JP2005083928A - 電気化学バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 試料内酸素濃度の変化の影響を受けず、タンパクなどの生体成分の吸着が抑制され、繰り返しセンサを生体物質の測定に使用できる電気化学バイオセンサおよびその製造方法の提供。
【解決手段】 電極と、電極を覆うアルブミンと架橋された酵素との複合膜と、疎水性であり、架橋反応を行う為の官能基を有する低分子の電子移動メディエータとを具え、電子移動メディエータが複合膜中に存在することを特徴とする電気化学バイオセンサ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生体内もしくは生体試料中に含まれる生体成分を、定量性良く、連続あるいは、繰り返し測定するためのバイオセンサに関する。
臨床検査や生体機能の解明のため、生体中もしくは生体からサンプリングした試料中の生体成分の測定が盛んに行われ、その手法も数多く報告されている。電気化学バイオセンサでは電極上に酸化酵素が修飾されたセンサが数多く研究されている。なかでもグルコース酸化酵素が修飾されたグルコースセンサの報告例は数多く、(1)グルコース酸化酵素とグルコースとの酵素反応により発生した過酸化水素を電極上で直接酸化、もしくは西洋わさびペルオキシターゼを介して還元し検出する手法(非特許文献1参照)、(2)グルコース酸化酵素との酵素反応により減少した溶存酸素濃度を測定する手法(非特許文献2参照)、(3)グルコース酸化酵素と電極間の電子移動を直接測定する手法(非特許文献3参照)の3つに大別できる。
(1)の酵素反応により発生した過酸化水素を電極上で直接酸化することで測定する手法では、通常0.5V程度の電位を印加した電極により測定が行われるため、生体中に存在するアスコルビン酸等の易酸化物質が妨害物質として働き、生体中での測定では定量性に欠けるという問題点があった。また、酵素反応に酸素が必要なため、センサ感度が溶存酸素濃度に大きく影響される。
次に、(2)の方法は、生体中の溶存酸素濃度そのものが変動するため、生体中での測定には適していなかった。このため、方式(3)のように、電子移動メディエータを用いて、酵素と電極間の直接電子移動を行わせ、酵素の還元に酸素を必要とせず、測定を行うセンサが開発されている。このセンサでは、溶存酸素濃度に影響され難く、また比較的低電位での測定が可能である。しかしながら、生体中での測定においては酵素膜表面または電極表面にタンパクが吸着するためにセンサ感度が低下してしまい、長期安定性に欠けるという問題点があった。そこで各種生体適合膜をセンサ上に固定化することにより、タンパクの付着を阻害し、定量性良く検出する必要がある。
血液に対する適合性膜については、血液成分が材料表面に付着しないように疎水性の高い高分子、例えばポリテトラフルオロエチレンやポリジメチルシロキサン、ポリウレタンなどか用いられてきた(非特許文献4参照)。これとは反対に材料表面を親水性の高い高分子、例えばポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)やポリアクリルアミドなどを用いて界面自由エネルギーの低い表面を形成し、血液成分の付着を抑制する試みも行われてきた(非特許文献4参照)。血液中の生体成分を測定するバイオセンサには、疎水性膜によるコーティングでは測定対象分子の拡散が阻害され測定することが出来ないため、主に親水性の生体適合膜をバイオセンサ最外層に固定化し、用いられてきた(非特許文献5参照)。近年、オルガノポリシロキサンをグルコース酸化酵素と共に電解重合することにより、血小板の吸着を抑制する構造を有するセンサについても報告されているが、電解重合に時間がかかるために量産性に欠けるという問題点があった(非特許文献6参照)。
