JP2005085198A - オフィス環境改善支援設備、及びオフィス環境改善支援表 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフィス環境を改善するための設備面の要素とワーカーの視点からの印象との関係性を明確に把握することができ、的確なオフィス環境改善策を提案することができるようにする。
【解決手段】オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示した設備要素項目表示部1と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示した印象項目表示部2と、設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示したマーク表示部3とを具備し、設備要素項目と印象項目とをそれらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べたマトリックス状に配置し、設備要素項目と印象項目とが交差する部位であるマーク表示部3において、複数の設備要素項目と少なくとも一の印象項目とを対応させてマークを表示したオフィス環境改善支援表Aを構成した。
【選択図】図1
【解決手段】オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示した設備要素項目表示部1と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示した印象項目表示部2と、設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示したマーク表示部3とを具備し、設備要素項目と印象項目とをそれらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べたマトリックス状に配置し、設備要素項目と印象項目とが交差する部位であるマーク表示部3において、複数の設備要素項目と少なくとも一の印象項目とを対応させてマークを表示したオフィス環境改善支援表Aを構成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、オフィスの環境を改善するための指針を与えることができるオフィス環境改善支援設備、及びオフィス環境改善支援表に関するものである。
近年、様々な公的私的な調査により、労働時間が増加する傾向にあるためオフィス内での執務時間が長くなってきているため、オフィス環境が執務者であるワーカーに及ぼす影響が大きくなってきており、ワーカーが、身体的な疲れ、士気の低下、神経の疲れ、オフィスの広さ等に関する不満、オフィス環境の改善の必要性などを訴えていることが明らかになってきている。また、オフィスワークのスピード化、スリム化、効率化、生産性向上などが声高にいわれるようになった昨今では、これらを実現するためのオフィス環境の改善策が種々試みられている。このようなオフィス環境改善方法には、例えば、(社)ニューオフィス推進協議会で開発された「改善評価測定技法」、旧建設省建築研究所を中心に開発された「POEM−O(Post Occupancy Evaluation Method-Office)」、(社)日本ファシリティマネジメント協会で開発された「JAST94(JFMA Assessment Method of Space & Task'94)施設評価法」などが挙げられる。これらの手法は、現実にオフィスで執務するワーカーの視点からのオフィス環境改善につながる指標を数値化して、それをもとに改善策を提案しようとするものであるが、その改善策とは、特に、組織やファシリティマネジメントの視点から設備コストに代表される効率化などの定量的なメリットを得ようとするものである(例えば、非特許文献1参照)。
通商産業省生活産業局生活用品課/建設省住宅局建築指導課 監修,FM推進連絡協議会 編集,「ファシリティマネジメント・ガイドブック」,第2版,日刊工業新聞社,1998年3月31日,p.304,p.387−381
通商産業省生活産業局生活用品課/建設省住宅局建築指導課 監修,FM推進連絡協議会 編集,「ファシリティマネジメント・ガイドブック」,第2版,日刊工業新聞社,1998年3月31日,p.304,p.387−381
