JP2005114516A - 原子力プラントの情報提供装置および情報提供方法 - Google Patents

原子力プラントの情報提供装置および情報提供方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子力プラントにおける情報を適切に表示することにより安全性を向上させるとともに、原子力プラントの運転の信頼性を向上し、高効率化させる。
【解決手段】原子力プラントの運転監視を行うための情報提供装置において、この原子力プラントの情報提供装置は、原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラントの安全状態を表す項目を常時固定表示する第1の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラント全体の運転状態を表示する第2の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力される制御装置と、この制御装置から情報が入力されて原子力プラントを構成する機器および装置の個別運転状態を表示し、これら機器および装置に対する操作信号を前記制御装置に出力する操作手段としての機能を持つ第3の表示装置とを備えたことを特徴とする原子力プラントの情報提供装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原子力プラントの情報提供装置および情報提供方法に関する。
原子力プラントは、通常運転中および異常時の監視において、放射性物質の閉じ込めに関する安全状態の監視、発電や熱供給プラント全体としての監視、および各個別機器および装置の運転状況の監視など、いくつかの異なった観点・重要度からの監視が必要である。
このため、従来より種々の監視装置が用いられており、運転監視へのCRT表示装置の適用、制御室全員への共通情報を提供する大型表示装置等が適用され、運転状態、緊急度および重要度に応じた効率的な運転監視を行えるような工夫がなされてきている。
また、原子力プラントの操作に関しても、CRT表示装置や液晶表示装置を用いたマウスやタッチ操作手段を用いることにより、コンパクトな運転コンソールからの集中監視および操作が可能となっている。
従来の原子力プラントの監視装置としては、原子力プラントの情報を階層化して画像表示する装置がある(例えば特許文献1参照)。
特開2000−249782号公報
原子力プラントにおいては、従来、大型表示装置および運転コンソールの表示装置には、主に表示内容を可変にできる視覚表示装置を用いているため、原子力プラントの安全状態を示す情報が常時表示されているとは限らない。そのため、原子力プラントに異常が発生した場合に安全状態を示す画面に切替えても、画面に表示された情報を識別してプラントの安全状態を把握するのに時間を要する可能性があった。
また、大型表示装置には、運転コンソールの表示装置の拡大画面を表示するのみであるため、大型表示装置は制御室内の管理者や運転員全体にプラントの安全状態の共通認識を提供する役目を果たしてはいるものの、大型表示装置と運転コンソールの表示装置には重複した情報が提供されており、有効に機能分担していない場合もあった。
さらに、運転コンソールにおいて使用される表示装置は、プラント全体の安全状態だけでなく、プラント全体の運転状態、およびこれに関連する各機器・装置の監視および操作も行う必要がある。しかしながら、運転コンソールに主に使用されているCRT表示装置は、通常プラント計算機を用いて表示し、プラント全体の種々の情報を1つの画面にまとめて表示できるというメリットがあるが、プラントの安全上重要な設備の情報表示と操作に必要とされる電気的および物理的な分離・独立性が保たれておらず、そのため、耐震性等の点において改善すべき点もあった。このため、プラントの安全上重要な設備の操作手段を、CRT表示装置とは分離および独立させて設ける必要があった。
また、従来の原子力プラントは、上述したような構成を有するため、安全上重要な設備については、専用の操作手段から操作し、その他の安全上の重要度の低い常用系の設備はCRT表示装置のタッチ操作機能を利用して操作する等、表示および操作方法が不統一の場合があった。また、専用の操作手段をもたない常用系設備は、CRT表示装置が機能を喪失した場合、運転コンソールから操作できなくなる可能性もあった。
上述のように、従来の原子力プラントの情報提供手段には、大型表示装置、運転コンソールのCRT表示装置、安全上重要な設備の操作手段等が存在したが、これらの間の機能的使い分けがなされておらず、類似情報が重複して表示されていることから、画面内数が膨大になり、必要な情報を表示するまでの画面切替えに時間を要し、多数の情報の中から目的の情報を探し出すのに時間を要する可能性があった。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、原子力プラントにおける情報を適切に表示することにより安全性を向上させるとともに、原子力プラントの運転の信頼性を向上し、高効率化させることを目的とする。
