JP2005098888A - 応力解析装置とそのプログラム、および応力解析方法 - Google Patents

応力解析装置とそのプログラム、および応力解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メニスカス力が発生する構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を容易、高精度、かつ迅速に数値解析することが可能な応力解析装置とそのプログラム、および応力解析方法を提供する。
【解決手段】メニスカス応力シミュレータ1は、液体の挙動を数値解析する液体解析ソルバー10と、液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析ソルバー20とを有し、液体解析ソルバー10による解析値を構造解析ソルバー20による解析に用い、構造解析ソルバー20による解析値を液体解析ソルバー10による解析に用いる連成により、構造物の表面に存在する液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて、構造物に発生する応力を解析する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体の付着によりメニスカス力が発生する程度の微細な構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を数値解析する応力解析装置とこの応力解析装置に用いる応力解析プログラム、および、この応力解析装置を用いる応力解析方法に関する。
ある程度微細な構造物の隙間に液体が侵入した場合には、液体の表面は構造物と液体のぬれ(接触角ともいう)や隙間の大きさ等の条件によって決まるある曲率を有する凹形状または凸形状となる。これをメニスカスという。メニスカスが発生すると、液体内部の圧力と液体外部の環境気体の圧力との間に圧力差が生じる。この圧力差により生じる力をメニスカス力という。メニスカス力は、毛管力と呼ばれることもある。
たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等の微細な構造物の製造においては、メニスカス力およびそれに起因して構造物に生じる応力を知ることが、製造される構造物の強度を検証するために重要である。
MEMSのような微細な構造物は、たとえば、半導体製造プロセスを応用して製造される。
半導体プロセスでは、シリコン等の基板上に薄膜を形成し、その後、熱拡散、フォトリソグラフィ(レジスト塗布−露光−エッチング−洗浄)等のプロセスを繰り返すことによって、目的とする形状を有する構造物を製造する。
上記のフォトリソグラフィのプロセスにおける洗浄や、各プロセス間におけるパーティクル等の不要物の除去等において、液体を用いるいわゆるウエット洗浄が行なわれる場合がある。このウエット洗浄によって、構造物の微細な隙間に洗浄液が侵入する。
ウエット洗浄後の乾燥プロセスにおいて、構造物の隙間に存在している液体の体積は減少し、メニスカスが発生する。このメニスカスが発生することにより構造物の片面が環境気体に接し反対面が液体に接する状況になると、メニスカス力により構造物に応力が発生する。この応力によって構造物は変形し、構造物を構成する材料特有の強度を応力が越えると構造物は破壊される。
製造プロセスにおいて破壊が生じるような構造では製造が不可能なため、設計した構造物が、メニスカス力に起因する応力により破壊される形状か否かを知る必要がある。
以上のような液体等の流体と構造物との間の応力関係や、半導体プロセスにおいて生じる応力の解析には、たとえば、数値解析を用いる(たとえば、特許文献1,2参照。)。
特許文献1に記載の流体シミュレーション装置では、構造物の周囲を流れる流体の挙動を数値解析する場合に、構造物を格子によって表わし、構造物の近傍の所定範囲内の格子点とそれ以外の格子点とにおいて解析モデルを変えて解析を行なっている。
また、特許文献2に記載の応力シミュレーション方法では、半導体プロセスにおいて、シリコンを含めたデバイス構造全体の剛性を考慮し、かつ、内部応力の力の釣り合いが保たれるまで解析計算を繰り返し行なうことによって、シリコン中の酸化応力の計算精度の向上を図っている。
特開平11−66356号公報 特開平11−243089号公報
しかしながら、上述の特許文献1,2に記載の発明を含め、従来の応力の数値解析手法は、簡便ではあるが計算精度が低いか、計算精度は高いが非常に複雑で計算時間が長いかのいずれかであった。
実際にMEMS等の構造物を製造する場合には、不良品の発生を避けるため、ある程度高精度な計算により応力解析を行なう。この場合には、たとえば、十分な強度を有する形状を知るために設計変更を繰り返す場合や、多種類について検討する場合に、のべ計算時間が長くなる。
したがって、より望ましい構造とするための設計変更の繰り返しや用途に応じた多種類の製品の製造が必要とされる微細な構造物の分野においては、数値解析を容易に行なうことは困難であった。
本発明の目的は、メニスカス力が発生する構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を容易に数値解析することが可能であり、特に、ある程度の精度を確保しつつ解析速度を向上させることが可能な応力解析装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、応力の数値解析装置に解析を実行させて、メニスカス力が発生する構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を容易に数値解析させることが可能であり、特に、ある程度の精度を確保しつつ解析速度を向上させた解析を可能とする応力解析プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、応力の数値解析装置を用いて、メニスカス力が発生する構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を容易に数値解析することが可能であり、特に、ある程度の精度を確保しつつ解析速度を向上させることが可能な応力解析方法を提供することにある。
第1の本発明に係る応力解析装置は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを有し、前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を解析する応力解析装置である。
第2の本発明に係る応力解析装置は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体解析手段から得られる解析結果に基づいて、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを有し、前記液体解析手段は、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析し、前記構造解析手段は、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析する応力解析装置である。
第3の本発明に係る応力解析装置は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体解析手段から得られる解析結果に基づいて、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを有し、前記液体解析手段は、前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を静的に解析し、前記構造解析手段は、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析する応力解析装置である。
第4の本発明に係る応力解析プログラムは、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力の解析を実行させる応力解析プログラムである。
第5の本発明に係る応力解析プログラムは、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、前記液体解析手段に、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析させる液体解析ステップと、前記構造解析手段に、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析させる構造解析ステップとを実行させる応力解析プログラムである。
第6の本発明に係る応力解析プログラムは、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、前記液体解析手段に、前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を静的に解析させる液体解析ステップと、前記構造解析手段に、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析させる構造解析ステップとを実行させる応力解析プログラムである。
第7の本発明に係る応力解析方法は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を解析させる応力解析方法である。
第8の本発明に係る応力解析方法は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用い、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、前記液体解析手段を用いて所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析し、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を、前記構造解析手段を用いて静的に解析する応力解析方法である。
第9の本発明に係る応力解析方法は、液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用い、前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、前記液体解析手段を用いて静的に解析し、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を、前記構造解析手段を用いて静的に解析する応力解析方法である。
