JP2005093004A - 回転円板形記憶装置 - Google Patents

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    • G11B21/22Supporting the heads; Supporting the sockets for plug-in heads while the head is out of operative position

Abstract

【課題】 突然電源が遮断されたときにアクチュエータを確実に退避領域に退避させる機構を備えた回転円板形記憶装置を提供する。
【解決手段】 ボイス・コイル25を保持するコイル・サポートには、バイアス・チップ100が埋め込まれている。ヘッドがアクセス領域にあるときは、バイアス・チップはボイス・コイル・マグネット54の端部から離れており漏洩磁束の影響はない。ヘッドが退避領域にあるときは、バイアス・チップはボイス・コイル・マグネットの漏洩磁束の影響を受けて吸引され、アクチュエータを退避方向に回動させるバイアス・トルクが付与される。よって、バイアス・トルクを電源遮断後にアクチュエータを退避させるエネルギーとして利用することができる。
【選択図】 図5



Description

本発明は、磁気ディスク装置、光磁気ディスク装置等の回転円板形記憶装置に関し、さらに詳細には、アクチュエータの駆動機構に対して補助的な力を付与する機構に関する。
磁気ディスク装置は、回転する磁気ディスクの記録面上をアクチュエータ・アセンブリに支持されたヘッド/スライダが僅かの間隔を保って浮上しながら磁気ディスクの概略半径方向に回動してデータの読み書きを行う。ヘッド/スライダを支持するロード・ビームはヘッド/スライダを磁気ディスクの記録面に押さえる方向の圧力である押付荷重を生成し、この押付荷重とスライダの空気軸受面が磁気ディスクの表面に発生した空気流から受ける浮力とがバランスして空気軸受面と記録面との間の所定の間隙が維持される。
磁気ディスクが所定の回転数で回転する間は、表面に発生した空気流の作用でスライダと磁気ディスクの記録面が接触することはほとんどない。しかし、回転の停止した磁気ディスクの記録面上にヘッド/スライダが位置付けられると空気流の作用が消失しているためヘッド/スライダは記録面上に着陸する。この場合、記録面に塗布してある潤滑剤、記録面と空気軸受面との間の平滑面同士の吸着作用、及びロード・ビームの押付荷重等により、ヘッド/スライダは磁気ディスクの記録面に吸着した状態になる。ヘッド/スライダが吸着した状態で磁気ディスクを保持するスピンドル・モータを回転させると、スティクションという現象が発生してスライダや磁気ディスクの表面に傷が発生したり、モータの起動ができないことがある。
従って、ロード・アンロード方式の磁気ディスク装置では、磁気ディスクの回転を停止する際、ヘッド/スライダを磁気ディスクの記録面の外に設けられたランプという退避機構が提供する退避領域に退避させておく。ヘッド/スライダが磁気ディスクの記録面にアクセスしている間に突然電源が遮断された場合は、アクチュエータ・アセンブリを退避領域まで駆動するエネルギーがないので、惰性で回転している磁気ディスクに結合されたスピンドル・モータの逆起電力や、電子回路のコンデンサに蓄えておいた電荷を利用してボイス・コイル・モータ(以下、VCMという。)を駆動し、磁気ディスクの回転が停止する前にアクチュエータ・アセンブリを退避位置まで移動させてスティクションの防止を図っている。
磁気ディスク装置が小型化されていくに従い、スペースの制約からボイス・コイルの巻数や、ヨーク・ギャップの磁界強度に影響するボイス・コイル・マグネットの厚さ等が制限され、VCMから大きなトルクを得ることが容易ではない傾向になりつつある。さらにスピンドル・モータの逆起電力の大きさや、コンデンサに蓄積する電荷の量を確保するにも制約が多い。従って、小型の磁気ディスク装置では、電源遮断時にヘッド/スライダを安全にランプに退避させるためのエネルギーを確保し、アクチュエータ・アセンブリを回動させるのに必要なトルクを得ることが大型の磁気ディスク装置に比べて困難であり、退避失敗によるスティクション発生の機会が増大している。
また、アクチュエータ・アセンブリがランプのホーム・ポジションに退避した後に、磁気ディスク装置に対して外部から軽い衝撃や振動が加えられたとき、アクチュエータ・アセンブリをホーム・ポジションに保持する機構がない場合には、アクチュエータ・アセンブリが徐々に磁気ディスクの記録面側に移動し、ついにはヘッド/スライダが記録面に飛び出すことがある。ホーム・ポジションに保持する機構としては、クラッシュ・ストップにマグネットを埋め込む方法があるが、マグネットの強さはボイス・コイル・モータのトルクで離脱できる範囲以内に制限される。
したがって、クラッシュ・ストップにマグネットを埋め込んでもアクチュエータ・アセンブリを確実にホーム・ポジションに保持することができない場合があり、また、クラッシュ・ストップの寸法も拡大して小型化が求められる磁気ディスク装置では好ましくない。従来、ボイス・コイル・マグネットとコイル・サポートに埋め込まれた金属チップとの間に吸引力を生じさせ、アクチュエータ・アセンブリをホーム・ポジションに保持する技術が存在していたが、前述のとおり吸引力には限界があり、ホーム・ポジションからアクチュエータ・アセンブリが移動してしまうことがあった。また、電源遮断時の退避エネルギーとして利用することもできなかった。
そこで本発明の目的は、動作中に突然電源が遮断されたときにもアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリ(以下、AHSAという。)を、確実に退避領域に退避させる機能を備えた回転円板形記憶装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、退避領域においてAHSAをホーム・ポジションに確実に保持する機能を備えた回転円板形記憶装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、そのような機能を実行する退避機構を、スペースを消費することのない簡素な構造で実現する回転円板形記憶装置を提供することにある。
本発明の原理は、ボイス・コイル磁気回路の漏洩磁束とAHSAに設けられたバイアス・チップとの間に働く磁気的吸引力により、AHSAに対して、アクセス領域から退避領域に向かう方向のトルクであるバイアス・トルクを発生させ、電源遮断時にAHSAを退避領域に退避させる力として利用する点にある。バイアス・トルクは、AHSAを退避領域に退避させる力として利用できるだけでなく退避領域に維持しておくためのトルクとしても利用できる。漏洩磁束を生成するボイス・コイル磁気回路は、VCMの必須の構成要素であり本発明のために特別に用意するものではなく、また、バイアス・チップはAHSAの寸法を拡大することなく取り付けることができるので、とくに余分なスペースを消費することもない。
本発明の第1の態様は、回転円板形記録媒体と、前記回転形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダと、該ヘッド/スライダを前記回転円板形記録媒体上のアクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と前記退避領域から前記アクセス領域に向かう第2の方向とに回動させるボイス・コイルと、該ボイス・コイルを保持するコイル・サポートとからなるアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられて前記第1の方向と前記第2の方向に回動するバイアス・チップと、前記バイアス・チップの回動範囲の途中位置の近辺において前記バイアス・チップの回動軌跡に接近する方向に突き出た突出部として形成されたバイアス端部が設けられたヨーク・ギャップ空間を有するボイス・コイル磁気回路と
を有する回転円板形記憶装置を提供する。
ヨーク・ギャップ空間の外側には漏洩磁束が存在しており、その磁界は水平方向のベクトル成分を有する。ヨーク・ギャップ空間のバイアス端部で形成される漏洩磁束はバイアス・チップに影響を与え吸引力が発生する。漏洩磁束は、バイアス・チップが金属チップで形成されていればこれを磁化して吸引力を生成し、バイアス・チップが永久磁石であればその磁極との間に吸引力を生成する。吸引力はAHSAをアクセス領域から退避領域に回動させるバイアス・トルクとして利用することができる。非バイアス端部はバイアス・チップに対して実質的に漏洩磁束の影響を与えない。