本発明に係る原子力プラントの情報提供装置は、上述した課題を解決するために、原子力プラントの運転監視を行うための情報提供装置において、この原子力プラントの情報提供装置は、原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラントの安全状態を表す項目を常時固定表示する第1の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラント全体の運転状態を表示する第2の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力される制御装置と、この制御装置から情報が入力されて原子力プラントを構成する機器および装置の個別運転状態を表示し、これら機器および装置に対する操作信号を前記制御装置に出力する操作手段としての機能を持つ第3の表示装置とを備えたことを特徴とするものである。
本発明に係る原子力プラントの情報提供方法は、原子力プラントの運転監視を行うための情報提供方法において、この原子力プラントの情報提供装置は、第1の表示装置に原子力プラントを構成する系統からの情報を入力して原子力プラントの安全状態を表す項目を常時固定表示し、第2の表示装置に前記原子力プラントを構成する系統からの情報を入力して原子力プラント全体の運転状態を表示し、前記原子力プラントを構成する系統からの情報を制御装置に入力し、前記制御装置から出力された原子力プラントを構成する機器および装置の個別運転状態の情報を第3の表示装置に表示し、これら機器および装置に対する操作指令を前記第3の表示装置から前記制御装置に出力することを特徴とする方法である。
本発明の原子力プラントの情報提供装置および情報提供方法によれば、原子力プラントの安全性を向上させるとともに、原子力プラントの運転の信頼性を向上し、高効率化させることができる。
本発明に係る原子力プラントの情報提供装置は、大型固定表示装置、運転コンソールのCRT表示装置および操作手段に対して、大型固定表示装置にプラントの安全状態を表す項目を表示させ、運転コンソールのCRT表示装置にプラント全体の運転状態を表示させ、操作手段に個別機器および装置の運転状態を表示させるよう階層化して機能分担させるとともに、大型固定表示装置には安全状態を示す情報を常時固定位置に表示するように設けたものである。ここで大型固定表示装置は第1の表示装置に、運転コンソールのCRT表示装置は第2の表示装置に、操作手段は第3の表示装置に該当する。
第1の表示装置である大型固定表示装置には、プラントの安全状態を表す項目を常時固定位置に表示して、制御室の全員に安全状態を常時提供するとともに、原子力プラントの異常時には大型固定表示装置の固定位置に表示された情報から瞬時にプラントの安全状態を把握できるようにする。
一方、第2の表示装置である運転コンソール上のCRT表示装置には、プラント全体の運転状態を表示し、通常時のプラント監視を円滑に行う。また、原子力プラントの異常時にはプラントの安全状態については大型表示装置の表示情報から得られるため、CRT表示装置をプラント全体情報表示のために連続して使用可能な構成とする。従って、原子力プラントの安全状態についての情報がCRT表示装置の裏画面に隠れることがなくなるので、運転員は、大型表示装置で原子力プラントの安全状態を監視しながら、CRT表示装置を原子力プラント全体の運転情報を入手するためにフルに活用可能となる。
さらに運転コンソール上には、安全上重要な設備および常用系設備の各々に対して第3の表示装置としての機能を持つ操作手段を設け、原子力プラントを構成する系統や個別機器および装置の操作を行うことが可能な構成とする。
ここで、本発明の原子力プラントの情報提供装置においては、原子力プラントの保全の観点から、安全上重要な設備の操作手段については、他の安全上重要な設備の操作手段および常用系設備の操作手段と物理的および電気的に分離し、独立させる構成とする。このような構成とすることにより、例えば安全上重要な設備の操作手段に単一の故障が生じた場合にも、複数の安全上重要な設備の操作ができなくなることが防止されるため、原子力プラントの安全性および運転信頼性を大幅に向上させる。
また、原子力プラントの設備が安全上重要な設備であるか常用系設備であるかに係わらずタッチ操作方式が統一されるので、操作のための労力やマニュアル参照が不要となり、操作に要する時間を短縮できるとともに、誤操作を少なくすることができる。また、万一CRT表示装置が使用できない場合でも、常用系設備を含めた全ての機器が運転コンソールから操作可能となる。
以上のように構成することにより、本発明の原子力プラントの情報提供装置においては、表示装置ごとに表示する情報を特定するので、大型表示装置に表示されたプラントの安全状態が他の情報に隠されることなく、常時制御室の全員に共通情報として提供される。一方、CRT表示装置および操作手段により、運転員はプラント全体の運転情報や各系統および機器の状態を、プラントの安全状態に関する情報を隠すことなく常時監視することが可能となるため、原子力プラントの安全運転、運転の信頼性を大幅に向上することができる。
