JP2005126530A - 層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法及び層状珪酸塩含有樹脂組成物 - Google Patents

層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法及び層状珪酸塩含有樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱可塑性ポリイミドのような分解温度が高い温度の熱可塑性樹脂中に、層状珪酸塩を高度に分散させることができ、それによって分解温度が高い熱可塑性樹脂を用いたとしても機械的強度、耐熱性及び難燃性等を効果的に高めることを可能とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 重合により硬化するための官能基もしくは骨格を有する反応性モノマーと、層状珪酸塩とを混練する第1の工程と、前記第1の工程で得られた混練物と、TG/DTA測定から求めた分解開始温度が250℃以上である熱可塑性樹脂とを混練する第2の工程と、前記第2の工程の後に、前記反応性モノマーを重合体とする第3の工程とを備える、層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に分散させてなる層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法及び層状珪酸塩含有樹脂組成物に関し、より詳細には、熱可塑性ポリイミドのような分解温度が高い熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散されている層状珪酸塩含有樹脂組成物及びその製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩の薄片状結晶を分散させてなる樹脂組成物が知られている。層状珪酸塩が分散されている樹脂組成物では、層状珪酸塩の分散により、機械的強度、耐熱性及び難燃性等が高められる。
しかしながら、層状珪酸塩によりこれらの特性を改善するには、層状珪酸塩の薄片状結晶がある程度の層間距離を隔てて配置された状態、すなわち、高度に分散されていることが必要である。
下記の特許文献1には、熱可塑性ポリイミド中に有機オニウムイオンにより有機化処理された層状珪酸塩を分散させてなる樹脂組成物が開示されている。有機化された層状珪酸塩を用いることにより、層状珪酸塩の分散性が高められるとされている。
特許第2872756号
特許文献1に記載の組成物では、有機化処理された層状珪酸塩を用いることにより層状珪酸塩の分散性が高められている。しかしながら、有機化処理された層状珪酸塩を用いるだけでは、層状珪酸塩の層間距離をより一層大きくし、すなわち層状珪酸塩をより一層高度に分散させることはできなかった。
従って、樹脂中に層状珪酸塩を高度に分散するには、最適な層間化合物を添加し、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離を十分な大きさとする必要があった。
しかしながら、熱可塑性ポリイミドでは、分解温度が250℃以上であるため、使用する層間化合物として250℃以上の温度に耐え得る層間化合物を用いなければ層状珪酸塩を高度に分散させることはできない。他方、このような250℃以上の高温に耐え得る層間化合物はあまり知られておらず、従って、熱可塑性ポリイミド中に層状珪酸塩を高度に分散させることはできなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、熱可塑性ポリイミドのような分解温度が高い温度の熱可塑性樹脂中に、層状珪酸塩を高度に分散させることができ、それによって分解温度が高い熱可塑性樹脂を用いたとしても機械的強度、耐熱性及び難燃性等を効果的に高めることを可能とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び該熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明に係る層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法は、重合により硬化するための官能基もしくは骨格を有する反応性モノマーと、層状珪酸塩とを混練する第1の工程と、前記第1の工程で得られた混練物と、TG/DTA測定から求めた分解開始温度が250℃以上である熱可塑性樹脂とを混練する第2の工程と、前記第2の工程の後に、前記反応性モ
ノマーを重合体とする第3の工程とを備える。
すなわち、本発明においては、上記反応性モノマー中において層状珪酸塩を分散させることにより層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離を十分広げた状態として層状珪酸塩が分散されている混練物を得る。そして、この混練物と熱可塑性樹脂とを混練し、しかる後、上記反応性モノマーを重合体とすることにより熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が高度に分散された樹脂組成物が得られる。
