JP2005133571A - 内燃機関の排気浄化器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくく且つ長隔壁によって画成される開口が閉塞されないようにして、排気浄化器による圧損を低く維持することができる内燃機関の排気浄化器を提供する。
【解決手段】 本発明の排気浄化器24は、複数の隔壁41により画成される互いに平行に延びている複数のセル40を具備し、隔壁は、排気ガスの流れ方向における上流端44から下流端43まで延びる長隔壁45と、上流端44よりも所定距離だけ下流側に上流端42が位置する短隔壁46とを有し、長隔壁の上流端は少なくとも二つ以上の入口開口47を画成し、各入口開口はその全周を長隔壁に囲われると共に二つ以上のセルと連通している。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の排気浄化器24は、複数の隔壁41により画成される互いに平行に延びている複数のセル40を具備し、隔壁は、排気ガスの流れ方向における上流端44から下流端43まで延びる長隔壁45と、上流端44よりも所定距離だけ下流側に上流端42が位置する短隔壁46とを有し、長隔壁の上流端は少なくとも二つ以上の入口開口47を画成し、各入口開口はその全周を長隔壁に囲われると共に二つ以上のセルと連通している。
【選択図】 図2
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化器、およびその製造方法に関する。
ディーゼル機関から排出される排気ガス中には、有害成分である粒子状物質(particulate matter、具体的には煤等)が含まれており、この粒子状物質を捕集・除去する必要がある。このため、粒子状物質を捕集・除去するための様々なパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)が知られている。
このようなフィルタの一つに、フィルタ壁面に捕集された粒子状物質を連続的に酸化、除去する連続酸化式フィルタがある。この連続酸化式フィルタは、コージェライト等から成るフィルタ隔壁の表面にカリウム等を含む担体層を形成し、その担体層に白金(Pt)等の触媒金属を担持させたフィルタである。このようにして形成された連続酸化式フィルタは、二酸化窒素(NO2)を吸蔵し、活性酸素を生成する。生成された活性酸素は、フィルタ壁面上に捕集された粒子状物質を酸化・除去する。活性酸素による粒子状物質の酸化・除去は、排気ガス中に含まれている酸素による粒子状物質の酸化・除去よりも低温で行われるため、連続酸化式フィルタでは、比較的低温で粒子状物質を酸化・除去することができる。このため、フィルタの熱による破損が防止されるという利点がある。
このような連続酸化式フィルタを用いた装置が特許文献1に記載されている。特許文献1の装置では、連続酸化式フィルタの排気上流側に排気ガス中の成分を酸化するための排気浄化器が設けられており、この排気浄化器において排気ガス中の一酸化窒素(NO)がNO2に酸化される。連続酸化式フィルタにも白金等の触媒金属が担持されているため、NOをNO2に酸化することができるが、連続酸化式フィルタの排気上流側に排気浄化器を設けることでより確実にNOをNO2に酸化することができ、連続酸化式フィルタに効果的にNO2を吸蔵させることができる。
ところが、フィルタの排気上流側に配置された排気浄化器には、粒子状物質の除去されていない排気ガスが流入する。この場合、粒子状物質を含む排気ガスが排気浄化器のセルを画成する隔壁の上流端面に当たり、隔壁の上流端面上には多くの粒子状物質が付着・堆積し、堆積した粒子状物質が排気浄化器に流入する排気ガスへの流抵抗となってしまう。
このような隔壁の端面への粒子状物質の堆積を抑制するためのフィルタが特許文献2に記載されている。一般に、隔壁が格子状に形成されている場合、一方の方向に延びる隔壁(以下、「水平方向の隔壁」と称す)と、これら隔壁に垂直な方向に延びる隔壁(以下、「垂直方向の隔壁」と称す)との交点における隔壁の上流端面においては、これら上流端面が同一平面上にある場合にその面積が比較的大きくなり、よって交点における隔壁の上流端面には粒子状物質が堆積し易いが、上記特許文献2に記載のフィルタでは、水平方向の隔壁および垂直方向の隔壁のいずれか一方を突出させることにより交点における隔壁の上流端面の面積が大きくなってしまうことを防止し、隔壁の上流端面への粒子状物質の堆積を抑制している。