バイアス端部及び非バイアス端部は、ヨーク・ギャップ空間の端部でもあり、ボイス・コイル磁気回路の構成により、ボイス・コイル・マグネットの端部に相当したり、ボイス・コイル・ヨークの端部に相当したりする。バイアス端部を、バイアス・チップの回動軌跡の途中位置の近辺にバイアス・チップの回動軌跡寄りに突き出るように設けると、AHSAを回動させるVCMの駆動力の補助として利用できる。また、バイアス端部と非バイアス端部の境界に相当する遷移部は、バイアス・チップの回動範囲の途中位置の近辺に設けられている。
バイアス・チップの回動範囲は、AHSAの回動範囲に等しくアウター・クラッシュ・ストップとインナー・クラッシュ・ストップとで制限される範囲であり、回動範囲の途中位置とは、アウター・クラッシュ・ストップの近辺や、インナー・クラッシュ・ストップの近辺又はホーム・ポジションの近辺を除く意味である。
バイアス端部を、遷移部から退避領域を回動するバイアス・チップの回動軌跡に近接してほぼ沿うようにバイアス・チップのホーム・ポジションに近接する位置まで設けると、バイアス・チップの回動範囲全体のうち、遷移部の近くからホーム・ポジションまで第1の方向に向かってバイアス・チップにバイアス・トルクを与え続ける。ここに、バイアス・チップが退避領域を回動することは、AHSAが退避領域を回動することと同じ意味であり、バイアス・チップのホーム・ポジションとは、AHSAがホーム・ポジションに位置付けられたときのバイアス・チップの位置を意味し、その他の場合も同様に読み替える。
遷移部が、アクセス領域と退避領域の境界に位置付けられた前記バイアス・チップの近辺に設けられる場合には、バイアス・トルクはバイアス・チップが退避領域を回動するときだけ発生し、アクセス領域では余分なトルクを発生してVCMの動作及びサーボ制御機構に影響を与えることはない。また、バイアス・チップが退避領域を回動する間バイアス・トルクが働き続けるので、AHSAが一旦ホーム・ポジションに位置付けられ、周知のマグネット機構などでホーム・ポジションに保持された場合に、振動などでホーム・ポジションから退避領域内で離れてしまったとしても、AHSAが退避領域に存在する限りバイアス・トルクが働くので、さらに外部から軽い衝撃などが続いても、AHSAがアクセス領域まで移動することを抑制することができる。
また、バイアス・トルクの大きさや、AHSAの押付荷重を適宜選択すれば、一旦ホーム・ポジションから移動したAHSAをホーム・ポジションまで引き戻すことができる。AHSAが退避領域内でホーム・ポジションから移動してしまうと、大きな衝撃に対してAHSAを退避領域に保持する周知の慣性ラッチ機構が働かない場合があり、AHSAをホーム・ポジションに保持しておくことは重要である。
非バイアス端部は、そこに存在する漏洩磁束がバイアス・チップに影響せず実質的にトルクを生じさせない。このような構成は、非バイアス端部とバイアス・チップとの距離を離すか、バイアス・チップをヨーク・ギャップ空間の中を通過させるとよい。バイアス・チップの回動軌跡がヨーク・ギャップ空間の端部の外側に十分な距離だけ離れて設けられているときは、ヨーク・ギャップ空間の磁力線の影響は極僅かであり、バイアス・チップに実質的なバイアス・トルクは発生しない。
バイアス・チップの回動軌跡は、ヨーク・ギャップ空間の後端側の外側又は先端側の外側のいずれに設けてもよい。ヨーク・ギャップ空間にバイアス・チップの回動軌跡に近づくように突き出た突出部を部分的に設けることにより、突出部近辺に位置付けられたバイアス・チップに対して強いバイアス・トルクを付与することができる。必要な位置に突出部を形成することにより、バイアス・トルクのトルク特性を制御することができ、ロード・アンロード方式の装置ではランプに退避する位置で強いトルクを発生させることも可能である。また、バイアス・チップの回動軌跡とバイアス端部とが漸次接近する構成では、バイアス・トルクを漸増させることができる。
バイアス・チップは強磁性体材料で形成してもよく、また永久磁石で形成してもよい。永久磁石を利用すれば、漏洩磁束が弱くても強いバイアス・トルクを得ることができる。また、ボイス・コイル磁気回路は、ボイス・コイル・マグネットを複数設けたり、ボイス・コイル・ヨークの裏面にボイス・コイル・マグネットを配置したりして構成することができる。
本発明の第2の態様では、回転円板形記録媒体と、前記回転円板形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダを搭載し、アクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と退避領域からアクセス領域に向かう第2の方向にピボット軸を中心に回動可能なアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリを駆動するボイス・コイル・モータの磁界を形成するボイス・コイル磁気回路と、前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられ、前記ボイス・コイル磁気回路の漏洩磁束の影響を受けて吸引され、アクセス領域と退避領域の境界近辺に位置付けられたアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに第1の方向のバイアス・トルクを与えるバイアス・チップとを有する回転円板形記憶装置を提供する。
本発明の第3の態様は、回転円板形記録媒体と、コイル・サポートと該コイル・サポートに保持されたボイス・コイルと前記回転円板形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダとを備え、アクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と退避領域からアクセス領域に向かう第2の方向に回動可能なアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられて第1の方向と第2の方向に回動するバイアス・チップと、前記バイアス・チップの回動軌跡にほぼ沿って形成された端部を備えるヨーク・ギャップを有し、該ヨーク・ギャップの端部が退避領域を回動する前記バイアス・チップに第1の方向のバイアス・トルクを与え続けるボイス・コイル磁気回路とを有する回転円板形記憶装置を提供する。
本発明により、動作中に突然電源が遮断されたときにもアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリを、確実に退避領域に退避させる機能を備えた回転円板形記憶装置を提供することができた。さらに本発明により、退避領域においてAHSAをホーム・ポジションに確実に保持する機能を備えた回転円板形記憶装置を提供することができた。さらに、本発明により、そのような機能を実行する退避機構を、スペースを消費することのない簡素な構造で実現する回転円板形記憶装置を提供することができた。
図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態に係る磁気ディスク装置を説明する。図1は、磁気ディスク装置10の概略平面図であり、図2は、ランプ21の側面図及び斜視図であり、図3は磁気ディスク装置10の分解斜視図である。磁気ディスク装置10は、外部がケーシング本体12とケーシング本体に取り付けられるケーシング蓋12b(図3参照。)で覆われている。ケーシング本体12は、主として収納部品に取付面を提供するベース12cと、ケーシング蓋12bが取り付けられる側壁とで構成される。ケーシング本体12は金属製の平板をプレス加工して成形している。
円板状の磁気ディスク11は、表面に磁性層が形成された記録面を両面に備え、下部に設けられたスピンドル・モータに結合されて回転するハブに取り付けられてスピンドル軸23の周りを回転する。本実施の形態に係る磁気ディスク装置10は、退避方式として以下に述べるようにロード・アンロード方式を採用しているが、コンタクト・スタート・ストップ(以下、CSSという。)方式を採用してもよい。CSS方式を採用する磁気ディスク装置においては、記録面に加えて磁気ディスク11の一部に退避面を備え、スライダに対して退避領域を提供する。磁気ディスク11は1枚又は複数枚のスタック構成にすることができるが本実施の形態では1枚の磁気ディスクで構成されている。磁気ディスク11には、最も内側に位置する最内周トラックと最も外側に位置する最外周トラックが定義されている。
