JP2005102953A - 歯列矯正器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 歯牙に接着した後でも、若干の位置や角度の修正ができる歯列矯正器具を提供すること。
【解決手段】 ガラス転移温度が40〜100℃(好ましくは60〜80℃)を有する形状記憶樹脂(形状記憶能を有するポリウレタン系、ポリウレタン−ユリアポリマー系、ポリノルボルネン系、トランスポリイソプレン系およびスチレン−ブタジエン系から選ばれた樹脂)を用いた歯列矯正器具。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス転移温度が40〜100℃(好ましくは60〜80℃)を有する形状記憶樹脂(形状記憶能を有するポリウレタン系、ポリウレタン−ユリアポリマー系、ポリノルボルネン系、トランスポリイソプレン系およびスチレン−ブタジエン系から選ばれた樹脂)を用いた歯列矯正器具。
【選択図】 なし
Description
本発明は、歯列矯正器具に関し、特に、形状記憶樹脂を用いた歯列矯正器具に関する。
不正歯列の矯正治療に用いられる歯列矯正器具の多くは、患者の歯牙に直接接着させて使用される。このような歯列矯正器具としては、ブラケット,バッカルチューブ,リンガルシース,リンガルボタンなどが知られている。中でも、歯列矯正用ブラケットは、最も一般的に用いられている歯列矯正器具である。以下、該ブラケットを例に挙げて詳細に説明する。
歯牙に接着固定された歯列矯正用ブラケットに、結さつを介して、アーチ状矯正線を装着し、このアーチ状矯正線の曲げや牽引により生じる負荷荷重を矯正力として、整直したい歯牙に加えることにより、歯牙を所定方向に移動させて歯列を矯正するものである。
ここで、歯列矯正用ブラケットの構造について、特許文献1に記載の歯列矯正用ブラケットを例に挙げ、図1〜図2を参照して説明する。
なお、図1は、歯列矯正用ブラケットの一例を説明する図であって、該ブラケットを、金属補強体を抽出した状態で示した斜視図である。図2は、図1に示す歯列矯正用ブラケットを更に説明する図であって、(A)は同ブラケットの平面図、(B)は同ブラケットの側面図である。図1〜図2中、1はブラケット本体、2はスロット、3はウイング、4はベース面、11は金属補強体、12は基板部、13は立上り部、14は保持溝、15は円弧形状である。
なお、図1は、歯列矯正用ブラケットの一例を説明する図であって、該ブラケットを、金属補強体を抽出した状態で示した斜視図である。図2は、図1に示す歯列矯正用ブラケットを更に説明する図であって、(A)は同ブラケットの平面図、(B)は同ブラケットの側面図である。図1〜図2中、1はブラケット本体、2はスロット、3はウイング、4はベース面、11は金属補強体、12は基板部、13は立上り部、14は保持溝、15は円弧形状である。
特許文献1に記載の歯列矯正用ブラケットは、図1および図2に示すように、「スロット2を有するプラスチック製のブラケット本体1と、保持溝14を有する金属補強体11とを備え、該補強体11をブラケット本体1内にインサートしてなるブラケットにおいて、ブラケット本体1内にインサートされた金属補強体11のみでアーチワイヤを保持する実質スロット2部を画成した歯列矯正ブラケット」である。
ところで、上記歯列矯正用ブラケットとしては、従来から金属製のものが広く知られているが、近年、“審美性の向上”を目的として、セラミックス製ブラケットやプラスチック製ブラケットなど、白色系半透明の部材あるいは透明の部材により形成されたものが用いられるようになってきている。
金属製ブラケットを形成する材料としては、従来より、ステンレス鋼が用いられているが、近年、チタンまたはチタン合金によるものもある。また、セラミックス製ブラケットを形成する材料としては、一般に、アルミナなどが用いられている。しかし、このような金属製ブラケットは、口腔内で目立つため審美性が悪く、患者が嫌がることがあり、一方、セラミックス製ブラケットは、歯牙よりも硬いため、対向歯を磨耗させる恐れがある。
また、従来のプラスチック製ブラケットを形成する材料としては、ポリカーボネートないしガラス繊維により強化されたポリカーボネートが多く用いられている(例えば、特許文献2,特許文献3参照)。このようなポリカーボネート製ブラケットは、透明性が高く、比較的高強度で、一般の歯列矯正用接着剤により矯正治療に必要な接着強度が得られるという利点がある。しかし、口腔内での耐久性が悪く、加水分解のため、1年を経ずに破損してしまうという問題があった。
