JP2005125472A - 切粉吸引ヘッド及びワークの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋削機械に特に好適な切粉吸引ヘッド及び切粉吸引ヘッドを用いて切粉を除去しながら行うワークの加工方法を提供する。
【解決手段】空気吸引ダクト4とほぼ同等の流路面積を有する筒形ないし箱形のヘッド本体内1に、本体に設けた開口2を通して工具13の先端とワーク6とを差し込んで、ワークを加工する。主軸の上下に刃物台を備えた旋盤であれば、刃物台にヘッド本体をX軸方向に進退可能に設けて、上刃物台の工具で加工を行うときは、下刃物台に装着した吸引ヘッドを用い、下刃物台で加工を行うときは、上刃物台に装着した吸引ヘッドを用いて加工を行う。刃物台が1個のときは、刃物台と同期移動可能なトラバーサを主軸と平行に設け、トラバーサにヘッド本体を主軸直角方向に進退可能に設ける。
【選択図】図1
【解決手段】空気吸引ダクト4とほぼ同等の流路面積を有する筒形ないし箱形のヘッド本体内1に、本体に設けた開口2を通して工具13の先端とワーク6とを差し込んで、ワークを加工する。主軸の上下に刃物台を備えた旋盤であれば、刃物台にヘッド本体をX軸方向に進退可能に設けて、上刃物台の工具で加工を行うときは、下刃物台に装着した吸引ヘッドを用い、下刃物台で加工を行うときは、上刃物台に装着した吸引ヘッドを用いて加工を行う。刃物台が1個のときは、刃物台と同期移動可能なトラバーサを主軸と平行に設け、トラバーサにヘッド本体を主軸直角方向に進退可能に設ける。
【選択図】図1
Description
この発明は、旋盤その他の旋削機械に特に好適な切粉吸引ヘッド及び当該切粉吸引ヘッドを用いて切粉を除去しながら行うワークの加工方法に関するものである。
切粉の比重が軽く、微粉化する木工機械においては、空気流で切粉を吸引しながら加工をすることが一般的に行われている。この場合に用いられる構造は、丸鋸やかんな胴などの工具全体をダクトで覆って当該ダクト内の空気を吸引する構造と、加工位置に空気ダクトの吸引口を臨ませて切粉を吸引する構造である。
一方、金属加工機械においては、切粉の比重が重く、通常は切削液を供給しながら加工が行われるので、切削液で切粉を流下させる方法が採用されることが多いが、フライス盤において、フライスカッタをダクトで囲んで切粉を空気で吸引しようとする試みや、旋盤のバイトの刃先に空気ダクトの吸引口を臨ませて切粉を吸引除去しようとする試みがなされている。また、ワーク加工領域の上方に切粉の飛散を防止するカバーを設け、下方には落下した切粉を受け取るロート状の切粉受けを設けて、この切粉受けの底部に空気吸引ダクトを接続して、落下する切粉を空気流によって除去しようとする試みがなされている。
しかし、比重の大きい金属の切粉を空気流で搬送して除去するのは比較的困難で、特に空気吸引ダクトの開口を切粉の発生部や落下部に臨ませただけでは、鉄などの比重の重い切粉を吸引することは困難である。そのため、切削液で切粉を流下させる方法が一般に用いられているのであるが、切削液が飛散して作業環境が悪くなることと、加工熱で切削液の温度が上昇するために工作機械の熱変形が大きくなることが問題である。
特開昭61‐71901号公報
特開平6‐71539号公報
工具をダクトで覆って、当該ダクト内の空気流により切粉を排除する構造は、切粉の搬送力を大きくできるが、工具の形状に合せて個別にダクトを設ける必要があるため、タレット旋盤のように、形状や寸法の異なる多数の工具を用いる工作機械には採用することができない。
一方、空気吸引ダクトの開口を加工位置に臨ませる方法や、ロート状の切粉受けの底部に空気吸引ダクトを連通する構造では、切粉の排除をうまく行うことができない。これは、ダクト内の空気流速を速くしても、ダクトの開口から少し離れただけで空気の流速が急激に減少して搬送力を失うので、四方八方へと飛散する切粉を空気流で吸引ダクト内へと引き戻すことができないためであると考えられる。
更に、ワークの材質により、特にその仕上加工時において、切粉が長く連続してコイル状になって排出され、これが工具やワークに絡みつく現象が生ずるが、このような切粉を空気流によって吸引ダクトの開口に導くことは、極めて困難である。
この発明は、上記のような従来方法の問題点を解決するためになされたもので、比重の重い切粉やコイル状になった切粉でも空気流によって確実に吸引して除去することができる技術手段を得ることを課題としている。
