JP2005080528A - Il−10を高産生する細胞およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】IL-10を高産生する細胞およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】経口抗原により誘導されるT細胞を解析すべく、特定のT細胞受容体を発現するトランスジェニックマウスに経口的に抗原を投与し、経口免疫寛容を誘導させた。経口免疫寛容が誘導された状態のT細胞上に発現したCD44およびCD62Lを測定したところ、CD44とCD62Lの発現量によって分離可能な2つの細胞群、「CD62Lhigh/intCD44int群」および「CD62LlowCD44high群」の存在が明らかになった。さらに、2つの細胞群とコントロールの未感作細胞におけるIL-10量を測定したところ、驚くべきことにCD62LlowCD44high細胞群のみでIL-10が極めて著しく産生されていることが明らかになった。
【解決手段】経口抗原により誘導されるT細胞を解析すべく、特定のT細胞受容体を発現するトランスジェニックマウスに経口的に抗原を投与し、経口免疫寛容を誘導させた。経口免疫寛容が誘導された状態のT細胞上に発現したCD44およびCD62Lを測定したところ、CD44とCD62Lの発現量によって分離可能な2つの細胞群、「CD62Lhigh/intCD44int群」および「CD62LlowCD44high群」の存在が明らかになった。さらに、2つの細胞群とコントロールの未感作細胞におけるIL-10量を測定したところ、驚くべきことにCD62LlowCD44high細胞群のみでIL-10が極めて著しく産生されていることが明らかになった。
Description
本発明は、IL-10を高産生する細胞およびその製造方法等に関する。
免疫系は、生体に外部からの異物による侵襲があった場合の防御機構として存在する。細菌やウイルスが体内へ侵入しようとすると、生体はこれを排除すべく免疫系を機能させる。しかし、経口的に摂取された抗原に対し免疫応答が抑制される状態、すなわち免疫寛容状態が誘導されることが知られており、「経口免疫寛容」と呼ばれている。これは、摂取した食品に対し、アレルギー等の過剰反応が起こることを防ぐための調節機構と考えられている。経口免疫寛容が成立しにくい場合は、食物アレルギーを発生しやすい。
経口免疫寛容の成立については、これまでに、clonal deletion、anergy、suppressionの複数の機構が存在することが知られている。(Weiner,H.L. Oral tolerance: immune mechanisms and treatment of autoimmune disease. Immunology Today, 18,335-343(1997))。suppressionでは、腸管免疫組織において抑制性サイトカインを産生する抑制制御T細胞が誘導され、抗原に対する免疫応答が抑えられる。また、抗原が経口的に投与された場合、その抗原に特異的なCD4+T細胞が本来の免疫応答を誘導することができず、不応答状態に陥るのがanergyである。clonal deletionは、抗原特異的なCD4+T細胞がアポトーシスにより消失する機構である(上野川修一:食品で免疫のはたらきを高める−食品・栄養学の立場から−,食と免疫,学会センター関西,37-80)。このように経口免疫寛容においては、CD4+T細胞が重要な位置を占めている。
CD4+T細胞は、免疫系においてB細胞による抗体産生や細胞傷害性T細胞の活性化を補助する等、重要な役割を担っている。CD4+T細胞は、造血幹細胞が骨髄から胸腺に移行し、胸腺においてサイトカインの刺激を受けて、各種T細胞に分化することによって産生される。このときT細胞の分化段階に応じて、種々の表面分子の発現が変化することが知られている。胸腺に移行したばかりで抗原による感作を受けていないT細胞(ナイーブT細胞)は、細胞表面にCD62Lを発現しているがCD44は殆ど発現していない。しかし、抗原により感作されたエフェクターT細胞やメモリーT細胞は、CD44は発現しているがCD62Lをほとんど発現していないとの知見がある(Cell,Vol.76,241-251、January 28,1994)。
抗原を経口投与した経口免疫寛容について上述の機構の存在が知られているものの、どのように誘導されるかについて、詳細な報告はほとんどない。経口免疫寛容にCD4+T細胞が重要な役割を果たしていることは公知であるが、経口抗原により誘導されるCD4+T細胞が一様の細胞群からなるのか、複数の細胞群により成るのかについても不明である。これまでに経口免疫寛容に関与する免疫制御性T細胞の細胞群としてCD4+CD25+T細胞が知られている(Int Immunol.2003 Apr;15(4):525-34)。
一方、βラクトグロブリンの経口投与によって免疫寛容を起こしたマウスのパイエル板細胞が、IL-10を分泌するとの報告がある(Immunology 2001,103,458-464)。IL-10は分子量35〜40kDのホモダイマーの糖タンパクであり、T細胞の分化に深く関わるサイトカインの一つである。IL-10はマウスではTh2細胞、樹状細胞、マクロファージ等により、ヒトではTh2細胞、活性化B細胞等によって産生され、Th1細胞によるIFN-γ等の産生を抑制する(サイトカイン・増殖因子,羊土社,34-35)。IL-10は、Th1サイトカイン産生抑制能を有することから、アレルギー、リウマチや多発性硬化症といった自己免疫疾患の治療、さらには臓器移植時の拒絶反応の制御に使用しうることが示唆されている(Med Hypothese.2002 Dec;59(6):770-80,Gene Ther. 2003 Feb;10(3):213-8)。