第1,4,7の本発明においては、液体解析手段により液体の挙動が数値解析され、その解析値が構造解析手段に出力される。構造解析手段は、液体解析手段から出力された解析値を用いて液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析し、その解析値を液体解析手段に出力する。このような、液体解析手段による解析値を構造解析手段による解析に用い、構造解析手段による解析値を液体解析手段による解析に用いる連成により、構造物の表面に存在する液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて構造物に発生する応力が、最終的に構造解析手段によって解析される。
第2,5,8の本発明においては、液体解析手段により、構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力が、所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析され、解析結果が構造解析手段に出力される。液体解析手段から出力された解析結果として得られるメニスカス力に基づいて構造物に発生する応力が、最終的に構造解析手段によって静的に解析される。
第3,6,9の本発明においては、液体解析手段により、構造物の形状の情報に基づいて、この構造物の表面に存在する液体に起因して発生するメニスカス力が静的に解析され、解析結果が構造解析手段に出力される。液体解析手段から出力された解析結果として得られるメニスカス力に基づいて構造物に発生する応力が、最終的に構造解析手段によって静的に解析される。
本発明によれば、メニスカス力が発生する構造物について、このメニスカス力に起因して構造物に発生する応力を容易に数値解析することが可能となり、特に、ある程度の精度を確保しつつ解析速度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に述べる。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るシミュレータの構成を概略的に示したブロック図である。図1に示すシミュレータ1は、メニスカス力に基づいて構造物に発生する応力を数値解析するシミュレータである。したがって、以下ではシミュレータ1をメニスカス応力シミュレータ1と呼ぶ。本発明に係る応力解析装置の一実施態様が、メニスカス応力シミュレータ1である。
メニスカス力の意味については後述する。
図1に示すように、メニスカス応力シミュレータ1は、本体部3とモニタ5とを有する。本体部3は、入力装置7と、液体解析ソルバー(solver)10と、構造解析ソルバー20と、メモリ15と、ドライバ25とをさらに有する。
本発明における液体解析手段の一実施態様が液体解析ソルバー10に相当し、構造解析手段の一実施態様が構造解析ソルバー20に相当する。
入力装置7は液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とにそれぞれ接続されている。また、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とメモリ15とが相互に接続されている。液体解析ソルバー10による解析結果が構造解析ソルバー20に出力され、また、必要に応じて構造解析ソルバー20による解析結果を液体解析ソルバー10に出力することも可能である。
さらに、構造解析ソルバー20はドライバ25を介してモニタ5に接続される。
液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とは、液体の挙動と応力が発生したときの構造物の挙動とを、所定の解析モデルに基づいてそれぞれ数値解析するシミュレータである。
液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とは、それぞれCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアと、これらのハードウェアを用いて数値解析を実行させるための応力解析プログラムとを含んで実現される。この応力解析プログラムは、メモリ15に格納させておく。
液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とは、メモリ15に格納されている応力解析プログラムを適宜読み出し、読み出した応力解析プログラムに規定されている処理を実行する。
応力解析プログラムに格納されており、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とにおける数値解析にそれぞれ用いる解析モデルについては後述する。
メニスカス応力シミュレータ1は、最終的には構造物に発生する応力を解析するためのものであり、この応力に関する大きさ等の情報が、最終的な解析結果としてドライバ25に出力される。
ドライバ25は、構造解析ソルバー20から出力された情報を表示可能なようにモニタ5を駆動するためのものである。
モニタ5は、たとえば、液晶表示パネルやCRT(Cathode-Ray Tube)等の表示装置によって実現される。
ドライバ25は、構造解析ソルバー20から受け取った応力の情報を表示させるようにモニタ5を駆動する。
モニタ5には、応力の情報が、たとえば、数値やグラフや応力分布を立体的に示したグラフィック等の手法によって表示される。
入力装置7は、本体部3に各種情報を入力するための装置である。本体部3に入力される情報には、たとえば、構造物の材質や形状を表わすデータや、この構造物に対する液体の接触範囲、液体の粘度、蒸発速度等のデータが含まれる。
また、オペレータがメニスカス応力シミュレータ1を操作するための指令情報も、入力装置7を介して本体部3に入力される。
このような各種情報を入力可能とするために、入力装置7は、たとえば、キーボードやマウス、磁気ディスクや光学ディスク等の各種記憶メディアの読取り装置、CAD(Computer Aided Design)との接続ポート等の多様な態様を採用することが可能である。
ここで、メニスカス応力シミュレータ1の解析対象について述べる。
図11は、メニスカス力が発生する代表的な例として、構造物の隙間に侵入した液体が蒸発する状況を模式的に示した図である。図11において、(a)から(c)の順で液体が次第に蒸発する過程を示している。
図11(a)〜(c)に示す構造物50は、基板58と、この基板58に設けられ梁55となる部分を有している。梁55は、たとえば、平板状をしている。梁55は、たとえば、複数が所定の間隔gを隔てて互いに平行に基板58上に設けられる。図11(a)〜(c)に示すように片方の端部を基板58に接して設けられる梁55は、片持梁と考えることができる。
2つの梁55,55の間に挟まれて、液体WTが存在している。
間隔gがある程度小さい場合には、図11(a)に示すような梁55,55間に挟持されている液体WTの表面の形状が、液体WTと梁55の表面との接触条件に応じて変化する。この変化をメニスカスという。
たとえば、図11に示すようにx,y,z座標をそれぞれ設定する。簡単のために、液体WTの蒸発は図11に示す2つの片持梁55,55によって挟まれた部分の上面からのみ生じ、メニスカスも液体WTの上面のみ、かつ梁55,55間の方向、即ちyz平面に平行な面内においてのみ発生すると仮定する。
以上の仮定の基で、液体WTの蒸発に伴って液体WTの体積が減少する場合には、図11(b)に示すように液体WTの表面が曲率半径Rを有する凹形状となるメニスカスが発生することが知られている。
このとき、液体WTの内部の圧力は、表面張力によって構造物50の周囲の環境気体の圧力よりも小さくなり、その圧力差ΔPは、液体WTの表面張力γと曲率半径Rとを用いて、下記式(1)によって表わされる。
Figure 2005098888
液体WTを保持する2つの片持梁55,55の一方の面は環境気体、他方の面は液体WTに接しているため、この圧力差ΔPにより梁55,55には圧力荷重が発生する。図11(b)に示すような凹形状のメニスカスの場合には、液体WTの内部が負圧となるためその圧力は−ΔPと表わされる。
メニスカスの発生に起因して生じる圧力差ΔPを、以下ではメニスカス力と呼ぶこともある。
式(1)から、曲率半径Rが小さいほど圧力差ΔPが大きいことが分かる。曲率半径Rの最小値Rminは梁55,55間の間隔g、および各梁55の表面と液体WTとの接触角によって幾何学的に決まる。
2つの梁55に対応する接触角をそれぞれ接触角θ1,θ2とする。なお、接触角θ1,θ2は梁55,55に対する液体WTのぬれ性を表わす。
曲率半径Rの最小値Rminは、下記式(2)によって表わされる。
Figure 2005098888
液体WTを水(表面張力γ=73dyn/cm=73×10-3N/m)とし、接触角θ1=θ2=30°として式(1),(2)から最大圧力差を見積もると、間隔g=1μmのときにはほぼΔP=126×103Pa(≒1.24atm)となり、間隔g=0.1μmのときにはほぼΔP=1.26MPaとなる。
以上のように、メニスカスの発生により、構造物50には無視できない大きさの力が加わることが分かる。
メニスカス力に起因する圧力荷重によって構造物50に発生する応力を、以下ではメニスカス応力と呼ぶこともある。
さらに液体WTが蒸発していくと、図11(c)に示すように液体WTの曲率半径Rが最小値Rminを保ったまま、すなわち圧力荷重の値が同じ状態のまま、液体WTの体積が減少する。
したがって、液体WTの蒸発過程において片持梁55,55に印加される荷重が最大となるのは、メニスカスの曲率半径Rが最小であり、かつ、メニスカスの縁が梁55,55の縁55eに位置しており梁55,55における荷重面積が最大となる図11(b)の状態の時であることが分かる。
これまではyz平面に平行な面内におけるメニスカスのみを考えてきたが、実際にはメニスカスは3次元的な曲面になる場合が考えられる。
たとえば、図12に示すような矩形状の穴HLを有する構造物を考える。この穴HLは、xz平面に平行な2つの梁55_1,55_1のペアと、yz平面に平行な2つの梁55_2,55_2のペアとによって形成されていると考えることができる。このとき、穴HL内に存在する液体WTが蒸発していくと、メニスカスは3次元的な凹形状となる。
yz平面に平行な面内におけるメニスカスの曲率半径をR1、yz平面に直交するxz平面に平行な面内におけるメニスカスの曲率半径をR2とするとする。このとき、3次元的なメニスカスによるメニスカス力ΔPは、式(1)を変形して下記式(3)のように表わすことができる。
Figure 2005098888
式(3)における記号γは、式(1)の場合と同様に液体WTの表面張力を意味している。
以上のようなメニスカス力が発生する程度の微細な隙間や穴を有する構造物は、たとえば、半導体プロセスを利用して製造することができる。
半導体プロセスでは、シリコン等の基板上に薄膜を形成し、その後、熱拡散、フォトリソグラフィ等のプロセスを繰り返すことによって、目的とする形状を有する構造物を製造する。フォトリソグラフィのプロセスでは、レジスト塗布、レジストの露光、エッチング、洗浄の各プロセスを順次繰り返す。レジストは、犠牲層とも呼ばれる。犠牲層のエッチングによって、たとえば、2μm以下の微細な隙間や2μm以下の微細な直径の穴を有する形状の半導体の構造物が形成される。