ところで、上流端から下流端まで延びる長隔壁と、この長隔壁の上流端よりも下流側に上流端が位置する短隔壁とを有する排気浄化器では、短隔壁の上流端面上に粒子状物質を堆積しにくくさせることができる。この理由としては、まず、排気ガス中の未燃炭化水素(HC)および可溶性有機物質(SOF)等は粘着性があって粒子状物質の隔壁上流端面への付着を促進するが、これらHCおよびSOFは排気ガスが長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで流れる間に長隔壁によって酸化・除去されるため、HCおよびSOF等による粒子状物質の短隔壁上流端面への付着の促進が抑制されることが挙げられる。また、排気ガスが長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで流れる間に排気ガス中のHC、SOF、および一酸化炭素(CO)等が酸化反応を起こすことにより、その反応熱で短隔壁の上流端の温度が上昇することも挙げられる。このように短隔壁の上流端面上に粒子状物質を堆積しにくくすることにより、排気浄化器による圧力損失を低く維持することができる。
このように短隔壁の上流端面上に粒子状物質を堆積しにくくするためには、長隔壁によって画成される各入口開口の断面積を小さく、すなわち各入口開口が連通するセル(長隔壁および短隔壁を含む隔壁によって画成される流路)の数を少なくすることが必要である。
一方、上述したように長隔壁の上流端面上には粒子状物質が付着・堆積する。特に、長隔壁によって画成される各入口開口の断面積が小さく、よって各入口開口を囲う長隔壁のうち対面する長隔壁の上流端間の距離が短い場合、遂にはこれら対面する隔壁の上流端面上に堆積した粒子状物質同士がつながって(ブリッジを形成して)この入口開口を覆い、入口開口が閉塞してしまう。このような入口開口の閉塞が促進されると、排気浄化器による圧力損失が増大し、内燃機関の運転に悪影響を及ぼしてしまう。このような入口開口の閉塞を抑制するためには、各入口開口の断面積を大きくすることが必要である。
このように、短隔壁の上流端面上に粒子状物質を堆積しにくくするという観点からは入口開口を小さくすることが要求され、入口開口の閉塞を防止するという観点からは入口開口を大きくすることが要求される。したがって、長隔壁によって画成される入口開口の大きさはこれら両事項を考慮して、排気浄化器の圧損の低減という観点からバランスのとれた大きさとすることが必要である。ところが、特許文献2に記載のフィルタでは、これら事項が考慮されておらず、短隔壁の上流端面上に粒子状物質を堆積しにくくしつつブリッジの形成を抑制することができず、よって排気浄化器の圧損を低く維持することが困難である。
そこで、本発明は、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくく且つ長隔壁によって画成される開口が閉塞されないようにして、排気浄化器による圧損を低く維持することができる内燃機関の排気浄化器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関排気通路上に配置される内燃機関の排気浄化器であって、複数の隔壁により画成される互いに平行に延びている複数のセルを具備し、上記隔壁は、排気ガスの流れ方向における上流端から下流端まで延びる長隔壁と、上記上流端よりも所定距離だけ下流側に上流端が位置する短隔壁とを有し、上記長隔壁の上流端は少なくとも二つ以上の入口開口を画成し、各入口開口はその全周を長隔壁に囲われると共に二つ以上のセルと連通している。
第1の発明によれば、長隔壁によって画成される入口開口断面の大きさは各セルの入口断面の大きさよりも大きい。このため、対面する長隔壁間の距離は、基本的に、対面する短隔壁間の距離、または対面する短隔壁と長隔壁との間の距離よりも長い。したがって、対面する長隔壁の上流端間の距離は比較的長く、長隔壁の上流端面上に堆積する粒子状物質がブリッジを形成することが抑制される。
一方、各入口開口はその全周が長隔壁によって囲われており、長隔壁は二つ以上の入口開口を画成する。このため、各入口開口断面の大きさは或る程度の大きさ以下とされる。これにより、排気ガスが長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで流れる間に排気ガスと長隔壁の壁面との接触面積が或る程度確保される。このため、排気ガスが短隔壁の上流端近傍に到達するまでに排気ガス中のHC、SOF、および一酸化炭素(CO)等が除去され、且つ短隔壁の上流端の温度が上昇するため、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくくなる。