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電気化学バイオセンサを用いた生体試料の測定では、タンパクの吸着によってセンサ感度が低下し、定量性良く検出することが出来なかった。このためタンパクの吸着による感度低下を抑制するために、各種生体適合性膜がバイオセンサに応用されてきた。しかしながら、生体適合膜形成の際に有機溶媒を用いる場合や紫外線を照射する必要があり、生体適合膜形成時に電極上に固定化された酵素の活性が低下してしまうという問題があった。また生体適合性膜をセンサ最外層に形成することにより、目的とする基質の拡散が抑制されるため、センサの感度低下や、素早い応答を得ることが出来ないという問題点もあった。
上記課題を解決するため、電極上に形成する電子移動メディエータおよび酵素において、疎水性メディエータと酵素を固定化するマトリクスとの複合体を形成したバイオセンサを構築した。疎水性メディエータと酵素膜を複合化することにより、試料内酸素濃度の変化の影響を受けないことはもとより、タンパクなどの生体成分の吸着が抑制され、繰り返しセンサを生体物質の測定に使用できる。
本発明の電気化学バイオセンサは、タンパクの吸着を防止し、電子移動メディエータを含む複合膜を有するので、タンパク質吸着による感度低下の抑止、センサー寿命の長期化、および試料中の酸素濃度の影響を受けることのない定量性の高い生体試料の測定が可能である。そして、該複合膜は目的とする基質の速やかに拡散させるので、高い感度および応答速度を得ることができる。
また、本発明の電気化学バイオセンサの製造方法では、酵素の塗布時または塗布後に有機溶媒も紫外線照射も用いないので、それらによる酵素の活性低下に伴う低感度化を伴わずに、該センサを製造することが可能である。
本発明の電気化学バイオセンサは、電極(作用電極)と、前記作用電極を覆う、マトリクス、酵素および電子移動メディエータを含む複合膜とを有する構造を具備する。前記作用電極は、当該技術において知られている任意の材料(たとえば、金、白金、銀、炭素、酸化スズ、ITO、導電性ダイヤモンド、有機導電体)から形成されていてもよい。また、前記作用電極の形状は当該技術において知られている任意のものであってもよい。たとえば、作用電極は、所望の断面積を有する金線の周囲をエポキシ樹脂などのポリマーで被覆し、金線の端面のみを露出させる構造を有していてもよい。
前記複合膜は、マトリクスと、酵素と、疎水性の官能基を有する低分子の電子移動メディエータとを含む膜である。前記酵素は、電子移動メディエータを介して作用電極との間で電子の授受を行い、検出すべき化合物を酸化/還元させることが可能であることを条件として、当該技術において知られている任意のものであってもよい。たとえば、グルコース、乳酸、グルタミン酸、アルコール、コレステロールなどを酸化/還元する酵素を用いて、それら物質を検出するための様々なバイオセンサに応用可能である。
電子移動メディエータは、複合膜中に閉じ込められて、作用電極と酵素との間に導電性電子移動経路を形成するための構成要素である。電子移動メディエータとして、疎水性で、低分子量の有機化合物ないし錯体を用いることが好ましい。本発明において「疎水性」であるとは、溶液に飽和濃度に溶解した当該電子移動メディエータが、サイクリックボルタンメトリーによって酸化還元ピーク電流を与えないことを意味する。また、本発明における「低分子量」とは、モノマーの分子量が300以下であることを意味する。さらに、本発明において用いられる電子移動メディエータは、架橋可能なビニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボン酸などの官能基を有することが好ましい。特にビニル基が有用である。本発明において好ましい電子移動メディエータはビニルフェロセンおよびその誘導体を含む。用いることができるビニルフェロセン誘導体は、メチルビニルフェロセン、ヒドロキシビニルフェロセン、アミノビニルフェロセンの各誘導体を含む。