Weiner,H.L. Oral tolerance: immune mechanisms and treatment of autoimmune disease. Immunology Today, 18,335-343(1997)
上野川修一:食品で免疫のはたらきを高める−食品・栄養学の立場から−,食と免疫,学会センター関西,37-80
Cell,Vol.76,241-251、January 28,1994
Int Immunol.2003 Apr;15(4):525-34
Immunology 2001,103,458-464
サイトカイン・増殖因子,羊土社,34-35
Med Hypothese.2002 Dec;59(6):770-80,Gene Ther. 2003 Feb;10(3):213-8
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、その目的はIL-10を高産生する細胞およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、経口抗原により誘導されるT細胞を解析すべく、特定のT細胞受容体を発現するトランスジェニックマウスに経口的に抗原を投与し、経口免疫寛容を誘導させた。経口免疫寛容の誘導を確認した上で、経口抗原によって誘導されたT細胞について、その表面分子を指標として解析した。本発明者らは、指標とする表面分子としてCD44およびCD62Lに着目した。
本発明者らが、経口免疫寛容が誘導された状態のT細胞上に発現したCD44およびCD62Lを測定したところ、CD44とCD62Lの発現量によって分離可能な2つの細胞群、すなわち「CD62Lhigh/intCD44int群」および「CD62LlowCD44high群」の存在が明らかになった。特にCD62LlowCD44high群は、免疫が有効に機能している状態での存在はこれまでにも報告があるが、経口免疫寛容状態においてこのような発現が確認されたのは、今回が初めてである。このうちCD62LlowCD44high群は、コントロールの未感作細胞CD62LhighCD44low/intと比較して、発現したCD62L量が減少、CD44量が増加している。さらに、本発明者らが2つの細胞群とコントロールの未感作細胞におけるIL-10量を測定したところ、CD62Lhigh/intCD44int群、CD62LlowCD44high群ともに免疫応答が低下しているにもかかわらず、驚くべきことにCD62LlowCD44high細胞群のみでIL-10が極めて著しく産生されていることが明らかになった。すなわち本発明者らは、CD62LlowCD44highを指標として選別することによりIL-10を特異的に産生する細胞を選別する方法を見出し、本発明を完成した。本発明は、より具体的には、
(1)IL-10を高産生する単離された細胞、
(2)細胞表面にCD44抗原が発現されている、上記(1)に記載の細胞、
(3)さらに細胞表面にCD62Lが発現されているが、その発現の程度がCD62LlowCD44highである、上記(2)に記載の細胞、
(4)上記(1)乃至上記(3)に記載の細胞を含む、組成物、
(5)細胞表面のCD62LおよびCD44を指標とする、IL-10を高産生する細胞を分離する方法、
(6)抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を分離するための分離用システム、
(7)CD62LおよびCD44を指標として、IL-10を高産生する細胞を測定する方法、
(8)抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を測定するための測定システム、
(9)特定の抗T細胞受容体抗体と接触させる工程を含む、上記(7)記載の測定方法、
(10)特定の抗T細胞受容体抗体を含む、上記(8)記載の測定システム、
(11)IL-10を高産生する細胞の生産方法であって、CD62LおよびCD44を指標に細胞を分離する分離工程を含む、生産方法、
(12)哺乳動物に免疫寛容を誘導しうる物質を投与する工程を含む、上記(11)に記載のIL-10を高産生する細胞の生産方法、
を提供するものである。
(1)IL-10を高産生する単離された細胞、
(2)細胞表面にCD44抗原が発現されている、上記(1)に記載の細胞、
(3)さらに細胞表面にCD62Lが発現されているが、その発現の程度がCD62LlowCD44highである、上記(2)に記載の細胞、
(4)上記(1)乃至上記(3)に記載の細胞を含む、組成物、
(5)細胞表面のCD62LおよびCD44を指標とする、IL-10を高産生する細胞を分離する方法、
(6)抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を分離するための分離用システム、
(7)CD62LおよびCD44を指標として、IL-10を高産生する細胞を測定する方法、
(8)抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を測定するための測定システム、
