JP2005114589A - レーダ画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーダ観測におけるノイズの影響を抑制し、分類する対象となる画像内の領域の形状がモザイク状にならないようなレーダ画像処理方法を提供する。
【解決手段】 画素毎に周囲の状況に基づいた第1の統計値を算出し、隣接する画素同士で第1の統計値がほぼ等しい場合に、画素単位でこれらの画素を結合して小領域を形成する小領域形成手段と、小領域について第2の統計値を算出し、この第2の統計値に基づいて小領域を分類する撮像物類別手段とを設けた。
【選択図】 図2

Description

この発明は、レーダ画像に撮像された撮像物の分類を行うレーダ画像処理装置に係るものであり、特に撮像物の境界分類を行う精度を向上する技術に関する。
従来のレーダ画像処理装置は、レーダ画像を矩形状の小さな領域(小領域)に分割して、それぞれの小領域の画素の特徴量に基づいて小領域間の結合を行い、画像全体の分類を行うものであった(例えば、非特許文献1)。
C.Oliver and S.Quegan、 Understanding Synthetic Aperture Radar Images, Artech House, 1998, p.202
非特許文献1に代表される従来のレーダ画像処理装置では、撮像物は矩形状の小領域を結合して得たモザイク状の形状を有するものとして抽出される。しかし現実の撮像物は必ずしもモザイク状の形状を有するわけではなく、むしろモザイク状の形状を有することの方が少ないであろう。そのため、現実の形状と領域分割後の形状とに差異が生じ、特に撮像物のエッジ付近では小領域分割の方法が稚拙であるために、分類結果が不正確となる。
この発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、矩形状の小領域に依存せずに小領域を形成するので、撮像物の現実の形状にきわめて近い形状の領域にレーダ画像を分割することを目的とする。
この発明に係る第1のレーダ画像処理装置は、撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍のレーダ画像領域の複数の特徴量から前記基準画素の第1の統計値を算出するとともに、算出された第1の統計値同士がほぼ等しくかつ互いに隣接する前記基準画素から小領域を形成する小領域形成手段と、
前記小領域形成手段が形成した小領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、この第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたものである。
また、この発明に係る第2のレーダ画像処理装置は、撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍のレーダ画像領域の複数の特徴量から前記基準画素の第1の統計値を算出するとともに、算出された第1の統計値同士がほぼ等しくかつ互いに隣接する前記基準画素から小領域を形成する小領域形成手段と、
前記小領域形成手段が形成した小領域の面積が所定値以下となる場合に、前記小領域を前記レーダ画像中の撮像物の輪郭線通過領域として特定する輪郭線特定手段と、を備えたものである。
さらに、この発明に係る第3のレーダ画像処理装置は、撮像物を含むレーダ画像をランダムに分割し、分割された分割領域毎に複数の特徴量から第1の統計値を算出して、算出された統計値第1の統計値の差又は比が所定値以上となる前記分割領域を互いに異なる小領域に分類する小領域形成手段と、
前記小領域形成手段が形成した小領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、算出された第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたものである。
また、この発明に係る第4のレーダ画像処理装置は、撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍レーダ画像領域に所定の大きさの窓を設定し、その窓を分割して分割領域を得るとともに、それらの分割領域毎に複数の特徴量から第1の統計値を算出し、算出された第1の統計値の差又は比が所定値以上となる基準画素を結んで閉平面を形成してこの閉平面を土地被覆領域として抽出する輪郭線特定手段と、
前記輪郭線特定手段が抽出した土地被覆領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、算出された第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたものである。
この発明に係る第1のレーダ画像処理装置は、所定の条件を満たす画素同士を結合して小領域を形成することとした。そのため、ここで形成される小領域は矩形には限定されず、結果として撮像物の現実の形状に極めて近い形状の領域に分割できるという効果を奏するのである。
また、この発明に係る第2のレーダ画像処理装置は、小領域形成手段によって形成された小領域の面積に基づいて撮像物の輪郭位置を特定することとした。小領域は統計的に均質な画素によって構成されているが、エッジ付近では画素の統計値が狭い範囲で急激に変化するため、小領域の面積が小さくなる。このレーダ画像処理装置は、このような性質を利用して、エッジ抽出を行うものである。従来から画像処理の分野では、画素単位の微分演算を行い、2値化演算を行うことでエッジ抽出を行う方法が知られている。しかし、この方法をノイズを拾いやすいレーダ画像に適用すると正確なエッジ抽出が行えない。この発明に係る第2のレーダ画像処理装置では、一定の面積を有する小領域内で統計値を算出し、この統計値を基礎としてエッジ抽出を行うので、耐ノイズ性の高いエッジ抽出を行うことができる、という効果を奏するのである。
また、この発明に係る第3のレーダ画像処理装置は、レーダ画像をランダムな形状の領域に分割して、それぞれの領域において統計値を算出し、隣接するランダムな形状の統計値がほぼ等しい場合にそれらの領域を結合して小領域を形成して、小領域毎に領域を類別するようにしたので、類別された結果となる領域がモザイク形状にならないという効果を奏するものである。
また、この発明に係る第4のレーダ画像処理装置は、画素ごとに設定された窓を2つの分割領域に分割し、これら両分割領域での統計値を比較して差又は比が所定値以上となる場合に、両分割領域を異なる小領域に分類するようにした。撮像物の境界線を挟む両領域の画素の統計値は急激に変化するという性質を有している。したがって統計値に所定の差異を有する両分割領域を互いに異なる小領域に分類することで、撮像物の境界内部と外部の領域を精度よく峻別することができる、という効果を奏するのである。
