JP2005077139A - 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法 - Google Patents

流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005077139A
JP2005077139A JP2003304866A JP2003304866A JP2005077139A JP 2005077139 A JP2005077139 A JP 2005077139A JP 2003304866 A JP2003304866 A JP 2003304866A JP 2003304866 A JP2003304866 A JP 2003304866A JP 2005077139 A JP2005077139 A JP 2005077139A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
interface
fluids
flow path
branch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003304866A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Yamazaki
剛生 山崎
Takeshi Imamura
剛士 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003304866A priority Critical patent/JP2005077139A/ja
Publication of JP2005077139A publication Critical patent/JP2005077139A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
  • Extraction Or Liquid Replacement (AREA)

Abstract

【課題】層流界面のゆらぎに関わり無く、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能な流体の分離装置および方法を提供すること。さらに、多層流を形成する流体中の物質を安定して分離することが可能な物質の分離方法を提供すること。
【解決手段】複数種の流体を、互いに接した層流状態で同方向に流すための主流路を有し、前記複数種の流体の各々がそれぞれ流れ込むように配置された流体分岐流路の複数と、前記主流路にて前記複数種の流体により形成される界面を含む分流が流れ込むように配置された界面分岐流路とが、前記主流路の下流側端部に連接して設けられていることを特徴とする流体の分離装置とする。また、この流体の分離装置を使用して行う流体の分離方法及び物質の分離方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体の分離装置および方法に関し、特にチップ上で化学分析や化学合成を行う小型化分析システム(μTAS:Micro Total Analysis System)において、複数の流体を精度良く分離するための流体の分離装置および方法に関する。また、流体中に含まれる物質を精度良く分離する方法に関する。
近年、立体微細加工技術の発展に伴い、ガラスやシリコン等の基板上に、微小な流路とポンプ、バルブ等の流体素子およびセンサを集積化し、その基板上で化学分析を行うシステムが注目されている。これらのシステムは、小型化分析システム、μ−TAS(Micro Total Analysis System)あるいはLab on a Chipと呼ばれている。このような化学分析システムにより、無効体積の減少や試料の分量の大幅な低減が可能となる。また、分析時間の短縮やシステム全体の低消費電力化が可能となる。さらに、小型化によりシステムの低価格を期待することができる。μ−TASは、システムの小型化、低価格化および分析時間の大幅な短縮が可能なことから、在宅医療やベッドサイドモニタ等の医療分野、DNA解析やプロテオーム解析等のバイオ分野での応用が期待されている。
これまでに、微小流路中の流体が層流になるという性質を利用したデバイスやシステムが、多数報告されている。μTASで用いられる微小流路中を流れる流体に関しては、多くの場合、流体の特性を表すレイノルズ数というパラメータが200以下と小さくなる。低レイノルズ数の流体では、慣性力よりも粘性力が支配的となり層流となる。層流では、流線は流れの方向に規則正しく一定の線をなしている。そのような流れの場合、例えばY字型もしくはT字型の微小流路に、異なる種類の液体を導入した場合、界面を有する二層流を形成可能であることが知られている。
Manabu Tokeshi et al, Anal. Chem. 2002, 74, 1565-1571.(非特許文献1)では、混合・反応、抽出、分離等の操作を一枚のチップ上に集積化したシステムが開示されている。上記システムでは、ガラス基板上に幅50−140μmの流路を形成し、溶液中の微量コバルトの分析を可能としている。上記したシステムでは、低レイノルズ数の流体が層流になるという特徴を利用し、微小流路の合流や分岐により一連の化学的操作を実現している。
また特開2001−281233号公報(特許文献1)では、チップ上の両端に分岐チャネルを有するマイクロチャネル(微小流路)を形成した水性分配用マイクロチップが開示されている。上記マイクロチップにおいては、流路中に形成される二層流を利用して水性分配法を実施している。これにより、生体分子等の微小物を分配する際の処理時間の短縮が可能となっている。
上述の従来技術においては、例えば、図5に示したように、液体A[501]と液体B[502]の界面503にて、物質C(505:図5において△で示した。)と物質D(506:図5において☆で示した。)を分離する。図5において、例えば、物質Cは、液体Aに対する溶解度が高く、液体Bに対する溶解度が低く、一方、物質Dは、液体Aに対する溶解度が低く、液体Bに対する溶解度が高いとすると、主流路504中において、物質Cは液体Aに留まり、物質Dは二層流の界面503を介して、液体B側に移動する。液体Aと液体Bの二層流が主流路を流れる間に上記移動が進展し、主流路の下流部では物質Cと物質Dの分配は完了し平衡状態に達する。その後、主流路を分岐部507で分岐流路508及び509に分岐することにより、液体Aと物質Cは分岐流路508側に、液体Bと物質Dは分岐流路509側に分離される。
特開2001−281233号公報 Manabu Tokeshi et al, Anal. Chem. 2002, 74, 1565-1571.