ところで、ブラケットを不揃いの歯冠に接着する場合、FAポイント(フエイシャルアキシスポイント、臨床歯冠軸上の臨床歯冠の二等分点)に合わせて接着するが、不完全萌出であったり、切端が磨耗している場合には、見誤る恐れがある。また、歯肉が大きく被って歯冠長が短い時や、審美性のブラケットでスロットが見にくい場合などに、位置決めのエラーが発生する。このような場合、位置の修正が不能であるため、一旦ブラケットを除去した後、新たにブラケットを取り付け直す必要があった。また、アーチ状矯正線を曲げて調節する方法も行われるが、正確な矯正のコントロールができない場合が多い。一方、叢生が強い場合、隣接歯と干渉するため、本来の位置に接着できない場合もある。この場合、とりあえずの位置に接着し、治療の進展と共にブラケットを付け直すことが行われる。
また、トルク,アンギュレーション,ローテーション,ハイトを機械的に調節できるブラケットも考案されているが、構造が複雑で扱い難く、または、大型化するため製品化には至らなかった。
また、トルク,アンギュレーション,ローテーション,ハイトを機械的に調節できるブラケットも考案されているが、構造が複雑で扱い難く、または、大型化するため製品化には至らなかった。
一方、従来から、形状記憶能を有する樹脂(形状記憶樹脂)が知られている。例えば、特許文献4には、ポリウレタン系形状記憶樹脂又はポリウレタン−ユリア系形状記憶樹脂が開示されており、また、特許文献5および特許文献6には、形状記憶を有するポリウレタンエラストマーが開示されている。
さらに、非特許文献1には、ポリノルボルネン系形状記憶樹脂が、非特許文献2には、トランスポリイソプレン系形状記憶樹脂が、非特許文献3には、スチレン−ブタジエン系形状記憶樹脂がそれぞれ開示されている。
さらに、非特許文献1には、ポリノルボルネン系形状記憶樹脂が、非特許文献2には、トランスポリイソプレン系形状記憶樹脂が、非特許文献3には、スチレン−ブタジエン系形状記憶樹脂がそれぞれ開示されている。
このような形状記憶樹脂は、ガラス転移温度以上で任意な形状に変形させることが可能であって、形状を変形させたままガラス転移温度未満に冷却した時に“変形させた形状”をそのまま維持し、その後、再びガラス転移温度以上に加熱した時に“元の形状”に回復する機能を有する樹脂である。
上記形状記憶樹脂の用途としては、種々の部材に用いられており、例えば、前掲の特許文献6には「形状記憶性管体」が、特許文献7には「ポリウレタン系形状記憶樹脂製の留置針外針」が、特許文献8には「形状記憶樹脂製のアーチワイヤー」が開示されている。
また、前掲の特許文献4には、種々の医療用具に用いる旨記載されており、同特許文献5には、“各種温度センサ,シール材,装飾材,医療用素材,鋳型,玩具,ファッション用素材,衣料用素材,バンパー,電気電子関連部材などの多分野への応用が可能である”旨記載されている。
また、前掲の特許文献4には、種々の医療用具に用いる旨記載されており、同特許文献5には、“各種温度センサ,シール材,装飾材,医療用素材,鋳型,玩具,ファッション用素材,衣料用素材,バンパー,電気電子関連部材などの多分野への応用が可能である”旨記載されている。
前記したように、従来の金属製やセラミックス製のブラケット、または、従来のプラスチック製のブラケットを歯牙に固定する場合、予定していた位置に接着できない場合がある。また、矯正治療の経過と共に歯牙が移動し、固定位置や角度などの修正が必要なこともある。このような場合、位置の修正が不能であるため、一旦ブラケットを除去した後、新たにブラケットを取り付け直す必要があった。また、アーチ状矯正線を曲げて修正する方法も行われたが、正確な矯正のコントロールができなかった。更に、機械的にトルク,アンギュレーション,ローテーション,ハイトを調節できるブラケットも提案されているが、これでは、構造が複雑で扱い難く、または、大型化するため、製品化には至らなかった。
本発明は、前記問題点に鑑み成されたものであって、その目的とするところは、歯牙に接着した後でも、若干の位置や角度の修正ができる歯列矯正器具を提供することである。
上記課題(目的)を解決するための手段として、本発明に係る歯列矯正器具は、請求項1に記載するように、ガラス転移温度が40〜100℃を有する形状記憶樹脂を用いることを特徴とする。好ましくは、請求項2に記載するように、ガラス転移温度が60〜80℃を有する形状記憶樹脂を用いることを特徴とする。