以下、この発明の実施の形態について図を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置およびこのレーダ画像処理装置が処理を行うレーダ画像を取得するレーダ装置、そしてレーダ装置を搭載する航空機と観測対象である土地被覆の関係を示す図である。図において、飛行物1は観測対象領域201付近上空を飛行する航空機や飛翔体、人工衛星などの飛行物体であって、レーダ装置2を搭載している。レーダ装置2は、観測対象領域201の表面から飛来する電波を受信し、レーダ画像を形成する装置である。なおレーダ装置2は、自ら電波を放射して観測対象領域201の各撮像物により反射された受信波を受信する、いわゆるアクティブ型レーダであってもよいし、また波源自体は他にあり、その波源から放射された電波が各撮像物に反射され、その受信波を受信する、いわゆるパッシブ型レーダであってもよい。レーダ画像処理装置101は、レーダ装置2の形成したレーダ画像を処理することにより、観測対象領域201に関する情報を分析する装置であって、例えば観測対象領域201の土地被覆分類(例えば、森林、湖水や河川による水面、建造物や道路などのコンクリートなど)を分析するものである。
次に、レーダ装置2とレーダ画像処理装置101の詳細な構成について説明する。図2は、レーダ装置2とレーダ画像処理装置101の詳細な構成を示したブロック図である。図において、レーダ装置2は、アンテナ3、受信器4、レーダ画像記憶部5から構成されている。アンテナ3は、観測対象領域201から反射された受信波を受信するセンサ回路または素子である。受信器4は、アンテナ3が受信したアナログ信号による受信波をサンプリングしてディジタル信号に変換する素子又は回路である。レーダ画像記憶部5は、受信器4によってディジタル信号に変換された受信波を画素配列の形式で記憶する記憶素子または回路であり、CD−ROMやDVD−ROM又はDVD−RAMのように記憶媒体を利用するものであってもよい。レーダ画像記憶部5が画素配列の形式で記憶するデータは、最終的には後方散乱強度を表す値となっている。
なお、この発明の実施の形態1において、レーダ装置2は、観測対象領域201から到来する受信波を受信すべく飛行物1に搭載される必要があるが、レーダ画像処理装置101は飛行物1に搭載されていてもよいし、飛行物1とは別体に敷設され、レーダ装置2との間で無線通信などによってデータの送受信を行うように構成してもよい。またレーダ装置2との間ではCD−ROMやDVD−ROMなどのリムーバブルメディアを介してデータの送受信を行うようにしてもよく、またインターネットのようなネットワークを介してレーダ画像処理装置101がレーダ装置2のレーダ画像記憶部5にアクセスできるようになっていれば十分なのであって、レーダ装置2とレーダ画像処理装置101とは物理的に直接接続されている必要はない。
次にレーダ画像処理装置101について説明する。レーダ画像処理装置101において、領域分割部102はレーダ画像中の画素毎に統計値を算出し、算出した統計値に基づいて画素から小領域を形成する部位である。なお、この説明及び以降の説明において、部位という語は、専用の電子回路又は素子を意味するが、汎用的な中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)を搭載したコンピュータに所定の処理を実行させるコンピュータプログラムのプログラムモジュールの形で構成するようにしてもよい。
領域類別部103は、領域分割部102が形成した小領域毎に特徴量を算出し、その特徴量に基づいて、小領域を類別する部位である。なお、ここでいう特徴量とは、その小領域において領域横断的に算出された量(統計値)であって、領域分割部102で算出した画素単位の統計値とは必ずしも一致するものではない(一致する場合もありうる)。そこで両者を特に区別する必要がある場合には、領域分割部102で算出される統計値のことを第1の統計量と呼び、また領域類別部103で算出される統計値のことを第2の統計値と呼ぶこととする。出力結果格納部104は、レーダ画像処理装置101の処理結果を格納する記憶装置又は回路である。
なお、領域分割部102は請求項1における小領域形成手段の例をなすものであり、領域類別部103は請求項1における撮像物類別手段の例をなすものである。
次に、レーダ装置2とレーダ画像処理装置101の動作について説明する。レーダ装置2は飛行物1に搭載され、飛行物1が観測対象領域201の上空を飛行して観測対象領域201を含むレーダ画像を撮像する。より具体的には、次のようにしてレーダ画像が取得される。すなわち、波源(必ずしもアンテナ3とは限らない)から放射された電波が観測対象領域201によって反射され、その結果アンテナ3に到来したものをアンテナ3が受信する。アンテナ3はこれらの受信波をRF(Radio Frequency)受信信号として受信器4に出力する。受信器4では、RF受信信号をビデオ信号などの内部信号に変換して、さらにA/D変換によりディジタル信号に変換し、最終的に観測対象領域201の各地点における後方散乱強度を画素の値とするレーダ画像データを出力する。このレーダ画像データはレーダ画像記憶部5に記憶される。
続いてレーダ画像処理装置101において、領域分割部102はレーダ画像の画素を統計値に基づいて小領域に分割する。図3は領域分割部103の処理を示すフローチャートである。図のST101において、領域分割部102は、レーダ画像記憶部5に記憶されているレーダ画像を取得する。
次に、ステップS102において、領域分割部102は画素毎に統計値を算出する。ここで画素毎の統計値とは、その画素の単なる画素値ではなく、その画素の周囲の画素の状況も加味した値をいうものとする。このような統計値の最も簡単な算出方法の一つとして、例えばその当該画素と周囲8方向に隣接する画素、すなわち現在の画素の座標を(I,J)とすれば、(I−1,J−1)、(I−1,J)、(I−1,J+1)、(I,J−1)、(I,J)、(I,J+1)、(I+1,J−1)、(I+1,J)、(I+1,J+1)で座標が表される画素の画素値の合計値を、9で割る方法が考えられる。ここで、単純に当該画素の画素値ではなく、周囲の画素の状況を加味した値をその画素の統計値として用いるのは、レーダ画像にはノイズがしばしば含まれるため、画素値を用いて直接的に領域の類別を行うと、必ずしも正しい結果が得られないことが理由として挙げられる。したがって、画素の統計値はその画素を含む領域であって、なるべく統計的に安定した領域に基づいて検出されることが望ましいことになる。このように、さらに複雑ではあるが、安定的な統計値を算出する方法については後述することとする。
