JP2005116759A - 微細構造乾燥処理方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、30nm以下の微細パターンを持ち、100mm以上の大口径基板をパターン倒れ無く、短時間で均一に乾燥できる微細構造乾燥処理法及びその装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、リンス液に浸漬又は濡れた状態の微細構造を有する基板を高圧容器に設置する工程と、前記高圧容器内に常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で設定圧力まで導入する工程と、前記高圧容器を傾斜させ前記リンス液の大部分を前記高圧容器の上側又は下側に集める工程と、該集められた前記リンス液を排出させる工程と、前記流体の設定圧力を保ったまま前記流体の温度を臨界温度以上に昇温させる工程と、前記臨界温度状態を保ったまま前記流体を排出する工程とを順次有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な微細構造乾燥処理方法及びその装置に関する。
従来、大規模で高密度、高性能デバイスを製造するには、シリコンウェハ上に成膜したレジストに対して露光、現像、リンス洗浄及び乾燥を経てパターンを形成した後、コーティング、エッチング、リンス洗浄、乾燥等のプロセスを経て製造される。特に、レジストは、光、X線、電子線などに感光する高分子材料であり、各工程において、現像、リンス洗浄工程では現像液、リンス液等の薬液を使用しているため、リンス洗浄工程後は乾燥工程が必須である。
この乾燥工程において、基板上に形成したレジストパターン間のスペース幅が100nm程度以下になるとパターン間に残存する薬液の表面張力の作用により、パターン間にラプラス力(毛細管力)が作用してパターン倒れが発生する問題が生ずる。
一方では、例えば加速センサーやアクチュエータ等の可動部を持つ三次元微細構造部品のMEMS(Micro Electromechanical System)部品の製造は、フッ酸等のエッチング液で可動部位を含む微細構造を形成する工程と、純水リンスでエッチング液を洗浄除去する工程と乾燥工程を含んでいる。この乾燥工程においてもレジストパターンと同様に微細構造間に残る薬液による表面張力が作用して、可動部が基板に張り付く現象が発生している。
この微細構造間に残存する薬液の表面張力の作用によるパターン倒れや張付きを防止するために、微細構造物間に作用する表面張力を軽減する乾燥プロセスとして、特許文献1〜3に示す所定の圧力容器を用いると共に、二酸化炭素等の超臨界流体を用いた方法がある。
この従来の二酸化炭素等の超臨界流体を用いた乾燥法は、以下の基本工程を有する。
(1)液体又は超臨界状態の流体に可溶でない試料中の例えば水等の残存液体は、予め流体に可溶な例えばエタノールや2−プロパノール等の有機溶剤と置換しておく工程。
(2)リンス液に浸漬、又は濡れた状態、具体的には基板上にリンス液が載った状態で乾燥室となる高圧容器に水平に搬送して設置する工程。
(3)高圧容器を密閉する工程。
(4)液体状態又は超臨界状態の流体を高圧容器に導入し、所定の圧力まで昇圧する工程。
(5)高圧容器内に導入した液体又は超臨界状態の流体とリンス液を置換させる工程。
(6)高圧容器に液体の流体を導入した場合は、液体の流体とリンス液の置換後に高圧容器を臨界点以上に昇圧及び昇温させる工程。
(7)高圧容器から超臨界状態の流体を徐々に排出させる工程。
(8)高圧容器から基板を取り出す工程。
特開2003−109933号公報 特開平09−139374号公報 特開平05−315241号公報
しかし、従来の超臨界流体を用いた乾燥法は、数十分程度から1時間以上の乾燥時間を要し、特に、直径100mm以上の大口径基板上に一様に形成した微細構造に対して、均一にパターン倒れや張り付きが無く、乾燥することができなかった。
本発明の目的は、表面に微細な構造を形成した大口径基板に対してパターン倒れや張り付きがなく、短時間で均一に乾燥させることができる微細構造乾燥処理方法及びその装置を提供することにある。
