JP2005080629A - 抗炎症剤及びサイトカイン誘導剤と、サイトカイン誘導を利用したスクリーニング方法。 - Google Patents

抗炎症剤及びサイトカイン誘導剤と、サイトカイン誘導を利用したスクリーニング方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規な作用機序に基づく、安全性の高い抗炎症剤、及び、サイトカイン誘導剤を提供すること。炎症性サイトカインの発現を誘導・抑制する物質をスクリーニングする方法を提供すること。
【解決手段】 γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)が、炎症性サイトカイン(MIP−1、IL−6、IL−1等)を誘導するという新知見に基づく抗炎症剤、サイトカイン誘導剤を提供する。また、前記新知見に基づくスクリーニング方法を提供する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、抗炎症剤及びサイトカイン誘導剤と、サイトカイン誘導を利用したスクリーニング方法に関する。より詳しくは、γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)が、サイトカインを誘導するという新知見に基づく、抗炎症剤及びサイトカイン誘導剤と、サイトカイン誘導を利用したスクリーニング方法に関する。
炎症とは、鼻炎、皮膚炎、肝炎、歯周炎、関節炎等のように、異物、物理的又は化学的刺激等によって生じる一種の生体防衛反応で、発赤、腫脹、局所熱感、疼痛を主症状とするものをいう。炎症は、生体防衛反応として重要であるが、その反応が強すぎると、自己の組織・細胞等に対して損傷を与える場合もある。
そのため、炎症を抑える対症療法剤として、抗炎症剤が広く用いられている。現在広く用いられている抗炎症剤としては、ステロイド性抗炎症薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がある。
ステロイド性抗炎症剤としては、糖質コルチコイド(コルチゾール等)及び該ホルモンと類似の化学構造を持つ合成ステロイドがある。慢性関節リウマチ等の重篤な炎症に対して用いられることが多い。
非ステロイド性抗炎症剤としては、サリチル酸誘導体(アスピリン等)、インドール酢酸誘導体(インドメタシン等)、フェニル酢酸誘導体、プロフェン誘導体等、多数の薬剤が開発されている。非ステロイド性抗炎症剤は、前記慢性関節リウマチ等の重篤な炎症に対して用いられるほか、肩関節周囲炎、咽喉頭炎等にも用いられている。また、軟膏として皮膚炎等に用いられたり、貼付剤として筋肉痛等に用いられたりしているものもある。
ステロイド性抗炎症剤としては、例えば、特許文献1、特許文献2が、非ステロイド性抗炎症剤としては、例えば、特許文献3、特許文献4がある。
特開平2−279694号公報 特開平4−275297号公報 特開平6−211819号公報 特開平10−59977号公報
しかしながら、従来の抗炎症剤は副作用があり、長期にわたる連続的な服用が困難であるという問題があった。
例えば、ステロイド性抗炎症薬は、抗炎症作用は強力であるが、免疫能の低下、糖尿病誘発等の重篤な副作用や、満月様顔貌等の全身的副作用等を生じるため、他の薬物では症状の改善が望めない重篤な炎症患者に対してのみ用いられる場合が多い。
非ステロイド性抗炎症薬についても、胃腸障害や免疫力低下等の副作用を持つ薬剤が多い。また、非ステロイド性抗炎症剤が、インフルエンザ脳症を引き起こすことが明らかになっており、非ステロイド性抗炎症薬は、安全性の面で、まだ十分であるとはいえない。
また、炎症反応は、本来、生体防衛機構であるため、炎症を薬剤により強力に抑制してしまう従来の抗炎症薬は、本来的に、副作用を伴いやすく、薬剤の安全性を確保することが難しい。
そこで、本発明は、新規な作用機序に基づく、安全性の高い抗炎症剤を提供することを主な目的とする。
本願発明に係るγ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)は、腎臓、すい臓、肝臓等、多くの組織の細胞に存在する酵素で、アルコール代謝亢進時や黄疸の際に血液中に遊出するため、肝疾患の診断等に用いられている。しかし、γ−GTPの具体的な機能・働きは、明らかになっていない。