ステップS103において、再び画素毎の処理を行う準備として、レーダ画像の左上隅の画素を現在の画素とする。なお現在の画素とは、現在処理中の画素をいうものとする。ステップS104において、現在の画素と8方向に隣接する画素が統計的に等しいかどうかを検定する。ここでは、現在の画素の統計値と隣接する画素との統計値との差をとり、その差の絶対値が所定値以下かどうかを検定する方法を採用してもよいし、現在の画素の統計値と隣接する画素との統計値との比を算出して、その比と1との差の絶対値を評価する方法を採用してもよい。検定の結果、両統計値が均質な場合にはステップS105に進む(ステップS104:Yes)。また両統計値が均質とはいえない場合には、ステップS106に進む(ステップS104:No)。なお、ここでは現在の画素と8方向に隣接する画素との比較を行うので、現実には8回の比較演算を行うことになる。したがってステップS105への分岐も8回あることに注意すべきである。
ステップS105において、統計値が均質であると判断された現在の画素と隣接する画素とを同一の小領域に所属させる。ここでは、現在の画素と隣接する画素のどちらかがすでにいずれかの小領域に所属している場合には、他方の画素も同じ小領域に所属させるようにする。場合によっては、双方の画素が異なる小領域に属していることも考えられるが、そのような場合には、双方の小領域を一つの小領域に統合するようにする。
ステップS106において、現在の画素は右下隅の画素か否かを調べる。右下隅の画素である場合には、処理を終了する(ステップS106:Yes)。また右下隅の画素でなければ、ステップS107に進む(ステップS106:No)。ステップS107において、次の画素を現在の画素とする。現在の画素を(I,J)とすれば、レーダ画像の右端の画素である場合には、次の画素は、(1,J+1)をいう。そうでない場合には、(I+1,J)が次の画素になる。その後ステップS104に戻り、処理を続行する。
以上が、領域分割部102の処理の内容である。領域分割部102による小領域形成処理の特徴は、画素単位で隣接する画素と統計値が等しい場合に、小領域を形成する、という点である。このことから領域分割部102によって形成される小領域はモザイク状とはならず、現実の領域(レーダで撮像される前の観測対象領域201上に存在する状態の領域)の形状を反映することができるのである。
次に、領域類別部103は、領域分割部102が形成した小領域において、その領域の特徴量を算出する。そして算出した特徴量が複数ある場合には、例えば公知のマルチレベルスライス法などを用いて、各小領域の分類を行う。ここで算出される特徴量は、各小領域から統計的に算出されるものであり、領域分割部102が画素毎に算出した統計値と異なる場合もある。そこで、以降の説明において、これらの統計値を特に区別する必要のある場合には、領域分割部102において算出される統計値を第1の統計値と呼び、領域類別部103で算出される統計値を第2の統計値と呼ぶこととする。
以上がレーダ画像処理装置101の処理の内容である。このように、領域分割部102がレーダ画像の各画素の周囲の画素の状況に基づいて統計値を算出したので、特定の画素においてノイズの影響が強く現れても、そのような影響を最小限に抑えて安定した領域分割を可能とするとともに、画素単位で結合して小領域を形成することとしたので、小領域はモザイク状の形状とはならず、現実の領域の形状を反映することができる。
一方で、このような画素の統計量を算出する場合に、各画素の周囲の少数の画素を局所的に用いると、ノイズの影響が生じやすい。そこで、その画素を含む領域であって、なるべく大きく、なおかつ統計的に均質な領域に基づいて、その画素の統計量を算出することで、さらにノイズの影響を低く抑えることが可能となる。そこで、次にこれまで述べた統計値算出方法より複雑にはなるが、統計的に均質な領域をなるべく大きく抽出して、統計値を算出する方法について説明する。この処理は、領域分割部102のステップS102における処理に代替するものである。
図4は、このようなもう一つの画素毎の統計値算出方法を示すフローチャートである。図のステップST111において、領域分割部102は、第1の検定範囲を設定し、その第1の検定範囲における統計値を算出する。第1の検定範囲とは、統計値を算出する画素(以下の説明において、基準画素と呼ぶこととする)の周囲に設定される所定の領域をいい、例えば基準画素の座標を(I,J)とし、MとNを定数として
x座標:I−M/2≦x≦I+M/2
y座標:J−N/2≦y≦J+N/2
で表される矩形領域を第1の検定範囲とする。さらにこの領域に含まれる各画素に基づいて統計値を算出する。統計値としては、この領域に含まれる画素の画素値の分布中心(平均値)を採用してもよいし、必ずしも総ての画素からなる分布中心ではなく、いくつかの画素を選択して、選択された画素による分布中心を採用してもよい。領域内で選択した画素の数をNとし、画素i(i=1,2,…,N)の画素値をXiとした場合、分布中心μは式(1)で与えられる。
Figure 2005114589
また、その他の統計量、例えば、領域内の不偏分散などを用いてもよい。不偏分散σは式(1)で定義したN、Xi、μを用いて式(2)によって与えられる。
Figure 2005114589
さらに、複数の統計量を組み合わせてもよい。
続いて、ステップS112において、領域分割部102は、第2の検定範囲を定める変数M’、N’を初期化する。第2の検定範囲は第1の検定範囲より大きくする必要があるので、変数M’、N’の初期値は定数M、Nに基づいて定めるとよい。例えばM'=M+1、N'=N+1などである。
次にステップS113において、領域分割部102は、M’、N’によって第2の検定範囲を設定し、統計値を算出する。第2の検定範囲は、第1の検定範囲と同様に
x座標:I−M'/2≦x≦I+M'/2
y座標:J−N'/2≦y≦J+N'/2
で表される矩形領域で与えるようにする。そして第1の検定範囲と同様にして、統計値を算出する。算出する統計値は第1の検定範囲の統計値と同じ統計量を用いることとし、例えば、第1の検定範囲の統計値がその領域内の画素値の分布中心ならば、第2の検定範囲の統計値も同じくその領域内の画素値の分布中心とする。
ステップST114において、第1の検定範囲の統計値と第2の検定範囲の統計値が統計的に均質か否かを判定する。複数の統計量を組み合わせて統計値であるとした場合には、それぞれの統計量同士で統計的に均質か否かを判定する。ここでは、例えば、帰無仮説を第1の検定範囲と第2の検定範囲の分布中心(平均値)が「等しい」とし、対立仮説を「等しくない」として、検定統計量を式(3)によるt統計量とした上でt検定により行う。
