JP2005095557A - 歯科補綴物の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 咬合の安定化が容易な口腔内装着器具の作製方法を提供すること。
【解決手段】 口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することを特徴とする。
【選択図】 図1



Description

本発明は、咬合の安定化が容易な口腔内装着器具の作製方法に関する。
咬合(咬み合せ)の安定化が、全身健康の安定化やスポーツ時に起こりうる脳震盪や外傷からの身体の保護に寄与することは、従来から一般的に広く認識されているところであり、歯科医学界からは、様々な身体の不調状態、例えば、肩こり、頭痛、めまいによる歩行障害、アトピー、筋腫、パーキンソン病、悪性腫瘍などが、咬合治療によって改善したとする臨床事例が報告されているし、咬合と全身健康の関連性を示唆する基礎学術論文も見受けられる。また、近年、各種スポーツ界においては、競技中にマウスガードの装着を義務付けるといった動きが主流となりつつある。
咬合状態の変化に伴って咀嚼機能が変化するばかりか健康状態が変化することは疑いのない事実である。しかしながら、咀嚼機能の低下と身体の不調を訴える患者に咬合治療を行ってその改善を図ろうとした場合、何を指標にして咬合状態を評価し、治療を行うのかという問いかけに対する明確な答えは、今だ用意されていないのが実情である。例えば、義歯がしっくりこず、食べ物が咬みにくくて肩こりがひどいといった患者に対し、義歯を調整することでその適合度合を改善して咬合治療を行う場合でも、ほとんどの場合が、患者の感覚だけを頼りにして歯科医師が凸部分を削除したりすることで行われている。もちろん、最初から患者一人一人に対して適合性に優れた義歯を作製することができれば、このような義歯の不具合によるこれらの症状の発生も抑止することができるが、残念ながら、現状では、義歯を作製する際において、咬合基準をどのように考えるべきであるのかという点についての確固たる指針が存在しないため、義歯作製マニュアルといったものの厚生労働省からの提示もない。従って、義歯の作製は、いわば場当たり的に行われているといっても過言ではなく、また、多くの患者が義歯の不都合を義歯安定剤によって解消しようとするため、その市場は100億円規模と巨大化している。
下記の特許文献1には、カンペル氏平面(鼻翼下縁と耳珠下縁とを結ぶ線)に対する咬合平面の平行度のチェックや両面間の距離測定などを簡便に正確に行える咬合平面測定器を用い、その平行度が悪い場合に、咬合平面をカンペル氏平面と平行に保つように義歯の調整を行うことで咬合治療を行う方法が記載されている。しかしながら、この方法を採ってみても、必ずしも治療効果があるとは限らない。
特開2000−42010号公報
そこで本発明は、咬合の安定化が容易な口腔内装着器具の作製方法を提供することを目的とする。
上記の点に鑑みてなされた本発明の口腔内装着器具の作製方法は、請求項1記載の通り、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項2記載の方法において、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法において、口腔内装着器具が歯科補綴物、オクルーザルスプリント、歯列矯正具、マウスガードのいずれかであることを特徴とする。
また、本発明の口腔内装着器具は、請求項5記載の通り、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製されてなることを特徴とする。
本発明の口腔内装着器具の作製方法は、本発明者らが、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線(体軸)に対する上顎の左右咬合平面の左右差を少なくすることで左右の筋肉の動きなどを均等化して全身バランスをとることの重要性を含めた、上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性をエビデンスにより初めて明らかにし、上顎の左右咬合平面は第二頚椎歯突起を基準に決定されるのが本来あるべき姿であるというこれまでにない理論をもとに、確実性を以って咬合の安定化を図ることができる口腔内装着器具を作製する方法である。従って、本発明によれば、咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる口腔内装着器具を提供することができる。
本発明の口腔内装着器具の作製方法は、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することを特徴とするものである。第二頚椎歯突起の中心点とは、歯突起の頂点と基底部の中心点を結んだ線の中間点を意味する。口腔内装着器具は、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製することが望ましく、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することがより望ましい。また、装着者の上顎の左右咬合平面の延長線をさらに延長した際、いずれの延長線も後頭骨下縁よりも下方を通過し、後頭骨に交わらないように作製することが望ましい。