AHSA15は、ヘッド・サスペンション・アセンブリ(HSA)20と、アクチュエータ・アーム18と、コイル・サポート50と、コイル・サポートに保持されるボイス・コイル25とを含んで構成され、ピボット軸17の周りをA1方向とB1方向に回動可能なようにピボット・カートリッジでベースに取り付けられる。アクチュエータ・アーム18とコイル・サポート50とピボット・カートリッジの取付部分は、アルミニウム・ダイカスト又は合成樹脂で一体に成型されているが、HSA20又はヘッド・ジンバル・アセンブリをピボット・カートリッジに直接取り付けるいわゆる周知の積層型サスペンション構造を採用してもよい。
コイル・サポート50には、本発明に係るバイアス・トルクを得るために、鉄などの強磁性材料で形成され、バイアス・チップ100を構成する金属チップが埋め込まれている。バイアス・チップ100は、永久磁石片(マグネット・チップ)を採用してもよい。マグネット・チップを採用することで、金属チップよりボイス・コイル・マグネットに対する強い吸引力を得ることができる。バイアス・チップ100は円柱型に形成され、コイル・サポートを上下方向に貫通するように形成された開口に挿入されて表面が露出している。よって、バイアス・チップ100は、コール・サポート50が後述するヨーク・ギャップを回動する障害になることはなく、また、ボイス・コイル・マグネットの磁界で表面が磁化されるのに好適な構成になっている。さらに、バイアス・チップ100は、磁気ディスク装置10のスペースを余分に消費することはない。
AHSA15は、動作中に外部から振動や衝撃を受けたときサーボ制御が影響を受けにくいように、重心がピボット軸17上にくるように構成されている。HSA20はアクチュエータ・アーム18に取り付けられるロード・ビームとロード・ビームに取り付けられるフレキシャとを含んで構成され、ロード・ビームの先端部にはマージ・リップ19又はタブが設けられている。フレキシャにはヘッド/スライダ13が取り付けられている。
ヘッド/スライダ13は、磁気ディスク11に対してデータの読み取り及び書き込み又はそのいずれか一方を行うヘッドと、ヘッドを搭載し回転する磁気ディスク表面の気流から浮力を受けて、記録面上に僅かの間隙を保って浮上するスライダとで構成される。スライダは、空気軸受面が磁気ディスク11の記録面に対向するようにフレキシャに取り付けられている。ロード・ビームはヘッド/スライダ13を磁気ディスク11の記録面に押しつける方向の圧力(押付荷重)を生成する。磁気ディスクの記録面には、動作中にヘッド/スライダ13が接触することがあるため、損傷防止用の潤滑剤が塗布されている。
AHSA15の後端部には、ボイス・コイル25を保持するコイル・サポート50が設けられている。さらにコイル・サポート50を覆うように主ヨーク27としての機能を発揮するボイス・コイル・ヨークがベース12cから支持されて配置されている。主ヨーク27、ボイス・コイル・マグネット54、補助ヨーク52、及びケーシングのベース12cは、ボイス・コイル磁気回路を構成し、ボイス・コイル磁気回路とボイス・コイル25がVCMを構成する。主ヨーク27とボイス・コイル・マグネット54が形成するヨーク・ギャップの磁界の中にボイス・コイル25を配置して電流を流し、電流の方向を制御すると、AHSA15をA1方向又はB1方向に回動させることができる。
ボイス・コイル磁気回路については図3を参照しながら後で詳細に説明する。ここで、AHSA15及びVCMに関して、ヘッド/スライダ側を先端部側又は先端部といい、その反対側を後端部側又は後端部という。主ヨーク27と補助ヨーク52との間には、それぞれゴム等の弾性体を含んで形成されたアウター・クラッシュ・ストップ31とインナー・クラッシュ・ストップ29がケーシングのベースから立設するように取り付けられている。
アウター・クラッシュ・ストップ31は、AHSA15のヘッド/スライダ13が磁気ディスクの外側に回動する方向を制限し、インナー・クラッシュ・ストップ29は、ヘッド/スライダ13がスピンドル軸23に向かって回動する方向を制限する。また、アウター・クラッシュ・ストップ31を構成するには、剛性のロッドをベースから立設し、コイル・サポート50の当接部分に弾性体を設けてもよく、特開2000−243044号公報の図6に参照番号46、47で示されているように、コイル・サポートの一部が弾性機能を果たすようにしてもよい。また、ボイス・コイル・ヨークの脚部に弾性部材を取り付ける構造を採用してもよい。磁気ディスク装置10には、さらに通信及び動作を制御する回路素子65とヘッド及びボイス・コイル25と回路素子を接続するフレキシブル・ケーブル63が設けられている。
磁気ディスク11の外側近辺にはランプ21が取り付けられており、磁気ディスク装置10におけるロード・アンロード方式を実現する。本実施の形態では、磁気ディスク11が二つの記録面を備えているため、図2(A)では、二つのマージ・リップ19が示されており、図2(B)では、説明の簡略のため一つのAHSAの一部であるHSA20が示されている。ランプ21にはスリット21gが設けられ、磁気ディスク11の外周部分が回転可能に入り込んでいる。ランプ21は、磁気ディスク11の回転が所定の回転数以下に下がる前に、ヘッド/スライダを退避させる退避領域を提供する。ランプ21は、磁気ディスク11に近い側から、斜面21a、平坦面21b、斜面21c、平坦面21d、斜面21e、及び斜面21fを有する。斜面21e、21fは、ランプ21をケーシングのベース12cに取り付けた後に、マージ・リップ19をランプの後部から挿入して、AHSA15をベースに組み込むために設けられている。
図1で、AHSA15をアンロード、すなわちAHSA15を退避領域に退避させるために磁気ディスク11の記録面からA1方向に回動させていくと、マージ・リップ19が斜面21aの先端に接触して、浮上していたヘッド/スライダ13が僅かに持ち上がる。さらにAHSA15を回動していくとヘッド/スライダ13は、徐々に磁気ディスクの記録面から離れる方向に移動しながら平坦面21bとの境界に到達する。HSA20のロード・ビームは、ヘッド/スライダ13を記録面に押付荷重を与えるように構成されており、マージ・リップ19が斜面21aを摺動して平坦面21bとの境界に到達するまでの間、HSA20のランプの各面に対する押付荷重は徐々に強まり、A1方向への回動を妨げる摩擦力が増大していく。
VCMの駆動力は、この摩擦力にうち勝ってAHSA15をさらにA1方向に回動させることができる。マージ・リップ19が平坦面21b、斜面21cを経由して平坦面21dに到達してからさらにA1方向に回動していくと、マージ・リップ19は平坦面21d上の所定の位置で停止するようにVCMが制御される。本実施の形態では、AHSA15がアウター・クラッシュ・ストップに当接した位置でVCMが停止するように構成されている。本実施の形態に限らず、AHSA15がアウター・クラッシュ・ストップに当接しないで、平坦面21dに停止する構成を採用することもできる。暴走や電源遮断のような異常時の動作を除いた、このような通常時の動作におけるアンロードによりAHSA15が停止する位置をAHSAのホーム・ポジションという。
図2(A)において、ランプ21の平坦面21dは磁気ディスク11の記録面から垂直方向に離れた位置にあるため、平坦面21dにマージ・リップ19が係合してヘッド/スライダ13が退避しているとき、マージ・リップ19はロード・ビームにより平坦面21dに押し付けられ、AHSA15の回動動作を妨げる摩擦力を生成している。斜面21c、平坦面21b、及び斜面21aによってもたらされるマージ・リップ19に働く摩擦力は、マージ・リップ19が平坦面21d上に係合しているときに、磁気ディスク装置10に外部から軽い衝撃や振動が加えられてもAHSA15がB1方向に移動するのを妨げる働きをする。
従って、ホーム・ポジションにおかれたAHSA15は、ランプの各面の摩擦力により、外部から弱い衝撃や振動が加えられても、ホーム・ポジションに留まるか、または、ランプの平坦面21dないし斜面21aの範囲に留まることができる。しかし、VCMの駆動力は、続いてAHSA15をB1方向に回動させるロード時にマージ・リップ19に働く摩擦力にうち勝つ必要があるので、摩擦力をそれほど強く設定することができない。
よって、AHSA15のマージ・リップ19がランプに退避している間に磁気ディスク装置10に外部から強い衝撃が加えられたときや、動作中の磁気ディスク装置10が制御不能になって暴走したりしたときは、コイル・サポート50が勢いよくアウター・クラッシュ・ストップ31に衝突し、その反動でヘッド/スライダがB1方向に回動して停止している磁気ディスク11の記録面に着陸する可能性がある。また、衝撃の方向によっては、アウター・クラッシュ・ストップ31に衝突しないでヘッド/スライダ13が直接B1方向に回動して磁気ディスク11の記録面に飛び出すことがある。