アルブミンは、複合膜に対して生体適合性(特に血液適合性)を付与し、酵素を固定化する担体となるマトリクスである。マトリクスとしては、架橋反応により不溶化した、アルブミンなど生体由来のタンパク質などのポリペプチド、合成的に得られるポリリジン、ポリアスパラギン酸などのポリアミノ酸、その他ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、デキストラン、カルボキシメチルセルロースを用いることができる。アルブミンなどの生体由来マトリクス材料は、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いることにより、室温のような温和な条件下で容易に架橋することが可能であるので、架橋したマトリクス/架橋剤のネットワーク中に酵素および電子移動メディエータを固定化することが可能である。また、ある種の酵素および電子移動メディエータは、マトリクスおよび/または架橋剤と架橋することができるので、それら酵素および電子移動メディエータは、化学結合によってマトリクスと架橋されていてもよい。
本発明の電気化学バイオセンサは、作用電極に対して、電子移動メディエータを含む溶液(分散液)を塗布する工程と、マトリクスおよび酵素を含む水溶液(または水分散液)を塗布する工程とを用いて製造することができる。
電子移動メディエータを塗布する工程は、エタノール、アセトンなどの低沸点有機溶剤に疎水性である電子移動メディエータを溶解させた溶液または電子移動メディエータの水分散液を用い、キャスト法、ディップコート法またはスピンコーティング法など、従来技術において知られている任意の方法によって実施することが可能である。低沸点有機溶剤を用いる場合は、引き続きマトリクスおよび酵素の塗布工程前に該溶剤を揮発させることが望ましい。それによって、溶剤による酵素活性の低下を抑制することが可能となる。
マトリクスおよび酵素を塗布する工程も、同様にキャスト法、ディップコート法またはスピンコーティング法など、従来技術において知られている任意の方法によって実施することが可能である。マトリクスおよび酵素を含む水溶液(水分散液)は、グルタルアルデヒドのような架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤をさらに含む溶液を塗布することによって、マトリクスの架橋、あるいはマトリクスと酵素もしくは電子移動メディエータとの架橋を進行させると同時に、マトリクス中への電子移動メディエータの拡散を行わせて、本発明の複合膜を形成することができる。このとき、酵素は、架橋剤を介してマトリクスと化学結合により結合されて固定化されていてもよく、マトリクス/架橋剤のネットワーク内に取り込まれることによって固定化されていてもよい。電子移動メディエータも同様である。
あるいはまた、架橋剤を含まないマトリクス/酵素水溶液(水分散液)を塗布し、その後に架橋剤を作用させることによって、本発明の複合膜を形成してもよい。架橋剤は、液相または気相状態で作用させることができる。たとえば、架橋剤を含む溶液を塗布すること、または架橋剤の蒸気に暴露することが可能である。この場合には、マトリクス中への電子移動メディエータの拡散が起こった後に、架橋剤の作用により、マトリクスの架橋、あるいはマトリクスと酵素もしくは電子移動メディエータとの架橋が進行する。このとき、酵素は、架橋剤を介してマトリクスと化学結合により結合されて固定化されていてもよく、マトリクス/架橋剤のネットワーク内に取り込まれることによって固定化されていてもよい。電子移動メディエータも同様である。
以下、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図1は本発明による電気化学グルコースセンサ構造断面の模式図を示す。図1の電気化学グルコースセンサは、直径1.6mmの金電極1、エポキシ樹脂2、ビニルフェロセン層3、ビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酸化酵素複合層4を有する。
直径1.6mm金電極(BAS社製)1は、電極表面を研磨した後、イオン交換水で洗浄し、風乾させた。その後、ビニルフェロセンのエタノール溶液(0.1M)を4μl電極上にキャストし、室温で10分間乾燥させ、電極上にビニルフェロセン層3を形成した。さらに2%の牛血清アルブミン溶液に重量比2%になるようにグルコース酸化酵素を混合し、さらに終濃度0.5%になるようにグルタルアルデヒドを加えた溶液を、ビニルフェロセン層3の上に2μl塗布した。ビニルフェロセン層上にグルタルアルデヒドで架橋が進行しているアルブミン溶液を塗布することにより、ビニルフェロセンがアルブミン−酵素膜中に取り込まれ、ビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酸化酵素複合膜4を形成した。