2液の界面は様々要因から移動する場合があり、そのような場合、図6に示したような状態になって、上述の方法では安定した分離ができない場合がある。すなわち、図6のように2液の界面503が分岐流路509側(図6において下側)に移動した場合を仮定すると、分岐流路509には、液体B[502]と物質D[506]のみでなく、液体A[501]と物質C[505]も混入してしまう。逆に、界面503が、分岐流路508側に移動した場合には、分岐流路508に液体Bと物質Dが混入してしまう。界面が移動する要因としては、例えば送液ポンプによる脈流の影響、シリンジポンプの圧力ゆらぎ、混入気泡の影響、チップを作製する際のプロセス誤差による流路幅の設計値からのずれ、温度変化による液体の粘性の変化等が挙げられる。
また、例えば、液体Aおよび液体Bとして水層と有機層を用いて分離を行う場合に、物質として細胞やオルガネラ等の断片が含まれる場合には、それらは水層と有機層の界面503付近にトラップされる可能性が高い。このような場合に界面のゆらぎが生じると、それらの物質は、分岐流路508もしくは分岐流路509のいずれか、あるいは両方に不純物として混入してしまう。このことにより、安定した分離が期待できない場合があった。
よって本発明は、層流界面のゆらぎに関わり無く、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能な流体の分離装置および方法を提供するものである。さらに本発明は、多層流を形成する流体中の物質を安定して分離することが可能な物質の分離方法を提供するものである。
本発明は、
複数種の流体を、互いに接した層流状態で同方向に流すための主流路を有し、
前記複数種の流体の各々がそれぞれ流れ込むように配置された流体分岐流路の複数と、
前記主流路にて前記複数種の流体により形成される界面を含む分流が流れ込むように配置された界面分岐流路と
が、前記主流路の下流側端部に連接して設けられていることを特徴とする流体の分離装置である。このような流体の分離装置とすることで、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能となる。
また、本発明は、
互いに接した層流状態で同方向に流れる複数種の流体を分離する方法であって、
上記の流体の分離装置を用いて、
前記複数種の流体を前記主流路に流す工程と、
前記流体分岐流路から得られる前記複数種の流体の各々、並びに、前記界面分岐流路から得られる前記流体の2種以上の混合物に分離する工程と
を有することを特徴とする流体の分離方法である。このような流体の分離方法とすることで、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能となる。
また、本発明は、
少なくとも1種の物質を含む流体Aから該物質の少なくとも1種を分離する方法であって、
試料導入流路の複数が主流路の上流側端部に連接して設けられている上記の流体の分離装置を用いて、
少なくとも1つの前記試料導入流路から前記流体Aを導入する工程と、
他の前記試料導入流路から前記流体Aとは異なる流体Bを導入する工程と、
前記流体A及び前記流体Bを、互いに接した層流状態で同方向に前記主流路を流すことで、前記流体Aに含まれる物質の少なくとも1種を前記流体Aから前記流体Bに移動させる工程と、
前記流体分岐流路から得られる前記流体A及び前記流体Bの各々、並びに、前記界面分岐流路から得られる前記流体Aと前記流体Bとの混合物に分離する工程と
を有することを特徴とする物質の分離方法である。このような物質の分離方法とすることで、多層流を形成する流体中の物質を安定して分離することが可能となる。
本発明によれば、層流界面のゆらぎに関わり無く、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能になる。さらに、多層流を形成する流体中の物質を安定して分離することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の流体の分離装置は、
複数種の流体を、互いに接した層流状態で同方向に流すための主流路を有し、
複数種の流体の各々がそれぞれ流れ込むように配置された流体分岐流路の複数と、
主流路にて複数種の流体により形成される界面を含む分流が流れ込むように配置された界面分岐流路と
が、主流路の下流側端部に連接して設けられているものである。さらに、複数種の流体の各々をそれぞれ導入する試料導入流路の複数が主流路の上流側端部に連接して設けられていることが好ましい実施の態様である。このような構成の流体の分離装置とすることで、層流界面のゆらぎに関わり無く、多層流を形成する流体を安定して分離することが可能になる。
図1は、本発明の流体の分離装置の実施形態の一例を示す模式図である。図1に示す流体の分離装置は、基板101及び天板102よりなる。基板101には、第一の試料導入流路103、第二の試料導入流路104、主流路105、第一の流体分岐流路106、第二の流体分岐流路107および界面分岐流路108が形成されている。天板102には、第一の試料導入流路103、第二の試料導入流路104、第一の流体分岐流路106、第二の流体分岐流路107および界面分岐流路108の端部に対応する位置に貫通孔が形成されており、それぞれ第一の試料導入ポート109、第二の試料導入ポート110、第一の試料回収ポート111、第二の試料回収ポート112および界面回収ポート113をなしている。