本願発明者は、今回、γ−GTPが、炎症性サイトカインである、IL−1、IL−6、MIP−1の発現を誘導することを新規に見い出した。ここで、炎症性サイトカインとは、生体内における様々な炎症症状を引き起こす原因因子として関与するサイトカインをいう。
今回のこの知見は、γ−GTPが、階層的な炎症制御機構の上流に位置することを示す点で重要である。この発見によって、炎症反応では、以下のような作用機序が働くことが示唆される。
異物、物理的又は化学的刺激等により、組織が傷害を受けると、その傷害から生体を防衛するために、様々な生体内の応答があり、最初の炎症反応が起きる。その際に、その傷害部位に浸潤したマクロファージから、炎症性サイトカインとともに、γ−GTPが放出される。その放出されたγ−GTPは、別のサイトカイン産生細胞であるストローマ細胞(線維芽細胞)の受容体に結合し、新たな炎症性サイトカインの発現・生産を誘導する。そして、新たにストローマ細胞で生産された炎症性サイトカインにより炎症がさらに誘起され、炎症が増強されたり、持続的・慢性的な炎症が起こったりする。
また、ストローマ細胞で生産された炎症性サイトカインは、直接的又は間接的に、マクロファージを活性化する作用も持つ。そのため、マクロファージから、また、γ−GTPが生産、放出される。そして、マクロファージを介して、γ−GTPが繰り返し生産されることにより、ストローマ細胞が慢性的に炎症性サイトカインを発現することとなり、炎症が慢性化する。従って、γ−GTPは、特に、炎症が慢性化する作用機序において、重要な役割を果たしていると考えられる(図2参照)。
そこで、本願発明者は、炎症性サイトカインの発現を誘導する作用を有する配列番号1のγ−GTPを提供する。γ−GTPに炎症性サイトカインの発現を誘導する作用があることが明らかになったことにより、γ−GTPを利用して、炎症反応を調節したり、炎症性サイトカインの発現を人為的に誘導したりすることができる。
今回の実験では、γ−GTPは、特に、IL−1、IL−6、MIP−1の3つのサイトカインの発現を誘導することが明らかになった。従って、本発明は、IL−1、IL−6、MIP−1の3つのサイトカインが関与する疾患や炎症反応において、特に有効である。
また、γ−GTPに炎症性サイトカインの発現を誘導する作用があることが明らかになったため、γ−GTPの発現又は活性を抑制することにより、炎症性サイトカインの発現を抑制し、炎症の増幅・慢性化を防ぐことができる。そこで、本願発明者は、γ−GTPの発現又は活性を抑制する作用を有する抗炎症剤を提供する。
前記のとおり、従来の抗炎症薬は、炎症反応を強力に抑制してしまうものが多い。それに対し、本願発明に係る抗炎症剤は、γ−GTPが、ストローマ細胞に作用し、炎症性サイトカインを誘導する段階を抑制するので、炎症の初期段階を抑制せず、重篤化、慢性化した段階の炎症反応だけを予防、改善することができる。従って、生体防御機構としての炎症反応を抑制せずに、重篤化、慢性化した炎症のみを予防、改善できるという利点がある。
抗炎症剤としては、例えば、γ−GTPに特異的に結合する抗γ−GTP抗体を用いることができる。抗γ−GTP抗体は、γ−GTPと特異的に結合し、複合体を形成する。その複合体は生体内で分解されるため、γ−GTPも分解されて生理活性を失い、サイトカインの発現が誘導されるのを防ぐ。
抗炎症剤として、γ−GTPをコードする配列番号2の遺伝子の塩基配列(配列番号1)の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉により、γ−GTPの発現を抑制する二本鎖RNAを用いることもできる。RNA干渉により、γ−GTPの発現自体が抑制されるため、サイトカインの発現が誘導されるのを防ぐことができる。
その他、一部の疾患については、炎症性サイトカインの誘導を促進する必要がある場合もある。そのような疾患に適応する目的で、γ−GTPを主成分とする医薬組成物であって、炎症性サイトカインの誘導を促進する医薬組成物を利用することもできる。