この発明は、空気吸引ダクト4とほぼ同等の流路面積を有する筒形ないし箱形のヘッド本体1内に工具13、14の先端とワーク6の加工位置とを収容して種々の形状の工具でワークを加工することを可能にした切粉吸引ヘッド5を提供することにより、上記課題を解決している。
本願の請求項1の発明に係る切粉吸引ヘッドは、内空を空気吸引ダクト4に連通した筒形ないし箱形のヘッド本体1と、当該ヘッド本体を貫通する軸線上でヘッド本体1の壁に設けた開口2と、当該軸線と直交する軸線上でヘッド本体1の壁に設けた少なくとも1個の開口7、10とを備えている。
本願の請求項2の発明に係る切粉吸引ヘッドは、両端の開放端の一方を空気吸引ダクト4に連通し他方を開口7とした筒体1と、当該筒体の壁に軸直角方向に設けた開口2とを備えている。
また本願の請求項3の発明に係る切粉吸引ヘッドは、一端を閉鎖し他端を空気吸引ダクト4に連通した筒体1と、当該筒体の軸に垂直な面内で互いに直交する方向に設けた開口2、10とを備えている。
上記の各切粉吸引ヘッドにおける開口2は、一般的には筒状ないし箱状の本体1を貫通するように同一軸線上に2個設けるが、長さの短い小型ワークを加工するときは、本会1を貫通する軸線上の一方の壁にのみ設ける。なお筒体は、円筒体である必要はなく、工具の形状によって円筒体又は角筒体とするのが好ましい。
上記の切粉吸引ヘッドを用いる本願請求項4の発明に係るワークの加工方法は、上記請求項1、2又は3記載の切粉吸引ヘッド5の開口2にワーク6を挿通し、これと直交する開口7、10に工具13を挿通して、ワーク軸線方向には上記切粉吸引ヘッドと工具とを同期移動させるというものである。
また本願請求項5の発明に係るワークの加工方法は、上記請求項1、2又は3記載の切粉吸引ヘッド5の本体1を貫通する同一軸線上の開口2の一方にワーク6を挿通し他方に工具14を挿通して加工を行うというものである。
ワーク6や工具13、14の種類が限定される場合には、開口2、7、10の開口形状を当該ワークや工具の形状に応じた形状とすることができる。例えば、工具としてバイト13のみを用いる旋盤であれば、工具を挿入する開口7、10の上半分ないし下半分(ワーク6の回転方向によって上か下かが決る。)を閉鎖した形状にできる。
ヘッド本体1に接続する空気吸引ダクト4は、その接続部で流路面積が大きく変化しないようにする。即ち、ヘッド本体1内にこれに接続される空気吸引ダクト4内の流速とほぼ同等な流速の空気流が生ずるようにする。
主軸の上下に刃物台を備えた旋盤であれば、当該刃物台にヘッド本体1をX軸方向(主軸直角方向)に進退可能に設けて、上刃物台の工具で加工を行うときは、下刃物台に装着した吸引ヘッドを用い、下刃物台で加工を行うときは、上刃物台に装着した吸引ヘッドを用いて加工を行うようにすればよい。刃物台が1個のときは、刃物台と同期移動可能なトラバーサ16を主軸15と平行に設け、当該トラバーサにヘッド本体を主軸直角方向に進退可能に設けてやればよい。
この発明の吸引ヘッドは、その開口にワークを挿通した状態で使用されるので、ワークを挿通する開口の軸心が主軸方向を向くようにし、かつ当該軸心がワーク中心と一致する進出位置と適宜な退避位置との間で進退可能に装着すれば良い。この主軸直角方向の進退動作は、刃物台のX軸移動を利用して行うこともできるが、単に進出位置と退避位置との2位置をとればよいので、エアシリンダなどで行うこともできる。
この発明では、工具13、14の先端とワーク6の加工位置とが筒形ないし箱形のヘッド本体1で囲まれた状態で加工が行われ、かつ当該ヘッド本体内には、ワークや工具が挿入された開口2、7、10から流入した空気が高速で流れるため、大きな搬送力が得られ、切粉の周囲への飛散も防止されるので、比重の重い金属の切粉やコイル状になって絡まった切粉も吸引して排除することができる。
また、加工部に速い空気流が生成されるため、加工部が空冷され加工熱の発生が抑えられる。切削液を用いる加工では、切削液の温度上昇が抑えられ、切削液が切粉と共に吸引排除される。また空気流による冷却効果が大きいため、ワークの材質や加工条件によっては、切削液を使用しない加工も可能になる。いずれの場合も、切削液が機械上に飛散することがなくなるので、機械の温度上昇を防止でき、熱変形による加工誤差を最小にできる。