しかしながら上述のような従来のオフィス環境の改善策は、ワーカーから聞き取り調査したオフィス環境の問題点を数値化して改善策を提供するものであるにも拘わらず主として定量的な観点から行われており、ワーカーにとっての感覚的・定性的なメリットを比較的低く評価しがちであるため、ワーカーが快適に働くために要求される「ワーカーの視点」からの改善策となっているとは言い難いものである。すなわち、どの設備を改善すればワーカーの印象がどのように変化するかといった設備面の要素とワーカーの印象とが明らかにされていないので、具体的な改善策を提示することは困難である。また、従来のように、例えば「天井高が低いのでこれを改善すべき」との提案を受けたとしても、建築構造に由来する天井高を直接的に変更することは容易ではなく、また天井高がワーカーの視点からオフィス環境に如何なる影響を与えているのかも不明瞭であるといえる。このことは、天井高に限らず、従来から提言されてきた多くの設備面からの改善策に共通する問題である。
そこで本発明は、以上のような問題に鑑みて、オフィス環境を改善するための設備面の要素とワーカーの視点からの印象との関係性を明確に把握することができ、的確なオフィス環境改善策を提案することができるようにすることを目的としている。
すなわち、オフィス環境の改善の指標を提示するために利用される本発明は、オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示する設備要素項目表示手段と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示する印象項目表示手段と、設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示するマーク表示手段とを具備してなり、少なくとも一の印象項目に対応するマークを複数の設備要素項目に関連づけていることを特徴とするオフィス環境改善支援設備である。
このようなものであれば、複数のマークが付された印象項目に係るワーカーの視点からの問題点は、当該マークが付された複数の設備要素項目のいずれかを改善すれば解決することが分かるので、そのうちの何れかの設備要素に手を加えるのが困難な場合であっても、その設備要素を改善する場合と同様の効果を他の設備要素を改善することで間接的に改善することができる、という指標が得られる。同様に、単一の設備要素項目にしかマークが付されていない印象項目については、その設備要素を改善する必要があることがわかる。また逆に、どの設備要素を改善すればワーカーの印象がどのように変化するかを的確に把握することができる。したがって、本発明を利用することで、これまで注目されていなかったワーカーの視点からのオフィス環境の改善策を実現することができるとともに、直接的な改善が困難な設備要素であっても他の設備要素の改善により同等以上の効果が得られるという、従来にない新たな指標を提示することができる。またそれにより、オフィス環境の改善が図られ、ワーカーにとって働きやすい環境を実現するとともに、生産性やコスト面の改善も期待することができるようになる。
そして、上述した指標を視覚的に把握し易いようにするためには、このオフィス環境改善支援設備に、設備要素項目と印象項目とをそれらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べたマトリックス状に配置する項目配置手段を更に設け、マーク表示手段において、相関する設備要素項目と印象項目とが交差する部位にマークを表示するように構成すればよい。
特に、間接的な設備要素の改善策を提示できる印象項目を強調して、使い勝手をさらに向上するためには、このオフィス環境改善支援設備に、複数の設備要素項目についてマークが付された印象項目に関して、当該マークとそれに対応する複数の設備要素項目とを明示する相関関係明示手段を更に設けるとよい。
ここで、設備要素に手を加えることによりワーカーの印象が良好となったり逆に悪化する場合や、その程度に差が生じる場合があると考えられる。そこで、マークを、設備要素項目と印象項目との相関関係をオフィス環境の快適性に関する効果の度合いに対応して複数種類設定すれば、的確な改善策の目安を得ることができる。このようにすることで、ある設備要素に関する特定の印象を改善するために、その設備要素の改善が困難な場合であっても、当該印象項目にマークされた他の設備要素を改善することで、その印象をよりよいものとすることができることとなる。
具体的な設備要素項目には、ワーカーの一人当り床面積、天井高、通路幅、背面距離、机幅、曲り回数、照度、配色などが挙げられるので、これらのなかから選択される2以上の項目を設備要素項目として含ませることが望ましい。
また印象項目には、働きやすさ、活気、デザイン性などが挙げられるので、これらのなかから選択される1以上の項目を印象項目に含ませるとよい。