したがって、第1の発明によれば、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくく且つ長隔壁によって画成される入口開口が閉塞されないようにすることができる。
第1の発明によれば、長隔壁によって画成される入口開口断面の大きさは各セルの入口断面の大きさよりも大きい。このため、対面する長隔壁間の距離は、基本的に、対面する短隔壁間の距離、または対面する短隔壁と長隔壁との間の距離よりも長い。したがって、対面する長隔壁の上流端間の距離は比較的長く、長隔壁の上流端面上に堆積する粒子状物質がブリッジを形成することが抑制される。
一方、各入口開口はその全周が長隔壁によって囲われており、長隔壁は二つ以上の入口開口を画成する。このため、各入口開口断面の大きさは或る程度の大きさ以下とされる。これにより、排気ガスが長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで流れる間に排気ガスと長隔壁の壁面との接触面積が或る程度確保される。このため、排気ガスが短隔壁の上流端近傍に到達するまでに排気ガス中のHC、SOF、および一酸化炭素(CO)等が除去され、且つ短隔壁の上流端の温度が上昇するため、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくくなる。
したがって、第1の発明によれば、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくく且つ長隔壁によって画成される入口開口が閉塞されないようにすることができる。
第2の発明では、第1の発明において、各長隔壁は二つ以上の別の長隔壁と平行に並んで配置され、互いに平行に並んだ上記長隔壁はこれら長隔壁が並んでいる方向に一定間隔毎に配置される。
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記長隔壁は、一つの入口開口を画成する長隔壁のうち互いに対面する長隔壁同士の間に常にこれら長隔壁が対面する方向に並んだ複数のセルが位置するように配置される。
第3の発明によれば、対面する長隔壁間の距離は、必ず各セルを画成する隔壁のうち対面する隔壁間の距離よりも長い。したがって、長隔壁の上流端面上に付着した粒子状物質が長隔壁によって画成された入口開口を覆うようなブリッジを形成することがより確実に抑制される。
第3の発明によれば、対面する長隔壁間の距離は、必ず各セルを画成する隔壁のうち対面する隔壁間の距離よりも長い。したがって、長隔壁の上流端面上に付着した粒子状物質が長隔壁によって画成された入口開口を覆うようなブリッジを形成することがより確実に抑制される。
第4の発明では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、上記所定距離は、上記長隔壁の上流端から下流端までの長さの1/4〜1/3である。
第4の発明によれば、長隔壁の上流端から短隔壁の上流端までの距離(すなわち、上記所定距離)を長隔壁の上流端から下流端までの距離の1/4〜1/3にすることで、長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで排気ガスが流れる間に排気ガス中のHC、SOFを酸化反応により十分に除去し、且つその反応熱により短隔壁の上流端近傍を粒子状物質が付着しにくくなるように十分に昇温することができる。
第4の発明によれば、長隔壁の上流端から短隔壁の上流端までの距離(すなわち、上記所定距離)を長隔壁の上流端から下流端までの距離の1/4〜1/3にすることで、長隔壁の上流端近傍から短隔壁の上流端近傍まで排気ガスが流れる間に排気ガス中のHC、SOFを酸化反応により十分に除去し、且つその反応熱により短隔壁の上流端近傍を粒子状物質が付着しにくくなるように十分に昇温することができる。
第5の発明では、第1〜第4のいずれか1つの発明において、各セルは、上記長隔壁と上記短隔壁とにより画成されている。
セルが短隔壁のみから画成されると、そのセルを画成する短隔壁の上流端面は同一平面上に位置する。このため、対面する短隔壁の上流端面間の距離が短いことから、そのセルの入口近傍に粒子状物質のブリッジが形成されやすい。これに対して、第5の発明によれば、各セルは短隔壁のみから画成されず、よって各セルを画成する隔壁の上流端面は同一平面上に位置しない。このため、これら隔壁のうち対面する隔壁の上流端面間の距離が長い部分が存在するので、セルの入口近傍に粒子状物質のブリッジが形成されることが抑制される。