本発明の口腔内装着器具の作製方法における作製対象となる口腔内装着器具としては、義歯などの歯科補綴物、オクルーザルスプリント、ブラケットとワイヤからなる歯列矯正具、マウスガードなどが挙げられる。例えば、作製対象が上顎義歯の場合、義歯の左右咬合平面が上顎の左右咬合平面となるので、義歯を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製する。義歯の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の中心点の位置は、側方X線セファロ写真から特定することができる。従って、当該写真から得られる情報をもとに、患者から採得した上顎印象に基づく石膏模型を利用して義歯を作製することで、上顎の左右理想咬合平面を実現することができる(図1参照:上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差がなく、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが第二頚椎歯突起の中心点を通過した状態を示すもの)。人工歯の配列は、患者の切歯乳頭と左右のハムラーノッチ(上顎切痕)の位置を特定し、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線に向かって引いた垂線における、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線との交点までの距離をAとすれば、垂線をさらにAの距離だけ延長したポイントXを中心に同心円状に左右対称に行うことが望ましい(図2参照)。ポイントXは、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線上の、第二頚椎歯突起の中心点の上方に位置するので、人工歯の配列も第二頚椎歯突起を基準に決定するのがよいということになる(なお、ポイントXがなぜ第二頚椎歯突起とこのような位置関係にあるのか本発明者らにも定かでないが、この事実は多くの被験者についての検査から確認済みである)。例えば、上顎の左右理想咬合平面を実現することができるように作製した義歯(蝋堤であってもよい)を石膏模型に装着し、模型に装着した義歯を透明プラスチック板に載置し、義歯を載置した側の反対側から見て、模型から特定される切歯乳頭と左右のハムラーノッチの位置を板上にマークすることで特定すれば、板上にポイントXの位置を特定することが可能となり、その位置が第二頚椎歯突起の中心点に該当する。従って、こうして特定された第二頚椎歯突起の中心点を中心に人工歯の配列を行えば、上顎の左右理想咬合平面と理想歯列の実現をあわせて行うことができる。このように、側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報をあわせて利用すれば、適合性に優れた口腔内装着器具を作製することができる。
作製対象が下顎義歯の場合、上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように必要に応じて調整した上で、上顎の左右咬合平面に対応させて作製する。
作製対象がオクルーザルスプリントやマウスガードの場合、現状での上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係を明らかにした上で、作製対象の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように義歯と同様にして作製する。
作製対象がブラケットとワイヤからなる歯列矯正具の場合、現状での上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係を明らかにした上で、患者から採得した上顎印象を利用し、上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように歯列を矯正するためのブラケットの装着位置とワイヤによるテンションの掛け具合を具現化した歯列矯正模型を作製することで作製する。歯列矯正具は、義歯の作製の際の人工歯の配列方法と同様に、歯列がポイントXを中心に同心円状に左右対称に位置するように矯正できるものであることが望ましい。作製した歯列矯正具は、歯列矯正模型に装着した方法と同じように患者の歯に装着して用いればよい。現状では、義歯の作製と同様に、歯列の矯正についても、咬合基準をどのように考えるべきであるのかという点についての確固たる指針が存在しないため、審美目的のみで矯正が行われた結果、咀嚼機能の低下や身体の不調を引き起こす事例が少なからず見受けられるが、本発明によれば、このような問題を引き起こすことなく、理想的な歯列の矯正を行うことができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
(1)上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性を以下の実験を行って調べた。
歯科的異常とともに身体的異常を訴えてクリニックを訪れた患者40人(18歳〜82歳,平均年齢47歳,男性17人/女性23人)に対し、上顎の左右咬合平面に直線状の歯列矯正術用ワイヤを固定し、側方X線セファロ写真を撮影して左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、多くの患者において、左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は10mmを超えており、また、多くの患者において、左咬合平面の延長線および/または右咬合平面の延長線は、第二頚椎歯突起の中心点から上方または下方に少なくとも10mmを超えてずれていた。延長線が第二頚椎歯突起の中心点から上方にずれていた全ての患者は、延長線をさらに延長した際、延長線が後頭骨に交わっていた。
歯科的異常や身体的異常がない、少なくとも24本以上の歯を持った70歳以上の健康老人17人(70歳〜96歳,平均年齢78歳,男性12人/女性5人)に対し、上記と同様の方法にて上顎の左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、全ての老人の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は4mm以内であり、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過しており、延長線をさらに延長した際、延長線は後頭骨下縁よりも下方を通過していた。