続いて、本発明は、上記のように、γ−GTPがサイトカイン産生細胞(ストローマ細胞)の受容体に結合することによって、炎症性サイトカインの新たな発現を誘導することを利用したものである。γ−GTPの配列番号2のアミノ酸配列の中で、サイトカイン産生細胞の受容体と結合する部位は、γ−GTPの酵素活性を有する部位とは、別の部分にある。従って、γ−GTPのアミノ酸配列のうち、サイトカイン産生細胞の受容体と結合する部分と同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドであれば、上記と同様に、炎症性サイトカインの発現を誘導する作用を持つ。そこで、炎症性サイトカインの発現を誘導するポリペプチドであって、γ−GTPの配列番号2のアミノ酸配列の一部と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。このポリペプチドは、γ−GTPと同様、炎症性サイトカイン、特に、IL−1,IL−6、MIP−1の発現を誘導する作用を持つ。また、γ−GTPのアミノ酸配列のうち、酵素活性を有する部分を除外してあるので、γ−GTPの本来有する酵素作用による影響や予期しない副作用等をなくすことができ、γ−GTPを安全に利用することが可能になる。
このポリペプチドについても、γ−GTPと同様に、ポリペプチドの活性を抑制する作用を有する物質を抗炎症剤として利用することができる。
例えば、ポリペプチドに対する抗体を抗炎症剤として用いることができる。このポリペプチドは、γ−GTPのアミノ酸配列のうち、サイトカイン産生細胞のγ−GTP受容体と結合する部分の配列を含むため、このポリペプチドに対する抗体は、該ポリペプチドとγ−GTPの両方に対して結合することができる。従って、このポリペプチドに対する抗体を用いることにより、サイトカインの発現が誘導されることを防ぐことができる。
その他、一部の疾患について、炎症性サイトカインの発現の誘導を促進する必要がある場合にも、γ−GTPと同様に、このポリペプチドを利用することができる。
次に、上記の新規発明に基づいて、炎症症状を示す各疾患について、個別に、本発明の持つ作用を示す。なお、本発明は、以下に示す疾患にのみ適用されるものではなく、それらに限定されない。
例えば、本発明は、慢性関節リウマチに適用できる。慢性関節リウマチは、自己免疫反応に起因する全身性炎症性疾患で、IL−1、IL−6等の炎症性メディエーターが自己免疫反応を増幅させることがわかっている。また、IL−6等が、破骨細胞を活性化し、骨・軟骨組織を破壊する(最新医学・57巻・4号P89−94、P16−31参照)。本発明に係る抗炎症薬は、炎症性サイトカイン(IL−1、IL−6)の発現を抑制するので、自己免疫反応を抑制し、破骨細胞の活性化も防止することができる。従って、本発明に係る抗炎症剤は、慢性関節リウマチに有効である。
骨粗鬆症では、IL−1、IL−6の産生が増加することにより、破骨細胞が活性化され、骨吸収が促進されると考えられている(松本俊夫編、「新・分子骨代謝学と骨粗鬆症」(2001年)、メディカルレヴュー社、P291参照)。本発明に係る抗炎症剤を用いることによって、IL−1、IL−6の発現を抑制することができるため、破骨細胞の活性化を抑制し、骨吸収を少なくすることができる。従って、本発明に係る抗炎症剤は、骨粗鬆症にも有効である。
末期がん患者の多くは、悪性腫瘍が骨に転移し、その骨転移に起因する癌性疼痛を経験するといわれている。悪性腫瘍の骨転移部では、腫瘍細胞から、IL−1、IL−6等のサイトカインが放出され、炎症反応や破骨細胞の活性化が起こる。そして、炎症細胞、破骨細胞等から放出されるサイトカイン等が原因で疼痛が発生すると考えられている(日本放射線技術学会雑誌、第56巻、第7号、P885参照)。また、骨に高効率に転移する悪性腫瘍である多発性骨髄腫では、腫瘍細胞からMIP−1αが産生されることにより、骨破壊が進展する
(Choi,S.J.et al.,L.Clin.Invest.,108,1833-1841,2001、参照)。従って、本発明に係る抗炎症剤を適用すれば、IL−1、IL−6、MIP−1等のサイトカインの発現を抑制することができ、悪性腫瘍の骨転移に起因する癌性疼痛を抑制することができる。
良性のリンパ増殖性疾患であるCastleman病や、原因不明の炎症性腸疾患であるCrohn病等、IL−6の過剰な発現が見られる疾患(最新医学・57巻・4号、P25−31)では、本発明に係る抗炎症剤を用いることにより、IL−6の発現を抑制することができるので、本発明は、これらの疾患に対しても有効である。
歯肉に炎症部位が限定されているものを歯肉炎といい、症状が進行して歯周組織にまで炎症部位が広がったものを歯周炎という。歯肉炎が悪化して歯肉組織の細胞が、傷害されたり細胞死が起こったりすると、その細胞からγ−GTPが遊出し、IL−1の発現が誘導されて(kakiy.tripod.co.jp/page010.html、参照)、破骨細胞の分化と活性化を促し、歯周炎に移行すると考えられる。従って、本発明に係る抗炎症剤は、歯周炎、特に、歯肉炎が歯周炎に移行するのを予防する効果があると考えられる。
