JP2005083929A - 食肉の品質計測方法及び装置 - Google Patents

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正博 秋葉
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卓夫 白石
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Abstract

【課題】流通の現場での使用が可能な簡便な仕組みで、迅速に、かつ非破壊的に食肉の品質を判定する計測方法及び装置を提供する。
【解決手段】加熱および冷却機能を有する温度制御素子1、熱をサンプルに伝えるための熱伝導体2、放熱部3、測定光を透過し熱伝導性の高い材質からなる光学ウィンドウ4を備え、それらが積み重ねられ一体化された局所温度制御ユニットである。光学ウィンドウ4は光計測のための照射光および測定光が通過する観測窓であり、この局所温度制御ユニットを光計測装置と組み合わせて用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、食肉の品質を評価する方法と装置に関するものである。
食生活の欧米化に伴い、牛肉・豚肉・鶏肉といった食肉の消費は拡大し続けている。最近では食肉の品質に対する消費者の関心が高くなり、産地名・品種名を冠したブランド肉も多く市場に現れるようになっている。しかしながら、この食肉の品質を客観的に評価する方法は少なく、食肉市場における品質評価基準の統一性が乏しい原因となっている。
食肉の中で品質によって価格が最も大きく異なる牛肉を例にとっても、現行の品質判定は、専門家による形態評価が中心であり、屠畜後1〜3日後になされる枝肉の格付けが評価の基準となっている。肉質等級の判定は見た目によってなされ、主観的で個人差が大きいため、より客観的な判定基準が求められている。
なお、枝肉の格付けは歩留等級と肉質等級で表示が決まる。歩留等級は全体に占める肉質部分の割合を表す客観的数値であるが、肉質等級は肉眼の判定を主としている。肉質等級は、脂肪交雑・肉の光沢・肉の締まり及びきめ・脂肪の光沢と質の4項目で決定され、いずれも見た目によって5段階で評価される(日本食肉格付け協会)。
中でも、食肉に含まれる脂肪は、この食品の品質に対する評価と深く関係している。前述の牛肉の肉質等級においても、脂肪交雑・脂肪の光沢という項目は、断面における脂肪分布と外観によって肉質を評価しようとしたものである。一般に高級牛肉が“霜降り”と呼ばれるように、‘筋肉繊維に脂肪がどのように、どの程度混ざっているか’が重要な判断基準となっている。
加えて、脂肪の質も重要である。豚肉においては硬い脂肪が好まれる。これは、脂肪が軟らかいものは、スライス等の加工の際に問題が生じるためである(非特許文献1)。
一方、牛肉においては、脂肪の軟らかさが重要とされる。特に国産牛肉(黒毛和種の牛肉)は、肉の軟らかさと共に脂肪の美味しさに特徴があるとされている。
その脂肪の美味しさは、多くの因子が複雑に関係して決定されると考えられるが、近年の研究から脂肪の融点が重要な因子であることが分かってきた(非特許文献2)。例えば、融点が高い脂肪を含んでいる牛肉は、食べたときに粉っぽさが感じられ食感も損われる。逆に、融点が低い脂肪を含んでいる牛肉は、調理後時間がたってもジューシーさが残り、美味しいと感じられる。しかし、現時点では、食肉に含まれる脂肪の融点を測定する方法には、脂肪部分を切り出す方法か、あるいは有機溶媒を用いて脂肪分を抽出した後に、加熱に伴う脂肪の融解点の温度を計測する方法(上昇融点法)しかない。市場に出荷する食肉について、このような方法で含まれる脂肪の融点を測定することは、手間と時間がかかるため事実上不可能である。
本発明は、食肉に含まれる脂肪の融点を非破壊的に評価し、脂肪の融点の高低によって左右される食肉の旨さを客観的に判定しようとするものである。
以下に、本発明の技術的背景を説明するための、光計測について述べる。光計測は、測定光を試料に照射し、測定光と試料との間の相互作用によって変化した測定光の物理特性(強度・偏光など)を検出することによって、試料の情報を引き出す計測方法である。
農産物の光計測は、アメリカを中心として1960年代から精力的に研究されてきた。この時期に、測定光として近赤外光を用いる近赤外分光法(NIR spectroscopy)が発達し、タマネギ・メロンなどの農作物の成分分析への適用が試みられた。日本においても、1980年代から果実の非破壊計測が多く研究され、現在では、果実非破壊糖度計は実用化され選果場で使用されている(非特許文献3)。光計測の食肉への応用は、主として1990年代後半からは、H.J.Swatland(カナダ)と入江正和(日本)によって研究され報告されてきた(非特許文献1,4)。その手法は、可視から近赤外にわたる波長の光を順次食肉に照射し、反射してくる光の強度を計測することで、食肉の特性を評価しようとするものである。原理的には、光計測によって食肉の成分に由来する光吸収および構造に起因する光散乱を測定することで、肉の色調のみならず色素量・成分の組成・組織状態などを評価することが可能ではある。しかしながら、これらの特性には種々の要因が関係するため、相関のある反射光強度スペクトルは得られるものの、評価としての実用化の可能性を明確に示す報告はなされていない。