(9)特定の抗T細胞受容体抗体と接触させる工程を含む、上記(7)記載の測定方法、
(10)特定の抗T細胞受容体抗体を含む、上記(8)記載の測定システム、
(11)IL-10を高産生する細胞の生産方法であって、CD62LおよびCD44を指標に細胞を分離する分離工程を含む、生産方法、
(12)哺乳動物に免疫寛容を誘導しうる物質を投与する工程を含む、上記(11)に記載のIL-10を高産生する細胞の生産方法、
を提供するものである。
IL-10を高発現する細胞の効率的な分離または製造が可能になることから、本発明の分離または製造方法は免疫系の解明に有効な手段を提供する。さらに、得られた細胞は、IL-10が免疫抑制機能を有することから、アレルギー等の疾患の治療または予防に応用し得る。
本発明は、IL-10を高産生する単離された細胞を提供する。従来技術において単離された抑制制御T細胞のIL-10産生量は低かったとの報告がある(Int Immunol.2003 Apr;15(4):525-34)。本発明におけるIL-10を高産生する単離された細胞とは、内在のIL-10を高産生する単離された細胞をいい、外来のIL-10遺伝子によって形質転換されたIL-10を高産生する細胞は本発明と異なる。IL-10を高発現する細胞であれば由来を問わず本願発明に包含されるが、好ましくは哺乳動物の脾臓、胸腺、パイエル板などの免疫系組織に由来する細胞である。さらに具体的に例示するならば、IL-10を高産生する細胞としてT細胞、より具体的にはCD4+T細胞を挙げることができる。IL-10を高産生する細胞は、後述の分離方法によって哺乳動物由来組織から得るほか、得られた細胞を当業者に周知の方法で細胞培養により得ることもできる。造血幹細胞などの未分化の細胞を適当な刺激因子によりin vitroで分化させて得てもよい。
細胞がIL-10を高産生しているかについては、例えば実施例のように、細胞培養上清中に含まれる細胞外に分泌されたIL-10量を、抗IL-10抗体を用いてELISA法等の当業者に周知の抗体測定法によって測定することで、判断することができる。また、細胞内に蓄積されたIL-10を蛍光標識抗体で染色し、フローサイトメトリーで測定することによって、細胞がIL-10を高発現するかどうかを判断することも可能である。用いる抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。
IL-10がTh1サイトカイン産生抑制能を有することから、本発明の細胞は、アレルギー、自己免疫疾患の治療、さらには臓器移植時の拒絶反応の制御に応用してもよい。例えば、アレルギーの治療においてアレルゲンが特定されている場合は、該アレルゲンをマウス等の哺乳動物に経口投与することによって免疫寛容を誘導し、該アレルゲンに特異的なIL-10高発現細胞を取得し、自家移植、他家移植または適切な投与経路によって患者に投与することにより、特定のアレルゲンに対するアレルギー反応を防ぐことも考えられる。
本発明は、細胞表面にCD44が発現されている、IL-10を高産生する単離された細胞を提供する。CD44は、様々な細胞タイプ(血液細胞、繊維芽細胞、上皮細胞、腫瘍細胞など)で発現している細胞接着機能をもつ膜貫通型糖タンパク質で、細胞同士、細胞と細胞外基質の相互作用を媒介する接着分子として機能する。これまでに選択的スプライシング等により多数のアイソフォームの存在が報告されている。細胞に発現しているCD44は、IL-10を高産生する単離された細胞に発現しているCD44である限り、どのアイソフォームであるかは問わない。CD44の発現は、蛍光標識抗CD44抗体で染色してフローサイトメトリーによる測定で確認できる。またELISA法等の当業者に周知の抗体測定法によって測定することで、判断することも可能である。
本発明は、細胞表面にCD62LおよびCD44が発現され、その発現の程度がCD62LlowCD44highである、IL-10を高産生する単離された細胞を提供する。CD62Lは、L-セレクチン、LAM-1 (leukocyte adhesion molecule-1)、LECAM-1(leukocyte-endothelial cell adhesion molecule-1)、MEL-14抗原 (gp90mel)などの別名を持つ、細胞膜を1回貫通し、N末端が細胞外、C末端が細胞内にあるI型膜糖タンパク質である。一般的にマウスでは、大部分の胸腺細胞、分裂可能な前駆細胞及びB細胞、T細胞を含む末梢リンパ球、好中球、単球、好酸球で発現している。CD62Lの発現は、抗CD62L抗体を用いて、CD44と同様に測定することができる。
本発明の細胞は、哺乳動物から得ることができ、好ましくは免疫寛容状態の動物から得ることができる。特に経口免疫寛容が誘導されている哺乳動物の免疫細胞、例えばマウスT細胞からは、効率よく得ることができる。CD62LおよびCD44の発現程度がCD62LlowCD44highである細胞を取得するには、脾臓組織等に存在する種々の細胞の、好ましくはT細胞の、細胞表面に発現しているCD62LおよびCD44を測定する。すなわち、抗CD62L抗体、抗CD44抗体を用い、CD62LおよびCD44の発現量に対する細胞数の分布関係について解析を行う。解析する細胞がT細胞であれば、CD62LおよびCD44の発現量に対する細胞数の分布では、CD62L発現量が高度または中程度でありかつCD44発現量が低度である細胞群と、CD62L発現量が低度でありかつCD44発現量が中程度または高度である細胞群とに分かれる。このときの「CD62L発現量が低度でありかつCD44発現量が中程度または高度である細胞群」は、IL-10を高産生し、本発明における「発現の程度がCD62LlowCD44highである細胞」にあたる。
