JP2005089335A - 固定化レセプタータンパク質 - Google Patents
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Abstract
レセプタータンパク質に対するアンタゴニスト、アゴニスト等のレセプタータンパク質結合物質を検出、あるいはその結合活性を測定する手段であって、使用するレセプタータンパク質あるいはリガンドの種類に限定されることなく、極めて広範な種類のレセプタータンパク質に対して適用可能であるとともに、しかも、迅速、簡便、かつ高精度に上記検出あるいは測定しうる手段を提供する。
【課題解決手段】
【請求項1】固体支持体に、イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質が固定化され、さらに該タンパク質を介して、上記Fc部分とレセプタータンパク質とからなるキメラタンパク質が結合せしめられている固定化レセプタータンパク質を用いて、レセプタータンパク質結合物質を検出、あるいはその結合活性を測定する。
Description
さらに、抗Fc抗体を固定化したマイクロプレートにサイトカイン(IL-4)レセプター−Fcキメラ蛋白を固定化されている抗体を介して固定化する方法も知られているが(特許文献2参照)、この方法では、用いる抗体によってレセプターの固定化状態は異なるため、リガンドが結合できないあるいはできにくい状態でレセプターが固定化される恐れがある。
以上の点から、すべてのリガンドやレセプターに応用可能な簡便で迅速な測定法が望まれている。
(2)イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質がプロテインAであることを特徴とする、上記(1)に記載の固定化レセプタータンパク質。
(3)イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質がプロテインGであることを特徴とする、請求項1に記載の固定化レセプタータンパク質。
(4)検体試料中に含有されるレセプタータンパク質に対する結合活性を有する物質の検出及び/または該物質のレセプタータンパク質に対する結合活性を測定する方法であって、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の固定化レセプタータンパク質に検体試料および該レセプタータンパク質に対するリガンドを接触させ、固定化レセプタータンパク質に対するリガンドの結合量を測定することを特徴とする、上記方法。
(5)上記固定化レセプタータンパク質に対するリガンドの結合量の測定が、標識抗体を用いて行うことを特徴とする、上記(4)に記載の方法。
したがって、本発明の固定化レセプタータンパク質およびこれを用いた上記検出、測定法は、アゴニストやアンタゴニストあるいはその他のレセプタータンパク質結合物質の探索に極めて有用であり、例えばレセプターが関与する疾病の原因解明あるいは疾病の治療、診断等のための医薬品開発等において、大いに貢献するものである。
1. 固定化レセプタータンパク質の製造。
本発明の固定化レセプタータンパク質を得るには、まず、固体支持体上に、イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質として、例えばプロテインAあるいはGを固定化する(図1(1))。この固体支持体としては、マイクロタイタープレート、各種のビーズ状の例えばポリスチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製や金属セラミックス等の無機物質製等の免疫測定法において常用されている支持体を用いることができる。プロテイン AあるいはプロテインGの固定は常法に従って行うことができる。これには例えばDDWにこれらの蛋白質を例えば、5 μg/mlの濃度で溶解し、プレートのウエルに50μlずつ加え、一晩静置しておけばよい。
この場合、上記固体支持体上に固定化されたプロテインAあるいはプロテイン Gと、このレセプター−Fcキメラ体とを該キメラ体のFc部分を介して結合することが重要であるため、固体支持体は予め、例えばBSAやSkim Milk等のブロッキング蛋白質例えば1%を含むPBS液と接触せしめ、固体支持体のプロテイン Aあるいはプロテイン G以外の非特異的蛋白結合部位をブロックしておくのが望ましい。また、レセプター−Fcキメラ体を、固定化されたプロテイン Aあるいはプロテイン Gと接触せしめるときにも、例えば同じブロッキング液にレセプター−Fcキメラ体を溶解して用いるのが好ましい。
本発明における検出あるいは測定の対象となるアンタゴニストあるいはアゴニストに関わらずレセプタータンパク質と結合する物質であれば、特に限定されない(以下、単にアンタゴニストあるいはアゴニスト等という)。その分子種としては、例えば、タンパク質、ペプチドが挙げられるが、多糖類あるいは低分子化合物等であってもよく、特に制限はない。また、本発明の検出あるいは測定の対象となるアンタゴニストあるいはアゴニスト等は、既知あるいは未知を問わない。例えば、特定のレセプター蛋白に結合して医薬効果を発揮することが知られているタンパク質あるいはペプチドにおいて、アミノ酸配列を変異させた組み換えタンパク質あるいはペプチド、さらに、低分子化合物の置換基等を改変した化合物等についてもそのレセプター結合活性を測定するおことにより、医薬効果を推定することも可能となる。また、例えば、天然物抽出液中の未知のアンタゴニストあるいはアゴニスト等の検出あるいは結合活性の測定も可能である。
(1) まず、該固定化レセプタータンパク質に、検体試料と該レセプタータンパク質に対する既知のリガンドとを一定の割合で混合した溶液を接触させる(図1(3))。
(2) この場合、上記検体試料中にアゴニストあるいはアンタゴニスト等が存在すれば、これらは、リガンドと競合的に該レセプターに結合する(図1(4))。したがって、レセプターに結合したリガンドの量(あるいは結合しなかった量)を測定し、この結合量が、上記検定試料を加えない場合のリガンドの結合量と差がある場合は、検体試料中にアンタゴニストあるいはアゴニスト等が存在し、これらがレセプタータンパク質と結合することにより、リガンドのレセプタータンパク質に対する結合を阻害していることを意味する。