本発明は、評価対象を食肉の脂肪に限定し、食肉の表面の温度を変化させながら光計測を用いて表面状態の変化を観察するものである。ゆえに、総合的な肉質の評価は不可能であるが、食肉の旨さと相関する脂肪の融点の高低を評価することができる実効性の高い方法である。
最後に、本発明に関連する光計測の従来技術について概説する。
(1)表面形状計測:CCDカメラなどを用いて対象物の表面の形状を計測する技術である。照明系の色調、照明方法を変える、または偏光した光を用いることで、表面状態の差異を抽出することが可能である。
(2)光干渉計測:光の波動性を用いた光の干渉とは、2つ以上の波が重なり合って互いに強め合う、あるいは弱め合う現象のことで、物体の距離計測や光学的な表面の精度などの測定に利用される。光を直接検出する方式に比べ、高精度、高感度な計測が可能である。広帯域光源の短い可干渉距離を利用した生体内部の2次元断層画像化法として、光コヒーレンス断層画像化法(OCT)(特許文献1)が近年に盛んに研究されており、現在眼科用診断装置として実用化されている。
特許第2010042号 入江正和"食肉の光学的計測"、農林水産技術研究ジャーナル、24(9),2001. 小林正人、阿部正博、石山徹、奥山雄治、奥山祐輔、安彦重直"山形牛の脂肪の質"、山形県畜産研究報告、第1号、平成15年. 河野澄夫"果実・野菜等の非破壊選別":「生体・環境計測へ向けた近赤外センシング技術」、竹本、関、牧内、高橋 編、(株)サイエンスフォーラム、1999. H.J.Swatland,J.C.Brooks,M.F.Miller,"Possibilities for Predicting Taste and Tenderness of Broiled Beef Steaks using an Optical−electromechanical Probe",Meat Science,50(1),1−12,1998.
上記した通り、現在、食肉の品質を非破壊的かつ客観的に評価する方法の開発が待たれている。
本発明は、上記状況に鑑み、食肉に含まれる脂肪の融点が食肉の旨さと相関することに着目して、非破壊的に食肉の脂肪の融点を測定することにより、食肉の品質を客観的に評価する計測方法を提供する。加えて、本発明は、この計測方法を実現し、流通の現場での使用が可能な簡便な仕組みで、迅速に、かつ非破壊的に食肉の品質を判定する計測方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕食肉の品質計測方法において、食肉の表面の温度を制御しながら光計測を行い、前記食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定することにより、前記食肉の品質を評価することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の食肉の品質計測方法において、前記食肉の脂肪を局所的に温度制御し、前記温度制御される食肉の局所に光計測のための観察窓により観察領域を設定することを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の食肉の品質計測方法において、対象部位の温度を制御しながら、食肉の表面状態を観察することを特徴とする。
〔4〕上記〔3〕記載の食肉の品質計測方法において、前記観察領域において脂肪部分のデータを抽出し、温度変化に伴う脂肪表面からの光の散乱強度により融点を評価することを特徴とする。
〔5〕上記〔3〕記載の食肉の品質計測方法において、前記光計測のための測定光として偏光性を有する照明光を照射し、温度変化に伴う食肉の脂肪表面からの偏光特性を検出することを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕記載の食肉の品質計測方法において、対象部位の温度を制御しながら、食肉の光干渉計測を行うことを特徴とする。
〔7〕上記〔6〕記載の食肉の品質計測方法において、前記観察領域から食肉の脂肪領域を選択し、この脂肪領域を食肉の脂肪の解析領域とすることを特徴とする。
〔8〕上記〔7〕記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の解析領域における温度に依存した脂肪表面及び内部の光散乱強度分布の変化から融点を推定することを特徴とする。