Figure 2005114589
なお、式(3)において、N、Nはそれぞれ第1及び第2の検定範囲から選択した画素数であり、μ、μはそれぞれ第1及び第2の検定範囲における分布中心、σ 、σ は第1及び第2の検定範囲における不偏分散である。
このようにして仮説が採択された場合には、第2の検定範囲は第1の検定範囲と均質であるとする。
なお、ここではt検定を用いて統計的に均質か否かを判定したが、その他に、例えばウェルチの検定などを用いてもよい。また仮説検定の他にも、例えば、式(4)で表される対数尤度λを計算して、その尤度が閾値を超えた場合に、均質とみなすようにしてもよい。
Figure 2005114589
なお、式(4)において、μは第1の検定範囲と第2の検定範囲の和集合における分布中心である。
この結果、第2の検定範囲が第1の検定範囲と均質であると判定された場合には、ステップST115に進む(ステップST114:Yes)。ステップST115において、以前のM’とN’による第2の検定範囲は均質であるので、M’とN’を更新して、さらに第2の検定範囲を拡大する。具体的には、M’とN’のいずれか一方、あるいは双方に所定の値、例えば1を加える。ある基準画素についてステップST115が複数回されるのであれば、偶数回目にはN’に所定値を加え、奇数回目にはM’に所定値を加えるようにしてもよい。その後、ステップST114に戻る。
一方、ステップST114において、均質でないと判定された場合には、ステップST116に進む(ステップST114:No)。ステップST116では、直前のM’とN’(均質であると判定された最後のM’とN’)で定められる第2の検定範囲から、その基準画素について第1の統計値を算出する。以上が、もう一つの画素毎の統計値算出方法である。
上記において、第1及び第2の検定範囲の形状を基準画素を中心とする矩形としたが、その他の形状を採用してもよい。なお、第2の検定範囲は基準画素の統計値を算出するために抽出するものである。したがって、第2の検定範囲の形状が矩形であっても、画素ごとに結合して小領域が形成されるので、小領域がモザイク状になることはない。
実施の形態2.
実施の形態1は、領域分割部102が画素の第1の統計値を算出して、その第1の統計値に基づいて画素を結合して小領域を形成し、小領域毎に第2の統計値を求めて、各小領域を直接的に分類することとした。しかしながら、各小領域を形成したのち、異なる土地被覆による領域の輪郭線が存在する蓋然性の高い小領域を抽出してから、領域の分類を行うようにしてもよい。この発明の実施の形態2によるレーダ画像処理装置は、かかる特徴を有するものである。
この発明の実施の形態2によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置も、実施の形態1と同じように図1に示すような飛行物1から観測対象領域201を撮像して得たレーダ画像を処理するものとする。また、図5は、この発明の実施の形態2によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において、図2と同じ符号を付した構成要素は、実施の形態1によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置の相当部位と同様であるので説明を省略する。この発明の実施の形態2におけるレーダ画像処理装置101の特徴は、領域分割部102と領域類別部103との間に、新たに輪郭線特定部111が設けられている点である。この輪郭線特定部111は、領域分割部102が形成した小領域から異なる土地被覆による領域の輪郭線が存在する可能性の高い領域を抽出する部位である。なお、輪郭線特定部111は請求項2の輪郭線特定手段の例である。
次に、レーダ装置2及びレーダ画像処理装置101の処理について説明する。レーダ装置2の動作は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。またレーダ画像処理装置101においても、領域分割部102は実施の形態1と同じように画素を結合して小領域を形成するものであり、その動作は実施の形態1と同様である。そこで説明を省略することとする。
続いて輪郭線特定部111は、領域分割部102が形成した各小領域の面積が所定値以下か否かを判定し、所定値以下となった小領域を、異なる土地被覆による領域の輪郭線(領域の境界線)が存在する可能性の高い領域として抽出する。これは次のような原理に基づくものである。すなわち、異なる土地被覆による領域の輪郭線の近傍においては、画素の特徴量、すなわち実施の形態1でいえば第1の統計値が狭い範囲で急激に変化する。このため、第1の統計値が均質となることに基づいて、領域分割部102が画素を結合して形成した小領域は面積の小さな領域となるのである。したがって、形成された小領域の面積が小さい場合には、その小領域の近傍に異なる土地被覆による領域の輪郭線が存在する可能性が高い。
このような原理に類似する方法として、画像処理の分野において公知の微分法がある。微分法とは、近傍の画素間の画素値の変化を算出し、画素値が大きく変化する領域(画素)を領域のエッジとして抽出する方法である。しかしながら、レーダ画像処理装置101における方法は、統計値に基づいて形成された小領域の面積からエッジを抽出しようとしている点が微分法とは異なる。これは、レーダ画像処理装置101は、ノイズの影響を受けやすいレーダ画像を対象としており、画素値が大きく変化する領域を直接的にエッジとして抽出すると、安定した領域抽出が行えないことに起因している。統計値の算出によって、ノイズの影響を抑えてエッジ検出をすることでより安定した領域抽出が可能となるのである。
輪郭線が存在する可能性が高い小領域を輪郭線特定部111が抽出した後、領域類別部103は輪郭線が存在する可能性が高い小領域同士を結んで閉ループを形成し、レーダ画像をいくつかの閉ループによる閉平面に分割する。そして、各閉平面を一つの独立した土地被覆による領域として土地分類を行う。
以上のように、この発明の実施の形態2によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置によれば、画素毎に算出した統計値に基づいて画素から小領域を形成し、その小領域の面積が小さい場合に、その小領域の近傍に異なる土地被覆による領域の輪郭線が存在すると仮定することとしたので、小領域毎の第2の統計値算出による分類よりも信頼性の高い領域分類が可能となる。
実施の形態3.