本発明は、リンス液に浸漬又は濡れた状態の微細構造を有する基板が設置された高圧容器内に、常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で導入して前記高圧容器内に充填した後、流体を高圧容器に導入するときに生ずるリンス液と流体の混濁状態を短時間で収束させるために流体の流れを抑制させ、次いで前記高圧容器を傾斜させて基板に載ったリンス液を基板上から離し、前記高圧容器内のリンス液と流体の比重差を利用し、前記傾斜した高圧容器の下側または上側に集めて排出し、微細構造間に残るリンス液を置換するために流体を加振又は基板を回転させる微細構造乾燥処理法にある。
本発明は、前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させることにより前記高圧容器内のリンス液と流体との比重差を形成し前記リンス液を前記高圧容器内の上側又は下側に集めて排出する工程を有することを特徴とする。
本発明は、基板が設置された高圧容器を傾斜させることにより基板上に載ったリンス液を基板上から離し、効率的にリンス液を高圧容器より排出させるものである。
より具体的には、露光後の現像又は薬液によるエッチング及びリンスを経て表面に微細構造が形成された基板を、リンス液に浸漬又は濡れた状態で高圧容器内に設置する工程と、該高圧容器内に常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で導入する工程と、前記高圧容器を傾斜させる工程と、前記高圧容器内の前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させることにより前記高圧容器内のリンス液と流体との比重差を形成し前記リンス液を前記高圧容器内の上側又は下側に集める工程と、該高圧容器の上側又は下側に集めた前記リンス液を前記高圧容器外に排出させる工程とを有することを特徴とする微細構造乾燥処理法にある。
又、本発明は、前記流体を高圧ポンプによって前記高圧容器に圧送すること、前記傾斜した高圧容器の上側又は下側に集めた前記リンス液の前記高圧容器外への排出を前記傾斜した高圧容器の上部及び下部に設けられた少なくとも一つの排出口によって行うことが好ましい。
更に、前記基板の上側及び下側の少なくとも一方の温度調整し、前記基板の上下での温度差を無くし、前記基板近傍の前記流体の対流を防止すること、また対流を防止することにより熱伝導による前記基板近傍以外特には前記高圧容器への熱伝導を最小に抑えること、前記高圧容器内に前記流体を導入し、所定の圧力に達した後、前記高圧容器を傾斜させ、次いで前記流体の導入を停止し、前記高圧容器内の前記流体の流れを止めることが好ましい。
更に、本発明は、前記流体が液体又は超臨界状態の二酸化炭素であり、その密度を0.65〜0.95g/mlの所定の密度に変化させること、前記基板がシリコンであること、前記高圧容器内への前記流体導入時に、前記高圧容器内の昇圧速度を制御し、前記流体とリンス液の混濁を抑えることが好ましい。
また、本発明は、前記流体より比重の大きいリンス液と、前記流体より比重の小さいリンス液とを同時に使用でき、傾斜した前記高圧容器の上側と下側に各々集めて排出することができる。
前記流体の比重変化を繰り返す行程と、前記高圧容器内の前記流体の流れを抑えるプロセスと前記高圧ポンプで置換流体を導入する工程とを順次繰り返す前記リンス液と流体との置換工程とを有することはMEMSサンプルのような立体構造を乾燥する場合は特に有効である。
本発明は、露光後の現像及びリンスの工程を経て微細構造が形成され、リンス液に浸漬又は濡れた状態の基板を設置する高圧容器と、常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で貯蔵する流体貯蔵容器と、高圧容器を傾斜させる手段と、前記高圧容器内の前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させる温度又は圧力調整手段と、前記高圧容器内のリンス液と流体との比重差によって傾斜した前記高圧容器内の上側又は下側に集められた前記リンス液を前記高圧容器外に排出させるための前記傾斜した高圧容器の上側又は下側に設けられた排出口とを有することを特徴とする微細構造乾燥処理装置にある。
また、本発明の微細構造乾燥処理装置は、高圧ポンプを装備し、流体を高圧容器に圧送することにより、高圧容器内のリンス液を溶解するために十分な流体を供給できる手段を持ち、流体導入時に少なからず生ずる流体とリンス液の混濁を短時間で収束させるため、流体を高圧ポンプで圧送する流量をゼロにして、高圧容器内の置換流体の流速を最小、特にゼロにする工程を有する。