心不全が慢性に移行した際には、IL−6の過剰発現が、心不全の悪化に関与しているため
(e-medicine.sumitomopharm.co.jp/e-medicine/view/data/d_00068.html、参照)、IL−6の発現を抑制することにより、症状を改善することができる。従って、本発明に係る抗炎症剤は、心不全、特に、慢性心不全にも適用できる。
動脈硬化性疾患の場合、動脈硬化の血管病変を病理学的に観察すると、動脈硬化巣は、炎症像を呈し、マクロファージの活性化、IL−1、IL−6等の炎症性サイトカインの産生増大が認められることが明らかになっている
(例えば、www.oups.ac.jp/supported/koho/koukai/ab0206.html、参照)。また、動脈硬化巣におけるMIP−1の発現や、血管内皮や血管平滑筋におけるMIP−1の発現から、MIP−1は、動脈硬化の促進や維持に関与していると考えられている
(例えば、Wilcox JN, et al”Local expression of inflammatory cytokines in human atherosclerotic plaques.”,J Atheroscler Thromb.1994;Suppl 1:S10-3、参照)。従って、本発明に係る抗炎症剤を用いることにより、動脈の内膜における炎症を抑制し、症状を改善することができる。
その他、インフルエンザ脳症についても、脳脊髄液中のIL−6濃度が高くなるという報告があるので
(www.geoties.co.jp/Beautycare/2308/sub4-influenza-encephalopatyy.htm、参照)、本発明に係る抗炎症剤が、インフルエンザ脳症に対する治療剤として有効である可能性がある。
次に、炎症性サイトカインの発現を誘導することによって、症状を改善することができる疾患について、個別に、本発明の持つ作用を示す。なお、本発明は、以下に示す疾患にのみ適用されるものではなく、それらに限定されない。
肝細胞に傷害があり、肝細胞が壊死している状態の場合、IL−6が肝細胞の再生を促進していることが明らかになっている
(www.naoru.com/mansei-kanen.htm、参照)。例えば、慢性肝炎の場合、傷害や炎症によって肝細胞が壊死したことにより、γ−GTPが遊出し、IL−6の発現が誘導され、発現したIL−6の作用によって、肝細胞の再生が促されると考えられる。従って、本発明に係るγ−GTPを主成分とする医薬組成物、又は、本発明に係るポリペプチドを主成分とする医薬組成物は、IL−6の発現を誘導するため、慢性肝炎や肝組織の再生が必要な疾患に有効である。
炎症性サイトカインのMIP−1は、マクロファージで産生され、好中球を呼び集める作用を持つサイトカイン様分子で、ケモカイン(細胞遊走を誘導するサイトカイン様分子)の一種である。MIP−1には、エイズの抑制効果が認められている(‘Identification of RANTES, MIP-1 alpha, and MIP-1 beta as the major HIV-suppressive factors produced by CD8+T cells’
Science.15;270(5242):1811-5.1995、参照)。従って、本発明に係るγ−GTPを主成分とする医薬組成物、又は、本発明に係るポリペプチドを主成分とする医薬組成物は、IL−6の発現を誘導するため、エイズの抑制効果があり、エイズ治療薬として有効である。
続いて、本願発明者は、γ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)によって誘導される炎症性サイトカインを検出・測定することによって、サイトカインの発現を誘導又は抑制する化合物を探索するスクリーニング方法を提供する。本発明によって、γ−GTPがサイトカイン産生細胞にあるγ−GTP受容体に結合することによって、炎症性サイトカインが誘導されることが明らかになった。そのため、この一連の作用機序を利用して、炎症性サイトカインを検出・測定することにより、サイトカインの発現を誘導又は抑制する化合物を探索することができる。このスクリーニング方法を用いることにより、例えば、γ−GTPを失活させる物質、サイトカイン産生細胞のγ−GTP受容体にγ−GTPと競合的に結合する物質、γ−GTPと該受容体の結合を阻害する物質等、炎症性サイトカインの発現、誘導を阻害する物質を探索することができる。また、例えば、γ−GTP存在下で、前記スクリーニング方法を用いることにより、炎症性サイトカインの発現誘導を促進する物質についても、探索することができる。