図2は、電極上に形成した膜をX線光電子分光法(XPS)を用いて分析した結果を示している。図2(a)は金電極上にビニルフェロセン層3のみを形成した基板表面のXPS測定による元素分析の結果を、図2(b)は、本発明の手法により金電極上に形成した複合膜4の膜表面の元素分析結果を示す。図2(a)のスペクトルではフェロセンに含まれる鉄に加えて、電極の金のピークが検出されている。すなわち、電極がビニルフェロセン層によって完全には覆われていないことを示している。しかしながら、図2(b)の複合膜4においては、基板の金のピークが検出されることなく膜表面のみの分析が行われていることが確認できる。また、アルブミンに含まれる窒素や硫黄の他に鉄が検出されている。これは、本手法により金電極表面に形成したビニルフェロセンが、その後塗布したアルブミン膜中に拡散し、膜表面付近まで達することにより、ビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酵素複合膜が形成されていることを示している。また、表面に存在する鉄は、後述のグルコース測定装置を用いた測定後もあまり減少せず、ビニルフェロセンが酵素−マトリクス膜に安定に保持されていることを示唆している。
図3は上記手法により作製したグルコースセンサを用いたグルコース測定装置の概略図を示す。図3のグルコース測定装置は、グルコースセンサ5、銀・塩化銀参照電極6、白金線7、pH7リン酸バッファ8、攪拌子9、マグネティックスターラ10、ポテンシオスタット11、コンピュータ12、ガラス容器13を含む。前述のように調製した本発明によるグルコースセンサ5を、ガラス容器13に満たされたリン酸バッファ8に浸した。また同様に参照電極として銀・塩化銀電極6(BAS社製)および対向電極として直径1mmの白金線をリン酸バッファ8に浸した。グルコースセンサ5、銀・塩化銀参照電極6、白金線7はそれぞれポテンシオスタット11(CHI社製)の作用電極、参照電極、対向電極の端子に接続した。ポテンシオスタット11を用いてグルコースセンサ5に0.3から0.7Vの電位(対銀・塩化銀参照電極6)を印加し、電流値の変化をコンピュータ12で記録、保存した。またリン酸バッファ8を、ガラス容器14に入れた攪拌子9およびマグネティックスターラ10により一定速度で攪拌した。
図4(a)は本発明によるグルコースセンサ5の応答電流値の変化を示す。ポテンシオスタット11を用いてグルコースセンサ5の電極(作用電極)に銀・塩化銀参照電極6(参照電極)に対して0.3Vの電位を印加し、安定した電流値を得た後、終濃度が5mMになるようにグルコース溶液を加えた。グルコース溶液注入後、すぐに酸化電流値が増加し、約0.3μAの一定電流値を示した。さらに終濃度が10%になるようにウマ血清をリン酸バッファ内に注入したが、電流値は全く変化しなかった。このことから、本発明のグルコースセンサは、血清中に含まれるタンパク質の存在下でも、定量性良くグルコースを検出可能であることが確認できた。
(比較例1)
白金電極による過酸化水素直接酸化型グルコースセンサを作製し、ウマ血清存在下でのグルコース測定を行った。
白金電極での過酸化水素直接酸化型グルコースセンサは、直径1.6mmの白金電極に2%牛血清アルブミンに重量比2%になるようにグルコース酸化酵素を混合し、さらに終濃度0.5%になるようにグルタルアルデヒドを加えた溶液を、白金電極上に4μl塗布して積層し、グルコースセンサとした。
図4(b)は過酸化水素直接酸化型グルコースセンサを用いてグルコースを測定した際の電流値の変化を示す。実施例1と同様の測定装置を用いて、該センサの白金電極に対して、0.5V(対参照電極)の電位を印加し、安定した電流値を得た後、終濃度が5mMになるようにグルコース溶液を加えた。溶液注入後、酸化電流値が増加し、約0.8μAの一定電流値を示した。