ところで磁気ディスク装置10は、ヘッド/スライダ13が磁気ディスク11にアクセスしている間に突然電源が遮断されたとき、スピンドル・モータが停止する前にヘッド/スライダ13をランプ21に退避させるために、スピンドル・モータの逆起電力又はコンデンサに蓄積しておいた電荷によりコイル・サポート50がアウター・クラッシュ・ストップ31に衝突するまでAHSA15をA1方向に回動させる構成になっている。この場合、AHSA15がマージ・リップ19をランプ21の平坦面21dのホーム・ポジションに係合するように退避するためには、AHSA15を回動させるエネルギーに加えてランプ21の斜面21a、平坦面21b、斜面21c、平坦面21dの摩擦力にうち勝つエネルギーが必要である。
図3において、ケーシング蓋12bは、ケーシング本体12の側壁に取り付けられ内部に清浄な密閉空間を形成する。ケーシング蓋12bの下部には、主ヨーク27が、ケーシング本体12から取り外された状態で示されている。従って、ケーシング本体12側には、コイル・サポート50、コイル・サポートに保持されたボイス・コイル25、ボイス・コイル・マグネット54及び補助ヨーク52が露出してみえる。主ヨーク27には、3つのヨーク脚27a〜27cが主ヨークの折り曲げ加工により形成されている。
主ヨーク27及び補助ヨーク52は、強磁性材料である一般冷延鋼板(SPCC)で形成されている。ケーシング本体12は強磁性材料で形成されているので、VCMの磁気回路の一部になることができる。ケーシング本体12のベース12cには平板状に形成された補助ヨーク52が隣接して配置され接着剤で固定されている。
接着剤はスリーボンド社から販売され、製品番号2087Fで入手することができる。補助ヨーク52の表面には、永久磁石で構成されたボイス・コイル・マグネット54が配置され接着剤で固定されている。接着剤は、ロックタイト社から製品名称LOCTITE366として入手できる。ボイス・コイル・マグネット54は、空間に接する表面にN極とS極の二つの磁極を備えて一体に形成され、両磁極は遷移領域で区分されている。ボイス・コイル・マグネット54の補助ヨーク52に接する裏面には、それぞれ表面とは逆極性の磁極が形成されている。
主ヨーク27は、ボイス・コイル・マグネット54の表面に対向する対向面を備えている。主ヨーク27の対向面とボイス・コイル・マグネット54の表面との間には、ヨーク・ギャップが形成される。主ヨーク27のヨーク脚27a〜27cは、組み立てられたときに補助ヨーク52の側部に係合する。ヨーク脚27〜27cは、補助ヨーク52の側部に係合するように寸法が厳密に管理されて製作されている。その結果、組み立て工程において最初に補助ヨーク52をベース12cの所定の位置に固定しておくと、次に主ヨーク27を組み込むときには、ヨーク脚27a〜27cを補助ヨーク52の側部に嵌め込むだけで、ベース12cに対する正確な位置決めを実現することができる。
主ヨーク27の位置決めのために、従来はヨーク脚をベース12cにネジ止めしていたが、ベースを貫通したネジ穴をシールするための副次的な工程を必要としていた。本実施の形態では、ヨーク脚を使って主ヨークを補助ヨークの係合部に対して嵌め込むだけでベース上での正確な位置決めをすることができる。ヨーク脚27a〜27cは、それぞれ補助ヨーク52の側部に磁気的に結合されると共に、ベース12cにも磁気的に結合される。ヨーク脚27a〜27cは、補助ヨーク52の上に取り付けて補助ヨーク52とだけ磁気的に直接結合させてもよいが、ベース12cの上に取り付けることでヨーク構造の高さ方向の公差を満たす上で有利である。
すなわち、ベース12cと主ヨーク27のケーシング蓋側の面までの高さ及びボイス・コイル・マグネット54に対する対向面までの高さは、ケーシング蓋やコイル・サポート50との干渉を避けるため厳密に管理する必要があるが、補助ヨーク52の上にヨーク脚27a〜27cを載せると補助ヨーク52の加工誤差が重畳されてしまうので、直接ベース12cの上に設けることが望ましい。
主ヨーク27は補助ヨーク52と同一の強磁性材料で形成されているが、磁束を通過させるのに適した透磁率を備える材料を使用すれば、両者の材質を異なるものの中から適宜選定することができる。本実施の形態において、ベース12cの厚さは0.4mm、補助ヨーク52の厚さは0.3mm、ボイス・コイル・マグネット54の厚さは0.8mm、主ヨーク27の厚さは0.45mm、及びヨーク・ギャップの間隔は0.8mmに選定されている。
ヨーク・ギャップにはボイス・コイル・マグネット54によって上下に2方向の磁界が形成されている。ボイス・コイル25はヨーク・ギャップ中に水平方向に自由に移動できるように配置されている。ボイス・コイル25に電流が流れるとそれぞれの方向の磁界からボイス・コイルの各辺が受ける力が合成され、AHSA15はピボット軸17を中心に回動する。
ボイス・コイル25に流れる電流の方向及び大きさを周知のサーボ制御技術を用いて変化させることでAHSA15はヘッドを磁気ディスク11の所定のトラック位置に位置付けることができる。VCMがAHSA15に与えるトルクを大きくするには、ヨーク・ギャップを通る磁束の大きさを大きくすること、ボイス・コイル25を流れる電流を大きくすること、及びボイス・コイルの巻数を多くする方法がある。
ヨーク・ギャップの磁束を大きくする一つの方法は、ボイス・コイル・マグネット54を大型化することであるが、スペースの制約を受けるのでこれには限界がある。他の方法は、ヨーク・ギャップを通過する磁束の通路となる磁気回路全体の磁気抵抗を小さくすることである。磁気抵抗は、ヨーク・ギャップとヨークで発生する。ヨーク・ギャップの中には、ボイス・コイルが配置されなければならないので縮小化が制限される。ヨークの磁気抵抗は、ヨーク材の透磁率と断面積で決まる。
本実施の形態においてヨークは、主ヨーク27、ヨーク脚27a〜27c、補助ヨーク52、及びベース12cで構成される。ベース12cは、透磁率の小さい材料で形成されていたり、断面積が足りないような薄い材料で形成されていたりする場合には十分に磁束を通過させることができず、単独ではボイス・コイル磁気回路の構成に適さない。そこで本実施の形態では、補助ヨーク52がベース12cと共に磁束の通路となる磁気回路を提供し磁気抵抗を低減している。
ボイス・コイル・マグネット54のN極からヨーク・ギャップに放出された磁束は、主ヨーク27の対向面を貫通して内部に入り、ヨーク脚27a〜27cに分流する。ケーシング蓋12bは非磁性材料で形成されているため、ほとんど磁束は通過しない。ケーシング蓋は、磁束の通路にならなくても主ヨークで十分に磁気回路を構成できる。よって、主ヨーク27とケーシング蓋12bとは、磁気的に結合されている必要がないが、ケーシング蓋の材料を変更して磁気回路の一部として構成することもできる。それぞれのヨーク脚を通過する磁束の一部は補助ヨーク52の側面を通じて補助ヨーク内部に流入しボイス・コイル・マグネット54のS極に戻る。残りの磁束はヨーク脚の底部からベース12cの内部に流入し、補助ヨークを通過してボイス・コイル・マグネット54のS極に戻る。ヨーク・ギャップからボイス・コイル・マグネットのS極に戻る磁束はN極からヨーク・ギャップに放出された磁束とは逆方向の経路でN極まで戻る。
本実施の形態に係るヨーク構造では、従来のヨーク構造で採用されていた下部に配置される専用のヨークを取り去り、補助ヨークとケーシング本体とを磁気回路の一部に組み込んだことで、専用の下部ヨークより薄い補助ヨークを採用することができ、ヨーク構造全体の高さを低くすることができる。
本発明の思想において、補助ヨーク52はケーシング本体12に対して磁気的に結合された状態で配置されていればよいので、ベース12cに隣接させて接着剤以外の方法、例えばネジ、嵌め込み構造などで固定してもよい。また、主ヨーク27がベース12cに対してネジ止め構造などで固定され、主ヨークの位置を基準にしてヨーク脚27a〜27cと補助ヨーク52の側部とで補助ヨークの位置を画定できるならば、補助ヨーク52をベース12cに固定しないでもよい。
補助ヨークに関して重要な点は、ベース12cに磁気的に結合されてボイス・コイル・マグネット54で生成された磁束が通り易い磁気回路を形成することにある。そのために補助ヨーク52は、磁気飽和をきたさないように断面積を所定値以上にすることと、補助ヨーク54とベース12cとの磁気的結合を十分に行うことである。磁気的結合を強化するには、補助ヨーク52とベース12cとの接合面にエア・ギャップを形成しないようにすることであり、両者がそれぞれ所定の面積以上相互に平滑な面で接触できるように加工しておくことが望ましい。本発明の思想においては、補助ヨークを使用しないで単独で磁気回路を構成することができる主ヨークだけで構成してもよい。また、ボイス・コイル・マグネットを一方のヨーク面にだけでなく他方の面にも取り付けてもよい。この場合、ヨーク・ギャップの磁界が強化され、VCMは大きなトルクを発生することができる。