(2)次に、患者40人の中の14人(平均年齢51歳,男性6人/女性8人,処置群)に対し、通常の歯科治療を施すとともに、上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差を10mm以内とし、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように当該平面を削除するか、口腔内装置器具として樹脂スプリントを装着することで、咬合治療を施した。ここで、樹脂スプリントは、患者の側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報から作製した。
(3)各患者に対し、施術前と施術後(歯科医師の所見と患者の感覚に基づいて咬合の安定化が図られたと目される時点を意味し、その時点は患者によってまちまちであるが、概ね施術開始から数ヵ月以降である)において、84項目にわたる愁訴事項(Fonder AC(1989). The dental distress syndrome quantified. Basal Fact 9,141-167参照)を質問し、その回答の点数化を行って施術前と施術後における点数の変化を調べた。点数は、症状がない場合を0点とし、症状度合いに応じて最高3点とした(トータル点数は最高252点で最低0点)。その結果を、患者40人の中で通常の歯科治療だけを施した者17人(平均年齢43歳,男性5人/女性12人,コントロール群)に対して同様の調査を行った結果とともに図3に示す。図3から明らかなように、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者は、点数が大きく減少して愁訴の解消が図られたが、通常の歯科治療のみを施した患者には、このような効果が見られなかった。なお、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者において、咬合治療のために上顎咬合平面の削除を行った患者と樹脂スプリントを装着した患者との間に効果の違いはなかった。
咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる口腔内装着器具を提供することができる点において、本発明は産業上の利用可能性を有する。
義歯の作製の際の上顎の左右理想咬合平面を示す図。 義歯の作製の際に人工歯の配列の基準となるポイントXの位置を示す図。 咬合治療の効果を示すグラフ。
本発明は、咬合の安定化が容易な口腔内装着器具の作製方法に関する。
咬合(咬み合せ)の安定化が、全身健康の安定化やスポーツ時に起こりうる脳震盪や外傷からの身体の保護に寄与することは、従来から一般的に広く認識されているところであり、歯科医学界からは、様々な身体の不調状態、例えば、肩こり、頭痛、めまいによる歩行障害、アトピー、筋腫、パーキンソン病、悪性腫瘍などが、咬合治療によって改善したとする臨床事例が報告されているし、咬合と全身健康の関連性を示唆する基礎学術論文も見受けられる。また、近年、各種スポーツ界においては、競技中にマウスガードの装着を義務付けるといった動きが主流となりつつある。
咬合状態の変化に伴って咀嚼機能が変化するばかりか健康状態が変化することは疑いのない事実である。しかしながら、咀嚼機能の低下と身体の不調を訴える患者に咬合治療を行ってその改善を図ろうとした場合、何を指標にして咬合状態を評価し、治療を行うのかという問いかけに対する明確な答えは、今だ用意されていないのが実情である。例えば、義歯がしっくりこず、食べ物が咬みにくくて肩こりがひどいといった患者に対し、義歯を調整することでその適合度合を改善して咬合治療を行う場合でも、ほとんどの場合が、患者の感覚だけを頼りにして歯科医師が凸部分を削除したりすることで行われている。もちろん、最初から患者一人一人に対して適合性に優れた義歯を作製することができれば、このような義歯の不具合によるこれらの症状の発生も抑止することができるが、残念ながら、現状では、義歯を作製する際において、咬合基準をどのように考えるべきであるのかという点についての確固たる指針が存在しないため、義歯作製マニュアルといったものの厚生労働省からの提示もない。従って、義歯の作製は、いわば場当たり的に行われているといっても過言ではなく、また、多くの患者が義歯の不都合を義歯安定剤によって解消しようとするため、その市場は100億円規模と巨大化している。
下記の特許文献1には、カンペル氏平面(鼻翼下縁と耳珠下縁とを結ぶ線)に対する咬合平面の平行度のチェックや両面間の距離測定などを簡便に正確に行える咬合平面測定器を用い、その平行度が悪い場合に、咬合平面をカンペル氏平面と平行に保つように義歯の調整を行うことで咬合治療を行う方法が記載されている。しかしながら、この方法を採ってみても、必ずしも治療効果があるとは限らない。
特開2000−42010号公報
そこで本発明は、咬合の安定化が容易な口腔内装着器具の作製方法を提供することを目的とする。
上記の点に鑑みてなされた本発明の口腔内装着器具の作製方法は、請求項1記載の通り、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする。
また、請求項記載の方法は、請求項記載の方法において、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする。
また、請求項記載の方法は、請求項1または2記載の方法において、口腔内装着器具が歯科補綴物、オクルーザルスプリントマウスガードのいずれかであることを特徴とする。