更に、リンス液の排出口を高圧容器の上部及び下部に少なくとも一方に装備することにより、置換流体より比重の大きいリンス液と、置換流体より比重の小さいリンス液を2種類以上同時に使用する場合にも、流体に溶けずに高圧容器内に残るリンスを選択的に高圧容器から排出することができる。
基板の上側と下側に温度調整器を装備して温度差による対流を最小にすること、更に導入する流体の流量をゼロにする工程によりリンス液と置換流体の混濁した状態での対流を最小にでき、短時間でリンス液の混濁状態を収束させて、大部分のリンス液を傾斜した高圧容器の上側又は下側に集めて排出することができる。
以上のように、本発明は、露光、現像又は薬液ニヨルエッチング、リンス後のレジストパターンやMEMS等の微細構造を有する試料を設置した乾燥処理室となる高圧容器に、リンス液の置換溶媒として二酸化炭素等の常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体の状態で導入し、導入する液体状態の流体の溶解性によるリンス液の置換効果を利用するレジストの乾燥処理において、基板が設置された高圧容器を傾斜することにより、置換流体に溶けずに基板上に載ったリンス液を傾斜した高圧容器内の上側又は下側に集めて、リンス液を選択的に高圧容器外に排出することにより高圧容器内に残存するリンス液の量を最小にできるものである。
そして、置換溶媒のリンス液に対する濃度を最小に維持できるため、溶解度の低下も最小にでき、溶媒の微細構造物間に残存するリンス液に対する溶解度の低下を抑えることにより、高い置換効率を得ることができると共に、置換プロセスを短縮することができる。又、種々のリンス液の使用が可能となる。
本発明によれば、従来の臨界点乾燥法が乾燥処理時間が長いこと、又、大口径基板に対しては均一な乾燥結果を得ることができないという欠点を解決できるものである。そして、本発明によれば、LSI等を大規模に製作するための露光、現像、リンス後のレジスト等のパターン幅が100nm以下、更にパターン幅70nm以下、特にパターン幅(スペース幅)30nm以下の表面微細構造を持ち、直径100mm以上の大口径基板の乾燥処理をパターン倒れ無く、更に短時間で均一に乾燥できるものである。そのためデバイス製造ラインへの適用が可能な処理速度を有するものである。
本発明は、リンス液に浸漬又は濡れた状態の微細構造を有する基板を高圧容器に設置する工程と、前記高圧容器内に常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で設定圧力まで高圧ポンプによって導入する工程と、前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させる工程と、該比重の変化により前記高圧容器内の前記リンス液と流体との比重差を形成する工程と、前記高圧容器を傾斜させ前記基板上の前記リンス液を前記傾斜した高圧容器内の上側又は下側に集める工程と、前記傾斜した高圧容器の上側又は下側に集められた前記リンス液の前記高圧容器外への排出を前記高圧容器の上部及び下部に設けられた少なくとも一方の排出口によって行う工程と、前記流体の前記設定圧力を保ったまま前記流体の温度を臨界温度以上に昇温させる工程と、前記臨界温度状態を保ったまま前記流体を排出する工程とを順次有し、前記リンス液を排出させる工程と前記臨界状態の流体を排出させる工程との間に前記流体を振動又は攪拌させる工程を有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法にある。
又、本発明は、露光後の現像又は薬液エッチング及びリンスの工程を経て微細構造が形成されリンス液に浸漬又は濡れた状態の基板を設置する高圧容器と、常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で貯蔵する流体貯蔵容器と、前記高圧容器を傾斜させる手段と、前記傾斜した高圧容器内の上側又は下側に集めた前記リンス液を排出させる前記高圧容器の上側又は下側に設けられた排出口と、前記高圧容器内の前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させる温度又は圧力調整手段と、前記流体を前記高圧容器に圧送する高圧ポンプと、前記基板の上側及び下側の少なくとも一方に前記基板を加熱する温度調整器と、前記高圧容器内に導入される記流体の圧力を制御する圧力制御装置と、前記高圧容器への前記流体導入時に前記高圧容器内の昇圧速度を制御する昇圧速度制御手段と、前記流体を振動又は攪拌させる手段を有することを特徴とする微細構造乾燥装置にある。