セルが短隔壁のみから画成されると、そのセルを画成する短隔壁の上流端面は同一平面上に位置する。このため、対面する短隔壁の上流端面間の距離が短いことから、そのセルの入口近傍に粒子状物質のブリッジが形成されやすい。これに対して、第5の発明によれば、各セルは短隔壁のみから画成されず、よって各セルを画成する隔壁の上流端面は同一平面上に位置しない。このため、これら隔壁のうち対面する隔壁の上流端面間の距離が長い部分が存在するので、セルの入口近傍に粒子状物質のブリッジが形成されることが抑制される。
第6の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明において、各セルの断面形状はほぼ矩形であり、一つの入口開口を画成する長隔壁のうち互いに対面する長隔壁同士の間にはこれら長隔壁が対面する方向に並んだ二つのセルが配置される。
第7の発明では、内燃機関の排気浄化器の製造方法であって、複数の隔壁により画成される互いに平行に延びている複数のセルを有する構造体を成型する成型行程と、該成型された構造体を焼成する焼成行程と、隣接する所定数のセル毎にこれらセル間を隔てる隔壁を該隔壁の一方の端面から所定距離だけ除去する除去行程とを具備する。
隔壁の一方の端面から所定距離においてセル密度が変わる排気浄化器を製造する場合、セル密度の異なる部分構造体をそれぞれ予め製造し、これら部分構造体を接着等する方法が考えられる。しかし、この方法で上述した排気浄化器を製造すると、部分構造体同士の接着等を行う際にこれら部分構造体に設けられた隔壁間にずれが生じることがある。また、部分構造体間で温度が伝達されず、上流側に配置される部分構造体のみが昇温されてしまい、短隔壁の上流端面にあたる下流側部分構造体の隔壁の上流端面が昇温されない。
これに対して、第7の発明によれば、排気浄化器は一体的に製造されているため、隔壁にずれが生じることはなく、また、隔壁の途中で温度の伝達が阻害されることもない。
隔壁の一方の端面から所定距離においてセル密度が変わる排気浄化器を製造する場合、セル密度の異なる部分構造体をそれぞれ予め製造し、これら部分構造体を接着等する方法が考えられる。しかし、この方法で上述した排気浄化器を製造すると、部分構造体同士の接着等を行う際にこれら部分構造体に設けられた隔壁間にずれが生じることがある。また、部分構造体間で温度が伝達されず、上流側に配置される部分構造体のみが昇温されてしまい、短隔壁の上流端面にあたる下流側部分構造体の隔壁の上流端面が昇温されない。
これに対して、第7の発明によれば、排気浄化器は一体的に製造されているため、隔壁にずれが生じることはなく、また、隔壁の途中で温度の伝達が阻害されることもない。
第8の発明では、第7の発明において、上記除去工程は、上記隔壁を削り取る工程を具備する。
第1から第6の発明によれば、短隔壁の上流端面上に粒子状物質が堆積しにくく且つ長隔壁によって画成される入口開口が閉塞されないようにされるため、排気浄化器による圧損を低く維持することができる。
第7および第8の発明によれば、隔壁にずれが生じることなく、また、隔壁の途中で温度の伝達が阻害されることなく、隔壁の上流端面から所定距離においてセル密度が変わる排気浄化器、すなわち第1の発明と同様な排気浄化器が製造される。
第7および第8の発明によれば、隔壁にずれが生じることなく、また、隔壁の途中で温度の伝達が阻害されることなく、隔壁の上流端面から所定距離においてセル密度が変わる排気浄化器、すなわち第1の発明と同様な排気浄化器が製造される。
以下、図面を参照して本発明の排気浄化器について説明する。図1は本発明の排気浄化器が搭載されるディーゼル型の圧縮自着火式内燃機関を示す。
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管22を介してケーシング23に連結される。ケーシング23内には、排気上流側にモノリス型の排気浄化器24、排気下流側に排気ガス中の粒子状物質を捕集・除去するパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)25が内蔵される。ケーシング23は、排気管26を介して排気ガス中の物質を酸化する排気浄化器27を内蔵したケーシング28に連結される。