〔9〕上記〔7〕記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の解析領域における温度に依存した脂肪表面及び内部の2次元断層画像を取得し、内部構造の2次元的な変化から融点を推定することを特徴とする。
〔10〕上記〔9〕記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の表面および表面下層の領域における温度に依存した断層構造情報を対象として画像処理を行うことを特徴とする。
〔11〕食肉の品質計測装置において、食肉の表面の温度を制御する温度制御手段と、この温度制御手段により食肉の表面の温度を制御しながら、光計測を行う光計測手段とを備え、前記光計測手段により前記食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定し、食肉の品質を評価することを特徴とする。
〔12〕上記〔11〕記載の食肉の品質計測装置において、前記温度制御手段は食肉の脂肪を局所的に温度制御する機構を有し、かつ光計測のための観察領域を画成する観察窓を有することを特徴とする。
〔13〕上記〔12〕記載の食肉の品質計測装置において、前記温度制御手段は前記食肉表面とこの食肉内部の温度をモニターする温度センサを具備することを特徴とする。
〔14〕上記〔11〕記載の食肉の品質計測装置において、前記光計測手段は、2次元光検出器を用いた簡便な表面形状計測系であることを特徴とする。
〔15〕上記〔11〕記載の食肉の品質計測装置において、前記光計測手段は、光干渉計測装置であることを特徴とする。
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)簡便な方法及び装置で食肉に含まれる脂肪の融点を非破壊的に計測することができ、食肉の品質の客観的な判定が可能となる。
(2)市場に供給する食肉の品質を保証することができる。さらに、信頼のおける客観的な判断基準を消費者に提示することにより、食肉に対する消費意欲を喚起することができる。
本発明は、食肉の表面の温度を制御する温度制御手段と、この温度制御手段により食肉の表面の温度を制御しながら光計測を行う光計測手段とを備え、前記光計測手段により前記食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定し、食肉の品質を評価する。したがって、食肉の品質の客観的な判定が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明にかかる食肉の脂肪を局所的に温度制御する局所温度制御ユニットの概略図である。
この図において、局所温度制御ユニットは加熱および冷却機能を有する温度制御素子(例えばペルチェ素子)1、熱をサンプル(食肉)に伝えるための熱伝導体(例えば銅板)2、放熱部(例えばヒートシンク)3、測定光を透過し熱伝導性の高い材質からなる光学ウィンドウ(例えばサファイアガラス)4から構成されており、それらが積み重ねられ一体化された構造である。光学ウィンドウ4は光計測のための照射光および測定光が通過する観測窓であり、この局所温度制御ユニットは後述の光計測装置と組み合わせて用いられる。温度制御時の食肉の実際の温度は、光学ウィンドウ4に取り付けられた温度センサ(例えば熱電対)5により、食肉表面、および表面より僅かに内部の温度を計測することによりモニターされる。また、非接触型の温度センサとして放射型の温度センサを用いることも可能である。食肉脂肪に与える温度勾配は温度センサ5の出力を利用したクローズループで制御され、枝肉展示ライン(10℃)および冷蔵庫(4℃)内温度から50℃までの温度勾配が可能である。この局所温度制御ユニットをサンプル(食肉)の表面に接触させて測定を行う。
〔表面形状測定による融点の評価装置の概要〕
図2は本発明にかかる食肉の脂肪を評価するための光学顕微鏡システムの構成図である。
この図に示すような光学顕微鏡システムにおいて、光源(例えば白色ランプ、LED、レーザー光源、スーパールミネッセントダイオードなど)11からの照明光はハーフミラー15により二分され、一方の光は対物レンズ16を通して被検体(サンプル)18に照射される。この被検体18からの後方散乱光が同じ対物レンズ16で集光され、結像レンズ19によってイメージセンサ、例えばCCDカメラ21上に被検体18の表面画像を結像する。有限遠の対物レンズ16を用いた場合は結像レンズ19を必要としない。照明方法としてここでは同軸落射照明を示したが、リング照明や暗視野対物レンズを用いてもよい。
計測方法としては、図1で示した局所温度制御ユニット17を用いて被検体18の脂肪部を局所的に加温している間、CCDカメラ21で被検体18の表面画像を撮像していく。低温時の脂肪は白濁色であるが、加温して脂肪が溶け出すと表面が白濁色から透明色と変化し、かつ表面が液状化する。これに伴い被検体18の表面画像の信号強度が増加する様子をCCDカメラ21で観測する。このとき、光学フィルタ13により照明光として使用する波長帯域を制限することで、より高いコントラストの画像を取得できる。