このような形状記憶樹脂を用いることにより、歯牙に接着した後でも、若干の位置や角度を修正することができる。また、歯牙への接着前であれば、変形などがあったとしても、加熱により当初の形状に回復させることができる。
このような形状記憶樹脂を用いることにより、歯牙に接着した後でも、若干の位置や角度を修正することができる。また、歯牙への接着前であれば、変形などがあったとしても、加熱により当初の形状に回復させることができる。
また、本発明に係る歯列矯正器具は、請求項3に記載するように、前記形状記憶樹脂として、形状記憶能を有するポリウレタン系、ポリウレタン−ユリアポリマー系、ポリノルボルネン系、トランスポリイソプレン系およびスチレン−ブタジエン系から選ばれた樹脂であることを特徴とする。このような樹脂を用いることで、前記課題(目的)とする歯列矯正器具を提供することができる。
また、本発明に係る歯列矯正器具は、請求項4,5に記載するように、前記歯列矯正器具が歯列矯正用ブラケットであること、そして、該ブラケットは、そのブラケットの矯正ワイヤーが通る箇所に金属補強体をインサートした構成からなることを特徴とする。
このように、形状記憶樹脂を歯列矯正用ブラケットに用いることにより、予定していた位置にブラケットを固定できなかった場合や、矯正治療の経過と共に歯牙が移動し、ブラケットの固定位置や角度などを修正する必要がある場合などに、新たにブラケットを取り付け直す必要がなく、容易に位置や角度を修正することができる。
このように、形状記憶樹脂を歯列矯正用ブラケットに用いることにより、予定していた位置にブラケットを固定できなかった場合や、矯正治療の経過と共に歯牙が移動し、ブラケットの固定位置や角度などを修正する必要がある場合などに、新たにブラケットを取り付け直す必要がなく、容易に位置や角度を修正することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明するが、それに先立って、本発明で奏する作用効果を含めて、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に係る歯列矯正器具は、前記したとおり、ガラス転移温度が40〜100℃を有する形状記憶樹脂を用いることを特徴とする。
本発明において、ガラス転移温度を40〜100℃に限定する理由は、40℃未満では、口腔内の使用温度での樹脂強度が不足するためである。一方、100℃を超える場合、後記するように、口腔内での加熱の際に、歯髄や口腔内粘膜などへの支障をきたすので、好ましくない。ガラス転移温度の好ましい範囲は、体温以上であって、歯髄や口腔内粘膜などへの支障のない温度以下である40〜100℃であり、より好ましくは60〜80℃である。
本発明において、ガラス転移温度を40〜100℃に限定する理由は、40℃未満では、口腔内の使用温度での樹脂強度が不足するためである。一方、100℃を超える場合、後記するように、口腔内での加熱の際に、歯髄や口腔内粘膜などへの支障をきたすので、好ましくない。ガラス転移温度の好ましい範囲は、体温以上であって、歯髄や口腔内粘膜などへの支障のない温度以下である40〜100℃であり、より好ましくは60〜80℃である。
60〜80℃のガラス転移温度を有する形状記憶樹脂を用いる場合がより好ましいとする理由は、一般に口腔内の温度は、最も熱いものを摂取したときに最高でも約53℃となる報告がある。そこで、ガラス転移温度をそれ以上の60℃とすることにより、口腔内の温度上昇による意図しない“形状記憶樹脂の形状回復”を避けることができる。一方、ガラス転移温度を80℃以下とすることにより、“歯髄や口腔内粘膜などへの支障”をより完全に防止することができる。
このように、歯髄や口腔内粘膜などへの支障のない温度以下で変形する形状記憶樹脂を用いて、歯列矯正器具を作製しているため、加熱により若干の位置および角度の調整が可能となる。この修正可能な範囲は、使用する形状記憶樹脂の種類にもよるが、歯軸方向の取付け位置の修正可能範囲については、0〜±0.5mmであり、角度の修正可能範囲については、アンギュレーションで0〜±15°,トルクで0〜±30°,ローテーションで0〜±10°である。
本発明で用いる形状記憶樹脂としては、具体的には、前掲の特許文献4〜6、非特許文献1〜3に記載されているポリウレタン系,ポリウレタン−ユリアポリマー系,ポリノルボルネン系,トランスポリイソプレン系,スチレン−ブタジエン系の形状記憶樹脂を挙げることができる。