本発明に係る製造方法のある特定の局面では、上記反応性モノマーとして熱硬化性モノマーが用いられる。このような熱硬化性モノマーとしては、例えばイミド基を有する熱硬化性ポリマーが用いられる。上記反応性モノマーとしてのイミド基を有する熱硬化性モノマーを用いることにより、上記のように層状珪酸塩の薄片状結晶と混練することにより薄片状結晶を高度に分散させることができる。また、該熱硬化性モノマーと、層状珪酸塩との混練物を熱可塑性樹脂と混練したとしても、層状珪酸塩が高度に分散された状態が確実に維持される。従って、第3の工程において、反応性モノマーを重合体として硬化させることにより、層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散された熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明においては、好ましくは、上記熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリアミドイミドからなる群から選択された一種により構成される。
また、本発明に係る製造方法のある特定の局面では、前記層状珪酸塩100重量部に対し、前記反応性モノマーが10〜500重量部混練される。
本発明に係る層状珪酸塩樹脂組成物は、本発明の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法により得られたことを特徴とし、本発明に係る樹脂組成物シートは、本発明の製造方法に従って得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法では、第1の工程において、重合により硬化するための官能基もしくは骨格を有する反応性モノマーと、層状珪酸塩とを混練する。該反応性モノマーが、層状珪酸塩の薄片状結晶間を開くように層状珪酸塩の薄片状結晶間に侵入する。従って、混練物中において、層状珪酸塩が高度に分散される。しかる後、第1の工程で得られた混練物と、TG/DTA測定から求めた分解開始温度が250℃以上である熱可塑性樹脂とが混練されるが、この場合においても、層状珪酸塩が高度に分散された状態が維持される。そして、第3の工程において、反応性モノマーが重合体とされ、それによって機械的強度や耐熱性がさらに改善される。
従って、本発明に係る製造方法によれば、層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散されることにより、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、耐熱性等が改善され、さらに層状珪酸塩を高度に分散させるために用いた上記反応性モノマーが最終的に重合体とされるため、該反応性モノマーの存在によって耐熱性等が低下するおそれもない。よって、本発明の製造方法によれば、耐熱性及び機械的強度等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することが可能となる。
上記反応性モノマーとして、熱硬化性モノマーを用いた場合には、加熱により反応性モノマーを硬化し、重合することができる。
上記熱硬化性モノマーがイミド基を有する場合には、例えば、250℃以上の分解開始温度を有する熱可塑性樹脂として熱可塑性ポリイミドを用いた場合、熱可塑性ポリイミド
とイミド基を有する熱硬化性モノマーとの相溶性が優れているため、層状珪酸塩が高度に分散された熱可塑性ポリイミド系樹脂組成物を提供することができる。
上記熱可塑性樹脂は、TG/DTA測定から求めた分解開始温度が250℃以上のものである。より好ましくはTG/DTA測定から求めた分解開始温度が300℃以上である。このような熱可塑性樹脂としては特に限定はされないが、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリアリレート、ポリサルホン、ポリーエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられ、より好ましくは、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミドである。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物の耐熱性及び機械的強度をより一層十分なものとする。
本発明におけるTG/DTA測定から求めた分解開始温度は以下の要領で求められる。
・Tg/DTA測定法
使用装置:TG/DTA320(セイコー電子工業株式会社)
予め試料中に含有されている水分を取り除くために、試料を120℃で5時間予備乾燥を行なう。
昇温条件: 30℃〜800℃の範囲で10℃/分で昇温
雰囲気:窒素雰囲気下で窒素流量は200ml/分とする
試料重量:3mg〜10mg
分解開始点:150℃時点での重量に対して98%の重量に達した時の温度をいう
層状珪酸塩100重量部に対し、反応性モノマーが10〜500重量部混練される場合には、後述の実施例から明らかなように、より一層層状珪酸塩が高度に分散された層状珪酸塩含有樹脂組成物を提供することができる。
本発明に係る層状珪酸塩含有樹脂組成物及び該層状珪酸塩含有樹脂組成物からなる樹脂組成物シートでは、本発明の製造方法を用いて得られているため、層状珪酸塩が高度に分散されており、従って、耐熱性及び機械的強度等に優れた樹脂組成物やシートを提供することができる。
本発明において用いられる上記反応性モノマーとしては、重合により硬化するための官能基もしくは骨格を有する適宜の反応性モノマーが用いられる。このような官能基もしくは骨格としては、例えば、グリシジル基、スチレン基、ビニル基、ノルボルネン骨格などが挙げられる。好ましくは、官能基としてイミド基、アミド基もしくはカルボニル基などを有するグリシジル基、またはノルボルネン骨格などの反応性骨格を有するものが用いられ、さらに好ましくは、アリルナジイミド骨格を有する反応性モノマーが用いられる。このようなアリルナジイミド骨格を有する反応性モノマーとしては、例えば、ビスアリルナジイミドが挙げられる。ビスアリルナジイミドとしては、例えば、丸善石油化学工業社製、商品名:BANI−Mなどが挙げられる。