照明光として偏光性を有する照明光を用いる場合は、食肉表面の偏光特性を検出することで、より明瞭な識別が可能である。光源11からの照明光を偏光子14を透過させることで特定の偏光性を有する光で被検体18を照明する。また、CCDカメラ21の前に検光子20を配置し、検出する偏光面を任意に選択することで、温度依存による表面の偏光特性を検出し、融点を評価する。偏光子14と検光子20の偏光面を直交するように配置した場合は、融点より低い温度状態では偏光解消されず反射強度が小さい。一方、脂肪が溶け出すにつれて偏光解消が顕著となり、反射強度が大きくなるため、脂肪部の輝度値の総和により融点を評価することができる。
上記したいずれの方法も、表面画像から脂肪の領域のみを抽出するために、取得した画像を2値化し、脂肪部と赤身の領域区分マップを作成しておき、脂肪の領域のみを画像データ処理において使用する。
〔具体例1〕
以下に温度に依存した表面画像の検出方法の実施例を示す。
光源として白色ランプから赤色の色ガラスフィルタを透過させた光を用いた。被検体としての食肉脂肪に対して同軸落射照明を施し、被検体の表面画像を白黒CCDカメラで検出した。偏光子および検光子は設置していない。対物レンズと被検体の間に局所温度制御ユニット(図1)を配置し、おおよそ10℃/分の温度勾配をかけた。予め上昇融点法を用いて融点を測定しておいた食肉脂肪を被検体として、融点より低い温度、高い温度のときに観測した脂肪表面の画像を図3(a)及び図3(b)に示した。
図3(a)によれば、脂肪部が全体の領域の半分ほどで観測されていることが分かり、溶解する前であるため白濁色をしている。一方、図3(b)は溶解した後の画像であるため、表面が液状化し、照明光の反射強度が増していることが分かる。また、脂肪と赤身の領域を区別するために、初期状態で取得した画像の2値化結果を図3(c)に示す。この図3(c)からも明らかなように、食肉の脂肪部のみの抽出が可能であり、この領域を計測における観測領域に設定して制御温度との画像データの相関を解析することで脂肪の溶け出す温度を判定した。
〔光干渉による融点の評価装置の概要〕
光干渉を用いた被検体の内部構造を描出する方法として、光コヒーレンス断層画像化法(OCT)が利用可能である。OCT用の光源としては、生体への透過性が比較的良いことから中心波長が800〜1300nmの近赤外域の広帯域光源が適している。OCTの基本構成を図4に示す(この構成自体はすでに実用化されている装置である)。マイケルソン干渉計をベースとした光学系において、広帯域光源31からの光をレンズ32でコリメート光とし、ハーフミラー33で信号光と参照光に2分割する。参照光は参照ミラー34により全反射され、ハーフミラー33へ戻る。
一方、信号光は回転機構をもつミラー35で特定の角度方向に反射され、レンズ36で収束する光ビームとなり、被検体(サンプル)38に照射される。被検体38の前には局所温度制御ユニット37が配置されている。被検体38からの後方散乱光は同じレンズ36で収光され、ミラー35を通ってハーフミラー33へと戻され、ここで参照光と合波され、レンズ39を介して光検出器40で光電変換される。光電変換された信号はアナログ信号処理部41を通り干渉信号の包絡線処理を行い、コンピュータ42中に干渉信号強度として記録される。このとき、光源の短い可干渉距離(低干渉特性)により、信号光と参照光の光路長差が光源の可干渉距離(コヒーレンス長)以内であり、かつ信号光と参照光の位相相関のある成分、すなわちコヒーレントな信号光成分のみが選択的に参照光と干渉し合う。参照ミラー34を光軸方向に走査(Zスキャン)し、参照光の光路長を変化させることで、被検体38内部深さからの1次元強度プロファイルを得ることができる。さらにミラー35を回転(Xスキャン)させることで被検体38の異なった横方向の位置で散乱光強度プロファイルの測定を行う。これら多数取得した散乱強度プロファイルを用いてサンプル38の深さ×横方向の2次元断層画像が構成される。局所温度制御ユニット37で被検体38を冷蔵庫内温度(4℃)から加温し、温度変化に伴う脂肪部の断層画像を取得することで、温度依存性のある断層画像を得ることができる。
〔具体例2〕