なお、このような形状記憶樹脂は、前記したように種々の部材に用いられているが、本発明の意図とは全く異なる。即ち、前掲の特許文献4〜6や非特許文献1〜3に記載されている形状記憶樹脂の用途に係る技術内容は、記憶している形状に回復することを意図したものであるのに対して、本発明では、形状記憶樹脂により「成型温度以下のガラス転移温度付近での形状付与」および「ガラス転移温度以上,成型温度付近での形状回復」を利用しているものである。
なお、このような形状記憶樹脂は、前記したように種々の部材に用いられているが、本発明の意図とは全く異なる。即ち、前掲の特許文献4〜6や非特許文献1〜3に記載されている形状記憶樹脂の用途に係る技術内容は、記憶している形状に回復することを意図したものであるのに対して、本発明では、形状記憶樹脂により「成型温度以下のガラス転移温度付近での形状付与」および「ガラス転移温度以上,成型温度付近での形状回復」を利用しているものである。
上記形状記憶樹脂は、射出成形,押出し成形により成形することが可能であるほか、二液混合型の反応性樹脂により注型することも可能である。
また、本発明において、審美性(透明性)を犠牲にしても良い場合は、各種補強材(例えば、カーボン繊維,ガラス繊維,鉱物繊維,合成繊維,ウイスカーなどの補強材)や、充填材(例えば、炭酸カルシウム,タルク,クレー,マイカ,石英粉,珪石粉,珪藻土,硫酸バリウム,軽石粉,ポリマー粉などの充填材)を添加することもでき、更に着色することも可能である。
また、本発明において、審美性(透明性)を犠牲にしても良い場合は、各種補強材(例えば、カーボン繊維,ガラス繊維,鉱物繊維,合成繊維,ウイスカーなどの補強材)や、充填材(例えば、炭酸カルシウム,タルク,クレー,マイカ,石英粉,珪石粉,珪藻土,硫酸バリウム,軽石粉,ポリマー粉などの充填材)を添加することもでき、更に着色することも可能である。
本発明の実施の形態としては、形状記憶樹脂を用いた歯列矯正用ブラケットであり、例えば、前記図1,2に示す歯列矯正用ブラケット(矯正ワイヤーの通る箇所に金属補強体11をインサートしたブラケット)のブラケット本体1を形状記憶樹脂製とする。すなわち、形状記憶樹脂のうち、ガラス転移温度が40℃〜100℃のものを用いて成形し、形状を記憶させ、所望形状のブラケットを作製する。このブラケットを歯牙に接着した後、ガラス転移温度よりも高く、成形温度より低い温度で加熱することにより、トルク,アンギュレーション,ローテーションなどの変更ができ、そのままの形状でガラス転移温度より低い温度に冷却することにより、修正されたブラケット(図3参照)となる。
なお、本発明は、前記図1,2に示す歯列矯正用ブラケットに限定するものではなく、他のブラケットにも適用することができ、また、歯列矯正用ブラケット以外に、バッカルチューブ,リンガルシース,リンガルボタンなどにも適用することができ、これらも本発明に包含される。
更に、上述の歯列矯正用ブラケットは、唇側(ラビアル側)に限定されず、リンガルブラケットとして舌側(リンガル側)にも適用できる。
更に、上述の歯列矯正用ブラケットは、唇側(ラビアル側)に限定されず、リンガルブラケットとして舌側(リンガル側)にも適用できる。
本発明の好ましい実施の形態について説明すると、まず、ガラス転移温度60℃の形状記憶樹脂を用い、200℃でインサート金具(金属補強体11)のある歯列矯正用ブラケット(前記図1,2参照)を成形する。次に、このブラケットを、歯列矯正患者の歯に、接着剤を用いて固定した後、ワイヤーを掛け渡して結さつし、治療する。そして、治療の進行と共に結さつで曲げられたワイヤーが歯列弓に沿ってほぼ直線になった時点で、不揃いの歯に対して取付位置(ハイト),アンギュレーション,ローテーション,トルク等の微調整を行う。[従来は、ワイヤーをプライヤー等で曲げて段差をつけたり、角度をつけたりしたが、正確に曲げることができず、歯列矯正の仕上がり段階においてエラーが多く、いたずらに治療期間を長引かせるものであった。]
上記“ハイト,アンギュレーション,ローテーション,トルク等の微調整”について説明すると、ブラケットを取り付けたままで、60〜70℃で加熱すると共に力を加え微調整を行い、そのままの形状を維持したまま、ガラス転移温度以下まで冷却し、形状を固定する。なお、必要であれば、80℃以上に再加熱することにより、初期の成形した状態に戻すことも可能である。
上記“ハイト,アンギュレーション,ローテーション,トルク等の微調整”について説明すると、ブラケットを取り付けたままで、60〜70℃で加熱すると共に力を加え微調整を行い、そのままの形状を維持したまま、ガラス転移温度以下まで冷却し、形状を固定する。なお、必要であれば、80℃以上に再加熱することにより、初期の成形した状態に戻すことも可能である。