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGR)通路29を介して互いに連結され、EGR通路29内には電気制御式EGR制御弁30が配置される。またEGR通路29周りにはEGR通路29内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置31が配置される。図1に示した内燃機関ではEGR冷却装置31内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール32に連結される。このコモンレール32内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ33から燃料が供給され、コモンレール32内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール32にはコモンレール32内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ34が取り付けられ、燃料圧センサ34の出力信号に基づいてコモンレール32内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ33の吐出量が制御される。
次に、図2および図3を参照して、本発明のモノリス型の排気浄化器24について説明する。図2は図3中のラインII−IIに沿って見た排気浄化器24の横断面図であり、図3は図2中のラインIII−IIIに沿って見た排気浄化器24の縦断面図である。
なお、図2において、排気ガスが左側から右側に向かって流れる。このため、図2の左側を排気上流側、または上側と称し、逆に、図2の右側を排気下流側、または下側と称する。
なお、図2において、排気ガスが左側から右側に向かって流れる。このため、図2の左側を排気上流側、または上側と称し、逆に、図2の右側を排気下流側、または下側と称する。
モノリス型の排気浄化器24は、排気浄化器24の上流側から下流側に向かって互いに平行に延びる複数のセル40を具備する。これらセル40は、複数の隔壁41によって画成される。本実施形態では、図3に示したように、セル40はその断面がほぼ正方形であり、四つの隔壁41によって画成されている。
隔壁41は基本的に排気上流側の上流端44と排気下流側の下流端43との間で延びるが、隔壁41の一部はその上流端が上記上流端44よりも所定距離Dだけ下流側に位置する。以下、このように上流端44と下流端43との間で延びる複数の隔壁を長隔壁45、上記長隔壁45の上流端44よりも所定距離Dだけ下流側に位置する上流端42と下流端43との間で延びる複数の隔壁を短隔壁46と称す。セル40は、短隔壁46の上流端42近傍と下流端43との間で延びる。
各長隔壁45は二つ以上の別の長隔壁45と平行に並んで配置される。複数の長隔壁45の上流端44によって入口開口47が画成され、各入口開口47はその全周を長隔壁45によって囲われる。入口開口47は各排気浄化器に少なくと二つ設けられ、各入口開口47は二つ以上のセル40と連通する。本実施形態では、図3に示したように一つの入口開口47は四つのセル40と連通し、一つの入口開口47を画成する長隔壁45のうち互いに対面する長隔壁45同士の間にはこれら長隔壁45が対面する方向に並んだ二つのセル40が配置される。したがって、長隔壁45は、セル40二つ分の間隔毎に互いに平行に配置される。
したがって、排気浄化器24に流入する排気ガスは、まず複数の長隔壁45により画成される入口開口47に流入し、その後、短隔壁46の上流端42近傍において、短隔壁46および長隔壁45を含む隔壁41によって画成されるセル40に流入する。そして、下流端43近傍においてセル40から流出する。
また、隔壁41は、コーディライト等のセラミックから形成され、これら隔壁41の壁面上にはアルミナ等の担体層がコートされ、この担体層には白金(Pt)等の触媒金属が担持される。
ところで、図1に示したように、本実施形態では、排気ガス中の粒子状物質を捕集・除去するためのフィルタ25の排気上流側に排気浄化器24が設けられている。このため、排気浄化器24には、粒子状物質を含む排気ガスが流入する。
従来の排気浄化器では、全ての隔壁は基本的に同一平面上に位置する上流端と下流端との間で延びる。このように構成された排気浄化器では、流入する排気ガス中に含まれる粒子状物質が各隔壁の上流端面上に付着・堆積する。各セルの断面積が小さい場合、あるいは各セルを画成する隔壁のうち対面する隔壁同士の距離が短い場合には、このセルを画成する隔壁の上流端面上に付着・堆積した粒子状物質が互いにつながって(以下、「ブリッジを形成する」と称する)、そのセルを覆ってしまう。これにより、そのセルが閉塞し、排気浄化器による圧力損失が上昇してしまう。したがって、セルの閉塞を抑制するという観点からは、排気浄化器の単位断面積当たりに配置されるセルの個数(以下、「セル密度」と称す)を少なくすることが必要とされる。
一方、排気浄化器の酸化能力は、排気浄化器の隔壁壁面と排気浄化器を流れる排気ガスとの接触面積に大きく依存し、排気浄化器を構成する隔壁の全面積を広くすると排気浄化器の酸化能力が向上する。したがって、排気浄化器の酸化能力向上という観点からはセル密度を高くすることが必要とされる。