また、安全上重要な設備および常用系設備の各々に対して個別の系統および機器に対する操作手段を設け、これらを相互に物理的および電気的に分離することにより、安全上重要な設備の操作手段の単一故障により複数の安全上重要な設備の操作ができなくなることを防止するとともに、安全上重要な設備と常用系設備とでタッチ操作方式が統一されるので、CRT表示装置が万一使用不能な場合でも、全ての機器が運転コンソールから操作可能となり、原子力プラントの安全性および運転信頼性を高めることができる。
なお、ここでは運転コンソールの表示装置をCRT表示装置としているが、表示方式は必ずしもCRT方式である必要はなく、液晶その他の方式の表示装置を用いてもかまわない。
添付図面を参照して、本発明に係る原子力プラントの情報提供装置の第1の実施例について説明する。
図1は、実施例1の原子力プラントの情報提供装置のシステム構成図である。図1に示すように、実施例1の原子力プラントの情報提供装置は、原子力プラント1と、この原子力プラント1を制御する制御装置群2と、原子力プラント1の系統ごとの情報を統合する情報統合装置3と、制御装置群2からの情報が入力されて情報が表示されるとともに、この表示画面から制御装置群2に対する命令信号を出力する操作手段群4と、原子力プラント1からの情報および制御装置群2からの信号が入力されて、原子力プラント1の安全状態に関する情報が常時固定表示される大型固定表示装置5とから構成される。
図2は、実施例1の原子力プラントの情報提供装置の具体的な全体構成例を示すものであり、この図2に示すように原子力プラントの情報提供装置は、運転コンソール8および大型表示装置9より構成される。操作手段群4およびCRT表示装置6は運転コンソール8上に設置され、大型固定表示装置5は大型表示装置9の固定位置に表示される。
図1を参照して、本発明に係る原子力プラントの情報提供装置の構成について、さらに具体的に説明する。
原子力プラント1を構成する設備のうち、事故時等に使用される安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および通常運転時等に使用される常用系統1Dの信号は、それぞれ大型表示装置9の一部である第1の表示装置としての大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dにそれぞれ接続されるとともに、各々の系統ごとに制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに接続される。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからは、各々運転コンソール8に設置された第3の表示装置としての操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dに対して操作に必要な情報を表示するよう接続される。操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dは、表示された情報を画面上でタッチする又はマウス等の操作を行うことによって、機器および装置の操作指令信号をそれぞれ制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに出力する。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2Cおよび制御装置2Dは、それぞれ原子力プラント1を構成する安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dに対して操作信号を出力する。また、制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからの出力は、大型表示装置9の一部である大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dにも接続される。
さらに、安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dの信号は、情報統合装置3に接続される。情報統合装置3には、原子力プラント1の図示しない系統の信号も接続される。この情報統合装置3は、原子力プラントを構成する設備の系統についての情報を収集して統合する装置であり、この情報統合装置3からは、運転コンソール8に設置された第2の表示装置としてのCRT表示装置6に接続され、情報統合装置3に統合された原子力プラント全体の情報が入力されて表示される構成である。
なお、この図1において、原子力プラント1各系統からの信号出力をそれぞれ接続a,接続b,接続c,接続dで表している。すなわち、原子力プラント1からの接続a,接続b,接続c,接続dは、情報統合装置3および大型固定表示装置5にそれぞれ入力される。また、制御装置群2の各制御装置からの出力信号をそれぞれ接続a´,接続b´,接続c´,接続d´で表し、大型固定表示装置5の各表示装置にそれぞれ入力される。