アリルナジイミド骨格を有する反応性モノマーは、重合により硬化し、硬化物を与えるが上記層状珪酸塩の薄片状結晶間を広げる層間化合物として効果的に作用する。
本発明において用いられる反応性モノマーは、上記300℃の温度以上の分解開始温度を有する熱可塑性樹脂と相溶性に優れているものであることが望ましい。すなわち、両者の相溶性が優れている場合、最終的に得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物における樹脂マトリックスにおいてクラックが生じ難く、かつ均一な樹脂マトリックス部分を構成するこ
とができる。従って、熱可塑性樹脂として熱可塑性ポリイミドを用いる場合、反応性モノマーはイミド基を有する反応性モノマーであることが望ましく、上記アリルナジイミド骨格を有する熱硬化性モノマーが好適に用いられる。
また、本発明において、上記層間化合物として反応性モノマーを用いているのは、モノマーであるため、ポリマーに比べて層状珪酸塩の薄片状結晶を高度に分散させることができるからである。また、モノマーの中でも反応性を有するものを用いるのは、最終的に得られた熱可塑性樹脂組成物中において該反応性モノマーを重合させ、ポリマー状態とするためである。それによって、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度及び耐熱性の劣化が抑制される。
上記反応性モノマーは、層状珪酸塩100重量部に対し、10〜500重量部の割合で混練することが望ましい。10重量部未満では、反応性モノマーの添加量が十分でなく、層状珪酸塩を高度に分散させることが困難となることがあり、500重量部を越えると、層状珪酸塩の添加割合が少なくなり、層状珪酸塩の配合による機械的強度及び耐熱性の向上等の効果が十分に得られないことがある。好ましくは、層状珪酸塩100重量部に対し、反応性モノマーは50〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部の割合で配合される。
上記層状珪酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト及びノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、膨潤性マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等が挙げられる。溶媒中での膨潤性に優れることからシラン化合物の層状珪酸塩の層間への挿入が容易となり、効率的にシラン処理を行い得るという点から、モンモリロナイト、ヘクトライト、膨潤性マイカ、及びバーミキュライトからなる群より選択される少なくとも1種が好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記層状珪酸塩の結晶形状としては特に限定されないが、力学的特性等の物性向上効果を十分に得るには、平均長さの好ましい下限は0.01μm、上限は3μm、厚さの好ましい下限は0.0004μm、上限は0.5μm、アスペクト比の好ましい下限は20、上限は5000であり、平均長さのより好ましい下限は0.05μm、上限は2μm、厚さのより好ましい下限は、0.0004μm、上限は0.1μm、アスペクト比のより好ましい下限は50、上限は3000である。
上記層状珪酸塩は、下記式(1)で定義される形状異方性効果が大きいことが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂は優れた力学的物性を有するものとなる。
式(1):
形状異方性効果=薄片状結晶の積層面の表面積/薄片状結晶の積層側面の表面積
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の薄片状結晶表面に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンを意味し、これらの金属イオンは、カチオン性物質とのカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の薄片状結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量としては、特に限定されないが、好ましい下限は50ミリ等量/100g、上限は200ミリ等量/100gである。50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレートされるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が十分に非極性化(疎水化)されないことがある。200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固
になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
好ましくは、上記の層状珪酸塩の層間カチオンが有機処理されたカチオンに置換されていることが望ましい。このような有機化処理は、例えば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、複素環芳香族アンモニウム塩などのオニウム族を用いて行なわれる。なかでも、耐熱性の点から4級ホスホニウム塩、複素環芳香族アンモニウム塩が好ましい。