図4は、図3を参照して説明したVCM機構の側面図で、コイル・サポート50を省略している。平坦な面を備える主ヨーク27の下部には、平板状のボイス・コイル・マグネット54との間にヨーク・ギャップが形成されている。ヨーク・ギャップにはボイス・コイル・マグネット54により磁界が形成され、内部にバイアス・チップ100とボイス・コイル25とがほぼ同じ高さで配置されている。バイアス・チップ100とボイス・コイル25は図示しないコイル・サポート50に保持されている。ボイス・コイル・マグネット54の下には補助ヨーク52が隣接して配置されており、補助ヨーク52は、ケーシングのベース12cに隣接している。
図5は、AHSA15(図1、図3参照)の回動範囲を説明するための図である。図5では、ボイス・コイル・マグネット54とバイアス・チップ100の位置が重要なので実線で示し、ボイス・コイル25と主ヨーク27はそれぞれ点線及び2点鎖線で示す。中心線152、154、及び156は、図1又は図3においてヘッド/スライダ13が特定の位置に位置付けられている状態におけるAHSA15の中心線で、ピボット軸17とヘッド/スライダ13の中心を通っている。
基準線150は、ケーシング本体12の長い方の側壁に平行で、ピボット軸17の中心を通過する線である。基準線150から約40度時計方向に回転した位置にある中心線152は、AHSA15がインナー・クラッシュ・ストップ29に当接する位置で、ヘッド/スライダ13は磁気ディスク11の最も内側に位置付けられ、AHSA15の回動範囲のうち一方の限界位置に相当する。図示されたボイス・コイル25a及びバイアス・チップ100aは、そのときのそれぞれの位置を示す。
基準線150から約60度時計方向に回転した位置にある中心線154は、図1及び図2に示したマージ・リップ19がランプ21の斜面21aの先端に接触する位置である。中心線152と中心線154で画定される回動範囲の大部分がヘッド/スライダ13が磁気ディスク11の記録面にアクセスするためにAHSA15が回動する範囲である。中心線154の位置に相当するボイス・コイル及びバイアス・チップは図の錯綜を避けるため記載していない。
基準線150から約80度時計方向に回転した位置にある中心線156は、AHSA15がアウター・クラッシュ・ストップ31に当接する位置で、AHSA15の回動範囲のうち他方の限界位置に相当する。図示されたボイス・コイル25i及びバイアス・チップ100iは、そのときのそれぞれの位置を示す。中心線154と中心線156との間では、AHSA15のマージ・リップ19が、ランプ21のいずれかの面に係合している。
ボイス・コイル・マグネット54と主ヨーク27とはほぼ平行に対向するように配置されており、ヨーク・ギャップの中はボイス・コイル・マグネット又は主ヨークに垂直に出入りする磁束が通過しており、水平方向の成分は存在しない。しかし、ボイス・コイル・マグネット54の平面的な外延を定める端部、すなわち、図5で実線で示されたボイス・コイル・マグネット54の平面的な外延の外側では一部の磁束が垂直に出入りせず漏洩磁束が発生している。
AHSA15が、中心線152の位置にあるときのバイアス・チップ100aは、ボイス・コイル・マグネット54の端部から平面的に後端部側の外側に離れており、ボイス・コイル・マグネット54の端部に発生する漏洩磁束の影響を受けることはほとんどない。よって、バイアス・チップ100aとボイス・コイル・マグネット54との間には実質的に磁気的な吸引力が働かない。
AHSA15が、中心線156の位置にあるときは、バイアス・チップ100iは、図5に示すようにボイス・コイル・マグネット54の端部に平面的に重なっているか、又は平面的に接近しており、ボイス・コイル・マグネット54による漏洩磁束の影響を受け、バイアス・チップ100iは磁化されてボイス・コイル・マグネット54との間に吸引力が働いて、バイアス・トルクが発生する。この状態を図6を参照して説明する。
図6において、力F1は、ボイス・コイル・マグネット54と主ヨーク27の間のヨーク・ギャップの端部で発生する漏洩磁束により、バイアス・チップ100iに働く吸引力を示し、力F2は、力F1に対してピボット軸17から与えられる反力を示す。よって、力F1と力F2とを合成した力Ftが、バイアス・チップ100iに働くことになる。力Ftは、バイアス・チップ100iを支えるコイル・サポート25に対してAHSA15をA1方向に回動させるトルクに相当し、これをバイアス・トルクFtという。
図6を参照すると明らかなように、バイアス・チップ100iにバイアス・トルクFt与えるには、所定の大きさの吸引力F1を生ずるだけの漏洩磁束が存在する位置にバイアス・チップを配置する必要がある。漏洩磁束が存在する位置は、ボイス・コイル・マグネット54の端部からの距離と、漏洩磁束の大きさで定まる。
さらに、吸引力F1がA1方向に作用するバイアス・トルクFtを生成するには、吸引力F1がバイアス・チップ100iとピボット軸17の中心とを結ぶ線より、A1方向側を向いている必要がある。このような構成は、バイアス・チップ100iの位置に対するボイス・コイル・マグネット54の端部の形状と配置を選定することで実現できることは当業者に明らかであろう。
図7は、図6において、力F1の方向を含みボイス・コイル・マグネット54に垂直な面で切断したときの主ヨーク27、バイアス・チップ100i、及びボイス・コイル・マグネット54の側面図である。図7は、ボイス・コイル・マグネット54と主ヨーク27とによりヨーク・ギャップ106に生じている磁束と、バイアス・チップ100iとの位置関係を示している。主ヨーク27とボイス・コイル・マグネット54の対向面の大きさを比較すると、図7の断面においては主ヨーク27の方が大きくなっている状態が示されている。
ボイス・コイル・マグネット54は平面的な外延を有しており、図7の断面における外延となる端部を54a、54bで示す。ヨーク・ギャップ106の磁力線は、ボイス・コイル・マグネット54の端部54a、54bより平面的に内部に入り込んだ位置では、ボイス・コイル・マグネット54と主ヨーク27との間を垂直に出入りしており、磁力線は水平方向の成分を有しない。しかし、ボイス・コイル・マグネット54の端部54a、54bの近辺では、ボイス・コイル・マグネット54の端部から主ヨーク27に向かって想定した主ヨーク27に垂直な面より外側に膨らんでおり、磁力線は水平方向の成分を有する。
ここで、本発明におけるヨーク・ギャップ空間と漏洩磁束の定義をする。いま、ボイス・コイル・マグネット54と主ヨーク27とが対向しているときに、ヨーク・ギャップにおいて、両方の面に平行な平面を仮定し、当該平面上にそれぞれの正投影面を描いて重なった領域を得る。次に重なった領域をボイス・コイル・マグネットの面から主ヨークの面まで平行を保って移動させたときに重なった領域の外延がヨーク・ギャップ106に描く面とボイス・コイル・マグネットの面と主ヨークの面とで囲まれた体積領域を設定する。この体積領域は、ヨーク・ギャップ中の一部の領域であるが、特にヨーク・ギャップ空間という。
漏洩磁束は、このヨーク・ギャップ空間より外側に膨らんだ位置に存在する磁束のことをいう。いま、ヨーク・ギャップがマグネットとヨークとで形成される例として説明したが、ヨーク・ギャップ空間及び漏洩磁束は、ヨーク・ギャップが二つの対向するマグネットで形成される場合にも適用される。また、マグネットが直接ヨーク・ギャップに接する面を有する場合だけでなく、ヨークがヨーク・ギャップに接する面を有し、ヨークの裏側にマグネットが取り付けられ、二つの対向するヨークでヨーク・ギャップを形成するときは、マグネットに代えてヨークの外延により同様に定義する。
図7に戻って、バイアス・チップ100iがボイス・コイル・マグネットの端部54aに近づくか、又はその一部がヨーク・ギャップ空間に入ると、ボイス・コイル・マグネット54の磁極と、ボイス・コイル・マグネット54により磁化されてバイアス・チップの面102aに形成された磁極との間に吸引力が発生し、図6の力F1が働くことになる。力F1は、バイアス・チップ100iがボイス・コイル・マグネット54の端部54aから遠く離れているときには、無視できる程度であるが、近づくにつれて大きくなる。
しかし、バイアス・チップ100が完全にヨーク・ギャップ空間の中に入ったときには磁力線が水平方向のベクトルを有していないため、バイアス・チップ100iに対して水平方向、すなわち、AHSA15をA1方向又はB1方向に回動させる成分を有する吸引力は発生しない。従って、AHSA15にバイアス・トルクを与えないためには、バイアス・チップ100をヨーク・ギャップ空間からある程度離れた位置に位置付けるか、ヨーク・ギャップ空間の中に位置付けるとよい。