次に、実施例1の原子力プラントの情報提供装置における作用を説明する。
第1の表示装置としての大型表示装置9の一部である大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dには、原子力プラント1を構成する安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dから原子力プラントの安全状態を示す信号が入力される。この信号には、炉心の反応度を示すパラメータ又は機器状態(炉心内の中性子束、制御棒位置など)、炉心冷却状態を示すパラメータ又は機器状態(原子炉水位・圧力、非常用炉心冷却系統運転状態など)、および格納容器の隔離状態を示すパラメータ又は機器状態(隔離機能作動状態、隔離弁位置など)などのプラントの安全状態を示す信号を含む。
これらの大型固定表示装置5へのパラメータおよび機器状態の表示方式の実施例を図3に示す。表示方式としては、パラメータをバーチャート表示器51又は数値表示器52で、機器状態を機器シンボル型表示灯53で、警報状態を照光式警報表示窓54又は電光警報表示窓55で表示し、さらにこれらのパラメータをプラントの機器構成を示すミミック図上に配置して表示している。これらの表示は、固定型の表示器を用い、固定位置に常時表示する。なお、大型固定表示装置に表示される指示計および表示計は、相互に電気的、物理的に独立するように構成される。
大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dは、大型固定表示装置5上に分散して配置された、各々安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dに関するバーチャート表示器51、数値表示器52、機器シンボル型表示灯53、照光式警報表示窓54および電光警報表示窓55を系統毎に総称したものであり、必ずしも物理的に1箇所に集合して表示されているとは限らない。
ここで、安全上重要な系統1Aは、他の安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dとの間に共通の故障要因が存在しないように、物理的および電気的に独立であることが必要である。このため、表示装置5A、表示装置5B、表示装置5Cおよび表示装置5Dは、それぞれ独立した電源から給電するとともに、相互に隔壁で隔てられている。
さらに、安全上重要な系統1Aおよび制御装置2Aと表示装置5Aとの接続ケーブル、安全上重要な系統1Bおよび制御装置2Bと表示装置5Bとの接続ケーブル、および安全上重要な系統1Cおよび制御装置2Cと表示装置5Cとの接続ケーブルは、それぞれ相互に独立した専用の電路を通って接続されるとともに、常用系である系統Dに係わる常用系統1Dおよび制御装置2Dと表示装置5Dとの接続ケーブルとは物理的および電気的に分離されている。
一方、情報統合装置3には、原子力プラント1を構成する安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dおよび原子力プラント1の図2に図示しない系統から原子力プラントのパラメータおよび機器状態信号が入力され、第2の表示装置としてのCRT表示装置6に原子力プラントの運転状態を表示する。
CRT表示装置6は、原子力プラントの運転状況を表示するものであり、図2に示す常用提供装置においては、CRT表示装置が3台運転コンソールに配置された例を示したが、原子力プラントの規模や、人員の配置数により台数を変化させることが可能である。
CRT表示装置6への表示画面の例を図4に示す。この実施例1において、CRT表示装置6には、安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dの情報だけでなく、通常のプラント運転に必要な原子力プラント1の図示しない系統からの情報も併せて表示する。
この図4に示す例のように、CRT表示装置には、炉水の水位や主蒸気量等の原子力プラントの運転状況に関係する情報が表示されて原子力プラント全体の概況が表示されている。
CRT表示装置6には、プラント全体をオーバービュー状に表示する画面と、プラント全体をいくつかのブロックに分けた画面、個別系統に分割した画面など、詳細度に応じた画面、および、プラント起動時、停止時、異常時などのプラント運転状況に応じて必要項目を集めた画面など、目的応じた画面が準備され、運転員が選択操作で必要画面を呼び出したり、運転状況に応じて自動表示を行うことにより、フレキシブルに情報を提示できる。