実施の形態2におけるレーダ画像処理装置は、小領域の面積が所定値以下の場合に、この領域を、異なる土地被覆の境界線が存在する可能性の高い領域として抽出するものであった。しかし、この他にも、画素(基準画素)毎に所定の大きさの窓を設定し、その窓を基準画素を中心に分割して得た2つの領域のそれぞれにおいて統計値を算出し、2つの領域間で算出された統計値が異なる場合には、基準画素付近に土地被覆領域の輪郭線が存在すると仮定してもよい。
すなわち、実施の形態2における輪郭線特定部111において、小領域の面積が所定値以下となる小領域同士を結んで閉ループを形成する処理を行うことに替えて、各画素に窓を設定し、その窓を2つの領域に分割してそれぞれの領域間の統計値に差が生じるかどうかを判定するのである。図6は、このような処理を示すフローチャートであり、実施の形態1における図3のフローチャートの処理に代替するものである。
図のステップST101及びST103は図3のフローチャートの同一の符号を付した処理と同様であるので説明を省略する。ステップST301において、輪郭線特定部111は、現在の画素(基準画素)に所定の大きさからなる窓を設定する。ここで設定する窓は、基準画素を中心として少なくとも3画素×3画素の大きさからなる領域である。ステップST302において、輪郭線特定部111は、変数Nに1を設定する。Nは以後の処理で方向を示すために用いられる変数である。
図7に、窓の分割方法として4つの方向に分割する例を示す。図において、窓は5画素×5画素による領域からなり、また分割方向として、方向1、方向2、方向3、方向4の4つの方向の境界線で窓を切断する方法を考えることとする。方向1による分割とは、窓の左上隅から右下隅に至る境界線によって窓を分割することを指すものとし、方向2による分割とは、基準画素の真上方向にある窓の上端画素から基準画素の真下方向にある窓の下端画素に至る境界線によって窓を分割することを指す。また方向3による分割とは、窓の右上隅から左下隅に至る境界線によって窓を分割することを指し、方向4による分割とは、基準画素の右方向にある窓の右端画素から基準画素の左方向にある窓の左端画素に至る境界線によって窓を分割することを指す。なお、それぞれの分割方法において、境界線上の画素は約半数ずつ双方の領域に属するようにすることで、それぞれの領域の統計的性質が近いものとなる。ただし平均値などを用いる場合には、必ずしも半数ずつ双方の領域に属するようにする必要はない。
ステップST303において、輪郭線特定部111は、窓を方向Nに分割し、分割した領域をそれぞれA、Bとする。そしてステップST304において、輪郭線特定部111は、領域Aと領域Bのそれぞれから統計値を算出する。統計値の算出方法は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。ステップST305において、輪郭線特定部111は、領域Aの統計値と領域Bの統計値が均質かどうかを判定する。ここでの判定方法についても実施の形態1と同様である。その結果、統計値が均質ではない場合には、ステップST306に進む(ステップST305:No)。
ステップST306において、輪郭線特定部111は、現在の画素(基準画素)付近に土地被覆領域の輪郭線が存在するという仮定を立てて、この基準画素を図示せぬ土地被覆領域形成用メモリに出力する。なお、現在の分割方向(具体的にはNの値)も土地被覆領域形成用メモリに出力してもよい。ここで、土地被覆領域形成用メモリは、後に土地被覆領域の輪郭線の近傍にある基準画素を接続して、閉ループを形成し、土地被覆領域を抽出するために参照される記憶領域である。
一方、ステップST305において、領域Aの統計値と領域Bの統計値とが均質であると判定された場合には、ステップST307に進む(ステップST305:Yes)。ステップST307において、輪郭線特定部111は、変数Nに1を加える。そしてステップST308において、輪郭線特定部111は、変数Nが4を超える値となったか否かを判定する。これは図7に示した分割方向が4通りであるために、4以下か4を超えたかを判定するものである。図8に示すように8方向で分割するような構成とした場合には、8を超える値となったかどうかを判定することになる。
その結果、Nが4以下であると判定された場合には、まだ評価すべき他の方向が残っているので、ステップST303に戻る(ステップST308:Yes)。またNが4を超えたと判定された場合には、ステップST309に進む(ステップST309:Yes)。ステップST309において、現在の画素付近には土地被覆領域の輪郭線はないので、何も処理をしないか、もしくは、この基準画素に土地被覆領域の輪郭線がないことを示すフラグを立てるなどの処理を行う。これらは、後ほど土地被覆領域の輪郭線の近傍にある基準画素を接続する処理を行う上で利用しやすいように画素毎の情報を適宜準備しておけばよい。
続いて、ステップST106、ステップST107は実施の形態1の図3のフローチャートにおいて同一の符号を付した処理と同様であり、説明を省略する。
なお、上記の処理において、領域Aの統計値と領域Bの統計値が均質でなければ、他の方向の分割領域に対する評価を行わずに即座に現在の画素付近に土地被覆領域の輪郭線が存在すると判定した。しかし、このような処理ではなく、例えば、方向1〜4の各方向について一通り領域Aと領域Bとの統計値の差異を算出し、統計値の差が最も大きくなった場合のその差が所定値以上かどうかを評価するような処理を行ってもよい。またその場合には、その差を生じる方向が土地被覆領域の輪郭線の接線方向に近いものと考えられるので、その方向を土地被覆領域形成用メモリに記憶させておく。
次に輪郭線特定部111は、土地被覆領域形成用メモリに記憶させた基準画素の中から、互いに近接し合う基準画素を接続して、土地被覆領域の形成を行う。土地被覆領域形成用メモリに記憶されている基準画素がそれほど密集していない領域においては、それぞれの基準画素を単純に接続するだけで、土地被覆領域が十分に抽出できる。
また、現在の分割方向(具体的にはNの値)も土地被覆領域形成用メモリに記憶させている場合には、分割方向から接続すべき基準画素を限定して、接続するようにしてもよい。すなわち、ある画素(座標を(I,J)とする)が土地被覆領域形成用メモリに記憶されており、その分割方向が例えば方向2である場合には、土地被覆領域形成用メモリに記憶されている基準画素から座標が(I+k、J)(ただし、kは例えば1や2などのごく小さな自然数)であり、かつ分割方向が方向4でない基準画素を検索し、基準画素(I,J)と基準画素(I+k、J)とを接続する。同じように、土地被覆領域形成用メモリに記憶されている基準画素の座標と方向とを手がかりにそれぞれの基準画素を接続していって、最終的に土地被覆領域を形成する。