本発明の口腔内装着器具の作製方法は、本発明者らが、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線(体軸)に対する上顎の左右咬合平面の左右差を少なくすることで左右の筋肉の動きなどを均等化して全身バランスをとることの重要性を含めた、上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性をエビデンスにより初めて明らかにし、上顎の左右咬合平面は第二頚椎歯突起を基準に決定されるのが本来あるべき姿であるというこれまでにない理論をもとに、確実性を以って咬合の安定化を図ることができる口腔内装着器具を作製する方法である。従って、本発明によれば、咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる口腔内装着器具を提供することができる。
本発明の口腔内装着器具の作製方法は、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とするものである。第二頚椎歯突起の中心点とは、歯突起の頂点と基底部の中心点を結んだ線の中間点を意味する。口腔内装着器具は、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することが望ましいまた、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することが望ましい。また、装着者の上顎の左右咬合平面の延長線をさらに延長した際、いずれの延長線も後頭骨下縁よりも下方を通過し、後頭骨に交わらないように作製することが望ましい。
本発明の口腔内装着器具の作製方法における作製対象となる口腔内装着器具としては、義歯などの歯科補綴物、オクルーザルスプリントマウスガードなどが挙げられる。例えば、作製対象が上顎義歯の場合、義歯の左右咬合平面が上顎の左右咬合平面となるので、義歯を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製する。義歯の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の中心点の位置は、側方X線セファロ写真から特定することができる。従って、当該写真から得られる情報をもとに、患者から採得した上顎印象に基づく石膏模型を利用して義歯を作製することで、上顎の左右理想咬合平面を実現することができる(図1参照:上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差がなく、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが第二頚椎歯突起の中心点を通過した状態を示すもの)。人工歯の配列は、患者の切歯乳頭と左右のハムラーノッチ(上顎切痕)の位置を特定し、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線に向かって引いた垂線における、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線との交点までの距離をAとすれば、垂線をさらにAの距離だけ延長したポイントXを中心に同心円状に左右対称に行うことが望ましい(図2参照)。ポイントXは、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線上の、第二頚椎歯突起の中心点の上方に位置するので、人工歯の配列も第二頚椎歯突起を基準に決定するのがよいということになる(なお、ポイントXがなぜ第二頚椎歯突起とこのような位置関係にあるのか本発明者らにも定かでないが、この事実は多くの被験者についての検査から確認済みである)。例えば、上顎の左右理想咬合平面を実現することができるように作製した義歯(蝋堤であってもよい)を石膏模型に装着し、模型に装着した義歯を透明プラスチック板に載置し、義歯を載置した側の反対側から見て、模型から特定される切歯乳頭と左右のハムラーノッチの位置を板上にマークすることで特定すれば、板上にポイントXの位置を特定することが可能となり、その位置が第二頚椎歯突起の中心点に該当する。従って、こうして特定された第二頚椎歯突起の中心点を中心に人工歯の配列を行えば、上顎の左右理想咬合平面と理想歯列の実現をあわせて行うことができる。このように、側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報をあわせて利用すれば、適合性に優れた口腔内装着器具を作製することができる。
作製対象が下顎義歯の場合、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように必要に応じて調整した上で、上顎の左右咬合平面に対応させて作製する。
作製対象がオクルーザルスプリントやマウスガードの場合、現状での上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係を明らかにした上で、作製対象の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように義歯と同様にして作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
(1)上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性を以下の実験を行って調べた。
歯科的異常とともに身体的異常を訴えてクリニックを訪れた患者40人(18歳〜82歳,平均年齢47歳,男性17人/女性23人)に対し、上顎の左右咬合平面に直線状の歯列矯正術用ワイヤを固定し、側方X線セファロ写真を撮影して左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、多くの患者において、左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は10mmを超えており、また、多くの患者において、左咬合平面の延長線および/または右咬合平面の延長線は、第二頚椎歯突起の中心点から上方または下方に少なくとも10mmを超えてずれていた。延長線が第二頚椎歯突起の中心点から上方にずれていた全ての患者は、延長線をさらに延長した際、延長線が後頭骨に交わっていた。
