JP2005105775A - 津波防波堤、および津波防波堤の建設方法。 - Google Patents

津波防波堤、および津波防波堤の建設方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】
建設のための費用や時間が節約でき、立地上の制約の少ない津波防波堤の提供、既存の堤防などを活用できる津波防波堤の提供を課題とする。また、既存の津波防波堤について、少ない費用と時間で津波災害を防止する能力を高めることのできる津波防波堤の提供や、景観や生物の生育環境に与える悪影響を抑えることのでき、経済性にも優れた津波防波堤の提供を課題とする。
【解決手段】
耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で、一個あるいは、複数の気室1を持つ袋2を形成し、袋の下部3を陸上に固定することで、気室を持つ袋が堤体4となる、また、袋を強靭な外皮で覆い外皮の下部を陸上に固定することで、外皮に覆われた袋が堤体となる、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤とし、これを用いた津波防波堤の建設方法とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤、および津波防波堤の建設方法に関するものである。
津波の多くは地震による海底のズレや火山活動により発生すると考えられており、地震や火山活動の活発な沿岸地域では、しばしば津波による甚大な被害を蒙ってきた歴史がある。現在、日本列島の一部は地震活動の活発な時期に差しかかりつつあると考えられることから、早急に津波被害を防ぐための有効な対策を講じることが求められている。
今日の海岸には、高波や高潮による被害を防止するための堤防が築かれている場合が多い。この種の堤防は通常の高波や高潮に対しては有効であり、本来津波災害の防止を目的とするものではないが、小規模津波に対してもある程度の効果が認められる。しかし、津波は波長が極めて長いので、来襲時に水位の高い時間が長く継続し浸水被害を受けやすい点、波が陸岸に近づくとあたかも流れのように振舞うことにより破壊力が大きい点、一回の津波で数回以上の波に繰り返し襲われるという点から通常の高波や高潮と異なっており、高波や高潮による被害を防止するための堤防で津波災害を防止するには限界があり、規模の大きな津波時に被害を防止することはできなかった。
このため、津波被害を防ぐための対策として、海岸近くの陸上部や、沿岸の海中に建設される津波防波堤があるが、従来の津波防波堤は、防波堤を大きく、重く、堅固にすることで津波の衝撃に耐えるという考えで設計されることから、主としてコンクリートや、岩石、土砂、金属などの重くて硬い材料をきわめて多量に用いて建設しなければならず、津波防波堤の建設に多額の費用と長い期間を必要とした。また、従来の沿岸の海中に建設される津波防波堤は、建設工事のなかで海中や海上での作業の比重が高いという事情もあり、建設にはさらに多額の費用と長い期間を要するという問題点があった。
また、従来の津波防波堤のうちで海岸近くの陸上部に建設される津波防波堤は、建設に当たって用地の取得や、建設場所の選定に困難な問題が多くあり、例えば、埠頭、水産施設、造船工場、水産物市場や海水浴場などの海に向かって開放された地点や河口など津波防波堤の建設が困難な場所が多く存在していた。このことは、ある地域を津波防波堤で取り囲んで、津波来襲による災害から守ろうとする際の致命的な欠陥となるものであった。
さらに、従来の陸上の津波防波堤は、防波堤の内側と外側とを連絡する通路を持ち、通路には止水扉が付けられている。一般にこの止水扉は、通常時には開放されており、津波来襲が予測される時に閉じられることになっているが、止水扉のなかには、通常時の開放で通行車両の接触により損傷を受けたり、時間を経るに従って地盤に狂いを生じたり、通路附近に土砂が堆積するといった環境の変化や、津波の原因となる地震そのものの衝撃のために充分な機能が発揮できなくなるのではないかという懸念があった。
さらにまた、従来の陸上の津波防波堤の止水扉は、津波来襲が予測される時に閉じられることになっているが、通常これには止水扉を止水扉の近傍で操作をする人が必要である。このため操作をする人の避難が遅れ、危険にさらされるという不便があり、場合によっては、避難を急ぐあまり、的確な操作がなされないのではないかという恐れもあった。
沿岸の海中に建設される津波防波堤には、従来形式のものの他に、耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋の下部を海中に固定し、この袋の他の部分を海底や陸上の適当な個所に繋ぎ止めることで気室を持つ袋が堤体となる津波防波堤が提案されているが、これは専ら沿岸沖合いの海中に建設される津波防波堤についてのものである。