分割方向の情報がない場合には、例えば土地被覆領域形成用メモリに記憶されている基準画素が、ある領域に密集している場合に、本来互いに接続すべきでない基準画素同士を接続してしまうことも考えられるが、分割方向を考慮することでこのような問題を回避することができる。
続いて、領域類別部103は、輪郭線特定部111が形成した土地被覆領域を実施の形態1と同じように分類し、観測対象領域201の各地点での土地被覆を特定する。
以上から明らかなように、この発明の実施の形態3のレーダ画像処理装置によれば、基準画素の周囲に窓を設定し、その窓を基準画素を中心とした境界線により2つの領域に分割した上で、それぞれの領域の統計値を比較し、一定の差が認められる場合には、基準画素近傍に土地被覆領域の輪郭線があると仮定することとした。これによって、土地被覆領域の形状はモザイク形状とはならず、現実の領域の形状を反映したものとなるのである。
実施の形態4.
実施の形態1乃至3においては、各画素の統計値に基づいて小領域若しくは土地被覆領域を形成することで、ノイズの影響を最小限に抑えた領域分割を行った。しかしながら、雑音低減フィルタを活用してノイズの丸め処理を行い、さらにノイズの丸めが実際に発生した個所において、その丸めがノイズによって発生したものか、あるいはレーダ画像に撮像された土地被覆の境界または構造物の境界を丸めた結果かどうかを識別し、ノイズを検出するようにして、ノイズの影響を抑えてもよい。この発明の実施の形態4によるレーダ画像処理装置はこのような特徴を有するものである。
この発明の実施の形態4によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置も、実施の形態1乃至3と同様に、図1に示すような飛行物1から観測対象領域201を撮像して得たレーダ画像を処理するものとする。また、図9は、この発明の実施の形態4によるレーダ装置及びレーダ画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において、図2と同じ符号を付した構成要素は、実施の形態1の相当部位と同様であるので説明を省略する。この発明の実施の形態4によるレーダ画像処理装置101の特徴は、領域分割部102よりも前にぼけ領域検出部112が追加されている点である。このぼけ領域検出部112は、レーダ画像記憶部5に記憶されているレーダ画像に対して雑音低減フィルタを施し、雑音低減フィルタによるぼけが生じているか否かを判定する部位である。なお、ぼけ領域検出部112は、請求項11のぼけ領域検出手段の例をなすものである。
次に、レーダ装置2及びレーダ画像処理装置101の動作について説明する。レーダ装置2の動作は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。続いて、レーダ画像処理装置101のぼけ領域検出部112において、ぼけ領域の処理を行う。図10は、この処理のフローチャートである。図のステップST401において、ぼけ領域検出部112は、レーダ画像データを取得する。この処理は、実施の形態1における領域分割部102のステップST101の処理と同様である。ステップST402において、ぼけ領域検出部112は、取得したレーダ画像データに対して、雑音低減フィルタを施す。この雑音低減フィルタの例としては、式(5)に示すようなものを用いればよい。ただしこの例に限るものではない。
Figure 2005114589
式(5)において、Iはフィルタを施した後の値であり、Kは所定のフィルタパラメータ、は所定の範囲(例えば、基準画素を中心とする3画素×3画素の矩形領域)内での画素平均値、Iは基準画素の値である。
この結果、例えば図11の(A)に示したようなレーダ画像はフィルタの適用によって図11の(B)に示すような画像となる。(A)において、黒い点はノイズによるものであり、また矩形202はレーダ画像に撮像された領域の境界部分である。(A)においてノイズが乗っていた画素は、(B)においてフィルタの効果により消去されているが、その代わりに矩形202の境界がぼやけてしまっていることが分かる。
続いて、ステップST403において、ぼけ領域検出部112は、雑音低減フィルタによって生じた変化成分を算出する。この変化成分をCとすれば、Cには除去された雑音成分と、フィルタにより生じたぼけ成分が含まれる。レーダ画像中の雑音は、主に乗法性を有するスペックル雑音であることから、変化成分Cは、例えば式(6)によって算出される。
Figure 2005114589
ここで、Iorgは元のレーダ画像中の画素値、Ifilteredは例えば式(5)のフィルタを施した後の画素値である。
次に、ステップST404において、ぼけ領域検出部112は、変化成分Cを2値化する。ここで2値化とは、Cが1に近いかどうかによってぼけが発生しているか否かを識別できるようにする処理で、例えばDを所定の定数として、
Figure 2005114589
として2値化する。
このように、式(6)によって算出された比が1に近いか否かによって、ぼけを2値化することとしたので、スペックル雑音を考慮したフィルタによる画素値の変化を検出することができる。
この結果、2値化後の値が1となった画素ではぼけが発生しており、0となった画素ではぼけが発生していないことが明らかになる。図12は、この2値化を行った状態のレーダ画像である。このように2値化を行った画像は、ノイズによって生じた成分と土地被覆領域や構造物の境界に生じた成分とが混在した状態となっており、さらに土地被覆領域や構造物の境界に生じた成分は連続し、かつ比較的大きな領域として残存する。
続いて、レーダ画像上の画素毎にぼけの発生原因を特定するために、ステップST405において、ぼけ領域検出部112は、まず左上隅の画素を現在の画素に設定する。そして、ステップST406において、現在の画素で式(7)によるぼけが発生しているかどうかを調べ、発生している場合には、ステップST407に進む(ステップST406::Yes)。ステップST407において、ぼけ領域検出部112は、現在の画素を含むぼけ発生領域を抽出する。これは、現在の画素でぼけが発生している場合に、現在の画素に隣接する画素、さらにその画素に隣接する画素…でぼけが発生しているかどうかを調べ、ぼけが発生している画素が連続している領域を抽出することによって行われる。