また、CD44やCD62Lの他にも多くの細胞表面分子の存在が知られているが、CD62LおよびCD44の発現程度がCD62LlowCD44highである細胞であれば、一または複数の他の細胞表面分子が同時に発現していてもよい。例えばCD4が発現していてもよい。
さらに本発明は、上記細胞を含む組成物を提供する。本発明による組成物は、免疫機構の解明に用いることができるほかに、例えば医薬品として用いることができる。上記細胞において高産生されるIL-10がTh1サイトカイン産生抑制能を有することから、上記細胞を含む組成物は、アレルギー、自己免疫疾患の予防または治療用医薬品、さらには臓器移植時の拒絶反応防止用の医薬品として有用である。
このような上記細胞を製剤化して医薬品とする場合には、治療目的や投与経路等に応じて剤形を選択することができ、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤、坐剤等が挙げられる。また製剤化のために、必要に応じて充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いることができる。また、この医薬製剤中に着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有させてもよい。
また本発明は、細胞表面のCD62LおよびCD44を指標とする、IL-10を高産生する細胞を分離する方法およびその分離システムを提供する。上述のとおり、IL-10を高産生する細胞は細胞表面分子の発現がCD62LlowCD44highである特徴を有するため、これら細胞表面分子を指標とすることにより、IL-10を高産生する細胞を分離することができる。CD62LおよびCD44を指標として分離する限り、CD62Lによる分離とCD44による分離とが同時であっても別々であっても本発明に含まれる。分離は、上記表面分子に対する抗体を用いてセルソーターや磁気細胞分離システム(MACS)等の当業者に周知の方法でおこなうことができる。抗体はモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であっても使用可能である。分離をより効率的にするために、免疫組織細胞などからT細胞またはCD4+T細胞を調製した上で、抗CD62L抗体とCD44抗体を用いた分離を行ってもよい。T細胞またはCD4+T細胞の調製は、磁気細胞分離システム、セルソーター、ナイロンウールカラム法などの当業者によって周知の方法によって行うことが可能である。
本発明は、CD62LおよびCD44を指標として、IL-10を高産生する細胞を測定する方法およびその測定用システムを提供する。上記分離方法は、測定方法に応用することができる。すなわち、抗CD62L抗体および抗CD44抗体を同時または別々に用いることにより、測定試料中に含まれるIL-10を高産生する細胞を、例えば、フローサイトメトリーによって測定することが可能である。本発明の方法により測定を行う前に、測定試料を例えば抗CD4+抗体で前処理することも可能である。上記測定用システムとしては、抗CD62L抗体と抗CD44抗体とを含む試薬、診断薬、抗体固定化チップまたは、これらのキットなどが例として挙げられる。さらに特定の抗原によって感作された哺乳動物の抗T細胞受容体抗体と接触させることにより、該特定抗原によって誘導されたIL-10を高産生する細胞のみを測定することが可能である。抗CD62L抗体および抗CD44抗体のほかに特定の抗原によって感作された哺乳動物の抗T細胞受容体抗体を含んだ診断薬は、該特定抗原によるアレルギーの診断や治療効果のモニタリングに用いることができる。
本発明は、上記分離方法を利用したIL-10を高産生する細胞の生産方法を提供する。例えば、哺乳動物の免疫系細胞(脾臓、胸腺、パイエル板など)に由来する細胞を該動物から直接採取あるいは培養し、この細胞を上記分離方法に従って、CD62LlowCD44highを指標に細胞を分離することにより、IL-10を高産生する細胞を生産することができる。また、本発明のIL-10高産生細胞は、免疫寛容状態の哺乳動物から見出されたことから、本生産方法に用いる哺乳動物において予め免疫寛容を誘導させておくことにより、IL-10を高産生する細胞の生産を効率的にすることができる。本方法により生産されたIL-10高産生細胞は、そのまま研究用試薬、医薬品の原料あるいはIL-10の生産材料などとしても用いてもよく、また、得られた細胞から細胞株を樹立した後、上記目的に用いてもよい。
哺乳動物に特定抗原によって免疫寛容を誘導した後、免疫寛容が誘導された哺乳動物からCD62LおよびCD44を指標に細胞を分離する方法で製造された細胞は、該特定抗原の認識部位を備えたIL-10を高産生する細胞である。そのためこうして生産された細胞は、該特定抗原によるアレルギー治療薬または細胞移植用細胞として使用しうる。哺乳動物に免疫寛容を誘導する一つの態様は、抗原を哺乳動物に経口投与することである。
経口免疫寛容の誘導の確認は、抗原を投与された動物のCD4+T細胞によるIL-2産生量を一つの指標として判断することができる。また、[3H]-メチルチミジンを含む培養液でCD4+T細胞を培養し、培養中に取り込まれた[3H]-チミジンの量をシンチレーションカウンターで測定することも一つの指標となる。