基板および天板の材料としては、分析する溶液に対して耐性がある材料であれば特に制限はない。例えば、ガラス、シリコン、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)等が、基板、天板の材料として挙げられる。
図2は、図1の流体の分離装置を用いて、流体および物質の分離方法を実施する場合の一例を示した概念図である。以下、この図2を用いて本発明の流体および物質の分離方法を説明する。なお、2つの流体を分離すると共に、それらの流体に対する物質の溶解度の違いを用いて、流体に含まれる物質の分離を実施する場合を説明する。これ以外にも、例えば物質のサイズ、表面電荷、拡散係数、親疎水性の違いを用いて、物質を分離することが可能である。
分離する物質としては、例えば細胞、蛋白質、DNA、オルガネラ等の生体物質、無機物質および有機物質の分子、イオン等が挙げられる。
まず、第一の試料導入ポートから流体A[201]を導入する。流体A[201]には、△印で示される物質C[203]および、☆印で示される物質D[204]が溶解している。第二の試料導入ポートからは、流体B[202]を導入する。このとき、物質Cの流体Aに対する溶解度は流体Bと比較して高く、物質Dの流体Aに対する溶解度は流体Bと比較して低くなるように(好ましくは不溶)、流体Aと流体Bを選択しておく。流体Aと流体Bは、それぞれ第一の試料導入流路205と第二の試料導入流路206を流れ、主流路207に流入し合流する。このとき、主流路207においては、レイノルズ数を低くすることで流体Aと流体Bの混合は起こらず、界面208を介して二層流が形成される。
主流路207において、以下のように物質Cと物質Dが分離される。物質Dは、溶液Bに対する溶解度が高いので、界面208を介して流体Bに移動する。一方、物質Cは流体Bに対する溶解度が低い(もしくは不溶)ので、流体A中に留まる。主流路207の長さを、上記の物質Dの移動に対して、十分に長くすることにより、物質Cと物質Dを精度良く分離することが可能である。
流体A及び流体Bは主流路207の下流側端部に達すると、3本の分岐流路に分岐される。このとき、第一の流体分岐流路209、第二の流体分岐流路210、および界面分岐流路211には、それぞれ流体A、流体B、流体A及び流体Bの二層流(流体A及び流体Bが形成する界面を含む)が流入する。このとき図2に示したように、界面208にゆらぎが発生した場合でも、第一の流体分岐流路209には物質Cを含む流体Aのみが、第二の流体分岐流路210には物質Dを含む流体Bのみが常に流れ込むため、両者を分離できる。なお、界面分岐流路211には、物質C及び物質Dを含む流体A及び流体Bが流れ込む。
これにより、外的要因で二層流の界面がゆらいだ場合に分離特性が不安定になりやすい従来技術と比較して、本発明の流体の分離方法および分離装置では安定した分離性能を得ることが可能となる。
本発明の流体の分離装置では、流体Aと流体Bの二層流の界面208が、外部的要因により移動した場合でも、界面208が界面分岐流路211に流入するように、界面分岐流路の幅を設計することが好ましい。すなわち、界面分岐流路の幅を、複数種の流体が主流路を流れる際の界面の揺らぎ幅より大きく設計することが好ましい。
また、主流路207の長さは、以下のように設計されることが好ましい。すなわち、始めに流体A中に存在した物質Dが流体Bに移動して平衡状態に達するために十分な長さとする。また、用いる流体の粘性や流速を考慮して、レイノルズ数が小さくなり、層流を形成するように主流路の幅を設計することが肝要である。一般的には、レイノルズ数を2300より小さくすることにより流れを層流とすることができるので好ましい。安定性の観点から1より小さいことが好ましい。
以上のような本発明の流体の分離装置における各流路は、使用する流体の物性等を考慮して適宜設計すればよいが、例えば、試料導入流路が幅10〜1000μm、長さ2〜30mm、深さ10〜300μmに、主流路が幅10〜1000μm、長さ10〜300mm、深さ10〜300μmに、流体分岐流路が幅10〜1000μm、長さ2〜30mm、深さ10〜300μmに、界面分岐流路が幅10〜500μm、長さ2〜30mm、深さ10〜300μm程度に設計されるのが好ましい。また、各ポートは直径は0.5〜5mm程度の円形であることが好ましい。
また、図1および図2においては主流路の形状として直線形状の場合を例にとり説明したが、安定な層流が形成される形状であれば主流路の形状に特に制限がない。直線形状以外の形状としては、例えば曲線形状、蛇行形状が挙げられる。主流路の形状を、曲線形状、蛇行形状とすることにより、物質の分離をより促進することが可能である。