更に吸引した切粉を空気搬送して回収することが可能となり、切粉排出用のチップコンベアを個々の機械に設ける必要がなくなり、切粉や切削液の飛散を防止できることから、工場内の作業環境を改善することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。図1ないし図4は、両端が開放された円筒体に軸直角方向に貫通する開口2、2を設け、開放端の一方に空気吸引ダクト4を接続した切粉吸引ヘッド5を用いてワーク6を加工している各種の態様を示した図である。
図は旋盤での加工を示したもので、11は主軸チャック(2主軸対向旋盤の左側主軸チャック)、12は2主軸対向旋盤の右側主軸チャック、13はバイト、14はドリルである。ヘッド本体1は、筒軸に直角方向の開口2、2をワーク6又はドリル14の挿通開口とし、筒体1の開放端の一方7をバイト(工具)13の挿通開口としている。
図1は、主軸チャック11で把持したワーク6の外周ないし先端をバイト13で旋削加工している例を示した図で、矢印8は空気の吸引方向を示している。図に示すように、バイト13の先端及びワーク6の加工部は、筒体1で包囲され、この筒体内には開口2、2、7のワーク6やバイト13との間の隙間から流入した空気が空気吸引ダクト4内の流速とほぼ等しい速度で流れる。加工部で発生して四方へ飛散しようとする切粉は、筒体1の周壁によって遮られ、あるいは開口2、2、7から流入する速い速度の空気流で引き戻されて、空気吸引ダクト4へと導かれる。
バイト13が主軸直角方向(X軸方向)に移動するときは、切粉吸引ヘッド5は停止していてよいが、主軸方向(Z軸方向)に移動するときは、バイト13と同期して移動することが必要である。この同期移動は、例えば上下に刃物台を備えた旋盤であれば、その刃物台の一方(図の例では下側刃物台)に空気吸引ダクト4を装着して、上下の刃物台をNC装置でZ軸方向に同期移動させることにより実現できる。
図2は、2主軸対向旋盤の左側チャック11と右側チャック12とでバーワーク6の両端を把持して、その外周をバイト13で旋削加工ないし突っ切り加工している例を示した図である。ヘッド本体1の筒軸直角方向の開口2、2は貫通しているので、この開口2、2を貫通したワーク6の両端を対向するチャック11、12で把持することが可能である。開口2、2へのワーク6の挿通は、右側チャック12でワーク6を把持する前に行われる。
なお、バイト13に替えてドリルやエンドミルでワーク6の外周に孔加工や溝加工を行うときも、図1や図2と同様な形態で加工が行われる。
図3は、ワーク6の先端に軸方向の孔加工を行う例を示した図で、筒体1の軸直角方向の開口の一方2からワーク6が挿入され、開口の他方2からドリル(工具)14が挿入されてワークの加工を行っている。また、図4は、2主軸対向旋盤の右側チャック12に把持されたワーク6の外周旋削加工を行っている場合の例である。
図5は、筒体1の一方の開放端を閉鎖し、他方に空気吸引ダクト4を接続し、この筒体の軸直角方向に互いに直行するワーク挿通開口2、2と、工具挿通開口10、10とを貫通させた切粉吸引ヘッド5を用いて、ワーク6の加工を行っている例を示した図である。図は上下にタレット刃物台を配置した2主軸対向旋盤での加工の例を示しており、左側チャック11に把持されたワーク6を上下のタレット刃物台に装着したバイト13、13で同時加工を行っている。
切粉吸引ヘッド5は、主軸15と平行に往復走行するトラバーサ16に空気シリンダ17などでX軸方向に進退自在に装着されている。トラバーサ16は、NC装置で上下の刃物台と同期してZ軸方向に移動できるようにする。
図6は、このように設けた切粉吸引ヘッド5からの切粉の排出系を示したブロック図である。空気吸引ダクト4で吸引された切粉は、空気吸引源(例えばエジェクタ)18を通ってサイクロン型の回収タンク19に導かれる。この回収タンクで、切粉と切削液とは切削液タンク20へ落下し、搬送空気は上方へ排気される。切削液タンク20には、従来公知のチップコンベアが設けられており、このチップコンベアで切粉がかき上げられて脱油機21を経て切粉容器22に切粉が集められる。図6に示した回収タンク19や切削液タンク20は、機械1台毎に設けてもよいが、複数台の機械から搬送されてきた切粉を纏めて処理するようにすることもできる。