また本発明は、オフィス環境の改善の指標を提示するために利用されるオフィス環境改善支援表としても把握することができ、その場合はこのオフィス環境改善支援表を、オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示した設備要素項目表示部と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示した印象項目表示部と、設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示したマーク表示部とを有し、設備要素項目と印象項目とをそれらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べたマトリックス状に配置し、設備要素項目と印象項目とが交差する部位を前記マーク表示部として、このマーク表示部において、少なくとも一の印象項目に対応して複数の設備要素項目に前記マークを表示したものとすることができる。
したがって、マトリックス状をなすこの表を見れば、ワーカーの視点から見た改善すべき印象項目に対応する設備要素項目を、或いはその逆に、ある設備要素項目に対応する改善すべき印象項目を、マークをもとに簡単に見つけ出すことができる。したがって、ある印象項目に対して複数の設備要素項目にマークが付されていればそれらのうちの何れかの設備要素を改善すればよく、1つの設備要素項目にのみマークが付されていれば当該設備要素を改善すればよい、という提案を適切に行うことができる。
特に、複数の設備要素項目についてマークが付された印象項目に関しては、直接的な設備要素の改善が困難な場合であっても他の設備要素の改善を行うことで間接的に元の設備要素を改善するのに匹敵する、或いはそれを越える改善効果が得られるため、オフィス環境改善支援表において、当該マークとそれに対応する複数の設備要素項目とを他のマーク及び設備要素項目と区別して表示することで、間接的な改善が可能な設備要素を明確に表現することができる。
さらにこのマークは、設備要素項目と印象項目との相関関係をオフィス環境の快適性に関する効果の度合いに対応して複数種類設けると、設備要素とそれに手を加えることによりワーカーが受ける印象との相関を分かりやすくすることができる。
具体的に、設備要素項目には、ワーカーの一人当り床面積、天井高、通路幅、背面距離、机幅、曲り回数、照度、配色、から選択される2以上の項目を含めることが望ましい。
一方、印象項目には、働きやすさ、活気、デザイン性、から選択される1以上の項目を含めることが望ましい。具体的に、働きやすさの項目には、作業しやすさ、働きやすさ、ゆったり感、集中できる、移動しやすさ、快適な、落ち着いた感じ、調和、整然とした配置、明るい、から選択される1以上の小項目を挙げるとよい。また、活気の項目には、活気、あたたかみ、から選択される1以上の小項目を含めるとよい。さらに、デザイン性の項目には、高級感、洗練、斬新な、から選択される1以上の小項目を含めるとよい。
以上に詳述したように、本発明によれば、従来のオフィス環境改善策では得難かった、オフィスにおけるワーカーからの視点という評価要素とオフィス内における設備面の評価要素との相関関係を明らかにすることができる。すなわち、オフィス内の設備要素項目と、それに関してワーカーが受ける印象項目との関係性を、表示されるマークによって明確なものとすることが可能である。したがって従来はワーカーの印象をアンケート調査等によって得たとしても、設備面の改善は該当する設備自体に手を加えることしかできなかったが、本発明では、改善すべき印象項目に対応する直接的な設備要素項目の改善が困難な場合には当該印象項目に対応する他の設備要素項目を改善すれば、その印象項目についてさらに高度な改善を図ることができるという指標を明示することができるという、間接的な改善策を提供することができるものである。もっとも、改善すべき印象項目に対応する設備要素項目が1以下であれば、その設備要素項目を直接的に改善するべきである、との従来どおりの改善策の提示を行うことができることは勿論である。またこれらのアドバイスに従って設備要素を改善することにより、該当するワーカーの印象を向上することができ、より快適なオフィス環境を実現するとともに、ファシリティマネジメントの向上を図ることもできる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すこの実施形態は、オフィス環境の改善策を考慮する際に利用されるオフィス環境改善支援表Aであり、例えば所定の用紙に印刷した状態で使用されるものである。
このオフィス環境改善支援表Aは、オフィスにおける設備面に関する要素とワーカーが受ける印象に関する項目との関連性を、マトリックス状の表として示すものであり、左から第1列目を複数の設備要素項目を列記した設備要素項目表示部1とし、上から第1行目及び最下行目を複数の印象項目を列記した印象項目表示部2、20としてある。そして、これら以外の部位である第2行第2列から第8行第18列までのマス目を、設備要素と印象との相関関係を表すマークが記入されるマーク表示部3としている。