津波災害を完璧に防止するためには、津波防波堤が人的活動の行われるすべての沿岸に建設されるべきであるが、先に述べたように費用や時間、立地的な制約から津波防波堤によって災害から守られる地域は限定されるのが現実である。自然現象である津波の来襲を早い時期から正確に予測することは、現在の人知では極めてむずかしいため、常に津波災害に対する備えを怠ることはできないが、限られた費用や津波の来襲を正確に予測できないという状況の中で、沿岸のできる限り多くの地域に津波防波堤を建設することで津波からより多くの生命と財産を守ろうとする際、建設費用や時間が節約でき、立地上の制約の少ない津波防波堤とその建設方法が求められている。また、通常の高波や高潮による被害を防止するための既存の堤防を陸上の津波防波堤として活用できるとすれば、新たに津波防波堤を建設する場合に比較して大幅に費用や時間を節約でき、極めて好都合である。
通常は津波防波堤の建設に際して、合理的な考えにもとづいて、ある規模の津波の来襲を想定し、その想定した津波に耐えられる津波防波堤を設計するものであるが、近年、地震や火山活動、これらに起因する津波に関する研究が進展するにつれて、将来来襲が予測される津波の規模についての見直しが行われる場合がある。この際に、既存の津波防波堤の能力が、新たな基準の想定津波の規模を下回っている場合には、既存の津波防波堤の改修が必要になるが、既存の津波防波堤の改修についても、新たに津波防波堤を建設する場合と同様に多額の費用と長い期間を要するという問題点があり、問題の解決が求められている。
また、近年の長寿化を反映して数多く建設される老人養護のための施設や、学校などの教育施設、余暇時間を過ごす保養のための施設は、比較的広大な用地が必要であり、周辺の自然環境を重視するため、しばしば、市街の中心部から離れた位置に立地することがある。これらの諸施設では、津波来襲時に迅速な避難が困難であると考えられる高齢者や若年者、地域の事情に不案内な多数の人が居ることになるが、施設の置かれる所が市街の中心部から離れており、しかも施設が散在しているために、市街の中心部から延々と津波防波堤を建設するには、必要な費用と時間が膨大なものになってしまうという問題や建設後の津波防波堤の存在が景観上好ましくなく、生物の生育環境にも悪い影響を与えるという問題があった。
特願2002−262190号 大矢雅彦ほか著「自然災害を知る・防ぐ」古今書院 1996
解決しようとする課題は、建設のための費用や時間が節約でき、立地上の制約の少ない津波防波堤を提供することであり、既存の堤防などを津波防波堤として活用できる津波防波堤の提供を課題とするものである。また、既存の津波防波堤についても、少ない費用と時間で津波災害を防止する能力を高めることのできる津波防波堤の提供を課題としている。さらに市街の中心部から離れた景勝地などに散在立地する施設についても、景観や生物の生育環境に与える悪影響を抑えることのでき、経済性にも優れた津波防波堤の提供を課題とするものである。
本発明は、耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で、一個あるいは、複数の気室1を持つ袋2を形成し、袋の下部3を陸上に固定することで、気室を持つ袋が堤体4となる、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤とし、これを用いた津波防波堤の建設方法とした。また、耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋を強靭な外皮で覆い外皮の下部を陸上に固定することで、外皮に覆われた気室を持つ袋が堤体となる、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤とし、これを用いた津波防波堤の建設方法とした。
本発明の津波防波堤は、専ら陸上に設置する形式で、耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で、一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋の下部を陸上に固定することや、強靭な外皮で袋を覆い、この外皮の下部を陸上に固定することで、気室を持つ袋が堤体となる。平時には、袋や外皮を小さく畳んだ状態で格納して置き、津波来襲時に袋の中に気体や液体を送り込んで膨張させ津波防波堤の堤体を展開させる。堤体となる袋は工場で生産できるので、建設地点での作業が少なくてすみ、津波防波堤建設の費用と時間を大幅に節約することが可能となる。