このため、従来の排気浄化器では、粒子状物質によるセルの閉塞の抑制と排気浄化器の酸化能力向上とを両立することは困難であった。
このため、従来の排気浄化器では、粒子状物質によるセルの閉塞の抑制と排気浄化器の酸化能力向上とを両立することは困難であった。
これに対して本実施形態の排気浄化器24では、長隔壁45の上流端44は短隔壁46の上流端42よりも突出している。対面する長隔壁45間の距離は比較的長くなっており、よって、長隔壁45の上流端面上に粒子状物質が付着・堆積しても、これら長隔壁45の上流端面間にはブリッジが形成されにくい。
また、長隔壁45の上流端44の下流側には短隔壁46の上流端42が位置し、排気浄化器24に流入した排気ガスが短隔壁46の上流端42を介して流れれば、この短隔壁46の上流端面上には粒子状物質が付着・堆積する。しかしながら、短隔壁46と長隔壁45とが対面している場合には、短隔壁46の上流端面と長隔壁45の上流端面との間にはかなりの距離があり、したがって短隔壁46の上流端面上に堆積した粒子状物質と長隔壁45の上流端面上に堆積した粒子状物質とはつながりにくく、よってこれら端面間にはブリッジが形成されにくい。
さらに、長隔壁45の上流端44から短隔壁46の上流端42まで排気ガスが流れる間に、長隔壁45の上流端44から短隔壁46の上流端42近傍までの間の長隔壁45によって排気ガス中の未燃炭化水素(HC)および可溶性有機物質(SOF)等の多くが酸化・除去される。これらHCおよびSOF等は、粘着性を有しており、煤(C)等の粘着性の小さい粒子状物質の隔壁等への付着を補助する。したがって、排気ガス中のHCおよびSOF等が酸化・除去されることにより、短隔壁46の上流端面上への煤、すなわち粒子状物質の付着が抑制される。
さらに、長隔壁45の上流端44から短隔壁46の上流端42まで排気ガスが流れる間に、上述した排気ガス中のHCおよびSOF等の酸化、さらには排気ガス中の一酸化炭素(CO)等の酸化が行われることにより反応熱が発生する。このため、この反応熱により排気浄化器24の隔壁41が昇温され、短隔壁46の上流端42近傍における隔壁41の温度が高くなる。すなわち、この反応熱により、短隔壁46の上流端42の温度は高くなる。このように隔壁41が高温である場合にはその隔壁に粒子状物質が付着しにくいため、短隔壁46の上流端面への粒子状物質の付着が抑制される。
このように、セル40のセル密度を小さくしても、短隔壁46の上流端面においては粒子状物質のブリッジが形成されにくい。そこで、本実施形態では、セル40のセル密度は、短隔壁46の上流端面上に粒子状物質が付着・堆積していない状態において排気浄化器24によって生じる圧力損失と、短隔壁46の上流端42よりも排気下流側において排気ガスと隔壁壁面との接触面積との兼ね合いで最適となるように決定される。このようにセル40のセル密度を小さくしても、入口開口47の断面積は小さくならず、よって長隔壁45の上流端面上に付着・堆積した粒子状物質はブリッジを形成しにくい。
したがって、本実施形態によれば、セル40のセル密度が小さいことにより、排気ガスと隔壁との接触面積を広くとることができるため、排気浄化器24を流れる排気ガスの浄化効率を高く維持することができると共に、長隔壁45の上流端面および短隔壁46の上流端面上には粒子状物質のブリッジが形成されにくく、粒子状物質によるセルの閉塞が抑制される。
なお、長隔壁45の上流端面と短隔壁46の上流端面との間の所定距離Dは、排気浄化器24に流入した排気ガスが長隔壁45の上流端近傍から短隔壁46の上流端近傍まで流れる間に、排気ガス中のHCおよびSOF等をある程度酸化・除去することができ且つ排気ガス中のHC、SOFおよびCO等を酸化することによる反応熱で、短隔壁46の上流端42が一定温度以上昇温されるような距離である。本実施形態では、上記所定距離Dは、長隔壁45の上流端44と下流端43との間の距離の1/4〜1/3である。
また、上述した実施形態では、各入口開口47が四つのセル40と連通するように形成されているが、各入口開口47が二つ以上のセルと連通するように形成されていれば、幾つのセルと連通していてもよい。各入口開口47が二つ以上のセル40と連通するように形成されていれば、上述した実施形態と同様な効果を得られる。
ただし、セルが短隔壁のみによって画成されると、そのセルを画成する短隔壁の上流端面は同一平面上に位置し、したがって対面する隔壁の上流端面間の距離が短いため粒子状物質のブリッジが形成され易くなってしまう。このため、各セルは少なくとも一つの短隔壁と、少なくとも一つの長隔壁とによって画成されるのが好ましい。これにより、各セルが粒子状物質によって閉塞されてしまうことが抑制される。