その状態で、測定装置内のバッファ溶液に終濃度が10%になるようにウマ血清を加えると、酸化電流値は減少していき、酸化電流値が約半分程度で一定値を示した(図4(b)参照)。上記結果は、白金電極を用いた過酸化水素の直接酸化によるグルコース測定では、血清存在下において血清中のタンパクが電極上に固定化されたマトリクス層に付着し、グルコースや過酸化水素の拡散が阻害され、センサ感度が大幅に減少してしまうという従来の問題点を示している。
(比較例2)
オスミウムポリビニルピリジン錯体(Os-gel-HRP)を電子移動メディエータとするグルコースセンサを作製し、ウマ血清存在下でのグルコース測定を行った。
酵素反応により生成した過酸化水素を還元して検出するバイオセンサとして、Os-gel-HRPをメディエータとするグルコースセンサは以下のようにして作製した。まず直径1.6mmの白金電極上にOs-gel-HRPを2μl、キャスト法により修飾した。室温で1時間乾燥させた後、2%牛血清アルブミンに重量比2%になるようにグルコース酸化酵素を混合し、さらに終濃度0.5%になるようにグルタルアルデヒドを加えた溶液を、Os-gel-HRPが修飾された白金電極上に2μl塗布し、積層させた。
図4(c)はOs-gel-HRPを電子移動メディエータとするグルコースセンサを用いて、グルコースを測定した際の電流値の変化を示す。実施例1と同様の測定装置を用いて、該センサの電極(作用電極)に参照電極に対して0Vの電位を印加し、安定した電流値を得た後、終濃度が5mMになるようにグルコース溶液を加えた。溶液注入後、還元電流値が増加し、約0.5μAの一定電流値を示した。
その状態で、測定装置内のバッファ溶液に終濃度が10%になるようにウマ血清を加えると、還元電流値は減少し、還元電流値が約半分程度で一定値を示した(図4(c)参照)。これは、電極上に固定化されたマトリクス層に血清中のタンパクが付着し、グルコースおよび過酸化水素の拡散が阻害され感度が低下するという、従来の問題点を示している。
これら比較例の結果からも、本発明によるグルコースセンサは血清存在下でもビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酸化酵素複合層によりタンパクの付着を阻害し、血清中でも定量性良くグルコースを検出可能であることを示している。
(実施例2)
直径1.6mmの金電極上に実施例1と同様にビニルフェロセン層を形成した。その後、2%牛血清アルブミンに重量比2%になるように乳酸酸化酵素を混合し、さらに終濃度0.5になるようにグルタルアルデヒドを加えた溶液4μlを、ビニルフェロセン上に塗布した。
実施例1と同様の装置を用いて、上記手法により作製した乳酸センサの電極に対して0.3V(対銀・塩化銀参照電極)の電位を印加し、安定したベースラインを得た後、終濃度が5mMになるように乳酸を加えた。その後、徐々に酸化電流値が上昇し、約0.2μAで一定電流値を示した。
上記結果は、電極上に固定化された疎水性メディエータ上に積層する酵素を目的とする基質と反応する酵素を固定化することにより、グルコースセンサのみでなく、乳酸、グルタミン酸、アルコール、コレステロールなど様々なバイオセンサに応用可能であることを示している。
(実施例3)
実施例1と同様に、電極上にビニルフェロセン層3を形成した。さらに2%の牛血清アルブミン溶液に重量比2%になるようにグルコース酸化酵素を混合した溶液を、ビニルフェロセン層3の上に2μl塗布し、風乾した。この電極を25%グルタルアルデヒド(シグマ社製)1ml底面に入れた容器に入れグルタルアルデヒドの蒸気によって牛血清アルブミンとグルコース酸化酵素の混合膜を不溶化し、ビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酸化酵素複合層4を形成した。