また本発明の津波防波堤は、平時における堤体の占有面積が極めて少なく、堤体の質量も小さいことから、既存の堤防や道路などと併設することが可能である。同様の理由により従来津波防波堤の建設が困難とされてきた、例えば、埠頭、水産施設、造船工場、水産物市場や海水浴場などの海に向かって開放された地点や河口などにも容易に建設できるという利点がある。さらに、既存の津波防波堤についても、既存の堤防に付加する形で建設できるので、容易に津波防波堤の持つ防災能力を向上させることができた。
市街の中心部から離れた景勝地などに散在立地する施設についても、本発明の津波防波堤は、堤体が気室から成る袋や袋を覆う外皮であり、平時における堤体の占有面積が極めて少なく、堤体の殆どを地中に設置することも可能なことから、景観や生物の生育環境に与える悪影響を抑えることができる。また、津波の来襲時以外は堤体が地上の障害物とならないので、散在立地する施設に対して個別に施設を取り囲む形に津波防波堤を建設しても問題がない。このことから、市街の中心部から途切れることなく建設する必要のある従来の津波防波堤と比較して、本発明の津波防波堤は、建設のための費用と時間を大幅に削減でき、経済性にも優れた津波防波堤の提供ができた。
本発明は、耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で、一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋の下部を陸上に固定すること、または、形成した袋を強靭な外皮で覆い、外皮の下部を陸上に固定することで、気室を持つ袋や外皮が堤体となることを特徴とするもので、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤とこれを用いた津波防波堤の建設方法である。
まず、津波防波堤が必要とされる海岸近くの陸上に、海岸に沿って土石あるいは、コンクリート製の強固な基礎を築くが、この基礎は、護岸や堤防、道路を兼ねてその一部を基礎として利用してもよい。堤体となる袋や外皮は工場で生産できるので別途生産し、現場に運んで、袋の下部または、外皮の下部を基礎に埋め込むなどして隙間なく固定し、必要があれば、袋や外皮の他の部分を海底や陸上の適当な個所に繋ぎ止める。
基礎には、図1のように基礎の長辺に沿って溝状の凹部7を設け、この凹部の中に展開すると陸上の津波防波堤の堤体4となる袋2や外皮を収納するとよい。この際、溝状の凹部を開閉自在な蓋8で覆うことで、堤体となる袋や外皮を紫外線や外力による損傷から保護することができ、点検や管理も容易になることから、堤体となる袋や外皮を長期にわたって良好な状態で維持できる。開閉自在な蓋の上面は、平時に歩道などとして利用できるので、津波防波堤の堤体の占有面積を少なくできるばかりでなく、景観を損なう恐れも殆どない。また、平時に堤体が地上に大きく突出しないので、生物の生育環境に与える影響も少なくできる。
津波防波堤の堤体となる袋の気室は、津波来襲時の衝撃や漂流物によって損傷を受けることを考慮して、複数個あるのが好ましく、堤体の水平切断面が多層、格子状、あるいは蜂の巣状になるように気室を配置したり、気室の表面や外皮の表面に強靭な化学繊維を織り込んだ素材を幾重にも重ねて用い、発泡体からなる衝撃吸収層を付加することで、より強度の高い堤体とすることができる。また、図2で示す本発明の津波防波堤では、堤体の底面幅に対して高さが大きいので、津波の衝撃を受け止める際、堤体が内陸側に押し倒される懸念があることから、堤体に沿って堤体海側のやや離れた地点に固着点12を多数設けるとともに、堤体上部にもこれと対応する固着点13を設け、この両者を結んで堤体の強化を図っている。概ね堤体の高さが直径の3分の2を超えるような場合には、堤体の海側固着点と堤体上部附近に設けた固着点を結んで堤体の強化を図るのが望ましい。
本発明の津波防波堤は、各気室に給気口9を取り付け外部に蓄えられた圧縮空気5を送り込む方法や、気室のそれぞれにガスボンベを取り付ける方法、あるいは、化学反応や燃焼による気体の膨張を利用する方法などによって、気室を急速に膨らませることができるので、気室の集合体である袋が短時間のうちに津波防波堤の堤体になる。この際、津波到達までの時間に余裕があれば、気室内に河川の水や海水などの液体を注入することで、堤体の安定を高めることができ、津波の衝撃に対して一層強い堤体とすることができる。
本発明の津波防波堤は、防波堤を大きく、重く、堅固にすることで津波の衝撃に耐えるという従来の防波堤と異なり、津波の衝撃を柔軟に受け止め、津波の進行を阻止するものであり、平時には堤体を畳んだ状態で格納しておき、津波の来襲が予測される場合には、堤体を陸上に展開し、津波防波堤として使用するものである。堤体の大部分が可撓性膜による気室で構成されているので質量が小さく、運搬や設置に要する費用を小さくできる可能性があり、また、現場での作業を大幅に削減できることから、建設にかかわる工期の縮小と費用の節約ができる利点がある。