図1は本発明の微細構造乾燥処理装置の一例を示す断面図である。乾燥処理室である高圧容器103は上部の蓋105及び下部容器124から構成され、蓋105を開放して基板101を設置する。高圧容器103は、水平から垂直まで傾斜できる傾斜手段を持つ。高圧容器103には下部容器124の両側に紙面に対して垂直に傾斜用のギアを有する回転軸が設けられ、モータによって紙面に対して左右のいずれにも水平から90度まで左右両側に傾斜できるものである。フィルタ112、バルブ113は下部容器124に固定され、圧力制御装置123との間が高圧フレキシブル配管によって接続され、更に、背圧制御バルブ109、バルブ110が蓋105に、バルブ117、圧力制御バルブ118が下部容器124に固定され、それらの先が高圧フレキシブル配管によって接続され、図2に示すように回転可能である。
基板101は露光後の現像及びリンスの工程を経て表面に微細構造が形成されており、その表面にはリンス液102が全面に載った状態であり、高圧容器103に設けられた基板設置台104に設置される。
高圧容器103には、バルブ113を介して高圧ポンプ114及び液体二酸化炭素容器115が配管によって接続され、バルブ117を介して圧力制御バルブ118が配管によって接続される。高圧容器103は、その上部にバルブ110及び下部にバルブ107を介して背圧制御バルブ109、108がそれぞれ接続され、設定圧力を超えると排出口119又は排出口120より高圧容器内の流体又はリンス液が排出される。
高圧容器103はその容器構成材内部に形成された熱媒体の循環による温度調整機能を持ち、0〜60℃の範囲で流体の温度を制御でき、また、基板101の近傍、特に微細構造を有する面側の温度差による対流を最小限抑えるため、高圧容器内部にも基板101の上側及び下側にそれぞれ温度調整器111、106を備える。
以下、本実施例の乾燥工程を説明する。
(1)直径200mmのLSIシリコン基板上にEBレジスト(ZEP−7000:日本ゼオン製)を220nmの膜厚で製膜、乾燥した後、電子線でパターンを60nm以下のパターン幅で描画してから酢酸ノルマルヘキシルで90秒現像、2−プロパノールで100秒リンスし、表面に微細構造が形成された基板101を、蓋105と下部容器124とからなる高圧容器103の基板ホルダ104に設置する。このとき、基板101の上には液体二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素に可溶なリンス液である2−プロパノール102が厚さ約2mmで基板全面に載った状態であるか、基板101が2−プロパノール102に浸漬した状態である。
(2)高圧容器103を水平にしてから蓋105を開け、基板101を基板設置台104に設置してから、高圧容器103を気密した後、バルブ117、107、110を閉じる。
(3)バルブ113を開放すると液体状態の二酸化炭素116が高圧容器103に導入される。このとき圧力制御装置123により基板101上に形成された微細構造が破損しないように、且つリンス液102と液体二酸化炭素の混濁を最小限に抑えるため3MPa/分程度で10MPaまで昇圧するように制御する。高圧容器103に導入される液体二酸化炭素はフィルタ112を通過し不純物が除去される。
(4)図2は、高圧容器103を傾斜させた状態を示す微細構造乾燥装置の断面図である。高圧容器103を傾斜手段によって傾斜させることにより、基板101に載った2−プロパノール102の大半が基板101表面から離れ高圧容器103内に充填した液体状態の二酸化炭素116と殆ど溶けずに混ざり合い混濁状態となる。リンス液との比重差が大きい時は早く傾斜させることができる。又、傾斜を繰り返すことによって効果的に置換、排出を行うことができる。
(5)高圧容器103の温度を熱媒体の循環によって下げ、5℃程度に制御すると、液体二酸化炭素の比重が0.95g/mlになり、リンス液である2−プロパノールの比重0.80g/mlとの比重差が約0.15g/ml程度になるため、図2に示すように、2−プロパノールは傾斜した高圧容器103内の上部に集まる。10MPaまでの昇圧及び5℃までの降温は同時に移行させても良い。