また、図3における上下方向を縦方向、左右方向を横方向とすると、上述した実施形態では、各入口開口47は縦方向に2列、横方向に2列のセル40と連通しているが、各入口開口47は縦方向に3列、横方向に2列のセルと連通させる等、一つの入口開口を画成する長隔壁のうち互いに対面する長隔壁同士の間に部分的に(好ましくは常に)これら長隔壁が対面する方向に並んだ複数のセルが配置されれば如何なる形態でセルを設けてもよい。
また、上記実施形態では、セル40および入口開口47の断面形状は共に正方形であったが、正方形以外の四角形や、三角形、六角形等、通常のモノリス型の排気浄化器で用いられるセルの断面形状であれば如何なる断面形状であってもよい。例えば、断面形状が六角形のセルを有する排気浄化器の場合、図4に示したように、各入口開口47’を四つのセル40’と連通させることも考えられる。この場合、一つの入口開口47’を画成する長隔壁45’のうち互いに対面する長隔壁45’同士の間にこれら長隔壁45’が対面する方向に一つのセル40’のみが配置されている箇所もある(例えば、図4中のa参照)が、このような場合でも一つの入口開口47’を画成する長隔壁45’のうち互いに対面する長隔壁45’同士の間にこれら長隔壁45’が対面する方向に並んだ複数のセル40’が配置されている箇所があり(例えば、図4中のb参照)、これによりこれら長隔壁45’間にはブリッジが形成されにくく、よって部分的に粒子状物質によるセルの閉塞を抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、長隔壁45および短隔壁46によって構成される排気浄化器を、排気ガス中のHCおよびCOを酸化するための排気浄化器(いわゆる「酸化触媒」)として用いているが、排気ガス中のHCおよびCOを酸化し且つ排気ガス中のNOXを還元する排気浄化器(いわゆる「三元触媒」)等として用いてもよい。さらに、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中のNOXを保持すると共に、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチになると保持しているNOXを離脱させるNOX保持剤を担持したNOX吸蔵触媒であってもよいし、排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタであってもよい。
次に、上述した排気浄化器24の製造方法について説明する。まず、混練したタルク・カオリン・アルミナ等のセラミック原料から、薄肉の隔壁を有する構造体を押出し成型する。押出し成型される構造体は、複数の隔壁によって画成される互いに平行に延びている複数のセルを有する。これら隔壁は全て、構造体の一方の端部から他方の端部まで延びている。次いで、押出し成型された構造体を焼成し、これによりセラミック製の隔壁を有する構造体が形成される。
このようにして形成されたセラミック製の構造体の隔壁のうち、隣接する四つのセル毎に、これら四つのセル間を隔てる隔壁を、これら隔壁の一方の端部から所定距離Dだけ削り取る。したがって、一方の端部から所定距離Dだけ削り取られた隔壁は、短隔壁46となり、削り取られなかった隔壁は長隔壁45となる。
なお、一方の端部付近を削り取る隔壁は、製造すべき構造体の構成によって異なり、例えば、一つの入口開口47を二つのセル40と連通させる場合には、隣接する二つのセル毎にこれら二つのセル間を隔てる隔壁の一方の端部付近が削り取られる。
このようにして、一部の隔壁の一方の端部付近を削り取った後に、構造体の隔壁壁面上に担体層としてアルミナがコーティングされ、次いでこのアルミナ層内に白金等の触媒金属が分散せしめられ、その後熱処理が加えられる。こうして、構造体の隔壁壁面上に白金等の触媒金属が担持された担体層が形成される。
ところで、上述したような構造体を製造する方法として、長隔壁の上流端から短隔壁の上流端までに対応するセル密度の低い上側部分構造体と、短隔壁の上流端から隔壁の下流端までに対応するセル密度の高い下側部分構造体とを別々に製造し、これら部分構造体を接着等することが考えられる。
ところが、このような方法で構造体を製造すると、部分構造体同士を接着等する場合に、長隔壁を形成するために上側部分構造体に設けられた隔壁と下側部分構造体に設けられた隔壁とをずれることなく一直線上に整列させなければならない。これら隔壁を一直線上に整列させることができずにずれが生じると、下側部分構造体に設けられた隔壁の上流端面は全て排気ガスの流れに晒されることになり、これら上流端面上に付着・堆積した粒子状物質はブリッジを形成してしまう。ところが、上述したように上側部分構造体と下側部分構造体とを整列させるのは困難であり、精度が要求される。