そして、ステップST408で、ぼけ領域検出部112は、現在の画素を含み、ぼけが発生している領域の面積が所定値よりも大きいか否かを調べる。ここでいう面積については、隣接する画素間の距離を単位長さとして面積を算出したものもよいし、あるいは、この領域に含まれる画素数を面積としてもよい。
次に、ステップST409において、ぼけ領域検出部112は、面積が所定値未満となったぼけ発生領域の画素の2値化状態(ステップST404で2値化したもの)を0とする。一般にノイズによって生じたぼけ領域は面積が小さくなるので、面積が所定値以上となったぼけ領域はノイズによって生じたものではないと考えられる。そこで、このような領域においてはぼけは生じていなかったものとする。こうすることで、ノイズによって生じたぼけ領域の画素値が0となって、ノイズによるぼけ領域が消去される。その結果、レーダ画像に撮像された土地被覆の境界または構造物の境界に対するフィルタの影響を抑え、ノイズに対してのみフィルタの効果を及ぼすことができるようになる。
その後、ステップST410に進み、現在の画素が右下隅の画素か否かを判定する。なお、ステップST406でぼけが発生していないと判断された場合(ステップST406:No)、あるいはステップST408でぼけ発生領域の面積が所定値以下と判断された場合(ステップST408:No)も、直接ステップST410に進む。ステップST410で、現在の画素が右下隅の画素であると判断された場合は、もうこれ以上処理すべき画素が存在しないことになるので処理を終了する(ステップST410:Yes)。一方、現在の画素が右下隅の画素でないと判断された場合には、次の画素を現在の画素とする。この処理は、実施の形態1のステップST107の処理と同様であるので説明を省略する。
その後、ステップST406に戻って、次の画素の処理を続行する。以上がぼけ領域検出部112の処理である。続いて、領域分割部102の処理に移るが、その処理は実施の形態1における領域分割部102の処理とほぼ同様である。ただし、この発明の実施の形態4では、ぼけ領域検出部112がレーダ画像データを読み込んだので、領域分割部102は改めてレーダ画像データを読み込む必要がない点、そして、ぼけ発生の2値化処理で値が0となった画像については式(5)のフィルタ後の値を画素値として小領域形成を行うようにし、1となった画素については、土地被覆領域の輪郭線が存在すると仮定する点が、実施の形態1における領域分割部102の処理と異なっている。また、領域類別部103の処理は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のようにこの発明の実施の形態4によるレーダ画像処理装置によれば、雑音低減フィルタを用いて、効率的に雑音を低減しつつ、土地被覆領域や構造物の境界へのフィルタの影響を最小限に抑えることができるので、土地分類の信頼性を向上することができる。
実施の形態5.
実施の形態1では、画素毎に統計値を求めて、統計値がほぼ等しく、かつ隣接する画素から小領域を形成することとしたが、画素単位ではなく、レーダ画像をランダムな形状に分割してそれぞれの形状について統計値を算出し、さらにこのランダムな形状同士を結合して小領域を形成するようにしても、小領域がモザイク状の形状になることを回避することができる。
具体的には、領域分割部102は、ある画素を起点として、そこから乱数を発生させて長さと方向を求め、その方向に起点を移動させる。そしてそこで再び乱数を発生させて長さと方向を求め、その方向に起点を移動させる、という処理を繰り返し、起点の軌跡を結んでいくことで形成される多角形をランダムな形状とする。そしてこのランダムな形状について統計値を算出して、統計値がほぼ等しければ、隣接するランダムな形状同士を結合して小領域を形成する、という方法である。この処理について次に説明する。
ここで、乱数を発生させることで起点を移動させると、なかなか元の起点に戻らない場合も考えられる。そこでN角形のNを乱数を発生させて決定させ(ここで発生させる乱数は、例えば3から6までのいずれかの整数値をとるものとする)、最初に起点を(I,J)とする。そして次に、長さを乱数を発生させて決定する。ここで発生させる乱数は2から7までの整数値をとるものとする。ここで求められた長さをLとし、次に方向を乱数を発生させて決定する。ここで発生させる乱数は1から8のいずれかの値をとるものとする。その結果、
(1)方向が1の場合は(I−L,J−L)に起点を遷す。
(2)方向が2の場合は(I,J−L)に起点を遷す。
(3)方向が3の場合は(I+L,J−L)に起点を遷す。
(4)方向が4の場合は(I+L,J)に起点を遷す。
(5)方向が5の場合は(I+L,J+L)に起点を遷す。
(6)方向が6の場合は(I,J+L)に起点を遷す。
(7)方向が7の場合は(I−L,J+L)に起点を遷す。
(8)方向が8の場合は(I−L,J)に起点を遷す。
この処理をN−1回繰り返し、その後起点を(I,J)に強制的に戻すことで、N角形が完成する。このようなN角形でレーダ画像全体が埋められた時点でランダムな形状の領域の分割が完了する。
次に、領域分割部102は、それぞれのランダムな形状の領域において統計値(第1の統計値)を算出する。この統計値は、式(1)による分布中心や式(2)による不偏分散などを採用すればよい。そして隣接するランダムな形状同士で、統計値のt検定などを行い統計的に均質かどうかを調べ、均質である場合には、隣接するランダムな形状を結合して新たなランダムな形状を形成する。領域分割部102は、このような処理を繰り返すことで、小領域を形成する。
その後、領域類別部103は、各小領域の第2の統計値を算出し、実施の形態1と同様にマルチレベルスライス法などによって、それぞれの領域を類別する。
以上から明らかなように、実施の形態5のレーダ画像処理装置によれば、レーダ画像をランダムな形状に分割してから、統計値に基づいてそれらを結合し、小領域を形成するようにしたので、小領域がモザイク形状とはならず、結果として現実の土地被覆領域や構造物の形状に近い領域形状が得られる。
なお、実施の形態5のレーダ画像処理装置において、実施の形態3のような輪郭線特定部を設けて、各々の小領域内を輪郭線が通過するかどうかを判定してもよいし、実施の形態4のようなぼけ領域検出部112を用いてフィルタによる雑音低減処理を行ってもよい。