また、原子力プラント1から制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dには、各々原子力プラント1の安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dのパラメータおよび機器状態信号が入力され、運転コンソール8に設置された第3の表示手段としての操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dに各系統の運転に必要なパラメータおよび機器の運転状態を表示するために使用される。操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dへの表示画面実施例を図5に示す。ここには、各系統の個別機器および装置の運転に必要な詳細な情報を表示する。
操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dは、表示された情報を画面上でタッチする又はマウス等の操作を行うことにより機器の操作指令を、それぞれ制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに出力し、制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dは、それぞれ原子力プラント1を構成し、事故時等に使用される安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および通常運転時等に使用される常用系統1Dに対して操作信号を出力する。
ここで、安全上重要な系統Aは、他の安全上重要な系統B、安全上重要な系統C、および常用系統Dとの間に共通の故障要因が存在しないように、物理的および電気的に独立であることが必要である。このため、制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dとは異なるエリアに設置して、それぞれ独立した電源から給電している。また、運転コンソール上の操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dは、それぞれ独立した電源から給電するとともに、相互に隔壁で隔てられている。
さらに、制御装置2Aと操作手段4Aとの接続ケーブル、制御装置2Bと操作手段4Bとの接続ケーブル、および制御装置2Cと操作手段4Cとの接続ケーブルは、それぞれ相互に独立した専用の電路を通って接続されるとともに、常用系である系統Dに係わる制御装置2Dと操作手段4Dとの接続ケーブルとは物理的および電気的に分離されている。すなわち、図1において接続a,接続b,接続c,接続dおよび接続a´,接続b´,接続c´,接続d´で示された各系統を表示させるための接続および信号伝達用の設備および電源供給用の設備は、すべて独立性を有する構成とされる。
図6に本発明に係る原子力プラントの情報提供装置の第2の実施例を示す。
図6は、この実施例2の原子力プラントの情報提供装置のシステム構成図であり、原子力プラント1を構成し、事故時等に使用される安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および通常運転時等に使用される常用系統1Dの信号は、それぞれ大型表示装置9の一部である第1の表示装置としての大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dに接続されるとともに、各々制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに接続される。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからは、各々、運転コンソール8に設置された第2の表示装置としての操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dに対して操作に必要な情報を表示するよう接続される。操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dは、表示された情報をタッチする又はマウス等の操作を行うことにより、機器の操作指令信号をそれぞれ制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに出力する。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dは、それぞれ原子力プラント1を構成する安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dに対して操作信号を出力する。また、制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからの出力は、大型表示装置9の一部である大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dに接続される。
一方、安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dの信号は、情報統合装置3に接続される。情報統合装置3には、原子力プラント1の図示しない系統の信号も接続される。情報統合装置3からは、運転コンソール8に設置された第2の表示装置としてのCRT表示装置6に接続される。