また、前記のスクリーニング方法は、γ−GTPとアミノ酸配列の一部が同一であって、炎症性サイトカインの発現を誘導する作用を持つポリペプチドを用いても、行うことができる。該ポリペプチドを用いたスクリーニング方法は、γ−GTPを用いたスクリーニング方法と比べて、γ−GTPのアミノ酸配列のうち、サイトカイン産生細胞の受容体に結合する部分の配列以外の部分に作用して、γ−GTPが失活した場合にも、探索されてしまうという可能性を除去できる、という利点がある。
本発明によって奏される効果は、以下の通りである。
炎症反応は、生体防衛反応であるため、炎症が過剰でない限り、炎症を抑えることは、生体防衛機能・免疫機能を弱めることになり、好ましくない。本発明に係る抗炎症剤は、炎症反応が起きた後、その炎症が増幅したり、慢性に移行したりする反応に関与すると考えられるγ−GTPに関するものである。従って、本発明は、生体防衛機能・免疫機能を過剰に抑制せず、炎症反応が増幅したり、炎症が慢性に移行したりする際に、その反応を抑制することができるという効果がある。
従って、過剰に炎症反応を抑制せず、副作用がなく、安全性の高い抗炎症剤を提供することができる。
また、γ−GTP又は本発明に係るポリペプチドを主成分とする医薬組成物を適用することにより、新規なサイトカイン誘導剤を提供できる。
その他、炎症性サイトカインの発現、誘導を抑制する物質、及び、該サイトカインの発現、誘導を促進する物質を、本発明に係るスクリーニング方法によって探索することができる。
実施例1は、γ−GTPを添加することにより、サイトカインの発現が上昇したことを実証した実験である。手順は、以下の通りに行った。
まず、4個の10cmディッシュを用意し、それぞれのディッシュに、ストローマ細胞の一種であるマウスST2細胞を、コンフルエントになるまで培養した。ここで、ストローマ細胞とは、特定の機能を担う細胞・組織を取り巻き、支持する細胞のことをいい、サイトカインの産生やその他の相互作用によって、取り巻く細胞・組織の分化や機能発現を誘導・促進する性質を持つ。
次に、マウスST2細胞を培養している各ディッシュに、γ−GTPを、終濃度1μg/mlになるように添加し、それぞれ、γ−GTP添加後0、6、12、24時間後に培地を吸引して採取した。
培地の採取後、直ちに、SV Total Isolation System(プロメガ製)を用いて、その培地からTotal RNAを調製した。次いで、cDNA synthesis Kit(Amersham Biosciences)用いて、前記の通り調製したTotal RNA3μgから二本鎖cDNAを合成し、さらに、IVT T7 Megascript Kit(Amersham Biosciences)を用いたin vitro tranlation反応により、マウスST2細胞の中に発現していたRNAと同じ塩基配列を持つ、ビオチン標識・断片化したcRNA(複数のcRNAの混合溶液)を得た。
上記の方法で得たcRNA10μg分をDNAマイクロアレイ(Gene Array、Amersham Biosciences製)に供給し、該cRNAには、どのタンパク質をコードする遺伝子と相補的なものが、どれくらい含まれているかを検出・測定した。DNAマイクロアレイのスライド上に固定されているオリゴヌクレオチドプローブと相補的な塩基配列を持つプローブが、上記調製したcRNA中に含まれている場合、両者がハイブリダイゼーションする。ハイブリダイゼーションしたプローブに、Cy5標識ストレプトアビジンを結合させ、洗浄後、染色し、シグナルを検出・測定して、発現した遺伝子を同定した。DNAマイクロアレイを用いた実験手順は、キットに添付されているプロトコルに従った。
上記の通り、DNAマイクロアレイを用いて、ハイブイダイゼーションするcRNAを調べることにより、γ−GTPを添加した0、6、12、24時間後に、マウスST2培養細胞の細胞内で、どの遺伝子が発現したかを調べた。結果は図1に示したとおりである。