この発明の実施の形態1によるレーダ装置およびレーダ画像処理装置の関係図である。 この発明の実施の形態1によるレーダ装置およびレーダ画像処理装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1における小領域分割処理のフローチャートである。 この発明の実施の形態1におけるもう一つの小領域分割処理のフローチャートである。 この発明の実施の形態2によるレーダ装置およびレーダ画像処理装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3における窓の分割処理のフローチャートである。 この発明の実施の形態3における窓の分割方法の例を示す図である。 この発明の実施の形態3における窓の分割方法の別の例を示す図である。 この発明の実施の形態4によるレーダ装置およびレーダ画像処理装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4によるぼけ発生領域抽出処理のフローチャートである。 この発明の実施の形態4によるレーダ画像及び雑音低減フィルタを施した後の画像の例を示す図である。 この発明の実施の形態4によるレーダ画像と雑音低減フィルタとの変化成分の状況を示す図である。
符号の説明
1 飛行物、
2 レーダ装置、
3 アンテナ、
4 受信器、
5 レーダ画像記憶部、
101 レーダ画像処理装置、
102 領域分割部、
103 領域類別部、
104 出力結果格納部、
111 輪郭線特定部、
112 ぼけ領域検出部。

Claims (9)

  1. 撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍のレーダ画像領域の複数の特徴量から前記基準画素の第1の統計値を算出するとともに、算出された第1の統計値同士がほぼ等しくかつ互いに隣接する前記基準画素から小領域を形成する小領域形成手段と、
    前記小領域形成手段が形成した小領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、この第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたことを特徴とするレーダ画像処理装置。
  2. 撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍のレーダ画像領域の複数の特徴量から前記基準画素の第1の統計値を算出するとともに、算出された第1の統計値同士がほぼ等しくかつ互いに隣接する前記基準画素から小領域を形成する小領域形成手段と、
    前記小領域形成手段が形成した小領域の面積が所定値以下となる場合に、前記小領域を前記レーダ画像中の撮像物の輪郭線通過領域として特定する輪郭線特定手段と、を備えたことを特徴とするレーダ画像処理装置。
  3. 前記小領域形成手段により形成された小領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、前記輪郭線特定手段により特定された輪郭線通過領域において、前記第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーダ画像処理装置。
  4. 前記基準画素の周囲に統計的に均質であり、かつなるべく面積の大きい均質領域を抽出する検定範囲抽出手段を備え、
    前記小領域形成手段は、前記検定範囲抽出手段により抽出された均質領域を前記基準画素の近傍領域として、この基準画素の第1の統計値を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のレーダ画像処理装置。
  5. 撮像物を含むレーダ画像をランダムに分割し、分割された分割領域毎に複数の特徴量から第1の統計値を算出して、算出された統計値第1の統計値の差又は比が所定値以上となる前記分割領域を互いに異なる小領域に分類する小領域形成手段と、
    前記小領域形成手段が形成した小領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、算出された第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたことを特徴とするレーダ画像処理装置。
  6. 前記レーダ画像に雑音低減フィルタによる雑音低減を施して、雑音低減後の画像と前記レーダ画像とを比較し、雑音低減により変化が生じた画素を抽出し、それらの画素が連続してなる領域の面積が所定値以上となる場合に前記領域を構造物領域に分類し、前記所定値より小さい場合に前記領域をノイズ領域に分類するぼけ領域検出手段を備え、
    前記小領域形成手段は、前記ぼけ領域検出手段が構造物領域に分類した領域を除いて、前記小領域を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のレーダ画像処理装置。
  7. 前記ぼけ領域検出手段は、前記雑音低減後の画像の画素と前記レーダ画像の画素との比を算出するとともに、この比がほぼ1となる画素とそうでない画素とに分類して、比がほぼ1とならない画素を雑音低減により変化が生じた画素として抽出することを特徴とする請求項6に記載のレーダ画像処理装置。
  8. 撮像物を含むレーダ画像を構成する各画素を基準画素として、この基準画素近傍レーダ画像領域に所定の大きさの窓を設定し、その窓を分割して分割領域を得るとともに、それらの分割領域毎に複数の特徴量から第1の統計値を算出し、算出された第1の統計値の差又は比が所定値以上となる基準画素を結んで閉平面を形成してこの閉平面を土地被覆領域として抽出する輪郭線特定手段と、
    前記輪郭線特定手段が抽出した土地被覆領域内の画素の特徴量から第2の統計値を算出するとともに、算出された第2の統計値に基づいて前記小領域を類別することにより前記撮像物の類別を行う撮像物類別手段と、を備えたことを特徴とするレーダ画像処理装置。
  9. 前記輪郭線特定手段は、前記窓を予め定められた数種類の方向に切断して前記分割領域を得るとともに、前記第1の統計値の差又は比が所定値以上となる方向に前記基準画素を結んで前記閉平面を形成することを特徴とする請求項8に記載したレーダ画像処理装置。
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