図8は、AHSA15を回動させたときの、バイアス・チップ100の回動軌跡とボイス・コイル・マグネット54の端部との相対的な位置関係を示す図である。図8には、ボイス・コイル・マグネット54の平面的な外延が示されているが、本実施の形態では、図5に示すように主ヨーク27がボイス・コイル・マグネットの外延よりさらに外側に外延を有するので、ヨーク・ギャップ空間は、ボイス・コイル・マグネット54の外延に沿った垂直な面と、ボイス・コイル・マグネット54の平面と主ヨークの平面とで囲まれた体積領域になる。従って、ボイス・コイル・マグネットの端部は、ヨーク・ギャップ空間の端部に相当する。
本実施の形態に係るヨーク・ギャップ空間は、磁気ディスク装置10の電源が突然遮断された時にAHSA15をランプに21に退避させるためエネルギー源となるバイアス・トルクFtを生成するように構成されている。バイアス・トルクFtを生成するために、ボイス・コイル・マグネット54の端部は、バイアス・チップ100の回動軌跡に対して以下に説明するように特徴ある形状を備え所定の関係を維持するように構成されている。
図8では、バイアス・チップの回動軌跡に沿って5度単位で区切った位置にバイアス・チップ100a〜100iが示されている。b〜hは、図の煩雑さを避けるため参照番号100を省略している。バイアス・チップの回動軌跡は、ボイス・コイル・マグネット54の後端部の外側、すなわち、ヨーク・ギャップ空間の後端部の外側に設けられている。本実施の形態に係わらず、バイアス・チップ100の回動軌跡をピボット軸17寄りのボイス・コイル・マグネット54の先端部の外側、すなわち、ヨーク・ギャップ空間の先端部の外側に設けてもよい。
線162は、AHSA15が図5の中心線152の位置にあるときの、ピボット軸17の中心とバイアス・チップ100aの中心とを結ぶ線である。すなわち、AHSA15がインナー・クラッシュ・ストップ29に当接する位置である。線164は、AHSA15が図5の中心線154の位置にあるときの、ピボット軸17の中心とバイアス・チップ100eの中心とを結ぶ線である。すなわち、AHSA15のマージ・リップ19がランプ21の斜面21aの先端に接触する位置である。
線166は、AHSA15が図5の中心線156の位置にあるときの、ピボット軸17の中心とバイアス・チップ100iの中心とを結ぶ線である。すなわち、AHSA15がアウター・クラッシュ・ストップ31に当接してホーム・ポジションに停止している位置である。線162と線166との間の角度は40度で、線164はその角度を二分している。いま、AHSA15とバイアス・チップ100とは一体になって回動するので、以下の説明では、バイアス・チップ100の位置は、そのときのAHSA15の位置を示す表現で説明することがある。例えば、バイアス・チップ100がインナー・クラッシュ・ストップ29の位置にあるとは、AHSA15が図5の中心線152の位置に位置付けられ、よって、バイアス・チップ100が線162の位置にあることを示しているものとする。
ボイス・コイル・マグネット54は、回動軌跡上にあるバイアス・チップ100の回動軌跡に近接してほぼ沿うように構成された端部56、及び離れるように構成された端部58を備えている。端部56は、バイアス・チップ100の回動軌跡に接近する方向に突き出た突出部として形成され、バイアス・チップ100に対して漏洩磁束によりバイアス・トルクFtを付与できる構成になっておりこれをバイアス端部56という。図6を参照して説明したとおり、バイアス・トルクFtは、バイアス・チップに影響する漏洩磁束の大きさと吸引力F1の向きが必要な条件を満たすようにバイアス端部56とバイアス・チップとの距離及びバイアス端部56の形状を選択して得ることができる。
端部58はバイアス端部56に隣接し、バイアス・チップ100の回動軌跡から離れた位置に形成され、バイアス・チップ100に対して実質的に漏洩磁束の影響を与えないように構成されており、これを非バイアス端部58という。実質的に漏洩磁束の影響を与えないためには、バイアス・チップに影響する漏洩磁束の大きさを所定値以内にするように非バイアス端部56とバイアス・チップとの距離を維持するように非バイアス端部の形状を選択する。
また、漏洩磁束の影響を受けないためには、バイアス・チップの回動軌跡をヨーク・ギャップ空間の内部を通過する構成にしてもよい。ヨーク・ギャップ空間の内部には水平方向の成分を有する磁力線が存在しないからである。この場合は、ヨーク・ギャップ空間の回動軌跡に最も近いヨーク・ギャップ空間の端部が非バイアス端部に相当する。
本実施の形態では、バイアス端部56と非バイアス端部58とは、線164とボイス・コイル・マグネットの端部との交点近辺にある遷移部60で遷移している。バイアス端部56は遷移部60から線166とボイス・コイル・マグネット54の端部との交点64までバイアス・チップの回動軌跡に近接するように連続して構成されている。非バイアス端部は、遷移部60から線162とボイス・コイル・マグネット54の端部との交点66までバイアス・チップに対して実質的に漏洩磁束の影響を与えないだけ離れるように構成されている。
ボイス・コイル・マグネット54の、バイアス・チップ100dに近い端部62は、バイアス・チップ100d寄りに若干突き出た形状に形成され、バイアス端部56が漏洩磁束によりバイアス・チップ100e〜100iにバイアス・トルクFtを付与できるように接近している。バイアス・チップ100が線162と線164との間を回動するときは、ヘッド/スライダ13が、磁気ディスク11の記録面を浮上しながらサーボ制御されている。このときは、バイアス・チップ100a〜100dに対して非バイアス端部58はバイアス・トルクFtを付与しない。バイアス・チップ100は、線162を線166寄りに超えた位置あたりから、バイアス端部56からの漏洩磁束の影響を受け始める。
本実施の形態では、バイアス・チップ100が線166に向かって回動するに従って、バイアス・チップ100の回動軌跡が漸次バイアス端部56に近づくように構成されている。言い換えると、ヘッド/スライダ13が磁気ディスク11の記録面上の位置からランプ21に退避する位置近辺から、バイアス・チップ100に対してバイアス・トルクFtが働き始め、AHSA15がアウター・クラッシュ・ストップ31又はホーム・ポジションに近づくに従って、バイアス・トルクFtは漸増する構成になっている。
図9に、バイアス・チップ100がボイス・コイル・マグネット54に吸引されて発生したバイアス・トルクFtの測定結果を示す。図9において、縦軸はAHSA15に加えられるバイアス・トルクFtの大きさで、横軸は、図5に従ってAHSA15の位置を基準線からの中心線の角度として示したものである。バイアス・トルクFtのマイナス符号は、AHSA15を図1のA1方向に動かす方向を示す。横軸の位置P1は図5において、AHSA15がインナー・クラッシュ・ストップ29に当接した中心線152の位置を示し、位置P2はマージ・リップ19がランプ21に接触した中心線154の位置を示し、位置P4はAHSA15がアウター・クラッシュ・ストップ31に当接した中心線156の位置でホーム・ポジションを示す。
位置P1と位置P2の間に含まれる大部分の領域は、ヘッド/スライダ13が磁気ディスクの記録面にアクセスできる領域であり、この領域をアクセス領域という。アクセス領域は位置P1と位置P2に対応する磁気ディスクの全範囲を示すものではない。CSS方式を採用する磁気ディスク装置では、磁気ディスク11の内側に記録面ではないヘッド/スライダ13の退避面が設けられていたり、ロード・アンロード方式を採用する磁気ディスク装置では、最外周トラックの外側に非記録領域が設けられていたりするからである。位置P2から位置P4までの領域は、マージ・リップ19がランプ21のいずれかの面に係合している領域でこれを退避領域という。
図9から明らかなように、本実施の形態に係るボイス・コイル・マグネット54とバイアス・チップ100との関係は、AHSA15のマージ・リップ19がA1方向に回動し、ランプ21に係合して退避領域に入り、位置P3を過ぎた当たりからバイアス・トルクが徐々に大きくなり、ホーム・ポジションである位置P4の位置で最大になるように構成されている。このような構成は、ヘッド/スライダ13が磁気ディスクにアクセスしている間は、バイアス・トルクFtが発生せずVCMとサーボ機構によるAHSAの制御に対して影響を与えないが、ヘッド/スライダ13がランプ21に退避する際には、バイアス・トルクFtが発生してAHSA15をA1方向に回動させる力となり、ホーム・ポジションまでA1方向に漸増的に継続して力を与え続け、ホーム・ポジション近辺でA1方向に最大の力を与えることができる。