次に、本発明の実施例として、ポリウレタン系形状記憶樹脂を前記図1〜図3に示す歯列矯正用ブラケットに適用した例を挙げて説明するが、本発明は、以下の記載によって何ら限定されるものではない。(なお、本実施例で使用するポリウレタン系形状記憶樹脂の製造法については、前掲の特許文献6参照。)
「2,4’−ジフェニルメタジイソシアネート」1.81モルに対して「ビスフェノールA+プロピレンオキサイド」1.0モル、および、鎖延長剤として「ビス(2−ハイドロキシエチル)ハイドロキノン」0.81部により、ガラス転移温度(Tg)が48℃の形状記憶ポリウレタンエラストマープレポリマーを合成し、インサート金具(金属補強体11)を挿入したブラケット(前記図1,2参照)を作製した。
このブラケットを歯牙のモデルとしたアルミナセラミック円筒(8mm直径×高さ6mm)に歯科用アクリル系接着剤(アイデル−1,米国GAC社製)により接着した。
接着したブラケットの角度(トルク)を変えるため、ブラケットを加熱し、スロット部に力を加えて、角度(図3の“α”参照)を15度に変更させ、そのまま冷却し、アンギュレーションを変更したブラケット(図3参照)とした。更に、角度を変更したブラケットに80℃の熱を加えることにより、初期の形状とすることができた。
接着したブラケットの角度(トルク)を変えるため、ブラケットを加熱し、スロット部に力を加えて、角度(図3の“α”参照)を15度に変更させ、そのまま冷却し、アンギュレーションを変更したブラケット(図3参照)とした。更に、角度を変更したブラケットに80℃の熱を加えることにより、初期の形状とすることができた。
上記ブラケットを上顎右側犬歯に接着し、アンギュレーションを修正した場合の歯牙の動きを図4の(A)および(B)に示す。図中、1はブラケット本体、2はスロット、3はウイング、21はアーチワイヤー、22は歯牙、23は歯根である。
図4の(A)において、反時計方向にスロット2およびウイング3を角度βだけ回転修正させると、アーチワイヤー21は曲げられ、復元力を歯根23に及ぼす。これにより、歯牙22は、遠心側に角度βだけ傾斜移動する。一方、図4の(B)において、時計方向にスロット2およびウイング3を角度γだけ回転修正させると、歯牙22は、近心側に角度γだけ傾斜移動する。
図4の(A)において、反時計方向にスロット2およびウイング3を角度βだけ回転修正させると、アーチワイヤー21は曲げられ、復元力を歯根23に及ぼす。これにより、歯牙22は、遠心側に角度βだけ傾斜移動する。一方、図4の(B)において、時計方向にスロット2およびウイング3を角度γだけ回転修正させると、歯牙22は、近心側に角度γだけ傾斜移動する。
本発明に係る歯列矯正器具によれば、歯牙に接着した後に、治療の進行と共に整直した歯列の固定位置や角度などを修正する必要が生じた時、容易に位置や角度を修正することができ、新たに歯列矯正器具を取り付け直す必要がない利点を有する。また、歯牙への接着前であれば、変形などがあっても、加熱により当初の形状に回復させることができる。
1 ブラケット本体
2 スロット
3 ウイング
4 ベース面
11 金属補強体
12 基板部
13 立上り部
14 保持溝
15 円弧形状
21 アーチワイヤー
22 歯牙
23 歯根
2 スロット
3 ウイング
4 ベース面
11 金属補強体
12 基板部
13 立上り部
14 保持溝
15 円弧形状
21 アーチワイヤー
22 歯牙
23 歯根
Claims (5)
- ガラス転移温度が40〜100℃を有する形状記憶樹脂を用いたことを特徴とする歯列矯正器具。
- 前記ガラス転移温度が60〜80℃である、請求項1に記載の歯列矯正器具。
- 前記形状記憶樹脂は、形状記憶能を有するポリウレタン系、ポリウレタン−ユリアポリマー系、ポリノルボルネン系、トランスポリイソプレン系およびスチレン−ブタジエン系から選ばれた樹脂である、請求項1に記載の歯列矯正器具。
- 前記歯列矯正器具は、歯列矯正用ブラケットである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯列矯正器具。
- 前記歯列矯正用ブラケットは、該ブラケットの矯正ワイヤーが通る箇所に金属補強体をインサートした構成からなる、請求項4に記載の歯列矯正器具。
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