上記4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステリアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム族は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記複素環芳香族アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、イミダゾリウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等が挙げられ、なかでもイミダゾリウム塩が好適に用いられる。これらの複素環芳香族アンモニウム塩は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また上記イミダゾリウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ジメチル−N−デシルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−N−オクチルイミダゾリウム、1,2ジメチル−N−ブチルイミダゾリウム等が挙げられる。これらのイミダゾリウム塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アンモニウム塩のうち、層状珪酸塩の結晶層間を十分に疎水化できることから、炭素数6以上のアルキルアンモニウムイオンを含有する、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が好適に用いられる。上記4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、トリメチルアルキルアンモニウム塩、トリエチルアルキルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、ジブチルジアルキルアンモニウム塩、メチルベンジルジアルキルアンモニウム塩、ジベンジルジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、芳香環を有する4級アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリルN,N−ジメチルアンモニウム塩等が好適である。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記層状珪酸塩を用いて本発明の樹脂組成物を製造する場合、層状珪酸塩を化学修飾して樹脂との親和性を高めることにより樹脂中への分散性を向上されたものを用いることが好ましく、このような化学処理により樹脂中に層状珪酸塩を大量に分散することができる。本発明に用いられる樹脂、あるいは本発明の樹脂組成物を製造する際に用いられる溶媒に適した化学修飾を層状珪酸塩に施さない場合、層状珪酸塩は凝集しやすくなるので大量に分散させることができないが、樹脂あるいは溶媒に適した化学修飾を施すことにより、樹脂100重量部に対して層状珪酸塩を10重量部以上添加した場合においても、樹脂中に凝集することなく分散させることができる。上記化学修飾は、例えば、以下に示す化学
修飾法によって実施することができる。
上記化学修飾法は、カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法ともいい、予め層状珪酸塩の層間をカチオン性界面活性剤でカチオン交換し、疎水化しておく方法である。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことにより、層状珪酸塩とポリイミド樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を均一に微分散させることができる。
上記層状珪酸塩は、本発明の樹脂組成物中に、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部または全部の積層体が5層以下であるように分散していることが好ましい。上記平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部または全部の積層体が5層以下であるように層状珪酸塩が分散していることにより、樹脂と層状珪酸塩との界面面積は十分に大きく、かつ、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離は適度なものとなり、高温物性、力学的物性、耐熱性、寸法安定性等において分散による改善効果を十分に得ることができる。
上記平均層間距離の好ましい上限は5nmである。5nmを超えると、層状珪酸塩の結晶薄片が層毎に分離して相互作用が無視できるほど弱まるので、高温での束縛強度が弱くなり、十分な寸法安定性が得られないことがある。
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の薄片状結晶を層とみなした場合における層間の距離の平均を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡、すなわち、広角X線回折測定法により算出することができるものである。
上記一部または全部の積層体が5層以下であるように層状珪酸塩が分散しているとは、具体的には、層状珪酸塩の薄片状結晶間の相互作用が弱められて薄片状結晶の積層体の一部または全部が分散していることを意味する。好ましくは、層状珪酸塩の積層体の10%以上が5層以下にして分散されており、層状珪酸塩の積層体20%以上が5層以下にして分散されていることがより好ましい。
なお、5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合は、樹脂組成物を透過型電子顕微鏡により5万〜10万倍に拡大して観察し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下の積層体として分散している積層体の層数Yを計測することにより、下記式(2)から算出することができる。