まず、設備要素項目表示部1には、上から順に、「一人当り床面積」「天井高」「通路幅」「背面距離」「机幅」「曲り回数」「照度」「配色」の各項目が記入されている。ここで、「一人当り床面積」は、ワーカー一人当りのオフィスの床面積、すなわちオフィスの人口密度を示す項目である。「天井高」は、オフィスの床面から天井までの平均高さを示す項目である。「通路幅」は、オフィスにおいてワーカーが通行できるように設定された通路の最小幅を示す項目である。「背面距離」は、ワーカーとその背後のワーカーや什器或いは建築壁等との最小距離を示す項目である。「机幅」は、ワーカーが使用しているデスクやテーブルの平均的な幅を示す項目である。「曲り回数」は、オフィスの入り口から最も遠い座席に到達するために必要な曲り回数を示す項目である。「照度」は、オフィスの照明器具や外光に基づく机上面の明るさを示す項目である。「配色」は、オフィスの内壁、天井、床、什器等に使用されている色の調和具合を示す項目である。
印象項目は、最下行目の印象項目表示部20に示すように、「働きやすさ」「活気」「デザイン性」「その他」の4項目に大別されている。これら各項目には、第1行目の印象項目表示部2に示すように、それぞれ具体的な印象を示す複数の小項目を含んでいる。すなわち、「働きやすさ」の項目には、「作業しやすさ」「働きやすさ」「ゆったり感」「集中できる」「移動しやすさ」「快適な」「落ち着いた感じ」「調和」「整然とした配置」「明るい」の合計10の小項目が含まれている。「活気」の項目には、「活気」「あたたかみ」の合計2の小項目が含まれている。「デザイン性」の項目には、「高級感」「洗練」「斬新な」の合計3の項目が含まれている。以上に分類されない「その他」の項目には、「親しみやすい」「開放的」「人の目が気にならない」の合計3の小項目が含まれている。
マーク表示部3には、広範なオフィス環境の調査結果から得られた設備要素と印象との相関関係が段階的に記入される。具体的に、印象の段階に対応するマークの形態やその段階数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、段階別に3種類のマークを使用している。すなわち、「特に顕著な改善効果がある」ものについては「◎(二重丸)」、「改善効果がある」と認められるものについては「○(一重丸)」、「逆方向への印象変化がある」もの、すなわちオフィス環境をワーカーの視点からは悪化させるとされるものには「▽(下向き三角)」で表すこととしている。またマーク表示部3が空欄の部分は、当該印象項目と設備要素項目との相関が認められないことを表している。
以下、図1に示したオフィス環境改善支援表Aに基づいて、上述の調査結果から得られた普遍的な各印象項目と設備要素項目との関係性について述べる。
まず、「働きやすさ」の印象項目に含まれる小項目について具体的にみると、「作業しやすさ」の印象項目については、「一人当り床面積」「通路幅」「机幅」「配色」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されている。
「働きやすさ」の印象項目については、「背面距離」「机幅」「配色」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されている。
「ゆったり感」の印象項目については、「一人当り床面積」「背面距離」の各設備要素項目が、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「◎」マークが付されており、さらに「机幅」「配色」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されている。
「集中できる」の印象項目については、「一人当り床面積」「配色」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されている。
「移動しやすさ」の印象項目については、「一人当り床面積」の設備要素項目にのみ、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
「快適な」の印象項目については、「配色」の設備要素項目が、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されており、さらに「背面距離」の設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「○」マークが付されている。
「落ち着いた感じ」の印象項目については、「配色」の設備要素項目が、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されており、さらに「一人当り床面積」「背面距離」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されている。