さらに、実施例2の原子力プラントの情報提供装置においては、情報統合装置3からの出力が大型表示装置9上の大型スクリーン10に接続される。この大型スクリーンは、第2の表示装置に相当する。
なお、実施例2に係る原子力プラントの情報提供装置におけるその他の構成については、大型スクリーン10以外は、前記実施例1と同様である。
この実施例2の原子力プラントの情報提供装置においては、大型表示装置9に設置された大型スクリーン10には、情報統合装置3によって画面が表示され、原子力プラント全体の情報、すなわち安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dの情報に加えて原子力プラント1の、図6に図示しない系統の情報を表示するので、実施例1で大型固定表示装置5に常時表示される原子力プラントの安全情報に加えて、状況に応じて運転に必要な付加的な情報をフレキシブルに提供することができる。
大型スクリーン10の表示画面の例を図7に示す。図7に示すよう大型スクリーンには、例えば、大型固定表示装置5のバーチャート表示器51や数値表示器52が表示されているパラメータのうち、事象に応じて特に着目したいパラメータを選択して、その時間変化を示すトレンド表示を行うことも可能となる。従って、原子力プラントの安全状態の監視を一層確実に行うことが可能となる。
なお、大型スクリーン10には、情報統合装置3で作成したその他の画面および運転コンソールCRT表示装置6と同一画面を表示することも可能である。
図8に本発明に係る原子力プラントの情報提供装置の第3の実施例を示す。
図8は、実施例3の原子力プラントの情報提供装置のシステム構成図であり、原子力プラント1を構成し、事故時等に使用される安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および通常運転時に使用される常用系統1Dの信号は、それぞれ大型表示装置9の一部である第1の表示装置としての大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dに接続されるとともに、各々制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに接続される。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからは、各々、運転コンソール8に設置された第3の表示装置としての操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dに対して操作に必要な情報を表示するよう接続される。操作手段4A、操作手段4B、操作手段4C、操作手段4Dは、表示された情報をタッチする又はマウス等の操作を行うことにより、機器の操作指令信号をそれぞれ制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dに出力する。
制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dは、それぞれ原子力プラント1を構成する安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dに対して操作信号を出力する。また、制御装置2A、制御装置2B、制御装置2C、制御装置2Dからの出力は、大型表示装置9の一部である大型固定表示装置5の表示装置5A、表示装置5B、表示装置5C、表示装置5Dに接続される。
さらに、安全上重要な系統1A、安全上重要な系統1B、安全上重要な系統1C、および常用系統1Dの信号は、情報統合装置3に接続される。情報統合装置3には、原子力プラント1の図示しない系統の信号も接続される。情報統合装置3からは、運転コンソール8に設置された第2の表示装置としてのCRT表示装置6に接続される。
さらに実施例3の原子力プラントの情報提供装置においては、切替装置11を経由して情報統合装置3から操作手段4Dにも接続される。
この実施例3の原子力プラントの情報提供装置において、運転コンソール8に設置された常用系統1Dに係わる操作手段4Dは、制御装置2Dによって画面が表示されるとともに、表示された情報を画面上でタッチする又はマウス等の操作を行うことにより機器の操作指令信号を制御装置2Dに出力し、制御装置2Dは原子力プラント1の常用系統1Dに対して操作信号を出力する。ここまでの作用は実施例1および実施例2と同様である。
この実施例3では、上記操作手段4Dは、さらに、切替装置11を経由して情報統合装置3からの画面も表示することができる。このような構成とすることにより、操作手段4Dは、制御装置2Dによって表示される画面と、情報統合装置3によって表示される画面の両方を切替えて表示できる。
すなわち、操作手段4Dは、通常運転時には情報統合装置3の情報によってプラント全体の運転状態を表示しておき、一方、個別機器の操作が必要な場合には、制御装置2Dによって個別系統および機器の表示とタッチ操作を行うことができ、運転コンソール上の表示装置および操作手段を他用途にフレキシブルに使用できるようになる。従って、原子力プラントの運転監視の信頼性が向上し、更なる効率化が実現する。