実施例1と同様にこの電極をグルコースの測定を行うために装置に接続した。まず、グルコースを含まないリン酸バッファ中でサイクリックボルタンメトリーを行い、メディエータの電流応答が安定するまで電位操作を繰り返した。その後、実施例1と同様にグルコースの測定を行った結果、グルコースの定量ができ、ウマ血清の注入によるセンサ感度の低下を防ぐことができた。この場合、ビニルフェロセン層3は固体状態である。このセンサーをバッファ溶液に浸漬し、この溶液にエチルアルコールを50%になるように加える前後でのサイクリックボルタモグラムを比較すると。疎水性相互作用で酵素−マトリクス膜に保持されていたビニルフェロセンがエチルアルコールを加えたことにより溶解して、溶液中のビニルフェロセンの濃度が上昇して、大きな電流を与えた。このことから、疎水性のビニルフェロセンは、その疎水性によってバッファ中に溶解せず固体状態として存在するが、メディエータとして機能することが示された。
電気化学グルコースセンサの模式的断面図である。 金電極上に形成した膜のX線電子分光スペクトルであり、(a)はビニルフェロセンのみから形成された膜のスペクトルであり、(b)は本発明の複合膜のスペクトルである。 本発明の電気化学グルコースセンサを用いたグルコース測定装置を示す模式図である。 グルコースセンサの応答電流値を示すグラフであり、(a)は本発明の電気化学グルコースセンサの応答電流値を示し、(b)は過酸化水素直接酸化型グルコースセンサの応答電流値を示し、(c)はOs-gel-HRPを電子移動メディエータとするグルコースセンサの応答電流値を示すグラフである。
符号の説明
1 白金電極
2 エポキン樹脂
3 ビニルフェロセン層
4 ビニルフェロセン−アルブミン−グルコース酸化酵素複合膜
5 グルコースセンサ
6 銀・塩化銀参照電極
7 白金線
8 pH7リン酸バッファ
9 攪拌子
10 マグネティックスターラ
11 ポテンシオスタット
12 コンピュータ
13 ガラス容器

Claims (8)

  1. 電極と、前記電極を覆うアルブミンと架橋された酵素との複合膜と、疎水性であり、架橋反応を行うための官能基を有する低分子の電子移動メディエータとを具え、前記電子移動メディエータが前記複合膜中に存在することを特徴とする電気化学バイオセンサ。
  2. 前記電子移動メディエータが、前記複合膜中に拡散され、膜内に電極と酵素の間の導電性電子移動経路を形成し、複合固定化されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学バイオセンサ。
  3. 前記電子移動メディエータが、ビニルフェロセンおよびその誘導体であることを特徴とする請求項2に記載の電気化学バイオセンサ。
  4. 電極上に電子移動メディエータを塗布する工程と、
    酵素およびグルタルアルデヒドを溶解させたアルブミン水溶液を、前記電子移動メディエータ上に塗布して、前記電子移動メディエータをアルブミン中に拡散させる工程と、
    前記アルブミン、酵素および電子移動メディエータを反応架橋させて、複合膜を形成する工程と
    を具えたことを特徴とする電気化学バイオセンサの製造方法。
  5. 前記電子移動メディエータを塗布する工程を、キャスト法、ディップコート法およびスピンコーティング法からなる群から選択される方法によって実施することを特徴とする請求項4に記載の電気化学バイオセンサの製造方法。
  6. 電極と、
    前記電極を覆う、ビニルフェロセンおよびその誘導体の疎水性の電子移動メディエータと、アルブミンと架橋された酵素とを含む複合膜と
    を含み、前記電子移動メディエータが疎水性相互作用によって前記複合膜中に保持されていることを特徴とする電気化学バイオセンサ。
  7. 電極上にビニルフェロセンおよびその誘導体の疎水性の電子移動メディエータを塗布する工程と、
    酵素およびグルタルアルデヒドを溶解させたアルブミン水溶液を、前記電子移動メディエータ上に塗布して、前記電子移動メディエータをアルブミン中に拡散させる工程と、
    を具えたことを特徴とする電気化学バイオセンサの製造方法。
  8. 前記電子移動メディエータを塗布する工程を、キャスト法、ディップコート法およびスピンコーティング法からなる群から選択される方法によって実施することを特徴とする請求項7に記載の電気化学バイオセンサの製造方法。
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