図1および図2では、2種類の流体を用いて、それらの流体を分離すると共に、流体に含まれる2種類の物質から1種類を分離する場合を説明した。本発明は、この形態に限定されるものではない。例えば、3種類以上の物質が、流体A中に存在し、そのうちの1種類もしくは2種類以上の物質を流体B側に分離することも可能である。また、流体の種類も2種類に限定されるものではない。例えば、3種類以上の流体を用いて、それらの流体を分離すると共に、流体に含まれる物質を分離することも可能である。その場合、異種の流体が接する各界面ごとに、界面のゆらぎを吸収するための界面分岐流路(108及び211に相当する界面分岐流路)を設けることにより安定した分離が可能であり、好ましい。図3には、3種類の流体を分離するための流体の分離装置の実施形態の例を示した。図3の流体の分離装置においては、試料導入流路(301〜303)が3本あり、流体分岐流路(304、306、308)が3本、および界面分岐流路(305、307)が2本ある。界面分岐流路305及び307には、2種類の流体およびその流体が形成する界面が流れ込む。分岐する流路の本数が多いことを除けば、分離の形態は図2に示したものと同一である。
さらに、流体Bにも少なくとも1種の物質が含まれており、上記と同時に、流体Bに含まれる物質の少なくとも1種を流体Bから流体Aに移動させることも可能である。
また、図2における界面分岐流路211を、その下流においてさらに分岐した構成としても良い。この場合、分離した試料の収率を向上させることが可能となる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中における、寸法、形状、材質、作製プロセス条件は一例であり、本発明の要件を満たす範囲内であれば、設計事項として任意に変更することが可能である。
[実施例1]
本実施例では、図1に示す構成の流体の分離装置を作製した。
図4に本実施例の流体の分離装置の作製工程を説明する模式図を示す。図4では、図1におけるB−B’断面図に相当する断面を示してある。
まず、シリコン基板401上にフォトリソグラフィ法を用いて、フォトレジスト402により図1に示した流路形状のパターンを形成した[図4(a)]。
次に、フォトレジスト402をエッチングマスクとしてシリコン基板401を、SF6ガスとC48ガスのプラズマによりドライエッチングし、2つの試料導入流路(不図示)、主流路403、2つの流体分岐流路(不図示)および界面分岐流路404を形成した[図4(b)]。
次に、O2プラズマ処理によりフォトレジストを除去した後、液温110℃の硫酸および過酸化水素水の混合溶液により基板401の表面を洗浄した[図4(c)]。
次に、サンドブラスト加工により、2つの試料導入ポート(不図示)、2つの試料回収ポート(不図示)、および界面回収ポート405となる貫通孔を形成したガラス基板406と、シリコン基板401を陽極接合法により接合した[図4(d)]。
以上の作製工程により図1に示した流体の分離装置が完成した。
各部の寸法を以下に説明する。第一の試料導入流路103、第二の試料導入流路104の幅は50μmである。主流路105の幅は100μmである。第一の流体分岐流路106および第二の流体分岐流路107の幅は50μmである。界面分岐流路108の幅は20μmである。上記の各流路の深さは、全て50μmである。各流路の長さは、各試料導入流路、各流体分岐流路及び界面分岐流路が5mm、主流路が50mmとした。また、各試料導入ポート(109、110)、各試料回収ポート(111、112)および界面回収ポート(113)は円形であり、その直径は1mmである。
次に、この流体の分離装置を用いて、以下の手順で馬尿酸と安息香酸の分離を実施した。
まず、第一の試料導入ポート109および第二の試料導入ポート110を、シリコーンチューブを介してシリンジポンプに接続した。シリンジポンプを用いて、第一の試料導入流路103に馬尿酸と安息香酸の混合水溶液(水層)を流した。それと同時に第二の試料導入流路104に石油エーテル(石油エーテル層)を流した。混合水溶液と石油エーテルは、主流路105で合流したが混合せず、界面を有する二層流を形成した。このとき形成された二層流の平均流速が、約0.5mm/secとなるようにシリンジポンプのシリンジの移動速度を調節した。この時の両層のレイノルズ数を算出すると、水層が約0.02、石油エーテル層が約0.07であった。
ここで、安息香酸は石油エーテルへの溶解性が高いので、界面で石油エーテルに接触した安息香酸の分子は、石油エーテル側に移動する。一方、馬尿酸は石油エーテルに溶けないので水層に残る。
その後、主流路105中を流れる二層流は3つに分岐される。第一の流体分岐流路106には水層のみが、第二の流体分岐流路107には石油エーテル層のみが、そして界面分岐流路108には両層が形成する界面を含む両層の混合物が分岐される。上で述べたように、このとき水層には馬尿酸が、石油エーテル層には安息香酸が溶けている。主流路の長さは、水層中の安息香酸のほぼ全てが石油エーテル層に溶解し移動するのに十分な長さであった。
次に、第一の試料回収ポート111及び第二の試料回収ポート112に接続したシリコーンチューブを介して、第一の流体分岐流路106に分岐された水層及び第二の流体分岐流路107に分岐された石油エーテル層を回収した。これにより、初めに混合水溶液中に混合していた馬尿酸と安息香酸を分離することができた。なお、必要に応じて水層を酢酸エチルで抽出することにより馬尿酸をえることが可能である。