[実施例1]材料の調製
マウス:
オバルブミン(OVA)特異的なT細胞抗原レセプター(TCR)を発現するトランスジェニックマウス(DO11.10)は、Washington University School of Medicine(St. Louis, MO)のD.Y.Loh博士らによって樹立された。その子孫を慶応大学医学部の石川博通教授により供与された。BALB/cマウスは日本クレア(東京)より購入した。これらのマウスは滅菌した脱イオン水とγ線照射飼料CE-2(日本クレア)により維持した。
マウス:
オバルブミン(OVA)特異的なT細胞抗原レセプター(TCR)を発現するトランスジェニックマウス(DO11.10)は、Washington University School of Medicine(St. Louis, MO)のD.Y.Loh博士らによって樹立された。その子孫を慶応大学医学部の石川博通教授により供与された。BALB/cマウスは日本クレア(東京)より購入した。これらのマウスは滅菌した脱イオン水とγ線照射飼料CE-2(日本クレア)により維持した。
抗原の経口投与:
OVAは生化学工業(東京)より購入した。OVAを滅菌水に100 mg/mlになるように縣濁したものをマウスに7日間自由摂取させた。
OVAは生化学工業(東京)より購入した。OVAを滅菌水に100 mg/mlになるように縣濁したものをマウスに7日間自由摂取させた。
培地:
RPMI1640(日水製薬、東京)に100 U/mlのペニシリン(明治製菓、東京)、100 mg/mlのストレプトマイシン(萬有製薬、東京)、5 x 10-5 Mの2-メルカプトエタノール(東京化成工業、東京)、2%炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業、大阪)、0.03%グルタミン(和光純薬工業)を加えたものを使用した(以下、この培地をRPMIと略す)。また細胞培養にはこのRPMIに牛胎仔血清(fetal calf serum: FCS、Sigma, St Louis, MO)を最終濃度が10%になるように添加したものを用いた。
RPMI1640(日水製薬、東京)に100 U/mlのペニシリン(明治製菓、東京)、100 mg/mlのストレプトマイシン(萬有製薬、東京)、5 x 10-5 Mの2-メルカプトエタノール(東京化成工業、東京)、2%炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業、大阪)、0.03%グルタミン(和光純薬工業)を加えたものを使用した(以下、この培地をRPMIと略す)。また細胞培養にはこのRPMIに牛胎仔血清(fetal calf serum: FCS、Sigma, St Louis, MO)を最終濃度が10%になるように添加したものを用いた。
CD4+T細胞の調製:
無処理あるいはOVA経口摂取DO11.10マウスの脾臓を摘出し、脾臓細胞縣濁液を得た。CD4+T細胞の分離は抗CD4磁気マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Bergisch Gradbach, Germany)を用いた磁気細胞分離システム(magnetic cell sorting; MACS)により行った。
無処理あるいはOVA経口摂取DO11.10マウスの脾臓を摘出し、脾臓細胞縣濁液を得た。CD4+T細胞の分離は抗CD4磁気マイクロビーズ(Miltenyi Biotech, Bergisch Gradbach, Germany)を用いた磁気細胞分離システム(magnetic cell sorting; MACS)により行った。
抗原提示細胞の調製:
抗原提示細胞にはBALB/cマウスの脾臓細胞を用いた。すなわちBALB/cマウスの脾臓を摘出し、脾臓細胞縣濁液を得た。その後マイトマイシンC(Sigma, St. Louis, MO)処理することにより、増殖能を失わせた。
抗原提示細胞にはBALB/cマウスの脾臓細胞を用いた。すなわちBALB/cマウスの脾臓を摘出し、脾臓細胞縣濁液を得た。その後マイトマイシンC(Sigma, St. Louis, MO)処理することにより、増殖能を失わせた。
細胞表面分子の発現解析:
CD4+T細胞をFACS緩衝液(1%FCS、0.1 %アジ化ナトリウム(和光純薬工業)を含むPBS)で洗浄後、FACS緩衝液で希釈したビオチン化抗CD62Lモノクローナル抗体(mAb)を添加し、4℃で20分間静置した。ビオチン化抗CD62L mAbは、ハイブリドーマMEL14を腹水化し、Protein Gカラムにて精製したものをビオチン化した。FACS緩衝液で2回洗浄した後、ストレプトアビジン結合Cychrome(BD PharMingen, San Diego, CA)、抗CD44 mAb(BD PharMingen)、FITC標識抗クロノタイプKJ1.26 mAb、APC標識抗CD4 mAb(BD PharMingen)を添加し、4℃で20分間静置した。FITC標識抗クロノタイプKJ1.26は、ハイブリドーマKJ1.26 mAbを腹水化し、ProteinGカラムにて精製したものをFITC化した。FACS緩衝液で1回洗浄した後、フローサイトメーターを用いて解析を行った。細胞表面分子の発現解析にはBD LSR(BD Bioscience, Mountain View, CA)を使用し、CD4+KJ1.26+T細胞のCD44および CD62Lの発現パターンを解析した。CD44およびCD62Lの発現量に基づいた細胞分離には、蛍光セルソーターであるFACS Vantage(BD Bioscience)を用いた。