(6)圧力が10MPaに達したら、液体二酸化炭素と2−プロパノールの混濁状態を収束させるため、約60秒間、高圧ポンプで液体二酸化炭素を圧送することを停止して高圧容器内に液体二酸化炭素の流れを生じないようにする。同時に、高圧容器内の上部と下部の温度差により液体二酸化炭素の対流を最小に抑えるため温度調整器106、111を5℃に制御する。
(7)2−プロパノールと液体二酸化炭素の混濁が収束したら、再度、高圧ポンプ114で液体二酸化炭素の圧送を開始する。バルブ110を開放すると、傾斜した高圧容器103内の上部に集めた2−プロパノールは排出口119を経て背圧制御バルブ109より選択的に排出することができる。図3は、このときの高圧容器内の模式断面図である。高圧容器103内はほぼ液体二酸化炭素131のみで満たされる。
(8)振動子151で液体二酸化炭素131に振動を加え、基板101上の微細構造間に残存するリンス液を置換する。また、液体二酸化炭素131を攪拌することや、基盤101を回転や振動させることも置換時間短縮に有用である。
(9)高圧ポンプ114での液体二酸化炭素の圧送を停止させ、高圧容器103の温度を35℃に昇温させる。高圧容器103内の圧力は昇圧するが、設定圧力10MPaを超えると背圧制御バルブ109から排出され、高圧容器103内は10MPaに保たれる。この温度変化で、高圧容器103内の液体二酸化炭素は超臨界状態へと状態が変化する。この状態の変化では、液体二酸化炭素の表面張力を微細構造に作用させることが無い。
(10)バルブ113、110を閉じ、バルブ117を開放し、温度を35℃に保ったまま圧力制御バルブ118より超臨界二酸化炭素を排出する。高圧容器内の圧力が7.38MPa以下になると高圧容器103内を満たしている二酸化炭素は気体へと状態が変化する。更に圧力制御バルブ118で排出を続け高圧容器103内の圧力が大気圧になった時点で乾燥が終了する。
図4は、本発明の実施例に係る以上の工程において液体状態の流体とリンス液との置換のプロセスを示す断面図である。図4(a)は、高圧容器103に設置した表面にリンス液で満たされた基板101の状態を示す断面図である。基板ベース203上に形成された微細構造202は完全にリンス液(2−プロパノール)201に覆われた状態であり、微細構造202のパターンには気体と液体の界面はなく、リンス液201の表面張力が作用せず、従ってパターン倒れも発生していない。
図4(b)は、高圧容器103内に液体二酸化炭素を導入し、臨界圧力以上に昇圧した直後の状態を示している。この時点では微細構造202の間のリンス液201は液体二酸化炭素に置換されていない。液体二酸化炭素205中には、基板上に載っていたリンス液の粒摘204(粒摘状態)が多量あり、混濁した状態である。
この状態で高圧容器103を水平状態から傾斜させると、図4(c)に示す状態となる。60秒程経過すると、リンス液と液体二酸化炭素の比重差によってリンス液の粒摘204は傾斜した高圧容器103の上側に集まり始め、また混濁状態もほぼ収束し図4(d)に示す状態となる。
このとき、高圧容器103内に流れを発生させると混濁が収束するのに長時間を要し、特に直径200mm以上の基板に対応する大型の高圧容器103では図4(c)に示す状態が一時間以上続くことになる。高圧ポンプ114を停止し、温度による対流を抑えると、図4(e)に示すように短時間で混濁が収束する。
この状態で、高圧容器103の上部のバルブ110を開放し、高圧ポンプ114で二酸化炭素を高圧容器103に導入すると、リンス液208を選択的に排出口119より高圧容器外に排出でき、それによってリンス209の溶解度を最大にできる。このため、微細構造202の間に残存するリンス液を短時間で置換できる。
この状態で振動子151により液体二酸化炭素131に振動を加えることにより、基板101上の微細構造間に残存するリンス液を効果的に置換することができる。また、液体二酸化炭素131を攪拌することや、基盤101を回転させることや振動させることでも置換時間を短縮することができる。