なお、切粉吸引ヘッド5は、ワークの加工が終わった後、ワーク6から抜き取られるが、このとき切粉がワークに絡まった状態で残っていても、ワーク6からの抜き取り動作に伴って、絡まった切粉をワーク6から強制的に引き離すことができる。
以上説明したように、この発明を採用することにより、加工熱が工作機械内に堆積しないので、機械温度の経時変化が軽減でき、機械の熱変形による加工誤差を低下させることができて、加工精度が向上し、また空気流による冷却効果により、ワークの材質や加工条件によっては切削液を使用しないドライ加工が可能になる。また、ワークへの切粉絡みの問題が解消され、複数台の工作機械の切粉を集中処理することが可能になり、切粉処理が容易になると共に、各機械毎にチップコンベアを設ける必要がなくなる。更に切粉や切削液の飛散が防止されることから、機械カバーの簡略化ができ、機械内部の清掃が容易になり、工場全体の作業環境の改善を図ることができる。
1 円筒体
2 開口
4 空気吸引ダクト
5 切粉吸引ヘッド
6 ワーク
7 工具挿入開口
10 工具挿入開口
13 バイト
14 ドリル
2 開口
4 空気吸引ダクト
5 切粉吸引ヘッド
6 ワーク
7 工具挿入開口
10 工具挿入開口
13 バイト
14 ドリル
Claims (5)
- 内空を空気吸引ダクト(4)に連通した筒形ないし箱形のヘッド本体(1)と、当該ヘッド本体を貫通する軸線上に配置された開口(2)と、当該軸線と直交する軸線上に配置された少なくとも1個の開口(7,10)とを備えている、切粉吸引ヘッド。
- 両端の開放端の一方を空気吸引ダクト(4)に連通し他方を開口(7)とした筒体(1)と、当該筒体の壁に軸直角方向に設けた開口(2)とを備えている、切粉吸引ヘッド。
- 一端を閉鎖し他端を空気吸引ダクト(4)に連通した筒体(1)と、当該筒体の軸に垂直な面内で互いに直交する方向に設けた開口(2,10)とを備えている、切粉吸引ヘッド。
- 請求項1、2又は3記載の切粉吸引ヘッド(5)の開口(2)にワーク(6)を挿通し、これと直交する開口(7,10)に工具(13)を挿通して、ワーク軸線方向には上記切粉吸引ヘッドと工具とを同期移動させる、ワークの加工方法。
- 請求項1、2又は3記載の切粉吸引ヘッド(5)の貫通する同一軸線上の開口(2)の一方にワーク(6)を挿通し他方に工具(14)を挿通する、ワークの加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003366275A JP2005125472A (ja) | 2003-10-27 | 2003-10-27 | 切粉吸引ヘッド及びワークの加工方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102018109303A1 (de) | 2017-04-21 | 2018-10-25 | Okuma Corporation | Werkzeugmaschine |
JPWO2021192443A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 |
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2003
- 2003-10-27 JP JP2003366275A patent/JP2005125472A/ja active Pending
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US10780547B2 (en) | 2017-04-21 | 2020-09-22 | Okuma Corporation | Machine tool |
JPWO2021192443A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | ||
JP7374297B2 (ja) | 2020-03-25 | 2023-11-06 | 日東電工株式会社 | 貫通穴を有する粘着剤層付光学積層体の製造方法および該製造方法に用いられる貫通穴形成装置 |
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A02 | Decision of refusal |
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