテナ装置。
  5. 中心部側に位置するアンテナ素子と相対的に端部側に位置するアンテナ素子とで所定の放射強度比又は感度比となるような振幅テーパを有することを特徴とする請求項4に記載のアレイアンテナ装置。
  6. 複数のアンテナ素子を線状又は面状に配列して構成するアレイアンテナ装置の設計方法であって、アンテナ素子が等間隔を保って配置される位置を各アンテナ素子の仮位置とし、該仮位置を中心としてその近傍の所定範囲内でのランダム位置分散成分を付与することにより、各アンテナ素子の位置を決定することを特徴とするアレイアンテナ装置の設計方法。
  7. 前記仮位置が一次元方向に配列された複数のアンテナ素子について、各アンテナ素子に付与されるランダム位置分散成分は、両端部に位置する2つのアンテナ素子のその仮位置間の距離をほぼ最大範囲とするランダム位置分散成分に1/n(nは正数)を乗じたものであることを特徴とする請求項6に記載のアレイアンテナ装置の設計方法。
  8. n=1としたことを特徴とする請求項7に記載のアレイアンテナ装置の設計方法。
  9. n=N(Nは前記一次元方向に仮位置が配列されるアンテナ素子数)としたことを特徴とする請求項7に記載のアレイアンテナ装置の設計方法。
  10. 中心部側に位置するアンテナ素子と相対的に端部側に位置するアンテナ素子とで所定の放射強度比又は感度比となるような振幅テーパを与えることを特徴とする請求項9に記載のアレイアンテナ装置の設計方法。
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