実施例1の原子力プラントの情報提供装置の構成図。 本発明に係る原子力プラントの情報提供装置のレイアウトを示す模式図。 第1の表示装置である大型表示装置の表示例を示す模式図。 第2の表示装置であるCRT表示装置の画面表示例を示す模式図。 第3の表示装置である操作手段の画面表示例を示す模式図。 実施例2の原子力プラントの情報提供装置の構成図。 実施例2における大型スクリーンの表示例を示す模式図。 実施例3の原子力プラントの情報提供装置の構成図。
符号の説明
1 原子力プラント
1A 安全上重要な系統A
1B 安全上重要な系統B
1C 安全上重要な系統C
1D 常用系統D
2 制御装置群
2A,2B,2C,2D 制御装置
3 情報統合装置
4 操作手段群
4A,4B,4C,4D 操作手段
5 大型固定表示装置
5A,5B,5C,5D 表示装置
6 CRT表示装置
8 運転コンソール
9 大型表示装置
10 大型スクリーン
11 切替装置
51 大型固定表示装置上のバーチャート表示器
52 大型固定表示装置上の数値表示器
53 大型固定表示装置上の機器シンボル型表示器
54 大型固定表示装置上の照光式警報表示窓
55 大型固定表示装置上の電光警報表示窓

Claims (8)

  1. 原子力プラントの運転監視を行うための情報提供装置において、この原子力プラントの情報提供装置は、原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラントの安全状態を表す項目を常時固定表示する第1の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力されて原子力プラント全体の運転状態を表示する第2の表示装置と、前記原子力プラントを構成する系統からの情報が入力される制御装置と、この制御装置から情報が入力されて原子力プラントを構成する機器および装置の個別運転状態を表示し、これら機器および装置に対する操作信号を前記制御装置に出力する操作手段としての機能を持つ第3の表示装置とを備えたことを特徴とする原子力プラントの情報提供装置。
  2. 前記第1の表示装置は、原子力プラントの安全状態を示す項目を常時固定位置に表示し、前記安全状態を示す項目は、原子力プラントの系統接続を示すミミック図、表示灯、指示計、警報を有することを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの情報提供装置。
  3. 前記第1の表示装置に表示される原子力プラントを構成する系統のうち、安全上重要な系統の表示灯および指示計は、相互に物理的および電気的に分離させて独立するように構成された請求項1記載の原子力プラントの情報提供装置。
  4. 前記第1の表示装置としての原子力プラントの系統接続を示すミミック図、表示灯、指示計および警報を有する固定表示と、原子力プラントの運転情報が表示される前記第2の表示装置としての大型スクリーンとが同一の表示手段に並列して表示された請求項1に記載の原子力プラントの情報提供装置。
  5. 前記第2の表示装置は、運転コンソール上に設置した視覚表示装置であることを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの情報提供方法および装置。
  6. 前記第3の表示装置は、運転コンソール上に設置した視覚表示装置であり、安全上重要な系統の表示装置は他の系統の表示装置と相互に物理的および電気的に分離させて独立するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの情報提供装置。
  7. 前記第3の表示装置のうち常用設備の表示装置と前記第2の表示装置に情報を入力する情報統合装置とを接続し、前記第2の表示装置に入力される前記原子力プラントを構成する系統の情報のうち、常用系統の設備の情報を第3の表示装置に入力するための切替装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの情報提供装置。
  8. 原子力プラントの運転監視を行うための情報提供方法において、この原子力プラントの情報提供装置は、第1の表示装置に原子力プラントを構成する系統からの情報を入力して原子力プラントの安全状態を表す項目を常時固定表示し、第2の表示装置に前記原子力プラントを構成する系統からの情報を入力して原子力プラント全体の運転状態を表示し、前記原子力プラントを構成する系統からの情報を制御装置に入力し、前記制御装置から出力された原子力プラントを構成する機器および装置の個別運転状態の情報を第3の表示装置に表示し、これら機器および装置に対する操作指令を前記第3の表示装置から前記制御装置に出力することを特徴とする原子力プラントの情報提供方法。

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