また、本発明の津波防波堤は、可撓性の膜を堤体の形に加工する際に容易に設置すべき地形に合わせることができ、また、堤体の質量が小さいことから、津波防波堤を建設しようとする際の地形や地質上の制約が小さくなり、段差のある場所や地盤の軟弱な河口にも建設できる。さらに平時には、津波防波堤の大部分が畳んだ状態で格納されているので、景観や生物に悪影響を与えることが少なく、純粋に防災上の見地から必要な個所に津波防波堤を建設することができる。
一般に津波防波堤の建設に際しては、合理的な考えにもとづいて、ある規模の津波の来襲を想定し、その想定した津波に耐えられる津波防波堤を設計するものであるが、本発明による津波防波堤の堤体の大部分は、工場で組み立てることができ、素材や部材をある程度共通化することで量産効果による費用の削減を見込むことができるので、計画の当初からより大きな津波の来襲を設計の基準として採用し、防災上の余裕を持たせることができる利点もある。
さらに、本発明の津波防波堤は、津波の来襲が予想される時に堤体を展開させるので、従来の陸上の津波防波堤のように防波堤の内側と外側とを連絡する通路や止水扉を持つ必要がなく、防波堤の内側と外側とを連絡する通路や止水扉に起因する問題から開放される。また、本発明の津波防波堤は気体や液体によって操作できるので、あたかも自動車のエアバッグのように、容易に自動制御や遠隔制御できる見込みがあり、止水扉の操作のために人命が危険に晒されるという問題点も解消される。
図1は、本発明津波防波堤の1実施例の斜視図である。図のように基礎の長辺に沿って溝状の凹部7を設け、この凹部の中に展開すると陸上の津波防波堤の堤体4となる袋を収納する。この際、溝状の凹部を開閉自在な蓋8で覆うことで、堤体となる袋を紫外線や外力による損傷から保護することができ、長期にわたって良好な状態を維持できる。
図2は、本発明津波防波堤を埠頭に建設した実施例斜視図である。堤体に沿って堤体海側のやや離れた地点に固着点12を多数設けるとともに、堤体上部にもこれと対応する固着点13を設け、この両者を結んで堤体4の強化を図っている。平時に開閉自在な蓋の上面は、通路や荷揚げ施設の一部などとして利用できるので、津波防波堤の堤体の占有面積を少なくできるばかりでなく、平時に埠頭の機能を損なう恐れがほとんどない。津波の来襲が予想され、津波防波堤の堤体となる袋や外皮を展開する際に、堤体となる袋や外皮を収納する溝状の凹部を覆う開閉自在な蓋は、気室の膨張によって押し開かれるので、蓋の海側辺にヒンジを設けるなどして地面に残るように固定しておくことによって、蓋が押し開かれる際に堤体の前面に立ち上がり、津波の先端で発生する漂流物を巻き込んで進行してくる激しい流れが堤体に与える衝撃を和らげるための衝撃吸収板11となる。
図3は、既存の堤防に付加する形で建設した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。平時における堤体の占有面積が極めて少ないことから、既存の通常の高波や高潮による被害を防止するための堤防14と併設することが可能である。既存の堤防の内陸側に本発明津波防波堤を設置すれば、既存の堤防を部分的に改修することによって本発明津波防波堤の基礎15として利用することができ、また既存の堤防の堤体は、津波の先端で発生する漂流物を巻き込んで進行してくる激しい流れが堤体の下部にぶつかる際の衝撃を和らげるための防御壁16として利用できる。
図4は、陸上に建設された既存の津波防波堤17に付加する形で建設した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。将来来襲が予測される津波の規模についての見直しが行われ、既存の津波防波堤の能力が想定した津波の規模を下回っている場合には、防災上の見地から既存の津波防波堤の能力を大きくするという改修が必要になるが、改修の主要な点は堤防の高さを大きくすることである。陸上に建設された既存の津波防波堤を大きく改修することは、長大な重量物を既存の津波防波堤に付け加える形で建設しなければならないという技術的に困難な問題があり, たとえ改修が可能な場合でも多額の費用と長い期間を要するという問題がある。本発明の津波防波堤22は、堤体の大部分が可撓性膜による気室で構成されているので質量が小さく、堤体が津波を柔軟に受け止めることとなるので、改修することによって増加する既存津波防波堤の負担が少なくできる。このため、既存の津波防波堤を根元から改修せずに、既存の堤防の上部に本発明の津波防波堤を付加することによって、既存の津波防波堤の能力を大きくすることが可能である。このため、運搬や設置に要する費用を小さくできる可能性があり、また、現場での作業を大幅に削減できることから、改修にかかわる工期の縮小と費用の節約ができる利点がある。