薄膜形成、熱拡散、フォトリソグラフィの各プロセス間や、フォトリソグラフィにおける各プロセス間においては、不要物の除去等の目的のためにウエット洗浄が行なわれる場合がある。ウエット洗浄においては、純水やイソプロピルアルコール等の液体を主成分とした洗浄液に半導体基板を浸漬させて洗浄する。
特に、犠牲層のエッチングの後のウエット洗浄においては、所望の形状に形成された半導体基板が洗浄液に浸漬されるため、半導体の構造物の隙間に洗浄液が侵入する。
洗浄後には乾燥により洗浄液を蒸発させるプロセスが実行される。このとき、構造物の隙間に存在している洗浄液が蒸発することによって、上述のようなメニスカスが発生する。
図11、図12に示すような形状の構造物だけでなく、様々な形状の構造物について、洗浄後の乾燥プロセス時にメニスカスが発生する可能性がある。以下にメニスカスが発生する形状の例を挙げる。
図13(a-1)は基板の基板面に対向する梁55を有する片持梁構造の構造物50_1の部分的な平面図である。図13(a-1)のI−I断面から見た断面図が図13(a-2)である。このような片持梁構造の構造物50_1においては、梁55と基板58との間においてメニスカスが発生する。
図13(b-1)は複数の片持梁55が互いに平行に設けられている片持梁列構造の構造物50_2の平面図である。図13(b-1)のI−I断面から見た断面図が図13(b-2)である。このような片持梁列構造の構造物50_2においては、たとえば、複数の梁55
間においてメニスカスが発生する。
図14(a-1)は、両端部が固定されて基板につながっている両持梁60を有する両持梁構造の構造物50_3の部分的な平面図である。図14(a-1)のI−I断面から見た断面図が図14(a-2)であり、II−II断面から見た断面図が図14(a-3)である。このような両持梁構造の構造物50_3においては、両持梁60と基板58との間においてメニスカスが発生する。
図14(b-1)は、所定の大きさの穴H1を介して複数の両持梁60が基板の基板面に平行に配列されている両持梁列構造の構造物50_4の部分的な平面図である。図14(b-1)のI−I断面から見た断面図が図14(b-2)であり、II−II断面から見た断面図が図14(b-3)である。このような両持梁列構造の構造物50_4においては、各両持梁60と基板58との間にメニスカスが発生する。また、各穴H1の部分にメニスカスが発生する場合もある。
図15(a-1)は中空部SPを有する中空構造の構造物50_5の部分的な平面図である。図15(a-1)のIII−III断面から見た断面図が図15(a-2)である。構造物50_5において、基板58とこの基板58上のカバー部材MCとの間が中空部SPとなっている。構造物50_5においては、カバー部材MCの側面に中空部SPに連通する穴H2が設けられている。
また、図15(b-1)は中空部SPを有する中空構造の他の構造物50_6の部分的な平面図である。図15(b-1)のIV−IV断面から見た断面図が図15(b-2)である。構造物50_6においては、基板58に対向して中空部SPを形成するカバー部材MCの基板58との対向面に、中空部SPに連通する穴H3が設けられている。
以上の構造物50_5,50_6のような中空構造の構造物においては、中空部SPに侵入していた液体が蒸発するときにメニスカスが発生する。
以上のように半導体プロセスを用いた微細な構造物の製造においてはメニスカスが発生する状況があり、また、構造物の形状は図11〜15に示すような単純な形状に限らずより複雑な形状が考えられるため、メニスカス力に基づいて構造物に発生する応力の状態を見積もることは容易ではない。
さらに、構造物に形成される隙間の間隔や穴の直径等の寸法がある程度小さくなり、たとえば、上述のように2μm以下になるとメニスカス力の大きさは無視できなくなる程度になるため、構造物に発生する応力の見積もりは必須となる。
したがって、メニスカス力に起因して構造物に生じる応力を、メニスカス応力シミュレータ1によって数値解析して算出する。
図2は、第1実施形態におけるメニスカス応力シミュレータ1を用いたメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。
ウエット洗浄後の乾燥のプロセスにおける構造物への圧力荷重の発生は、正確には、構造物の表面における液体の挙動が構造物を微視的に変形させ、この構造物の変形がまた液体の挙動を変化させるという、液体の挙動と構造物の変形とが相互に影響する連成現象であると考えられる。
第1実施形態においては、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とのいずれにおいても所定の時間ステップ毎に両者の解析値を連成させて動的に解析を行なう。
動的な解析モデルとしては、たとえば、通常の数値解析手法である有限差分法(finite-difference method:FDM)、有限体積法(finite-volume method:FVM)、または有限要素法(finite-element method:FEM)を用いることができる。
有限差分法、有限体積法、および有限要素法はいずれも、物体の挙動を表わす偏微分方程式を離散化により近似して、近似によって得られた方程式の解から物体の挙動の情報を得る数値解析手法である点では似ている。
偏微分方程式をどのような形態に近似するかが、各方法によって異なっている。ただし、これらの3つの方法は、物体の解析対象とする領域の全体を面的に分割して離散化する点では共通している。
有限差分法は、物体の挙動を支配する偏微分方程式の微係数を、テイラー展開の差分式に基づいて差分商で近似する方法をいう。このため、解析対象の領域は、直交する格子によって分割する。直交する格子を構造格子とも言う。
このように微係数が差分商で近似された差分方程式を解いて、構造格子の各格子点のポテンシャルを得ることによって、各格子点の動きが分かり、物体の挙動を知ることができる。
有限体積法は、解析対象の領域を構造格子以外の直交しない非構造格子に分割できるように有限差分法を改良した方法である。解析対象の領域内の参照点を中心とした非構造格子の微小な領域(有限体積)内で偏微分方程式を積分し、界面からの流束(フラックス)の流入出を考慮して、積分した方程式を離散化する。流束とは、単位時間当たりにある平面を横切って流れる量の大きさのことである。量としては、たとえば、流体の質量や体積を考えることができる。
離散化された方程式を解くことによって非構造格子の格子点のポテンシャルが分かり、物体の挙動を知ることができる。
有限体積法において格子が直交するように設定すれば有限差分法の場合と同じ条件設定となるため、有限差分法は有限体積法に含まれる特殊なケースであると考えることができる。
有限要素法は、連続する物体の有する無限の自由度をその特性を損なわないように有限の自由度を有する有限要素の集合体として近似し、この有限要素の集合体に対して成立する方程式を解く方法である。言い換えれば、物体の挙動を支配する物理的に厳密な偏微分方程式を、変分原理に基づいて有限要素のそれぞれの挙動を表わす近似的な変分方程式に置換えて、この変分方程式を数学的には厳密に解いて有限要素同士の節点のポテンシャルを入手する方法である。節点のポテンシャルから節点の挙動が分かり、それ故物体の挙動が分かる。
変分方程式によって挙動が表わされる有限要素は、たとえば、三角形等の多角形に設定することができる。
以上の有限差分法、有限体積法、および有限要素法の記述は、「社団法人 日本機械学会発行,機械工学辞典(1997年)」に基づいている。
これらの数値解析モデルのさらなる詳細については、他の各種参考書を参照されたい。
液体の挙動の解析には、構造格子よりも非構造格子の方が解析精度が向上するため好ましい。したがって、第1実施形態においては、液体解析ソルバー10によって実行させる解析モデルとして、たとえば、有限体積法(FVM)を適用する。
液体の挙動の解析に有限要素法(FEM)を用いることも可能であるが、有限要素法を用いた場合には有限体積法の場合と比較して解析精度にはそれほど差異がないにも関わらず解析のための要素分割の手間と計算時間とは増加する傾向にある。このため、本実施形態においては液体の挙動解析に有限体積法を用いる。
本実施形態においては、構造物の挙動の解析のための構造解析に、たとえば有限要素法(FEM)に基づく解析モデルを採用し、構造解析ソルバー20によってこの有限要素法に基づく解析モデルを実行させる。
微視的に変形するとはいえ構造物の形状はある程度決まっており、多角形の有限な要素に容易に分割することができるため、構造物の構造解析には有限要素法を適用するための障害が少ない。また、有限要素法を用いることによってより高精度な解析結果を得ることができるため、有限要素法を用いることが好ましい。
数値解析をスタートさせる際には、まず、入力装置7を介して構造物の形状やこの構造物と液体との位置関係、液体を分割している各格子の位置の情報や構造物を有限な要素に分割している各節点の位置の情報、液体の表面張力の値等のデータや、解析の時間ステップ数等のパラメータを、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とにそれぞれ入力する。液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とに入力されたこれらのデータやパラメータの値は、メモリ15に記憶させておくこともできる。
本実施形態における解析の時間ステップは、たとえば、1×10-9〜-13秒程度である。
また、本実施形態においては、液体は単純に単位時間当たり所定の体積だけ蒸発するものと過程し、この蒸発の割合の情報も液体解析ソルバー10またはメモリ15に入力される。
解析がスタートすると、まず、液体解析ソルバー10が、メモリ15に格納されている応力解析プログラムに従って、規定の時間ステップ当たりの液体の挙動を、有限体積法に基づいて解析する(ステップST1)。
このように、本実施形態における液体の挙動解析は時間ステップ毎の液体の挙動の変化を知る動的な解析であり、この解析により単位時間ステップ後の液体の量、3次元の各方向における流速、構造物に対する位置関係、この液体の挙動により構造物に印加される圧力等の情報を得ることができる。
解析により得られる以上の情報のうち、構造物の構造解析のためには、液体が構造物に印加する圧力の情報のみが必要である。したがって、液体解析ソルバー10は液体による構造物表面への圧力を解析値として構造解析ソルバー20に出力する。また、解析計算を終了させるか否かの判断のために、液体解析ソルバー10は液体の体積の情報も構造解析ソルバー20に出力する。