これら抗体の標識は、抗体の標識手段としてそれ自体公知の手段が用いられるが、具体的には西洋わさびパーオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D-ガラクトシダーゼ等の酵素、ビオチンあるいは蛍光化合物等を用いることができ、これらの標識の検出のためには標識の種類に応じて既知の検出方法を用いることができ、また、これらの標識物質の検出方法としては、例えば免疫測定法において知られる任意の方法を用いることができる。
以下に、マイクロタイタープレートを用いたヒト繊維芽細胞増殖因子(FGF)レセプターの一つであるFGFR-1(III)cの細胞外ドメインをイムノグロブリンFc部分と結合したリコンビナントキメラ蛋白と該レセプターに結合活性のあるヒトリコンビナントFGF-5をリガンドに用い、検体としてFGF-5に対してアンタゴニスト活性のあるペプチドや天然物エタノール抽出液や、アゴニスト活性のあるリコンビナントFGF-1やFGF-2蛋白を用いたレセプター結合活性の化学的測定法を示す。
5 μg/mlのProtein Aを含むDDWを96穴のマイクロタイタープレートにウエルあたり50 μl加え、一晩4℃で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄し100 μl の1% BSA/PBSを加え二時間室温で放置後、50 μlの0.5 μg/mlのFGFR-1(III)c-Fc-キメラ体/1% BSA/PBSを加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、濃度既知のFGF-5と5 μg/mlのheparin/10% FBS/RPMI培地を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、2 μg/mlのヒツジ由来抗ヒトFGF-5ポリクローナル抗体を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、500倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウマ由来抗ヒツジイムノグロブリン抗体(フナコシ)を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、3 mg/mlのペルオキシダーゼ基質(シグマ)と0.01% H2O2を含む0.1M クエン酸緩衝液(pH5.2)を1ウエルあたり50 μl加え、30分間室温で放置した後1M H2SO4を1ウエルあたり50 μl加え、492 nmの発色を測定した。
図2は、リガンドFGF-5の濃度の増加に伴うペルオキシダーゼ基質の492 nmの発色を示す。加えたFGF-5の増加に伴い、発色量が増加しているのがわかる。
実施例1.に従いマイクロタイタープレートにFGFR-1(III)c-Fc-キメラ体を固定洗浄後、1.54x10-9 MのFGF-5と5 μg/mlのheparin/10% FBS/RPMI培地を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、実施例1.に従いマイクロタイタープレートに結合しているFGF-5結合量に伴うペルオキシダーゼ基質の発色を測定し、ペプチドを加えないときの発色量を100%コントロールとして加えたペプチド既知濃度毎のコントロールに対する発色量を%で求めた。
図3は、ペプチド添加濃度に伴う発色量変化を示した。グラフより50%阻害を示すペプチド濃度483 μMを求めた。
実施例1.に従いマイクロタイタープレートにFGFR-1(III)c-Fc-キメラ蛋白を固定し洗浄後、1.54x10-9 MのFGF-5と5 μg/mlのheparinと50%エタノールで抽出した植物エキスを含む10% FBS/RPMI培地を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、実施例1.に従いマイクロタイタープレートに結合しているFGF-5量の変化に伴うペルオキシダーゼ基質の発色量を測定した。エタノールのみを加えたときの発色量を100%コントロールとして加えた植物エキス添加濃度毎のコントロールに対する発色量を%で求めた(図4)。グラフより50%阻害を示す植物エキス濃度13.4%を求めた。
実施例1に従いマイクロタイタープレートにFGFR-1(III)c-Fc-キメラ蛋白を固定し洗浄後、1.54x10-9 MのFGF-5と5 μg/mlのheparinを濃度既知のFGF-1やFGF-2を含む10% FBS/RPMI培地を1ウエルあたり50 μl加え、一時間室温で放置した。PBS/0.05% Tween 20 により洗浄後、実施例1.に従いマイクロタイタープレートに結合しているFGF-5量の変化に伴うペルオキシダーゼ基質の発色量を測定した。FGF-1やFGF-2を加えないコントロールの発色量を100%としてFGF-1やFGF-2の添加濃度毎のコントロールに対する発色量を%で求めた(図5)。グラフより50%阻害を示すFGF-1やFGF-2の添加濃度12.3 nMと7.1 nMをそれぞれ求めた。
Claims (5)
- 固体支持体に、イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質が固定化され、さらに該タンパク質を介して、イムノグロブリンFc部分と、少なくともリガンド結合部位を有するレセプタータンパク質とからなるキメラタンパク質が結合せしめられていることを特徴とする、固定化レセプタータンパク質。
- イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質がプロテインAであることを特徴とする、請求項1に記載の固定化レセプタータンパク質。
- イムノグロブリンFc部分と結合するタンパク質がプロテインGであることを特徴とする、請求項1に記載の固定化レセプタータンパク質。
- 検体試料中に含有されるレセプタータンパク質に対する結合活性を有する物質の検出及び/または該物質のレセプタータンパク質に対する結合活性を測定する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の固定化レセプタータンパク質に検体試料および該レセプタータンパク質に対するリガンドを接触させ、固定化レセプタータンパク質に対するリガンドの結合量を測定することを特徴とする、上記方法。
- 上記固定化レセプタータンパク質に対するリガンドの結合量の測定が、標識抗体を用いて行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
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