CD4+T細胞をFACS緩衝液(1%FCS、0.1 %アジ化ナトリウム(和光純薬工業)を含むPBS)で洗浄後、FACS緩衝液で希釈したビオチン化抗CD62Lモノクローナル抗体(mAb)を添加し、4℃で20分間静置した。ビオチン化抗CD62L mAbは、ハイブリドーマMEL14を腹水化し、Protein Gカラムにて精製したものをビオチン化した。FACS緩衝液で2回洗浄した後、ストレプトアビジン結合Cychrome(BD PharMingen, San Diego, CA)、抗CD44 mAb(BD PharMingen)、FITC標識抗クロノタイプKJ1.26 mAb、APC標識抗CD4 mAb(BD PharMingen)を添加し、4℃で20分間静置した。FITC標識抗クロノタイプKJ1.26は、ハイブリドーマKJ1.26 mAbを腹水化し、ProteinGカラムにて精製したものをFITC化した。FACS緩衝液で1回洗浄した後、フローサイトメーターを用いて解析を行った。細胞表面分子の発現解析にはBD LSR(BD Bioscience, Mountain View, CA)を使用し、CD4+KJ1.26+T細胞のCD44および CD62Lの発現パターンを解析した。CD44およびCD62Lの発現量に基づいた細胞分離には、蛍光セルソーターであるFACS Vantage(BD Bioscience)を用いた。
細胞培養:
DO11.10由来CD4+T細胞(1 x 105 cells/well)を抗原提示細胞(3 x 105 cell/well)、様々な濃度のOVA323-339とともに96-welllプレート(BD Labware, Franklin Lakes, NJ)に分注し、37℃、5%二酸化炭素下で培養した。
DO11.10由来CD4+T細胞(1 x 105 cells/well)を抗原提示細胞(3 x 105 cell/well)、様々な濃度のOVA323-339とともに96-welllプレート(BD Labware, Franklin Lakes, NJ)に分注し、37℃、5%二酸化炭素下で培養した。
サイトカイン産生試験:
前述の方法でCD4+T細胞を培養し、24時間後あるいは72時間後に培養上清を回収した。24時間後の培養上清中に含まれるIL-2量を、72時間後の培養上清中に含まれるIL-10量をサンドイッチ酵素免疫測定法(enzyme-linked immuneosorbent assay; ELISA)により測定した。
前述の方法でCD4+T細胞を培養し、24時間後あるいは72時間後に培養上清を回収した。24時間後の培養上清中に含まれるIL-2量を、72時間後の培養上清中に含まれるIL-10量をサンドイッチ酵素免疫測定法(enzyme-linked immuneosorbent assay; ELISA)により測定した。
IL-10の測定にはOptEIATM Mouse IL-10 Set (BD PharMingen)を用い、付属のプロトコールに従って測定を行った。
IL-2の測定は次のように行った。すなわち96ウェルのポリスチレン製マイクロタイタープレート(Nunc、Roskilde、Denmark)に、抗IL-2 mAb(JES6-1A12、BD PharMingen)を0.5μg/mlになるように0.1Mリン酸水素二ナトリウム(pH9.0)に溶解し、1ウェルあたり50μl加えて、4℃で一晩静置し、プレートに吸着させた。各ウェルを0.05% tween-20(和光純薬工業)を含むPBS(PBS-T)で洗浄後、1%BSAを含むPBSを1ウェルあたり100μl加えて室温で2時間静置し、ブロッキングを行った。PBS-Tで洗浄後、1%BSAおよび0.05% tween-20を含むPBS(1%BSA/PBS-T)で適切な濃度に希釈した培養上清および標準濃度溶液を1ウェルあたり50μl加え、4℃で一晩静置した。PBS-Tで洗浄後、1%BSA/PBS-Tで0.25μg/mlに希釈したビオチン標識抗IL-2 mAb(JES6-5H4、BD PharMingen)を1ウェルあたり50μl加え、室温で2時間静置した。PBS-Tで洗浄後、1%BSA/PBS-Tで1000倍に希釈したストレプトアビジン結合アルカリフォスファターゼ(Zymed、South San Francisco, CA)を1ウェルあたり50μl加え、室温で1時間静置した。PBS-Tで洗浄後、p-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム(東京化成工業)を1mg/mlになるようにジエタノールアミン-塩酸緩衝液(pH 8.9)に溶解したものを1ウェルあたり50μl加えて発色させ、マイクロプレートリーダーmodel 450(Bio-Rad, Hercules, CA)を用いて405nmの吸光値を測定した。
増殖試験:
前述の方法でCD4+T細胞を培養し、72時間後に [3H]-メチルチミジン(ICN Pharmaceuticals, Costa Mesa, CA)を1ウェルあたり18.5kBqとなるように添加した。24時間後にセルハーベスター(SKATRON Instrumental, Norway)を用いて細胞をフィルター(PerkinElmer Life Science, Boston, MA)上に回収した。取り込まれた[3H]-チミジンをβ-カウンタ(PerkinElmer Life Science)により測定した。