構造解析ソルバー20は、メモリ15から読み出した応力解析プログラムに従って、液体解析ソルバー10から受け取った圧力の情報を圧力境界条件として用い、この圧力の値の荷重がかかったものとして、有限要素法に基づいて構造物の挙動を解析する(ステップST2)。
この構造解析により、液体からの圧力を受けたときに構造物に発生する応力に基づく構造物の変位量、変位速度の情報を得ることができる。このように、第1実施形態における構造解析ソルバー20による構造解析は、構造物の変位速度も計算する動的な解析である。
ある時間ステップにおける構造解析までが終了した時点で、構造解析ソルバー20は、液体解析ソルバー10から受け取った液体の体積の情報に基づいて、解析計算を終了させるか否かを判断する(ステップST3)。
解析構造ソルバー20は、液体の体積が0になったか否かによって、計算を終了するか否かを判断する。
液体の体積が0ではなかった場合には、構造解析ソルバー20は解析計算を続行すると判断する。この場合には、時間ステップが1ステップぶん進められ、ステップST1の処理に戻る(ステップST4)。
このとき、構造解析ソルバー20は、解析によって入手した構造物の変位量と変位速度とを、解析値として液体解析ソルバー10に出力する。
構造解析ソルバー20から構造物の変位量と変位速度とを入手した液体解析ソルバー10は、これらの値を構造物の壁面における境界条件として用い、前述のステップST1の処理を実行する。
このように、本実施形態においては、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とが各々の解析値を互いに受け渡す連成によって液体と構造物の挙動を解析する。
ステップST3において、液体の体積が0になっていた場合には、構造解析ソルバー20は計算終了と判断する。
計算終了後には、構造解析ソルバー20は、たとえば、構造物に発生する応力の最大値を、ドライバ25を介してモニタ5に表示させる。これにより、解析対象とした形状の構造物に発生する最大のメニスカス応力がどの程度であったのかを評価することができるようになる(ステップST5)。
たとえば、最大メニスカス応力が、構造物を構成する材料固有の強度(破壊応力)を超えていた場合には、構造物が破壊することが分かる。最大メニスカス応力が破壊応力を超えていない場合にも、その最大メニスカス応力によって構造物にどの程度の変形が生じるのかを知ることができる。
以上のように、第1実施形態においては、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とのいずれにおいても動的に解析を行ない、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20との間において解析値を互いに受け渡す連成によって、液体と構造物との挙動を解析する。したがって、構造物の形状が複雑化したときに対応可能であり、メニスカス力に起因する構造物の変形による構造物同士の接触、構造物の変形による液体内部の圧力変動等の情報を直接数値計算することが可能になる。また、連成により、解析における精度の劣化を最小限に抑制することも可能である。
このように、メニスカス応力に起因して構造物に生じる変形を数値解析によってある程度正確に知ることが可能になることによって、実際の構造物を製造してテストする必要がなく、構造物の形状の設計変更を迅速に行なうことが可能になる。また、解析結果を評価することによって、ウエット洗浄以外の他の洗浄方法を選択すべきかどうかの判断も迅速に可能になる。その結果、微細な構造物の設計や製造のコストの抑制や低下が可能となる。
〔第2実施形態〕
第1実施形態においては、液体解析ソルバー10と構造解析ソルバー20とのいずれにおいても動的に解析を実行した。
以下では、構造解析ソルバー20においては時間変化を考えることなく系の静定状態(定常状態)を解析する形態を、第2実施形態として述べる。
なお、第2実施形態における解析に用いるシミュレータは、図1に示す第1実施形態に係るメニスカス応力シミュレータと同じである。また、解析の手順についても、特に液体解析ソルバー10における解析に関しては第1実施形態の場合とほぼ同じである。したがって、第1実施形態と同様の部分については詳細な記述を省略する。
図3は、第2実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。
まず、液体解析ソルバー21は、図2に示すステップST1における処理と同じ処理を実行する(ステップST21)。
液体解析ソルバー21は、ステップST21において1つの時間ステップでの流体の挙動を解析する毎に、解析計算を終了するか否かを判断する(ステップST22)。
液体解析ソルバー21は、図2に示すステップST3と同様に、液体の体積が0になったか否かによって、計算を終了するか否かを判断する。
液体の体積が0ではなかった場合には、ステップST4と同様に、時間ステップが1ステップぶん進められ、ステップST21の処理の戻る(ステップST23)。
以上のステップST21〜ST23の処理が、液体の体積が0となる時間ステップまで繰り返される。
液体解析ソルバー10によって上記のステップST21〜ST23の処理が繰り返されることにより、時間ステップ毎にメニスカス力が計算される。第2実施形態においては、液体の体積が0となる時点までにおいて計算されて得られたメニスカス力のうち最大のメニスカス力の値を、液体解析ソルバー10が解析結果として構造解析ソルバー20に出力する。即ち、第2実施形態においては、メニスカス力によって構造物は変形しないと仮定し、この仮定のもとで、液体が蒸発する過程において発生するメニスカス力の値を、液体の体積が0となるまで予め計算しておく。そして、得られた最大のメニスカス力の値が構造解析ソルバー20に入力される。
構造解析ソルバー20は、液体解析ソルバー10から受け取った最大のメニスカス力の値が構造物に印加される荷重の値であるとして、構造物に発生する応力を数値解析する(ステップST24)。
このとき、構造解析ソルバー20は有限要素法(FEM)に基づいて構造物に発生する応力を数値解析するが、第2実施形態においては、荷重を受ける構造物の時間変化を考えず静定状態(定常状態)での応力の状態を解析する。
このように時間変化を考慮しない解析手法を静解析法、もしくは定常解析法という。
ステップST24においては最大メニスカス力に基づいて構造物の応力を解析している。したがって、計算によって得られる応力の解析値は、メニスカス力によって構造物に発生する応力の最大値と考えることができる。
この応力の最大値に基づいて、図2におけるステップST5の場合と同様に、構造物と構造物に発生する応力との関係を評価することができる(ステップST25)。
以上のように、第2実施形態においては、液体解析ソルバー10は時間ステップ毎に動的に液体の挙動を解析し、構造解析ソルバー20は液体解析ソルバー10における最終的な解析結果のみを利用して構造物の時間変化を考慮せず静的に構造物の応力を解析する。静解析法の場合には時間変化を考慮する必要がないため動的解析の場合よりも計算時間が短くなる。したがって、第2実施形態における構造解析ソルバー20の計算時間は第1実施形態における構造解析ソルバー20の計算時間よりも短くなり、第2実施形態においては全体として解析に必要な計算時間を第1実施形態の場合よりも短くすることが可能になる。その際に、液体解析ソルバー10における解析手法は第1実施形態の場合と同じであるため、最大メニスカス力の解析精度は第1実施形態の場合とほぼ同等にすることができる。したがって、第2実施形態においては、構造物がほとんど変形せずそれによりメニスカス力が大きく変動しないと考えられる場合には、第1実施形態とほぼ同等の解析精度を確保することができる。
〔第3実施形態〕
第2実施形態においてはメニスカス応力を受ける構造物の構造解析を静的に行なったが、構造解析の解析モデルは第1実施形態と同様に有限要素法に基づいており、簡便に解析できるとは言い難かった。
以下では、有限要素法よりもはるかに解析が簡便な梁の応力モデルに基づいて構造解析を静的に行なう形態を、第3実施形態として述べる。
解析に用いるメニスカス応力シミュレータ1の構成については第1、第2実施形態の場合と同じであるため詳細な記載は省略する。また、解析の手順についても、第1、第2実施形態の場合と同じ部分については記載を省略する。
図4は、第3実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。また、図5は、第3実施形態において解析対象とする構造物の形状を示す図である。
第3実施形態においては、図5(a-1)〜(a-3)に示すような両持梁構造の構造物50_3、または、図5(b-1)〜(b-3)に示すような片持梁構造の構造物50_1のいずれかを解析対象とする。
図5(a-1)は、両持梁60を有する構造物50_3の部分的な平面図である。また、図5(a-2)は両持梁60が荷重を受けて基板58に接触した状態を、両持梁60の長手方向に沿う断面から見た構造物50_3の断面図であり、図5(a-3)は基板58との接触部を除いて図5(a-2)に示す状態と等価な状態を示す断面図である。
図5(a-1)〜(a-3)に示すように、両持梁60の長さをf、幅をd、厚さをtとする。また、両持梁60と基板58との間の間隙をgとする。
一方、図5(b-1)は、片持梁55を有する構造物50_1の部分的な平面図である。また、図5(b-2)は片持梁55が荷重を受けて基板58に接触した状態を、片持梁60の長手方向に沿う断面から見た構造物50_1の断面図であり、図5(b-3)は基板58との接触部を除いて図5(b-2)に示す状態と等価な状態を示す断面図である。
片持梁構造の構造物50_1の場合にも、図5(b-1)〜(b-3)に示すように、片持梁55の長さをf、幅をd、厚さをt、片持梁55と基板58との間の間隙をgとする。
両持梁60、片持梁55の変形量、即ちたわみ量が梁の長手方向の長さに対して十分に小さい場合には、圧力荷重を受ける両持梁60および片持梁55の最大変形量δmaxと最大曲げ応力σmaxとは、材料力学の知見からそれぞれ下記式のように表わすことができる。
Figure 2005098888
Figure 2005098888
上式(4)〜(7)において、記号Eは構造物50_3,50_1の材料のヤング率を、記号Iは梁の断面二次モーメントを表わしている。断面二次モーメントIは、下記式(8)により規定している。
Figure 2005098888
ところで、上式(4)〜(8)は最大変形量δmaxが間隙gよりも小さい場合の最大曲げ応力σmaxを算出するためのものである。両持梁構造または片持梁構造の構造物50_3,50_1においては両持梁60または片持梁55の最大変形量δmaxが間隙gよりも大きく梁が基板58の表面に接触する場合がしばしば生じるが、上式(4)〜(8)では接触後の最大変形量δmaxと最大曲げ応力σmaxとを直接的に算出することはできない。