本実施例の流体の分離装置ならびに分離方法では、第一の流体分岐流路106と第二の流体分岐流路107の中間部に界面分岐流路108を設け、水層及び石油エーテル層並びに両層が形成する界面をそれぞれ分岐した。これにより、シリンジポンプの圧力ゆらぎ等の要因により、層流界面にゆらぎや不安定が発生した場合にも、層流界面は常に界面分岐流路108に分岐される。したがって、層流界面にゆらぎが発生しても、常に、第一の流体分岐流路106には水層のみが、第二の流体分岐流路107には石油エーテル層のみがそれぞれ分岐される。したがって、従来の流体の分離方法では安定した流体および物質の分離ができなかった場合にも安定した分離が可能になった。
本発明の流体の分離装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の流体および物質の分離方法の実施形態の一例を示す概念図である。 3種類の流体を分離するための、本発明の流体の分離装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の一実施例における流体の分離装置の作製工程を示す模式図である。 従来法における物質の分離方法を示す概念図である。 従来法における物質の分離方法の問題点を示す概念図である。
符号の説明
101 基板
102 天板
103、104 試料導入流路
105 主流路
106、107 流体分岐流路
108 界面分岐流路
109、110 試料導入ポート
111、112 試料回収ポート
113 界面回収ポート
201 流体A
202 流体B
203 物質C
204 物質D
205、206 試料導入流路
207 主流路
208 界面
209、210 流体分岐流路
211 界面分岐流路
301、302、303 試料導入流路
304、306、308 流体分岐流路
305、307 界面分岐流路
401 シリコン基板
402 フォトレジスト
403 主流路
404 界面分岐流路
405 界面回収ポート
406 ガラス天板
501 液体A
502 液体B
503 界面
504 主流路
505 物質C
506 物質D
507 分岐部
508、509 分岐流路

Claims (5)

  1. 複数種の流体を、互いに接した層流状態で同方向に流すための主流路を有し、
    前記複数種の流体の各々がそれぞれ流れ込むように配置された流体分岐流路の複数と、
    前記主流路にて前記複数種の流体により形成される界面を含む分流が流れ込むように配置された界面分岐流路と
    が、前記主流路の下流側端部に連接して設けられていることを特徴とする流体の分離装置。
  2. 前記界面分岐流路の幅が、前記複数種の流体が前記主流路を流れる際の界面の揺らぎ幅より大きい請求項1記載の流体の分離装置。
  3. さらに、前記複数種の流体の各々をそれぞれ導入する試料導入流路の複数が前記主流路の上流側端部に連接して設けられている請求項1または2記載の流体の分離装置。
  4. 互いに接した層流状態で同方向に流れる複数種の流体を分離する方法であって、
    請求項1〜3のいずれかに記載の流体の分離装置を用いて、
    前記複数種の流体を前記主流路に流す工程と、
    前記流体分岐流路から得られる前記複数種の流体の各々、並びに、前記界面分岐流路から得られる前記流体の2種以上の混合物に分離する工程と
    を有することを特徴とする流体の分離方法。
  5. 少なくとも1種の物質を含む流体Aから該物質の少なくとも1種を分離する方法であって、
    請求項3記載の流体の分離装置を用いて、
    少なくとも1つの前記試料導入流路から前記流体Aを導入する工程と、
    他の前記試料導入流路から前記流体Aとは異なる流体Bを導入する工程と、
    前記流体A及び前記流体Bを、互いに接した層流状態で同方向に前記主流路を流すことで、前記流体Aに含まれる物質の少なくとも1種を前記流体Aから前記流体Bに移動させる工程と、
    前記流体分岐流路から得られる前記流体A及び前記流体Bの各々、並びに、前記界面分岐流路から得られる前記流体Aと前記流体Bとの混合物に分離する工程と
    を有することを特徴とする物質の分離方法。
JP2003304866A 2003-08-28 2003-08-28 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法 Pending JP2005077139A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003304866A JP2005077139A (ja) 2003-08-28 2003-08-28 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003304866A JP2005077139A (ja) 2003-08-28 2003-08-28 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005077139A true JP2005077139A (ja) 2005-03-24

Family