「調和」の印象項目については、「配色」の設備要素項目のみが、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
「整然とした配置」の印象項目については、「一人当り床面積」の設備要素項目のみが、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
「明るい」の印象項目については、「配色」の設備要素項目が「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されており、さらに「天井高」「照度」の各設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の各該当箇所に「○」マークが付されている。
次に、「活気」の印象項目に含まれる小項目について具体的にみると、「配色」の設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「○」マークが付されているが、「一人当たり床面積」「机幅」の各設備要素項目が、「逆方向への印象変化あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に何れも「▽」マークが付されている。
なお、「あたたかみ」の印象項目に相関する設備要素項目は認められなかったので、マーク表示部3は何れも空欄としてある。
次に、「デザイン性」の印象項目に含まれる小項目について具体的に見ると、「高級感」の印象項目については、「配色」の設備要素項目が、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されており、さらに「机幅」の設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「○」マークが付されている。
「洗練」の印象項目については、「配色」の設備要素項目のみが、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
「斬新な」の印象項目についても、「配色」の設備要素項目のみが、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
次に、「その他」の印象項目に含まれる小項目について具体的に見ると、「親しみやすい」の印象項目に相関する設備要素項目は認められなかったので、マーク表示部3は何れも空欄としてある。
「開放感」の印象項目については、「一人当り床面積」の設備要素項目が、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されており、さらに「配色」の設備要素項目が、「改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「○」マークが付されている。
「人の目が気にならない」の印象項目については、「机幅」の設備要素項目のみが、「顕著な改善効果あり」と認められるので、マーク表示部3の該当箇所に「◎」マークが付されている。
以下、このオフィス環境改善支援表Aの使用方法の一例について説明する。
まず、オフィス環境の改善のための提案に先立って、評価対象となるオフィスの設備面の客観的な評価として、上述した各設備要素項目について実測及び評価を行う。ここで、設備要素項目の実測に際しては、例えば図2に示すようなチェックリストB1を用いる。このチェックリストB1では、各設備要素項目(同図では評価項目)について、3段階の評価ランクの基準を設けており、当該オフィスでの実測値又は評価(評価については「配色(色彩の使い方)」の項目、その他の項目については実測)の該当する部位にチェックマークcmを記入していく。なお、評価ランクの基準については、左欄1)に1点、中欄2)に2点、右欄3)に3点の点数を付与し、合計点を最下欄の該当部位に記入する。すなわち、左欄にチェックマークcmが付された項目は評価が低いため改善の余地が大きく、右欄にチェックマークcmが付された項目は評価が高いため特に改善する必要がないことを示している。同図に示した場合は、1)(図中○内に1で示す、以下同じ)に4項目、2)に3項目、3)に1項目が該当しているので、合計点は13点である。
このようにして得られた各設備要素項目についてのチェックリストB1に基づく客観的調査結果は、例えば図3に示すようなグラフB2に表すことで、各設備要素項目の当該オフィスにおける現状を視覚的に把握することができる。すなわち、このグラフB2の正多角形(本実施形態では正八角形)の各頂点には設備要素項目がそれぞれ記されており、グラフB2の中心から頂点までの距離(図示例では1〜3)のいずれかに、その設備要素項目に関する前記チェックリストB1におけるチェックマークcmが付された点数が反映されている。そして、各設備要素項目の点数をこのグラフB2上において直線で結ぶことで、評価対象のオフィスにおける環境の現状を視覚的に把握することができる。