歯科的異常や身体的異常がない、少なくとも24本以上の歯を持った70歳以上の健康老人17人(70歳〜96歳,平均年齢78歳,男性12人/女性5人)に対し、上記と同様の方法にて上顎の左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、全ての老人の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は4mm以内であり、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過しており、延長線をさらに延長した際、延長線は後頭骨下縁よりも下方を通過していた。
(2)次に、患者40人の中の14人(平均年齢51歳,男性6人/女性8人,処置群)に対し、通常の歯科治療を施すとともに、上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差を10mm以内とし、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように当該平面を削除するか、口腔内装置器具として樹脂スプリントを装着することで、咬合治療を施した。ここで、樹脂スプリントは、患者の側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報から作製した。
(3)各患者に対し、施術前と施術後(歯科医師の所見と患者の感覚に基づいて咬合の安定化が図られたと目される時点を意味し、その時点は患者によってまちまちであるが、概ね施術開始から数ヵ月以降である)において、84項目にわたる愁訴事項(Fonder AC(1989). The dental distress syndrome quantified. Basal Fact 9,141-167参照)を質問し、その回答の点数化を行って施術前と施術後における点数の変化を調べた。点数は、症状がない場合を0点とし、症状度合いに応じて最高3点とした(トータル点数は最高252点で最低0点)。その結果を、患者40人の中で通常の歯科治療だけを施した者17人(平均年齢43歳,男性5人/女性12人,コントロール群)に対して同様の調査を行った結果とともに図3に示す。図3から明らかなように、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者は、点数が大きく減少して愁訴の解消が図られたが、通常の歯科治療のみを施した患者には、このような効果が見られなかった。なお、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者において、咬合治療のために上顎咬合平面の削除を行った患者と樹脂スプリントを装着した患者との間に効果の違いはなかった。
咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる口腔内装着器具を提供することができる点において、本発明は産業上の利用可能性を有する。
義歯の作製の際の上顎の左右理想咬合平面を示す図。 義歯の作製の際に人工歯の配列の基準となるポイントXの位置を示す図。 咬合治療の効果を示すグラフ。
本発明は、咬合の安定化が容易な歯科補綴物の作製方法に関する。
咬合(咬み合せ)の安定化が、全身健康の安定化やスポーツ時に起こりうる脳震盪や外傷からの身体の保護に寄与することは、従来から一般的に広く認識されているところであり、歯科医学界からは、様々な身体の不調状態、例えば、肩こり、頭痛、めまいによる歩行障害、アトピー、筋腫、パーキンソン病、悪性腫瘍などが、咬合治療によって改善したとする臨床事例が報告されているし、咬合と全身健康の関連性を示唆する基礎学術論文も見受けられる。また、近年、各種スポーツ界においては、競技中にマウスガードの装着を義務付けるといった動きが主流となりつつある。
咬合状態の変化に伴って咀嚼機能が変化するばかりか健康状態が変化することは疑いのない事実である。しかしながら、咀嚼機能の低下と身体の不調を訴える患者に咬合治療を行ってその改善を図ろうとした場合、何を指標にして咬合状態を評価し、治療を行うのかという問いかけに対する明確な答えは、今だ用意されていないのが実情である。例えば、義歯がしっくりこず、食べ物が咬みにくくて肩こりがひどいといった患者に対し、義歯を調整することでその適合度合を改善して咬合治療を行う場合でも、ほとんどの場合が、患者の感覚だけを頼りにして歯科医師が凸部分を削除したりすることで行われている。もちろん、最初から患者一人一人に対して適合性に優れた義歯を作製することができれば、このような義歯の不具合によるこれらの症状の発生も抑止することができるが、残念ながら、現状では、義歯を作製する際において、咬合基準をどのように考えるべきであるのかという点についての確固たる指針が存在しないため、義歯作製マニュアルといったものの厚生労働省からの提示もない。従って、義歯の作製は、いわば場当たり的に行われているといっても過言ではなく、また、多くの患者が義歯の不都合を義歯安定剤によって解消しようとするため、その市場は100億円規模と巨大化している。
下記の特許文献1には、カンペル氏平面(鼻翼下縁と耳珠下縁とを結ぶ線)に対する咬合平面の平行度のチェックや両面間の距離測定などを簡便に正確に行える咬合平面測定器を用い、その平行度が悪い場合に、咬合平面をカンペル氏平面と平行に保つように義歯の調整を行うことで咬合治療を行う方法が記載されている。しかしながら、この方法を採ってみても、必ずしも治療効果があるとは限らない。
特開2000−42010号公報
そこで本発明は、咬合の安定化が容易な歯科補綴物の作製方法を提供することを目的とする。