しかしながら、ある仮定をおけば、式(4)〜(8)を変形することによって、両持梁60または片持梁55が基板58に接触する場合にも最大変形量δmaxと最大曲げ応力σmaxとを算出することが可能であると考えられる。
以下、両持梁構造の構造物50_3の場合を例として述べる。
図5(a-2)に示すように両持梁60が圧力荷重qを受けて中央部において基板58と接触長fcontactの接触を伴って変形する場合には、接触部以外の両持梁60の変形は、図5(a-3)に示すように接触長fcontactを差し引いた長さfmの両持梁60Aが圧力荷重qで変形量gの変形をする場合と同等であると仮定することができる。
この仮定は、図5(a-2)と図5(a-3)との比較から妥当であると考えることができる。
図5(a-3)における両持梁60Aの長さfmに関しては、式(4)においてδmax=gとして長さfについて解けば、得られた長さfを長さfmと考えることができ、下記式(9)のように求まる。
Figure 2005098888
式(5)において、長さfとして式(9)により得られる長さfmを用い、δmax=gとすることにより、両持梁60が基板58に接触する場合の最大曲げ応力σmaxを下記式(10)により評価することができる。
Figure 2005098888
片持梁構造の構造物50_1の場合も構造物50_3の場合と同様に考えることができる。即ち、図5(b-2)に示すように片持梁55が圧力荷重qを受けて自由な端部において基板58と接触長fcontactの接触を伴って変形する場合には、接触部以外の片持梁55の変形は、図5(b-3)に示すように接触長fcontactを差し引いた長さfmの片持梁55Aが圧力荷重qで変形量gの変形をする場合と同等であると考えられる。
したがって、式(6)においてδmax=gとして長さfについて解けば、長さfmを下記式(11)のように得ることができる。
Figure 2005098888
式(7)において、長さfとして式(11)により得られる長さfmを用い、δmax=gとすることにより、片持梁55が基板58に接触する場合の最大曲げ応力σmaxを下記式(12)により評価することができる。
Figure 2005098888
以上のように、構造物が単純な両持梁構造または片持梁構造とみなせる場合には、式(5)もしくは式(7)、または式(10)もしくは式(12)によって、構造物に発生するメニスカス応力を簡便に計算し解析することができる。
以下、式(4)〜(7),(10),(12)を用いたメニスカス応力の解析の手順について、図4に戻り述べる。
図4において、液体解析ソルバー10の処理を示すステップST31〜ST33の手順は、図3の第2実施形態における液体解析ソルバー10の処理を示すステップST21〜ST23の手順と同じであるため記載を省略する。
液体解析ソルバー10は、ステップST31〜ST33の処理において得られた最大メニスカス力の値を解析結果として構造解析ソルバー20に出力する。
液体解析ソルバー10から最大メニスカス力の値を受け取った構造解析ソルバー20は、メニスカス応力の解析において、まず、解析対象とする構造物が、両持梁構造をしているか片持梁構造をしているかを判断する(ステップST34)。
両持梁構造か片持梁構造かの判断は、入力装置7を介して入力される構造物の形状のデータに基づいて行なうことができる。
なお、本実施形態においては、たとえば、構造物は図5(a-1)〜(a-3)に示す両持梁構造の構造物50_3か図5(b-1)〜(b-3)に示す片持梁構造の構造物50_1かのいずれか一方の構造になっているものとする。
両持梁構造であると判断した場合には、構造解析ソルバー20は式(4)に示す解析モデルによって、両持梁60の最大変形量δmaxを計算する(ステップST35)。
なお、長さf、幅d、厚さt、ヤング率E等の各種データは、構造物の形状のデータと同様に入力装置7を介して構造解析ソルバー20に入力されているため、以上のような解析計算を実行することができる。
式(4)の両持梁モデルによる最大変形量δmaxの計算後には、構造解析ソルバー20は、計算により得られた最大変形量δmaxの値が間隙gの値よりも大きいか否かを判断する(ステップST36)。
最大変形量δmaxの値が間隙gの値以下、即ちδmax≦gであった場合には、構造解析ソルバー20は両持梁60が基板58に接触した状態では変形しないとして、両持梁60が基板58に非接触の場合の最大曲げ応力の解析に用いる式(5)のモデルに基づいて、最大曲げ応力σmaxを計算する(ステップST37)。
ステップST37において得られた最大曲げ応力σmaxの値に基づいて、図2におけるステップST5の場合と同様に、構造物と構造物に発生する応力との関係を評価することができる(ステップST38)。
ステップST36においてδmax>gであった場合には、構造解析ソルバー20は両持梁60が基板58に接触した状態で変形するとして、両持梁60が基板58に接触する場合の最大曲げ応力の解析に用いる式(10)のモデルに基づいて、最大曲げ応力σmaxを計算する(ステップST39)。
最大曲げ応力σmaxの計算後には、ステップST37の場合と同様にステップST38の処理へと進む。
一方、ステップST34において片持梁構造であると判断した場合には、構造解析ソルバー20は式(6)に示す解析モデルによって、片持梁55の最大変形量δmaxを計算する(ステップST40)。
式(6)の片持梁モデルによる最大変形量δmaxの計算後には、構造解析ソルバー20は、ステップST36と同様に、計算により得られた最大変形量δmaxの値が間隙gの値よりも大きいか否かを判断する(ステップST41)。
δmax>gであった場合には、構造解析ソルバー20は片持梁55が基板58に接触した状態で変形するとして、片持梁55が基板58に接触する場合の最大曲げ応力の解析に用いる式(12)のモデルに基づいて、最大曲げ応力σmaxを計算する(ステップST42)。
最大曲げ応力σmaxの計算後には、ステップST38の処理へと進む。
ステップST41において最大変形量δmaxの値が間隙gの値以下、即ちδmax≦gであった場合には、構造解析ソルバー20は片持梁55が基板58に接触した状態では変形しないとして、片持梁55が基板58に非接触の場合の最大曲げ応力の解析に用いる式(7)のモデルに基づいて、最大曲げ応力σmaxを計算する(ステップST43)。
最大曲げ応力σmaxの計算後には、ステップST38の処理へと進む。
以上の処理に示すように、第3実施形態においては、簡単な梁の解析モデルに基づいてメニスカス応力を計算するため、構造物の形状がこの解析モデルによって近似できる場合には、メニスカス応力を簡便に解析することができる。解析モデルは静的で非常に簡単であるため、構造解析ソルバー20における計算時間は第2実施形態の場合よりもさらに短くなる。その結果、全体として解析に必要な計算時間を第2実施形態の場合よりもさらに短くすることが可能になる。
第3実施形態において述べたような両持梁構造または片持梁構造は、MEMS等の微細な構造物においては多用される構造であるため、ある程度実情に則した解析が可能でありしたがって解析精度もある程度確保され、実用上は非常に有用であるといえる。
〔第4実施形態〕
上述の第1〜第3実施形態のいずれの場合にも、液体解析ソルバー10は構造物の表面に存在する液体の挙動を動的に解析していた。
以下では、液体解析ソルバー10が静的な解析モデルに基づいてメニスカス力を算出する形態を、第4実施形態として述べる。このとき、これまでと同様に、第1〜第3実施形態の場合と同様の部分についての詳細な記載は省略する。
メニスカス力を静的に解析可能とする解析モデルを導出するために、まず、メニスカスの変化の典型例について述べる。
図6は、メニスカス力の静的解析モデルの導出において対象とする構造物の形状を示す図である。静的解析モデルの導出においては、たとえば、図6に示すような両持梁60が所定の大きさの穴H4を介して基板の基板面に平行に複数配列されている両持梁列構造の構造物を解析対象とする。図6(a)はこのような両持梁列構造の構造物57の部分的な平面図であり、図6(b)はこの構造物57を両持梁60の長手方向に沿う断面から見た断面図である。図6(b)には、間隙gを隔てて基板58の平坦な基板面に平行に設けられている幅d、長さfの両持梁60がメニスカス力による圧力差でたわみ、両持梁60の中央部の間隙が間隙gminまで小さくなった状態を模式的に示している。
また、両持梁60間の穴H4の幅をhとする。
さらに、図7および図8は、図6(b)におけるV1−V1断面およびV2−V2断面の各々に対し液体WTが付着した構造物57の乾燥プロセスにおけるメニスカスの時間による変化を模式的に示した図である。図7が間隙gと穴幅hとの関係がg≧hの場合を、図8がg<hの場合をそれぞれ示している。
また、図7および図8における(a)がV1−V1断面におけるメニスカスの時間変化を示しており、(b)がV2−V2断面におけるメニスカスの時間変化を示している。なお、V2−V2断面は、両持梁60の長手方向に沿った中央部における断面を示しており、V2−V2断面においては両持梁60と基板58との間の間隙が間隙gminになっている。
図7,8に示すようなメニスカスの変化を伴う乾燥プロセスに関して、液体WTの蒸発は沸騰等の現象を伴わずメニスカスの変化に対して十分に遅く、乾燥プロセスは準静的なプロセスであると仮定する。このような準静的なプロセスにおいては、V1−V1断面とV2−V2断面とにおけるメニスカスの曲率半径とが異なると、V1−V1断面近傍とV2−V2断面近傍との液体内部圧力差が瞬時に液体WTの流動を発生させ、2つの断面におけるメニスカスは等しい曲率半径になり、かつ、メニスカス力による構造物57への圧力荷重と構造物57の変形とは常に釣り合いを保つと考えることができる。ただし、図7,8においては簡略化のためV2−V2断面における両持梁60と基板58との間隙は間隙gminで一定であるとして描いている。
図7,8において、液体WTに生じるメニスカスの移動方向を太い矢印によって表わし、そのメニスカスの曲率半径Rを、●から伸びる矢印によって表わしている。また、構造物57の断面は、対称となる面MSに挟まれた領域のみを描いている。
なお、実用的なウエット洗浄後の乾燥プロセスは、現状で使用されている洗浄液および構造物57の周囲の環境等の条件のもとでは準静的なプロセスであると十分にみなすことができる。
まず、間隙gと穴幅hとの関係がg≧hの場合について、図7を参照しながら述べる。
両持梁60の外側表面まで液体WTが存在しておりメニスカスが発生していない状態を初期状態とする(状態(i))。