図5に、光ファイバを用いたマイケルソン干渉計をベースとした食肉の品質計測装置の概略を示した。低コヒーレンス光源51として中心波長830nm、波長帯域20nmの連続出力のスーパールミネッセントダイオード(SLD)を用いた。この光源51を用いたときの可干渉距離は約15μmであり、食肉の内部構造を抽出する分解能としては十分である。光源51からの光は光ファイバカプラ52により参照光(上部)と信号光(下部)に2分され、参照光はレンズ53によりコリメートした光ビームとなり参照ミラー54で全反射され、レンズ53を通って光ファイバ中に戻る。信号光はガルバノメータにつけられたミラー57により反射され、対物レンズ58により光を収束して被検体(サンプル)60に入射される。被検体60からの後方散乱光は同じ対物レンズ58で集光され、レンズ55を介して光ファイバ中へ戻り、参照光と合波され光検出器65により光干渉信号が検出される。光電変換された電気信号はアナログ信号処理部66により包絡線検波されコンピュータ67にデータが蓄積される。光干渉計測の光学軸上に照明光学系とCCDカメラ64を配置することで、被検体60のCCDカメラ64による表面画像測定と光干渉による断層情報測定の同時観測が可能である。同時観測を行うために、近赤外光を透過し、可視光を反射するダイクロイックミラー56を用いて可視光の照明を同軸上に混合する。光源63からの光は結像レンズ61と対物レンズ58を用いて被検体60に対して均一に照明し、同じ対物レンズ58と結像レンズ61を用いてCCDカメラ64上に結像する。この複合検出系によれば、CCDカメラ64で被検体60表面を観察し、観測された領域から脂肪領域のみを自動抽出し、その脂肪の領域を光干渉による断層情報測定領域とすることで、二重の検出系による食肉融点の評価が可能である。
また、図5の点線で囲った部分は、干渉計本体と測定プローブ部を分離することで小型化し、携帯性を向上させ測定を容易にした、ハンディープローブ部である。
〔データ処理の概要〕
光干渉を用いた断層情報により食肉の脂肪の融点を評価する処理方法を以下に示す。2次元画像は、1次元プロファイルを異なった横方向で多数取得したものであるため、1次元プロファイルによる評価機能も有する。
(1)内部からの1次元反射強度プロファイルを用いた処理方法
図6は、低コヒーレンス干渉計を用いて測定した融点の既知な食肉脂肪の反射強度プロファイルであり、横軸が深度(mm)、縦軸がスペクトル強度(dB)を示している。局部温度制御ユニットを用いた温度制御下のもと、融点より低い温度の時〔図6(a)参照〕に測定したもの、融点より高い温度の時〔図6(b)参照〕に測定したものの反射強度プロファイルである。
ともに表面部分より深度0.35mmのところでの強い反射強度ピークと、0.35mmより深い領域では被検体内部の構造情報を示す散乱成分が検出されている。図6(a)と図6(b)を比較して分かるように、低温時には比較的連続的な散乱強度分布が見られるのに対し、融点以上の温度では脂肪が溶けているため離散的な凹凸のある散乱強度分布に変化している。ここで示したように、温度に依存した散乱強度分布の変化を用いて融点を推定および食肉の品質を評価する。たとえば、低温時の反射強度プロファイルを基準とした相互相関値や凹凸の分布状況などを判断のパラメータとする。
(2)脂肪内部の2次元断層画像を用いた処理方法
図7は、低コヒーレンス干渉測定において深さ方向の断層情報測定に加え、光ビームを横方向に走査することで2次元断層画像を測定して取得したものである。画像の縦方向が被検体の深さ方向、横方向が被検体への横スキャン方向に対応する。図7(a)、図7(b)はそれぞれ融点が既知な脂肪の融点より低い温度で測定した時、高い温度で測定した時の断層画像である。図6に示した反射強度プロファイルからも明らかなように、図7においても融点の前後で散乱強度の変化を明瞭に識別できる。
これらの温度依存の断層画像を取得し、被検体の表面下の2次元的な構造分布の特徴を捉えることで食肉の脂肪の融点を評価する。例えば、微分フィルタなどの空間フィルタを用いて空間的な特徴を適用する、あるいは被検体の表面から特定の深さまでの領域における散乱強度の違いから食肉の脂肪の融点を測定する。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の食肉の品質計測方法及び装置は、食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定するのに適しており、食肉の客観的な品質評価ができる。
本発明にかかる食肉の脂肪を局所的に温度制御する局所温度制御ユニットの概略図である。 本発明にかかる食肉の脂肪を評価するための光学顕微鏡システムの構成図である。 予め上昇融点法を用いて融点を測定しておいた食肉脂肪を被検体として、融点より低い温度、高い温度のときに観測した脂肪表面の画像及び初期状態で取得した画像の2値化結果を示す図である。 OCTの基本構成を示す図である。 光ファイバを用いたマイケルソン干渉計をベースとした食肉の品質計測装置の概略図である。 低コヒーレンス干渉計を用いて測定した融点の既知な食肉脂肪の反射強度プロファイルを示す図である。 低コヒーレンス干渉測定において深さ方向の断層情報測定に加え、光ビームを横方向に走査することで2次元断層画像を測定して取得した結果を示す図である。