そして、広範なオフィス環境の調査関係から得られた設備要素と印象との相関関係から、上記設備要素項目がどの印象項目に影響を与えているかが把握することができるとともに、上記設備要素項目の点数により、その印象項目に与えている影響の程度も把握することができ、原則として、点数の低い設備要素項目を直接的に改善するのが効果的である。
しかし、物理的・コスト等の種々の理由により、その設備要素項目を直接的に改善することが困難な場合がある。
そこで、少なくとも一の印象項目に複数の設備要素項目が関連付けされている場合に、間接的な改善を行うことで直接的な改善が困難なオフィス環境であっても、改善効果を得ることができる。以下、具体例で説明を行う。
評価対象であるオフィスの環境が、例えば、設備要素項目「一人当り床面積」の評価が低い場合、すなわち、当該オフィスはワーカー一人当りに割り当てられる床面積が狭いと評価された場合は、複数の印象項目が悪化しており、その中で印象項目「落ち着いた感じ」のみに着目して説明する。印象項目「落ち着いた感じ」を改善するためには、図4に示すオフィス環境改善支援表Aのように、「一人当り床面積」の行を太実線で囲んで強調表示するとともに、当該行における「落ち着いた感じ」の表記及びマーク表示部3の「○」マークを太字で表し、さらに「落ち着いた感じ」の列において前記「○」マークよりも改善への影響度が高い「◎」マークが付された「配色」の行を太点線で囲んで強調表示するとともに、当該「配色」の表記及び「◎」マークを太字で表す。さらに、太字で表した「○」から「◎」に向けて矢印を記入する。このことから、このオフィスの「落ち着いた感じ」に関するワーカーの印象を改善するためには、設備面において「一人当り床面積」を改善するよりも、「配色」を改善した方がより効果が高いことが分かるので、「オフィス内での色の使い方を統一感があるように工夫すべき」といった提言を行うことができる。このことは、特に当該オフィスにおいて「一人当り床面積」の変更が困難な場合に、間接的に「配色」を改善することでより一層「落ち着いた感じ」が得られるので、非常に適切なアドバイスとなる。尚、間接的に「背面距離」を改善した場合は、間接的に「配色」を改善する場合と比べて、効果は高くないが改善効果は得られる。
同様に、例えば設備要素項目「天井高」の評価が低い場合、すなわち、当該オフィスは天井が低いと評価された場合は、印象項目「明るい」が悪化している。印象項目「明るい」を改善するためには、図5に示すオフィス環境改善支援表Aのように、「天井高」の行を太実線で囲んで強調表示するとともに、当該行における「明るい」の表記及びマーク表示部3の「○」マークを太字で表し、さらに「明るい」の列において前記「○」マークよりも改善への影響度が高い「◎」マークが付された「配色」の行を太点線で囲んで強調表示するとともに、当該「配色」の表記及び「◎」マークを太字で表す。さらに、太字で表した「○」から「◎」に向けて矢印を記入する。このことから、このオフィスの「明るい」に関するワーカーの印象を改善するためには、設備面において「天井高」を改善するよりも、「配色」を改善した方がより効果が高いことが分かるので、「オフィス内での什器や床や壁や天井の色を明るい配色にすべき」といった提言を行うことができる。具体的には、オフィス空間において上方にいくに従って明るい色とすることで、上への広がり感が生じる。現実に建築構造に由来する天井高を変更することは困難であるので、配色の変更という間接的な改善策は極めて有効であり且つ適切なアドバイスを行うことができる。尚、間接的に「照度」を改善した場合は、間接的に「配色」を改善する場合と比べて、効果は高くないが改善効果は得られる。
また、例えば設備要素項目「配色」の評価が低い場合、すなわち、当該オフィスは色遣いがごちゃごちゃしている場合は、複数の印象項目が悪化しており、その中で印象項目「ゆったり感」、「開放的」のみに着目して説明する。印象項目「ゆったり感」「開放的」を改善するためには、図6に示すオフィス環境改善支援表Aのように、「配色」の行を太実線で囲んで強調表示するとともに、当該行における「ゆったり感」及び「開放的」の表記及びマーク表示部3の「○」マークを太字で表し、さらに「ゆったり感」「開放的」の列において前記「○」マークよりも改善への影響度が高い「◎」マークが付された「一人当り床面積」の行を太点線で囲んで強調表示するとともに、当該「一人当り床面積」の表記及び「◎」マークを太字で表す。さらに、太字で表した「○」から「◎」に向けて矢印をそれぞれ記入する。このことから、このオフィスの「ゆったり感」「開放的」の印象を改善するためには、設備面において「配色」を改善するよりも、「一人当り床面積」を改善した方がより効果が高いことが分かるので、「オフィス空間の使い方を改善して人口密度を下げるべき」といった提言を行うことができる。