構造物57の周囲の環境気体に接している液体WTの液面から、液体WTが蒸発し体積が減少し始める。液体WTの体積減少に伴い液面にはメニスカスが形成され、その曲率半径Rは時間経過と共に減少する方向、即ち液体WTの内部と環境気体との圧力差が大きくなる方向へと変化する。曲率半径Rは、液面と両持梁60の厚さ方向の側面とが、液体WTおよび両持梁60の種類によって決まる接触角となるまで減少し、その後はそのメニスカス形状を保ったまま液面が下がる(状態(ii))。
液面が両持梁60の底面まで達すると両持梁60の側面との接触角による束縛がなくなるためメニスカスの曲率半径Rは再度減少する方向へ変化し始める。曲率半径Rは、穴幅hと同じ直径の円が形成されるR=h/2で極小となる。その後メニスカスは曲率半径Rが増加する方向すなわち液体内部と環境気体の圧力差が小さくなる方向へ転じる(状態(iii))。
その後も曲率半径Rが増加する方向で液体WTの蒸発が進むと、V2−V2断面において液面が基板58の基板面に到達する(状態(iv))。
状態(iv)からさらに蒸発が進むと、V1−V1断面ではメニスカスの曲率半径Rが増加する方向にメニスカスが変形するのに対し、V2−V2断面においては曲率半径Rが減少する方向へ変形するため液体内部に圧力差が発生し、V1−V1断面からV2−V2断面への向きに液体WTの流動が発生する(状態(v))。その結果、図に示すようなメニスカス形状となる。このような状態遷移は液面の微妙なバランスが崩れた時にも発生するため、状態(iii)から状態(iv)への変化の過程において発生することも考えられる。
その後、蒸発による液体WTの体積変化と液体内部の流動とを伴いながら、曲率半径Rが増加する方向にメニスカスは変化し、曲率半径Rは、V1−V1断面において液体WTが基板面に接した時点で極大となる(状態(vi))。
V1−V1断面において液面が基板面に接したまま、メニスカスは再度曲率半径Rが減少する方向へ変化する。そして、曲率半径Rは、図11を用いて述べたように両持梁60の梁底面と基板58の基板面とに対する液体WTの接触角によって決まる曲率半径g/(cosθ1+cosθ2)のときに極小となる(状態(vii))。
さらに液体WTが蒸発することにより、メニスカスの液面は極小の曲率半径g/(cosθ1+cosθ2)を保ったまま、穴H4から離れる奥側に移動する(状態(viii))。
これにより、V1−V1断面とV2−V2断面との間において、図中の領域Arにおいて示すように、メニスカスは対称面MSを挟んで反対側から進行してきた別のメニスカスと接触する。
メニスカスの液面は、反対側のメニスカスと接触した位置から分裂し、新しい液面を形成する(状態(ix))。
図7に示すメニスカスの変化の過程から、曲率半径Rが極小、即ち液体WTの内部の圧力と環境気体の圧力との圧力差が極大となるのは、状態(iii)または状態(vii)のときであることが分かる。曲率半径R=h/2の値と曲率半径R=g/(cosθ1+cosθ2)の値を比較すると、最小値は、g≧hであることからh/2であることが分かる。したがって、状態(iii)において最大圧力差が生じることになる。
さらに、状態(iii)においては液体WTは両持梁60の底面全体に接しており、最大圧力差に起因する最大圧力荷重が両持梁60の全面に加わることが分かる。
以上により、図6に示すような形状の構造物57において、間隙gと穴幅hとの関係がg≧hの場合には、状態(iii)に示すように穴H4を挟んだ2つの両持梁60の間に極小の曲率半径Rのメニスカスが形成されたときに構造物57には最大のメニスカス応力が印加されることが分かる。
次に、間隙gと穴幅hとの関係がg<hの場合について、図8を参照しながら述べる。
図7の場合と同様に、両持梁60の外側表面まで液体WTが存在しておりメニスカスが発生していない状態を初期状態とする(状態(i))。
構造物57の周囲の環境気体に接している液体WTの液面から、液体WTが蒸発し体積が減少し始める。液体WTの体積減少に伴い液面にはメニスカスが形成され、その曲率半径Rは時間経過と共に減少する方向、即ち液体WTの内部と環境気体との圧力差が大きくなる方向へと変化する。曲率半径Rは、液面と両持梁60の厚さ方向の側面とが、液体WTおよび両持梁60の種類によって決まる接触角となるまで減少し、その後はそのメニスカス形状を保ったまま液面が下がる(状態(ii))。
メニスカスの液面は、両持梁60の厚さ方向の側面と液体WTとの接触角、および基板58の基板面と液体WTとの接触角が等しくなるように、かつ、V1−V1断面とV2−V2断面とにおけるメニスカスの曲率半径Rが等しくなるように流動しながら遷移していく。その際に、メニスカスの曲率半径Rは減少する方向へ変化する(状態(iii)〜(vii))。
メニスカスの曲率半径Rは両持梁60の梁底面と基板58の基板面とに対する液体WTの接触角によって決まる極小の曲率半径g/(cosθ1+cosθ2)となるまで減少していき、その後この曲率半径g/(cosθ1+cosθ2)を保ったまま、穴H4から離れる奥側に移動する(状態(viii))。
ここで、接触角θ1,θ2がそれぞれ、両持梁60の梁底面と基板58の基板面とに対する液体WTの接触角を表わしている。
また、状態(viii)を示す図においては液体WTの液面が両持梁60の縁よりも奥側に移動しているが、状態(vii)を示す図から状態(viii)を示す図までの遷移中に、液面が両持梁60の縁に接している状態において極小の曲率半径g/(cosθ1+cosθ2)となる状態も存在する。
穴H4から離れる奥側に移動していったメニスカスの液面は、V1−V1断面とV2−V2断面との間において、対称面MSを挟んで反対側から進行してきた別のメニスカスと接触する(状態(ix))。
メニスカスが、反対側からの別のメニスカスと接触する状態が、状態(ix)を表わす図中の領域Arにおいて示されている。
メニスカスの液面は、反対側のメニスカスと接触した位置から分裂し、新しい液面を形成する(状態(x))。
図8に示すメニスカスの変化の過程から、曲率半径Rが極小、即ち液体WTの内部の圧力と環境気体の圧力との圧力差が極大となるのは、状態(viii)のときであることが分かる。このとき、最大圧力差が生じる。
さらに、曲率半径Rが極小値g/(cosθ1+cosθ2)となるときに両持梁60の梁面全面に液体WTが接している状態が存在し、このとき両持梁60の全面に最大圧力荷重が加わると考えることができる。
以上の考察から、穴H4と間隙gとが存在する両持梁列構造の構造物57の場合には、穴幅hと間隙gとの寸法の関係に応じて、最大圧力差を生じる状態は異なるが(g≧hの場合いは図7における状態(iii)であり、g<hの場合には図8における状態(viii)。)、メニスカスの曲率半径Rが穴幅hの方向または両持梁60と基板58との間の間隙において極小となる状態のいずれかにおいて最大圧力差となる。また、乾燥プロセスにおいてメニスカス力により発生する最大圧力荷重は、この最大圧力差が両持梁60の梁面全面に加わったときに発生する。
したがって、構造物中の穴および間隙を検出し、この穴および間隙の寸法に基づいて、穴および間隙毎に極大となる圧力差を計算後比較して最大の圧力差を判定し、この最大圧力差が梁の全面に加わる場合に最大圧力荷重が構造物の梁に印加されるとして構造物の構造解析を行なえば、液体の挙動を動的に計算することなく静的に計算して構造物の構造解析を行なうことができる。
なお、以上の考察は、図13〜15に示したような、構造物57とは形状の異なる他の穴や間隙形状、構造を有する構造物についても同様に成立すると考えられる。したがって、上記の静的な液体の挙動解析を様々な形状の構造物に適用可能である。
以下、上記の考察に基づき液体を静的に解析する場合のメニスカス応力解析方法について、図9を参照しながら述べる。
図9は、第4実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートの一例である。
解析のスタート後には、まず、液体解析ソルバー10が、解析対象の構造物における図6に示す穴H4のような穴を検出する(ステップST51)。
なお、ここでいう穴とは、構造物中に存在する空隙のうち、閉じた形状をしているものを意味するとする。
また、液体解析ソルバー10は、ステップST51の処理を含め、以下の全ての処理を、たとえば、メモリ15に格納されている解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って実行する。
液体解析ソルバー10は、対象構造物の形状のデータに基づいて構造物に存在する穴を全て検出する。対象構造物の形状のデータは、たとえば、メモリ15に記憶させておくことができる。液体解析ソルバー10は、メモリ15にアクセスしてこの形状のデータを読み出し、解析に利用する。
構造物の全ての穴を検出し終えた後には、液体解析ソルバー10は、全ての穴に対して穴の形状に応じて発生する圧力差を計算する(ステップST52)。
このとき、液体解析ソルバー10は、解析プログラムに含まれている式(2),(3)によって表わされる解析モデルを用いて圧力差を計算する。メモリ15に入力されるデータには、式(2),(3)の計算に用いる接触角θ1,θ2の情報も含まれている。
次に、液体解析ソルバー10は、解析対象の構造物における基板と梁との間隙を検出する(ステップST53)。
なお、ここでいう間隙とは、構造物中に存在する空隙のうち、開いた形状をしているものを意味するとする。
ステップST51と同様に、液体解析ソルバー10は、対象構造物の形状のデータに基づいて構造物に存在する間隙を全て検出する。
構造物の全ての間隙を検出し終えた後には、液体解析ソルバー10は、全ての間隙に対して間隙の形状に応じて発生する圧力差を計算する(ステップST54)。
ステップST52と同様に、液体解析ソルバー10は、式(2),(3)によって表わされる解析モデルを用いて圧力差を計算する。
穴に関する圧力差の全ての値と間隙に関する圧力差の全ての値が得られた後には、液体解析ソルバー10は、最大圧力差の値を求めるために、これらの全ての圧力差の値を比較する(ステップST55)。
液体解析ソルバー10は、ステップST55における比較処理の結果得られた最大圧力差の値を、構造解析ソルバー20に出力する(ステップST56)。
本実施形態においては、以上のステップST51〜ST54のように全ての穴と間隙とについて圧力差を計算した。しかし、穴および間隙の形状が全て同じ場合には、穴および間隙について1回ずつ圧力差を計算すれば十分である。ただし、それ以外の場合には、最大圧力差が生じる穴または間隙の形状を判定することはあまり容易ではないため、全ての穴および間隙について実際に圧力差を計算することが、最大圧力差を安全側において見積もるためには好ましい。
液体解析ソルバー10から最大圧力差のデータを受け取った構造解析ソルバー20は、図3に示すステップST24の場合と同様に、この最大圧力差により構造物に生じる応力を静的に解析計算する(ステップST57)。
ステップST57において得られた最大応力に基づいて、これまでの実施形態と同様に、構造物と構造物に発生する応力との関係を評価することができる(ステップST58)。