本実施例は、微細構造乾燥のために利用する流体として比較的低い温度、低い圧力で超臨界状態となる二酸化炭素を用いた場合を例として示したが、二酸化炭素の臨界圧力は7.38MPa、臨界温度は31℃である。そして、温度を0から30℃、圧力を3MPaから10MPaに可変させることで液体二酸化炭素の密度を0.65から0.95g/mlに変化させることができ、本実施例に示す2−プロパノールをリンス液として用いた場合の、短時間かつ均一な結果を得ることができる乾燥プロセスを達成できるものである。
実施例1の(4)の工程において、高圧容器103の温度を高圧容器103の側壁自身内を熱媒体が循環できる構造とし、その中に熱媒体を循環させることによって、28℃程度に制御すると、液体二酸化炭素の比重は0.70g/mlになり、リンス液である2−プロパノールの比重0.80g/mlとの比重差が約0.10程度になるため、2−プロパノールは傾斜した高圧容器103内の下部に集まる。
下部に集まった2−プロパノールを実施例1と同様に傾斜させることによって排出口120に集め、排出口120より実施例1の(5)の工程以降と同様に操作することによって選択的に排出させ、その後は、実施例1と同じプロセスを経て大気圧まで降圧させて乾燥を終了させる。
本実施例は、MEMSサンプルのようなフッ酸エッチングで微細構造を有するパターンが形成され、純水でリンス処理した後の乾燥工程を行うものである。本実施例のフッ酸エッチングによるパターン形成においても、レジストパターンと同様に表面張力の作用によりシリコン三次元構造体の可動部が基板(ベース部)と貼りつく現象が生じ、デバイス不良の要因となる。この現象を防止するために本発明を適用したものである。
リンス液の純水は液体又は超臨界状態の二酸化炭素に殆ど溶けないため、サンプルを予め二酸化炭素に可溶なリンス液に浸漬させて置換しておく。本実施例のMEMSサンプルのリンス液としては、炭化水素系洗浄剤(HCFC)とエタノールを5:1に混合したものである。HCFCは比重1.55g/mlであるので、二酸化炭素の比重を制御しても基板上に載ったHCFCを高圧容器の上側に集めることができないが、本発明では高圧容器を傾斜させて基板上に載ったリンス液を傾斜した高圧容器下部に集めて選択的に排出させ、その後は、実施例1と同じプロセスを経て大気圧まで降圧させて乾燥を終了させることにより短時間で且つ均一な乾燥結果を得ることができる。
本実施例のHCFCとエタノールの混合液をリンス液としたのは、エタノールは水を置換するためであり、HCFCは二酸化炭素と置換するために使用する。以上のように、本発明によってMEMS部品のようなデバイスに対しても100mm以上の大口径基板に形成した微細構造の可動部が張り付くことなく均一に乾燥することができる。
本発明の一例を示す微細構造乾燥処理装置の断面図である。 本発明の高圧容器を傾斜させた後の微細構造乾燥処理装置の断面図である。 被音発明の高圧容器内のリンス液を排出させた後の微細構造乾燥処理装置の断面図である。 本発明の液体状態の流体とリンス液の置換プロセスを説明する断面図である。
符号の説明
101…基板、102、121、201、206、208、301…リンス液、103…高圧容器(乾燥室)、104…基板設置台、105…蓋、106、111…温度調整器、107、110、113、117…バルブ、108、109…背圧制御バルブ、112…フィルタ、114…高圧ポンプ、115…液体二酸化炭素容器、116、122、130、205、209、305…液体二酸化炭素、118…圧力制御バルブ、119、120…排出口、123…圧力制御装置、124…下部容器、125…回転方向、151…振動子、202…微細構造、203…基板ベース、204、304…リンス粒滴、207…リンス液と液体二酸化炭素の混濁状態。

Claims (18)

  1. リンス液に浸漬又は濡れた状態の微細構造を有する基板を高圧容器に設置する工程と、前記高圧容器内に常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で設定圧力まで導入する工程と、前記高圧容器を傾斜させ前記リンス液を前記高圧容器の上側又は下側に集める工程と、該集められた前記リンス液を排出させる工程と、前記流体の臨界圧力以上に保ったまま前記流体の温度を臨界温度以上に昇温させる工程と、前記流体の温度を臨界温度以上に保ったまま前記流体を排出する工程とを順次有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  2. 