前述の方法でCD4+T細胞を培養し、72時間後に [3H]-メチルチミジン(ICN Pharmaceuticals, Costa Mesa, CA)を1ウェルあたり18.5kBqとなるように添加した。24時間後にセルハーベスター(SKATRON Instrumental, Norway)を用いて細胞をフィルター(PerkinElmer Life Science, Boston, MA)上に回収した。取り込まれた[3H]-チミジンをβ-カウンタ(PerkinElmer Life Science)により測定した。
[実施例2]OVAの経口投与による経口免疫寛容の誘導
OVAの323-339残基領域に特異的なT細胞レセプター(TCR)を発現するDO11.10マウスにOVA含有水を摂取させた。コントロールとして滅菌水を摂取させた。7日後にDO11.10マウスを解剖し、脾臓CD4+T細胞を調製し、抗原提示細胞の存在下OVA323-339で刺激した(図1)。コントロール群と比較してOVA経口投与群のCD4+T細胞は、OVA323-339刺激で誘導される増殖応答、IL-2産生が低下していたことから、OVAの経口摂取により経口免疫寛容が誘導されたことが判明した。
OVAの323-339残基領域に特異的なT細胞レセプター(TCR)を発現するDO11.10マウスにOVA含有水を摂取させた。コントロールとして滅菌水を摂取させた。7日後にDO11.10マウスを解剖し、脾臓CD4+T細胞を調製し、抗原提示細胞の存在下OVA323-339で刺激した(図1)。コントロール群と比較してOVA経口投与群のCD4+T細胞は、OVA323-339刺激で誘導される増殖応答、IL-2産生が低下していたことから、OVAの経口摂取により経口免疫寛容が誘導されたことが判明した。
[実施例3]OVA経口投与により誘導されたT細胞の解析
抗原に未感作なT細胞(ナイーブT細胞)はCD62Lを高発現(CD62Lhigh)、CD44を低発現(CD44low)するのに対し、一度抗原で活性化を受けたT細胞(メモリーT細胞やエフェクターT細胞)はCD62Lを低発現(CD62Llow)、CD44を高発現(CD44high)することが知られている。DO11.10マウスにOVAを経口投与することで経口免疫寛容を誘導した際に、CD62LとCD44の発現量がどのように変化するのかについて解析した(図2)。コントロール群の脾臓CD4+KJ1.26+T細胞の大部分がCD62LhighCD44low/intT細胞だったのに対し、OVA経口投与群の脾臓CD4+KJ1.26+T細胞はCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞から構成されていた(図2、図3)。これよりOVAの経口投与で誘導されるT細胞は、CD62LとCD44の発現パターンから少なくとも二つのT細胞に分類されることが判明した。
抗原に未感作なT細胞(ナイーブT細胞)はCD62Lを高発現(CD62Lhigh)、CD44を低発現(CD44low)するのに対し、一度抗原で活性化を受けたT細胞(メモリーT細胞やエフェクターT細胞)はCD62Lを低発現(CD62Llow)、CD44を高発現(CD44high)することが知られている。DO11.10マウスにOVAを経口投与することで経口免疫寛容を誘導した際に、CD62LとCD44の発現量がどのように変化するのかについて解析した(図2)。コントロール群の脾臓CD4+KJ1.26+T細胞の大部分がCD62LhighCD44low/intT細胞だったのに対し、OVA経口投与群の脾臓CD4+KJ1.26+T細胞はCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞から構成されていた(図2、図3)。これよりOVAの経口投与で誘導されるT細胞は、CD62LとCD44の発現パターンから少なくとも二つのT細胞に分類されることが判明した。
またOVA323-339特異的T細胞(KJ1.26+T細胞)の頻度を調べたところ(図2)、コントロール群と比べてOVA経口投与群ではKJ1.26+T細胞の割合が減少していたことから、OVAの経口投与によりOVA特異的T細胞に細胞死が誘導された可能性が示唆された。またOVA経口投与群のCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞では含まれるKJ1.26+T細胞の割合がほぼ同じであった。
[実施例4]OVA経口投与により誘導されたT細胞群のIL-10産生