以上のように、第4実施形態においては、構造解析ソルバー20だけでなく、液体解析ソルバー10においても構造物の形状に基づいて静的に最大圧力差を計算している。静的な解析は動的な解析よりも解析時間が短くてすむため、第3実施形態の場合よりもさらにメニスカス応力の解析のための計算時間を短くすることが可能になる。
このとき、液体解析ソルバー10による最大圧力差の計算自体は、理論的に正確なモデルに基づいている。したがって、構造物に主として図6に示すような穴や間隙等の単純な形状の隙間のみが存在している場合には、解析の程度を確保することも可能である。
〔第5実施形態〕
構造解析ソルバー20における解析に単純な梁のモデルを用い、解析時間を第4実施形態よりもさらに短くするためのメニスカス応力解析方法を、本発明の第5実施形態に係る解析手法として以下に述べる。
図10は、第5実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートの一例である。
第5実施形態においては、解析対象とする構造物は単純な片持梁や両持梁の構造のみを有する形状であるとし、また、構造物に存在する隙間は、単純な穴や間隙のみであるとする。
図10のフローチャートにおいて、液体解析ソルバー10が実行するステップST61〜ST66の処理は、第4実施形態に係る図9のステップST51〜ST56の処理と同じである。したがって詳細な記述は省略する。
図10のフローチャートにおいて、構造解析ソルバー20が実行するステップST67〜ST76の処理、およびステップST71の処理は、第3実施形態に係る図4のステップST34〜ST43の処理、およびステップST38の処理と同じである。したがって詳細な記述は省略する。
以上のように、第5実施形態においては、液体解析ソルバー10が第4実施形態の場合と同じく静的にメニスカスによる最大圧力差を計算することに加えて、構造解析ソルバー20が第3実施形態の場合と同じく単純な片持梁または両持梁の解析モデルに基づいてメニスカス応力を計算している。
したがって、第4実施形態の場合よりもさらにメニスカス応力の解析に要する計算時間を短くすることができる。
なお、参考までに、同じ形状の構造物を対象としてメニスカス応力の解析を解析する場合に、第1実施形態における解析の計算時間を100とすれば、第2実施形態における計算時間は、たとえば、50程度となり、第3実施形態における計算時間は、たとえば、40程度となり、第4実施形態における計算時間は、たとえば、10程度となり、第5実施形態における計算時間は、たとえば、1程度となる。
また、単純な穴や間隙のみを有する片持梁(列)構造または両持梁(列)構造の構造物は現実の微細な構造物においては多用される構造である。したがって、実用上は計算精度を十分に確保することもできる。
以下、本発明の実施例について述べる。
以下の実施例においては、解析対象の構造物の材料はSiN(チッ化シリコン)であるとする。SiNのヤング率は2.94×1011[Pa]であり、材料強度(破壊応力)は1.4×109[Pa]である。つまり、この破壊応力を超える大きさのメニスカス応力が構造物に発生すると、構造物は破壊する。
また、ウエット洗浄に用いる液体WTとしては水を対象とした。水の表面張力は73[dyn/cm=73×10-3N/m]であり、水とSiNとの接触角は20[°]である。
また、解析対象は図6に示すような両持梁列構造の構造物とし、構造物の寸法を適宜変更して2種類の構造物A,Bについて最大メニスカス応力を解析した。
構造物A,Bの寸法は以下の通りである。
構造物A:長さf=1[μm],幅d=0.2[μm],穴幅h=0.5[μm]、厚さt=0.1[μm],間隙g=0.04[μm]
構造物B:長さf=4[μm],幅d=0.2[μm],穴幅h=0.5[μm]、厚さt=0.1[μm],間隙g=0.04[μm]
以上の条件のもとでメニスカス応力シミュレータ1を用いてメニスカス応力解析を行なう。
実施例1においては、図3に示す第2実施形態に係る解析方法に基づいて解析を実行した。このとき、液体解析ソルバー10には有限差分法(FDM)に基づく解析モデルを用いて解析計算を実行させ、構造解析ソルバー20には有限要素法(FEM)に基づく解析モデルを用いて静的に解析計算を実行させた。
このとき、構造物Aの場合には、図3に示すステップST22において計算終了と判断された後に液体解析ソルバー10から構造解析ソルバー20へ出力される最大メニスカス力の解析結果、即ち図6に示す構造物57の両持梁60に印加される最大圧力荷重の値は、3.66×106[Pa]となった。
そして、図3のステップST25において、両持梁60に発生する最大応力、即ち最大メニスカス応力は、1.59×108[Pa]と得られた。
この結果からは、解析により導かれた最大メニスカス応力の値が材料強度未満であり、構造物に破壊は生じないと評価できる。
構造物Bの場合には、ステップST22における計算終了後に構造解析ソルバー20へ出力される最大圧力荷重の値は3.68×106[Pa]であった。
この最大圧力荷重の値を用いて構造解析ソルバー20が解析を実行した結果、ステップST25において得られた最大メニスカス応力の値は、1.61×109[Pa]であった。
構造物Bの場合には、解析により導かれた最大メニスカス応力の値が材料強度以上と算出され、構造物に破壊が生じる可能性があると評価することができる。
以上のように、第2実施形態に係る解析手法を用いた場合には、構造物の形状が異なる場合には異なる解析結果を生じ、構造物の形状の違いを解析結果に反映させることができるといえる。
実施例2においては、図9に示す第4実施形態に係る解析方法に基づいて解析を実行した。
構造物Aに関する解析の場合には、液体解析ソルバー10は、まず、ステップST51においてf×h、即ち1[μm]×0.5[μm]の穴H4を全て検出する。
上記の穴H4に関して、ステップST52において得られるメニスカスによる圧力荷重は、4.38×105[Pa]となる。
この場合のように穴H4の形状が全て同じ場合には、圧力荷重の計算は1回だけ行なえばよい。
次に、液体解析ソルバー10は、ステップST53においてf×g、即ち1[μm]×0.04[μm]の間隙を全て検出する。
上記の間隙に関して、ステップST54において得られるメニスカスによる圧力荷重は、3.57×106[Pa]となる。
この場合も、間隙の形状が全て同じであるため圧力荷重の計算は必ずしも全ての間隙について実行する必要は無く、1回だけ計算すればよい。
ステップ55において、ステップST52において得られた穴H4に起因する圧力荷重4.38×105[Pa]とステップST54において得られた間隙に起因する圧力荷重3.57×106[Pa]とを比較すると、間隙に起因する圧力荷重の方が大きいことが分かる。
したがって、ステップST56においては間隙に起因する圧力荷重3.57×106[Pa]が液体解析ソルバー10から構造解析ソルバー20へ出力される。
ステップST57において、構造解析ソルバー20は圧力荷重を3.57×106[Pa]として、有限要素法(FEM)に基づく解析モデルを用いて静的に解析計算を実行する。
その結果、ステップST58において、最大メニスカス応力の値は1.54×108[Pa]と得られた。
上記の最大メニスカス応力1.54×108[Pa]は実施例1の構造物Aの場合に得られた最大メニスカス応力1.59×108[Pa]とほぼ一致しており、液体解析ソルバー10を用いて静的に解析を行った場合と動的に解析を行なった場合とで解析結果に矛盾が生じないことが分かる。また、液体解析ソルバー10において静的に解析を行なって計算時間を短くした場合でも、解析精度をある程度確保できることが分かる。
構造物Bの場合には、ステップST51においてf×h、即ち4[μm]×0.5[μm]の穴H4を全て検出される。
上記の穴H4に関して、ステップST52において得られるメニスカスによる圧力荷重は、3.29×105[Pa]となる。
ステップST53においてはf×g、即ち1[μm]×0.04[μm]の間隙が全て検出され、その結果ステップST54において得られる間隙に関するメニスカスによる圧力荷重は、3.46×106[Pa]となる。
ステップST55における比較の結果、より大きい間隙に関する圧力荷重3.46×106[Pa]が最大圧力差としてステップST56において構造解析ソルバー20に出力される。
この圧力荷重3.46×106[Pa]を用いたステップST57における構造解析ソルバー20の静的な解析の結果、ステップST58において得られる最大メニスカス応力の値は1.59×109[Pa]となった。
実施例2における構造物Bにおいても、解析結果は実施例1における構造物Bの場合とほぼ一致しており、解析結果に矛盾が生じないことが分かる。
実施例3においては、図10に示す第5実施形態に係る解析方法に基づいて解析を実行した。
構造物Aに関する解析の場合、図10のステップST61〜ST66における処理結果は、実施例2における構造物Aに関する解析の各ステップST51〜ST56の結果と同じである。したがって記載は省略する。
ここでは両持梁構造の構造物57を解析対象としているため、図10のステップST67においてはステップST68が選択される。
ステップST68における両持梁モデルに基づく計算の結果、両持梁60の最大変形量δmaxはδmax=3.79×10-4[μm]と得られる。
ステップ69において、ステップST68において得られた最大変形量δmax=3.79×10-4[μm]と、間隙g=0.04[μm]とを比較すると、間隙の方が大きいことが分かる。
したがって、両持梁60は基板58には接触しないと考えられ、ステップST70へ進む。ステップST70における最大曲げ応力σmaxの計算結果は、σmax=1.78×108[Pa]と得られる。
得られた最大曲げ応力、即ち最大メニスカス応力σmax=1.78×108[Pa]は材料強度未満であり、ステップST71において、構造物に破壊は生じないと評価できる。
構造物Aに関して、実施例3において得られた最大メニスカス応力の値は実施例1,2において得られた最大メニスカス応力の値と比較して9%程度誤差が存在する。しかしながら、構造物Aに破壊が生じるか否かの判定結果は同じとなっている。したがって、第5実施形態に係る解析手法は、ある程度の安全率を見込んで構造物に破壊が生じるか否かを判断することには適用可能であり、実用的には十分な解析精度を有するといえる。
構造物Bに関する解析の場合、図10のステップST61〜ST66における処理結果は、実施例2における構造物Bに関する解析の各ステップST51〜ST56の結果と同じである。したがって記載は省略する。
構造物Bの場合にも、両持梁構造であるため図10のステップST67においてはステップST68が選択される。
ステップST68における両持梁モデルに基づく計算の結果、両持梁60の最大変形量δmaxはδmax=9.42×10-2[μm]と得られる。