図5は、沿岸沖合いの海中に建設された既存の津波防波堤18に付加する形で配置した本発明津波防波堤22の実施例斜視図である。来襲が予測される津波の規模についての見直しが行われ、既存の津波防波堤の能力が不足している場合には、実施例4の場合と同様に津波防波堤の改修が必要になるが、沿岸沖合いの海中に建設された既存の津波防波堤の改修は、長大な重量物を水深のある海底地盤の上に付加する形で改修しなければならない。この改修によって、付加する構造物の重量が海底地盤の負担をさらに増加させるので、津波の前に発生する地震の衝撃で津波防波堤が沈降したり損傷を受け、津波到達時には津波防波堤の効果が充分に発揮できない恐れがあり、改修には建設の場合と同様に多額の費用と長い期間を要するという問題がある。本発明の津波防波堤は、質量が小さいので津波防波堤の改修に際して海底地盤にかかる負担を軽減できる。運搬や設置に要する費用を小さくでき、現場での作業も大幅に削減できることから、改修にかかわる工期の縮小と費用の節約ができる利点がある。
図6は、市街の中心部19から離れた位置に立地する、ある施設20を取り巻く形で建設した本発明津波防波堤22の実施例斜視図である。本発明津波防波堤は津波の来襲が予測される時に一時的に展開するものなので、管理者や所有者に事前の承諾を得ていれば、災害時の緊急処置として周辺の道路21や私有地を横切る形に堤体を展開しても不都合な問題は軽微である。本発明津波防波堤に取り囲まれた施設や集落は、津波が押し寄せている間一時的に周辺から孤立することになるが、津波の危険が去った後は速やかな復旧が可能である。このことによって、従来の津波防波堤を市街の中心部から延々と建設する場合に比較して、津波防波堤建設に要する費用と時間を大幅に削減できる。本発明津波防波堤は、堤体が気室から成る袋であり、平時における堤体の占有面積が極めて少なく、しかも、堤体の殆どを地中に設置することも可能なので、景観上の問題や自然環境23に与える悪影響を抑えることができる利点がある。
本発明の津波防波堤は、陸上に建設する津波防波堤や既存堤防の津波防波堤としての利用、既存防波堤の改修に適用できるものである。また、散在立地する施設や集落を守る津波防波堤としても適したものである。
本発明津波防波堤の1実施例の斜視図である。(実施例1) 本発明津波防波堤を埠頭に建設した実施例斜視図である。(実施例2) 既存の堤防に付加する形で建設した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。(実施例3) 陸上に建設された既存の津波防波堤に付加する形で建設した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。(実施例4) 沿岸沖合いの海中に建設された既存の津波防波堤に付加する形で配置した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。(実施例5) 市街の中心部から離れた位置に立地する、ある施設を取り巻く形で建設した本発明津波防波堤の実施例斜視図である。(実施例6)
符号の説明
1 気室
2 袋
3 袋の下部
4 堤体
5 外部に蓄えられた圧縮空気
6 給気管
7 溝状の凹部
8 開閉自在な蓋
9 給気口
10 海面
11 衝撃吸収板
12 堤体海側のやや離れた地点にある固着点
13 堤体上部の固着点
14 高波や高潮による被害を防止するための既存堤防
15 本発明津波防波堤の基礎
16 防御壁
17 陸上に建設された既存の津波防波堤
18 沿岸海中に建設された既存の津波防波堤
19 市街の中心部
20 市街の中心部から離れた位置に立地する施設
21 道路
22 本発明津波防波堤
23 自然環境

Claims (4)

  1. 耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で、一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋の下部を陸上に固定することで、気室を持つ袋が堤体となる、専ら陸上に設置する形式の津波防波堤。
  2. 耐水性を有し、気体を透過させない、あるいは、気体の透過が少ない性質の可撓性膜で一個あるいは、複数の気室を持つ袋を形成し、袋を強靭な外皮で覆い外皮の下部を陸上に固定することで、外皮に覆われた気室を持つ袋が堤体となる専ら陸上に設置する形式の津波防波堤。
  3. 請求項1に記載の津波防波堤を用いる津波防波堤の建設方法。
  4. 請求項2に記載の津波防波堤を用いる津波防波堤の建設方法。
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