OVAの経口投与で誘導されるT細胞はCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞から構成されていたことから、これら二つの細胞群で機能が異なる可能性が考えられた。そこでOVA経口投与群の脾臓KJ1.26+T細胞をCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞に蛍光セルソーターを用いて分離した(図4)。同時にコントロール群の脾臓KJ1.26+CD62LhighCD44lowT細胞も分離した。これらT細胞を抗原提示細胞の存在下OVA323-339で刺激し、増殖応答とサイトカイン産生を解析した(図5)。OVA経口投与群のCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞は、コントロール群のCD62LhighCD44lowT細胞と比較して増殖応答とIL-2産生が低下していた。また両細胞間で応答低下の程度にほぼ差は認められなかった。しかしながら、免疫抑制性のサイトカインであるIL-10の産生を測定したところ、OVA経口投与群のCD62LlowCD44highT細胞でのみ強いIL-10産生が認められ、CD62Lhigh/intCD44intT細胞からのIL-10産生は非常に弱いものであった。特に、OVA1μMで培養したときのCD62LlowCD44high細胞群のIL-10産生量は、他の群の約20倍であった。以上より、経口抗原によって誘導されるCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞はどちらも低応答化T細胞であるが、CD62LlowCD44highT細胞はIL-10高産生性の調節性T細胞としての機能を有する可能性が示唆された。
OVAの経口投与で誘導されるT細胞はCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞から構成されていたことから、これら二つの細胞群で機能が異なる可能性が考えられた。そこでOVA経口投与群の脾臓KJ1.26+T細胞をCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞に蛍光セルソーターを用いて分離した(図4)。同時にコントロール群の脾臓KJ1.26+CD62LhighCD44lowT細胞も分離した。これらT細胞を抗原提示細胞の存在下OVA323-339で刺激し、増殖応答とサイトカイン産生を解析した(図5)。OVA経口投与群のCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞は、コントロール群のCD62LhighCD44lowT細胞と比較して増殖応答とIL-2産生が低下していた。また両細胞間で応答低下の程度にほぼ差は認められなかった。しかしながら、免疫抑制性のサイトカインであるIL-10の産生を測定したところ、OVA経口投与群のCD62LlowCD44highT細胞でのみ強いIL-10産生が認められ、CD62Lhigh/intCD44intT細胞からのIL-10産生は非常に弱いものであった。特に、OVA1μMで培養したときのCD62LlowCD44high細胞群のIL-10産生量は、他の群の約20倍であった。以上より、経口抗原によって誘導されるCD62Lhigh/intCD44intT細胞とCD62LlowCD44highT細胞はどちらも低応答化T細胞であるが、CD62LlowCD44highT細胞はIL-10高産生性の調節性T細胞としての機能を有する可能性が示唆された。
Claims (12)
- IL-10を高産生する単離された細胞。
- 細胞表面にCD44抗原が発現されている、請求項1に記載の細胞。
- さらに細胞表面にCD62Lが発現されているが、その発現の程度がCD62LlowCD44highである、請求項2に記載の細胞。
- 請求項1乃至請求項3に記載の細胞を含む、組成物。
- 細胞表面のCD62LおよびCD44を指標とする、IL-10を高産生する細胞を分離する方法。
- 抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を分離するための分離用システム。
- CD62LおよびCD44を指標として、IL-10を高産生する細胞を測定する方法。
- 抗CD62L抗体および抗CD44抗体を含む、IL-10を高産生する細胞を測定するための測定システム。
- 特定の抗T細胞受容体抗体と接触させる工程を含む、請求項7記載の測定方法。
- 特定の抗T細胞受容体抗体を含む、請求項8記載の測定システム。
- IL-10を高産生する細胞の生産方法であって、CD62LおよびCD44を指標に細胞を分離する分離工程を含む、生産方法。
- 哺乳動物に免疫寛容を誘導しうる物質を投与する工程を含む、請求項11に記載のIL-10を高産生する細胞の生産方法。
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---|---|---|---|
JP2003313883A JP2005080528A (ja) | 2003-09-05 | 2003-09-05 | Il−10を高産生する細胞およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020158914A1 (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-06 | 国立大学法人京都大学 | 細胞の検出方法 |
-
2003
- 2003-09-05 JP JP2003313883A patent/JP2005080528A/ja active Pending
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WO2020158914A1 (ja) * | 2019-02-01 | 2020-08-06 | 国立大学法人京都大学 | 細胞の検出方法 |
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