ステップ69において、ステップST68において得られた最大変形量δmax=9.42×10-2[μm]と、間隙g=0.04[μm]とを比較すると、δmax=>gであることが分かる。
したがって、両持梁60は基板58には接触すると考えられ、ステップST72へ進む。ステップST72の計算において、接触部分以外の梁の長さfmはfm=3.23[μm]と得られる。その結果、最大曲げ応力σmaxはσmax=1.81×109[Pa]と計算される。
上記の最大曲げ応力、即ち最大メニスカス応力σmax=1.81×109[Pa]は材料強度以上の値であり、したがって構造物Bには破壊が生じる可能性があると判定できる。この判定結果は実施例1,2における構造物Bの場合の判定結果と同じである。
構造物Bの場合にも解析結果は実施例1,2の場合と比較して9%程度の誤差は存在するが、ある程度の安全率を見込んで構造物に破壊が生じるか否かを判断することには適用可能である。
以上により、第5実施形態のように簡便な梁の解析モデルを用いた場合であっても、実用的には十分な解析精度を有するといえる。
なお、本発明は上記の内容に限定されない。たとえば、これまでの記載においては主としてMEMS等の構造物を対象として述べたが、本発明はLEEPL(Low Energy E-beam Proximity Projection Lithography:低加速電圧の等倍マスクを使った電子ビーム露光)におけるマスクの構造解析にも適用可能である。マスク製造の場合にも、エッチングによって所望のパターンを形成し、主としてウエット洗浄が用いられる。
本発明は、たとえば、MEMSやLEEPLにおけるマスク製造のように、製造過程において液体によるメニスカス力が発生する微細な構造物の構造解析に利用することができる。
本発明の第1実施形態に係るシミュレータの構成を概略的に示したブロック図である。 図1に示すメニスカス応力シミュレータを用いた第1実施形態に係るメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。 第3実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態において解析対象とする構造物の形状を示す図である。 メニスカス力の静的解析モデルの導出において対象とする構造物の形状を示す図である。 図6におけるV1−V1断面およびV2−V2断面の各々に対し、液体が付着した構造物の乾燥プロセスにおけるメニスカスの時間による変化を模式的に示した図であり、構造物の間隙gと穴幅hとの関係がg≧hの場合を示している。 図6におけるV1−V1断面およびV2−V2断面の各々に対し、液体が付着した構造物の乾燥プロセスにおけるメニスカスの時間による変化を模式的に示した図であり、構造物の間隙gと穴幅hとの関係がg<hの場合を示している。 第4実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートの一例である。 第5実施形態におけるメニスカス応力解析の手順を示すフローチャートの一例である。 メニスカス力が発生する代表的な例として、構造物の隙間に侵入した液体が蒸発する状況を模式的に示した斜視図である。 構造物の隙間に侵入した液体に3次元的なメニスカスが発生する状態を示すための斜視図である。 メニスカスが発生する構造物の形状の例を示す図である。 メニスカスが発生する構造物の形状の他の例を示す図である。 メニスカスが発生する構造物の形状のさらに他の例を示す図である。
符号の説明
1…メニスカス応力シミュレータ(応力解析装置)、3…本体部、5…モニタ、7…入力装置、10…液体解析ソルバー(液体解析手段)、15…メモリ、20…構造解析ソルバー(構造解析手段)、25…ドライバ、55…片持梁、60…両持梁、WT…液体

Claims (15)

  1. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、
    前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段と
    を有し、
    前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を解析する
    応力解析装置。
  2. 前記液体解析手段と前記構造解析手段とは、いずれも所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析を行なう
    請求項1に記載の応力解析装置。
  3. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、
    前記液体解析手段から得られる解析結果に基づいて、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段と
    を有し、
    前記液体解析手段は、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析し、
    前記構造解析手段は、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析する
    応力解析装置。
  4. 前記構造解析手段は、両持梁モデルまたは片持梁モデルとして表わされる前記構造体を対象として、両持梁または片持梁の接触を含むたわみの解析モデルに基づいて前記両持梁または前記片持梁に発生する応力をそれぞれ解析する
    請求項3に記載の応力解析装置。
  5. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、
    前記液体解析手段から得られる解析結果に基づいて、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段と
    を有し、
    前記液体解析手段は、前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を静的に解析し、
    前記構造解析手段は、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析する
    応力解析装置。
  6. 前記構造解析手段は、両持梁モデルまたは片持梁モデルとして表わされる前記構造体を対象として、両持梁または片持梁の接触を含むたわみの解析モデルに基づいて前記両持梁または前記片持梁に発生する応力をそれぞれ解析する
    請求項5に記載の応力解析装置。
  7. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、
    前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力の解析を実行させる
    応力解析プログラム。
  8. 前記液体解析手段と前記構造解析手段とのいずれにも所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析を実行させる
    請求項7に記載の応力解析プログラム。
  9. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、
    前記液体解析手段に、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析させる液体解析ステップと、
    前記構造解析手段に、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析させる構造解析ステップと
    を実行させる
    応力解析プログラム。
  10. 両持梁モデルまたは片持梁モデルとして表わされる前記構造体を対象として、前記構造解析ステップにおいて前記構造解析手段に両持梁または片持梁の接触を含むたわみの解析モデルに基づいて前記両持梁または前記片持梁に発生する応力をそれぞれ解析させる
    請求項9に記載の応力解析プログラム。
  11. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、
    前記液体解析手段に、前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を静的に解析させる液体解析ステップと、
    前記構造解析手段に、前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を静的に解析させる構造解析ステップと
    を実行させる
    応力解析プログラム。
  12. 両持梁モデルまたは片持梁モデルとして表わされる前記構造体を対象として、前記構造解析ステップにおいて前記構造解析手段に両持梁または片持梁の接触を含むたわみの解析モデルに基づいて前記両持梁または前記片持梁に発生する応力をそれぞれ解析させる
    請求項11に記載の応力解析プログラム。
  13. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用いて、
    前記液体解析手段による解析値を前記構造解析手段による解析に用い、前記構造解析手段による解析値を前記液体解析手段による解析に用いる連成により、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を解析させる
    応力解析方法。
  14. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用い、
    前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、前記液体解析手段を用いて所定のステップ毎の時間進行に伴い動的に解析し、
    前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を、前記構造解析手段を用いて静的に解析する
    応力解析方法。
  15. 液体の挙動を数値解析する液体解析手段と、前記液体に起因する圧力を受ける構造物の挙動を数値解析する構造解析手段とを用い、
    前記構造物の形状の情報に基づいて、前記構造物の表面に存在する前記液体に起因して発生するメニスカス力を、前記液体解析手段を用いて静的に解析し、
    前記液体解析手段から解析結果として得られる前記メニスカス力に基づいて前記構造物に発生する応力を、前記構造解析手段を用いて静的に解析する
    応力解析方法。
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JP2021022743A (ja) * 2018-02-14 2021-02-18 キヤノン株式会社 スーパーストレート

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