バイアス端部56から付与されるバイアス・トルクFtは、AHSA15のマージ・リップ19が、ランプ21の各面を摺動しながらホーム・ポジションに到達するまでに、摩擦力に打ち勝つトルクを補う点で有効である。図9で示すように、バイアス・トルクはAHSA15のホーム・ポジション近辺で最大値を示し、アクセス領域でのバイアス・トルクの最大値は、ホーム・ポジションでの最大値の10%以下になっているが、望ましくは5%以下にするとよい。また、アクセス領域において、VCMによるAHSAの制御に悪影響を与えないためには、アクセス領域におけるバイアス・トルクの最大値は、ボイス・コイル磁気回路とボイス・コイルに流れる電流により発生するトルクの最大値の5%以下にすることが望ましく、最適には3%以下にするとよい。
図9に示したバイアス・トルクの特性は、AHSA15がホーム・ポジションにおかれているときは、比較的強いバイアス・トルクを発生し、磁気ディスク装置に対して外部から振動や軽い衝撃が与えられてもAHSA15をホーム・ポジションの方向に引き留める比較的強い力として作用する。一方、何らかの原因でAHSA15がホーム・ポジションからB1方向に移動したときには、AHSA15が退避領域に存在する限りホーム・ポジション方向に引き留める力として作用する。
本実施の形態では、HSA20の押付荷重がさほど強く設定されていないため、AHSA15のマージ・リップ19がランプ21の平坦面21bまでの位置にあるときは、バイアス・トルクFtでホーム・ポジションに引き戻される構成になっている。AHSA15がホーム・ポジションから離れてしまうと、大きな衝撃に対処するための周知の慣性ラッチ機構を設けたとしても、ラッチがかからない場合があるので、本実施の形態に係るバイアス・トルクの作用は有益である。そのような慣性ラッチ機構は、衝撃でラッチ・ポジションに移動するまでのAHSAの移動時間やラッチの動作時間をホーム・ポジションを基準にして設定するからである。
図9に示したバイアス・トルクの利用形態は種々考えられる。まず、磁気ディスク装置が磁気ディスクにアクセス、すなわち、書き込み又は読み出しを行っている際に突然電源が遮断されたとき、AHSA15は、コンデンサに蓄積された電荷及びスピンドル・モータの逆起電力又はそのいずれか一方をエネルギーにしてVCMを駆動し、退避位置であるランプまで戻るが、図2に示したランプ21の斜面21a、平坦面21b、斜面21cから与えられる摩擦力にうち勝つだけのエネルギーが必要である。このとき、条件によっては電荷が足りない場合もあり得るが、バイアス・トルクはこのときAHSAが退避するためのエネルギーとして利用することができる。これにより、コンデンサの選択に余裕をもつことができ、退避動作を確実に行うことができる。
本実施の形態に係るバイアス・トルクは、AHSA15をA1方向に回動させるトルクなので、前述のとおり、AHSA15がホーム・ポジションの位置にあるときにその位置に留めておいたり、ホーム・ポジションから離れても引き戻す作用をする。AHSAをホーム・ポジションに保持するには、アウター・クラッシュ・ストップにマグネットを埋め込んだりする技術があるが、本実施の形態に係るバイアス・チップを採用すれば、そのようなマグネットを設ける必要がなくなる。特に、小型の磁気ディスク装置では、追加の機構を設けるためのスペースが制約されるので、本実施の形態に係るバイアス・トルクによるホーム・ポジションへの保持機構は望ましい。
また、外部から大きな衝撃が加えられてAHSA15が速い速度でアウター・クラッシュ・ストップに衝突する際には、アウター・クラッシュ・ストップに施す弾性部材の材質を、大きな衝撃力に対して大きな吸収能力を発揮するものとして選定すれば、バイアス・トルクがリバウンドによりAHSA15が磁気ディスク11の記録面に飛び出すことを抑制する。
本実施の形態では、退避領域を回動するバイアス・チップ100に対して継続的にバイアス・トルクを与えるようにバイアス端部がバイアス・チップの回動軌跡に近接してほぼ沿うようにバイアス・チップのホーム・ポジションまで連続して設けられている。しかし、本発明の思想は、バイアス端部を連続的に設けるだけでなく、バイアス端部と非バイアス端部とを交互に設けたり、バイアス端部を例えば退避領域の一部等の、バイアス・チップの回動軌跡の1カ所だけに設けることも含む。
本発明の思想は、図8及び図9を参照して説明したボイス・コイル・マグネット54の端部とバイアス・チップ100との関係だけに限定されない。バイアス・チップ100の回動軌跡に対するボイス・コイル・マグネット54のバイアス端部を様々に構成して、様々なバイアス・トルク特性を得ることができる。例えば、図8でバイアス・チップ100d〜100eに近いボイス・コイル・マグネットの端部に、よりバイアス・チップに接近するようにより一層突き出た形状の突出部を形成し、マージ・リップ19がランプ21に係合し始める部分で強いバイアス・トルクを発生させる。
その後、バイアス端部とバイアス・チップとの間隔を比較的広くしてバイアス・トルクを弱くし、最後にホーム・ポジションの近くでバイアス・チップとバイアス端部との距離を再び最接近させて最大のバイアス・トルクを発生させる構成にすることができる。このようなバイアス・トルク特性は、アンロード時にランプの最初の斜面をマージ・リップが登る際のトルクを大きくし、その後マージ・リップがランプ上を摺動してホーム・ポジションまで移動させるトルクを比較的弱くし、速い速度でAHSAがアウター・クラッシュ・ストップに衝突する事態を避け、かつ、ホーム・ポジションでは強いバイアス・トルクを発生させる場合に適する。
磁気ディスクの最内周トラックよりさらに中心側に退避面が形成されたCSS方式の磁気ディスク装置に対しては、ボイス・コイル・マグネット54をヘッド/スライダ13が最内周トラックを過ぎて中心に向かうあたりからB1方向にバイアス・トルクが発生する形状に形成する。また、図8のようにバイアス端部56と非バイアス端部58との遷移部は、かならずしも線164との交点近辺のようなマージ・リップ19がランプ21に係合する位置に限定する必要はなく、アクセス領域でバイアス・トルクが発生したり、又は、ランプの退避面21b近辺からバイアス・トルクが発生する構成にしてもよい。
これまで本発明を図面に示した特定の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、図面に示された特定の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の実施の形態については、これまで知られたいかなる変更を加えることも可能であり、また他の実施の形態を採用することが可能であることは、当業者であれば理解することができよう。
本発明は、回転円板形記憶装置全般に利用することができ、特に衝撃を受けやすい環境で使用する回転円板形記憶装置に利用することができる。また、小型でラッチ機構や退避機構を設けるスペースが制約される回転円板形記憶装置に利用することができる。
本発明の実施の形態を説明するための磁気ディスク装置10の概略平面図である。 ランプの側面図及び斜視図である。 本発明の実施の形態に係る磁気ディスク装置の分解斜視図である。 本発明の実施の形態に関係するVCM機構の側面図である。 AHSAの回動範囲を説明するための図である。 バイアス・チップに働く力を説明する図である。 ボイス・コイル・マグネットと主ヨークとによりヨーク・ギャップに生ずる磁界とバイアス・チップとの位置関係を示す図である。 バイアス・チップの軌跡とヨーク・ギャップ空間の端部との関係を示す図である。 バイアス・トルクの測定値を示す図である。
符号の説明
10 磁気ディスク装置
11 磁気ディスク
12 ケーシング本体
13 ヘッド/スライダ
15 アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリ(AHSA)
17 ピボット軸
18 アクチュエータ・アーム
19 マージ・リップ
20 ヘッド・サスペンション・アセンブリ(HSA)
21 ランプ
23 スピンドル軸
25 ボイス・コイル
27 主ヨーク(ボイス・コイル・ヨーク)
29 インナー・クラッシュ・ストップ
31 アウター・クラッシュ・ストップ
50 コイル・サポート
52 補助ヨーク
54 ボイス・コイル・マグネット
54a、54b ボイス・コイル・マグネットの端部
56 バイアス端部
58 非バイアス端部
100 バイアス・チップ


Claims (22)

  1. 回転円板形記録媒体と、