5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合(%)=(Y/X)×100
………式(2)
また、層状珪酸塩の積層体における積層数としては、層状珪酸塩の分散による効果を得るためには5層以下であることが好ましく、より好ましくは3層以下であり、さらに好ましくは1層である。
本発明の樹脂組成物では、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、かつ、一部または全部の積層体が5層以下である層状珪酸塩が分散しているものとすることにより、樹脂と層状珪酸塩との界面面積が十分に大きくなって、樹脂と層状珪酸塩の表面との相互作用が大きくなり、溶融粘度が高まり成形性が向上することに加え、常温から高温までの広い温度領域で弾性率等の力学的物性が向上し、樹脂のTgまたは融点以上の高温でも力学的物性を保持することができ、高温時の線膨張率も低く抑えることができる。かかる理由は明らかではないが、Tgまたは融点以上の温度領域においても、微分散状態の層状珪酸塩が1種の疑似架橋点として作用しているためにこれら物性が発現すると考えられる。一方、層状珪酸塩の薄片状結晶間の距離も適度なものとなるので、燃焼時に、層状珪酸塩の薄片状結晶が移動して難燃被膜となる焼結体を形
成しやすくなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスをも遮断することができ、本発明の樹脂組成物は優れた難燃性を発現する。
上記熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との配合割合については、熱可塑性樹脂100重量部に対し、層状珪酸塩を0.1〜40重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1〜20重量部の範囲で配合することが望ましい。層状珪酸塩の配合割合が0.1重量部未満の場合には、層状珪酸塩の添加による機械的強度及び耐熱性の向上といった効果が得られないことがあり、40重量部を越えると、熱可塑性樹脂組成物の引張伸びが低下したり、脆弱化することがある。
本発明の製造方法の特徴は、上記反応性モノマーと層状珪酸塩とをまず第1の工程で混練することにあり、それによって層状珪酸塩が反応性モノマー中において高度に分散される。この混練は適宜のミキサー等を用いて行なうことができる。
次に、第1の工程で得られた混練物と、上記熱可塑性樹脂とが混練される。この混練についても適宜のミキサー等を用いて行なうことができる。そして、反応性モノマーを用いて層状珪酸塩が高度に分散されている混練物と熱可塑性樹脂とが混練された状態において、樹脂マトリックス中に、層状珪酸塩が高度に分散されることになる。しかる後、第3の工程において、上記反応性モノマーを重合体とすることにより熱可塑性樹脂組成物中に層状珪酸塩が高度に分散され、耐熱性及び機械的強度等に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
上記反応性モノマーを重合体とする工程についても、反応性モノマーが熱硬化性モノマーである場合には加熱により重合・硬化させる方法、また反応性モノマーが光硬化性モノマーである場合には、光を照射する方法を適宜用いればよい。
本発明に係る層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法により得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物は、様々な形状の樹脂成形品として用いることがきる。このような形状の例としては、樹脂組成物シート、樹脂組成物プレートなどを挙げることができ、本発明に従って得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物を用いることにより、耐熱性や機械的強度に優れたシートやプレートを得ることができる。
次に、具体的な実験例につき説明する。
(実施例1)
ラボプラストミル(東洋精機社製、品番:100C100)中に反応性モノマーとしての熱硬化性ポリイミド(商品名:BANI−M、丸善石油化学工業社製)50重量部と、層状珪酸塩として1,2−ジメチル−3−デシルイミダゾリウムで層間を有機処理した合成マイカ(コープケミカル社製)50重量部とを投入し、窒素気流下、150℃で15分、90rpmで溶融混練を行なった。得られた樹脂組成物10重量部と、熱可塑性ポリイミド樹脂としてPD−450M(商品名:オーラム、三井化学社製)90重量部とを押出機に投入し、窒素気流下、300℃で15分、90rpmで溶融混練し、得られた樹脂組成物を窒素気流下、上下プレス材を330℃に温度調節された熱プレスで75秒間、プレス圧4.9N/mm2でプレスすることにより圧延し、樹脂組成物からなる厚さ100μ
mの板状成形体を作成した。
(実施例2)
ラボプラストミル(東洋精機社製、100C100)中に熱硬化製ポリイミド(商品名:BANI−M、丸善石油化学工業社製)50重量部と、層状珪酸塩としてトリフェニル
メチルトリフェニルホスホニウムで層間を有機処理した合成マイカ(コープケミカル社製)50重量部とを投入し、窒素気流下、150℃で15分、90rpmで溶融混練を行なった。続いて、得られた樹脂組成物10重量部と、熱可塑性ポリイミド樹脂としてPD−450M(商品名:オーラム、三井化学社製)90重量部とを押出機に投入し、窒素気流下、300℃で15分、90rpmで溶融混練し、得られた樹脂組成物を窒素気流下、上下プレス材を330℃に温度調節された熱プレスで75秒間、プレス圧4.9N/mm2