さらに、例えば設備要素項目「通路幅」の評価が低い場合、すなわち、当該オフィスは通路が狭い場合は、印象項目「作業しやすさ」が悪化している。印象項目「作業しやすさ」を改善するためには、図7に示すオフィス環境改善支援表Aのように、「通路幅」の行を太実線で囲んで強調表示するとともに、当該行における「作業しやすさ」の表記及びマーク表示部3の「○」マークを太字で表す。この場合、「作業しやすさ」の列において前記「○」マークよりも改善への影響度が高い「◎」マークが付された設備要素項目が存在しないので、「通路幅」が狭く「作業しにくい」という問題は、他の設備要素に手を加えることによっては間接的に改善することができないことがわかるので、「通路幅を直接的に広く取るように改善すべき」との提言を行うことができる。
以上のように、本実施形態に係るオフィス環境改善支援表Aを用いることで、オフィス内の設備に関する項目である設備要素項目と、それに関してワーカーが受ける印象に関する項目である印象項目との関係が、それらの交差するマーク表示部3に付されたマークによって明らかとなる。したがって、改善すべき印象項目に対応する直接的な設備要素項目の改善が困難な場合には当該印象項目に対応する他の設備要素項目を改善すれば、その印象項目についてさらに高度な改善を図ることができることや、改善すべき印象項目に対応する設備要素項目が1以下であればその設備要素項目を直接的に改善するべきである、との従来は困難であった多様な改善策の提示を行うことができる。またその提示に従って設備要素を改善することにより、該当するワーカーの印象が良好となり、より快適なオフィス環境の実現を図り、ひいては作業性やコスト面等のマネジメントの向上へとつなげることができる。
なお、本発明は上述した実施形態のオフィス環境改善支援表に限られるものではなく、印象項目や設備要素項目の数を加減したり、その順序を適宜変更することができる。また、このオフィス環境改善支援表は、用紙に印刷したものに限らず、コンピュータに接続されたディスプレイ等に表示されるものとすることもできる。また、オフィス環境改善支援表においては、対象となる項目を明示するために太字や太線で表した部分は、その代わりに色や線種を変更したり、対象となる項目以外の部分の色や線種を変更することで、該当部位を強調表示するようにしてもよい。
また、本発明は、例えば、所定の印象項目、設備要素項目、及びマークをディスプレイに表示したり用紙にプリントアウトするようにしたオフィス環境改善支援プログラムが格納してあるコンピュータによっても実現することができる。この場合の当該コンピュータは、オフィス環境改善支援設備として機能する。特にこの場合におけるオフィス環境改善支援設備は、印象項目、設備要素項目、及びマークを必ずしもマトリックス状の表として出力するものには限定されず、印象項目と設備要素項目との相関関係が何らかのマークによって認識できるように表示するものであれば、これらをテキストデータとして出力するようにしたものであってもよい。さらに、オフィス環境改善のための評価対象となったオフィスにおける各設備要素項目の測定結果やワーカーへのアンケート結果を、当該オフィス環境改善支援設備が利用可能なデータとして、そのデータから得られた改善点となる印象項目及び設備要素項目を、このオフィス環境改善支援設備により表示出力される印象項目、設備要素項目、及びマークに強調表示するなどして明示するように、このプログラムを設定することも可能である。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
A…オフィス環境改善支援表
1…設備要素項目表示部
2、20…印象項目表示部
3…マーク表示部
1…設備要素項目表示部
2、20…印象項目表示部
3…マーク表示部
Claims (14)
- オフィス環境の改善の指標を提示するために利用されるものであって、オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示する設備要素項目表示手段と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示する印象項目表示手段と、前記設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示するマーク表示手段とを具備してなり、少なくとも一の印象項目に対応するマークを複数の設備要素項目に関連づけていることを特徴とするオフィス環境改善支援設備。