また、このように構造体を製造した場合には、上側部分構造体と下側部分構造体との熱伝導が行われにくくなる。このため、実際に使用した場合に、上側部分構造体に設けられた隔壁においてHC、SOF等の酸化による反応熱が発生しても、その熱が下側部分構造体に伝達されにくい。すなわち、本発明の短隔壁に相当する下側部分構造体の隔壁の上流側の端部が昇温されにくい。
これに対して、本実施形態によれば、隔壁の一部を削り取ることによって短隔壁46が形成されており、すなわち構造体は一体的に製造されている。したがって、長隔壁45が短隔壁46の上流端42近傍でずれることはなく、また、排気ガスが長隔壁45の上流端44近傍から短隔壁46の上流端42近傍まで流れる間にHC、SOF等の酸化によって発生した反応熱も効果的に短隔壁46の上流端42に伝達され、よって短隔壁46の上流端42も昇温されやすい。
なお、上記実施形態では、隔壁を上流端面から所定距離だけ削り取ることによって短隔壁を形成しているが、切除すること等、隔壁を上流側端部から所定距離だけ除去することができれば如何なる方法で短隔壁を形成してもよい。
24…排気浄化器
40…セル
41…隔壁
42…上流端(短隔壁)
43…下流端
44…上流端(長隔壁)
45…長隔壁
46…短隔壁
47…入口開口
40…セル
41…隔壁
42…上流端(短隔壁)
43…下流端
44…上流端(長隔壁)
45…長隔壁
46…短隔壁
47…入口開口
Claims (8)
- 機関排気通路上に配置される内燃機関の排気浄化器であって、複数の隔壁により画成される互いに平行に延びている複数のセルを具備し、上記隔壁は、排気ガスの流れ方向における上流端から下流端まで延びる長隔壁と、上記上流端よりも所定距離だけ下流側に上流端が位置する短隔壁とを有し、上記長隔壁の上流端は少なくとも二つ以上の入口開口を画成し、各入口開口はその全周を長隔壁に囲われると共に二つ以上のセルと連通している内燃機関の排気浄化器。
- 各長隔壁は二つ以上の別の長隔壁と平行に並んで配置され、互いに平行に並んだ上記長隔壁はこれら長隔壁が並んでいる方向に一定間隔毎に配置される請求項1に記載の内燃機関の排気浄化器。
- 上記長隔壁は、一つの入口開口を画成する長隔壁のうち互いに対面する長隔壁同士の間に常にこれら長隔壁が対面する方向に並んだ複数のセルが位置するように配置される請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化器。
- 上記所定距離は、上記長隔壁の上流端から下流端までの長さの1/4〜1/3である請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化器。
- 各セルは、上記長隔壁と上記短隔壁とにより画成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化器。
- 各セルの断面形状はほぼ矩形であり、一つの入口開口を画成する長隔壁のうち互いに対面する長隔壁同士の間にはこれら長隔壁が対面する方向に並んだ二つのセルが配置される請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の浄化装置。
- 内燃機関の排気浄化器の製造方法であって、複数の隔壁により画成される互いに平行に延びている複数のセルを有する構造体を成型する成型行程と、該成型された構造体を焼成する焼成行程と、隣接する所定数のセル毎にこれらセル間を隔てる隔壁を該隔壁の一方の端面から所定距離だけ除去する除去行程とを具備する内燃機関の排気浄化器の製造方法。
- 上記除去行程は、上記隔壁を削り取る行程を具備する請求項7に記載の内燃機関の排気浄化器の製造方法。
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JP2007187123A (ja) * | 2006-01-16 | 2007-07-26 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の排気浄化装置 |
-
2003
- 2003-10-28 JP JP2003367689A patent/JP2005133571A/ja active Pending
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