上記の点に鑑みてなされた本発明の歯科補綴物の作製方法は、請求項1記載の通り、歯科補綴物を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製した蝋堤を、患者から採得した上顎印象に基づく石膏模型に装着し、模型に装着した蝋堤を透明板に載置し、蝋堤を載置した側の反対側から見て、模型から特定される切歯乳頭と左右のハムラーノッチの位置を板上にマークし、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線に向かって引いた垂線における、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線との交点までの距離をAとすれば、垂線をさらにAの距離だけ延長したポイントを板上で特定し、板上に特定した当該ポイントを中心に同心円状に左右対称に人工歯の配列を行って作製することを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする
本発明の歯科補綴物の作製方法は、本発明者らが、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線(体軸)に対する上顎の左右咬合平面の左右差を少なくすることで左右の筋肉の動きなどを均等化して全身バランスをとることの重要性を含めた、上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性をエビデンスにより初めて明らかにし、上顎の左右咬合平面は第二頚椎歯突起を基準に決定されるのが本来あるべき姿であるというこれまでにない理論をもとに、確実性を以って咬合の安定化を図ることができる歯科補綴物を作製する方法である。従って、本発明によれば、咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる歯科補綴物を提供することができる。
本発明の歯科補綴物の作製方法は、歯科補綴物を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製した蝋堤を、患者から採得した上顎印象に基づく石膏模型に装着し、模型に装着した蝋堤を透明板に載置し、蝋堤を載置した側の反対側から見て、模型から特定される切歯乳頭と左右のハムラーノッチの位置を板上にマークし、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線に向かって引いた垂線における、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線との交点までの距離をAとすれば、垂線をさらにAの距離だけ延長したポイントを板上で特定し、板上に特定した当該ポイントを中心に同心円状に左右対称に人工歯の配列を行って作製することを特徴とするものである。第二頚椎歯突起の中心点とは、歯突起の頂点と基底部の中心点を結んだ線の中間点を意味する。歯科補綴物は、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することが望ましい。また、歯科補綴物を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することが望ましい。また、装着者の上顎の左右咬合平面の延長線をさらに延長した際、いずれの延長線も後頭骨下縁よりも下方を通過し、後頭骨に交わらないように作製することが望ましい。
本発明の歯科補綴物の作製方法における作製対象としては、義歯などが挙げられる。例えば、作製対象が上顎義歯の場合、義歯の左右咬合平面が上顎の左右咬合平面となるので、義歯を装着した装着者の上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製する。義歯の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の中心点の位置は、側方X線セファロ写真から特定することができる。従って、当該写真から得られる情報をもとに、患者から採得した上顎印象に基づく石膏模型を利用して義歯を作製することで、上顎の左右理想咬合平面を実現することができる(図1参照:上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差がなく、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが第二頚椎歯突起の中心点を通過した状態を示すもの)。人工歯の配列は、患者の切歯乳頭と左右のハムラーノッチ(上顎切痕)の位置を特定し、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線に向かって引いた垂線における、切歯乳頭から左右のハムラーノッチを結んだ直線との交点までの距離をAとすれば、垂線をさらにAの距離だけ延長したポイントXを中心に同心円状に左右対称に行うことが望ましい(図2参照)。ポイントXは、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線上の、第二頚椎歯突起の中心点の上方に位置するので、人工歯の配列も第二頚椎歯突起を基準に決定するのがよいということになる(なお、ポイントXがなぜ第二頚椎歯突起とこのような位置関係にあるのか本発明者らにも定かでないが、この事実は多くの被験者についての検査から確認済みである)。例えば、上顎の左右理想咬合平面を実現することができるように作製した義歯(蝋堤であってもよい)を石膏模型に装着し、模型に装着した義歯を透明プラスチック板に載置し、義歯を載置した側の反対側から見て、模型から特定される切歯乳頭と左右のハムラーノッチの位置を板上にマークすることで特定すれば、板上にポイントXの位置を特定することが可能となり、その位置が第二頚椎歯突起の中心点に該当する。従って、こうして特定された第二頚椎歯突起の中心点を中心に人工歯の配列を行えば、上顎の左右理想咬合平面と理想歯列の実現をあわせて行うことができる。このように、側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報をあわせて利用すれば、適合性に優れた歯科補綴物を作製することができる。