- 前記設備要素項目と印象項目とを、それらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べてマトリックス状に配置する項目配置手段を更に具備し、前記マーク表示手段が、相関する設備要素項目と印象項目とが交差する部位にマークを表示するものである請求項1記載のオフィス環境改善支援設備。
- 前記複数の設備要素項目についてマークが付された印象項目に関して、当該マークとそれに対応する複数の設備要素項目とを明示する相関関係明示手段を更に具備している請求項1又は2記載のオフィス環境改善支援設備。
- 前記マークを、設備要素項目と印象項目との相関関係をオフィス環境の快適性に関する効果の度合いに対応して複数種類設定している請求項1、2又は3記載のオフィス環境改善支援設備。
- 前記設備要素項目が、ワーカーの一人当り床面積、天井高、通路幅、背面距離、机幅、曲り回数、照度、配色、から選択される2以上の項目を含む請求項1、2、3又は4記載のオフィス環境改善支援設備。
- 前記印象項目が、働きやすさ、活気、デザイン性、から選択される1以上の項目を含む請求項1、2、3、4又は5記載のオフィス環境改善支援設備。
- オフィス環境の改善の指標を提示するために利用されるものであって、オフィス環境に影響を及ぼす設備上の複数の設備要素に対応する設備要素項目を表示した設備要素項目表示部と、オフィスにおける執務者であるワーカーが受ける印象に関する複数の印象項目を表示した印象項目表示部と、前記設備要素項目と印象項目との相関関係を示すマークを表示したマーク表示部とを具備してなり、前記設備要素項目と印象項目とをそれらのうち何れか一方を行に並べ他方を列に並べてマトリックス状に配置し、設備要素項目と印象項目とが交差する部位を前記マーク表示部として、該マーク表示部において、少なくとも一の印象項目に対応して複数の設備要素項目に前記マークを表示していることを特徴とするオフィス環境改善支援表。
- 前記複数の設備要素項目についてマークが付された印象項目に関して、当該マークとそれに対応する複数の設備要素項目とを他のマーク及び設備要素項目と区別して表示している請求項7記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記マークを、設備要素項目と印象項目との相関関係をオフィス環境の快適性に関する効果の度合いに対応して複数種類設けている請求項7又は8記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記設備要素項目に、ワーカーの一人当り床面積、天井高、通路幅、背面距離、机幅、曲り回数、照度、配色、から選択される2以上の項目を含めている請求項7、8又は9記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記印象項目に、働きやすさ、活気、デザイン性、から選択される1以上の項目を含めている請求項7、8、9又は10記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記働きやすさの項目に、作業しやすさ、働きやすさ、ゆったり感、集中できる、移動しやすさ、快適な、落ち着いた感じ、調和、整然とした配置、明るい、から選択される1以上の小項目を含めている請求項11記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記活気の項目に、活気、あたたかみ、から選択される1以上の小項目を含めている請求項11又は12記載のオフィス環境改善支援表。
- 前記デザイン性の項目に、高級感、洗練、斬新な、から選択される1以上の小項目を含めている請求項11、12又は13記載のオフィス環境改善支援表。
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JP2009129124A (ja) * | 2007-11-21 | 2009-06-11 | Ntt Facilities Inc | オフィス環境分析装置、オフィス環境分析システム、プログラム |
JP2015165364A (ja) * | 2014-03-03 | 2015-09-17 | Necソリューションイノベータ株式会社 | 組織改善活動支援装置、組織改善活動支援方法および組織改善活動支援プログラム |
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2003
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JP4500846B2 (ja) * | 2007-11-21 | 2010-07-14 | 株式会社Nttファシリティーズ | オフィス環境分析装置、オフィス環境分析システム、プログラム |
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