    前記回転形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダと、該ヘッド/スライダを前記回転円板形記録媒体上のアクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と前記退避領域から前記アクセス領域に向かう第2の方向とに回動させるボイス・コイルと、該ボイス・コイルを保持するコイル・サポートとからなるアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、
    前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられて前記第1の方向と前記第2の方向に回動するバイアス・チップと、
    前記バイアス・チップの回動範囲の途中位置の近辺において前記バイアス・チップの回動軌跡に接近する方向に突き出た突出部として形成されたバイアス端部が設けられたヨーク・ギャップ空間を有するボイス・コイル磁気回路と
    を有する回転円板形記憶装置。
  2. 前記突出部が、ほぼ前記第1の方向に向かって前記バイアス・チップの回動軌跡に近接して沿うように前記バイアス・チップのホーム・ポジションの近くまで設けられている請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  3. 前記突出部が、前記アクセス領域と前記退避領域の境界に位置付けられた前記バイアス・チップの近辺に設けられている請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  4. 前記突出部と前記バイアス・チップの回動軌跡とが前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリが前記第1の方向に回動するに従って漸次接近するように構成された請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  5. 前記バイアス・チップが前記コイル・サポートに取り付けられ、前記バイアス・チップの回動軌跡の一部が前記ヨーク・ギャップ空間の内部を通過する請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  6. 前記バイアス・チップのホーム・ポジションにおいて、前記バイアス・チップの少なくとも一部が前記ヨーク・ギャップ空間に入る請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  7. 前記ボイス・コイル磁気回路のヨーク・ギャップ空間がボイス・コイル・マグネットとボイス・コイル・ヨークとで形成される請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  8. 前記バイアス・チップが金属チップ又はマグネット・チップで形成されている請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  9. さらにランプを備え、ロード・アンロード方式で退避領域を構成する請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  10. 前記回転円板形記録媒体が退避面を備え、コンタクト・スタート・ストップ方式で退避領域を構成する請求項1記載の回転円板形記憶装置。
  11. 回転円板形記録媒体と、
    前記回転円板形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダを搭載し、アクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と前記退避領域から前記アクセス領域に向かう第2の方向にピボット軸を中心に回動可能なアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、
    前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリを駆動するボイス・コイル・モータの磁界を形成するボイス・コイル磁気回路と、
    前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられ、前記ボイス・コイル磁気回路の漏洩磁束の影響を受けて吸引され、前記アクセス領域と前記退避領域の境界近辺に位置付けられたアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに前記第1の方向のバイアス・トルクを与えるバイアス・チップと
    を有する回転円板形記憶装置。
  12. 前記ボイス・コイル磁気回路がヨーク・ギャップ空間を含み、前記漏洩磁束が前記ヨーク・ギャップ空間の端部に形成される請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  13. 前記ヨーク・ギャップ空間がボイス・コイル・マグネットとボイス・コイル・ヨークとで形成される請求項12記載の回転円板形記憶装置。
  14. 前記ヨーク・ギャップ空間が第1のボイス・コイル・マグネットと第2のボイス・コイル・マグネットとで形成される請求項12記載の回転円板形記憶装置。
  15. 前記ボイス・コイル磁気回路の漏洩磁束が、前記バイアス・チップに対して前記第1の方向の力を与えるベクトル成分を有する請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  16. 前記バイアス・トルクが前記バイアス・チップに対する前記ボイス・コイル磁気回路の吸引力と前記ピボット軸からの反力のベクトル合成で与えられる請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  17. 前記バイアス・チップは、前記アクセス領域と前記退避領域の境界近辺から前記バイアス・チップのホーム・ポジションまでの間を回動する前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに前記第1の方向のバイアス・トルクを与え続ける請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  18. 前記バイアス・チップのホーム・ポジションの近くでバイアス・トルクが最大になる請求項17記載の回転円板形記憶装置。
  19. 前記バイアス・チップが、前記アクセス領域を回動する前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに僅かなトルクを与え、該トルクの最大値は前記退避領域に位置付けられた前記バイアス・チップが前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに与えるバイアス・トルクの最大値の10%以下である請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  20. 前記バイアス・チップが、前記アクセス領域を回動する前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに僅かなトルクを与え、該トルクの最大値は前記ボイス・コイル磁気回路と前記ボイス・コイルに流れる電流により生ずるトルクの最大値の3%以下である請求項11記載の回転円板形記憶装置。
  21. 回転円板形記録媒体と、
    コイル・サポートと該コイル・サポートに保持されたボイス・コイルと前記回転円板形記録媒体にアクセス可能なヘッド/スライダとを備え、アクセス領域から退避領域に向かう第1の方向と退避領域からアクセス領域に向かう第2の方向に回動可能なアクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリと、
    前記アクチュエータ・ヘッド・サスペンション・アセンブリに取り付けられて第1の方向と第2の方向に回動するバイアス・チップと、
    前記バイアス・チップの回動軌跡にほぼ沿って形成された端部を備えるヨーク・ギャップを有し、該ヨーク・ギャップの端部が前記退避領域を回動する前記バイアス・チップに前記第1の方向のバイアス・トルクを与え続けるボイス・コイル磁気回路と
    を有する回転円板形記憶装置。
  22. 前記バイアス・トルクは、前記退避領域と前記アクセス領域との境界から前記バイアス・チップのホーム・ポジションに向かって漸増し、前記バイアス・チップのホーム・ポジションで最大になる請求項21記載の回転円板形記憶装置。


















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