作製対象が下顎義歯の場合、上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように必要に応じて調整した上で、上顎の左右咬合平面に対応させて作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
(1)上顎の左右咬合平面と第二頚椎歯突起の位置関係と健康の関連性を以下の実験を行って調べた。
歯科的異常とともに身体的異常を訴えてクリニックを訪れた患者40人(18歳〜82歳,平均年齢47歳,男性17人/女性23人)に対し、上顎の左右咬合平面に直線状の歯列矯正術用ワイヤを固定し、側方X線セファロ写真を撮影して左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、多くの患者において、左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は10mmを超えており、また、多くの患者において、左咬合平面の延長線および/または右咬合平面の延長線は、第二頚椎歯突起の中心点から上方または下方に少なくとも10mmを超えてずれていた。延長線が第二頚椎歯突起の中心点から上方にずれていた全ての患者は、延長線をさらに延長した際、延長線が後頭骨に交わっていた。
歯科的異常や身体的異常がない、少なくとも24本以上の歯を持った70歳以上の健康老人17人(70歳〜96歳,平均年齢78歳,男性12人/女性5人)に対し、上記と同様の方法にて上顎の左右咬合平面の延長線の頚椎通過部位を調べた。その結果、全ての老人の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線の通過上下差は4mm以内であり、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過しており、延長線をさらに延長した際、延長線は後頭骨下縁よりも下方を通過していた。
(2)次に、患者40人の中の14人(平均年齢51歳,男性6人/女性8人,処置群)に対し、通常の歯科治療を施すとともに、上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差を10mm以内とし、かつ、左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように当該平面を削除するか、口腔内装置器具として樹脂スプリントを装着することで、咬合治療を施した。ここで、樹脂スプリントは、患者の側方X線セファロ写真から得られる情報と上顎印象から得られる情報から作製した。
(3)各患者に対し、施術前と施術後(歯科医師の所見と患者の感覚に基づいて咬合の安定化が図られたと目される時点を意味し、その時点は患者によってまちまちであるが、概ね施術開始から数ヵ月以降である)において、84項目にわたる愁訴事項(Fonder AC(1989). The dental distress syndrome quantified. Basal Fact 9,141-167参照)を質問し、その回答の点数化を行って施術前と施術後における点数の変化を調べた。点数は、症状がない場合を0点とし、症状度合いに応じて最高3点とした(トータル点数は最高252点で最低0点)。その結果を、患者40人の中で通常の歯科治療だけを施した者17人(平均年齢43歳,男性5人/女性12人,コントロール群)に対して同様の調査を行った結果とともに図3に示す。図3から明らかなように、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者は、点数が大きく減少して愁訴の解消が図られたが、通常の歯科治療のみを施した患者には、このような効果が見られなかった。なお、通常の歯科治療とともに咬合治療を施した患者において、咬合治療のために上顎咬合平面の削除を行った患者と樹脂スプリントを装着した患者との間に効果の違いはなかった。
咬合の安定化による全身的な健康基盤の維持を図ることができる歯科補綴物を提供することができる点において、本発明は産業上の利用可能性を有する。
義歯の作製の際の上顎の左右理想咬合平面を示す図。 義歯の作製の際に人工歯の配列の基準となるポイントXの位置を示す図。 咬合治療の効果を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 口腔内装着器具の作製方法であって、口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製することを特徴とする方法。
  2. 上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上下方向10mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 上顎の左右咬合平面の延長線のいずれもが、第二頚椎歯突起の中心点から上方3mm〜下方8mmの範囲内を通過するように作製することを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 口腔内装着器具が歯科補綴物、オクルーザルスプリント、歯列矯正具、マウスガードのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 口腔内装着器具を装着した装着者の上顎の左咬合平面の延長線と右咬合平面の延長線を、第二頚椎歯突起の中心点を通る鉛直線を通過させた際、両者の通過上下差が10mm以内となるように作製されてなることを特徴とする口腔内装着器具。
















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