でプレスすることにより圧延し、樹脂組成物からなる厚さ100μmの板状成形体を作成した。
(比較例1)
ラボプラストミル(東洋精機社製、100C100)中に熱可塑性ポリイミド樹脂としてPD−450M(商品名:オーラム、三井化学社製)95重量部と、層状珪酸塩として1,2−ジメチル−3−デシルイミダゾリウムで層間を有機処理した合成マイカ(コープケミカル社製)5重量部とを投入し、窒素気流下、330℃で15分、90rpmで溶融混練し、得られた樹脂組成物を窒素気流下、上下プレス材を350℃に温度調節された熱プレスで75秒間、プレス圧4.9N/mm2でプレスすることにより圧延し、樹脂組成
物からなる厚さ100μmの板状成形体を作成した。
(比較例2)
ラボプラストミル(東洋精機社製、100C100)中に熱可塑性ポリイミド樹脂としてPD−450M(商品名:オーラム、三井化学社製)95重量部と、層状珪酸塩としてトリフェニルメチルトリフェニルホスホニウムで層間を有機処理した合成マイカ(コープケミカル社製)5重量部とを投入し、窒素気流下、330℃で15分、90rpmで溶融混練し、得られた樹脂組成物を窒素気流下、上下プレス材を350℃に温度調節された熱プレスで75秒間、プレス圧4.9N/mm2でプレスすることにより圧延し、樹脂組成
物からなる厚さ100μmの板状成形体を作成した。
(比較例3)
ラボプラストミル(東洋精機社製、100C100)中に熱可塑性ポリイミド樹脂としてPD−450M(商品名:オーラム、三井化学社製)を投入し、窒素気流下、330℃で15分、90rpmで溶融混練し、得られた樹脂組成物を窒素気流下、上下プレス材を350℃に温度調節された熱プレスで75秒間、プレス圧4.9N/mm2でプレスする
ことにより圧延し、樹脂組成物からなる厚さ100μmの板状成形体を作成した。
(実施例及び比較例の評価)
・吸水率の測定方法
得られた樹脂フィルムを170℃で1時間予め乾燥を行なったあと重量を測定した。その後23℃の水中に24時間浸漬させて取り出し吸水後の重量を測定した。吸水率は欠き式より求めた。
吸水率=(吸水後の重量−吸水前の重量)/(吸水前の重量)×100とする。
・熱線膨張係数の測定方法
装置:TMA/SS120C(セイコー電子工業株式会社)
単位断面積あたりの引張荷重:5×104−1×105Pa(引張荷重:19.6mNであるが、装置の都合上微量の荷重を加えねばならない。19.6mN程度の微量な荷重であれば、樹脂の熱線膨張係数(α1)に関しては影響がほとんど無いと考えられる)
昇温、降温条件:1)25℃〜200℃:10℃分昇温
2)200℃〜10℃:20℃/分降温
3)10℃で5分保持
4)10℃〜330℃:5℃/分昇温(熱線膨張係数を求める時のデータ
としてここの過程で検討を行なう)
熱線膨張係数 α1 :25℃〜150℃間フィルムの伸びの傾き値
α2 :Tg〜300℃間フィルムの伸びの傾き値
・層状珪酸塩の分散性測定法
X線回折装置(リガク社製、RINT1100)を用いて、厚さ2mmの板状成形体の層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定し、下記式(2)のブラックの回折式により、層状珪酸塩の(001)面間隔dを算出し、得られたdを平均層間距離(nm)とした。
λ=2×d×sinθ ………(3)
上記式(2)中、λは0.154(オングストローム)であり、θは回折角を表す。
・5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合
厚さ100μmの板状成形体を透過型電子顕微鏡により10万倍で観察し、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層体の全層数X及び5層以下で分散している層状珪酸塩の層数Yを計測し、下記式(4)に示すように、5層以下の積層体として分散している割合を求めた。
5層以下の積層体として分散している層状珪酸塩の割合(%)=(Y/X)×100………式(4)
結果を下記表1に示す。

Claims (7)

  1. 重合により硬化するための官能基もしくは骨格を有する反応性モノマーと、層状珪酸塩とを混練する第1の工程と、
    前記第1の工程で得られた混練物と、TG/DTA測定から求めた分解開始温度が250℃以上である熱可塑性樹脂とを混練する第2の工程と、
    前記第2の工程の後に、前記反応性モノマーを重合体とする第3の工程とを備える、層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記反応性モノマーが、熱硬化性モノマーである請求項1に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記熱硬化性モノマーがイミド基を有する請求項2に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドイミドからなる群から選択された一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記層状珪酸塩100重量部に対し、前記反応性モノマーが10〜500重量部混練される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法により得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の層状珪酸塩含有樹脂組成物の製造方法により得られた層状珪酸塩含有樹脂組成物からなる樹脂組成物シート。


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