ID=34408436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003304866A Pending JP2005077139A (ja) 2003-08-28 2003-08-28 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005077139A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021099359A (ja) * 2013-11-14 2021-07-01 ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド 流体の分離および検出

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021099359A (ja) * 2013-11-14 2021-07-01 ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド 流体の分離および検出

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Catarino et al. Blood cells separation and sorting techniques of passive microfluidic devices: From fabrication to applications
Zhao et al. Control and applications of immiscible liquids in microchannels
Hibara et al. Surface modification method of microchannels for gas− liquid two-phase flow in microchips
Lim et al. Lab-on-a-chip: a component view
US20040043506A1 (en) Cascaded hydrodynamic focusing in microfluidic channels
Sato et al. Integration of chemical and biochemical analysis systems into a glass microchip
ES2881221T3 (es) Chip microfluídico, método de fabricación del mismo y dispositivo de análisis que usa el mismo
JP2012523229A (ja) 分析のための細胞を含む流体の薄層の調製
JP5246167B2 (ja) マイクロチップ及びマイクロチップの送液方法
EP1607748B1 (en) Nucleic acid extracting kit, and nucleic acid extracting method
US20080160603A1 (en) Flow stabilization in micro-and nanofluidic devices
US8354075B1 (en) Streamline-based microfluidic device
KR101541458B1 (ko) 유체 혼합 방법 및 유체 혼합 장치
Tang et al. Simple and convenient microfluidic flow rate measurement based on microbubble image velocimetry
JP2008039615A (ja) 分離装置、分析方法および分離方法
KR101113727B1 (ko) 수직 적층식 마이크로 믹서 및 그 제조방법
Chen et al. Design, fabrication and characterization of nano‐filters in silicon microfluidic channels based on MEMS technology
JP2009226271A (ja) エマルションをプラグ流に変化させる方法及びそのためのマイクロ流路
JP2005077139A (ja) 流体の分離装置および分離方法、並びに、物質の分離方法
CN110506201B (zh) 粒子检测装置和粒子检测方法
Nakajima et al. Microfluidic System Enabling Multistep Tuning of Extraction Time Periods for Kinetic Analysis of Droplet-Based Liquid–Liquid Extraction
Garcia et al. Inertial particle dynamics in the presence of a secondary flow
JP2004150980A (ja) マイクロ化学・生化学チップの送液装置および送液方法
JP2006075680A (ja) 多段階抽出チップ
Lin et al. Recent advances of microfluidics in Mainland China