符号の説明
1 加熱および冷却機能を有する温度制御素子
2 熱をサンプルに伝えるための熱伝導体
3 放熱部
4 光学ウィンドウ
5 温度センサ
11,63 光源
12 レンズ
13 光学フィルタ
14 偏光子
15,33 ハーフミラー
16,58 対物レンズ
17,37 局所温度制御ユニット
18,38,60 被検体(サンプル)
19,61 結像レンズ
20 検光子
21,64 CCDカメラ
31 広帯域光源
32,36,39,53,55 レンズ
34,54 参照ミラー
35 回転機構をもつミラー
40,65 光検出器
41,66 アナログ信号処理部
42,67 コンピュータ
51 低コヒーレンス光源
52 光ファイバカプラ
56 ダイクロイックミラー
57 ミラー

Claims (15)

  1. 食肉の表面の温度を制御しながら光計測を行い、前記食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定することにより、前記食肉の品質を評価することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  2. 請求項1記載の食肉の品質計測方法において、前記食肉の脂肪を局所的に温度制御し、前記温度制御される食肉の局所に光計測のための観察窓により観察領域を設定することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  3. 請求項1記載の食肉の品質計測方法において、対象部位の温度を制御しながら、食肉の表面状態を観察することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  4. 請求項3記載の食肉の品質計測方法において、前記観察領域において脂肪部分のデータを抽出し、温度変化に伴う脂肪表面からの光の散乱強度により融点を評価することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  5. 請求項3記載の食肉の品質計測方法において、前記光計測のための測定光として偏光性を有する照明光を照射し、温度変化に伴う食肉の脂肪表面からの偏光特性を検出することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  6. 請求項1記載の食肉の品質計測方法において、対象部位の温度を制御しながら、食肉の光干渉計測を行うことを特徴とする食肉の品質計測方法。
  7. 請求項6記載の食肉の品質計測方法において、前記観察領域から食肉の脂肪領域を選択し、該脂肪領域を食肉の脂肪の解析領域とすることを特徴とする食肉の品質計測方法。
  8. 請求項7記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の解析領域における温度に依存した脂肪表面及び内部の光散乱強度分布の変化から融点を推定することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  9. 請求項7記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の解析領域における温度に依存した脂肪表面及び内部の2次元断層画像を取得し、内部構造の2次元的な変化から融点を推定することを特徴とする食肉の品質計測方法。
  10. 請求項9記載の食肉の品質計測方法において、前記脂肪の表面および表面下層の領域における温度に依存した断層構造情報を対象として画像処理を行うことを特徴とする食肉の品質計測方法。
  11. (a)食肉の表面の温度を制御する温度制御手段と、
    (b)該温度制御手段により食肉の表面の温度を制御しながら、光計測を行う光計測手段とを備え、
    (c)前記光計測手段により前記食肉の脂肪の融点を非破壊的に測定し、食肉の品質を評価することを特徴とする食肉の品質計測装置。
  12. 請求項11記載の食肉の品質計測装置において、前記温度制御手段は食肉の脂肪を局所的に温度制御する機構を有し、かつ光計測のための観察領域を画成する観察窓を有することを特徴とする食肉の品質計測装置。
  13. 請求項12記載の食肉の品質計測装置において、前記温度制御手段は前記食肉表面と該食肉内部の温度をモニターする温度センサを具備することを特徴とする食肉の品質計測装置。
  14. 請求項11記載の食肉の品質計測装置において、前記光計測手段は、2次元光検出器を用いた簡便な表面形状計測系であることを特徴とする食肉の品質計測装置。
  15. 請求項11記載の食肉の品質計測装置において、前記光計測手段は、光干渉計測装置であることを特徴とする食肉の品質計測装置。
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