請求項1において、前記リンス液を排出させる工程と前記臨界状態の流体を排出させる工程との間に、前記流体を振動又は攪拌させる工程を有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  3. 請求項1において、前記リンス液を排出させる工程の前に、前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させる工程を有し、該比重の変化により前記高圧容器内の前記リンス液と流体との比重差を形成し、前記基板上の前記リンス液を前記傾斜した高圧容器内の上側又は下側に集める工程を有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  4. 請求項1において、前記流体を高圧ポンプによって前記高圧容器に圧送することことを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  5. 請求項4において、前記傾斜した高圧容器の上側又は下側に集めた前記リンス液の前記高圧容器外への排出を前記高圧容器の上部及び下部に設けられた少なくとも一方の排出口によって行うことを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  6. 請求項1において、前記高圧容器内に前記流体を導入し、所定の圧力に達した後、前記流体の導入を停止し、前記高圧容器内の前記流体の流れを止めることを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  7. 請求項1において、前記流体が液化二酸化炭素であり、その密度を0.65〜0.95g/mlの所定の密度に変化させることを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  8. 請求項1において、前記高圧容器内への前記流体導入時に、前記高圧容器内の昇圧速度を制御し、前記流体とリンス液の混濁を抑えることを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  9. 請求項1において、前記流体より比重の大きいリンス液と、前記流体より比重の小さいリンス液とを同時に使用し、前記流体の比重差により傾斜した前記高圧容器の上側と下側に集め排出することを特徴とする微細構造乾燥方法。
  10. 請求項1において、前記高圧容器内への前記流体の導入と停止とを順次繰り返す工程を有することを特徴とする微細構造乾燥処理方法。
  11. リンス液に浸漬又は濡れた状態の微細構造を有する基板を設置する高圧容器と、常温及び常圧では気体で高圧下では液体となる流体を液体又は超臨界状態で貯蔵する流体貯蔵容器と、前記高圧容器を傾斜させる手段と、前記傾斜した高圧容器内の上側又は下側に集めた前記リンス液を排出させる前記高圧容器の上側又は下側の少なくとも一方に設けられた排出口とを有することを特徴とする微細構造乾燥処理装置。
  12. 請求項11において、前記高圧容器内の前記流体の温度及び圧力の少なくとも一方を変化させ前記流体の比重を変化させる温度又は圧力の調整手段を有し、該温度又は圧力の調整手段によって前記流体とリンス液との比重差を形成させることを特徴とする微細構造乾燥処理装置。
  13. 請求項11において、前記流体を前記高圧容器に圧送する高圧ポンプを有することを特徴とする微細構造乾燥装置。
  14. 請求項11において、前記基板の上側及び下側の少なくとも一方に前記基板を加熱する温度調整器を有することを特徴とした微細構造乾燥装置。
  15. 請求項11において、前記高圧容器内に導入される記流体の圧力を制御する圧力制御装置を有することを特徴とする微細構造乾燥装置。
  16. 請求項11において、前記高圧容器への前記流体導入時に、前記高圧容器内の昇圧速度を制御する昇圧速度制御手段を有することを特徴とする微細構造乾燥装置。
  17. 請求項11において、前記高圧容器内への前記流体の導入と停止とを繰り返す制御手段を有することを特徴とする微細構造乾燥装置。
  18. 請求項11において、前記流体を振動又は攪拌させる手段を有することを特徴とする微細構造乾燥装置。
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