図1に示すように、γ−GTPを添加することによって、各種サイトカインの発現が上昇した。mRNAの発現が上昇したのは、MIP−1、IL−1α、IL−6、FGF21、GM−CSF等のサイトカインで、特に、MIP−1、IL−1α、IL−6は、mRNAの発現が顕著に増加した。また、これらのサイトカインは、6時間後にmRNAの発現が上昇しただけでなく、24時間後には、さらに10倍以上もmRNAの発現が増加している。この結果は、γ−GTPが、MIP−1、IL−1α、IL−6等の発現を誘導していることを示している。
本発明によって、炎症性サイトカインを誘導する目的で、γ−GTPを用いることができるため、医薬等の目的のほか、炎症性サイトカインに関する実験用キットや、炎症性サイトカインの生産等の目的で、γ−GTPが用いられる可能性がある点で、炎症性サイトカインの発現を誘導するγ−GTPは、産業上利用する可能性がある。
また、本発明は、γ−GTPが、炎症性サイトカインの発現を誘導するという新知見に基づき、抗炎症剤及びサイトカイン誘導剤を提供する点で、産業上の利用性がある。特に、本発明は、炎症反応の新規な作用機序に基づくものであり、全く新しい抗炎症剤等を提供する点で、産業上有用である。
また、前記新知見に基づき、炎症性サイトカインの発現、誘導を促進又は抑制する物質をスクリーニングする方法を提供する点で、産業上利用性がある。
実施例1の実験結果を示す図。 本発明に係る反応を模式的に示した図。

Claims (15)

  1. 炎症性サイトカインの発現を誘導することを特徴とする配列番号2のγ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)。
  2. 前記炎症性サイトカインはIL−1、IL−6、MIP−1のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のγ−GTP。
  3. 請求項1に記載のγ−GTPの発現又は活性を抑制することを特徴とする抗炎症剤。
  4. 請求項1に記載のγ−GTPを主成分とする医薬組成物であって、前記サイトカインの誘導を促進することを特徴とする医薬組成物。
  5. 炎症性サイトカインの発現を誘導するポリペプチドであって、請求項1に記載のγ−GTPのアミノ酸配列の一部と同一のアミノ酸配列を含むことを特徴とするポリペプチド。
  6. 前記炎症性サイトカインはIL−1、IL−6、MIP−1のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のポリペプチド。
  7. 請求項5に記載のポリペプチドの活性を抑制することを特徴とする抗炎症剤。
  8. 請求項5に記載のポリペプチドを主成分とする医薬組成物であって、前記サイトカインの誘導を促進することを特徴とする医薬組成物。
  9. γ−GTPに特異的に結合する抗γ−GTP抗体であることを特徴とする請求項3又は請求項7に記載の抗炎症剤。
  10. γ−GTPをコードする遺伝子である配列番号1の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉により、前記γ−GTPの発現を抑制する二本鎖RNAであることを特徴とする請求項3又は請求項7に記載の抗炎症剤。
  11. 慢性関節リウマチに適用することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の抗炎症剤。
  12. 骨粗鬆症に適用することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の抗炎症剤。
  13. エイズ治療に適用することを特徴とする請求項4又は請求項8に記載の医薬組成物。
  14. 配列番号2のγ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)によって誘導される炎症性サイトカインを検出・測定することによって、
    前記サイトカインの発現を誘導又は抑制する化合物を探索することを特徴とするスクリーニング方法。
  15. 請求項14に記載のγ−GTPとアミノ酸配列の一部が同一のポリペプチドによって誘導される炎症性サイトカインを検出・測定することによって、
    前記サイトカインの発現を誘導又は抑制する化合物を探索することを特徴とするスクリーニング方法。
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